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【ほのぼのとした夏と】ファンタジーライフPart.5【平穏な日常】

1レクス◆L1x45m6BVM:2017/08/09(水)22:50:54 ID:Nn8()
ファンタジーな世界のとある町
様々な種族が暮らす町では、毎日色んな出来事が起きています
喧嘩をしたり、一緒に遊んだり、意見の交換をしあったり
もちろんみんな仲良くなどとはいかないでしょうが、穏やかな日々が流れる休憩所です
あなたも、もし良ければ休んでいきませんか?

《スレッドの説明》
ここはファンタジー日常なりきりです
この世界では科学技術は殆ど発展していません。文明の基準としては十四世紀程度と考えてください。ですが、服装や食べ物などの娯楽面の規制は緩いのであまり気にしなくていいと思います
キャラクターの種族は何でもありですが、ファンタジーの世界観を損なうものであると判断された場合は使用を控えていただく事になるでしょう
キャラクターの設定は雑談スレッドに投下し、参加者が内容を見て問題が無ければ使用が可能となります
また、キャラクターには世界観などとの兼ね合いもあり、あまりに世界観からかけ離れている者、町や周りのキャラに著しい被害を及ぼす者、不自然な者、強過ぎると判断された者は禁止しています
ロールは相手がいて成り立つ遊びです。ルールを守って楽しいロールをしましょう!
次スレは>>950が立ててください!

《参加方法》
①キャラクターを作る
②みんなに見てもらう
③そのキャラクターでロールが出来ます!

《キャラクターテンプレート》
【名前】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【能力】
【持ち物】
【職業】
【背景】

wiki《http://www65.atwiki.jp/fantasylifel/

※前スレ
http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1485088568/
573ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/05(月)00:14:57 ID:IAv
>>572
「ドキドキします…!では、失礼しますっ」

少女が貝殻から出て、しぶしぶという感じにこちらに指示をした。
貝殻の中身は飲み込まれそうなほどの暗闇で中に入ればどうなってしまうか分からない。
普通であれば恐れて入るのを躊躇ったりしそうなものだが、ヘルガは何の躊躇いもなく入っていった。
ヘルガの人外についての知識への希求は好奇心一つで片付けられるものではないのだ。

「お、おぉ……ホントに真っ暗ですね…」

中は少女の言った通り真っ暗闇で何も見えない。
腕を前に出しながら歩きだすと何か触れるものがあった。そのまま横に辿るとそれが壁のようなものだと推測できる。
闇と壁。ただそれだけであり、普通の人なら恐怖を感じるだろうがヘルガはワクワクが止まらなかった。

「貝殻族の皆さんはこの中でくつろいだりしているわけですね……私には何も見えませんが、分かりますよ……匂いや…音が感じられます……ふふ…」

ヘルガが感じたそれは恐らく妄想が産み出した産物だが大変満足そうだ。
人外さんがリラックスできる場所に入れるとは…。余計なことを考えてしまう、鼻血が出ないうちに出よう。

「ありがとうございます…!すごく良い研究になりました…!」

数十分入っていたヘルガ。今まで何もない暗闇にいたとは思えないほど目を輝かせていた。
574シェルフィ◆L1x45m6BVM :2018/02/05(月)00:22:49 ID:OrB()
>>573
「……前にもこんな人、居たなー……」

ぽつりと呟く一人言はヘルガと同じようにこの中に入っていった人物を思い出してのこと。系統は違うが、根っこは似てる気がする。
実際はその中でくつろいでるという予想は正解だ。その中は貝殻族にとって安住の地であり、誰にも邪魔されない聖域なのだ。

ガラガラガラ

そんな音が聞こえたことだろう。シェルフィの声は一切聞こえないが、貝殻はゆっくりと口を開いていた。……その時、ヘルガの目の前に飛び込んでくるのは氷に似た質感の殻を持つ貝の山になるだろう。
この短時間でどんだけ獲ってきたんだろう。

「……よ、良かった……?」

その山の後ろからちら、と顔を出しての問い掛けだった。
575ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/05(月)00:39:27 ID:IAv
>>574
ヘルガの目の前には触れると冷たそうな質感をした貝、の山。
こんなに獲れるまで入ってたかな、とヘルガは錯覚した。

「そりゃもう良かったです!!感動しましたー…!」

貝殻族の貝殻の中に入れてもらった。これはヘルガの人生で素晴らしかったことの一つに入るだろう。
ヘルガは後にレポートにまとめようと手帳にメモを取った。そのレポートを共有する仲間はいないのだが。
貝の山からチラリと顔を覗かせる少女。度々する控えめな仕草にやられそうになり、ヘルガは残った研究を思い出す。
も ふ も ふ させてもらわねば、と。

「あ、あと一つだけ……させて欲しいことがぁ……
その……ヒレとかを触らせてほしいのですが……良いですかね…?」

手帳をしまってヘルガは少女に問いかける。
断られるだろうな…とおずおずした様子で話すヘルガ。今度はこちらが目を合わせられないでいる。
576シェルフィ◆L1x45m6BVM :2018/02/05(月)00:45:26 ID:OrB()
>>575
「そ、そっか……そっかー……!」

どこか嬉しそうな様子のシェルフィがその時確認できただろう。
中でも外でも、貝殻が褒められる(?)と嬉しいというのがシェルフィを含めた貝殻族共通の性なのかもしれないことが伺える。
そこに、ヘルガの裏の目的は考慮してない。というか思い付くわけがない。

「………………えっ」

なんで? と言いたげな目だった。間抜けな声が出るほど驚いてしまったのだろうか、落ち着くために氷の貝の中身をむしって食べた。ワイルド!

「……ひ、ヒレって……どっち?」

ごくん、と冷たい貝の中身を飲み込んでから、飛んできたその質問は。
腰か、耳か。どちらを目的にしたものかを聞きたげであった。……ヘルガの返答はいかに?
577ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/05(月)00:58:06 ID:IAv
>>576
貝殻を褒められると嬉しいと思われる様子や貝を割とワイルドに食べるなど、色んな生態を見せてくれた少女。
これは残るミッションを成功させるのみ…!
そこで飛んでくる少女の疑問。ヘルガが触りたいと言うヒレ、とは耳か腰にある方か。

そんなことを聞いてくるということはどちらかは嫌なのだろうか。
耳は敏感とか…?いや、腰のヒレは尻尾のようなものでそっちの方がイヤか…?
ヘルガは思考を巡らす。が、しばらくしてヘルガは必死に考える自分を心の中で嘲笑した。
何を迷っている。人外を愛する私が出す答えなんて一つだろ。

「ど、どっちも……!!」

拒絶されるかもしれない。しかしヘルガは嘘はつきたくなかった。
丸眼鏡越しに見えるのは真っ直ぐな瞳だった。
578シェルフィ◆L1x45m6BVM :2018/02/05(月)01:04:39 ID:OrB()
>>577

「………………」

じとー、とした目が強まった。普段、または初対面なら拒否の一点張りだったはずがこうなってるわけはただひとつ。
相手が貝殻を褒めたからである。そうなると褒めてもらった分は何か返したいが、両方のヒレは流石に嫌だというのが本音。
うーん、と悩む様子が見てとれるシェルフィは波打ちが三度繰り返された頃に決めたように目を向けた。

「…………腰、少し、なら」

片言気味での返答だった。耳はダメらしい。不思議な基準である。
触れた場合、そこは魚のヒレというには少しぷにぷにした感触が味わえるだろう。そしてすべすべだ、魚のヒレとはかなり違うことが伺える。
というより、そもそもヒレでない可能性もあるが、便宜上はヒレとしよう。うむ。
579ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/05(月)01:16:26 ID:IAv
>>578
ジト目がより強くなるのを見るとやはりどちらかは嫌な様子。
触ること自体嫌がられるかも、そんなことを思いながらヘルガは少女の答えを待つ。

「え!やったぁ!……じゃ、じゃあ失礼しますね!」

答えは腰なら良い、そうで。耳がなぜダメなのか気になるが今は腰のヒレは触らせてもらえることを喜ぼう。
ヘルガは小さくガッツポーズして素直に喜び、すぐさまもふもふの体勢になった。
恐る恐る腰のヒレに触れる…。ぷにぷに、そしてスベスベ。

「うおおぉ………これが…貝殻族さんのヒレ……うへへ…」

ヒレといっても魚類のそれとはまた違った感触をしている。触っていてとてもクセになる感触だ。
ヒレ耳や他の所に触れたくなる気持ちを抑え、腰のヒレを存分に触る。
さわさわもふもふ。少しならと言われたのに取り憑かれたようにいつまでもヒレを触り続けるヘルガ。
580シェルフィ◆L1x45m6BVM :2018/02/05(月)01:22:45 ID:OrB()
>>579
「……~~」

最初の方は身体を震わせて、我慢するように食いしばった様子だった。
だが、流石に長くなるとその目には涙が滲み始めていた。少しと言ったのに長引けば仕方ないのだろう。
よくわからない感情も出てきている、例えるなら……なんだかこの人がより怖く感じるようなモヤモヤ感。

その末。

「~~…………もう、やぁーーー!!」

ドパゥ!!

