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ここだけホビーバトル大会 その1

401菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/26(火)22:47:17 ID:evW
>>399

「そっ、そ、そう、ですよね……! 少なくとも、1期は文句なしに面白かったんですから、実力はあったと思うんです!!
 ただ畳み方が雑になったのは本当に残念で……でも、その、私も、嫌いではないです」

 実に嬉しそうに、菱華はそう語るだろう。
 まあともかく会話の第一歩は成立したのであり、菱華にとってはそれでも百点満点であるくらいだった。
 抱える荷物さえ無ければ小さくガッツポーズでも取っているところだった。

「……面白いプラモデル、ですか?」

 “面白いプラモデル”――――どういう意味だろう。
 単純に組み上げる時の構造のことだろうか。『IB』シリーズはフレームに装甲パーツを嵌め込んでいく作業は確かに面白い作りであった。
 然し、旧シリーズのモナカキットを今風に稼働改造するというのも乙である……いや、これはそれとも見る側の話だろうか。
 そうなってくると、話は面倒なことになる――――が、少なくとも、辿り着く答えは何方も同じだ。

「……そういうの、考えるの、無駄じゃないかなって思います。

 ――――あ、いえ、その、別に悪いとかじゃなくって!!」

 無神経極まりない一言であった。
 或いはそれは彼女の思想の否定にすらなるのではないかと、彼女自身危機に思ってそういったのだ。
 別に、その哲学性自体は悪いとは思わない。蒼天ファンの考察は見ていて楽しいものがある。……問題なのは、彼女がそれを向けた先というか。
 
「自分が作って、自分が楽しめたのであれば、それがどんな形であれ……“面白いプラモデル”だと思うんです。
 だから……その、アニメ作品とは違って……プラモデルは、自分が満足するのが一番ですから。

 私は――――そういう、これが絶対、っていう定義は……決められないし、決めるものじゃないと思います」

 ……生意気を言い過ぎただろうか、と思う。 
 肩を縮こませて、段々とその声はか細くなっていった。が、それが菱華の思想である。要は、自己満足できればそれでいい。
 スミ入れだけでも、素組みだけでも、仮組みで満足したって良いじゃないか――――と。
 全く、議論を求める人間からしたら、余りにもつまらない人間だろうが。
402ニーナ・アルキファイス◆P8zupxgDdA :2017/09/26(火)23:11:18 ID:33m
>>376

確かにニーナは菱華を注意すべき相手と言った。
だが実際のところ、ニーナにはそんなことは関係ない。ニーナにとって勝つことが全てで、負けることは許されない。
その為に育てられた彼女にとって目の前の彼女もただの対戦相手に過ぎないのだ。戦ってただ勝つだけの相手、ただそれだけ。
ニーナは一時の友情や愛情などは抱くことはない。いや、抱いてはいけない。それらは勝利を遠くし感覚を鈍らせる。だからそんなものを持ってはいけないと教えられた、決定付けられたのだから。


『バトル、ですか。申し訳有りませんがマスターは今日は……』

「────いいわよ、バトル。ただし、条件がある」

『マスター…?』

ニーナには一つだけ分からないことがあった。
それはホビーバトルそのものだ。言うなればホビーバトルはただのおもちゃ遊びに過ぎない。
大会などが開かれたと言っても所詮は遊び。それに熱中したり、本気でやろうとする人たちの気持ちがニーナには分からなかった。
ニーナにとってみればホビーバトルは辛いものでしかない。故にそんな考えに至るのも当然といえば当然なのだろう。

「もしもこのバトルに負けたら、これから永遠にバトルをしない……それを条件にするのなら、バトルをする」

だから試す。
バトルなんてするつもりはないけれど、もしもこれで菱華が、菱華のホビーが拒否するのであれば彼女たちにとってホビーバトルとはその程度のもの。そう簡単に結論付けられる。
同時にホビーバトルはそれだけのものだと自分の中でも決着が付く。

だがもしも、もしもだが。
菱華がそのバトルを了承するのであれば、それは──────
403冬芽つばき◆Y7uW0eJRp9Ye :2017/09/26(火)23:16:36 ID:LKC
>>400

「好きに? アタシには〝軋んでる〟みたいに見えるっすけど。
 これも、本当は良い人であって欲しい、って希望的観測の仕業っすかね?」

自分で自分を茶化すようにケラケラと声を上げつつ、それは本心であるようには見えなかった。
敢えてズケズケと切り込んでいくのは、彼女が人との距離感を測るのが苦手だからという以上に、シンヤに善き人であって欲しいからだ。
ゴシップ的に騒ぎ立てられる壊し屋ではなく、一人の同好の士として。

「――実を言うと、アタシも最初はなずなサンに近い気持ちを抱いていたっす」

だからこそ、笑顔のままこんな話もできるわけで。

「なんで好きでやってるわけでもない子に、こんな才能があるのか。なんでアタシの気持ちはファイトに通じないのか。
 幾らチームメイトで友達だからって、そりゃ悩むっすよね。
 沢山アニメを見せたのも、勝つためというよりはメカに引っかかりを持ってほしかったからで……おっと」

つばきの言葉を遮るように、不意にひとつの機影が作業机の上に飛来し、小さな砂埃と重々しい音を立てて着地した。
影の正体は、翼竜を模した一羽の鋼獣。
テーブルの近くに据え付けられた調整用の小型筐体を見れば、稼働中だったそれが電源オフになっていることが分かるだろう。
どうやらこのやんちゃな闖入者は、さっきまで気ままな一人遊びに興じていたらしい。

「この子がテレビにも出てるククルっす。作業中VRで遊ばせてたんすけど、気になって出てきたみたいっすね。
 よしよし。お空は楽しかったっすか? そりゃよかった……」

