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ここだけ闇セレブ学園 ロールスレ

1名無しさん@おーぷん:2017/12/24(日)16:21:27 ID:cXT()
 現在とは異なる歴史を持った日本――
 世界の覇者たりうる人材を育成し排出し続ける女子高「特権私立純血女子学園」が、東京湾の中央人工島に存在していた。
 その学園では、日本をけん引するのにふさわしい能力を身につけさせるため、完全隔離・閉鎖空間での教育が施されていた。
 その独特の教育プログラムにより、生徒たちはいつしか思春期独特の性的衝動を、万能生体エネルギーに昇華させ、超能力を持つにまで至っていた!!

 そんな彼女らは学園の中でも「特権クラス」の称号を得、さまざまな優待特権を行使していた。
 特権クラスの彼女らは、常に万能であらねばならない、何らかの争いに敗れたるものは、いつでもその権利をはく奪され、一夜にして「奴隷」――個性をはく奪され声を上げる事も許されないサイレントマジョリティとして、特権クラスの生徒たちに尽くさねばならない運命を強いられている。

 彼女らの目的はただ一つ――
 日本、いや世界の権力を一手に牛耳ると言われる「王子様」にふさわしい結婚相手になる事――!

 王子様と結婚するには、他の花嫁候補の生徒全員を出しぬいて、×月×日の卒業式の日、運命の木の下で王子様に「出会わなければならない」、と伝わっている……

 しかし奇妙なのは――
 その花嫁候補たるもの皆、「王子様」についての情報が、まるで異なるのだ。
 彼女らは自分たちの心の中の「王子様」を信じ、王子に出会うため、他の花嫁候補の生徒を殺し、屈服し、奪わねばならない。彼女の「設定」を、「物語」を、力づくで否定しなければならない。

 ああ、また3月が来る……。
 卒業式までに、何人もの生徒たちが、気高く咲いていられることだろう。

――この世界は群れていても始まらない。
 Yes、で、いいのか?

【参加方法】
議論スレにキャラクターを登録後、参加可能です
http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1513597083/
詳しいルールは議論スレに!
388薄雲やどり◆vlxIx.yJKk :2018/01/18(木)20:29:28 ID:twY
(保健室の最奥のベッドにいる特権クラスの少女…彼女に相談をもちかければ、どんな内容でも相談に乗ってくれる、『保健室の主』がいるという…その少女の名前は『ヤドリ様』)
(こんなどこの学校にもある都市伝説じみた噂が、少しずつながらこの学園に広がりつつある。)
(他の学校と違う点は…仔細の差こそあれ、その話の内容が、概ね事実ということだ)

(今日は体調が普段よりも良かったので外にでも出てみようか…と思いカーテンを開けたが、残念なことに風が吹いてしまっているようだ。)
(先天的に呼吸器に欠陥を抱える私にとって、風に舞う細かい塵や砂は、凶器に他ならない。)

…まあ、いいでしょう。

(外には出れなくとも、日差しは心地よかったのでカーテンは開けたまま、しばらく陽光に浸る。)
389『  』◆dBw5GMCt3dHe :2018/01/18(木)20:54:44 ID:5EF
>>388

「風が強い日はそうなるよね」

 違和感も
 脈絡も
 意味合いも

 ありとあらゆるものを欠損しながらあまりにも普通にそれはそこにいた。
 初対面かもしれないしそうじゃないかも知れないし、全くそんなことここにいる誰にも知れないが、少なくともそんなこと理解しようとしたところで得られる意味合いはたかが知れてる。

「半端なんだ。雨の日ほど行動を阻害される訳じゃないが常に不愉快さが肌を撫でて行くからたまらない。ホコリも喉に入るしね。君のように呼吸器に障害を居っていたら尚更だろう。
 僕は一応文学少女を気取ってるからスカートの絶対領域が犯されかねないこういう日は外に出ない」

 とにもかくにも、会話はすでに始まっていた。
 ありとあらゆる違和感と常識をバックスペースで『  』にして、それは今までもずっと彼女と語らっていたかのようにベッドの横に寝転がって居るのだから、仕方ないし、仕様がない。
 過程は消し飛び。
 会話が行われると言う結果だけが残っている。

「だからこそ……『まあいいでしょう』ってなもんだよね。
 次の日が、また次の日があるってのは人間にとって本当に救いだ。今度風も無い日を狙ってピクニックにでも行ってみようか?」
390薄雲やどり◆vlxIx.yJKk :2018/01/18(木)21:07:05 ID:twY
>>389

…ええ、そうですね。

(瞬きをした瞬間に映画のシーンが移り変わったように、まるで最初っからそこにいたかのように存在する少女との会話に、違和感なく入り込んでしまう)
(私の声はいつもと同じ、独特な、聞いているだけで他人を癒すような.少し儚げなハスキーボイス)

ふふ、さあ、どうでしょうね?
他の方には明日があるかもしれませんけれど、私の喉がその働きを止めてしまうのは、この瞬間かもしれませんから。

(少し声のトーンを下げると、癒すようなハスキーボイスは一転し、どこか劣情を擽るような、蠱惑的なため息のように声色を変える。)
(まるで旧来の友人のように思えてしまう相手を前にしても、か弱く、病弱な少女という仮面を外すことはしない。)
(違和感こそ感じてはいないが、警戒はしているのだ。)
(目の前の存在が旧友のように認識されていても、それは変わらない。旧友だろうと、家族だろうと、私が心を開いた人間など、ただの一人もいないのだから!)

それで…なんのご用ですか?
391東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/18(木)22:09:45 ID:qyT
>>386
不意に投げかけられる声。
静かにその方を確認すれば、見知らぬ人影。そして月明りの元に妖しく鈍く光る刀。

噂には聞いたことがある。日々を背景に佇む有象無象の人間として過ごせば噂話の一つや二つは自然と耳に入ってくる。
目の前にて対峙する少女の事も勿論その噂の一つとして。"深夜の辻斬り"。
いつかは必ず出会うことになるだろうとは予期していた。そう感じさせてくれる何かがあった。

「……私は」

「私は、貴女に会うために此処に来た。それが私の運命だから」

それが今日この時だっただけに過ぎない。これが自身の、いや二人の運命である。
予感は確信へと変化し、静かな夜は熾烈なる舞台劇の開演のベルを鳴らす。

光紗が手提げ鞄の口に手を入れると同時に重く鈍い鋼鉄の塊が、彼女の鞄を大きく弾き飛ばす。
寸での場面で身を大きく後方へと退けたからこその被害であるが、鞄を見るも無残な形へと大きく変貌し、その身を月明かりの元に晒す。

鞄より離された光紗の右手に握られていたのは一本の懐中電灯。家電量販店にでも足を運べばいつでも手に入れる事の出来る代物。
懐中電灯のLEDライトを"叛逆者"へと向け、後部のボタンに手を触れる。

「光は私たちがモノを見る場合に無くてはならないモノ。私たちの知る世界を構成する要素と言ってもいい」
「もし、私たちの目にしてきたモノが全て紛い物だったとしたら、それはとても素敵だと思わない?」

光紗の持つ大きさの懐中電灯とは考えられない程の光が、一瞬にして"叛逆者"を包む。
光はすぐに収まるが、光が放たれた後の世界は違和感を感じるはず。
その目に移る世界は映像が混線しているかの如く互い違いにズレて映る。
無造作に切り裂いた写真を無選別に並べたのジグソーパズルのように。
目の前の少女も、横の校舎も、周囲の木々も、夜空に浮かぶ月も。

「貴女の知る世界は、音も無く崩れ去って行く」

"叛逆者"の少女の元へと歩く光紗の持つ懐中電灯は、細く長い光へと調光され、一本の煌めく剣となる。
彼女の剣の腕は、今の少女の腕には及ばないだろう。
しかし、視界というアドバンテージを握ったのであれば。対等、もしくはそれ以上の状況に持ち込めるかもしれない。
少女の細い腕から振るわれる光の刃が、今振り下ろされる。
392『  』◆dBw5GMCt3dHe :2018/01/18(木)22:29:54 ID:5EF

>>390

「……なんのごよう、って。おいおい、勘弁してくれよ。そう問いかける君はまるで僕の事が嫌いなようだぜ。
 もっともこじらせたストーカーじゃあない、僕は君の事が大好きなんだから好きになれよなんて脳みそに蝿が沸いたようなことは言わないけど」

 長い三つ編みの先っぽを摘まみ枝毛を探しながら、不満げに、されども自慢げに、つらつらと語った。
 少なくとも危害を加える気は無さそうなのだ。しかし余りにも『  』な彼女は、認識していると、何をしていなくとも思わず存在の間隙を想像してしまうような「深い純白」なのだった。
 思わずつつきたくなるようなぷくりとしたくちびるをにまりと微笑ませたかと思うとがばりと起き上がり、ぴしゃっと三つ編みを鞭のように振るってかるく頬を叩こうとするだろう。

「僕はこれから毎度君に会うために理由を作らなきゃいけないのかい?
 勘弁してくれよ。あるとすれば唯一にしてもっとも尊い『会いたいから』ぐらいのものさ。それでどうだい。いけないかい?」

 人懐こい。
 近くにいることに違和感を与えさせない、愛玩動物のような、柔い、甘い、深い、じゃれつき。

「――『                    』 ――
 さておき、君、昼は食べたの? 僕は今日の午後の授業は完全にブッチするつもりなんだ。なんならピクニック気分で食堂にでも行かないか?」

 違和感を与えない空白を台詞に織り混ぜながらも、それは提案した。
 うりうりー、と、三つ編みの毛先でやどりの鼻をくすぐろうとしながらだ。
393薄雲やどり◆vlxIx.yJKk :2018/01/18(木)22:49:13 ID:twY
>>392

…それもそう…で…

(普通の女子高生同士のような、じゃれつきのような、違和感のない会話をする自分に…吐き気を覚えるほどの、違和感。)
(自分に、こんな会話をする相手がいただろうか?)
(いや、確かにいる、現に今目の前にいるのだが……)

…あ、貴女は…

(相手には違和感を感じなくても、この世の誰1人も、理由なくこの部屋にくる訳がないのだ。)
(学園の隙間にひっそりと宿るやどりの思想は、勝手に隙間が埋められていることに、気付き始めた)
(なぜなら私は都市伝説。親しいものが居ては、噂になりえないのだから)
(自分という鏡を、レンズを、磨りガラスを通して見たとき、彼女は…いや、『これ』は…)

…いったい…何?
394『  』◆dBw5GMCt3dHe :2018/01/18(木)23:09:38 ID:5EF

>>393


「――あれえ?」


 表情が消えた。比喩でなく。ぽかりと開いたさくら色の口のなか。てらてらと唾液に光る舌。並びのよい、肌と髪と並び真っ白な歯列。
 しばらく。ずっと映写機のフィルムにその顔がコマ送りで並ぶように。
 『それ』は。その色であり続けた。

