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ここだけホビーバトル大会 その1

1o7SK7L7zxJvm:2017/09/01(金)21:17:47 ID:ZyY()
時は現代より少しだけ近未来、世界を熱狂させるホビーバトルの世界大会が今年も開催されようとしていました。
そしてあなたは大会が開催されるこの地へと訪れました。かけがえのないパートナーと共に、この大会で優勝する為に。
それは栄光の為に、賞金の為に、約束の為に、夢の為に……理由はそれぞれでしょうが、立ち塞がるのは数多くのライバル達。
この大会が終わった時、誰が勝利の栄光を手にするのか……それはまだ、誰にもわかりません。


・大会について
World Hobby Battle Tournament……略して WHBT。一年に一度、数ヶ月に渡って開催されるホビーバトルの祭典です。
巨大な会場内では幾つものドームで連日競技が催され、それ以外にも数々の催し物や大会参加者向けの宿泊施設も存在しています。
ただし最大の会場となるメインアリーナは本戦の開始までは解放されず、そのアリーナには大会優勝者に送られるトロフィーも安置されています。


・バトルシステムとホビーついて
フィールドはバーチャルグラフィックで対戦の度に形成され、その内容は地上から宇宙まで、市街地から火山地帯まで自在に用意することが可能です。
またフィールド内ではホビーの耐久値は数値として可視化され、相手の耐久値を0にすることがこの競技の勝利条件となります。
貴方はホビーを実際に操縦しても、戦闘は機体AIに任せて自分はサポートに回っても構いません。その戦い方は全て貴方次第です。
またバトルでホビーが負った損傷は実際のダメージとしてフィードバックされます。ただ戦うだけでなく、修理や改修もこの競技の要の一つなのです。

レギュレーションで定められた、大会で使用可能なホビーは三種類存在します。
人型ロボット模型として展開する『闘機』シリーズ。
獣型ロボット模型として展開する『鋼獣』シリーズ。
美少女ロボット模型として展開する『戦姫』シリーズ。
どれもサイズは平均として10〜20cm、また全てのホビーには最高で人間と同等の知能を有するAIを搭載することが可能となっています(『戦姫』のみAIはデフォルトで搭載)。
ホビーの性能はその完成度に依存します。例え強力な武装であっても作り込みが甘ければ性能が発揮されることはなく、その逆も当然あり得ます。
またAIを搭載した機体であれば競技中でなくとも自立稼働が可能となっており、 AIを搭載せずともバトルシステムを流用すれば競技外での駆動は可能でしょう。


キャラシート1(キャラクター)
【名前】キャラクターの名前
【性別】キャラクターの性別
【年齢】キャラクターの年齢
【風貌】キャラクターの風貌
【概要】キャラクターの概要

キャラシート1(ホビー)
【名前】ホビーの名前
【シリーズ】『闘機』/『鋼獣』/『戦姫』のいずれか
【風貌】ホビーの風貌
【装備】ホビーの装備
【概要】ホビーの概要

雑談スレ
http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1504192694/
413藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/28(木)00:06:05 ID:qGW
>>401


     「――……ふむん」

 女は、結論を焦らなかった。
 鷹揚な頷き。仮に少女が本当に害意を持った言葉を投げかけたのだとしても、彼女は落ち着いて聞き遂げていたことだろう。
 少しずつ弱くなる語調など、やはり彼女は知ったことではなかった。暫し虚空を睨んで、ひとり思索を巡らせてから、ゆっくりと唇を開く。

  「なるほど。ならば矢張り、或る種アニメと同じよ。言った通り、みんなが『面白い』と言ってくれる作品なんてない」
  「だったらそれはプラモデルも変わらない。自分の感性を信じて、多くの人に『面白い』と言ってもらえるだろうモノを……」



 ――言い続けようとする中で、彼女はふたたたび口を噤んだ。組み立てたロジックをみずから打ち崩して、新しい答えを求めようとする。


    「……違うな。そもそも、他人の評価なんて気にしなくってもいい。そう言いたいのね、貴女は?」
    「プラモデルはその未完成性ゆえに、購入した個々人との関わりによって、それぞれに違う『物語』を提供する」
    「なればこそ根底にあるのは自己の創造意欲であり、純粋にモノを作ろうとする心構えである……」