つばきのパートナーたるククルのベース機は、『鋼獣創世記アニマキナ』に登場する『アズダルカス』だ。
作中においては古代文明が生み出した鋼獣という設定で、古代人の因子を組み込まれた帝国軍の少女が駆る〝空のライバル機〟として活躍した。
第二~第三クールを通して強敵の存在感を見せ、やがて味方となり、最期は暴走した巨大鋼獣の一撃から身を呈して主人を護る漢ぶりが人気の機体である。

――閑話休題。ククルはそのストイックでクールな機体の印象に反し、まるで小鳥のような仕草を見せる。
翼を軽く開いて首を傾げたり、つばきの手に身体をこすり付けて甘えたり。
それは丹念に仕上げられた塗装やバトルでの損耗を度外視して精緻を極めた造形以上に、印象に残る有様かもしれない。
404赤鉄シンヤ◆.FuZ8eXCfs :2017/09/26(火)23:49:48 ID:L5o
>>403

「……お前の人が良すぎるだけだなァ、そりゃ
 玩具弄りが上手だけで良い奴、ってんなら俺ァこうならん。
 何時か変なのに騙されるぞ?キナ臭い事件もあったろ。」

少なくともシンヤ自身は自分を良い人なんていえるはずも無い。
後悔等は無いが、やってきたことは褒められないと自覚している。
口から漏れる警告は、それでもどこか自己評価とずれているかもしれない。

冬芽つばきが直接バトルに参加しない理由は、雑誌か何かで読んだ覚えがある。病的なVR酔いだったか。
好きでもなんでも無い癖に、実力だけは持っている。そんな相手が直ぐ身近に居る、自分であれば気が狂いそうな案件である。
そういう所を考えてみれば、少女は強い。自身では恨みの対称にしか出来ないだろう相手に、夢を託せるのだから。

「気休めを言う訳じゃァないが、アンタも間違いなく天才だ。
 あいつの強さの半分はお前だろ。それに……ま、アレだ。アレ。」

それは彼にしては珍しい、気を使った言葉だった。
慣れていないのだろう、頬の色に紅が差し、前髪を指で弄り始める。

「態々、好きになって貰おうとまでしたんだろう。俺と似たような気持ちのクセに。
 ……上手く言葉にならんが、お前も大概ツエーって。」

なんとかなんとか言葉をひねり出そうと悩んで、諦めて、雑に言い放った丁度その時。
事前に雑誌やTVで見ていなければ、野鳥か何かと見まごう程にリアルな乱入者が。

「目の当たりにすると、コエーぐらいだわ。
 懐いたペットみてー……てかそのものって位だな、これ。」

勿論シンヤとてその元ネタとなるアニメを見ていたが、しかしその印象を覆すほどにその造詣、動きがリアル。
呟いた言葉は純粋な賞賛である。これほどの錯覚を見せるAI調整に対しての賞賛であるが―――
405冬芽つばき◆Y7uW0eJRp9Ye :2017/09/27(水)00:19:42 ID:iyR
>>404

「確かに気をつけるべきっすね。アタシだけの身体じゃないし。
 ――って、赤鉄サンやっぱ良い人っぽいじゃないっすか~! やだな~もう!」

舌の根も乾かぬうちに、つばきは自分のことを心配してくれたシンヤにヘラヘラと笑いかけた。
とは言え、注意が必要なのは事実だ。彼女の身に何かあれば、それは事実上なずなのWHBT退場をも意味する。
ことホビーファイトにおいては、二人は間違いなくお互いの半身と言えた。

「エヘヘ。そりゃ嫌いや無関心より好きなほうが楽しいっすから。
 実際あながち無駄でもなかったっすよ。なずなサン、話は食い入るように見てますし。
 ただ――副作用っていうんすかね。上手く組めなくて素材を殺しちゃうのが、怖いみたいで」

つばきにとって〝壊し屋〟としてのシンヤは、〝敵が同じなので味方〟という位置づけだ。
騒ぎ立てられることに辟易しているだろう彼なら、こういう事情を話しても口が固かろう、と。
今までずっと笑顔だったつばきだが、なずなが組み立ての方面を向いてくれないことについては、若干寂しげに目元を伏せていた。

「……、あー、えぇっと」

そしてククルの真に迫った挙動を賞賛されると、つばきは珍しくしどろもどろになって。

「まあー、長い付き合いっすからね。それこそ『ぷりず』のみんなよりも。
 この子と一緒に飛んであげられないのは残念っすけど、その分、言いたいことを言えるようにしてあげたかったんっす」

「そういえば、赤鉄サンの子って『戦姫』っすよね。
 あれってわざとなんすか? それとも――手をつくしても〝ダメだった〟……とか?」

相当思い入れがあるだろう相棒の話を短く切り上げ、シンヤの相棒に話を移そうとするだろう。
戦姫から言葉を奪うなんて、と非難する(コナユキは試合のあと、ボロクソに言っていた)者も居る、『あの』処置。
けれどつばきには、やはりそれが悪意や八つ当たりによるものとは思えないらしかった。
406菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/27(水)00:22:28 ID:sMx
>>402

「は? やだけど」

「流石にそれは……」

 当然、その問いかけには難色を示して当然だった。
 ――――それにしても、特にアイゼルネスの返答は非常に早いものであった。最早即答と言っても過言ではないだろう。
 しかも表情もまた失礼極まるものであり。「何言ってんだこいつ」という表情を、全くと言っていいほど隠す気が無かった。
 俗な言葉遣いでそれを現すのであれば、『ドン引き』であった。……菱華の方は、もう少しまともな表情をしているのであるが。
 アイゼルネスを諌めない辺りに、彼女がどう思っているかは無意識のうちに現れているだろう。

「なんでそんなメリットの欠片も無い条件飲んでバトルしなきゃなんないのさ……そういうもんじゃないでしょ、バトルって」

 饒舌なのはアイゼルネスの方であった。
 頭の後ろで手を組みながら、彼女は菱華の下へとテクテクと歩き出す。
 ――――まるで、最早興味はないと、或いは、寧ろ其処には、微かな怒気すらも見られるくらいの。そんな態度だった。