貝殻から『娘から離れろゴラァ!』とでも言うような勢いの放水がヘルガに向かった! 場所的に海に飛び込みかねないが大丈夫かヘルガ!

ちなみにこの間のシェルフィは顔を真っ赤にして涙目という状態である。羞恥心を初めて覚えた気がする。
581ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/05(月)01:42:11 ID:IAv
>>580
「ぐへ!!!!」

夢中になってヒレを触るヘルガの横っ腹に物凄い高圧力の水が放たれた。
ヘルガは海の方へ吹き飛び、水面に一度跳ねた後飛沫をあげて沈んだ。眼鏡もどっかいった。

しばらくすると身体はビショビショ、肩に海藻を乗っけた状態で海から上がってくる。

「……ぃやーー、触りすぎました…。申し訳ないです…
それにしてもすごい威力ですね……!」

ビショビショの白衣からビショビショの替えの眼鏡を取り出してかけると、触りすぎたことに謝罪し先の放水の威力に関心と興奮を露わにする。
今は何も感じないが興奮が冷めたころに痛みに苦しむことになるだろう。
正直もっと触りたいが少女がすごく触りづらい表情を見せているし、放水も次受けたら骨が折れそうなのでやめておく。
貝殻族の貝殻に入り、ヒレも触れただけでなく攻撃も食らうことができた。今日はこれほどないくらいに満足だ。
582シェルフィ◆L1x45m6BVM :2018/02/05(月)01:48:23 ID:OrB()
>>581

放水で相手を引き剥がしたと見れば、シェルフィはそのまま貝殻に潜り直し、また顔だけ出す姿勢に戻った。

「うー……! ……少しって……言った……のに!」

表情そのままに物凄い恨みがましい目線である。シェルフィがこんな目をするのはかなり珍しいので、そういう意味ではこれも手帳に書けるかもしれない。
例え放水の威力を褒めていても、本日また触るのはまず不可能だろうという様子であった。

「……それあげるから、今日はもう諦めて……」

ぽい、と貝殻の中から放られたのは……真っ白な真珠と氷の貝だった。ちなみに貝の方は焼くと酒のツマミになるとかなんとか……生は冷えるぞ!
583ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/05(月)02:07:52 ID:IAv
>>582
ヘルガに突き刺さる視線はかなりキツイもので今日は再び触ることは不可能だと感じさせた。
だがしかし触れただけでも大豊作なのだ。少女に対して申し訳なさそうにしているもののニヤケは止まらない。

「……?おぉー、ありがとうございます…っ」

無造作に貝殻の中から真珠と氷の貝が。ヘルガはそれらを拾い上げて大切そうに白衣のポケットに入れた。
今度は貴重な資料まで貰った。貝の方は美味しそうなので食べてしまうだろうが。

「今日は色々ありがとうございましたっ!今度会ったら耳も……いやいや、何でもないです!」

満足げな顔で深々とお辞儀。つい欲望が出てしまうが即座に訂正した。
少女からの返事があれば、それではーっと手を振って帰路に着くだろう。
帰りの砂浜に付いた足跡はスキップしているのか嬉しそうな足跡だった。
584シェルフィ◆L1x45m6BVM :2018/02/05(月)02:21:36 ID:OrB()
>>583
「…………会えたらねー」

今まで知った人物より、ちょっとイメージがアレなのは仕方ない。これから修正していくしかないだろう。
ちょっと意地悪なことを言いつつ、シェルフィが氷の貝を回収すると貝殻に入ったまま――貝殻がジェット噴射を後ろから放って海へと飛び込んでいった。
これを見ていたなら、これもまた習性の一つに入るかもしれないだろう。

そして海の底で貝殻から顔を出したシェルフィは――。

「……ここ触って何が良かったんだろ?」

自分のヒレを少しだけぷにぷにしたという。
585リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/08(木)21:02:17 ID:PVo
冷え込み激しいこの頃、ロアールも例外なく強烈な寒波に見舞われていた。
用事のない者は自宅へと籠り、暖炉の前で暖を取らねば酷い有様に遭うような、それはそれは酷い環境。
大抵の人間はこのような事態に備えて蓄えを事前に用意しているはずなのである。そのはずなのである。

地面に雪の残るロアールの町中。一人の少女が雪を踏みしめながら歩いていた。
厚手のコートを着込み、毛皮と着ぶくれで頭からつま先まで全身モコモコの状態。これでもしないとやってられない程度には寒い。

「うぅぅ……今日も寒いなぁ……」
「こんな時に薪が無くなっちゃうなんて運がないよ……」

薪を求めようとも、この雪の中では薪に適した、乾燥した物はなかなか見つからない。
とはいえ、山中へと踏み入れるのも怖い。この環境で一人きりで進むのは少し、いやかなりリスクを伴う。
所詮一人の少女に出来る事はそう多くないのである。

「……あれ、こんな所にお店なんてあったっけ……?」

ふとその時、リリンの視界に入ったのは、彼女の見慣れぬお店。
リリン自身、それほど交流が広い訳でもないので、未だに気づけていない店もかなり多い。今回もその一つであり。
雪を踏み固める軽い音を鳴らしながら、店の様子を伺うために、窓ガラスへとゆっくり近づいていく。
586アルジー・ビリンガム◆m2nIThBwKQ :2018/02/08(木)21:20:24 ID:HKy
その店の中には、色とりどりのガラスがあった。
細かく言えば、食器や、人形や、その他小さな指輪などなど。様々な種類の物がある。

更に、中ではかまどのようなものがあり、チロチロと炎が踊っていたり、小さな可愛らしいテーブルと椅子があったりもしている。

そんなことを少女が認識したとき、横にあった扉が唐突に開くことだろう。

「いらっしゃいマセ!お客さんデスね!?」

勢いよく扉を開け、少女に声をかけたのは片言の長身の男だった。

「やぁ、アナタが最初のお客さんデス!ささ、入って下サイ。温かい紅茶でも淹れマス!」
587リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/08(木)21:40:17 ID:PVo
>>586
「わぁ……いっぱいある……可愛い……」

リリンの目に飛び込んできたのは数々の装飾品の数々。
普段から見るソレとは格段と透明度の高いガラス製品は、リリンの目を奪うには十分すぎる代物であった。

「ふぇっ! キャーーーッ!?!?」

しかし外の窓ガラス越しに襲い来る脅威には気づけなかった。
小心者のリリンには十分すぎるインパクト。開かれる扉から離れるように飛び上がり、尻もちを付いて雪の中へと着地。

「ご、ごごごめんなさいっ! 勝手に覗いてスイマセンでしたーッ!」

雪の積もる道をズリズリと下がっていく。リリンの前には尻もちの跡が一直線に伸びる。
が、ここで気づく。どうやら現れた店主は自分を歓迎しているらしい。
相変わらず心臓は高鳴りっぱなしだが、少しでも落ち着けるように深呼吸を一、二回。

