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【ほのぼのとした夏と】ファンタジーライフPart.5【平穏な日常】

1レクス◆L1x45m6BVM:2017/08/09(水)22:50:54 ID:Nn8()
ファンタジーな世界のとある町
様々な種族が暮らす町では、毎日色んな出来事が起きています
喧嘩をしたり、一緒に遊んだり、意見の交換をしあったり
もちろんみんな仲良くなどとはいかないでしょうが、穏やかな日々が流れる休憩所です
あなたも、もし良ければ休んでいきませんか?

《スレッドの説明》
ここはファンタジー日常なりきりです
この世界では科学技術は殆ど発展していません。文明の基準としては十四世紀程度と考えてください。ですが、服装や食べ物などの娯楽面の規制は緩いのであまり気にしなくていいと思います
キャラクターの種族は何でもありですが、ファンタジーの世界観を損なうものであると判断された場合は使用を控えていただく事になるでしょう
キャラクターの設定は雑談スレッドに投下し、参加者が内容を見て問題が無ければ使用が可能となります
また、キャラクターには世界観などとの兼ね合いもあり、あまりに世界観からかけ離れている者、町や周りのキャラに著しい被害を及ぼす者、不自然な者、強過ぎると判断された者は禁止しています
ロールは相手がいて成り立つ遊びです。ルールを守って楽しいロールをしましょう!
次スレは>>950が立ててください!

《参加方法》
①キャラクターを作る
②みんなに見てもらう
③そのキャラクターでロールが出来ます!

《キャラクターテンプレート》
【名前】
【性別】
【年齢】
【容姿】
【性格】
【能力】
【持ち物】
【職業】
【背景】

wiki《http://www65.atwiki.jp/fantasylifel/

※前スレ
http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1485088568/
673波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/07(木)21:12:52 ID:mTm
>>672
「わしの喋り方が?ん〜…あ〜少し思い出した。わしは日出づる国の!…すまん忘れた。じゃがここの国のもんじゃないぜよ。」

言葉を指摘された波斬は僅かながらも、自身の記憶を取り戻した。雀の涙ほどのものだったが、これをきっかけに徐々に他の記憶も思い出していくだろう。
述べられた持論には納得した波斬。

「あー大変じゃ♪そら大変じゃ♪あそれ大変じゃ♪」

出られない状態になった波斬はもう狂ったように踊りだした。口だけだが。
この状況に陥っていたその時、

「えっ____…『どうだい?』じゃなぁぁい!!」

当然キレた。(刃はないが)流れてはいかなかったものの、こういったゾッとするようなものは彼でなくても嫌である。
そして来たる結果は『出られなかった』ようだ。

「しゃーない!もうこのままでいいぜよ!」

出られないと割り切ったのか、波斬は腹くくって決意した。
674カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/07(木)21:42:41 ID:sek
>>673
「なるほどねぇ、違う大陸の出身なら納得だよ。たまに見かけるからね、奇妙なしゃべり方の人は」

特に近くの港町なら、と見える港町を骨の指で指してスケルトンはカタカタ笑った。この口ぶり的には会うことは珍しくないのだろう。

「いきなり大変じゃ大変じゃと狂い出したお前さんにはちょうどいい冷や水になったろう?」
「頭と身は冷えても戻りそうにないねこりゃ。いっそ日照りの岩場にでも置いておいてやろうかい?」

悪びれもしないとはまさにこのこと。紫色の光の目は笑みに揺らめいており実に楽しそうだ。
しかも剣の鍛え方でもやってるつもりか、まさにこの時期からは地獄の熱を持つだろう場所に放置するなどという宣告を放つ。人の心とは。

「それにしても不思議だねぇ、お前さんが流れ着いてた時には出てたってことは何かきっかけがあるとは思うんだけどねぇ」

コツ、コツ、と骨の指で同じく骨の腕を叩きながらスケルトンは一応考えてたらしいことを口に出した。
この辺は波斬が思い出さなければ厳しいところでもあるだろうか。まあ、寝て起きたら出られました、という結末もありえるが。
675波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/07(木)22:46:19 ID:Su5
>>674
「いやおるんかい、わし以外にも。」

指された方向を見ながらそう言った。
波斬は自分の希少価値が下がったように思ったが、彼自身の価値は喋り方云々ではない気がするが。

「これを冷や水言うんかおまんはぁ。」
「凍えるとこじゃったぞ。もうええわぁ!」

楽しそうにしているスケルトンに対し、色々な意味で振り回されている彼。閉じ込められたことを機にいじり倒しているようにしか思えず、笑みを浮かべるその顔に少々腹が立ったようだ。

「…そうじゃなぁ、それがあればのう。」

さすがになんのきっかけもなしに思い出すことは無理があったみたいだ。多少考えてみたものの、思い出すことはとうとうなかったそうな。
こればかりはもう何かしらの措置があることを願う他ない。
676カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/07(木)22:55:32 ID:sek
>>675
「ああ、お前さんみたいなしゃべり方は見かけてないねぇ。ただ不思議なしゃべり方にも色々あるってことさね」

あくまで全体的に考えた場合の話であり、細かく分類すれば波斬も十分珍しいはずである。

「冷えているだろう? なーに安心していいよ、少なくとも捨てるつもりなら初めから拾わないさね」

カタカタ笑うスケルトンだが、少なくとも見捨てる気はないようだ。
だからこそタチが悪いとも言えるがこれも彼なりの気遣いなのかもしれない……? やられる方はたまったものではないだろうが。

「お前さん、目覚めた時は最初から刀から出てこれてたのかい? もしかしたら時の縛りもあるのかもしれないね」

考えられるのは海の中で何かあったか、もしくはそもそも出られるタイミングが限られてるという可能性だ。
スケルトンはそれを提示しつつ、岩場へと移動を始めていた。……さっきの発言からすると不安を煽るかもしれないが。
677波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/09(土)19:26:47 ID:JAq
>>676
「そうかいそうかい」と適度に流しながら話を聞いた。というよりそう言う話はもう興味をなくしていた。

「…そう言うもんかのう…、わしを投げ飛ばすあたり悪意あるんに見えんが?」

散々に弄り倒された彼は疑念の目を向けた。タチの悪いいたずらをされたせいか、ただただ睨んだ。

「時の縛りぃ?何を言っちゅうんかおまん。わし目ぇ覚めたばっかぜよ。そん時は出れとったがのう。」

理解しきれなかったが、とりあえず今分かる事を彼は述べた。少なくとも初めて会ったときはまだ目覚めたばかりである事、その時は出ていた事、それふたつである。
しかし圧倒的に足りない。ここから分かる事はあるのだろうか。
678カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/09(土)19:41:17 ID:0ir
>>677
「悪意だなんて失礼だねぇ、そんなに悪意が欲しいならこのまま波打ち際に突き刺して錆びるまで待っててやるよ?」