「そんなバトル、全く楽しくないじゃん。『負けたら一生バトルできない』なんてバカみたいな条件背負いながら戦って。
 ていうか――――誰が私のバトルを制限できるっていうのさ!! 私のバトルは、私達のものだし。
 好きにバトルして、好きに勝って、好きに負けて、好きに楽しむ。それがホビーバトルだし。

 ――――なんか勘違いしてない? ホビーバトルって、遊びだよ?」

 そしてくるりと背を向けて、実に呆れ果てた、と言った表情で。
 菱華自身は止めなければ、と思っている。思っているが、同時にアイゼルネスの言葉を否定しきれないが故に……それは。
 言葉も態度も強いものであるが。言うなれば、彼女の代弁ですらあるのだ。故に――――遮れない。遮ることが、出来ない。

「あ、アイちゃあん……」

 酷く困った表情で、そう絞り出すのが精一杯だった。当のアイゼルネスには、欠片の静止にもなっていないのだが。
407赤鉄シンヤ◆.FuZ8eXCfs :2017/09/27(水)00:45:00 ID:HvR
>>405
笑いかけられる、と言う経験がそもそも少ない。へらへらと笑みを絶やさないつばきの相手は色々と慣れない経験である。

「気ィつけるきねェだろテメェ……」

特にこんな、気の抜ける相手は中々居ない。本当に。

隣に有名モデラーが居れば中々自分で、と思いにくいかもしれない。二人は互いに親友で、そしてライバル同士とも言えるか。
ある意味では似たもの同士なのかもしれない。少し、背負うものが大きいけれど。

「―――なんなら組まなきゃならん状況にしてやりゃいいさ。一発踏み込めば吹っ切れるだろ。
 リベンジマッチはその辺重点的に煽ってやっかァ?」

なんて、冗談っぽく。そこは二人の問題で、自分の踏み込める領域でもないだろう。
だからほんの少しだけ、記憶に残る程度の言い方で。
そしてこうやって冗談を言えるということは、赤鉄シンヤの悪感情は幾らか払拭されても居た。
あのホビー暴走の日の彼女は、少なくともあの戦いよりは本気の顔に見えたから。

言葉を詰まらせる事の無かったつばきがしどろもどろ。それは付き合いの深い人物であれば確かな違和感であったかもしれない。
しかし所詮はこの日に会った二人。追求する事も無く、シンヤは受け流してしまう。

「……ってこたァ何年前にこのレベルの造形を?
 回答次第じゃ、アンタ天才超えて化け物かもな。」

長い付き合い、というのをそういう風に受け取って。

「……コイツは拾った時からこうだ。
 旧式だからな。元々ンな高度なAI搭載してねーのか、失われたのかもわかんねェ。
 色々やってみたがシステムボイスしか聞けん。ま、それでも可愛いモンだ。」

すべての動機はホビーへの愛、であれば。当然そんな処置をするはずも無い。
"ジャンク"を構成するのはすべて嘗て捨てられた廃品であり、単純に旧いか壊れたかもわからない。
ただ、シンヤ自体はその事を気にしていないようだった。言葉を話そうが話すまいが、相棒に変わりは無く。
408冬芽つばき◆Y7uW0eJRp9Ye :2017/09/27(水)01:17:08 ID:iyR
>>407

「ややっ、躯体は年を追ってブラッシュアップしてるっすよ。
 最初からこうだったわけないじゃないっすか。アタシは、ククルと育ってきたっす」

にへらっとした無責任な笑みを、作る。
つばきは演じることには慣れている――ただ、シンヤの言葉には静かに胸を抉るものがあった。

 化け物――確かにそうだ。かつて衝動のままに〝それ〟を成し遂げて、アタシは自分を恐れた。
 その恐怖から目を背け、自分ではない誰かになりたいと思ったから、演じることを生きることにしたいと思った。
 逃げるように求めた世界で、掛け替えのない仲間や趣味を同じくする友人を得られた、けれど。
 この胸に鎮めた忌まわしい罪とは、きっと永遠にさよなら出来ない。

「……あぁ、やっぱり。有る事無い事言われてるんで、気になってたんすけどね。
 それ、幾らでも美談にできる……というか、美談じゃないすか。ほんと、生きづらそうな人っすよ」

ちゃんと説明すれば10人中9人は絶賛してくれそうな話を、敢えて今まで公表せずにいるシンヤ。
今更ベイビィ・フェイスには戻れないということなのかもしれないが、何というか、悲愴だ。
とは言え、戻れないのはつばきに言えたことでもない。――誰も彼もしがらみの中で、藻掻き続けている。
409赤鉄シンヤ◆.FuZ8eXCfs :2017/09/27(水)01:50:52 ID:Gzw
「あ、あァ......流石にそうか」

考えてみれば当然の事ではある。常にアップグレードを果たすのがホビーであるのだから。
ただ、それでもと思ってしまう実力を彼女は持っていた。

「......美談?美談か?」

きょとんと疑問符を浮かべる。本当に、どこが美談かをわかっていないのだ。

「好きならこんなモンだろう。どいつもこいつも。」

きっと、彼は基準が高すぎるのだ。愛が深すぎて、それを誰にでも期待してしまう。
生き辛いといえばその通りだろう。難儀な性格なのだ。

にへらと浮かべた少女の笑みに小さな違和感。
演じ作った笑顔にはどうしても力が入る。つい先程まで抜けきった笑顔を見せつけられていれば尚更だ。
荒っぽい口調は生来のもので、ホメたつもりの化物がこうも抉るなんて思わない。
ただ、その小さな違和感は無視できなくって。