「えっと、あの……このお店は、雑貨屋さん、なんですか……?」

恐る恐る立ち上がり、雪まみれになった自分の尻を軽く叩きながら、ゆっくりと店主らしき人物に近寄る。
何もなければ、誘われるがままに温かな店内へと踏み入れる事だろう。足を震わせながら。
588アルジー・ビリンガム◆m2nIThBwKQ :2018/02/08(木)21:56:30 ID:HKy
>>587
「なんで叫びマスか!?怖がらないで下サイ!!!」

少女が小心者だと知らないアルジー。こっちもびっくりして思わず大声である。…より怖がられたりしたらどうするのだろうか。

「オーゥ。落ち着きましたカ?」
「そうデスよー。昨日オープンしたばかりの雑貨屋デス」

説明しながら店内に少女を案内する。
キラキラと輝く店内の、小さなテーブルまで彼女を案内すると、先程言った通りに紅茶をいれはじめる。

「Glass Mansion…ガラスの館?という意味デス。以後ご贔屓ニ」

そういいながら紅茶を少女の前に静かに置いた。
…さすがにそのカップは陶器のようだ。
589リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/08(木)22:14:13 ID:PVo
>>588
「ご、ごめんなさい……ビックリしちゃったので……」

店主の大声に縮こまるように消え入りそうな小声で答えるリリン。
普通のヒトよりちょっとビビりなだけなのだ。ちょっとどころでは済まないような気もするが。

「わぁ……凄いです……」
「これ全部アナタが作ったんですか? どれもこれも可愛いです……」

誘われるように店内へと入る。ちゃんと入る前にコートに付いた雪を払うことも忘れずに。
一歩踏み入れた先はまさに異空間であった。今まで見たことも無いような精密で繊細な工芸品が立ち並ぶ煌びやかな空間。
先ほど窓越しに見ていた物よりも遥かに輝いて見えるそれらは、まさに未知の存在。

「ガラス……ガラスってアレ、ですよね?」
「あれもこれも全部同じもので出来てるんですか? こんな物にも……?」

初めに先ほど覗き込んでいた窓ガラスを指差して。今度は店に並ぶ品物たちを指差して。
一般的にガラスに触れる機会があるとすれば、窓にはめられた物程度。それも透明度の低い靄がかかったような物ばかり。
この棚に並んでいる物が同じ物で出来ているだなんて、リリンからすれば大きな衝撃だ。
先ほどから落ち着かない様子で店内を見回しているのが何よりの証拠。

「あっ、ありがとうございます……。これもガラス……じゃないですよね……?」

今のリリンには店内の物全てがガラスに見えているだろう。
所詮田舎者の少女の知識なんてその程度なのである。
590アルジー・ビリンガム◆m2nIThBwKQ :2018/02/08(木)22:33:42 ID:HKy
>>589
「ム、それならビックリさせてしまったボクもゴメンナサイデスね」

軽く眉をしかめて頭を少し下げる。
だが、次の少女の言葉にパッと顔を明るくして喋り始めた。

「ハイ!これはボクが作った物デス!可愛いし綺麗でショウ?側で見てみるマスか?」
「ちょーっと作り方は違うケド基本的にはアレもコレも一緒デスよー」

そう言いつつ、ひょいひょいとその辺の品物をいくつか持ってくる。一番多いのはグラスだが、時折指輪のようなものも混じっていた。
それらを見ればまあ、なんと言うか、お値段が張るのは予想できるだろう。

「そデスねー。こういうガラスのカップに熱い物を注ぐと割れてしまいマスから。」

割れないガラスがあればいいんデスがね。と少し残念そうな顔をして見せた。
591リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/08(木)22:55:47 ID:PVo
>>590
「凄く透明……宝石みたいですね……」

改めて手元へと置かれる品々を間近で観賞。
これまでにここまでの透明度で映し出せる物と言えば一部の宝石程度しか見ていない。そこでガラスを見たのならば、どう思うかなんて想像は容易い。
恐る恐るガラスのカップを一つ手に取り、両手で触れれば冷ややかで薄い感触が帰ってくる。
そんな経験ですら、リリンには貴重でかけがえのない素晴らしいモノとなる。

「そうなんですか……。あっ、いただきますね」
「…………美味しいです。さっきまで外を歩いてて身体が冷えちゃってて。助かります」

今まで見てきたコップは木製や良くても金属製の物が主。ガラス製を見たのはこれが初めてになるような。
握っていたガラスを置き、机の前へと置かれたカップに口を付ける。
温かな紅茶が身体を内側から解凍していく感覚。このタイミングでこれに勝る物なんて存在しない。

「あ、あの。少しだけお尋ねしたいんですけど……」
「このガラスってどうやって出来ているのか、聞いても大丈夫ですか……?」

ふつふつと湧き上がる疑問。未知の素材があれば知りたくなるのがヒトの性だろうか。
消極的なリリンが自ら積極的に質問できるようになる程度に、このガラスには引き付けられるものがあったのかもしれない。
592アルジー・ビリンガム◆m2nIThBwKQ :2018/02/08(木)23:11:48 ID:HKy
>>591
「イヤー、照れマスねー」

恥ずかしそうにポリポリと頬を掻いてから、お菓子も食べマスか?とついでと言わんばかりにごそっとお菓子も持ってくる。
…本当に、感動されたのがよっぽど嬉しかったと言うことが分かるだろう。

「最近冷えマスからねー。燃料が余分にいって困りマス。」

ふう、とため息を吐いてから、こちらも紅茶を飲んだ。
そして、少女の質問に目を輝かせる。

「そうデスね、そもそもガラスというのは砂からできてるのデスが…」
「しかし、透明にするには更にここからデスね」

途中で止めない限り、少女はたっぷり15分は小難しいガラス製法の話を聞くこととなるだろう。
593リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/08(木)23:29:16 ID:PVo
>>592
「こんなの見るの初めてなんで……私の村には無かったですから」
「あっ、こんなに一杯……本当にありがとうございます」

目の前に積まれたお菓子の山に多少驚きつつも、挨拶や返事は忘れないのである。
少し、本当に少しだけお菓子にも手を付けながら紅茶にありつく。

「はあ、これって砂から出来てるんですか。知らなかったです……」

おもむろに始まるガラストークに真摯に耳を傾けるリリン。
知らない事を聞くことはこちらとしても楽しいので問題はない。そのために遠くからこの町へと来ているのだから。

「――――あ、ありがとうございます……?」

とはいえ、ガラスの製法に関する話は少々難易度が高かった。
どこまで理解できたかは正直不明だが、小難しい製法や専門用語らしき言葉は耳に残ったであろう。どんな形であっても。
止めようとも考えたが、人のいいリリンにそんなことが出来る訳もなく、結局15分たっぷりとお話にありつく事になるのであった。

「あの、先ほどのお話を踏まえて、お願いしたい事がもう一つ……」
「燃料に使う薪を少しだけでいいんで、私に分けてくれませんか……?」
「お家の暖炉に使う分が無くなっちゃって、でも、もう乾いた薪なんてどこにもなくって……」

話の中で出てきた事から提案を一つ。ガラスの製造には高熱の環境が欠かせない。
となれば温度を上げるための薪も持ち合わせがあるはず。一応今日出歩いていた目的はコレなので。
594アルジー・ビリンガム◆m2nIThBwKQ :2018/02/08(木)23:40:38 ID:HKy
>>593
お菓子を食べる少女を見やり、ニコニコと目を細める。
話の合間にもっとお食べと勧めたりしながらも、ガラス製法の話は終了した。

「いえいえ。えーっと…お粗末様デス!」

それはちょっと違う気もするだろうが、まあご愛敬と言うやつである。

「オゥ!それは大変デス!こんなときに薪がなかったら寒くて凍えてしまいマスよー」

そう言うが早いか、彼はすっくと立ち上がり、彼女を建物の裏にある薪置き場に案内した。
そこには、ちょっと持っていかれても困らないくらいの…どころか、かなり大量の薪がある。

「ドウゾドウゾ、いる分だけ持っていって下サイ。助け合いは大事デスからね!」
595リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/09(金)00:00:25 ID:nYR
>>594
「こちらこそ、ありがとうございました……?」