「あぁそっか。君は『伝説』だもんね。人間としての血肉はあっても、関係としての必然性は無い。僕以外の全ての人間との繋がりに於いて。会いに来るのなんか、物好きだけ。友達って形の人間が居る筈もないかー。
 ううん、どうしようかな。――いやまだ早いな。無い。テーマが無い。もっともそれを手に入れようと思考することに意味があるかと問われればそんなことは勿論無いが、だからといって僕がスタイルを曲げる理由にはなら無い。どうしようかな」

 その表情のまま、口だけをぱくぱくと動かして、ごく自然に違和感なく、細い指を蠢かせてやどりの首を撫でる。頸動脈の辺りを。そこに脈打つ生命の経路の感触を楽しむように。

「まあいいか。僕たちは友達だよ。きっとそういう風にできるんだ。気がついたら空白を埋めるように友達なんてのはできてるもんさ。だからさ――――――。

 『余り気にするなよ、テーマができちゃうだろ? もう少し舌で転がす時間をおくれ』」

 違和感なく。

 気にするなと、脳に染み込ませたい。
 だからそれはそうした。

「『         』」

 また一言、空白の末尾を添えて。語り負えた後には、にっこりと、また人懐こく微笑む少女の顔に戻っていた。
395薄雲やどり◆vlxIx.yJKk :2018/01/18(木)23:20:39 ID:twY
>>394



(こちらが『それ』の核心に迫れた理由を、『それ』も把握したようで)
(しかし、所詮こちらは仮初めの『伝説』。普通の人間としては不完全な自分を繕っているだけだ。正真正銘の『』を相手に、その優位の時間は本当にわずかなもので…否、そのわずかな時間を勝ち取ったことが、奇跡に近いのかもしれないが)

ぁ…

(首筋に触れられると、つい声が漏れる)
(首なんて、誰にも触らせたことは無かったはずなのに。それを許してしまうくらいには、彼女のミーム汚染は進行しているようで…)

…ここの居心地がいいからって、あまり私の領地を奪わないでください。
…あと、食堂へは行きません。風邪と同じくらい、人混みも苦手なんですよ。

(私は、彼女を、彼女の『』を、『特権クラスの派閥争いのせいでクラスの居心地が悪くなり、保健室に避難してきた少女』という物語で補完することで、都合よく隙間を埋めてしまったようだ。)
(より強い『』の侵行はもはや、彼女に対しての違和感すら抱かせてくれない。)
396天堂アヤメ◆HSKoxfT5S6w. :2018/01/18(木)23:39:22 ID:lzu
>>391
「クク、運命か…ならば運命を受け入れろ、"権力者"――!」

射程距離に入った刹那、瞬時に放たれる鋼鉄の模造刀による斬撃。
がしかし、胴へと入る筈であった重い一撃は目論見を外れて鞄へと吸い込まれた。
無残な姿で物をまき散らしながら吹き飛ばされる鞄を見ながら舌打ちすると、次は外さないと相手を見据え――

――懐中電灯?

次の瞬間、彼女の世界が白く包まれる。
迂闊―― この距離で放たれてしまっては避けようも無い。
だが所詮無駄な足掻き、視界が晴れた時がお前の最後だ――

しかし視界が晴れた途端、少女の世界は変貌していた。
まるでそれは絵を揃えずに組み立てられたジグソーパズルのような、景色が混雑とした世界。
彼女の視界に映る月は真下に、地面は左に、相手の顔は遥か上空に。とにかく滅茶苦茶であった。
例え視界を"反転"してもそれはきっと治らない――

「――小賢しい」

視界が当てにならなくなった今、頼れるのは己の耳と感覚。
鞘を真横に投げ捨て、足で地面を確かめながら後ろへ数歩下がると少女は中段の構えを取る。
彼女の懐中電灯が光の刀になる様子が見える。なるほど、彼女も剣士というわけか。

「この世界の紛い物、それは王子という"人物"―― ただそれだけよ」

眼を瞑り神経を耳に集中させる。相手の足音、息遣い―― それらを聞くために。
同時に模造刀の"なまくらという概念"を反転させる。かの光の剣に対抗する"大業物"になるように。
そして彼女はその刀の上に能力を這わせた。光の収縮からなるその剣の"収縮"を反転し、"光を拡散させる"ために。

足音が近づいてくる。頭の中で景色を想像する。
身体能力の反転の劣化が始まっている、早めにケリを付けなければ――
振り下ろされる光の刀の一撃。少女はその音を聞くや否や、頭上に迫らんとするであろう剣に向かって一撃を加えるであろう。
397『  』◆dBw5GMCt3dHe :2018/01/18(木)23:46:41 ID:5EF

>>395

「おいおい、変な声出すなよ。ボカァレズビアンじゃあないぜ」

 催眠等といったチャチな物では無い。
 幻惑等といった無粋極まるものでも無い。
 それは『塗り潰し』と言うのが正しい。存在の行動の違和感を、徹底して塗り潰し当たり前に空白としてそこに収まる。

「君はそうでもないようだけど。もしかして嫌いじゃない?いや趣味に口を出す様な事はしないけどね。
 同性愛は比較的倒錯ではライトな物だし、まだ健常者だと思う」

 無茶苦茶で論拠も根拠も特に意味もない適当な決めつけを吐いて。
 けれども次にこう言った。

「でもありがとう。テーマの足掛かりは掴めたよ――――。
 じゃ、君に会いたいならここに来ればいいんだよね? また来るよ。今度は土産でも持って。君はやどり。 僕はポチとかタマとか、適当に呼んでよ。可愛い可愛い、犬猫の親戚だとでも思ってさ――。」

 ベッドから飛び降り、にこりと今度はどこかいたずらっぽく微笑んだ。
398薄雲やどり◆vlxIx.yJKk :2018/01/18(木)23:53:41 ID:twY
>>397

ん…別に男の人が好きって明言するような経験をしたことがあるわけではないですけど…女性が好きという訳でもないですね…

(『それ』をもはや違和感のないものとして認識してしまった私は、彼女の話に乗せられるように普通に会話をしてしまう。)
(先ほどと違い、より強い塗り潰しを受けた私は、親しく話す自分にすら、違和感なんてものを抱かなくなってしまっていた)

テーマ?
まあいいでしょう。ええ、ここに来れば基本的はいつでも。
…ふふ、そんなことを言わなくても、匿名で相談したいという方も多くいらっしゃいますからね。
無理に名乗らなくても結構ですよ。

(やはり、自分の名前すら言わない相手に対しても、都合よく補完し、違和感なく会話を終わらせてしまう。同じベッドに同衾までしておいて、名乗らない人間なんている訳がないのに)

それでは、また会いましょうね。

(なんて、別れの言葉まで言ってしまう)
399『  』◆dBw5GMCt3dHe :2018/01/19(金)00:07:29 ID:fyp
>>398

「うん、また会おう」

 そしてそれは当然に常識的に、それゆえに何よりも異常に扉を開けて、保健室から去った。
 後に残るのは空白のみ。404error not fund――。関係の始まりとしてはあまりにも味気なく、呆気なく、人間味の無い。

 扉の外。無表情に。唇だけを吊り上げて、名前のない怪物は呟いた。


「『君はとびっきりお熱く す』」
400東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/19(金)00:46:57 ID:NGJ
>>396
一般的な人間であるならば、ここまで己の視界を歪められたならば正常な思考は困難となる。
一度精神に支障を犯した者を手中に収める事は容易。後はこの叛逆者を手懐けるのみ。

「ッ!?」

叛逆者へ向けて振るわれたはずの剣は目前へと迫っていた所で、彼女の持つ"業物"によって霧となり発散した。
いくらこの光の剣が鋭いモノであったとしても、所詮粒子を一定方向へ束ねた物に過ぎない。
故にこの光はあの"業物"には届かない。模造品は真の業物には敵わないのだから。

「私たちの生きる道は、私たちの運命は誰が定めていると思う?」
「私たちの行方ははるか前より決められている。一人一人の世界を創っているのは誰だと思う?」

一歩一歩光紗は叛逆者より距離を取る。刀の間合いから少しでも離れるために。
彼女の得物がその手にある限り、光紗の刃は届かない。悔しいがこれは事実。
だがそれで終わり? いや、その程度で光紗の道は消えない。この運命を閉ざすことは出来ない。

光紗の周囲が徐々に暗くなる。それは仄かな月明りすらも残らず吸い尽くしてしまうかのように。
同時に光紗の長い黒髪が毛先から徐々に色が抜け出ていく。それは光を蓄積しているかのように。
だが今は夜。得られる光は少なく、色の変わり様も薄く脱色した程度。
それでも構わない。この光は彼女が輝くためのモノ。この世界において、あの人の目に止まって貰うためのモノ。

「私たちの運命は『あの人』に定められてるの」
「私は『あの人』の元へと行かなければならない。それが私の使命であり、運命なのだから!」

左手の人差し指を叛逆者へと向ける。彼女を名指しで指定するかの如く。
指先へと急速に光が灯り始め、次の瞬間には光の束が指先から放たれる。
その束は小さく細い光に過ぎない。だが、これが秘める熱量は間違いなく相手を焼き貫く確実な光学兵器。
明確な殺意が、再び叛逆者へ向けて放たれる。
401天堂アヤメ◆HSKoxfT5S6w. :2018/01/19(金)03:05:43 ID:uat
>>400
恐らく、元の虚弱な精神であれば耐えられなかっただろうその光景。
歴戦の戦士の様な強靭な物へと反転している今だからこそ、冷静な対処を可能にした。

業物の刀が光の剣に触れた途端、それらは狙い通り拡散し刀は空を切る。
振り切ったのを確認した後、すぐさまもう一撃加えんと構え横に一閃。
しかしそれも空を切る。後ろに下がられたか――

「――五月蠅い」

彼女の言葉を遮るように言い放つ。

「運命は誰かの手ですでに決まっているとでも? 馬鹿馬鹿しい…運命とは自分の手で切り拓く物」
「仮に誰かに決められているとしたのなら―― 私は"それ"にも逆らってみせる」

自身の道は自身の手で切り拓く物―― 彼女の根底にはそれがあった。
故に、彼女は運命という言葉を嫌った。"王子"に振り回されるのが運命?冗談じゃない。
彼女は根っからの"叛逆者"であった。

「……あぁ、唯一共感できる所があったわね。私も貴女の言う"あの人"の元へ行かなければならない」
「私の運命を変える為に。"あの人"を否定する為に――ッ!」

再び刀を構える。今度は突きに重点を置いた霞の構え。
体勢を維持したまま、声のする方向に向かって全力で走る。
しかし――

「――ぅ、あッ!」

その高い身体能力が維持できればその発射に気づいたのかもしれない。
彼女の左肩に、身を焦がしながら貫通するその閃光は命中する。
幸いにも内臓への損傷は無く、左肩の後ろを突き抜けていった。