「......そうだな、次はリベンジマッチが終わったら会おうや。
 今日の事はお互いに他言無用、ってな。悪役のまま倒した方が気持ちいいだろ。」

さり際にまた、と。もう一度会えるように約束を。
感じた不安のとおりに──────この笑顔が最後のならないように。
410赤鉄シンヤ◆.FuZ8eXCfs :2017/09/27(水)02:15:12 ID:Gzw
>>408
>>409
//安価付け忘れてました......
411冬芽つばき◆Y7uW0eJRp9Ye :2017/09/27(水)02:24:52 ID:iyR
>>409

「……ほんっと、数寄者っすねえ。お互い様っすけど」

今度は演技ではない、優しい苦笑をつばきは咲かせた。

いと高き理想を描き、しかしそれを理想(ゆめ)とは思わない男を、つばきは嫌いにはなりきれない。
彼女自身、同じなのだ。おぞましい秘密と、勝利の栄誉から遠ざかる呪いを抱えていてもなお。
逃げる場所ではなく、自分を肯定し、他者とつながる領域としてのホビーを心の底から愛していた。

「アタシはホビーにはいろんな楽しみ方があっていいと思うっす。
 浅瀬でチャプチャプでも、深みにドップリでも。作るのでも、戦うのでも、一緒に生きるのでも」

「あー、これ以上は野暮っすかね。続きはバトルおねえさんにでも聞いてくださいな。
 赤鉄サンとは全く見ている方向が違うっすけど――あの子だって、今は前を向いてるはずなんで」

そしてリベンジマッチの話が切り出されれば、ニヤリ、と不敵に歪んだ口元がシンヤに向けられて。

「エヘヘヘっ、わかってるっすよ。なずなサンは人情に脆いっすからね。
 あ、何も教えないとまたコナユキが凄いこと言い始めると思うんすけど、許してほしいっす」

思えばククル同様に、コナユキも感情表現が極めて豊かだ。ともすれば放送コードが危ういくらいに。
これもまた、「言いたいことを言えるように」というつばきの思想によるものなのだろうか。

「それじゃまた。クククッ……祝杯、奢ってもらうっすよ」

アイドルとしてはまずい笑い声から冗談を繰り出して、つばきはシンヤの背を見送るだろう。
全てが片付いた時、親友にネタバラシをする瞬間を想像しながら。――その時が来るかすら、わからないというのに。
412東雲真鶴 ◆0SuLG0jdAEYi :2017/09/27(水)22:57:12 ID:X0P
>>393
完敗、と言って良かっただろう。
わずか2つばかりの手の内しか見せられず、あまつさえ最後の一撃は見せつけられた手札だけで往なされてしまったのだから。
拳が飛ぶことも、腕が延びることも。あの吶喊の前には知っていたはずなのに。
それらがもたらすだろう結果を想定し得なかった、これは真鶴の過失だ。

「日向なにがしとやら、一廉の選手なのであろうな。
願わくばこの試合を勝ち残って...」

悔し紛れの独り言を、少し前に聞いたようなアラートが遮る。
そして電工掲示板の表記を見て、未だ起動していたコントローラーの液晶画面をみて。何とも言えない表情で肩を竦めた。



「すまないな、陽萬。どうやらお前の半身は少しばかり損傷が大きいらしい...」

高質量の一撃を受けた後ろ足は、ひしゃげてしまって動かない。
そんな様子でぐでっと頭を投げ出すように俯せになった鳥獣を撫でながら、屋台も並ぶ広場を歩く。

「ふーふふー、ふーふふーっ」

試合の中で流されてすっかり脳裏にこべりついた、どこぞの製作所の社歌を口ずさみながら。
413藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/28(木)00:06:05 ID:qGW
>>401


     「――……ふむん」

 女は、結論を焦らなかった。
 鷹揚な頷き。仮に少女が本当に害意を持った言葉を投げかけたのだとしても、彼女は落ち着いて聞き遂げていたことだろう。
 少しずつ弱くなる語調など、やはり彼女は知ったことではなかった。暫し虚空を睨んで、ひとり思索を巡らせてから、ゆっくりと唇を開く。

  「なるほど。ならば矢張り、或る種アニメと同じよ。言った通り、みんなが『面白い』と言ってくれる作品なんてない」
  「だったらそれはプラモデルも変わらない。自分の感性を信じて、多くの人に『面白い』と言ってもらえるだろうモノを……」



 ――言い続けようとする中で、彼女はふたたたび口を噤んだ。組み立てたロジックをみずから打ち崩して、新しい答えを求めようとする。


    「……違うな。そもそも、他人の評価なんて気にしなくってもいい。そう言いたいのね、貴女は?」
    「プラモデルはその未完成性ゆえに、購入した個々人との関わりによって、それぞれに違う『物語』を提供する」
    「なればこそ根底にあるのは自己の創造意欲であり、純粋にモノを作ろうとする心構えである……」


 そうして結局、また女は考え込むのである。そこに害意はなけれど、やはり傍若無人であり、ともすれば不機嫌さの発露にさえ見えてしまうかもしれない。
 だが彼女は単に、真理を追い求めたいだけなのだ。迷える己を導く規則を手にしたい、その一心に他ならないのだ。
 ――暫しの沈黙の後、ようやく彼女は少女のことを思い出したようだった。孤独な思索を律して、穏やかな感謝の微笑みを投げかける。


「いや、勉強になったわ。――ホビーの『可能性』というのを、また考え直す良い刺激になった。ありがとう」
「変なことを聞いて御免なさいね。本戦向けの最終調整をしているうちに、行き詰まってしまっていて」

「若し貴女さえよかったら、後でひとつバトルでもしていかない? 現時点での完成度、確認しておきたいの」

 躊躇わない提案をひとつ。――レジに向かう人の列。その半ばほどまでに、彼女たちは来ていた。
414菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/28(木)02:27:43 ID:Vxc
>>413
「……えっと、その、……はい、そうだと思います……?」