刀の中から来る視線を睨み返すように目に位置する紫色の光を細めながらわりと洒落にならぬことを口走る。
まあスケルトンからすれば悪意は本当になかったのだろうが、それを疑われたのが気に入らなかったのだろう。

「時の制限なんて珍しい話じゃないだろう? 魔道具なんかも魔力を貯めてて半日持つものあれば少ししか持たないのもあるしねえ」
「まあ、たまたま目覚めてたタイミングではなにかが満たされてたのかもしれないね、お前さん」

そうして砂浜に骨の足跡を付けながら岩場に辿り着くと、刀身で軽ーく岩場を叩き始めた。まるで中に入った波斬出てこいとばかりに。
さてスケルトンの見解はこんなところ。波斬がどういう存在なのかに興味はあるが、本人がわからなければどうしようもないこともある。
679波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/09(土)21:26:10 ID:Ayp
>>678
「おぉう…悪かったわしが悪かった。じゃからその洒落にならんことやめてくれぃ。」

さすがに仮にとはいえ、今の自分の身体に支障を来たすような事態は避けたい。そう思った波斬はすぐに謝った。そうでもしなければ今頃は本当に錆びて朽ち果てるまで放置されていただろう。
ちなみにこの時鞘は、体?に巻いてあるハチマキを器用に使い土下座の形を模してガイコツに向けていた。

「要はあれか?その魔力っちゅうもんを貯めんと、わし出られんっちゅうことか?で、長くは持たんっちゅうことか?」
「ん〜さぁのう。」

お相手の見解を自分なりに解釈し、仮説を立ててみる。そして来たる回答がこれ。ガイコツの返しはどう来るか。
さて、自分の身体が叩きつけられ始めた頃、彼は軽く「痛っ」と言うだけで出てくる気配は無し。刺激を与えても特に変化は見られないことはもう察せられるだろう。
680カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/09(土)21:57:15 ID:0ir
>>679
「ケケケケ、冗談冗談、錆び朽ちてちゃあもったいないからねぇ」

面白い形だねえ? と土下座の型を取るハチマキを手に乗せながらスケルトンは冗談とした。
その理由がいささか問題ありそうなものではあるが。完全に物扱いしてるようにも見える。


「お前さんが魔道具とほぼ同じって言うならそうだろうねぇ、問題はどう貯めるかだけど」
「まあひとまず今悩んでても解決どころが見えないねぇ、お前さん魔力を集めるのはそれでもできそうかい?」

試さないよりは試してみようということなのかリスクも考えずにスケルトンはそう聞いた。
叩きつけておいてなんという態度だ、となってもおかしくないが当のスケルトンはスケルトンなりに加減していたようで「平気だろう?」と言いたげだったという。
681波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/12(火)20:36:53 ID:LT0
>>680
「…むぅん。」

頬を膨らませながら話を聞きつつ、刀身を鞘に納めた。もちろんハチマキもまた体に巻いた。(その頬はないが)
彼にとってその度が過ぎた言葉は、冗談とは思えなかったようで。

「ん〜よう分からんが、とりあえずやってみるきに。ちょっと待っとくれ。」

物は試し、そう捉えた彼は早速取り掛かり始めようと思ったものの、何をすれば良いか全くわからず。まるで砂浜に突き立てた棒のようになっていた。
勢いで言ってみるもすぐ立ち止まる。そんな彼をスケルトンはどう思ってるのだろう。
682カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/12(火)20:52:20 ID:xXo
>>681
ケタケタと顎を開閉し、歯を打ち鳴らして笑う姿は愉悦の色が見てとれる。

「はいはい、そんじゃ暇でも潰すとするさね」

ちょっと待て、という言葉を今までからは少し意外に見えるかもしれないがあっさり聞き入れた様子のスケルトン。
が、そこで止まるほどスケルトンはお人好しでもない。刀から見ると刀身の峰側に胡座を掻いて座り込むとあろうことか砂を盛り始めた。

そして波斬がソレに気付いたならすぐに、そうでなければ刃の三分の一は砂の山に埋もれた頃に。

「気分はどうだい? もし貯めるのが難しいそうならこんな風に何かから得るって手もあるさね」

いけしゃあしゃあと。
683波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/12(火)21:44:24 ID:xjz
>>682
そんなスケルトンに対し、彼は少々憤り気味だが、どう顔色を伺っても、事実ただの刀にしか見えない。

「おっおう待っとってくれぃ!」「・・・。」

この一言を発してからその数分間、彼は硬直した。そして案の定その数分間、自分の身体の三分の一が砂に埋もれたことに気づくことはなかった。

「…おまん何しちゅうんか…。」
「ん?それ、周りから貰うっちゅうんか?」

スケルトンがそう誘導したのか、はたまた彼が勝手にそう捉えたのか。何しろヒントに近いものは得た気がするわけだが。
684カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/12(火)21:57:01 ID:xXo
>>683
「確かに待つとは言ったがなにもしないとは言ってないだろう?」

これぞ屁理屈。まあスケルトンのここまでの様子から見るに暇潰しの時点でろくなものでもないと考えられただろうが。
さしずめ砂浜に出現した聖剣……いや妖刀になった波斬を見て間抜けぇ、と笑った。

「そうさね。まあ砂から得られるかは別の話だけどねぇ」
「あたしゃも普段は捨てられてる骨でも食べて身体作ってるのさ、多分ね」

自分の身体のことなのに凄く雑な説明だが、多分スケルトン本人も理解しきってないのだろう。
さて、砂から得られない場合波斬がどこから魔力を貰うつもりなのか気になるところと紫色の光を細めて返答を待った。
――砂かけながら。
685波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/15(金)18:16:52 ID:dnp
>>684
「いや、たしかにそうじゃが…。」

屁理屈、だが間違ってはいない。そんなこんなで波斬は反論できなかった。というよりしようがなかった。
だから笑われても、こればかりは仕方がないと思う他なかった。

「たしかに、この砂からは貰うた感じせんしのう。」
「じゃぁわしは…鉄?鉄食ったらええんか?って!そもそもわし口ないぜよ。」

そのあまりに雑な説明のせいか、ずいぶんズレた考えを言った。がすぐに自分の身体に口がないことに気づき、訂正した。
砂をかけられながらまた考え直す中、彼はあることに気づいた。

「…そういや魔力っちゅうもんはどこにあるんか?山?海?そこら中に?それとも人が持っちゅうん?」

魔力の発生源についてである。魔力について触れることが初めてゆえか、ビギナーズラックというか、割と早くにそれに目をつけた。さてスケルトンはこの返しをどう思うのだろう。
686カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/15(金)19:23:14 ID:Cfg
>>685
「なんだい、張り合いないねえ」