しかし、眼を瞑る少女の不意を着くには十分な威力だったようで――

「や、ぅ…あぁ…っ」

弱弱しく、焼けた左肩を抑えながらその場に蹲ってしまう。
"叛逆者"たる彼女の本性―― "弱者"天堂アヤメの姿を見せながら――
402東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/19(金)05:02:32 ID:NGJ
>>401
「私の道を閉ざす者は! どんな相手でも退けてみせるッ!!」

その一薙ぎは酷く熱く、しかし冷淡に放たれた。
光紗の人差し指より出た光線銃は対象を焼き貫き、確かな傷跡を示しつけた。
彼女の長髪に色が戻り、普段と変わらぬ漆黒へと姿を変える。充填した光量をほぼ使い果たした証拠。

「……これが私の二歩目。私があの人の元へたどり着くための次なる足跡」

懐中電灯を手にしたまま、一歩一歩と地に墜ちた叛逆者へと近づいていく。
彼女の変わりようは光紗も内心驚くモノであった。先ほどまであの覇気を放っていたはずの彼女がなぜこのような状態になるのか。
しかし、これとは別に確信を持てるモノもある。これが彼女の運命であったのだ、と。

「これが運命の思し召しよ。『あの人』は私を選んでいた。それだけのこと」

光紗は止まらない。次々に迫り来る刺客は全て『あの人』からの試練なのだから。
振り向いてもらうためにも、認めてもらうためにも、全ての障害を乗り越えて先に進み続けなければならない。
また一つ、『あの人』がもたらした試練を一つ乗り越えた。彼女が思う事はただ一つ。

「私には貴女の運命はまだ見えない。でも来たるべき時が来れば貴女の未来すら見届けることが出来る」
「貴女には未来を見届ける気は……ある?」

懐中電灯のLEDが再び灯され、発せられる光が少しずつ収束されていく。
先ほど向けられた光の刃が形作り、今再び叛逆者の少女へと向けられる。
二人の運命は今ここで交わり離れようとしている。
403天堂アヤメ◆HSKoxfT5S6w. :2018/01/19(金)05:46:49 ID:uat
>>402
痛い、痛い、痛い、痛い。
もう嫌だ、こんな戦いなんて―― 私には無理だったんだ――

眼を開ければそこはぐちゃぐちゃの世界。"弱者"の少女の心は恐怖で支配されていた。
左肩が焼けるように痛み、焦げ臭い嫌な臭いが鼻をつく。
幸いだったのは彼女の光線が酷く熱い熱線だった所だろうか。貫かれた肩の肉は焼かれて凝固し出血は少なかった。
しかし、"弱者"の少女の心を折るのには十分な状況であった――

彼女が懐中電灯を取り出した。一歩一歩、死の足音が近づいてくる。
私は"王子"に辿り着けずここで惨たらしく死ぬのだろう。半ば諦めに近い考えが少女の頭を過る。
しかし、そんな少女を救ったのは―― 他でもない彼女の言葉だった。

「ぅ…未来……私、は…」

未来を、見届ける――
未来、私が死んだこの先の未来とはきっと、"王子"に支配されたままの世界なのだろう。
"権力者"が幅を利かせ、奴隷にも等しい者達をこき使う世界なのだろう。
この学園がこの国の縮図だとしたら、それは想像に容易い未来であった。

そんなの、ごめんだ。

「わ、私は…誰の手も借りない…! この手で――」

恐慌に陥った少女の心に、ちっぽけな"叛逆心"が宿った。
しかしそれは再び少女を立ち上がらせるのには十分であった。
少女は再び"叛逆者"の仮面を被る。全ては"王子の否定"の為に。

「未来を、"王子"を―― 掴んで見せる――ッ!」

少女は下に蹲った状態のまま能力の切れた模造刀を切り上げるように振るうだろう。
狙いは懐中電灯を持った手。その鉄の塊で彼女の武器を二つとも削ごうというのだ。
届けば勝機が見える。届かなければ――

それが"運命"だったのだろう。
404天堂アヤメ◆HSKoxfT5S6w. :2018/01/19(金)05:52:52 ID:uat
>>403
ちょっと最後の方補足させてください…!申し訳ありません…!

少女は下に蹲った状態のまま能力の切れた模造刀を切り上げるように振るうだろう。
狙いは懐中電灯を持った手。その鉄の塊で彼女の武器を二つとも削ごうというのだ。
届けば勝機が見える。届かなければ――



少女は下に蹲った状態のまま能力の切れた模造刀を切り上げるように振るうだろう。
狙いは懐中電灯を持った手。その鉄の塊で彼女の武器を二つとも削ごうというのだ。
すでに気力は尽きかけている。能力による身体能力の反転も、刀の練度も並の人間程度になるだろう。
しかし、その一太刀が届けば勝機が見える。届かなければ――
405東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/19(金)22:50:22 ID:NGJ
>>403
地に伏せ怯える彼女の処断を考えていたのかもしれない。
あるいは彼女の運命をその瞳で見定めようとしていたのかもしれない。
だが何を思おうが、何を考えようが、後に残るのは結果という道のみ。

「――――ゥッ!!」

堅い物体が肉と骨を砕く鈍い音が響き、LEDから発せられる光が夜空と地面とを交互に照らす。
刹那の時間の後に懐中電灯は軽快な音を上げて地面へと転がり、不規則な点滅を続ける。

光紗が自らの身に何が起こったのか、理解するには少しの時間を要した。
激しい痛みに震える右手を抑える。感覚がない。手首には異様なほどの膨らみが観測される。
間違いなく骨をやられたのだろう。あの速度で鋼鉄の塊が衝突すれば、この程度の被害を生む事は分かっていたはずなのに。

「……そう。『あの人』は私の運命を弄ぶつもりなのね」

彼女の目を見据えながら距離を取るために離れていく。
攻撃手段を二つも失った今、確かな得物を持つ彼女に打ち勝つことは難しい。
運命がまだその時ではないと告げている。『あの人』がそう告げている。

「貴女の道はまだこの先も続く。それを理解できただけで今は十分」

もうじき彼女の視界を渦巻くパズルのピースも埋まり、元の鮮明で明瞭な世界が再び現れてくるはず。
光紗を取り巻く光は既に消えつつある。再び彼女はいつもと変わらない輝く世界の背景へと戻ろうと。
あの時光紗の刃をねじ伏せた程の力があれば、もう一太刀と言わずその身に刻むことも可能であろう。

世界は、運命は二人に何をもたらすのか。
406鷺山 汐里◆PjqvkhJn0o :2018/01/19(金)23:03:00 ID:SN0
嗚呼、あれからどのくらい時間が経っただろうか。
彼女が(やり方はまあいいとして)自らの軍門に下った、あの日から。
ブーケ戦争では一歩リードしている――と言えるのだろうか。

銅色の瞳を持ち、金色の艷やかな髪を腰まで伸ばし。
純白の羽衣を羽織り、ロンググローブを両腕にはめた少女。
鷺山汐里、二つ名を”蝶々夫人”。

放課後になり、少女は散歩をしていた。
教室棟や寮以外にも庭園や遊歩道が整備されており、散歩するにはもってこいである。
すれ違う少女達は次々とお辞儀をして走り去っていく。

さて、しばらく散歩をした後、少女は目的地へたどり着く。
その場所は、庭園であった。特権クラスだけが使える、美しく整備されたもの。
給仕の者が荷物をクロークに仕舞うと、注文を聞いてくる。

「今日はアッサムをお願いしようかしら」

アッサムティーを注文すると、給仕のものは厨房へ引っ込んでいった。
寒風が吹き抜ける中、鷺山はあたりを眺めながらゆっくりと待っている。
――もし何者かが来たのなら、鷺山は歓迎をするだろう。
407『  』◆FPSnPBGcsZYm :2018/01/19(金)23:23:10 ID:fyp
>>406

 結局目的なんか無いわけであって、究極目的なんぞなくても人は生きていけるのであって。
 その理論は多分会話にも転用できるから、それは特段違和感なく、当たり前に無目的にその椅子に腰かけた。
 違和感を違和感なく空白にして。

「――てふちゃん」

 蝶々婦人。なんて仰々しい名前だろう。
  イツ イツ ナンドキ
 何時何時何時も手軽で楽しいおつまみ感覚をモットーとしている――訳でもないが。些か対するには威に強く馴染みに弱い。ないない尽くしの癖にそんなことを思うのかと問われればそれこそこんな豪奢な存在にゃ話しかけるのだってあり得『 』ってもんだ。

「って今考えてみたんだけどどう思う?結構かわいくない?
 ほら蝶々って昔てふてふって表記されてたらしいじゃん。テキスト的にもやわらかみがあっていい感じ。と言うわけでてふちゃん、お加減いかが?
 本日はお日柄も良くって云々ですわ、おほほ」

 そんな感じで脈絡無く、目的無く、何よりどれより違和感なく、それはそこに座った。
 外形としてはアルビノの文学少女。内実としてはバックスペースが押されたあとの空白。ぷくりとした唇をにまんと笑ませ、なつこくあざとく、そこにいた。
408名無しさん@おーぷん :2018/01/19(金)23:38:31 ID:r5b
>>387

「ふっ…私より強い人間などこの学園を探せば少なくはないだろう…私は強いのかもしれないが…そう思ったほど強くはないさ」
「まぁ…トレーニングはいい息抜きにもなるし、自己鍛錬のいい機会でもある。素晴らしいものだよ」
「まだ…か怪しいなぁ…本当。君は本当に強い人間なんだろう」…そんな気がする。そこまで闘争に貪欲であるなら、幾らでも強くなれる」

目の前の少女に対し尊敬の念を向ける。ここまで戦いにストイックな人間は見たことがない。そしてゆっくりと呼吸を整えている斎賀を見て少し苦笑い。こんな調子ではいつ戦闘になるかわかったものではない。

「何、どうということはない。ただの雑談だ
む…?玉子…様?そ、それは王子のことについて…か?
それとも私の勘違い…だったりするのか?」

玉子様…見慣れない、聞きなれないフレーズに首をかしげる。
何か記憶の片隅にでも、玉子様というものの存在が確認できるかと漁ってみたものの、それらしい記憶はない。

「もしかして…その玉子様とやらが君にとっての王子様…ということでいいのかな?」
「はたその玉子様…一体どういった人物なんだ?」

純粋に疑問に思い、質問を投げかける。
409天堂アヤメ◆HSKoxfT5S6w. :2018/01/19(金)23:43:32 ID:uat
>>405
感触が刀から手へと伝わってくる。
そう、彼女の起死回生の一太刀は入ったのだ。
地面に落ちる懐中電灯の音を聞き、それを確信した。