 そうして結局、また女は考え込むのである。そこに害意はなけれど、やはり傍若無人であり、ともすれば不機嫌さの発露にさえ見えてしまうかもしれない。
 だが彼女は単に、真理を追い求めたいだけなのだ。迷える己を導く規則を手にしたい、その一心に他ならないのだ。
 ――暫しの沈黙の後、ようやく彼女は少女のことを思い出したようだった。孤独な思索を律して、穏やかな感謝の微笑みを投げかける。


「いや、勉強になったわ。――ホビーの『可能性』というのを、また考え直す良い刺激になった。ありがとう」
「変なことを聞いて御免なさいね。本戦向けの最終調整をしているうちに、行き詰まってしまっていて」

「若し貴女さえよかったら、後でひとつバトルでもしていかない? 現時点での完成度、確認しておきたいの」

 躊躇わない提案をひとつ。――レジに向かう人の列。その半ばほどまでに、彼女たちは来ていた。
414菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/28(木)02:27:43 ID:Vxc
>>413
「……えっと、その、……はい、そうだと思います……?」

 そこまで難しく考えるものでもないのに――――と思いながら、恐らくは彼女の言っていることはあまり自分の言っていることから外れていないだろうと。
 いや、自信はないのだが、多分そうだろうと。疑問符は消しきれなかったものの、彼女の言葉へとそう肯定の言葉を返すだろう。
 然し、何故そんなに考え込むのかがわからないのだ――――結局プラモデルは自分が楽しむものなのだということなだけなのに。
 分からないのはこの人のほうだ――――と思いながら。

「えっ、いえ、その、私で良ければ……

「――――ばとる!?」

「……あっ、アイちゃん、 変なところ触らないでぇ~!!」

 ……方角、声の出処は間違いなく菱華から――――然して、菱華とは全く違う声色が聞こえてくることだろう。
 ごそごそとそれなりの大きさの何かが、菱華のジャケットやワンピースを内側から押し返しつつ、昇っていく。 
 そしてそれが動く度に、擽ったそうに菱華は身体をうねうねと動かす――――両手に持っているプラモデル達を、なんとか落とさないようにと頑張りながら。
 

「――――するの、バトル!? したいしたい、バトルしたい!!」


 そうしてようやく胸元からひょっこりと現れたのは、その蒼い瞳をキラキラと輝かせた“戦姫”。
 先程まで、自身とは関係無い仕事としてつまらなさそうにスリープモードに入ってジャケットの内側のケースに入っていた菱華の相棒、アイゼルネスだった。
 バトル、と聞いて居ても立ってもいられず、スリープモードを解除して菱華の身体を這い上がってやってきたのである。
 菱華にとってはとんだ災難であったが。

「……はい、アイちゃん……私の戦姫もこう言っているので。私で良ければ、お相手しますね。
 ほらアイちゃん、ちゃんと外出て……恥ずかしいよ……」

「やったヤッター!バトルだー!」
 
 菱華がそう言うと、箱の上に菱華が持つ箱の上へとアイゼルネスは実に嬉しそうにはしゃぎながら転がり落ちる。
 そして箱の上を舞台として二回、三回スキップをした後、ひょいっとその肩の上に飛び乗った。
415藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/28(木)22:48:31 ID:qGW
>>414

 不意な声音に女は目を丸くした。くぐもって服越しに響く喜びの声は何者であったかを、彼女は暫し後に理解した。
 胸元から這い出、ご機嫌な動きで箱上に飛び移った戦姫を、白衣の女はまじまじと見つめる。


「……あら、アイゼルネス? 趣味合いそうね。あたしも好き」
「ありがちな高性能試作機って所から更に踏み込んだ、ハイエンド量産型――って設定、惚れ込むわ」


 そうして穏やかに笑う。されど声色ばかりは、ややもすれば微かな情熱が篭っていた。少しだけ、語らせてほしいような顔をしていた。
 彼女が好むのは、何も「碧天」シリーズだけではない。工学系美大生という奇異な経歴を持つ彼女にとって、あらゆるSFは嗜好の対象であった。
 例え、それが商業向きのスペースオペラであったとしても。創作に貴賎を持ち込まないのが、ひとつ彼女の主義であった。