素直に納得されてもこの態度、面倒くさいスケルトンである。

「職人に鉄で打って貰えばいいんじゃないかい?」
「ん? 魔力かい? そりゃ色んなところにあるさね、人も持ってるさ」

魔力というのは非常に多種多様な発生源がある。有名どころでは魔石などだろうか。無論人からも流れているもの。
生物の中には他の生物から流れる魔力を頼りに餌を探す種類も居たりするので逆に魔力が完全に無い相手の方が珍しくもあるか。

「それで? 人も持ってるとしてお前さん名案でと浮かんだのかい?」

スケルトンはかけて盛り付けた砂を一人でごっそり削り取りながらそう返した。
687波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/19(火)20:13:25 ID:XWo
>>686
「人間時には引いた方が良か。(まあ今人間じゃなかが)」

つまらなさそうにするスケルトンに向けてこう言った。

「あーそっかその手があったのう…ってそんなんで良えんかなぁ!?おぉい!?」
「そうか人も持っちゅうんか。ふむふむ…。」

溢れんばかりにそこら中にあり、人も例外ではないと知った波斬は少しばかり考えた。そして、

「ふっふっふ。そりゃあ浮かび上がったぜよ。おまんの助言があってだからのう。」

砂を崩されながら、その名案を提示した。それは、

「人が持っちゅうんなら、人から分けて貰うんじゃ。もちろんただで貰う訳じゃ無か。貰うその代わりにわしが人様の『武器』になる!これじゃぁ!これ以外にあるまい!」

ということである。スケルトンはこの案をどう受け止めるのだろうか。
688カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/19(火)20:56:14 ID:tRH
>>687
「人間? どこに居るんだい?」

わざとらしくキョロキョロしてツッコミが入っても入らなくてもカタカタ笑うことだろう。

「そりゃそうさ、魔力の量に多い少ないあってもまったく無いってのは極稀さね、あたしゃでもそこまで見たことないさ」

考える波斬に助け船を出すかのように語れば砂を崩し続けて一人棒遊び。端から見たらかなり危ない光景だ。
そして波斬が導き出した案にはほう、と声を出す。

「そうかいそうかい、それら中々の名案だとあたしゃ思うよ。足りないものは他から助けてもらうのは悪いことじゃないさ、見返りもあるしねぇ」

と、まずは肯定的な返事。確かに波斬が魔力をもらう代わりに所持者は波斬を武器にできるとなれば契約としてはいいはず。

「だがねぇ、相手が武器を使わない場合はどうする気だい? それに既に持ってるやつも少なくないさね」
「だからね、あたしゃはまずはなんでもいいから使ってくれ、って思うのがいいさね」 

と、やや荒事のあるコスタ・ノエではともかく、ロアールでは武器一辺倒では難しいだろうとアドバイス。その頃、砂はすっかりなくなっていた。 
689波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/21(木)19:18:37 ID:ElJ
>>688
「いやその人間ってのはおまんの考えちゅう人間じゃのうて、人間としてという意味の人間で…」

スケルトンに向けて詳細を話していたが、あまりにわざとらしかったからか、すぐに気づき、話しをやめた。ツッコミを入れただけまだマシか。
カタカタ笑うその様は少し不気味に思えたそうな。

スケルトンの語りにはしっかりと耳を傾けてた。今この場では色んな意味で自分が一番劣っているのは周知の事実。この状況に置かれた場合はまず地元民に強引にでも聞く。波斬が生前の頃よくやっていた方法だ。記憶が無くともやることは同じなのだが。

「うんむ!そうじゃろう!」

肯定的な返事に彼はとても喜ばしい様子。そして、

「あーすまん、そいつぁ頭に入ってなかったぜよ。」
「そうじゃなぁ。恩にきる!カボさん!」

盲点を突かれ、出来の悪さを少しばかり悔やむものの、素直に受け入れ、悔い改めて前を向いた。そしてもらったアドバイスはしっかり胸に刻んだ。
周りの砂が無くなる頃、夜明けの日が少しずつ顔を出してきた。もうすぐ波斬の新しい生活が始まる。
690カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/21(木)20:08:44 ID:rkv
>>689
カタカタとツッコミを入れられて笑う様は見ようによっては愉快そうに見えたかもしれない。

スケルトンも随分と眠っていたからか、ここ最近の事情は知らなかった。それでもスケルトンなりに他人を驚かせて面白がったり、時には彼に負けない変人を相手にして色々見て回る。
記憶では奇妙な関係を書いた本を持つ者達や、はたまた恐れ知らずの店長にやたらと怖がりな少女達。
特異なものでは喰われそうな相手や一切恐れもしなかった少女が珍しいところか。

まあ、人には色々居るもんだと知れたから良いものと語る最中に思いながら。

「いいってことさね、しっかりやるんだよ……これはあたしゃが面白く過ごせた礼さね」

スゥ、と骨の手を柄を掴めば……可能であるならばスケルトンが持つ魔力が少し波斬に流れる感覚が襲い掛かるかもしれない。

「あぁそうさね、もしあたしゃのことを喋る気なら別に止めはしないけどね」
「あたしゃがこの姿だってことは決して口外するんじゃないよ? したらお前さんが次の日錆びてても文句は言わせないからねぇ?」

魔力を流せるならば流しながら、スケルトンは笑いながらも紫色の光を恐ろしいまでに向けながら波斬の新生活に釘を刺していた。
そして手を離せば。

「ところでここからどう動く気だい? 一人でも向こうまで行けるかい?」

浜辺の近くに見える光を浴びる街並みを指しながら陽光を鬱陶しげに手で遮っていた。
691波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/22(金)21:25:16 ID:EhQ
>>690
「おう?なんじゃなんじゃ?…なんかスーッと流れて来たのう。これが魔力か?」

流した魔力は問題なく波斬に入っていったようだ。鞘の方にも、わずかではあるが石突きの辺りから赤くなるという変化を見せた。

「ん?」ゾゾッ
「お、おぉぉう、わわわかった。言わん絶対言わんぜよ。約束するきににに。」

「さっきの魔力とやらに何か混ぜたのか」と聞きたげだったが、流石に聞いたらまずいと察した波斬は心にしまっておいた。下手に抜けない釘を刺された波斬はこの一時だけ恐怖に陥った。

「そうじゃな、さっきの人型とはだいぶわけが違うからのう、どれ…」カタカタ ピョン サクッ

それから自分なりに刀の状態での動き方を模索した。跳んだり跳ねたり、倒れてみたり起き上がったりとその他諸々試してみる、そんな中、

「まるで腕みたいに動くのうぅ…おおお?!」

鞘に巻いてあるハチマキが突然伸びた。無意識ではあるが、別の意味で腕を伸ばそうと考えた瞬間にぐんっと伸びたのだろう。ただこれなら移動手段には困らないと思ったそうな。
692カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/22(金)21:38:07 ID:t5D
>>691
「およ? ……まああたしゃが言わなくてもいいかね」