名状し難い違和感を胸に抱きつつ、とりあえず店主に対して一礼。
お菓子も食べろと勧められたので頂いたのだが、小食なリリンにはちょっと大変な量であったという。

「大丈夫なんですか? 本当に少しでいいんですよ?」
「…………うわぁ」

提案は無事に通り、薪も少し分けてくれるとの事。
先ほどの話から、燃料はいくらでもあると言っていたが、仕事が出来なくなるのは困る。少しだけ頂こうと考えていた。はずだった。
数分後、店主へ連れられたリリンの前にあったのは、想定外の量の薪であった。

「流石にここまでは……とりあえず、今持てる分だけでも……」

山盛りの薪が視界を埋め尽くす。まさかここまで必要になるとは思わなかった。この量を集められることも気になるのだが。
とりあえず言葉に甘えて両手で抱えられる程度の薪を拾い上げる。
が所詮か弱い少女。持ち上げた量は少なく、前が見えなくなった影響で足元もふらつく。正直危ない。

「お、重い……」

足元もおぼつかない状態で何とか正面の扉から出ようとする危ない状況。見ているだけで不安になってくる。
596アルジー・ビリンガム◆m2nIThBwKQ :2018/02/09(金)00:12:46 ID:n6N
>>595
「薪が無いと商売上がったりデスし、寒いデスからね」

ハッハッハ!と豪快に笑うが、恐らく後者の方が想いは強そうである。
寒いのは身は凍りそうになるし、心がすさんでしまうからいけない。

「足りなかったらマタ来て下サイ!」

そう言って、送り出そうとはしたものの。
流石にこの状態の彼女をこのまま送り出すのは、鬼か何かではなかろうか、と。
そんな思いが頭をよぎったので…

「アー、お嬢さん!危ないデスし、送って行きマスよー」

そういって、彼女からひょいと薪を取り上げたのである。
597リリン・カマル◆hHo5Paj/Yc :2018/02/09(金)00:33:49 ID:nYR
>>596
「で、ですよねー……」

そりゃ寒いのは誰だって辛い。辛い思いをしたくないのだがら、この冬空の中捜索していたのである。
一人暮らしの女の子が部屋の中で寂しく凍死なんて結末は流石に笑えない。

「それでは、おっとっと……。今日はどうもありがとうございましたー……」
「ってアレっ!? わぁっ!!!」

ふらつく足で頭を下げ、店先から一歩踏み出そうとしたその時であった。
突然軽くなる身体。空を滑る両腕。急激に変化する身体バランス。
薪という重りが取り外された今、リリンの身体は急速に前方へと傾き……白いキャンバスに人型を残すのであった。

「…………お願いします」

雪原から上半身を起こし、小刻みに身震いして雪を払い落して。
自らの手元から薪を持ち去った店主へと、下から見上げるように涙目で語るのであった。

「この先に私の家が、あります……。そこまでお願いします……」
「あと、私はリリンって言います……」

雪まみれの少女と二人で歩く、雪化粧の施されたロアールの町。
一人で部屋に籠るよりは良い経験が出来たかもしれない。
598イルメア◆L1x45m6BVM :2018/02/12(月)21:34:29 ID:y7F()
建物や家屋の屋根に雪が見えるコスタ・ノエにて、本日も高身長の女、イルメアは訪れていた。
頭の角や腰に下げた籠手、物騒なそれに似合わないメイド服姿で港付近の店に立ち寄っていた。
目当てはもちろん――肉。串に刺されて焼かれる肉。ロアールのギルドで交渉する甲斐がある、仕事として来る代わりに多少は自由にさせてほしいと。

「では、この串を10本ほど」

ジュー、と良い音と共にこんがり焼かれる串を言った数だけ受け取り、お代を払って御辞儀をすれば近くのベンチに座ろうとしていた。
さてさて、来る度に色々あり、以前は同じメイド姿のデュラハンと一緒にちょっとした噂になっていた彼女だが今回は果たしてどのような出来事があるのだろう?
普通に出会って、対談するだけというのもいいものだが。
599セルカーク◆FlUF1ZoVFw :2018/02/12(月)21:58:48 ID:jmj
>>598
ふと、串焼きを売っていた店員の顔が積もる雪のように青ざめた。

「ようオマエ、ギルドのメイドか?」


同じ様に串焼きの肉を買い漁り、数本まとめて一呑みにしてしまう男が一人。
……いや、鮫頭が一匹。
凍り付いた地面をバキバキと踏み荒らして迫り来る筋骨隆々の巨大な体。どうやってサイズを合わせたのかわからない巨大なコート。

「成る程、オーガか……ああ、少し野暮用を頼まれてくれや」

曰く、船内の船底でとあるアホが濫造した人造生物が増殖していたらしく、停泊で長らく船を開けていた間に手の付けられない状態になっていたらしい。
その駆除を行ってほしいとの事だった。

雑用といえば雑用だが、力が居るということはそれなりの相手なのだろうか。
前金は出す、と銀貨をちらつかせている。
600イルメア◆L1x45m6BVM :2018/02/12(月)22:07:09 ID:y7F()
>>599
「……? ああ、此方の方でしたか」
「お初にお目にかかります、ロアールのギルドで所属しているイルメアと申します」

あっさりとその姿を見て、多少面食らった顔はしたもののすぐに表情を戻すイルメア。
対して、清楚ですよ? というようにスカートの裾を片手の人差し指と親指で摘まんで少したくしあげつつ、行儀よくお辞儀。片手の串焼きさえなければ様になっていたことだろう。

「……少々お待ちを、冷めてはもったいないので」

と、言うと串焼きをアピール。受け入れられたならその場で串ごと食い千切らんとばかりに綺麗に肉とタレを串から外していった。器用なオーガである。
鋭い牙と手袋からでも浮いている爪がある意味危険度を表して……いるのだろうか?
ちなみに受け入れられなかった場合ものすごい睨み付けてから着いていきながら食べ始めるのである。

「それで? この野暮用とやらは銀貨一枚の前金以外に何が報酬なのでしょう? 私はあまり安くありませんよ」

船の前、または内部か甲板でイルメアは籠手をガッチリと着けたことだろう。武装系メイドここに降臨。
角に帯電させているのは――まあアピール的なものだろう。果たして内容と報酬は釣り合うのだろうな? と言わんばかりだ。
601セルカーク◆h880Uz7oOLCL :2018/02/12(月)22:36:48 ID:jmj
>>600

ほらよ、と袋に何枚かの銀貨を入れて投げ渡ろす鮫男。
無愛想だがそもそもこの顔で愛想などあっても恐ろしいだけというものだ。
港の一際大きいマストが目立つ巨船の甲板に、彼女を連れてくる。
うっすら雪の積もった甲板は一見静かに停泊して、帆を広げる季節を待っているように見えるが……?

「全くクソ迷惑なもんだ、オレはああいう食えねえ奴を相手すんのが大っ嫌いなんだ」

ギイイ……と船室を開ける。廊下は一見静まり返っているが、よく見ると所々何やら這いずり回ったような粘液の跡が見える。

「ウチの雑用係に掃除を任せてたんだが気づいたらどっか行っちまいやがってよ……そんじゃあ早めに頼むぜ」

バタン!!と乱暴に扉が閉まる。薄暗い船室の中に静寂が響き渡る。
……いや、正確には微かに音が聞こえる。いかにもな粘性の水音が微かに聞こえる。そして船底の方から、誰かの声も聞こえた気がした。

「助……て……ー ……れかー」
602イルメア◆L1x45m6BVM :2018/02/12(月)22:43:36 ID:y7F()
>>601
銀貨の入った袋に満足そうな笑みを浮かべた。現金な人である。

「……うわぁ」

廊下に目を向けると粘液の痕跡を見て、少し引き気味のイルメア。果たしてどんな生物が動いたのやら。
こんなの飼ってたの? とセルカークを見ている始末だ。誤解もひどい。

「灯りの一つくらい持つべきではないでしょうか? 打撃が通用する相手ならよろしいのですが……」

ツカツカ、と引いた先程とは裏腹に進む足は恐れが見えない。水音に引き寄せられるように動いているように思えるだろう。

「……あの、もしや船底にどなたか取り残されているのですか?」

足で床をドンドンと踏みつけながら振り向いて質問した。さて、この間にも生物が近付いてきそうなものだが。
603アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/12(月)23:44:43 ID:mFS
お日様が西の山へと姿を隠してそれなりの時間が過ぎた町。
今宵も彼女がシモベ、と言うよりはお仲間の蝙蝠を連れて降り立った。