「それに、対話インタフェースも積んでるのね。既製品のAI――では、ないな。……うん」
「会計済ませたら、向こうでやりましょうか? 丁度空いてるみたいだし、ね」


 両手の塞がる彼女は、やや仕方なしに店の隅に設けられた真新しい筐体群を顎で差す。そうしている間にも、列は進む。
 少女と共に会計を手早く済ませて、パッケージを詰めたビニールバッグを片手に引っ掛け、やや急く足でバトルスペースへと向かうだろう。
416菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/29(金)00:38:04 ID:UVU
>>415
「そ、そうなんです、アイゼルネス、好きです……!
 量産機であっても単純なグレードダウン、ローコスト化機体じゃなくて、運動性能は劣るけどその他の点においては寧ろ洗練されていて……!
 高火力高性能化のインフレーションを起こしていたあの時代の中で生みだされた中でも、頭一つ抜けているくらいなところとか!
 すごく、すごく好きなんです……!!」

「えっ、いや~そんな風に言われたら照れちゃうなぁ……」

 アイゼルネスについて、ほんの少しだけ踏み込んだ彼女に――――ぴこん、と帽子の上のリボンが揺れた。 
 実に嬉しそうに楽しそうに、蓮見菱華はアイゼルネスについて、ほんの少しだけとは言え、そうして言葉を連ねていった。
 ――――菱華もまた、多くの“オタク”たちと根本的な性質において代わりはないのだ。
 年齢は彼女とは大きく離れているものの。こと、好き作品においては、正しく“語りたがり”、であり。

「はい、アイちゃんは――――」

「私のAIは菱華の愛の結晶だよ!! だから私は最強なんだ!」

「ちょ、言い過ぎだって……」

 アイゼルネスのAIは際限しようがないものである――――成長型の、真っさらなものから、菱華の隣で様々なものを吸収して完成したものなのだから。
 だから、アイゼルネスはそれを誇りに思い、愛の結晶だと声高に掲げるのだ――――故に、だからこそ、自身は最強だという無尽蔵の自信にすら。
 会計を済ませて、早足の彼女へと急いでついていく。肩の上では、アイゼルネスが器用に準備運動をしていた。

「実は、アイちゃんもつい最近調整を終えたばかりなんです……だから、私達も試運転に付き合って貰う形になっちゃうんですけど」

「だからって、お互い遠慮しなくていいからね! よーし、バトルだバトルだ!

 ――――エントリー!!」

 戦闘用の装甲を纏ったアイゼルネスが、バトルスペースへと舞い降りた。
 準備は万端、待ちきれないとばかりに。今回のフィールドが展開されるのを、今か今かと待ち構えていた。
417藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/29(金)01:46:30 ID:0ie
>>416

 愛情と熱意に溢れた少女だった。白衣の女は決してその感情を否定することはなく、鷹揚かつ力強く頷いて応えた。
 驚くべきはアイゼルネスでもある。人間を癒す人工知能、人間を励ます人工知能は数多とあれど、人間を引き摺りさえもする人工知能は奇矯だ。
 少女の秘めたる情熱を受け取って、かの戦姫はここまで強烈な人格性を得たのであろう。
 ――それほどまでに衝撃ある感性を、今の己れは有しているだろうか。微かにその横顔に、憂いある微笑みが差した。

 だがそれも一時のこと。この競技を誘ったのは己れである。なれば、今ばかりは迷っていられない。


「全然平気。――その分だと、武装の方までカスタムしてあるんでしょう? むしろ気になるくらい。
 自己学習AIとのシナジーがどんなものなのか、期待できそうだしね」


 果たしてホビーに準備運動など必要なのだろうかという思考を一先ず彼女は横に置き、小脇に抱えるトートバッグに手を差し入れた。
 差し当たって自前のアーケードコントローラを取り出せば、USBで筐体に接続。個人用のテストモードを起動し、メンテナンス具合の確認。
 ジョイスティック・エイミングマウス・各種ボタンの反応を試す。ややマウス感度が鈍感。閾値を100から120まで引き上げて、――問題なし。