鞘の変化くらい、刀の彼なら気付くだろうと赤みを帯びた部分を指でなぞった。

「ケケケケ、素直は良いことさね、頑張るんだよ波斬」

何も魔力には混ぜていない。ただ話せば海に浸けまくって錆びさせるつもりだった、とでも言うだけだ。
恐怖に怯える姿は少々面白味があったので口に出すつもりがないが、ケタケタと骨音鳴らしながら微笑む姿はより畏れを与えるだろう。

「おーおー、それがお前さんの手であり足でもあるみたいだねぇ、ならそれを利用して街まで行くといいさね」

鞘の伸びたハチマキを見ればそれがそうであるのだと強調した。
まあとはいえ、流石に何かあっても困るのでよいしょ、と腰を上げればその身を再び襤褸布に包んで骨の部分をすべて隠し切る。

「それじゃ、街の近くまでは案内してやるさね、中で何をやるかはお前さん次第だよォ?」

そう言うと着いてこいとばかりに港町へと進み始めた。
693波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/06/25(月)21:14:38 ID:FKR
>>692
なぞられたとき、くすぐられたように笑った。

「ま、まぁ頑張るきに。」

怯える波斬を笑ったその様はスケルトンの思った通りに、より恐怖に陥れた。

「そうじゃな、ただ跳ねて行くより速そうじゃ。」

そう言いながら腕代わりのハチマキをバンバン伸ばした。
それをよそに準備しているスケルトンを見て首をかしげるように傾いた。

「おぉう、案内しておくれぃ。ん?おまんそりゃどういう意味じゃ?」

と言いつつその後を追った。その先に待つのは。
694カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/06/25(月)21:32:20 ID:Nt9
>>693
くつくつと笑ってその反応を髄まで楽しめばスケルトンはそれ以上深く言うことはなかった。

「砂とか掴み損ねて転けるんじゃないよ? あたしゃ助けないからね」

その移動方法における注意点のようなものを述べながらスケルトンは準備を終えていた。
ちなみに本当に助けない。途中で助けを求めたとしてもスケルトンはカタカタ笑って見守ることだろう。

「言葉通りの意味さ、危ない魔剣として扱われるも良い良剣として扱われるもお前さんのやり方次第」
「あたしゃどっちにいこうが構いやしないが、悔いたりしないようにやるんだよォ?」

ケタケタと、変わらず男とも女とも取れぬ声を声帯のないまま発して、スケルトンは次第に見える港町へと近付いていく。
そして。

「ほら、あそこがコスタ・ノエってところさね。最初が肝心だから精々ヘマしないようにねェ」

布に包まれた指で指し示し、ここからは一人で、とスケルトンは述べた。
彼は今宵は立ち寄るつもりがないらしい。故に波斬は一人で向かうことを要求されているのであった。
695波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/07/01(日)20:47:06 ID:91w
>>694
「あ〜大丈夫じゃ、問題ないぜよ。」

砂の上では布を伸ばさず、ただ跳ねてついて行った。移動手段である伸びる布の欠点をわかっているように見せた形ではあるが実態は、言われた後にそうしたまであった。少し背伸びしたがりの子供のようだった。

「つまりは、ここからは『綱渡り』!ってことじゃな。」
「上等じゃぁ!やってやるぜよ!」

そんな声に気にも止めず、ただただついて行った。新たに暮らすであろう港町が見えた頃、

「コスタ・ノエっちゅう街か、世話んなるぜよ!よろしゅう頼んます!」

示されたその先を見て、勢いよく言い放った。
そして、

「『ここからは自分で行け』っちゅうことじゃな。大丈夫じゃ!そういうのは慣れっこじゃ。」

言ったのち、ん?と少し首をかしげる辺り無意識に出た言葉のようだ。雀の涙ほどだが、引き出しの中の記憶が戻ってきたみたいだ。
ついに眩しい朝日が昇る。港町は照らされ、彼の新生活が始まる。
696カボ・ビアンコ◆L1x45m6BVM :2018/07/01(日)21:19:55 ID:r4F
>>695
「そうかい」と親のように様子を見つつも、やはり再来するのは波斬の語尾や口調への興味。
あまり聞かぬものではあるが、彼の記憶が曖昧な以上はまだ聞けないものだろう。

「元気なもんだねぇ、まあその調子ならやっていけるさ」
「……何か思い出したのかい? それは羨ましいねぇ。でもそういうことさね」

スケルトンもまた、生前の記憶が殆どないのである。だからといって悲観はしないが、それでも気になるところはあるのだった。

そして眩しい朝日を見るとその眼窩の紫光は細まっていた。

「それじゃ、あたしゃそろそろ帰るとするよ、次に会う時にお前さんが折れてたり錆びてたりしないことを呪っとくよ」
「じゃあね、波斬。良い暮らしをしなよ」

そう言うと引き止めない限りはスケルトンは踵を返して港街の入口から離れていこうとするだろう。それはあたかも、夜の住民が在るべき場所に帰るかのように。
697波斬◆dSJ9kJR.ac :2018/07/02(月)18:51:11 ID:oFr
>>696
体が朽ち果ててなくなっていようとも、人格の一つを表す語尾や口調は彼の中に残っている。事実それだけある。

「そいつぁホンマか!?よっしゃぁ!頑張るぞぉ。」
「思い出したって何が?羨ましいって何じゃ?おまん。」

どうしてそう思ったのか聞きたい様子であったが、あまりそういうところには触れないようにしようと、波斬は思ったそうな。

「おぅよ、またどこかで!…って!おまん今…いや何でもねぇ!」

去る者追わず、引き止めることはなかった。というより引き止めなかった。ここから先、いや、いつかは自分一人でやらなければならない。だから波斬は早めに引き止めなかった。

「ん〜よし!いくぜよ!」

建物の壁・角、どこか引っかかるところに伸ばし両た腕をしっかりと引っ掛けて勢いよく飛んだ。そこから見えた大きな港町と昇りきった眩しい太陽は、新たなスタートを実感させた。
ちなみに着地については考えておらず、のちに断末魔のような声が聞こえてくるだろう。
698レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/09(日)16:04:54 ID:FS6
秋の空、まだ紅葉になった木はほとんどないけれども日射し強い夏に比べればずいぶん過ごしやすくなっただろう。
とはいえ例外も居るには居る。これから迫るだろう寒い季節を忘れたがるように、通りでは竜の脚を持つ角の生えた人物……レクスは尻尾を使って早い落ち葉を集めていた。