視界が鮮明になる、彼女の能力が解けたのだ。
切れぬ刃を相手に向け、息を切らしながらゆっくりと少女は立ち上がる。

「"運命"なんかに、負けられない、からっ!」

最後に残った気力を振り絞るように強く言い放つ。
その模造刀を持つ手は震えていた。既に気力が尽きかけているのだ。
決めなければ、次は無い――

「"王子"になるまで…っ!私、誰にも負けられない、から…だから…その…」

震える手で再び刀を構える。そう、どの一戦も負けてはいけない。
負ければ、ここで散れば―― "王子"には一生届かない――
そんな思いで相手に刀を構えるも――

「あ…ぅ、ぁ……ご、ごめんなさい……っ!」

――時間は待ってくれなかった。
まるで0時を過ぎたシンデレラのように、少女にかかった魔法が解けた。
そこに残ったのは王子に反旗を翻す"叛逆者"などではなく、気弱で虚弱な"ただの少女"―― それだけだった。

すぐさま鞘を拾えば、彼女はその場から慌てて逃げ出すだろう。
今しがた戦っていた相手を殺める勇気もない"弱者"は背中を向け、ただ真っ直ぐ、走る――

きっとこれは"運命"なのだろう。
その後姿を、貴女は折れていないもう片方の手で狙撃する事も出来るだろうし、そのまま見逃してやる事も出来る。
例えどのようにしても、誰も恨まないだろう。

それが"少女の運命"なのだから――
410鷺山 汐里◆PjqvkhJn0o :2018/01/19(金)23:43:41 ID:SN0
>>407

「あら、お客さんかしら」

席に座った彼女へ優しく微笑み、歓迎の意を示す。
相手に敵意も害意もなさそうであるから、柔和なのは変わらぬまま。
彼女に対して違和感を持つこともなく、あたかも”当然かのように”扱っている。

「ふふ、てふちゃんですか」
「可愛げがあっていい渾名ですね、“蝶々夫人”より好きですわ」

なつこく接してくる彼女に、鷺山は友人のように言葉を返す。
てふちゃん、という渾名には結構気に入ったらしく喜んでいるようだ。

「ええ、お機嫌はよろしいですよ」
「本日はお日柄もよく、ね」

くつくつと嗤って、挨拶を返す。
機嫌もいいらしく、嬉しそうに笑んでいる。

「ところで、貴女は何を頼みます?」

と、飲み物を軽く聞いてみた。
411『  』◆FPSnPBGcsZYm :2018/01/20(土)00:31:10 ID:5w9
>>410

「お客さんだお~にゃおーん。

 ……今日は炭酸の気分だからレモンスカッシュでも頼もうかしらってなもんよ。もすこし暖かければフラッペにするんだけどなあ。春が待ち遠しいね。そう思わない?」


 漫画やアニメの類いなら効果としてヒゲと耳が追加されそうなテンションでそういったかと思えば真顔に戻り時節に触れる。
 ……その落差に何となく笑ってしまいそうなシュールさがあった。

「ところで君、レズなんでしょ? ぶっちゃけどうなの? 気持ちいいの? 僕って男相手なら結構経験あるんだけどさ、女となると男みたいに性感帯はっきりしてないじゃん?
 貝合わせとかあるけどあれもなんだか不完全燃焼なモジモジが続きそうな印象しか無くてさあー」

 下卑た話題を恥ずかしげも無く一通りぶちまいたあと、おまけのようにこう言った。

「あとパンツ何色?(迫真)」

 ()の中まで発音していくスタイルであった。異能力がなければ腹を立てられかねない質問だが、と言うよりも会ったとしても結構ギリギリのラインなのだが。それでもあえてそう言った。
 お嬢様とやらのノリの限界を見たくなったのさとか、質問したらそう嘯くに違いない。
412東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/20(土)00:52:23 ID:rYb
>>409
叛逆者の刃が光紗の元へと届くことはなかった。
光紗は怯え、竦み、震える彼女の背中を、ただ黙って見ているだけであった。

「……貴女は強い。貴女からは強靭な意志を感じる。これが貴女の示した道、か」

まだ負傷した右手を庇う左手は依然無事。やろうと思えば熱光線で少女の胸を貫くことも可能だったはず。
だが、光紗は指先を一度は向け――すぐさま構えを解いた。

背中を向ける者に追撃するという行為に抵抗があったというのは事実。
だがそれ以上に感じるモノがあった。その手を留まらせるだけの強いモノが。

「また、貴女とは会える。『あの人』がきっとそうしてくれるから」

全てはかの者の掌の上であったのだろう。この日二人が邂逅したことも、己の目的のために火花を散らしたことも。
少なくとも、光紗はそう信じていた。この痛みも、傷も、この場で得た物、失った物の何もかもが。
どう足掻いても定められた運命からは逃れられない。何者であったとしても。

「……さようなら叛逆者さん。運命の導きがあれば、また会いましょう」

痛む右手を庇いながら、辺り一面に散らばった鞄と、中身であった本やノートといった小物を拾い集めて。
光紗の姿は徐々に薄れていき、やがて学園を包む闇の中へと消えて行った。
不規則に点滅を繰り返す懐中電灯を一つ、冷たい地面に残して。
413鷺山 汐里◆PjqvkhJn0o :2018/01/20(土)01:04:56 ID:1zd
>>411

「ふふ、春になったら私達も卒業ですね」

ちょうど給仕の者がアッサムティーを持ってきた。
厨房に戻るついでに彼女のレモンスカッシュの注文も伝えておく。
――春が待ち遠しい。ブーケ戦争が終われば、春が来るのだろうか。

「――いきなり、妙なことを言い出しますわね」
「私はそこまで致しませんわ、接吻くらいのものよ?」

下卑た話題をいきなりぶち撒いたものだから、驚いた。
だが彼女の言ったところまでではなく、あくまで“自らは”接吻まで。
彼女らの痴態を見ることが好きなだけで、直接やるわけではない。

「……、パンツの色など気にするのかしら?」

お嬢様とやらの限界を見たい、と言われても。
なぜパンツの色など聞く必要があるのだろうか。
彼女の能力があったとしても、その違和感は空白にしきれなかった。

しばらくすれば、彼女のレモンスカッシュが届くであろう。
鷺山はアッサムティーを飲み、また景色を楽しんでいた。
414『  』◆FPSnPBGcsZYm :2018/01/20(土)01:28:16 ID:5w9
>>413

「そうだねぇ卒業だねぇ。思えば青春らしい青春してねーなー。なんか卒業式前に一華上げてえなあー。そう思わない? バンドでもやる?」


 こんなことを嘯くあたり、この存在には、結構な青春渇望のケがあるようだった。
 給仕されて来た、レモンスカッシュをちゅうちゅうとストローで吸い込んで。

「レズと言ってもソフトなんだねぇ。なんだかがっかり。
 ……ああでも、君の反応見るかぎり結構レズの人の気持ち解るかもしれないなー……。
 ちなみに男の人もイケるの?」

 その後、パンツの色について言及されると机をぶっ叩いて起き上がった!
 周囲が目を丸くして席を見つめるほどである。そして自分のスカートをつまみ上げたかと思うと――。

「ふざけんな!(声だけ迫真)」

 ()の中まで発音していくスタイルである。
 ぶわりとスカートがはねあがりふっくらとした太ももに柔く食い込んだストッキングとレースが眩しいパンティ、それを押さえつけるガーターベルト。一式黒。が白日に晒されるのである。

「君それでも女かねやー目に写らないしそりゃそう思う気持ちは多いに解るけどねやっぱり下着はぴちっとつけた方が気分も引き締まると言うものだよ
 なによりエロスが違うよしんば見られたときの可能性を考えると余計にねなんなら採寸して送ろうか?勝負下着もったいないぜてふちゃん素材はグンバツなのによー」

 ふぁさりとスカートの布が落ちるまでに一息にそう言いきって再び椅子に座ると、閑話休題、と流れを結び。

「さておき、やっぱ青春したいよねー。した? なんか青春した? そう言うエピあったらかもかもって感じだなー。僕には無いんだ。これから作れるといいなあって感じの気分
 違法改造したバイクで校庭を何周かするのが田舎のならわしらしいよ」
415斎賀永久 ◆4kD0QFoYSLw/ :2018/01/20(土)04:11:52 ID:lRJ
>>408

「強さの種類にこだわらなければそうかも知れないけどね、いかんせん搦め手頼りの娘ばかりだったから。
 好き嫌いはしちゃいけないとは思ってるんだけど、触ればへしゃげちゃいそうな娘にはどうしても食指が動かない、というか」
「買いかぶりすぎだよ……とはいえ、もっと上を目指せるといわれて、悪い気はしないな」

脳裏には、先日食堂で出会った“絶対王政”の姿が思い浮かぶ。
特権クラスで一二を争うグループを持つのだからただ者ではないはずなのだが、あの貧相な体をみるに殴りあって楽しい相手ではないだろう。
それと比べ、目の前の“魔王”たるや。
美味そうだ、と言わんばかりにぺろりと唇をなめる。

「“王子様”……?そういえばみんな、そんなことを言ってたような気がするけど、“玉子様”のこと?」

質問をほぼ同じ内容の質問で返すその様子は、冬華の困惑とほぼ同レベルのそれを味わっていることをありありと示す。

「人、っていうか……そのまんま、玉子だって聞いてる。丸呑みすれば更に強くなれる、って」
「“王子様”こそ、いったいどういう玉子なのか聞いてもいい?」
416天堂アヤメ◆HSKoxfT5S6w. :2018/01/20(土)06:09:33 ID:WOn
>>412

――――――――――
――――――――
――――――

「っ……ひぐっ…」

場面はあの戦いから暫くした後。
涙を流しながら、少女はとある寮の一室で貫かれた肩の治療をしていた。

奴隷階級の生徒が集うこの区画にある寮は、どの特権クラスの生徒にも属さない者達が集う寮である。
特権クラスが奴隷階級と同じ寮で生活するなど本来あり得ない事で、気が付かれたら即奴隷の烙印を押されても可笑しくない行為なのだろう。
しかし特権階級も寄らないような場所に立つここは、"弱者"たる少女が身を隠すのには丁度いい場所であった。

先の戦いが未だに脳裏にちらつく。
最終的に優位には立てたものの、臆病風に吹かれた挙句逃走―― 実に、実に無様な最後であった。
あの時見逃してもらったのが不思議である。何故彼女は私を――

「……もっと、もっと…強くならなきゃ…」

何はともあれ、私は生き残ったのだ。まだ"王子"を追い続ける事が出来る。
まだこの手で"運命"を変える事が出来る。その為にはもっと精神的にも成長しなければ。
彼女の"運命"を信じる心にも負けないくらい、強く――

「"王子"に辿りつくには…あの子にも負けないくらい、もっと……いっ――!」

消毒液が酷くしみ、情けない声で小さく悶えながら――
少女の"叛逆心"は再びふつふつと湧き上がっていった。

闇が学園を包む中、今宵も月は変わらず地上を照らし続ける。
少女達どのような運命を辿ろうとも、きっとそれは変わらずに"王子"を巡る戦いを見守り続けるのだろう――。
417鷺山 汐里 ◆PjqvkhJn0o :2018/01/21(日)16:35:59 ID:9CA
>>414