「そういや名乗ってなかったわね。あたしは篠見。藤原篠見。そんで、こいつが――」


 もう一度、彼女――篠見は、バッグの中に手を入れる。取り出されるのは、無骨な黒いツールボックス。
 白い指が外縁のトリガーを押し込む。――ボックス内に仕込まれたカタパルトが、内蔵された「その機体」を上方に射出する。
 オート化されたランディングプログラムはスタンバイ・ポジションとの高低差を瞬時に計算し、バランサーと脚部駆動モーターを連携させた機体制御を狂いなく実行。
 バトルフィールドに、悠然と立つ青白い機体。強靭かつ流麗な流線型の装甲に、角と複眼を持つ悪鬼のような顔貌。威風堂々とその背に負うは、規格外のエネルギー・シリンダー。
 

「あたしの、相棒。86式『武鷲』よ。」
「エントリー完了。――さ、始めましょうか?」


 「86式」。モデラーの世界では名の知れた、「魔改造向け量産機」。決して総合性能には優れず、拡張性を第一義の武器とする機体である。
 ジョイスティックを軽く弾けば、選択されたのはランダムステージ。己にとって有利なフィールドで戦うつもりはないという、彼女なりの矜持。
 乱数が選択したのは、「メガフロート」。海上となるステージに点在する足場と、中央部を走る高速道路を重ねた攻防が激しきステージ。
 筐体がVRフィールドを展開し、夕暮れに染まる海上都市が作り上げられたのならば、2体は高速道路上にて相対することになる。

 ――バトルスタートまで、3秒前。「武鷲」の青い複眼が、睨め付ける用に輝いた。
418菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/29(金)02:26:50 ID:UVU
>>417
 ――――やるならば、全力で。気になるくらい、などと言われてしまえばより一層気は引き締まる。
 頑張らなければ――――相手を満足させるくらいに、全力で。そして、今回は、勝ってしまえるくらいに、と。
 相手の機体は――――『闘機』。改造作例についてはかなりの数を見る、最早モデラーの中では改造を前提として見られているくらいの機体だ。
 そして、その拡張性があるが故に相手は未知数。そして、それを出してくるということは……少なくとも、モデラーとして、かなりの腕だと言っているようなもの。

「そ、そうだった……はい、篠見さん。私は……菱華、蓮見菱華です」

「私は……まあ、いらないよねー。じゃあ、よろしくね、ハチロク――――」

 カウントダウンが流れる――――視覚補助用のバイザーがアイゼルネスの目元を多い、モノアイに光が灯り蒼く輝いた。
 ステージは海上都市。高速道路と乱立するビル群達が足場となる場所……アイゼルネスには海中装備は無ければ、海上走行を得意とするわけでもない。
 ならば足場の把握が重要だ……接続したタブレット型のデバイスを何度かタップし、マップデータを開くと、アイゼルネスへとそれを送信する。
 それに合わせて、アイゼルネスが楽しそうに笑い――――

「――――ゴー!!」

 バトルスタートと同時に、左腕部に装着されたブースター・シールドを起動する。
 このアイゼルネスの前身となった機体、『ヴァルケン』が外伝漫画にて死闘を繰り広げた機体『クライング・イオタ』を参考に設計。
 従来のシールドにビーム・コーティングを施し、補助ジェネレーターを搭載することによる機体の急制動を可能とした装備であり。
 それは、バトル開始と同時にお互いの距離を即座に埋めるのに、余りあるほどの加速力を見せつけ。


「先手必勝!! ――――先ずはこいつの性能からだ!!」


 そして、そのままシールドの先端を『武鷲』の胴体部へと叩きつけんとするだろう――――そして、その瞬間に。
 先端部に搭載された、至近距離においての使用によって最も効果を発揮する、謂わばビーム・ショットガンとでも言うべきか。
 それを早速、極至近にて炸裂させることだろう。
 目元はバイザーによって覆い隠されているが――――それは正しく光り輝いていることだろう。口元は、満面の笑みに裂けるように。