「これで何か焼けりゃいいんだけどなー……肝心のものを忘れちまった」

アカハネ製の火種を取りに行くのも、一人で居る今にはなんとも手間に感じるもの。取りに行ったとして暖を取るなら部屋に籠ってた方がいい。
そんななんともいえない怠惰な気分を誤魔化すかのようにレクスは近くの落ち葉をかき集めてはザクザクと尻尾で突くのだった。
699フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/09(日)17:42:16 ID:YTK
>>698

「あ、レクスー!何してるのー!?」

声がしたのは、森から町に向かう小道からだった。
見てみれば長い尾っぽの薬屋、フィエリが手を振っている。
両手にはぱんぱんにふくれた麻袋──きっと、森での作業からの帰りだ。

ゆるゆると尾っぽを揺らして近付いてくるフィエリ。
寄れば泥と草木のにおいがつんと目立つ。そういえば、薬屋は朝から休みだった。
丸一日森で素材の収穫でもしていたのだろう。
700レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/09(日)19:49:48 ID:FS6
>>699
「ん? おー、フィエリじゃねえか! 見ての通り落ち葉集めてたんだが……ってお前は森帰りってところか?」

振り向けば見知った姿だ、鱗の見える手を挨拶代わりにあげつつ麻袋を見てそんな反応。
持ってやろうか、と手を出す彼は手持ち無沙汰である。店が休みでも働いてるフィエリへの労いだろうか。

「随分森に居たみたいだな、お前。…………なんか焼くか?」

鼻を鳴らしてからそう言うレクスに多分悪気はない。からかいはあるのかもしれないけれど、なんとなーく落ち葉を見直してからそう聞いてみるレクスだった。
集めたものを散らすのもなんだし、そういえば麻袋の中はなんだ? とばかりに気にしているレクスは視線があちらこちらだ。
701フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/09(日)21:20:56 ID:YTK
>>700

「そ!冬は雪で森に入りにくくなっちゃうから、今のうちにいろいろしとくの!」

ありがと、と笑いつつ2つのうち片方の麻袋を渡す。
見た目の割にはそう大した重さではない。
開けてみれば、樹皮を束にしたものがたくさん詰まっている。
更にそのうちのいくつかは更に麻布で包まれたり──薬の材料なのは一目瞭然だった。

「帰ったらお風呂、入らなきゃだね」と困ったように笑うフィエリ。
汚れてしまっているのは自覚しているようだが、そこまで大事にも思ってはいなさそう。
素材の収穫作業はフィエリの日常のひとつでもあるから、当然といえば当然だった。
だが、同じ日常でも食事に関しては別らしく──

「焼く!食べる!!お肉っ?」

ゆらゆらと揺れる尾っぽが、その辺にまだ散らばっている落ち葉を叩く。
芋やら栗を焼くのがこういった時には普通なんだろうが……肉好きはどの季節であっても変わらないようだ。
702レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/09(日)21:47:11 ID:FS6
>>701
納得したレクスは中身を見たときに流石のフィエリでもこの作業の時だけは食べ物に目が眩まないか、と苦笑いしていた。
この樹皮はなにに使うんだろうか、と後で聞こうと思うのである。

温泉でも良いかもなー、と口から漏らして、食事への食いつきには思わず上体を引かせるのであった。そこまでかとばかりに。

「あー、良いかもなー、って肉ばっかじゃねえか! 俺も好きだけどよ! まあとりあえず持ってくるわ、火……頼めるか?」

とりあえず火がなくては話にならないわけであると頼みつつ払われた落ち葉をこれまた器用に集める。
麻袋を抱えてそのまま焼くものを探してくるとばかりに一度離れようとしているレクスなのだが引き止めないなら暫し落ち葉の集まり、または焚き火を見守ることになってしまうだろうか?

とはいえ一旦離れても問題はあるまい、その場合はレクスが先に戻ってきた場合にすでに串に刺した肉を焼き始めていることだろう。

ちなみに麻袋は離れる際に頼んでおけば薬屋に置いてくれるだろうが、そうでないならまた抱えて戻ってくるので安心していいだろう。
703フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/10(月)00:52:52 ID:RI4
>>702

「うん!火は任せといて!」
「お肉ね、お肉たくさんがいいなっ!…………お魚でもいいけど、でもお肉…………、かな」

────野菜、は。そんなもの、彼女の世界には存在しないのだ。

念には念を押して肉を頼んだ後は火を起こす。……といっても、彼女にとっては朝飯前。
ぷうと息を吹けば火の粉が散る。もう一度ぷうぷうと吹けば、パッと落ち葉に火がついて。

「あー!レクスー!その袋、ねぇ!薬屋の前に置いてきてーっ!」
「こーれーもぉー!お願い、ねぇーっ!」

肉屋に行くならばとここでようやく気付いたのか、追加のお願い。
さらにはもう一つ残っていた袋をぶんとレクスの方に放り投げる。
重さはレクスが持つものよりも多少、重い。
中身はと見れば、未熟なキノコやら沼地に生る芋のような何かやら。
「それ食べちゃダメだからねーっ」と追い討ちの叫びが聞こえてくるあたり、やっぱりこれも素材なのだろう。
どれもが泥まみれなものだから、そも食欲などあまり湧かないだろうけれど。
704レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/10(月)01:05:54 ID:QRh
>>703
「おーぅ、ってどわっと!? 急に投げんじゃねえ!」

取りにくいだろうが! と危険性とかは言わずに尻尾と腕を使って器用にキャッチである。中身を見てそれっぽいなぁと。
下手すると中身が散乱しかねないので放り投げるのだけは勘弁しようぜとも思いつつわかったとばかりにレクスは一度立ち去った。中身を見て少しニヤつきながら――。


「おーい、戻った――――ゼェ」

火が自然と周囲の空気を暖め出していい頃合いに、レクスは空より飛来した。
しかし火を知っているからか少し遠距離に着地し――案の定というか背中にはお肉に、ちょうど丸焼きにはいいサイズのお魚の入った袋や口が閉じられている袋を担いだまま地面を少し滑った。
しかし学習はしてるのか翼爪を地面に引っ掻けてブレーキにし、砂埃は多少起こしても大惨事は起こさなかった!