長身の身体を包む黒いコート、黒の中に置いても映える紅い髪、こめかみより生える小さな蝙蝠羽。
知る人ぞ知るどころかその風体だけで予想の付く人物は多くいるだろう。
彼女は正真正銘の吸血鬼。今はあまり姿を見る事も少なくなった夜の眷属。

「今日もよく冷えるわねえ。こんな日には温かいモノを頂きたいところね」
「でもワタシとしてはもっと心も身体も満たしてくれるモノが頂きたいのだけども……フフッ」

背中より大きな羽を羽ばたかせ、周囲の草木や土を巻き上げながら地面へと降り立つ。
今宵彼女が向かう先は何処か。それは誰にも分からない。

「最近は家に籠ってばかりだったから身体が鈍って仕方ないわ……」

身体をくねくねとよじらせながら、彼女の足は町の中へと向かっていく。
夜の眷属たちの織りなす優雅な散歩が、今始まろうとしていたり、そうでもなかったり。
604貿易船◆h880Uz7oOLCL :2018/02/13(火)04:15:13 ID:FNE
>>602
粘液のようなぬめりは階段の奥に続いている。その水音もほの暗い船の底から。
階段を降りたその先の廊下。幸いこちらは辛うじてランタンが燈されていた。
目が慣れれば足元くらいまでは見えるだろう。

その時、イルメアの肩口に一筋の飛沫が飛んでくる。

びちゃん!と勢いよく地面に叩きつけられたそれは頭の無いタコのような、ワームの集合体のような藻屑じみた物体。一しきりうねうねズルズルと触手を伸ばしたかと思うと、今度はイルメアの口を塞いで窒息させんと飛び掛る。

セルカークの言っていた人造生物だ。よく見ると壁や天井に結構な数の触手が蠢いては彼女を狙っており、一匹が飛び掛るとまた一匹、と数の暴力で押しつぶすように襲い来る。

「ひぁっ!?そこに誰かいるんですか!?助けて!助けてー!」

恐らく雑用係のものと思しき悲鳴は真ん中の部屋から聞こえてくる。
触手はその部屋のドアに集って扉をこじ開けようとしているようだ。
605イルメア◆L1x45m6BVM :2018/02/13(火)10:43:21 ID:YsE()
>>604

目も段々慣れてきて、肩口のそれに反応を示し、なんてことない様子で震わせて払う頃に、なんというか非常に直視しがたい生物が落ちてきた。
魔物食堂に持っていっても果たして調理可能なのだろうか? という考えが浮かぶのはきっと逃げ。 

「はァッ!」

口を狙ってきた生物をあろうことか籠手越しに掴むと、触手で絡まれる前に飛びかかってくる群れに向かって投擲した。そしてある程度の塊になったところで生物達は巨大な重石に潰されるような感覚を体験するだろう――。
イルメアの所持する白い石盤を胴体ほどの大きさにしてそのまま群れの上から押し付けたのだ。

「趣味が良いとは言えませんね……人の声?」

潰せたにしろ、しないにしろ石盤を手持ちサイズに回収すると触手生物が集まる扉を見つけてズンズンと進む。セルカークの声が聞こえないが、まあ彼なら大丈夫だろうと。

「今、お助けします」

床のものは足で、壁に張り付くのは拳で潰しにかかり、扉に張り付いているものは一度剥がしてから床に叩き付けるのであった。
とはいえ、ここまで順調に果たして進んでくれるだろうか……?
606ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/14(水)02:31:36 ID:RJu
>>603
「うー……さむっ…」

寒い夜道を白い息を吐きながら歩くヘルガ。ここのところ研究室に篭りきりだったのでたまにはと夜食の買い出しを理由に外出してみた。
外の寒さすら忘れていたヘルガは特に防寒しておらず、身体を震わせる。
やっぱり外になんて出るもんじゃないな、と思いつつ小走りで商店のある方角へ向かった。
ふと空の方を見上げればやけに数の多い蝙蝠が飛んでいるのが見えた。生物(主に人外)を研究する身としては少しだけ気になる。
もしかしたら吸血鬼さんでもいるのかな……ふふふ、なんて……

「………!!?!?!?」

空から視線を下に戻すと、なんとも美しい女性がそこにはいた。
その女性は長身でありスタイルも抜群に良かった。しかしヘルガが文字に表せない奇声を発した理由はそこではない。
艶やかな紅い髪、宝石のごとく綺麗な紅の瞳、そして両のこめかみの辺りにある蝙蝠の羽と伸びた犬歯。見るからに吸血鬼だ。
ヘルガの心臓の鼓動は速まり身体は火照り、そこに寒さなど微塵も残っていなかった。眼鏡も割れた。

やっぱり外には出るべき。こうして人外さんと出会えるのだから!
十字架やその他諸々の吸血鬼が苦手とする物が身体にないか一瞬で確認し替えの丸眼鏡を装着、そしてスーパースピードで彼女の元へと駆けた。

「こんばんはああああああ!失礼します私ヘルガと申しまして吸血鬼さん貴女の眷属…じゃなくて!貴女にすごく会いたかった者でして良かったらお話ともふもふしたく存じ上げますぅううう!!」

側まで寄るとその場で跪き、非常に興奮した様子で早口で語り出す。
優雅な散歩に突如現れた不審者。彼女はどんな反応をするのだろう。♣♦
607リーフィー◆h880Uz7oOLCL :2018/02/14(水)20:57:04 ID:pV4
>>605
ギキュイイイイーーーー!!!と切り裂くような鳴き声。石盤に押し潰され圧死した人造生物の残骸が床に広がった。
どす黒い液体が飛び散って見るに耐えない酷くグロテスクな惨状になっていく。普通に18指定の光景である。
勿論仕事として引き受けた以上はそんな泣き言は言っていられない。触手生物は一つ、また一つと絞め殺され、あるいは押し潰され引きちぎられていく。

セルカークは別の区画の触手退治に向かったようだ。上の階からも先ほどの独特の気色悪い鳴き声と共に黒い液体が階段から滴ってくる。

ドアを開けたそこは食堂と思しき区画。
泣きそうな顔の少年・・・・・・海竜人のリーフィーが耳のヒレを竦ませてフライパン片手に黒い液体まみれで震えていた。

「ああっ、よかったぁ・・・!なんか気持ち悪い生き物に襲われるし逃げ込んだはいいけど外に出れないし・・・!ありがとうございますぅぅ・・・ズビビ」

イルメアの粘液まみれの篭手を握りながら泣きじゃくるが、駆除はまだまだ終わらない。
背後から忍び寄ってきた2匹の触手がイルメアの足元と頭上から、体の穴と言う穴を目掛けて飛び掛ってくる。当然黒く妙に闇属性臭い粘液を大量に撒き散らしながら。

「イァァァーーーッ!!!コワイ!キモイ!フケツ!こっちこないでーーー!」
もはや彼のSAN値は限界である。リーフィーが泡を吹いて触手に嬲られる前に何とかしなくては。

そして、船底から奴らの甲高い鳴き声とはまた違った不気味な低い声が響いてくる。
どうも人造生物は一種類だけではないらしい・・・・・・♦♣♣
608イルメア◆L1x45m6BVM :2018/02/14(水)21:28:15 ID:ILp()
>>607

「それはそれは……大変でしたね、もう大丈夫ですよ。ご安心ください、あとで報酬はいただきますので」

さらっと追加要求をしつつ、男子がそれでどうしますかとわりと清潔な布切れを渡すと――フン! の掛け声と共に足元の生物を踏み潰した。
まったく、前回浴びた墨の方がよほどマシだ、と思ってしまいつつも頭上の生物は張り付く前に籠手で掴もうとする。

「……ひとまず、船から一度脱出された方がよろしいかと。出口は理解できますか?」

掴んだ生物を――そのまま廊下に向けて全力投球。入口から侵入しようとする不貞な輩が居るならそいつらごと向こう側に叩きつけようという魂胆である。やだこのメイドさん豪快。