 そこまで難しく考えるものでもないのに――――と思いながら、恐らくは彼女の言っていることはあまり自分の言っていることから外れていないだろうと。
 いや、自信はないのだが、多分そうだろうと。疑問符は消しきれなかったものの、彼女の言葉へとそう肯定の言葉を返すだろう。
 然し、何故そんなに考え込むのかがわからないのだ――――結局プラモデルは自分が楽しむものなのだということなだけなのに。
 分からないのはこの人のほうだ――――と思いながら。

「えっ、いえ、その、私で良ければ……

「――――ばとる!?」

「……あっ、アイちゃん、 変なところ触らないでぇ~!!」

 ……方角、声の出処は間違いなく菱華から――――然して、菱華とは全く違う声色が聞こえてくることだろう。
 ごそごそとそれなりの大きさの何かが、菱華のジャケットやワンピースを内側から押し返しつつ、昇っていく。 
 そしてそれが動く度に、擽ったそうに菱華は身体をうねうねと動かす――――両手に持っているプラモデル達を、なんとか落とさないようにと頑張りながら。
 

「――――するの、バトル!? したいしたい、バトルしたい!!」


 そうしてようやく胸元からひょっこりと現れたのは、その蒼い瞳をキラキラと輝かせた“戦姫”。
 先程まで、自身とは関係無い仕事としてつまらなさそうにスリープモードに入ってジャケットの内側のケースに入っていた菱華の相棒、アイゼルネスだった。
 バトル、と聞いて居ても立ってもいられず、スリープモードを解除して菱華の身体を這い上がってやってきたのである。
 菱華にとってはとんだ災難であったが。

「……はい、アイちゃん……私の戦姫もこう言っているので。私で良ければ、お相手しますね。
 ほらアイちゃん、ちゃんと外出て……恥ずかしいよ……」

「やったヤッター!バトルだー!」
 
 菱華がそう言うと、箱の上に菱華が持つ箱の上へとアイゼルネスは実に嬉しそうにはしゃぎながら転がり落ちる。
 そして箱の上を舞台として二回、三回スキップをした後、ひょいっとその肩の上に飛び乗った。
415藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/28(木)22:48:31 ID:qGW
>>414

 不意な声音に女は目を丸くした。くぐもって服越しに響く喜びの声は何者であったかを、彼女は暫し後に理解した。
 胸元から這い出、ご機嫌な動きで箱上に飛び移った戦姫を、白衣の女はまじまじと見つめる。


「……あら、アイゼルネス? 趣味合いそうね。あたしも好き」
「ありがちな高性能試作機って所から更に踏み込んだ、ハイエンド量産型――って設定、惚れ込むわ」


 そうして穏やかに笑う。されど声色ばかりは、ややもすれば微かな情熱が篭っていた。少しだけ、語らせてほしいような顔をしていた。
 彼女が好むのは、何も「碧天」シリーズだけではない。工学系美大生という奇異な経歴を持つ彼女にとって、あらゆるSFは嗜好の対象であった。
 例え、それが商業向きのスペースオペラであったとしても。創作に貴賎を持ち込まないのが、ひとつ彼女の主義であった。


「それに、対話インタフェースも積んでるのね。既製品のAI――では、ないな。……うん」
「会計済ませたら、向こうでやりましょうか? 丁度空いてるみたいだし、ね」


 両手の塞がる彼女は、やや仕方なしに店の隅に設けられた真新しい筐体群を顎で差す。そうしている間にも、列は進む。
 少女と共に会計を手早く済ませて、パッケージを詰めたビニールバッグを片手に引っ掛け、やや急く足でバトルスペースへと向かうだろう。
416菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/29(金)00:38:04 ID:UVU
>>415
「そ、そうなんです、アイゼルネス、好きです……!
 量産機であっても単純なグレードダウン、ローコスト化機体じゃなくて、運動性能は劣るけどその他の点においては寧ろ洗練されていて……!
 高火力高性能化のインフレーションを起こしていたあの時代の中で生みだされた中でも、頭一つ抜けているくらいなところとか!
 すごく、すごく好きなんです……!!」

「えっ、いや~そんな風に言われたら照れちゃうなぁ……」

 アイゼルネスについて、ほんの少しだけ踏み込んだ彼女に――――ぴこん、と帽子の上のリボンが揺れた。 
 実に嬉しそうに楽しそうに、蓮見菱華はアイゼルネスについて、ほんの少しだけとは言え、そうして言葉を連ねていった。
 ――――菱華もまた、多くの“オタク”たちと根本的な性質において代わりはないのだ。
 年齢は彼女とは大きく離れているものの。こと、好き作品においては、正しく“語りたがり”、であり。

「はい、アイちゃんは――――」

「私のAIは菱華の愛の結晶だよ!! だから私は最強なんだ!」

「ちょ、言い過ぎだって……」

 アイゼルネスのAIは際限しようがないものである――――成長型の、真っさらなものから、菱華の隣で様々なものを吸収して完成したものなのだから。
 だから、アイゼルネスはそれを誇りに思い、愛の結晶だと声高に掲げるのだ――――故に、だからこそ、自身は最強だという無尽蔵の自信にすら。
 会計を済ませて、早足の彼女へと急いでついていく。肩の上では、アイゼルネスが器用に準備運動をしていた。

「実は、アイちゃんもつい最近調整を終えたばかりなんです……だから、私達も試運転に付き合って貰う形になっちゃうんですけど」

「だからって、お互い遠慮しなくていいからね! よーし、バトルだバトルだ!