「それじゃ、焼く串も持ってきたことだし早速焼くとするか!」

身体の前面が土まみれなのも慣れたようにレクスはそう言うと担いでいた袋をがさがさと置いて串に肉や魚を通そうとし、火にかけることだろう。
もっともフィエリの食欲(?)を考えると……肉は既に彼女が持ってる可能性も大、か?
705フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/10(月)22:53:10 ID:RI4
>>704

レクスの予想通りと言おうか。焚き火の周りには、適当な枝に刺した干し肉がいくつか。
サイズや数からして、おやつや非常用。フィエリはもう早速、そのうちのひとつを頬張っていた。
干されて旨味が凝縮された肉は、生肉を焼いた時とはまた違う香りがある。
それが秋風に混ざるのだから、フライングも仕方ない。

「わわっ!レクス、なんか着地上手になってるね!」
「旅の成果ってやつかなっ?……ふふっ、でもそれじゃあ土まみれだね」
「これじゃあレクスも後で温泉行きだね!」

思わず着地に拍手!点数表がわりに出されるのは、炙った干し肉だ。
レクスが肉を取り出せば、待ってましたとばかりにまた拍手。
串に通す作業を手伝い、順々に火の周りに並べていく。
その作業が終われば、しばし休憩。小さな干し肉が、ちょうどいい時間潰しになってくれるだろうか。
706レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/10(月)23:08:45 ID:QRh
>>705
土ぼこりも晴れて鼻に届く香ばしい香りに苦笑いしていいやら、反応してしまっていいのやら。

「まず俺の身体だと滑空した時にバランスが崩れちまってたからな、それならいっそ翼の爪使おうって思ったわけだ」
「……それもそうだな、いやむしろ急に冷えてきたからちょうど良かったかもな! うめえな」

炙り干し肉を受け取りながら、経験と幾度かの試行から得た方法であると伝えていざ頬張ればなるほどこれもまたいいものだと。
枝ごとくわえつつまるで葉巻のように枝を揺らしながら肉を噛み締めて作業を進めて、さてゆるりとした休息だ。
思えばフィエリは森帰りだと言うのに手伝わせてしまったなぁと思いながら、これまた適当な枝で落ち葉の火を調整。

「そういやよ、さっきの袋に入ってた木の皮とかキノコって何の薬に使うんだ? あれも薬茶に使ったりするのか?」

パチパチと火が燃える音、焼いていくものの表面の照りが徐々に焼けていく最中にレクスは干し肉を堪能しながら切り出した。
ちなみに、口を閉じていた袋の中に――紫色の芋らしきものがごろりとあった。あとはなぜか、少し燃えにくい紙も。
707フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/10(月)23:42:25 ID:RI4
>>706

味に対する感想に対しては「お肉だもん!」と元気よく断言。
もはやこうなってくれば信仰の域に達しているといっても過言ではないかもしれなかった。

「そっか、レクスの爪は大きいもんね!汚れちゃうけど、墜落よりはずっといいねっ」

「あ、そうそう。素材置いてきてくれたんだよね。ありがとっ!」
「素材は色々だけど、木の皮なんかはお腹の調子が悪い時に使うことが多いかなー」
「キノコとか、あっちの袋に入ってたやつは足が冷える時とか、“むくみ”とか……」
「お茶にはどうかな……ちょっと甘いけど、お祭りで売れるような甘さじゃないから──」

片面が徐々に焼けてきた肉は、面を反してもう片面を火に当てる。
跳鹿亭のステーキもいいが、たまにはこういうのもいい。今の時期は尚更だ。
レクスの疑問に答え、作業を軽く挟み──時折、フィエリの視線が芋に向かう。
月祭りでは果物もよく食べていたフィエリ。芋の甘さは、当然気になるものだ。
708レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/10(月)23:53:45 ID:QRh
>>707
お肉教、なんてものがあったらフィエリは真っ先に入信しそうな話である。

「そうそう、墜落すると肉吹っ飛ばしたりしかねんからなぁ……」  

たまに温泉に浸かりに行く時にも墜落し、そして盛大な水飛沫を上げて浮いている姿が目撃されてるとかなんとか。

質問に答えるフィエリの話にうんうんと頷いたり、相槌を打ちながら魚なども同じように回していく。お互い近い場所をそれぞれ担当しているようにもなるか。

「それじゃあたってもあの木の皮の薬なら治せるのか、……キノコの薬は少し欲しいな、俺冷えるのはどうにもなぁ」
「激甘ってことか…………ん?」

と、お祭りに甘い、そして視線。そういえば肉に釣られて忘れてたなとレクスはガサガサと取り出した。

「まあこんだけ焼いてりゃ食べ切る頃にはこれがいい頃合いかもしれねえな、食べるだろ?」

その芋を取り出して紙をガサガサと巻きつける。そしてレクスは慎重に落ち葉の火の中に落とすのであった。
食べるだろ? と言いつついきなり火にぶちこむために少し驚くかもしれないが、フィエリも月祭りで慣れてるなら察しが付くだろうか。

「っと、そろそろ肉が食べ頃だ――」

ぞ、と言い切る前にフィエリは待てているのだろうか。
709フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/12(水)22:34:07 ID:Lwk
>>708

肉を吹っ飛ばす。そうレクスが言った瞬間、フィエリの顔が絶望を通り越した。
人を祟る表情、というのはこんな表情のことを言うのだろう。だがそれも一瞬のこと。
さすがに現実と仮定の話の区別はつくようになったらしい。話はすぐに、薬のものに戻る。

「そうだね、お腹壊しちゃった時なんかにはばっちりだよ!」
「それにしても、そっか。レクスは寒さに弱かったっけ……それじゃあ、今度お店に寄ってって!」
「冷えに効くお薬、作っとくから!…………あ、なるほど!その紙、焼き芋用のやつだったんだねっ!」

楽しみだねぇ、と芋を見つつ──ふと気付けば肉串がすでに1本、ない。
フィエリの横を見れば、肉が刺さっていたであろう串が悲しげに1本横たわっていた。
当のフィエリ本人は…………ニコニコ顔である。何かもごもごしつつ、とても嬉しそうで──
────推定2本目の串を取ろうと、しれっと手を伸ばしていた。
710レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/12(水)22:52:25 ID:3Xv
>>709
いやそこまでかい、とツッコミ入れそうになったのは内緒である。

「おう、寄らせてもらうぜ、薬茶のこともあるしな……情けねえことだが冬はキツいぜ」
「そういうことだ、直接焼くのはダメみたいだからな――」

冷えに効く薬はありがたい。種族柄というのかレクスは寒冷はかなり堪えるのである、冬場になるとほとんど外に出なくなるほどだ。
――まあ、それはさておき肉串が消えている。推定二本目も餌食になりそうだ。いや、食べるために買ってきたから良いのだが、早すぎる。

「おいちょっと待て、いつの間に食った!?」

レクスは渾身のツッコミを放ちつつ、フィエリが取ろうとしていた肉串――の隣にあるいい具合に焼けて香りを漂わせる肉串を取ろうとしていた。
その肉串もまた魅力的に見えるだろう。脂がいい具合に溶けて照り輝き、こんがりとした焼き目のそれだ、今フィエリが取ろうとしてる肉串にひけはとらない!