「それにしても、あの鮫の御方も何も言わずに別行動とはつれない方です、ああ、私はイルメアと申します、詳しいことはまた後程!」

廊下を進もうとするメイドさんは返り血ならぬ返り黒液を大雑把に払って落としつつ、リーフィーへと自己紹介した。
高身長に、武骨な籠手に角と牙。もしかしたらリーフィーには恐怖を与えるかもしれないがこの現場では触手生物よりは遥かにマシだと思いたい。♣♦
609アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/14(水)22:35:12 ID:8ml
>>606
さて、森から街中へと踏み出そうと背中の翼をコート内へ収納していた時であった。
遥か遠くから迫り来る謎の人影。作業の手を止め、深く静かに己の腕を禍々しい化物のソレへと変化させようとした時。

「…………はぁ?」

この女性――ヘルガと名乗る人物はあまりにも異質であった。
こんな夜に、ましては街の中心からは外れた場所で、いかにもな吸血鬼と遭遇すれば、大抵の人間は恐れを為して急ぎ逃げるのが正常な反応。
しかし、あろうことかヘルガは恐れる素振りなんぞ微塵も見せず、寧ろ過剰に興奮した様子で迫り寄って来たのだから。
余程の世間知らずか命知らず、はたまた頭のネジがダース単位で飛んでいるのか……。
ともかく、自身の想定とは遠くかけ離れた反応を示す相手に、この吸血鬼も困惑の色を隠せずにいた。

「いつの間にワタシにファンなんて出来てたのね。ワタシの人気もまだ捨てたモノじゃなさそうねぇ」
「で、お話したいんですって? 別に聞いてあげてもいいけど……しつこいのは好きじゃないのよねワタシ」
「それに、勝手にお触りなんて考えでもしたら、……分かってるわよね?」

とはいえ、この吸血鬼側としても、ヘルガのような普通ではない物事に対する興味は強いのであった。つまりは脈アリ。
跪く彼女を後目に街への足を進めながら、彼女の語るであろう話に耳を傾けていた。
依然左手をワキワキと唸らせながら。

「でもこんな所で話すのも無粋ねぇ。少し場所を変えましょう。付いて来なさいな」

吸血鬼が向かう先はコスタ・ノエの通りに建つ一軒の酒場。
彼女は真っすぐにカウンターの一席に座れば、すかさずカウンター越しに紅いブドウ酒が手元に置かれる。
対応を見るに、この店は彼女の行きつけの店のようで。その姿は、場の落ち着いた雰囲気に深く染みついていた。♣
610ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/15(木)02:19:17 ID:7q4
>>609
「いいんですかぁ!?ありがとうございます!」
「いやいや!しつこくはしません!お触りも許された時しかしませんよ!」

ヘルガが吸血鬼を見る目はまさに熱狂的なファンそのもので。
嬉しそうにへらへらと表情を緩ませつつ吸血鬼の後を付いていく。
近くで見るとまたその美しさが際立ち、いくつかの人外たる部分に目移りする。早くももふもふ欲が出てきてしまいそうだがここは抑えよう。

「は、はいっ…!」

場所を変えようと吸血鬼が言い、着いた場所は酒場。
こんなところでゆっくりと話を聞けるなんて夢にも思っていなかった。
吸血鬼がカウンターの席に座るとすぐにワインが出された。そのことから彼女が常連であることが分かる。
店内のアダルティな雰囲気が似合う吸血鬼に見惚れ女性としてもかっこいいなんて思いつつ、この場にあまり馴染まない白衣スタイルのヘルガは隣の席へ失礼した。
ヘルガはカクテルを注文すると手帳を出してインタビュー体勢。

「では早速質問よろしいですかっ…!」
「…勝手なイメージなんですが、吸血鬼さんはやっぱり森のお屋敷的なところにお住まいなんでしょうか?
あと、蝙蝠さんみたいな眷属は他にもいたり…?」

慣れない店の雰囲気に少し緊張しつつも胸を高鳴らせながら質問をするヘルガ。吸血鬼との距離は近く、欲と鼻血を抑えるのも一苦労だ。
答えを待つ間ヘルガはジッとそちらを見つめているだろう。
611アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/15(木)22:23:02 ID:LSj
>>610
ヘルガが隣に着席したことを横目で確認し、手元のグラスを揺らしながら中身のブドウ酒へ口を付ける。
口の中で転がすようにブドウ酒を堪能し、喉へと通す。その動きは随分と手慣れているようにも見えて。これぞ年の功。

「…………そう。やっぱり噂話はそう簡単には無くならないものね。よく知ってるじゃない」

ヘルガから投げかけられる質問も、彼女と正対することなくカウンターの向こうに並ぶ酒のラベルを眺めながら聞いていた。
そしてフッ、と口元から漏れるため息にも取れる笑み。今語られたイメージがいったいどの吸血鬼の生態を参考にして語られているのか。
少なくとも自分の事はどこかでイメージを形成する要素の一つとして混ざっているのだろう、だなんてことを考えながら。

「そうね、今の質問には全部答えたほうがいいのかしら。ならアナタのご希望に応えてあげる」

「まずは住居からかしら。そうねえ……アナタの想像力は大したものよ。誇っていいわ」
「でも場所は教えられない。ワタシの住処に居ていいのは、ワタシの下部だけだもの」
「どうしてもって言うのだったら……今ここでワタシの下部にしてあげてもいいけど……?」

顔を隣のヘルガの方へと向け、彼女の下あごへとその手を伸ばす。
抵抗することが無ければ、吸血鬼の鋭くも繊細な爪が、優しく彼女の下あごをなぞり跡を作ることになる。

「後は……そう、下部たちのことかしら」
「あの子たちは勝手に付いて来てるだけよ。そんなにワタシの事が気に入ってるのかしらね」
「後はワタシが気に入った子を連れて帰ってるぐらいね。アナタも興味ある?」

再び正面を向き直し、再び手元のブドウ酒に口を付ける。
中身が無くなれば、すぐにでも次のお代わりが注がれる。行きつけというより手懐けていると言ったほうが正しいかもしれない。

「そうだ。ワタシちょっと小腹が空いてたのよね。ちょうどいいタイミングでアナタが来てくれて感謝してるのよ?」

ニコリとヘルガへと笑顔を向ける。口角からチラリと見せる二本の犬歯が怪しく光る。
612ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/16(金)02:18:51 ID:0VN
>>611
「で、ですよねー…!これは失礼致しましたっ…」

住処については教えられないとのこと。このミステリアスな感じがまた魅力的だ。
意気揚々と手帳に書き込み次の答えを聞こうと顔を上げれば、吸血鬼と目が合った。
見ていると吸い込まれそうな瞳。目が合ったことに驚くのも束の間、吸血鬼はヘルガの下あごへと手を伸ばし始める。

「…ぅひゃあっ…!………わ、わわ私なんかが下部だなんて恐れ多いですよぉー!」

吸血鬼の爪がヘルガの下あごを滑らかに走るとヘルガは間抜けな声を上げ、反射で身体を少し引いてしまう。
自分から誰かに触ることの多いヘルガだが逆に触られるのは慣れてないようでなかなかうぶな反応を見せた。そして動揺した気持ちを整えるため咳払いを一つ。

「なるほどぉ……」
「え…!?あ、いや、興味ないと言ったら嘘になりますけどぉ…」

やはりカリスマ性があるのか、下部達は勝手について来ているという。
ヘルガも彼女の魅力に惹かれたうちの1人。付いて行きたくなる気持ちは非常に理解できる。
あとは気に入った者を連れて帰ると言うが、彼女に気に入られる者がどのような者なのか気になる。
それも聴きたいが、予想していなかった質問が投げかけられまたも動揺することとなった。

