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ここだけホビーバトル大会 その1

417藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/29(金)01:46:30 ID:0ie
>>416

 愛情と熱意に溢れた少女だった。白衣の女は決してその感情を否定することはなく、鷹揚かつ力強く頷いて応えた。
 驚くべきはアイゼルネスでもある。人間を癒す人工知能、人間を励ます人工知能は数多とあれど、人間を引き摺りさえもする人工知能は奇矯だ。
 少女の秘めたる情熱を受け取って、かの戦姫はここまで強烈な人格性を得たのであろう。
 ――それほどまでに衝撃ある感性を、今の己れは有しているだろうか。微かにその横顔に、憂いある微笑みが差した。

 だがそれも一時のこと。この競技を誘ったのは己れである。なれば、今ばかりは迷っていられない。


「全然平気。――その分だと、武装の方までカスタムしてあるんでしょう? むしろ気になるくらい。
 自己学習AIとのシナジーがどんなものなのか、期待できそうだしね」


 果たしてホビーに準備運動など必要なのだろうかという思考を一先ず彼女は横に置き、小脇に抱えるトートバッグに手を差し入れた。
 差し当たって自前のアーケードコントローラを取り出せば、USBで筐体に接続。個人用のテストモードを起動し、メンテナンス具合の確認。
 ジョイスティック・エイミングマウス・各種ボタンの反応を試す。ややマウス感度が鈍感。閾値を100から120まで引き上げて、――問題なし。


「そういや名乗ってなかったわね。あたしは篠見。藤原篠見。そんで、こいつが――」


 もう一度、彼女――篠見は、バッグの中に手を入れる。取り出されるのは、無骨な黒いツールボックス。
 白い指が外縁のトリガーを押し込む。――ボックス内に仕込まれたカタパルトが、内蔵された「その機体」を上方に射出する。
 オート化されたランディングプログラムはスタンバイ・ポジションとの高低差を瞬時に計算し、バランサーと脚部駆動モーターを連携させた機体制御を狂いなく実行。
 バトルフィールドに、悠然と立つ青白い機体。強靭かつ流麗な流線型の装甲に、角と複眼を持つ悪鬼のような顔貌。威風堂々とその背に負うは、規格外のエネルギー・シリンダー。
 

「あたしの、相棒。86式『武鷲』よ。」
「エントリー完了。――さ、始めましょうか?」


 「86式」。モデラーの世界では名の知れた、「魔改造向け量産機」。決して総合性能には優れず、拡張性を第一義の武器とする機体である。
 ジョイスティックを軽く弾けば、選択されたのはランダムステージ。己にとって有利なフィールドで戦うつもりはないという、彼女なりの矜持。
 乱数が選択したのは、「メガフロート」。海上となるステージに点在する足場と、中央部を走る高速道路を重ねた攻防が激しきステージ。
 筐体がVRフィールドを展開し、夕暮れに染まる海上都市が作り上げられたのならば、2体は高速道路上にて相対することになる。

 ――バトルスタートまで、3秒前。「武鷲」の青い複眼が、睨め付ける用に輝いた。
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