 ――――エントリー!!」

 戦闘用の装甲を纏ったアイゼルネスが、バトルスペースへと舞い降りた。
 準備は万端、待ちきれないとばかりに。今回のフィールドが展開されるのを、今か今かと待ち構えていた。
417藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/29(金)01:46:30 ID:0ie
>>416

 愛情と熱意に溢れた少女だった。白衣の女は決してその感情を否定することはなく、鷹揚かつ力強く頷いて応えた。
 驚くべきはアイゼルネスでもある。人間を癒す人工知能、人間を励ます人工知能は数多とあれど、人間を引き摺りさえもする人工知能は奇矯だ。
 少女の秘めたる情熱を受け取って、かの戦姫はここまで強烈な人格性を得たのであろう。
 ――それほどまでに衝撃ある感性を、今の己れは有しているだろうか。微かにその横顔に、憂いある微笑みが差した。

 だがそれも一時のこと。この競技を誘ったのは己れである。なれば、今ばかりは迷っていられない。


「全然平気。――その分だと、武装の方までカスタムしてあるんでしょう? むしろ気になるくらい。
 自己学習AIとのシナジーがどんなものなのか、期待できそうだしね」


 果たしてホビーに準備運動など必要なのだろうかという思考を一先ず彼女は横に置き、小脇に抱えるトートバッグに手を差し入れた。
 差し当たって自前のアーケードコントローラを取り出せば、USBで筐体に接続。個人用のテストモードを起動し、メンテナンス具合の確認。
 ジョイスティック・エイミングマウス・各種ボタンの反応を試す。ややマウス感度が鈍感。閾値を100から120まで引き上げて、――問題なし。


「そういや名乗ってなかったわね。あたしは篠見。藤原篠見。そんで、こいつが――」


 もう一度、彼女――篠見は、バッグの中に手を入れる。取り出されるのは、無骨な黒いツールボックス。
 白い指が外縁のトリガーを押し込む。――ボックス内に仕込まれたカタパルトが、内蔵された「その機体」を上方に射出する。
 オート化されたランディングプログラムはスタンバイ・ポジションとの高低差を瞬時に計算し、バランサーと脚部駆動モーターを連携させた機体制御を狂いなく実行。
 バトルフィールドに、悠然と立つ青白い機体。強靭かつ流麗な流線型の装甲に、角と複眼を持つ悪鬼のような顔貌。威風堂々とその背に負うは、規格外のエネルギー・シリンダー。
 

「あたしの、相棒。86式『武鷲』よ。」
「エントリー完了。――さ、始めましょうか?」


 「86式」。モデラーの世界では名の知れた、「魔改造向け量産機」。決して総合性能には優れず、拡張性を第一義の武器とする機体である。
 ジョイスティックを軽く弾けば、選択されたのはランダムステージ。己にとって有利なフィールドで戦うつもりはないという、彼女なりの矜持。
 乱数が選択したのは、「メガフロート」。海上となるステージに点在する足場と、中央部を走る高速道路を重ねた攻防が激しきステージ。
 筐体がVRフィールドを展開し、夕暮れに染まる海上都市が作り上げられたのならば、2体は高速道路上にて相対することになる。

 ――バトルスタートまで、3秒前。「武鷲」の青い複眼が、睨め付ける用に輝いた。
418菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/29(金)02:26:50 ID:UVU
>>417
 ――――やるならば、全力で。気になるくらい、などと言われてしまえばより一層気は引き締まる。
 頑張らなければ――――相手を満足させるくらいに、全力で。そして、今回は、勝ってしまえるくらいに、と。
 相手の機体は――――『闘機』。改造作例についてはかなりの数を見る、最早モデラーの中では改造を前提として見られているくらいの機体だ。
 そして、その拡張性があるが故に相手は未知数。そして、それを出してくるということは……少なくとも、モデラーとして、かなりの腕だと言っているようなもの。

「そ、そうだった……はい、篠見さん。私は……菱華、蓮見菱華です」

「私は……まあ、いらないよねー。じゃあ、よろしくね、ハチロク――――」

 カウントダウンが流れる――――視覚補助用のバイザーがアイゼルネスの目元を多い、モノアイに光が灯り蒼く輝いた。
 ステージは海上都市。高速道路と乱立するビル群達が足場となる場所……アイゼルネスには海中装備は無ければ、海上走行を得意とするわけでもない。
 ならば足場の把握が重要だ……接続したタブレット型のデバイスを何度かタップし、マップデータを開くと、アイゼルネスへとそれを送信する。
 それに合わせて、アイゼルネスが楽しそうに笑い――――

「――――ゴー!!」

 バトルスタートと同時に、左腕部に装着されたブースター・シールドを起動する。
 このアイゼルネスの前身となった機体、『ヴァルケン』が外伝漫画にて死闘を繰り広げた機体『クライング・イオタ』を参考に設計。
 従来のシールドにビーム・コーティングを施し、補助ジェネレーターを搭載することによる機体の急制動を可能とした装備であり。
 それは、バトル開始と同時にお互いの距離を即座に埋めるのに、余りあるほどの加速力を見せつけ。


「先手必勝!! ――――先ずはこいつの性能からだ!!」


 そして、そのままシールドの先端を『武鷲』の胴体部へと叩きつけんとするだろう――――そして、その瞬間に。
 先端部に搭載された、至近距離においての使用によって最も効果を発揮する、謂わばビーム・ショットガンとでも言うべきか。
 それを早速、極至近にて炸裂させることだろう。
 目元はバイザーによって覆い隠されているが――――それは正しく光り輝いていることだろう。口元は、満面の笑みに裂けるように。


「……背部のブレードに、巨大な背中のは多分出力のための砲……サテライト・キャノンに近い高出力砲かな。
 見たところそれ以外の射撃武器は盾に集中しているように見える。
 実体剣も持っているけど、あれだけの巨大な武器を持つならアイちゃんの方が格闘戦は得意なはず……だから、この最初の一手は、多分正しいはず」

 
 正しく、バトルにのめり込んでいると言うべきか……対象の武装からの得意レンジの考察、それに伴った戦術の構築とバトルの展開方法。
 表情は至って真面目そのものである。アイゼルネス程に分かりやすくはない、ないがが……やはり、バトルを『楽しんでいた』。
419藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/29(金)03:01:34 ID:0ie
>>418