「小腹………」
「…いやいや!私のきったない血なんてあげられませんよ!身体壊しちゃいますよ!
いや、吸われたくないわけじゃないんですけどね!?」

吸血鬼が小腹が空いたと言っているが彼女は単純に食べ物を求めているわけではなく、血を求めているのだろうとヘルガは推測した。
吸血鬼に噛まれ血を吸われるなんてのはとんでもない経験で、めっちゃ吸われたいと思うところもあるが高貴な吸血鬼には自分の血は似つかわしくないと考え再び謙遜。
613アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/16(金)23:01:11 ID:9bM
>>612
「フフッ、ずいぶんといい声で鳴くのね。もっとその声をワタシに聞かせてくれてもいいのよ?」

そうは言いつつも吸血鬼の手はヘルガから離れる。
吸血鬼の反応を見るに、ただ彼女の反応を楽しみたいだけだろう。証拠に吸血鬼の表情は実に愉しそうにニヤケていた。
それでもこの場ではそれ以上の事はしなかった。これも気を引かせるための技なのか、単なる気まぐれか。

「……あらぁ? ワタシは少しお腹が空いたとしか言ってないわよ?」
「ワタシがいつアナタの血を頂こうだなんて言ったかしら。ちょっと邪推が過ぎるんじゃなくって?」
「別にワタシは軽食でも満たせるっていうのに、吸血鬼だからって決めつけられるのは気分が良くないわぁ」

クスクスと慌てふためくヘルガの姿を少々大げさに声を荒げながらも眺める。
吸血鬼で食事と言われたのなら、まず最初に血が頭に浮かぶのは当然の事。誰しもこう受け取るのはまず間違いない。
わざと湾曲させて語ったのも、こうやって彼女の反応をツマミに夜酒を楽しみたいが為の行い。
これほどまで分かりやすく期待通りの受け答えを示してくれる彼女は、ある意味吸血鬼のお眼鏡に適う存在なのである。

「そういえばさっきアナタ言ってたわよねえ、興味があるって。吸われてみたいとも言ってたかしら……」
「そんなに興味があるのだったら…………試してみる?」

吸血鬼のコートの中から先ほども目にしたであろう、大きな羽が姿を現す。
すぐにその羽は隣に座るヘルガを中心に彼女の周囲を包み込み、完全に外界からの目をシャットアウトする。
周囲を覆い隠したとはいえ、所詮はただの目隠し。多少強引に抜け出すことも十分に可能。
しかし、正面のニンゲンの手により世界が一瞬のうちに薄闇に包まれるという体験は、ヘルガには少々刺激が強いだろうか。

「安心なさい。血に卑賎なんて存在しないわ。全て等しくワタシの中へと納まるだけよ」
「さあどうされたいの……?」

彼女の耳元で囁くような小声で誘いかける。さあどうなる。
614ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/17(土)01:51:37 ID:r3R
>>613
「うえぇ!?し、失礼しましたぁ!」
「邪推というか、ただの思い込みというか発想が跳躍してしまったというか…。うぅ…ごめんなさい……!」

吸血鬼の機嫌を損ねてしまったとオロオロして必死に弁解を試みる。
そんな反応を楽しまれているとも気に入られているとも気付かずにまんまと慌てふためき、しょんぼり肩を落として謝罪の言葉を述べた。
すぐに人外な部分ばかりを見てそれ以外のことは殆ど考えられなくなる。悪い癖だ、なんて律儀に素直に反省。

「……えっ………?……えぇー…!?」

吸血鬼の言葉にどういう意図があるのか、ヘルガには一瞬判らなかった。
判らなかったが、こちらへと覆い被さる羽に抵抗することはなくそのまま薄闇へ飲み込まれる。
突如として闇に包まれたことに対しての困惑は無かった。が、この後どうなってしまうのかという困惑は大きかった。

「ぅぅ………っ」

吸血鬼の囁きが耳に触れ、くすぐったくて小さく声を漏らす。

吸血鬼に会い、触られ、羽に包まれ、囁かれ。明日死ぬのではと思うほどの歓喜の興奮体験をしているのだが、遂にはどうされたいかと問われてしまった。
どうなってしまうのか、それはヘルガの答え次第になったようで。
自分でも分かるほど鼓動が早まる。早まるのは恐怖だとか拒絶だとかそういう感情が理由ではない。
答えは決まっている。ヘルガがそれ以外の答えを出すことはない。
変に妄想を膨らまして気絶してしまわない内に答えよう…。

「…私の血を吸って下さいっ!!」

吸血鬼の紅の瞳を見つめ、ハッキリとそう言い放った。
615アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/18(日)21:00:23 ID:Cdj
>>614
「フフッ、よく言えました。そのつもりなら初めからそう言ってくれれば良かったのに」

ヘルガより返される真剣な答えに、満足したように微笑を浮かべる吸血鬼。
しかし、自ら吸血鬼に面と向かって吸血を乞う人間は、長年生を謳歌してきた彼女としても貴重な体験であった。
古くから畏怖や災厄の対象として見られ、避けられる事の多かった身としては、自ら悪意無くすり寄ってくる人物は、奇抜であり、そして喜悦な相手であった。
まあ、彼女の心境の中にはかなりアレな下心も混ざってるような気もするが、その箇所はいったん置いといて。

ともかく、今の吸血鬼にとってヘルガは手中に収めた状態。多少の無茶も押し通せる環境にいるようなもの。
特に他人を魅了する何かを使用した気もないが、近いような環境に置けたならこちらにも好都合。
後はこの翼の内側というプライベートルームで吸血鬼とヘルガ両人の欲を果たすだけ。

「安心なさい。痛くしないようにはするつもり」
「でも多少は覚悟しなさい。なんたって、アナタの首にワタシの歯が入るんですもの」

ヘルガを追いつめるかのような言葉を数個耳元で囁く。
他人を陥れ、追いつめるのは魔族の常套手段。もちろんこの吸血鬼も例外なく用いる。
そして何より、ヘルガのような転がしやすい相手を意のままに弄ぶのは、この上なく法悦な事。

吸血鬼によって生み出された薄闇の中、彼女の深紅の瞳と、白く鋭い犬歯が仄かに輝く。
わざとらしくヘルガの首元に己の吐息を何度も当て、牙を潜らせるその時を堪能する。

永遠にも一瞬にも感じられた時が過ぎた先、ついにその瞬間は訪れる。
二対の刃が、今ヘルガの首へと迫ろうとしていた。
616ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/19(月)01:25:12 ID:kfg
>>615
「は、はい……お願いします…っ…!」

追い詰めるような囁きで心に緊張が染み渡る。口を強く結び、拳を握りこんだ。
この緊張は決して悪いものではない。永らく離れていた恋人に会うかのような、大好きな料理が運ばれてくる時のような、そんな感覚。
人外に出逢えたならその人外らしい行いをしてもらいたいとヘルガは常に思う。それがどんな痛み苦しみを伴うものであっても。

ヘルガは吸血鬼に首を差し出すため頭を少し傾け、そして目を瞑った。
吸血鬼に血を吸われるなど文献や創作物でしか見たことがない。それを今から体験するのだ。
まるで夢のようだが首元に当たる暖かい吐息が、今のこの時間が夢でないことを証明している。
そして焦らすようなそれにピクリと反応しながら、時を待つ_______。

「…んっ……」

ヘルガの首元に鋭い牙が侵入した。
首元に走るであろう痛みは興奮状態にあるヘルガの能力により無かった。が、痛みが無い分己の首元から血が流れそれを摂られているのが確かに感じられる。その感覚に神経を集中させた。
血を吸われるヘルガの中にあるものは快感と歓喜。痛みがあったとしてもそれは変わらなかっただろう。
静かなプライベートルームにヘルガの漏らす小さな声がしばらく響く。
やがて吸血が終われば、ヘルガは満足げに息を吐く。そして感動し虜になったような眼差しで吸血鬼を見つめるだろう。
617アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/20(火)00:52:29 ID:8jA
>>616
「んっ……んくっ……んんっ……」
「悪くない味ね……これなら問題なさそう……」

吸血鬼の喉が動くたびに、少量ずつ牙の隙間から血が入り込んで来る。
口内に溜まっていく血の感触を何度も堪能し、一息で一気に飲み込む。

吸血鬼の感じることの出来る血の味というモノは、吸血対象によって多少なりとも変化するらしい。
本人によると、若いヒトであるほど味が良くなるとの事。他にも魔法を扱う人物は魔力を含んでいるため美味だとか。
今回の場合、若いヘルガの血は吸血鬼にとっても比較的好みのモノとなるのである。