「そうね、何か青春らしいことでもしたいわ」

普通の高校生であれば、青春を謳歌しているであろう時期。
この学校の“特権クラス”の生徒であるがために、青春らしい青春などなかった。

「男の人とはイケないわ、そもそもここにいないでしょう」

鷺山は快楽をあくまで支配するための道具として使う。
先日の“生き刀”の一件でもそうであったが、どうやら勘違いをされているようだ。

「!?」

不意に彼女が声を張ったかと思えば、スカートの裾をつまみ上げていた。
美しいラインを描く太ももに柔らかく食い込むストッキング、フリルがひらひらしているパンティ、そしてガーターベルト――――。
女性としてのエロスを感じるかもしれぬが、こんな状況では驚くほかない。

彼女が一息に言い切ってしまったものだから、情報量が多すぎた。
話していること全ては分からなかったが、要約すれば下着も気にしろということか。
見えないところも含めて女性ということなのだろう。

「ええ、そうね……。何か青春らしいことってあるのかしら」

青春らしいこと、は在学中一つもしていないと言えばそのとおりだ。
青春らしいこと、について思考を巡らせながらアッサムティーを嗜んだ。
418『  』◆FPSnPBGcsZYm :2018/01/21(日)16:58:09 ID:8au
>>417

「そっか。僕は『横入り組』だからねー、外にいたときはいろんなやつと遊んでた。だから男相手なら結構経験があったりする。
 ビッチじゃないよ。優しさと性欲が直結してるだけ」

 いや、誰も聴いてねえよ。そんな突っ込みが入りそうな勢いでいろんな男に股を開いて来ましたと暴露。

「お、温まってきたね。青春らしいことって何かあるの?――いいクエスチョンだ。僕はそいつに食いつくよ。
 釣り上げられる運命を数秒後に控えた池中の魚のように食いつくよ」

 パチリと指をならし、ぺろりと見るからに柔そうな唇を舐めて。

「ではそもそも――」

 真っ白なそれは、こう言った。


「青春とは何ぞや?」


 ものすごく一般的に、有り体に言えばつまらなく形に押し込めてしまえば無責任であれる若い内に経験した熱情から絶望までをひっくるめたもの。
 盗んだバイクで走り出すも、授業をサボって校舎裏で煙草を吸うも。
 カースト上位に虐められるも、下位の仲間たちと額を合わせて語るも。
 教師に反発するも、生徒と喧嘩するも、なにもせずただ過ごすも、仇敵になりそうな相手に血を燃やすも。
 保健室で寝るも、『楽園』を作り上げるために知謀策略を巡らすも。

 全部ひっくるめて、青春たりうる。

 なぜならここにいる殆どは若いし。
 ここのほとんどを担うのも若さだ。
 それはもう、ほとんど。

「僕はね、人生と言うながーい空白のなかの一ミリ位だと捉えるよ。
 僕は気取り屋だからそんな風にあとで思い返すと顔を暑くしてしまいそうな中二発言で締め括るけど、君はどう? 君にとって青春とはなに?
 
 そもそもの概念に目を向ける。そもそもの概念が被っている薄皮を剥いで本質を見る。下世話なようだが君の好むところとする女の服を剥ぐように。
 今回は僕が提示主だからね、一枚一枚僕の服を剥ぐように、カーディガンをまくりあげるようにブラのホックをはずすよに、核心に迫ってみなよ。

 それが僕らの短い余白をようやっと埋めうるテキストになるかもよ?」
419鷺山 汐里◆PjqvkhJn0o :2018/01/21(日)22:13:16 ID:uXJ
>>418

誰も聞いてはいないのだが、彼女は様々な経験をしているらしい。
ビッチではない、と彼女自身はそういうものの。

「――青春、ね」

青春とは一体何か。
若い者が持つ情熱を、昇華させて概念にしたもの――といえるだろうか。
若さが持つ純粋で、純情なあたり構わぬ思い。

「私にとっての青春ね・・・・・・」

彼女は、青春を人生の長い空白の中の一ページだと例えた。
だが、鷺山にとっての青春とは一体何なんだろうか。
概念であるそれの本質を見なければならない。『空白』を埋めるに足りるものを。

「私にとっての青春は、好きな女の子と愉しく触れ合えるときかしら」
420氷室 冬華◆oeSv4NSudU :2018/01/21(日)22:23:26 ID:0wK
>>415

「それはそうだろう…真正面から打ち合うより搦め手で裏を取った方がいい。直接手を下さない方が楽だからね。君のようなタイプの方が珍しいだろう」
「しかし…華奢だとはいえ特権クラスの人間だ。何であれ油断をすることは許されないだろうな」
「人間を強くするのは欲望だ。私たちが超能力を得たのもある種の欲望のおかげだ。」
「とはいえ…私は君ほど殴り合いが得意なわけではない。私の能力の最たるものは、ご覧の通りの威圧だ。所謂搦め手…だな。」

そう言うと、周りに張り詰めた緊張感をもたらす。身震いが止まらないようなまさに恐怖の化身。それが姿をあらわす。

「玉子様…聞いたことがないな。強さを極限まで引き出せる玉子…ふむ…わからない。」

先程の威圧は一瞬で消え失せた。しかし…これほどまでに食い違うものなのだろうか。それぞれの王子様像は…

「私達はそれぞれ…王子様との婚約を目的にこの学園に籍を置いていると考えていたのだが…どうやら君は違ったみたいだな…」
「私の王子様は即ち国家権力。彼と結ばれればこの国を支配できる…と聞いて、私は家から刺客として送り込まれた。」

ありのままに、自分の王子様像について述べる。しかしどうも食い違う。目の前の斎賀にとっての王子様は、どうやら玉子であるらしい。しかしこちらにとっての王子は国家権力。あまりにも存在がかけ離れている。

「王子様というのは……1人だけではないのかもしれない。私にとっての王子様…君にとっての王子様…全く別のものだ。
もし、私が勝ち残って、君のいう玉子様にありついたのなら…それはそれで面白いのかもしれないね。」

玉子様のシュールさに腹筋を刺激され…少し笑いそうになる。
それと同時に…この学園のあやふやな、触れてはいけない部分に少し触ってしまったような…怪しげな齟齬を感じ取った。
421『  』◆FPSnPBGcsZYm :2018/01/22(月)04:07:48 ID:52L
>>419

「       」


 嘆息。


「       」


 またひとつ、嘆息。

「……ま、それでもかまいやしないか。
 究極とてつもなく強引に纏めてしまえば人間の生そのものが退廃の極みだからね。せっかく与えられた空白に何を書こうともライターの自由、か」

 生産性とかくだら無いし、結局そんなもの長い目で見ればあり得無い。
 そんならいっそ赴くままに退廃を甘受し嗜好する。快楽し諧謔する。
 それこそ人生――なのかもしれない。

「まさしく君はてふてふだ。夢の中でひらりくるりと泳いで浮かび、時に花の蜜を味わう蝶だ。
 胡蝶の夢――。と言うのは些か意味合い的にはそぐわなくとも、君の理想と重ねればそう間違った語ではあるまい。もっとも僕は推測でしか知らないしわざわざ確認する気も無いし、無論のこと邪魔をする気もありゃしない。
 じゃー何があるかって聴かれると僕は結局ないない尽くしの空白だから究極なにもあり得ない。そろそろ行くとするよ。いい夢が見れたから、残りの時間を適当に過ごすにはちょうどよくリラックスできた」

 レモンスカッシュを一息に飲み干して立ち上がり、踵を返す『それ』。


(――汝になにかしるべはありや?)


 脳髄の回りを蝶のように舞い踊る疑問を捉えて。

(まーそれとなく、一応は)

 そう自答した。


「そんじゃあな『青春兵器』」

 そう言い残して去っていく。この時は対していた蝶々婦人は無論、恐らくはこの学校すべてにいる人物が、この言葉のなかにとてつもない意味が込められている事を知り得ない。
 まあ結局、触れようとしなきゃなんの解決にもなりゃし無いし、波乱はあってもタノシミは無いし、究極触れない方が危険は無いし。良悪入り乱れてのないない尽くしここに極まれり。と言う感じなのだが。

「またどこかで、いつかなにかと」

 時が来れば知ることになろう。
 彼女の意味も。
 君らの意味も。

/と、ではこんな感じでシメさせていただきます。ありがとうございましたー。
422東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/30(火)23:07:51 ID:Do5
あの一夜から数日もの時が過ぎ、東谷光紗は放課後の教室で一人考えに耽っていた。
受けた右手首の包帯は未だに取れないまま、少々不便な環境で過ごす、見た目上はいつも通りの日常。
だが、どこで何が牙を研いでいるかは未だ知れず。心残りは数多く。

一番気にしていたことは、この目で見る限り、どの陣営も大きな動きを見せなかったこと。
特権クラス、いや学園全体を巻き込んだこの闘争、大きな動きがあれば嫌でもその姿は目につく。その陣営の規模が大きければ尚更。
だが、どの陣営にも動きが見られない。何か大きな催しごとでも起こそうとしているのか。

規模の小さな陣営が生き残るために取る行動は、大局を見定める事。
小さければ小さい程、その姿は捉えにくくなる。ゲリラ戦ほど大部隊を苦しめた戦術は存在しないと言っていい。

思考には及ぶれど、実行に移すことは難しい。
日も傾きかけ、夕暮れの赤に染まる教室の中、彼女は一人思慮に耽る。

「『あの人』は私に何を求めている? これ以上を、私に?」

時に両肘を机に置きながら、彼女は途切れ途切れに跡の残る黒板を眺める。
思考の渦に呑まれる中、独りの時間は刻一刻と過ぎて行く。
その考えは、来たるであろう来客の存在を忘れさせてしまう程に。
423依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/01/30(火)23:41:55 ID:dJJ
>>422
蜘蛛、とは獲物が気付かない様に糸を巡らせて待つという。
やがて哀れな生き物が糸に掛かったとき、嬲りそして生きる中で一番の絶望を味合わせつつ貪るなんて話もある。
――だが、どうやら今日の分は満たされているのだろう。教室で独り耽る彼女に寄る廊下の靴音からは敵意が感じ取れない。
ガラリ、と無遠慮に空けられる扉。それは存在を隠す気も無い表れとも取れる。
若しくは思慮に意識を向けて居た彼女を現世に呼び戻す切っ掛けにもなるだろうか。

「仮にも特権クラスの一人だというのに随分と不用心なのね?それともそんな気を配る必要も無い程の実力者だったかしら」

許可も得ずに教室へと入ってくると、丁度東谷の正面に位置する机へと腰を降ろすのだろう。
不用心、と言えば急に現れたこの女も大概だ。
相手も特権クラス在籍と知りながらこうして正面に立つ行為。冗談めかす様に笑いながらも攻撃の手は無く。
仮に依糸の噂を耳にしていればソレとは大きく異なる姿。
‘非常に好戦的且つ残虐的’なんて噂とは。