一方で魚の串はなんとも寂しい雰囲気であった。まだ焦げはしないだろうが、せめて美味しいときに食べてとばかりの哀愁を……。
711フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/12(水)23:36:43 ID:Lwk
>>710

出来れば最初のうちは頻繁に様子を見せて欲しい、と続けてフィエリは言った。
毎日とは言わないが、1週間に1度程度は。──種族差や個人差が気になる、とのことだった。
風邪などの短期的に飲むものではなく、長期的に飲む薬だからなおさらだ、と。
冬は山に入りにくいから、暇な時間が増えるというのも理由だけど、と笑って締めくくり。
肉である。薬の話もとっても大事だが、目の前の肉に理性の天秤は傾いた。

「え?うん、おいしいね!!」

もごもごもごもご。ごっくん。
まるで返答になってない上に、隣の串の焼き色に気付けば──流れるような見事な動き。それは達人の軌道だった。
狙っていた本来の串と、その隣の串を2本取り。一時たりとも止まらない、それはプロ・スティール──!

…………ぱちん、と魚の脂が弾ける。
今のフィエリには、まるで魚は目に入らないらしい。合掌。
712レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/12(水)23:47:54 ID:3Xv
>>711
その要望にはレクスは嫌がる様子もなく快諾したことだろう。
薬の件もあるし、効能についても理解はするつもりだ。
冬はそもそも出る理由が無くなって怠惰になりやすいため、出れる理由があるのはちょうどいいのだ。

「だろうな! 俺食ってねえけどな!! 盗んなよ!」

そう、干し肉は食べたが焼き立ての美味しいお肉は食べられてないのだ、これでは共感など困難!
肉は絶対逃がさないという意思をひしひしと感じてレクスはどうしたものかと頭を悩ませる! そして仕方ないとばかりに取られる焼けてきた魚の串、こんな理由で取られるとは。

「いや、フィエリよ? 喜んでるとこ悪いんだが二、三本は俺にもくれよ……肉串な?」

フッ、とあちあちの表面に息を吹き掛けると魚の腹にかぶりつく。焼けたお陰でほくほくになった身がとても美味しく、表面もパリッと香ばしかった。
713フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/13(木)00:07:06 ID:7IB
>>712

「…………?うん、レクスも食べていいよ?」

2本目をそう言っている間にも平らげ、スティール分を齧り始めるフィエリ。
早く食べないとなくなっちゃうよ、とまで言いきる暴君っぷりである。

実際、レクスの手の届く範囲に肉串は数本まだ残っていた。
フィエリが3本目の肉串に意識を取られている今が、串確保のチャンス──
そう、魚串の芳ばしさを僅かな間捨て置いても、だ。
火から離した瞬間から失われゆく暖かさと芳香。
肉串に手を伸ばしてしまえば、秋風に晒された柔らかな旨味は衰えてしまう。

けれど迷っている暇はない。フィエリが肉串を食べる時間など限られているのだ。
数の限られつつある肉串か。あるいは手にしている魚串の芳ばしさか。得られるのはふたつにひとつ──!
714レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/13(木)00:18:30 ID:tyc
>>713
「ダメだこいつ――早くなんとか確保しねえと――」とレクスは思ったという。決して口には出してないが。

魚の美味さは捨て置けない、だがしかし、肉串を食うならば今しかない。ならば選ぶ道は既に決まっている。
元より魚串も肉より少ないが数本ある、ならば得るべきは肉の串であり、それに素早く手を伸ばし取った――!
魚串はというと――あろうことかその身すべてを口内に突っ込んでいた! 串すらものともしてないぞ!

「ふー…………」

肉を確保したか、それとも逃したか。それだけでこの息は感嘆のものか、ため息に変わるだろう。
果たしてフィエリの機嫌はどう動いたか。
715フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/13(木)00:32:20 ID:7IB
>>714

肉串は────肉汁の輝きは、今やレクスの手中にあった。
肉の歯応えにどしりとした香りは、魚串とはまた違う旨みがある。
食卓では得難い、野外ならではの味は……格別の選択をした者のみが得られる味、といっても過言ではないだろう。

「…………おいしっ?」

その肉串を──フィエリは見ていた。じっと。ただ、じっと。
何本目かになる、とうに肉が外された串をかじりながら。
羨ましそうだとも、恨めしそうだとも取れる表情だった。

それもそのはず。フィエリの近くに肉串はもうない。
あるのは丸い眼を哀しげに虚空に向ける魚串だけなのだ。
無理に手を伸ばし、串を奪わないのは──これでも、こう見えても一応は気を遣っているのだろう。
あるいは、肉に意識が向きすぎてそもそも魚という選択があることに気付いていないかだ。
716レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/13(木)00:50:54 ID:tyc
>>715
感嘆の息、そして串を口から外し魚の焼けて柔らかくなった身と骨を噛み砕いて呑み込んだ。
手に入れたその肉が生み出す輝きはレクスの眼も惹き付けて、思わず溢れそうになる涎を慌てて戻す。
さて、さあ食べようと口を開ければ――何か感じる。視線だ、こんな視線送れるのはこの場で一人。

「……………………」

どうしたもんか。と留まる。きっと肉串を右往左往させればフィエリの視線も着いてくるのだろう、うん、正直。
敢えて言うならレクスの目算が甘かった。以前も二桁は頼んだことがあるのだからわかっていたはずなのだ。だがレクスが選んだ道は。

「……なあフィエリ、魚も食えよ」

びっ、と尾の先で示した。下手すると焦げてしまうのだ、悲しそうなフィエリにはちょっと悪いが、だからといって焦げたお魚というのも悪い。
とりあえずレクスは火の周囲を見やると、これもフィエリの気遣いか、一本残っていた二人のどちらからも遠い肉串を見つけてそれを火から外す。

「ほらよ、火に隠れてたけど余ってたぞ」

とレクスは取り立ての方を差し出した。フィエリが逃すか? なんて思うかもしれないが……これだけ囲まれていれば視界から外れただけで注意が逸れるのは仕方なかろう。
717フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/14(金)23:26:58 ID:53m
>>716

肉串をあっちに向ければ、フィエリの視線もあっちに。
肉串がこっちに移れば、フィエリの視線はやっぱりこっちに。
ぐるぐると肉串を回せば、トンボのように彼女の視線もくるくると回るのだ。

そしてレクスの提案に対し、フィエリは────


「…………、……………………、……………………」


────恨めしそうに、お魚を見ていた。

魚串をひとつ取る。柔らかな白身に歯をつきたてる。
一口。二口。食いつきは上々。決して魚が嫌い、というわけではなさそうだが…………
あまりにも、肉への愛情が強すぎるのだろう。すん、と哀しげに鼻がなった。