「……背部のブレードに、巨大な背中のは多分出力のための砲……サテライト・キャノンに近い高出力砲かな。
 見たところそれ以外の射撃武器は盾に集中しているように見える。
 実体剣も持っているけど、あれだけの巨大な武器を持つならアイちゃんの方が格闘戦は得意なはず……だから、この最初の一手は、多分正しいはず」

 
 正しく、バトルにのめり込んでいると言うべきか……対象の武装からの得意レンジの考察、それに伴った戦術の構築とバトルの展開方法。
 表情は至って真面目そのものである。アイゼルネス程に分かりやすくはない、ないがが……やはり、バトルを『楽しんでいた』。
419藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/29(金)03:01:34 ID:0ie
>>418

 バトルの開始を告げるアラートが鳴り響く。――開幕転瞬、攻めるは戦姫。ブースターが大気を灼き、装甲纏う躯体を跳ばす。
 バイザーが宿すのは夕陽照る残光か戦意あふるる野性の眼光か。左腕部の装甲盾兼補助推力機は、一瞬にして彼我の距離を詰めた。
 されど其の瞬間、篠見は既に動いていた。反射じみた動きでスティックを弾き、右横方向に全推力を最大出力で集中。
 シールドの打突を限界まで引き付けて躱し、続く散弾ビーム砲の乱撃は、左腕装備の射撃盾を掠める程度に留めさせる。
 眼鏡に似せたウェアラブル・デバイスは、目まぐるしく変動する数値系を映していた。この回避機動でコンデンサ電力の過半を消費した以上、光学兵装の使用には困難がある。



「――上等。いい動きじゃない、貴女」



 自然と唇が緩んだことを、篠見は感じていた。まただ。歓喜している。この身体は。心血を燃やすような至高の緊張と、報酬系の過剰駆動。
 それはまだ燃え始めたばかりの種火でしかなかったが、然し彼女は知っていた。この感覚は、止まらない。
 デバイスから視認した情報から、刹那の内に幾つかのシミュレーションを組み上げる。ここからの勝ち筋。どう戦うかの道筋。


(主推力機の立ち上がりは互角だけど、ノビが違うか……ちょっとでも直線機動を取ると、ドバッと差が詰められる)
(判定勝ち狙いのガン逃げもできそうにない。――射撃戦で上手くやるしかなさそうだね)


「あたしも、遠慮せず行くよ。大破全損、恨みっこ無し――だかんねッ!!」


 そうして彼女は決断した。
 先程の回避機動にて空中に跳んだハチロク。スティックを弾き、ボタンからショートカットを入力。メインブースターの出力はそのままに、ベクトルだけを偏向させる。
 両肩から噴き出る蒼い噴射炎は燃え盛る翼にも似ていた。空中で機体を旋回させつつ、サイドブースターの推力を不規則に引き上げて、左右にぶれつつも後退する機動を取る。
 海上の空中に誘い込むような動き。同時に左腕部の安全装置を解除し、シールド内蔵のガトリングガンと空対地ミサイルを撃発する。
 狙っているのは半ばアイゼルネスであり、半ばその足場であった。安直な回避はさせない乱撃に、誘導弾の打撃を織り込む。まだ、彼女の動きは「堅実」であった。
420菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/29(金)21:07:33 ID:DK9
>>419
 アナログパッドによるマニュアル操作とは今時珍しい――――今ではAI制御の戦姫は兎も角、もっと直感的なインターフェースを使うのが主流だ。
 然しそれを使うだけの自信と、腕前は感じられる――――ブースター・シールドによる猛攻をほぼ無傷に抑えられるとは両者ともに思っていなかった。
 ブースター・シールドの出力のままにそのまま立ち止まること無く抜けて……能動的質量移動による姿勢制御を以て、身体を更に反転。
 
「おっと――――海の方にはあんまり出たくないなぁ!!」

「ミサイルは私が落とすよ、アイちゃんはガトリングと足場に気をつけて!」

「了解!」

 高速道路上をバック・ブースターを噴射しながらの疾走――――そしてシールドを構えつつ、背部有線制御支援火器を展開する。
 展開されたインコム――――菱華の左右前方に二つのバーチャル・モニターが展開されると、操作の比重はそちら側へと移行する。
 ミサイルの進行方向と速度を感覚で計算し、その進行方向に置いていく形でビームを撃つ。それはアイゼルネスに辿り着くこと無く中途で炸裂させる。
 足場である高速道路が破壊されるのは少々もったいないが、そこまで対応している程処理能力に余裕はなく、甘んじてそれは受ける、が。