「教科書の類も無いのだから勉強、という訳でも無いのでしょう?」
「……そうねぇ。今は気分が良いから悩み事があるなら聞いてあげても構わないわよ」
「と、言うか。楽しそうだし話してみなさい。――先に言って置くけど、弱みを握られる心配をするなら無用よ?」
「だって私は他人の弱みなんて握らなくても……ね」
「貴女の様なタイプは一人で考えても結局堂々巡りで答えは出せないでしょう?」

足を組むとスカートが捲り上がり、白い大腿が夕焼けの朱によって紅く染まる。
クスクス、と笑う声は底の見えない暗闇への誘いのよう。
勿論、話す話さないの選択権は東谷へと委ねられている。如何なる選択を選ぼうとも、依糸の笑みが崩れる事は無いだろう。
424東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/01/31(水)01:12:00 ID:VK4
>>423
宙へと浮く意識も、堂々巡りの思考も、全ては何処より鳴り響く靴音と無秩序に開かれる扉によって現実へと連れ戻される。
考えたくはないが気を抜いてしまっていたようだった。この状況に陥るまで接近に気づけないとは。相手によってはこの首は既に落とされていたかもしれないというのに。
だが幸運にも敵意は感じられなかった。顔には出ないが、服の下で汗が一滴、二滴と曲線を伝う。

「その必要はない。私の運命はそう定められていないから」

特に言葉もなく正面に座り込んだ顔には覚えがある。同じクラスにいるのだ、顔と名前程度、一致させておいて当然。
ましてはその顔が飛び交う噂話の中でも、一定の評価を得ている人物であるならば尚更。
"誘惑の銀"。好戦的な志向を持つ危険人物の一人。今までに幾度となく生徒を堕とした経験のある人物と。
そんな彼女とこの場で遭遇することになるなんて。運命とはどれほど数奇な物だろうか。

「貴女に話すことが私にとって利益になるとは思えない」
「でも、それが貴女の出す条件だと言うのなら、喜んで私の胸の内を語ろう」
「それが『あの人』の選択だから」

顔には出ずとも心境は見透かされていたのだろう。このまま此処で物思いに耽ろうとも、その答えが出る事がないという事も。
繰が信用に値する人物であるとは思えない。だがこれこそが試練だと言うのならば、運命であるのならば、乗り越えられないことはない。
この先に答えがあるのならば手を伸ばすだけ。

「貴女の勢力が一定の地位を確保している事は知っている。それを承知で話を進める」
「この現状をどう見る? 一人の特権地位に身を置く人間として」
「他の人物たちをどう見る? 私を特権地位に身を置く人間と知って尚」

語る光紗の目に迷いは一片も存在していない。先ほどまで教室で独り空虚だった少女と同一であるとは思えないほどに。
光紗は特権クラスの人間である。しかし、そこに身を置く個性的な面々に比べれば、普段においてもあまり目立つことのない背景のような存在。
だが一度向き合った者には確かな印象を残す。一人の人間として。一分として垣間見えるナニカと共に。

舞台は回り始める。二人の少女を中心として。
425依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/01/31(水)19:58:22 ID:KaG
>>424
彼女の言葉には時々引っ掛かるモノがあった。あの人、運命――取り方次第ではまるで自分の意思を持っているかすらも危うく思えそうだ。
だが、今はその事に言及はしない。語っている事をただ聞くのみ。
足を組んだ姿勢を崩すことも無く、笑みを消す事も無く。彼女が抱いて居た疑問を聞いて……
何とも可笑しそうに笑って見せた。まるで最初から答えは分かりきっていることだ、とでも言いたげに。

「簡単な話よ。誰かが動けば嫌でもその人は話題に出ることでしょう」
「動けば動くだけ目を付けられて、同盟なんて組まれれば対抗も出来ずに隷属に堕とされる」
「――それを多くの人達が恐れ、結局は上手に並べた磁石の様に均衡を保っている。けれど……それも簡単に崩れる様な危ない状態ね」
「或いは、そう……中には‘お友達’になってしまって手を出せなくなった人も居るでしょう。フフフ……言ってしまえば王子様以上に良いモノを手に入れたのかしらね」

皆が腹の探り合いをしている内に誰も迂闊に殺したり謀ったり出来なくなった状態だ、と推測。
勿論水面下では諍いが起きているだろうが同時にまた別な事も起こっている。
……だが、それは名の有る生徒に限ってとも加えた。大した力も無い生徒は日に日に陵辱され慰み者にされている者も居るだろう。
自我を捨てされられ文字通りの奴隷として余生を生きていく事になった生徒も少なくは無いはずだ。
それでも誰でも気に掛けない。そもそも知ろうとしない。
――そんな弱者を繰もまた遊びと称して嬲っているのだが。

「貴女だって分かっているでしょう?誰かが誰かを殺した、隷属させたなんて噂が耳に入れば無意識にでも警戒してしまう」
「……だけど、結局は大きな存在しか見ていないから小さな生き物なんて見る余裕も無いのよ」
「気付いた頃には誰かが居なくなっているなんて珍しくも無い話。だから貴女も気を付けなさい?今は何も起きないからと安心していると――」

光紗の顔を覗き込むようにするとカチン、と歯を噛みならして補食の真似事。
この女がそうして名もなき生徒を一人一人食らっていると想像するのは難しくは無いが……その本人が、暗に自分以外にも陰の捕食者は居るとでも告げているかのよう。
殺す事は楽しみで、壊す事は喜び。それが、依糸と呼ばれる女だ。
一通り話すと近づけていた顔を最初と同じ様に遠のけ、小首を傾げて見せる。

「これが私なりの考えよ。どう、話してみて利益にならなくても不利益にもならなかったでしょう?」
「さて……もし納得したのなら次は私が貴女に聞いてみたいのだけど」

指差す先には、無論光紗の姿。
あの人だとか運命だとか、少女に対して疑問に思う事が幾つかあったが故に
426東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/02/01(木)00:25:13 ID:UTy
>>425
光紗は彼女の、操の言葉をただ黙って聞き込んでいた。
返された言葉はあらかた予想通りの言葉でもあった。だが全てがそうという訳でもない。

お友達。唐突にあの日の記憶が脳裏に蘇る。
見捨てるな、一人にするな、そばにいてくれ、とあの時彼女は語った。もちろんその願いを無下にする気はない。
彼女との関係は果たしてお友達と言えるのだろうか。今の光紗の前にはその答えは現れない。
あの夜自身に刃を向けたあの叛逆者はお友達と言って良いのだろうか。答えは見えない。

「誰かと関係を結ぶことなんて、私には分からない。私がどう動こうが訪れる結末は変わらない」
「これが私に課せられた役割だと言うのならば、私はその役目を果たすだけ」

「それに、私が選ばれている運命はもう変わらない。プロットに変更はない。そこまでの過程が前後するだけ」
「その過程で何が起きようが、誰が消えようが、それは必然に過ぎない」
「貴女に食べられる事が運命だと言うのならば、それは仕方のない事。そう出来ているとは思わないけど」

あまり冗談とは思えない言葉だった。その気になれば今すぐこの身を糸で絡め取ることも容易であるはず。
それでもその身を案じないのは、絶対的な自信があるから。自分がここで倒れることはない、という根拠のない、だが彼女には確かな自信が。

光紗という少女が操とは異なり、必要以上に手を出さない心意気がある。
自ら望んで行う殺しも破壊も存在しない。目的が手段へと変わる時は目の前に障害が現れた時。それを『あの人』が望んだ時。
そこに彼女の意志があるのかどうかは怪しい。果たして先ほどの悩みも彼女のモノであったかどうかも。

「では聞こう。私が貴女に答える事も、『あの人』が望んでいるのだから」
「『あの人』の前で、私は何も隠すことはない。貴女が真に望むモノを話せばいい」

目前の机に肘を立て、組んだ手の甲の上に頬杖を付き、続く操の言葉を待つ。
向けられた指先へと伸びる青色の瞳は、普段より一層色濃く映える。
427依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/02/01(木)19:18:25 ID:EQT
>>426
「――そうねぇ。貴女は‘誰’かしら」
「……何て質問は、あまりにも漠然としているわね」

冗談の様で、冗談では無い言葉。大概の人物には少なからず欲望があるものだ。
大小異なれど、例えば人を殺めたいといった暴力的な事から人を愛したいという事もまた欲望。
更に小さければ美味しい物を食べたい、という事すらも該当すると考えても良いだろう。
しかし、光紗にはそれにしいものが一切見られないようにも思う。それぞれの欲が一人一人の個性であるなら、光紗とは一体何なのか。
彼女は人間という生き物では無く、一体の人間の様にも思える。変わらないであろう表情がより一層それを思わせ――
同時に、繰を昂ぶらせる。壊すのも楽しそうだ。だが、この様な相手は壊そうと思ってもそれが完了する前に自死を選ぶ事も多いのも経験から知っている。
何より、現在満足しているという言葉に偽りも無い。だから、戦闘という選択肢は選ばず。

「‘運命’だとか‘あの人’だとか言っているけど、それは一体何かしら?」
「宗教家の様には見えないし、痛い妄想を抱く様な性格にも思えない」
「私から見れば今の貴女は‘誰’と呼ぶのでは無く、‘何か’と表してしまった方がしっくりくるのだけれど」

繰からすれば目の前で話して居るのは東谷 光紗と名を持った肉の人形だ。
きっと光紗にとっては起きる事の全てが運命で事が済んでしまうのだろう。
光紗にとって定められた運命にただ従うだけの操り人形。だが、そこにイレギュラーを発生させたら東谷光紗と言う人間らしい反応が見えるだろうか。
別にそれは限度を超えた痛みだけに限らない――と其処で思考を止め。
光紗が果たして如何なる言葉で返してくるのかを楽しそうに待っていた。
428東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/02/01(木)21:15:00 ID:UTy
>>427
「……私は私。東谷 光紗。それ以上に自分を表せる言葉は知らない」
「私以外に私を証明出来る人間はいない。他に出来る人がいるのなら『あの人』ぐらい」

幾度となく光紗の口より語られる単語。傾倒しているようにも崇拝しているようにも聞こえる言葉。
この言葉を口にするたび、光紗の瞳の奥底から発せられる鈍く光る輝きが、より一層深まる。

別に光紗は宗教家でもない。周囲に熱狂的な神祖がいる訳でもなく、ごく一般的、とは言えないが裕福な家庭で生きた少女に過ぎない。
だが一人の人間と呼ぶには少しばかりの要素が欠けていた。年相応の少女とは呼べない何かが。
彼女が真に信じる者が、心の奥底より心酔する者が、東谷光紗という一人の人間の根底を湾曲させていた。

「貴女も知る決心が出来たのね。分かった、これより貴女に伝えよう。この世界を統べる人物を」
「そして私、いや私たちの終着点を」

繰の言葉を待つことなく、次へ次へと話を進めていく。
そこに同意も異論も存在しない。ただ淡々と機械的に言葉を紡ぐだけ。

「私たちの運命は既に決まっている。あらかじめ定められたレールの上を歩いているだけに過ぎない。感情も、目的も、生死も」
「まさしく神のような存在。そんな事が許されているのなら、その場所に立って世界を眺めてみたいと思わない?」
「この闘争の果てに待っている人物がその人であるとしたら、これほど心躍ることはないと思わない?」