だからこそ──レクスの温情に、遠慮しないわけがなかった。


「お肉!!!お!!に!!!!!く!!!!!!!!!」


半ばもぎ取るようにレクスから肉串を貰う。
ゆっくりと肉汁を味わい、歯応えを懐かしむ。
大げさではあるかもしれないが、彼女の体は歓喜のあまり震えているようにすら見えた。
数分かけてじっくりと肉を堪能した後、絞り出すように「ありがとう」と告げるフィエリなのであった。
718レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/14(金)23:54:44 ID:sC7
>>717
――――そこまでかい。
魚を食べても哀しげな様子、そして肉串への歓喜の様子を見てレクスは何の偶然か、同じ感想を抱いたのである。
前者は苦笑い、後者はなんとなく微笑ましそうに。

肉串の肉をミチミチと噛みきり、少し空気に触れても歯応えと肉汁は保っており、レクスもその味わいには舌鼓を打つ。
フィエリよりも早く食べ終わり、焼かれて余っていた魚をもぐもぐと歯で身を解し取るとフィエリの礼をいずれ聞き付け。

「ん? 良いってことよ、食べてるやつが悲しそうにしてるのよりは嬉しそうにしてる方が楽しいからな」

それは本音である。目の前で二人とも微妙そうな表情同士で食べてるなんて悲しい。元々火もフィエリに任せていたし、干し肉も貰っていたのだ、今でも十分である。

「――さーて、そろそろ出来上がってると思うぜ……あち」

湿らせた枝でガサガサと落ち葉の火の中を探り、すっかり真っ黒くなっていた包み紙を取り出して少し手の中で遊びながら開いていく。
そして現れるのは、あっつあつであることを示す白い湯気を持った紫色のお芋である。
求めればそれをパカッと半分に割り、その中には黄金色に輝く中身が湯気と共に顔を見せた。かぶりつけばそれはもう――甘くて熱い。
719フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/18(火)20:14:10 ID:nTB
>>718

「ありがとっ」と重ね重ね告げるフィエリ。
悲しい顔より嬉しい顔で。それはすごく納得の出来る返事だった。
泣きながら食べるご飯よりも、笑いながら食べるご飯の方がおいしいに決まっている。

レクスの返答にどこか心がぽかぽかとなり、お腹も満足し始めた時。
ふうわ、と甘い香りが火の中から取り出される。

「わ、…………わぁ!すごいね、ふふっ!」
「干したお芋はおいしいけど、このホカホカ感にはさすがに負けちゃうかなっ」
「は、ふ…………あちち、へへっ!おいしいねぇ!」

差し出された半分の芋を、手の中で遊ばせる。
熱くて熱くて中々持つのにも食べるのにも苦労するが、その分口の中に転がり込んできた黄金色は格別。
お祭りの果物もとろりと甘いが──「この時期は、焼いたお芋が一番なんじゃないかなって思っちゃうね!」
720レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/18(火)20:31:09 ID:DmY
>>719
「美味いよなぁ、これからの時期は本当こういうのが食いたくなるもんだ……」

フィエリの食べる様子にレクスは心を暖められる。
肌寒くはなってきたが、こういうことができるならば外に出るのも悪くはないと思い始めていた。
食べる方は息を吹き掛けるしかないが、持つところなら、とレクスは閉じていた紙袋を半分ほど外に向けて綺麗な裏面に裏返した。

「かもしれねえなぁ、色々あるっちゃあるがこの手のものもなかなか売ってはくれねえしな。……いや月祭でも探せばあるのか?」

あまりに熱いようなら紙袋と犠牲になった包み紙を使って手に熱がいかないようにするといい、と出しつつレクスはそう呟いた。
そしてまたかぶりつく――。

「あちっ、火傷はしてねえよな?」

尻尾はゆらゆらとフィエリの後方に倒れ込んだ。そんな心配をするのはフィエリがなんというか勢いよく食べている光景がよく見えるため、である。
いくらか外気に晒されればその熱さも少しは収まるのだが、やはり焼き芋は熱いうちが美味しいもので――――食べ進めるのに時間はかからなかった。

「いやー……、食ったな」

最後の一口を感慨深そうに放り込んで。
721フィエリ◆55Rq1Tu8Bo :2018/09/20(木)00:19:55 ID:4kZ
>>720

「ね!いくらでも食べちゃいそっ!火傷も大丈夫!…………あちち」

「お祭りでも、探せばあるかなぁ?いっそ、ルピナに言ってお祭り限定メニューで出してもらうとか」
「えへへ…………ワーボアの串とお芋が並べられてたら…………」
「流石に、ちょっと迷っちゃうかも!…………両方、買うかもだけど」

レクスの真似をして、包み紙を裏返す。
手の熱さはこれで多少はマシになった。そのせいか、食べるスピードがさっきよりも少し増す。

食べている最中はもちろんだが──食べ終わった時もしばらくは幸せそうな笑みを浮かべていたフィエリ。
味の感想や満足度なんて、聞くまでもないだろう。

「ふふっ、お腹いっぱいだねっ!はぁ…………おいしかったぁ…………」
「レクス、この後どうする?私はね、温泉行っちゃおうかなあって思うんだけど……一緒にどうかなっ?」

ゆるゆると食後の幸福感を楽しみつつ、レクスに視線をやる。

もう日が落ち始めて、空気も少し冷えてきた。
時折寒いと思えるくらいの風の中で入る温泉も、また格別だろう。
朝から働いて、夕暮れ前にお腹を満たして露天の風呂に入る──きっと夜はゆっくり眠れるに違いない。
小さな事件は色々あるかもしれないが……山間の町、ロアールの時間は今日も緩やかに流れているのであった。
722レクス◆L1x45m6BVM :2018/09/20(木)00:44:02 ID:wdW
>>721
「なんなら野菜の店でもやってそうだけどなー」
「おう、両方も良いことじゃねえか、祭りで遠慮するもんじゃねえだろ?」

そんな返しをしつつ、レクスは最後の一口は今までよりも長く味わって喉に通した。随分幸せそうで、あったかい息を吐く。

「そう言ってくれると集めて買った甲斐があるってもんだな……っと消しとかねえとな」

パチパチと焼ける落ち葉は既に大半が燃え尽きて、あとはレクスが包み紙で一気に潰すなどをして消し去った。
平和な町ではぼや騒ぎでも大騒ぎになりそうだからだ。

「……良いなぁ温泉。折角だし行っちまうか!」

ぶるり。火の近くで焼き芋や焼き串を楽しんでて暖かった空気が冷え込んでしまった。
そんな中での温泉への誘い、乗らないなんて考えはこの竜族には無いようだった。
後片付けをすればいざ行かんと。

共に温泉へと繰り出して、また何かお話しして酒を少し楽しんだりして、夜には別れて眠り、平穏な夢を見る。
そうしてロアールで過ごす日々を変わらずに謳歌するレクスなのであった。

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【ほのぼのとした夏と】ファンタジーライフPart.5【平穏な日常】
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