「セオリーに忠実に――――そっちこそ、悪くない動きだ、けどォ!」

 ガトリングの掃射を後退によって回避しつつ、ブースター・シールドによって回避しそこねた部分を回避する。
 背部ミサイル・ランチャーを展開、垂直に放たれた六連ミサイル、合計十二発が『武鷲』へと殺到していくことだろう。
 そして、その合間を縫ってビーム・ライフルを放つ――――黄金の光条が、その片翼を撃ち貫かんと放たれるだろう。
 ――――肩部サブマニピュレーターが左前腕部に装着されたブースター・シールドを取り外し、そして固定する。

「だからこそ! 与し易し!!」

 左腕を前方に突き出すと――――前腕ごと、切り離され飛翔する。
 この機体がアイゼルネスであることに気付いていた以上、この武装が搭載されていることは予測できていただろう……で、あるがゆえに。
 ただまともに使っても予測されて切断されるだけだと見て……多くの攻撃の、対応に追われた直後にそれを放つことにより“不意を突く”ことを狙った。
 それは彼女の機体へと向かい……その、片足に掴みかからんとするだろう。


「そっちが! こっちに! 来ォい!!!」


 そして、そこで足を止めて、無理矢理その機体を引き摺り下ろしてやらんと力任せに“引き寄せようとする”だろう。
 無論、ご丁寧に右腕に握ったビーム・ライフルは再度そのメインブースターに狙いを定めて、引き金を引きながら。
421藤原 篠見◆.9ydpnpPps :2017/09/30(土)00:44:58 ID:has
>>420


(インコムの起動も、射撃も上手い。少し優勢を取れたとしても、手は抜けない。)


 シールド内蔵のハンドミサイルが3本の軌道に白煙を残す。然しアイゼルネスから展開された援護射撃システムの射撃によりその全てが迎撃された。
 粒子砲の残光が夕焼けを焦がし、届かぬ砲火の爆炎が広がる。連装ガトリングガンによる牽制射撃も決定打にはならず、かの脚元を砕くに終わる。
 放たれるビームライフルを後退射撃で躱しながら、VLSの集中連射にはガトリングガンの砲角度を調整、可能な限り発射直後に撃墜。
 ――撃ち漏らしが、2発ほど。その旋回半径に入り込み、噴進に対する誘導を間に合わなくさせるのが、ミサイル回避のセオリー。
 頭上から飛来するVLS相手では行い難いマニューバである。故に彼女は攻撃の手を止めた。エイミング用のマウスを奥に押して、機体カメラを上方へと向けようとした――その、瞬間。


「しま、っ――――――。」


 ――鳴り響くアラート。バランサー系統に異常発生。左脚部に駆動障害。ロックオン警告がけたたましくも、既に打つ手はない。
 無論のこと藤原もまた、アイゼルネスの武装構成から、その攻撃手段を理解してはいた。だが、反応と対処が遅れた。
 ブースター推力を最大まで引き上げつつも、地に足を付けたアイゼルネスの安定性能とでは勝負にならない。――放たれるビームライフルが、機体肩部を抉った。


「ッッ、メインブースターがイカれたか……!!」


 片背に負いし青い炎が弾け飛び、黒煙を吹く。右肩推力装置の急激な出力低下。幾度か始動トリガーを引くも、虚しく燃えるのは短絡。
 直ぐ様供給系統を遮断して修復スクリプトを立ち上げ、推進プログラムを再補正のち最適化。損傷後の機体推重比、0.862。
 それは即ち、自力での浮上飛行が不可能であるということを、これ以上は機体を「飛ばせない」ということを示していた。――そして、なおも掴まれたままの左脚。