決して少なくはない血が吸血鬼の中へと渡った後、二つの牙は静かに首から引き抜かれる。
彼女の首元に二つの小さな穴が空き、そこから血が少量ずつ流れ落ち、首元を濡らしていく。
その傷をペロリと一舐めすると、たちまち血の流れが止まり、痕だけが残る形となる。

「んん、及第点ってところかしら。もっと外に出て運動したらどう?」

首筋から離れると共に、翼によるプライベート空間も解放され、二人の姿は公共の酒場へと引き戻される。
吸血鬼にもなると、血の味で体調もある程度把握できるようになるらしい。一般的な人間であるならば尚更。
ヘルガが研究職に就いている事も何となく理解してしまったらしい。

しかし、吸血したとしてもこの吸血鬼には相手を魅了するようなチカラは持ち合わせていないはず。
それでもヘルガがこのようになったという事は、精神的な何かが作用したのかもしれない。もしくは彼女の体質か。
そのような視線を向けられる吸血鬼側も、やけにノリ気でヘルガの頭を撫でていたりするのだ。
618ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/20(火)02:27:39 ID:ay8
>>617
吸血鬼の撫でを受けるヘルガ。今の体験は何物にも代え難いもので、ヘルガは研究者の中でも希少な人物となっただろう。
吸血鬼と2人きりという夢の空間から出た後もまだフワフワした感じが止まない。
ヘルガの吸血鬼に対する熱い視線は興奮やら歓喜やらが交じり混ざり、それに陶酔した結果出来上がったものだ。

「ありがとうございます…!!貴重な体験、させてもらいました…!とっても感動しました!」

頭を撫でる吸血鬼の手に手を重ね、今度は子どものようなキラキラとした眼差しで感謝と感動を伝える。
そしてこの経験を残さねばと手帳へ体験した事を書き綴るためペンを取って走らせた。興奮のせいで書き出す言葉もまるで子どもの言葉のようで。
きっと後で見返してもほぼほぼ興奮しか伝わってこない。まぁそれはそれで思い返せるから良いのだろう。

「いやぁ~、出逢えて良かったなぁ。吸血鬼さ……あ、今更ですけど……良かったらお名前…聞かせてもらってもいいでしょうか…?」

大体書きたいことを書き終えたあと、余韻に浸るも吸血鬼の名を聞いていなかったことを思い出す。
興奮が先行してそういったことを忘れてしまうのがまた悪い癖だ。
再び吸血鬼へ向き直り、名を尋ねた。
619リーフィー◆h880Uz7oOLCL :2018/02/20(火)14:29:03 ID:rCq
>>608

「ふぉぉ...すごい豪腕・・・・・・あっハイ道くらいは」

粘りつく黒い液体は生臭い匂いを放っている。沈黙した触手生物もまた気味の悪い臭いを放ち、黒液を撒き散らしながら絶命する。

「とにかくその気持ち悪い生き物を一掃してくださいお願いしますぅぅ!!」

泣きそうな顔のまま船外へ逃げ出すリーフィーをよそ目に、いよいよ船底へと潜る。
ランタンの灯りを以ってしても尚暗い、湿っぽい船の底。
そこには先ほどまで見ていた人造生命の、言わば集合体のような塊が蠢いていた。

「ツガー…シャメッシュ…シャメッシュ…フタグン・・・・・・」

ビリビリと震えているどす黒い触手。目は触手の塊の奥でぼんやりと双眸に光っている。
まぁ言うまでもなく触手小僧の研究の一つなのだろうが、もう少し見た目を弁えて欲しいものである。

「グォバァァーーーッ」

船底の狭い廊下をドタドタと、黒い液体を撒き散らしながらイルメアに”それ”が襲い掛かった。
620イルメア◆L1x45m6BVM :2018/02/20(火)18:23:50 ID:Ii3()
>>619
「承知しております。…………後で行水か風呂を借りさせてもらいましょう」

リーフィーが完全に見えなくなってからの呟きである。臭いが身体にまとわりつくのは避けられない上、液体のように落とすのが容易い訳でもないのがまた面倒だ。
この仕事が終わったら、いや本当に洗い落としたいものである。色々と。

「……これは応援を呼んだ方が良いですかね、しかしどこかで……」

ただでさえ暗い船底に溶け込むかのような体色と、そのサイズ。一体だけでも結構面倒でサイズでまだ対処ができたものなのだが。
というより鮫の人、早く来い。とイルメアは内心愚痴ったという。
ふむ、と考えるのも束の間、向こうはヤル気満々なので籠手同士をぶつけて鳴らして――床を蹴った!

「お手数ですが言葉の意味をお教えいただけると意思疏通も可能かと!!」

それでも迷いなくイルメアは迫ってくる塊の目の位置に向かって拳を叩きつけようとしていた! この人細かいことは苦手なんです。
液体に関してはもう浴びないことを諦めてるとだけ言おう。いくらかかろうがこのあと洗い流しておしまいにする気のようだ。
621アマンディーヌ◆hHo5Paj/Yc :2018/02/21(水)23:02:15 ID:XDb
>>618
「そんなに感謝されてもねぇ……そんなに血を吸ってもらいたかったわけ? ま、いいんだけど」

先ほどまで血を吸っていた相手から、こんなにも興奮した様で感謝の念を述べられるというのも、何とも奇妙な話である。
こちらとしては危害を加えたと言ってもおかしくない状態。そうだというのに、盲目的に詰め寄られることになるとは。
長年生きてきたはずの吸血鬼にも、この体験は初めてに近い事であった。

とはいえ彼女も、長年多くのヒトをこの手で陥れた身。そう簡単にペースを崩されるようなことはない。
先ほど吸血を行った傷痕を重点的に、首筋を優しく撫で上げ、ヘルガの身体を我が物にしようと動く。
彼女は自分のモノであることを教えようとするように。

「ワタシ? ワタシは……そうねえ……」
「……アマンディーヌ、とでも言っておこうかしら。この街のヒトに聞けばいい話を聞けるかもよ?」

随分ともったいぶるように、ひと時の間を置いて答える。
彼女は昔より、この街周辺にて幾度となく厄介ごとを起こし続けてきた身。
吸血鬼という種族に対する不評や悪名は、年を経た人物や街に長年関わる人物の記憶にも深く刻まれていることだろう。
研究所から外へ出て聞き込みを行う、などといった行為を行えば、彼女に関する話が少なからず聞けるかもしれない。
まあ、ここ最近は比較的大人しいので、知る人間はそれほど多くないかもしれないが。

「ワタシも今日は楽しかったわ。血もいただけたし、アナタにも会えたし、満足よ」
「じゃあ、またどこかで会いましょう。可愛いお嬢さん?」

テーブル上に金貨を数枚置き、コートを翻して酒場の扉へと向かう。
一瞬視界が暗くなった後、数匹の蝙蝠と、開けっ放しになった扉を残して、彼女の姿は消え去った。
今宵の月は、ほんの少し紅く見えたと言う。
622ヘルガ◆tUjlfgERz. :2018/02/22(木)00:44:08 ID:HwH
>>621
「アマンディーヌさん、ですねっ」
「おぉ、じゃあ聞き込みしちゃいます!」

名前も高貴な感じだなぁとか思いつつ手帳に聞いた名を書いた。
聞き込みをすれば吸血鬼の話が聞けるかもということで、ヘルガは明日にでも聞き込みを始めるだろう。
他にも文献を読み漁ったりレポートにまとめたり、しばらくは吸血鬼尽くしの日々になりそうだ。

「満足していただけたなら光栄ですっ!次会った時も是非吸って下さいー!ちゃんと外出ますので!」
「はいっ、またどこかで!」

彼女が去り、開けっ放しの扉から入る寒風を感じながら、少し名残惜しい気分に包まれる。
しばらくすれば首元に痛みが遅れてやってきたようで、傷跡をそっと撫でヘルガは一人表情を綻ばせた。

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【ほのぼのとした夏と】ファンタジーライフPart.5【平穏な日常】
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