 バトルの開始を告げるアラートが鳴り響く。――開幕転瞬、攻めるは戦姫。ブースターが大気を灼き、装甲纏う躯体を跳ばす。
 バイザーが宿すのは夕陽照る残光か戦意あふるる野性の眼光か。左腕部の装甲盾兼補助推力機は、一瞬にして彼我の距離を詰めた。
 されど其の瞬間、篠見は既に動いていた。反射じみた動きでスティックを弾き、右横方向に全推力を最大出力で集中。
 シールドの打突を限界まで引き付けて躱し、続く散弾ビーム砲の乱撃は、左腕装備の射撃盾を掠める程度に留めさせる。
 眼鏡に似せたウェアラブル・デバイスは、目まぐるしく変動する数値系を映していた。この回避機動でコンデンサ電力の過半を消費した以上、光学兵装の使用には困難がある。



「――上等。いい動きじゃない、貴女」



 自然と唇が緩んだことを、篠見は感じていた。まただ。歓喜している。この身体は。心血を燃やすような至高の緊張と、報酬系の過剰駆動。
 それはまだ燃え始めたばかりの種火でしかなかったが、然し彼女は知っていた。この感覚は、止まらない。
 デバイスから視認した情報から、刹那の内に幾つかのシミュレーションを組み上げる。ここからの勝ち筋。どう戦うかの道筋。


(主推力機の立ち上がりは互角だけど、ノビが違うか……ちょっとでも直線機動を取ると、ドバッと差が詰められる)
(判定勝ち狙いのガン逃げもできそうにない。――射撃戦で上手くやるしかなさそうだね)


「あたしも、遠慮せず行くよ。大破全損、恨みっこ無し――だかんねッ!!」


 そうして彼女は決断した。
 先程の回避機動にて空中に跳んだハチロク。スティックを弾き、ボタンからショートカットを入力。メインブースターの出力はそのままに、ベクトルだけを偏向させる。
 両肩から噴き出る蒼い噴射炎は燃え盛る翼にも似ていた。空中で機体を旋回させつつ、サイドブースターの推力を不規則に引き上げて、左右にぶれつつも後退する機動を取る。
 海上の空中に誘い込むような動き。同時に左腕部の安全装置を解除し、シールド内蔵のガトリングガンと空対地ミサイルを撃発する。
 狙っているのは半ばアイゼルネスであり、半ばその足場であった。安直な回避はさせない乱撃に、誘導弾の打撃を織り込む。まだ、彼女の動きは「堅実」であった。
420菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/29(金)21:07:33 ID:DK9
>>419
 アナログパッドによるマニュアル操作とは今時珍しい――――今ではAI制御の戦姫は兎も角、もっと直感的なインターフェースを使うのが主流だ。
 然しそれを使うだけの自信と、腕前は感じられる――――ブースター・シールドによる猛攻をほぼ無傷に抑えられるとは両者ともに思っていなかった。
 ブースター・シールドの出力のままにそのまま立ち止まること無く抜けて……能動的質量移動による姿勢制御を以て、身体を更に反転。
 
「おっと――――海の方にはあんまり出たくないなぁ!!」

「ミサイルは私が落とすよ、アイちゃんはガトリングと足場に気をつけて!」

「了解!」

 高速道路上をバック・ブースターを噴射しながらの疾走――――そしてシールドを構えつつ、背部有線制御支援火器を展開する。
 展開されたインコム――――菱華の左右前方に二つのバーチャル・モニターが展開されると、操作の比重はそちら側へと移行する。
 ミサイルの進行方向と速度を感覚で計算し、その進行方向に置いていく形でビームを撃つ。それはアイゼルネスに辿り着くこと無く中途で炸裂させる。
 足場である高速道路が破壊されるのは少々もったいないが、そこまで対応している程処理能力に余裕はなく、甘んじてそれは受ける、が。

「セオリーに忠実に――――そっちこそ、悪くない動きだ、けどォ!」

 ガトリングの掃射を後退によって回避しつつ、ブースター・シールドによって回避しそこねた部分を回避する。
 背部ミサイル・ランチャーを展開、垂直に放たれた六連ミサイル、合計十二発が『武鷲』へと殺到していくことだろう。
 そして、その合間を縫ってビーム・ライフルを放つ――――黄金の光条が、その片翼を撃ち貫かんと放たれるだろう。
 ――――肩部サブマニピュレーターが左前腕部に装着されたブースター・シールドを取り外し、そして固定する。

「だからこそ! 与し易し!!」

 左腕を前方に突き出すと――――前腕ごと、切り離され飛翔する。
 この機体がアイゼルネスであることに気付いていた以上、この武装が搭載されていることは予測できていただろう……で、あるがゆえに。
 ただまともに使っても予測されて切断されるだけだと見て……多くの攻撃の、対応に追われた直後にそれを放つことにより“不意を突く”ことを狙った。
 それは彼女の機体へと向かい……その、片足に掴みかからんとするだろう。


「そっちが! こっちに! 来ォい!!!」


 そして、そこで足を止めて、無理矢理その機体を引き摺り下ろしてやらんと力任せに“引き寄せようとする”だろう。
 無論、ご丁寧に右腕に握ったビーム・ライフルは再度そのメインブースターに狙いを定めて、引き金を引きながら。
421藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/30(土)00:44:58 ID:has
>>420


(インコムの起動も、射撃も上手い。少し優勢を取れたとしても、手は抜けない。)