「そっちがッ! その気ならッッ!!」


 なれば取るのは一つの方策のみ。
 再び全スラスター推力全開。方位290/360。内装熱量がレッドゾーンまで噴き上がる。青い片翼が、空を染める。その方角は、アイゼルネスへと。
 同時にスティックを押し込み、ガトリングシールドを爆砕ボルトにて離断。左腰のバスタード・ブレードを引き抜きつつ、右手をバックウェポンに伸ばす。
 引き出されるのはビーム・マグナム。片脚を突き出したドロップキックの体勢による急速な接近と共に、「武鷲」はそれを乱射する。

 落下姿勢でパワーダイブを図りながら、急速に接近する藤原の機体。再び彼我の距離が失われ、ふたつの機体が交錯しようとする瞬間――
 「武鷲」の脚部に装着された姿勢保持用アンカーが、蹴撃と共に起動する。本来であれば接地静止時の安定を図って用いられるそれは、アイゼルネスの胴体を撃ち抜かんと迫るだろう。
422菱華&アイ ◆pit0XHwivyYW :2017/09/30(土)22:02:11 ID:4Co
>>421

 そのままそこらに叩きつけて見せるか、水中に叩き込むか、それとも串刺しにしてみるかと考えてはいたものの。
 やはりそう都合よく行くものではないだろう。そしてだからこそ、アイゼルネスが好きなバトルなのであり。
 背部メインブースターを破損させたのは良い戦果である。空中戦闘能力は存在しないアイゼルネスにとっては、その優位を削げただけでも十二分。

「おっと、来るか上等!!」

 左腕を「武鷲」の脚から外し帰還させる。再接続とともに左腕部シールドをオンライン。
 恐らくは、近中距離での機動戦闘に移行する手段を取ったのだろう。その両手には先とは打って変わって武器を握り締めて此方へと猛烈に迫る。
 ばら撒かれるビーム・マグナムによる攻撃――――ブースター・シールドによって一撃を防御すれば、或いはそれを以て態勢を崩されかねないほどの衝撃。
 その一撃を以て、着弾地点のビーム・コーティングが引き剥がされるほどであり、即座に回避する方向へと対処方針をスイッチさせていく。

「アイちゃん、脚!!」

「――――あぶなっ!!!」

 穴だらけになっていく高速道路と、降り注ぐ粒子の乱射への対応に集中し続けていることによって、本体への警戒は半ばだったとでも言うべきか。
 全力のスラスター推力と、近接攻撃武装と化した蹴撃……のみであれば、まだ自身の装甲ならば耐えられる自信があったのだが。
 脚部アンカーの杭打機じみた運用方法に気付いたのはその直前――――咄嗟に、ブースター・シールドを前方に突き出した。
 その先端にアンカー・ボルトが叩き込まれ、その部分から盾全体へと罅が入っていく。すでに盾としての機能を失ったブースター・シールドの補助ジェネレーターを停止。


「アンタにはぁ、水底がお似合いだ!!」


 そしてスラスターの急速起動によって前方方向への速度を作りつつ、一歩前へと踏み出す。そして右手を握り締めて硬く拳を作り込み。
 そのまま、『武鷲』の頭部を思い切り殴りつけようとするだろう――――本来ならば近接戦闘であれば、ビーム・サーベルを使えれば一番良かったが。
 これだけのショートレンジ、下手をすればその動作すら時間の無駄、決定的な隙になる――――と、判断したが故にであり。
 目的は……頭部に対する衝撃によるセンサー類の打撃と、その衝撃のよって高速道路から、水中へと叩き込んでしまうことであり。


「――――まだだ! 菱華ぁ!!」

「うん、アイちゃん!! 当たれぇ!!」


 そして、菱華が叫ぶのに合わせて脚部装甲を展開。
 跳ね出すビーム・サーベルのグリップを左手が握り締め、更にそれが切断されて有線誘導によって、『武鷲』を追いかける形で迫っていき。
 その胴体部分をすれ違いざまに斬りつけて、寸断しようという――――その機動自体は、単純だが。
 然し、実に特異な動きではあった。有線制御式の遠隔攻撃装置を複数兼ね備えた、アイゼルネスならではの連撃を以て一気に攻めきってしまおうと。

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ここだけホビーバトル大会 その1