「宗教家とでも一個人の妄想とでも思いたいのならば好きにすればいい」
「でもこれは事実。私が知り得る、私しか知らない世界の理」
「新たなる神の座に選ばれ、この事実を世界に伝えること。それが私に課せられた使命であり、運命である」

このような言葉を信じられるような人間はいないだろう。だが光紗はさも当然のように語るのだ。
新興宗教の教祖が語るようなこの言葉は、光紗の本意か、それとも彼女を操る『あの人』の甘言か。それはわからない。
429依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/02/01(木)22:03:16 ID:6Q0
>>428
「嗚呼、そう――それで良いんじゃ無いかしら。少なくとも、貴女には」
「だけれど私は誰に糸を引かれて手足を動かしている訳でも無ければこの言葉を発している訳でも無いの」
「貴女は既に運命を決められている側。そして、私は運命を決める側。……ふふ、どんな安全な列車でもレールから脱線して気侭に走るのも居るものよ」

信じたくない、と言う訳では無いのだろう。何しろ、信じる信じない以前の問題なのだから。
自分が運命を決める側であるという揺るぎない確信を持っているからこそ、正面から言い退ける。
そして、光紗による高僧の説教染みた言葉を聞きより一層疼きを覚えた。
より強い信念を抱く者をジワジワと浸食していくのが何よりの喜び。もしも光紗を僅かでも揺るがす事が出来れば、その時は彼女自身も知らない光紗が刹那でも見えるのだろうか。
無意識の内に舌なめずり。だが、攻撃の気配は無い。――する気が無いのだから、当然だが。

「別に誰が何を抱こうと否定する気は無いわよ。全ての物事の真実なんて人によって違うのだから」
「……さて、そろそろ寮に戻ろうかと思うけれど。こうして色々と話して貰えたのだもの」
「貴女にお礼の一つ位させて貰っても良いかしら?……別に痛くする訳でも無いわよ」

椅子代わりにして居た机から降りると、見下げる様にして光紗の前へと立つ。
彼女が否定さえしなければ、その顎を引いて視線を交差させようとする事だろう。
誰が話しても恐らくは光紗に対しての言葉は本当の意味で届く事は無い様に思える。
ただ耳を通り、それに対しての反応を機械的に示すだけ。例えそれが美しい詩であっても。
……だが、肉体的な変化はどの様な反応が示されるか。『あの人』から一瞬でも離れて、一瞬でも『あの人』を考えられない東谷光紗を引き出したらどうなるだろうか。

「別にキスされる事に抵抗はないでしょう?嫌であれば無理に、とは言わないけれど」
「そうね、貴女なりの真実を教えてくれた事に対する親愛の証とでも取って貰えるかしら?」

糸にこそ目を付けられがちだが……もう一つの依糸繰の能力”恍惚の美酒”によるちょっとした悪戯。元より今は堕とす気は無く――その信念が何処まで保てるのかとの興味なのだろう。
もう一つの手が光紗の頬を撫でつつ問う。強制をしない事からして、それに対する反応も伺っているのだろう。
仮に口付けを許可しても効果は一時的なもの。それが果たして光紗に対して何処までの影響を持つかは繰には分からないが。
430東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/02/01(木)23:23:08 ID:UTy
>>429
「貴女が意図せずとも、既に貴女は『あの人』の手中にある。それは私も、どの人間も変わらない」
「貴女にはレールを外れているように見えるかもしれないけど、その上もまたレールの上」

光紗の眉が微かに上下する。ほんの少し。彼女は確かに揺れ動いた。
『あの人』の思惑を伝えることこそが光紗の務め。操のような人物を導くことが。
そして何より、どんな形であれ、自身の言葉を確かに受け止めたという事実が、光紗を揺さぶった。
だが光紗の本性はまだ見えない。『あの人』という檻に閉ざされたまま、光は届かない。

顎を引かれようとも、操の手が頬を伝おうとも、光紗が抵抗することはなかった。
ただ操の思うがままに光紗の身体は動かされる。操縦者の欠けた操り人形のように。
絡みがいのない、期待外れの人間と思われてもおかしくはない。だが、これが東谷光紗という人間である。
強固な個性もなく、周囲に混ざれば背景のように身を溶け込ませる、芯の備わっていない空虚な少女。

「……好きにすればいい。貴女の思うようにすればいい。これも『あの人』が望んでいるのだから」

何かをこの身に落とし込もうとしている言葉を受けても、素振りを見せても、光紗はそれを受け入れる気でいた。
間違いなく、確かにこの光紗に何をしようとも……例え口づけを交わそうとも、操の思惑は滞りなく果たすことが出来るであろう。
これが光紗の言う運命なのだろう。これからされるであろう事も、彼女は運命として受け入れる気だ。

果たして操の目に、本当の東谷光紗は映るであろうか。
431依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/02/02(金)21:28:44 ID:ECn
>>430
全てなされるがままの光紗を見てふと思う。――運命、という言葉で自分を偽って自棄になっているのでは無いかと。
彼女の生い立ちや今までの事は知り得ることが出来ないし推測も難しい。
人は逆境に抗おうとするものだが、彼女には例えソレが訪れたとしても抗う事無く……それ所か『運命』と自分で決めつけて終えてしまうような。
今まで幾度も諦めてきたのだろうか。『あの人』の望みだから。これが『運命』だからと。
端から見れば滑稽であり狂人だ。だが他ならぬ東谷光紗が自分は正常だと言えばそれで終わる話。
――ならば、東谷光紗自身が今の自分は異常だと思えばそれこそ本当の光紗が見えるのだろうか。

「ええ、好きにさせて貰うわよ?だけれど、勘違いしないで頂戴」
「貴女にとっては『あの人』が望んでいる事なのかも知れないけど、これは確実に『私の意思』で行っている事」
「どう思っても勝手だけれど……少なくとも、誰にも運命を決められない私がする事よ」

何にも目を向ける者は居る。目立たない小石だろうと、無数に生える草の一本だろうと。
それを見出し鮮やかに彩るの者も居て、今まさに空虚を自分なりに描き出そうとする者が居た。
ツイ――と指を立てて口付けを行いやすいような首の角度を保たせればそのまま重ねるのだろう。
数秒後には強力な媚薬と同じ効果、そして高揚感と言った禁じられている薬にも似た効果が出てくるだろうか。
勿論レジストする力や其れ等に対しての耐性が高ければ効果の程も異なる。
フレンチキスにも似た浅い口付け。重なった唇を離すと、湿った吐息の掛かる距離でクスクスと笑い。

「そう言えば貴女はキスの一つや二つはした事があるのかしら」
「……それも今は些細な事かしらね。だって、貴女から‘思う様にすれば良い’と許可は得ているのだし」
「貴女からすればこうされるのも『運命』なのでしょう?」

未だに『されるがまま』の姿勢が崩れなければ再度の口付け。とは言っても、今度は操の舌が光紗の口内を犯す事になる。
じっくりとした愛撫にも似て、光紗の舌と絡ませ、歯茎の裏を撫で。
唾液を体内に取り入れればその作用は大きくなり、人によっては脳を痺れさせる――では足りない程の快楽。
感覚で教え、耳には不規則で音を立てる水音を聞かせ。
ただの口付け。どれ程にまで効果があっても絶頂に至るのは難しいだろうか。
――目論見は簡単だ。きっと光紗と言う少女は快楽という感覚すらも知らない様に思える。
そんな少女に最初から強力な快感を覚え込ませればどの様な反応が見れるのか。
痛み等は飽きるほどに知っているだろうが……初めての感覚を味わった時に見せる反応が、きっと本来の東谷光紗だと思ったのだろう。
拒絶が無ければ、もしくは拒絶するだけの気力が無ければ。もどかしいような速度で、彼女の口内を犯し愉しむ。
或いは呼吸のタイミングすら管理するかのように。

別に今は『あの人』についての記憶を塗り替えようとは思わない。
純粋に東谷光紗としての反応を確かめる。きっとその様な感覚なのだろう。
それに至る手段が繰の二つ名に相応しい、ただそれだけの事だ。
432東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/02/03(土)13:52:08 ID:Zwg
>>431
果たして東谷光紗が自身の現状を顧みる事があるだろうか。自身が異常で狂っていると認識する時があるだろうか。
もしその機会があったのならば、恐らく今此処にいる光紗は存在していないだろうし、東谷光紗という人間は明確な自己を保っていたことだろう。
全ては静かに狂い始めていた。その身に宿る異能を知った日から。己の秘めたる欲望を果たせるようになったあの日から。
深く閉ざされた檻を破らない限り、彼女の本性は見えない。見せようとはしない。
だって彼女は背景に佇む一人に過ぎないのだから。そんな人間の本性なんて、いちいち確認する必要はないでしょう?

二つの唇が静かに重ね合わされていく。そして光紗は変わらず、それを受け入れる。
だが数秒して、彼女の身体に異変が起こり始めたことを、彼女自身も確かに受け取り始めた。
明らかに異様な心拍数の増加。細部がむずかゆくなり火照って行く身体。混濁していく意識。
何か盛られたと思う事はあれど、それに抗う術は持ち合わせていなかった。

「はあッ……はあッ……はあッ……」
「これが貴女の望むことなら……私は受け入れるだけ……よ……」

「何コレ……こんなの……初めてッ……」

自らの身を侵攻していく感覚に抗うことも無く、操の身体を押しのけることも無く、息つく間もなく訪れる再度の口づけ。
光紗とて一人前の年頃の少女。このような経験は幾度となく存在する。だが、今感じている感覚はそれらを容易に超えるモノであった。
されるがままに荒らされていく口内。それを喜ぶが如く感じる高揚感と快感。
彼女の舌が光紗の口内の隅々に触れるたびに漏れる吐息でさえも、全てが彼女に委ねられているような気もして。
途方もない程の感覚を味わい、光紗の思考はパンク寸前だった。

「私の身は……『あの人』に捧げたッ……捧げたのにッ……」

「もっと……もっと知りたいッ……この感覚をッ……噛みしめたいッ……」

無意識に両手が自らの身体に伸びていく。
身体が求めていく。更なる刺激を、熱情を、快楽を。
あふれ出る思いを貪るように、自らの秘部に伸びた手が動く。今はただ、一心に。
東谷光紗という少女の被る仮面は、確かに剥がれつつあった。
433依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/02/03(土)16:30:24 ID:EWU
>>432
果たして光紗は快楽に身を任せて秘所に触れようとした手が動かないことに驚くだろうか。
一方的に与えられるだけの感覚に、拒否も出来ず。一度絶頂すれば至上の快楽があると分かるのに、それに至る事の出来ないもどかしさ。
光紗の理性が、肉体が更なる刺激を求めたとしてもそれを制するのは他ならぬ口付けをする本人。
――表すなら、与える側と与えられる側。運命を決める側と、それに従う側の違い。