 シールド内蔵のハンドミサイルが3本の軌道に白煙を残す。然しアイゼルネスから展開された援護射撃システムの射撃によりその全てが迎撃された。
 粒子砲の残光が夕焼けを焦がし、届かぬ砲火の爆炎が広がる。連装ガトリングガンによる牽制射撃も決定打にはならず、かの脚元を砕くに終わる。
 放たれるビームライフルを後退射撃で躱しながら、VLSの集中連射にはガトリングガンの砲角度を調整、可能な限り発射直後に撃墜。
 ――撃ち漏らしが、2発ほど。その旋回半径に入り込み、噴進に対する誘導を間に合わなくさせるのが、ミサイル回避のセオリー。
 頭上から飛来するVLS相手では行い難いマニューバである。故に彼女は攻撃の手を止めた。エイミング用のマウスを奥に押して、機体カメラを上方へと向けようとした――その、瞬間。


「しま、っ――――――。」


 ――鳴り響くアラート。バランサー系統に異常発生。左脚部に駆動障害。ロックオン警告がけたたましくも、既に打つ手はない。
 無論のこと藤原もまた、アイゼルネスの武装構成から、その攻撃手段を理解してはいた。だが、反応と対処が遅れた。
 ブースター推力を最大まで引き上げつつも、地に足を付けたアイゼルネスの安定性能とでは勝負にならない。――放たれるビームライフルが、機体肩部を抉った。


「ッッ、メインブースターがイカれたか……!!」


 片背に負いし青い炎が弾け飛び、黒煙を吹く。右肩推力装置の急激な出力低下。幾度か始動トリガーを引くも、虚しく燃えるのは短絡。
 直ぐ様供給系統を遮断して修復スクリプトを立ち上げ、推進プログラムを再補正のち最適化。損傷後の機体推重比、0.862。
 それは即ち、自力での浮上飛行が不可能であるということを、これ以上は機体を「飛ばせない」ということを示していた。――そして、なおも掴まれたままの左脚。


「そっちがッ! その気ならッッ!!」


 なれば取るのは一つの方策のみ。
 再び全スラスター推力全開。方位290/360。内装熱量がレッドゾーンまで噴き上がる。青い片翼が、空を染める。その方角は、アイゼルネスへと。
 同時にスティックを押し込み、ガトリングシールドを爆砕ボルトにて離断。左腰のバスタード・ブレードを引き抜きつつ、右手をバックウェポンに伸ばす。
 引き出されるのはビーム・マグナム。片脚を突き出したドロップキックの体勢による急速な接近と共に、「武鷲」はそれを乱射する。

 落下姿勢でパワーダイブを図りながら、急速に接近する藤原の機体。再び彼我の距離が失われ、ふたつの機体が交錯しようとする瞬間――
 「武鷲」の脚部に装着された姿勢保持用アンカーが、蹴撃と共に起動する。本来であれば接地静止時の安定を図って用いられるそれは、アイゼルネスの胴体を撃ち抜かんと迫るだろう。
422菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/30(土)22:02:11 ID:4Co
>>421

 そのままそこらに叩きつけて見せるか、水中に叩き込むか、それとも串刺しにしてみるかと考えてはいたものの。
 やはりそう都合よく行くものではないだろう。そしてだからこそ、アイゼルネスが好きなバトルなのであり。
 背部メインブースターを破損させたのは良い戦果である。空中戦闘能力は存在しないアイゼルネスにとっては、その優位を削げただけでも十二分。

「おっと、来るか上等!!」

 左腕を「武鷲」の脚から外し帰還させる。再接続とともに左腕部シールドをオンライン。
 恐らくは、近中距離での機動戦闘に移行する手段を取ったのだろう。その両手には先とは打って変わって武器を握り締めて此方へと猛烈に迫る。
 ばら撒かれるビーム・マグナムによる攻撃――――ブースター・シールドによって一撃を防御すれば、或いはそれを以て態勢を崩されかねないほどの衝撃。
 その一撃を以て、着弾地点のビーム・コーティングが引き剥がされるほどであり、即座に回避する方向へと対処方針をスイッチさせていく。

「アイちゃん、脚!!」

「――――あぶなっ!!!」

 穴だらけになっていく高速道路と、降り注ぐ粒子の乱射への対応に集中し続けていることによって、本体への警戒は半ばだったとでも言うべきか。
 全力のスラスター推力と、近接攻撃武装と化した蹴撃……のみであれば、まだ自身の装甲ならば耐えられる自信があったのだが。
 脚部アンカーの杭打機じみた運用方法に気付いたのはその直前――――咄嗟に、ブースター・シールドを前方に突き出した。
 その先端にアンカー・ボルトが叩き込まれ、その部分から盾全体へと罅が入っていく。すでに盾としての機能を失ったブースター・シールドの補助ジェネレーターを停止。


「アンタにはぁ、水底がお似合いだ!!」


 そしてスラスターの急速起動によって前方方向への速度を作りつつ、一歩前へと踏み出す。そして右手を握り締めて硬く拳を作り込み。
 そのまま、『武鷲』の頭部を思い切り殴りつけようとするだろう――――本来ならば近接戦闘であれば、ビーム・サーベルを使えれば一番良かったが。
 これだけのショートレンジ、下手をすればその動作すら時間の無駄、決定的な隙になる――――と、判断したが故にであり。
 目的は……頭部に対する衝撃によるセンサー類の打撃と、その衝撃のよって高速道路から、水中へと叩き込んでしまうことであり。


「――――まだだ! 菱華ぁ!!」

「うん、アイちゃん!! 当たれぇ!!」


 そして、菱華が叫ぶのに合わせて脚部装甲を展開。
 跳ね出すビーム・サーベルのグリップを左手が握り締め、更にそれが切断されて有線誘導によって、『武鷲』を追いかける形で迫っていき。
 その胴体部分をすれ違いざまに斬りつけて、寸断しようという――――その機動自体は、単純だが。
 然し、実に特異な動きではあった。有線制御式の遠隔攻撃装置を複数兼ね備えた、アイゼルネスならではの連撃を以て一気に攻めきってしまおうと。

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