「そう、私の望むこと。そして、貴女はそれを受け入れる。よく分かっているじゃない」
「……だけれど、何が違うのかしらね?貴女の言っている『あの人』と」
「貴女は私にこうして全てを決められ、管理される存在。本当はその事に嬉しさすら感じているのでは無いかしら?」
「ただ見えない幻想から聞こえる幻聴よりも、こうして直に触れられ肉体を感じて……これは私の望むことだけじゃない」
「『貴女も望んでいる事』なのじゃないかしら。危険と承知の上で踏み込んだ……本当に、それは『あの人』の考えなの」

混濁する意識にジワリジワリと甘い毒が流され、脳内を遅効性の毒が犯し始めようとする。
繰の能力が全て通じているのだとすれば、耳を通る言葉すら身体の芯まで撫でる愛撫の様なもの。
それは身体だけで無く、精神に快楽を与える普通ならば有り得ない感覚。
普段の光紗ならばそれも『あの人』が決めた事であり、運命だと軽く言い放つと想像するのは容易い。
だが、今はどうだろう。他ならぬ光紗自身が、その吐息すらも繰に委ねられていると感じているならば――それこそ、光紗の運命を操っているのはその女本人。
再度頬を撫でる手。それはきっと、自身で秘所に触れるよりも快感で、幸福で……だが目前の絶頂には達せない。
溶かしていく造られた少女の存在。東谷光紗は分からないが、大体の人間は偽りの存在が強ければ強い程に本性は純粋で脆い事は経験上から知っている話。

「今の貴方の身は『私に捧げている』のでしょう?こうして全てはされるがまま」
「貴方が知りたがっている感覚は『あの人』では無く私があげているもの」
「――さあ、どうしましょうか。貴女にも『望むこと』が出来たのじゃ無いかしら」
「恥ずかしがらずに言っても良いのよ。此処に居るのは私と貴女だけ。でも、『望むこと』があるのならば約束が一つ……今だけは『あの人』では無く、私に言う事」
「簡単なルールだもの……守れるわよね?」

口付けを終えれば、少女の座る椅子の背へと回り込むのだろう。
拘束する糸は弱い。その気になれば糸を断ち拒絶も出来るが――快楽を与えられる喜びに慣れつつあるならば後ろから軽く抱き止められる。
耳元で囁くような声。舌先が光紗の耳を撫で耳穴へと侵入する。
所詮人の舌の長さだ。僅かにしか届かないはずだが……毒に犯されて居れば、脳まで届くような錯覚すら覚えるだろうか。
誘惑の声。もしも東谷光紗と言う人間に『願い』が出来たのだとすれば、此処に居る自分に願ってみろ、と。
只でさえ快楽という感覚で一杯になった所に更に快楽が注ぎ込まれるのだ。
繰の能力。毒に犯された人間が口走った事は、全て自身の記憶・人格にまで影響を及ぼす可能性があるという事。
光紗が目前の絶頂を断れば、きっとその影響は何も受けずに終わる。だが、その先に待つのは――自分で秘所に触れて得られるだけの絶頂。
何度も何度も行ったとして、繰が触れて行う一回分にも満たない……とは疼く本能が分かるだろうか。
何にしても、現在は自分の肉体でありながら管理されているという状態だ。この状態の選択ですら、繰は楽しそうに委ねるのだろう。
434東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/02/03(土)21:32:04 ID:Zwg
>>433
「もっと欲しい……! もっとキモチヨクなりたい……!」

「嫌ッ……違う……そんな事……『あの人』は望んでない……! 私は欲してない……!」

「もっともっともっともっともっともっともっと! こんなのじゃ満たされない!」

深い檻に閉ざされた東谷光紗という一人の少女が少しずつ溢れ出して来る。
先ほどまで居た『あの人』を崇拝していた彼女とは似ても似つかない、ごく普通の少女と変わらない人間としての彼女が。
操の手が光紗の肌に触れる度に、操の声が脳に響く度に、今までに感じたことのない強烈な快楽が波となって押し寄せる。
震える手足、紅潮していく白い肌、荒くなる呼吸。全てが自分であり、自分ではなくなっていく感覚。
今、光紗の身体を心を操るのは『あの人』ではなく、もっと別のナニカであって。

必死に自らの身体を蝕む何かと戦う光紗に身体の自由はない。身体を動かされようとも彼女の意志はない。
柔らかな操の身体に抱かれる感触も、舌が耳へと這い寄る感覚も、全てが筆舌し難い激しい感覚として迫り来る。
考えられないと、あり得るはずがないと分かっているはずなのに。脳を貪られ乗っ取られる感覚が襲う。
何より恐ろしいのは、その事実ですら自分が心待ちにしていたかのように受け入れようとしている事。
物事を正しく認識しようとする意志さえも、その毒によって優しく蝕まれようとしていた。

「そんなの決まってる! 早く早く早く早く早く! 私はこの先へイキたいッ!」

「違う! 私が望む事はただ一つ! 私がしなければならない事は一つのみッ!」

『私の、私の願いは一つだけ!!』

東谷光紗の中で大きな葛藤が生じる。『あの人』による光紗が、『運命』を押し付けられた光紗との衝突を生む。
その抗争は東谷光紗という一人の人間の身体を通して、声となって外へと漏れ出す。
この先の未知なる絶頂へと辿り付きたいと願う声、『あの人』を信じ乞う事を望む声。
長くも短くも感じられた時間の中で、光紗が出した答えは――。

「――――『あの人』の元へたどり着く事。それだけ」

一歩足を踏みしめ、操へと寄せていた自らの身体を引き起こす。自らの意志で彼女の身体を押しのけて。
その瞳には、あの時と変わらない深く濁った青が輝いていた。
435依糸 繰◆BKmAoJd/ItaY :2018/02/04(日)10:25:11 ID:4qr
>>434
『拒絶』された事に対して驚きを見せる事は無かった。或いは拒絶される事を期待していたようにも思える。
狩りにも似た興奮。直ぐに得られる獲物よりも時間を掛けて狩れる獲物の方が愉しみもあるというもの。
故に、押しのけられようともその力に逆らう事は無かった。
自身の毒は彼女を蝕むことが出来る――それだけで十分な収穫だ。
気付いた頃には糸も解れ、自由に手足も動かせるようになっている事だろう。
その時には既に繰の姿は目前に無く、廊下との境界である扉へと向かっているのだが。

「振られてしまったならばまた無理にキスをする訳にもいかないわね」
「……それに、最初から食べ尽くしてしまうよりも美味しいモノは少しずつ食べたいのよね」

それに、僅かではあるが確かに少女としての東谷光紗を見た様な気がした。
完全に表面に現れる事こそ無かったが、『あの人』を盲信する光紗とはまた別な東谷光紗が居るのだろうと憶測して。
もしもその憶測が当たっていれば――次に会う時には面白そうだ、と。
果たして今日の毒が今後光紗に影響を与えるのかも分からない事ではあるが、完全に失せていたとしてもそれはそれで良い。
未知なる感覚とは幾つもある事。絶頂、なんてものは生ぬるく感じる程に。
扉を開けて去る間際に再度光紗を見遣る。その表情は、楽しそうで。

「快楽に悶えていた貴女の方が、よっぽど東谷光紗らしく見えたわよ」
「だから……何時の日か、本当の貴女を一度引き出してあげるお手伝いをしてあげる。今日の気持ちよさなんかまだ可愛いものだったと思える位に……ね」

光紗から返されるであろう言葉を聞く事無く、教室から失せる。態々聞かずとも、返答は予測できるという事か。
――そしてそれを知った上で尚、告げるのだ。
光紗も教室から退出する際、繰の機嫌が良かったその理由を知る事になるだろうか。廊下に続く血の跡。鋭利な刃物で切り落とされたような女性の腕。
きっと、加害者は――――
436東谷 光紗◆ddZFnk7YLw :2018/02/04(日)15:21:18 ID:6ru
>>435
操へと向けられるあの眼は、確かに普段と寸分たりとも変わらない光紗の物だった。
だが呼吸は依然として荒く、顔の紅潮も未だ取れない。
先ほどまで激しく快楽を求め狂っていた東谷光紗は確かに存在した。今ここに。

「貴女が私を貪り求める事が運命だと言うなら、私は喜んでこの身を捧げよう」
「でも『あの人』が本当に求めている事でなければ、私が動くことはない。貴女の願いが道に沿った物であることを祈ろう」

再び東谷光紗という少女の真なる願いは、深い闇の奥底へと葬られる。
彼女の信念は歪み切っていた。『あの人』への執着心が光紗の内側を押し殺せる程の力を持っていた。
あの毒を持ってしてでも本性を解き放つことが出来なかった。それほどまで深く、重く、鈍い信念を保持していた。ただそれだけ。

「あんなもの私とは認めない。貴女の手中で踊らされていただけ。見苦しい姿を見せた」
「さようなら、"誘惑の銀"。運命の導きがあれば、また会いましょう」

言葉を返した時には、もうそこに操の姿は無かった。
彼女に届くことはないと分かっていても、それでも別れの言葉は伝えたかった。口にしたかった。
あの時心の奥底から湧き上がって来た感情を振り切るために。あの事を認めないように。

椅子から立ち上がったまま、先ほどのように自らの秘部へと手を伸ばす。
そこは今まで自分が行ってきたどんなものより、『あの人』を思い耽ったあの時より、間違いなく湿り濡れていた。
もうあの感触はどこにも存在しない。自らの手で慰めたとしても到達することは出来ない。その事実は何より光紗自身が一番感じていた。

教室の扉を抜けた先、赤い装飾の施された廊下を抜けて家路を戻る。
この程度で驚くような身ではない。この闘争が繰り広げられる学園では珍しくないありふれた光景。
だが確信はあった。何があったのか、これが誰によって引き起こされたか。続きは帰り着いて考えるとしよう。彼女への対応も兼ねて。
437堂府 散◆KqOlgphsHw :2018/02/12(月)18:03:25 ID:6dE
「うーーーーん………」
「あの頃に比べたらちょっと弱くなったかな?」

特権私立純血学園の放課後は、まさに一般生徒にとっては地獄の時間である
辻切りや特権階級間の衝突も多発する頃合いであり、非常に気が憂い頃に相違ないだろう
堂府 散もまた辻切りとはいかないまでも、能力の試し撃ちに心血を注いでいた

ガラガラと崩れ落ちる積み上げられた椅子達は散の能力によって触れずに倒された
しかし散はその結果に納得がいかないようで、面白くなさそうにしかめ面を浮かべる

(前はこれくらいならもっと簡単に騙せてた)
(モノに対する現実干渉力が下がってる………?)

腕を組み、崩れた椅子の山に腰掛けながら散は小さく首をかしげる
心なしか能力のキャパシティも低下している?早めの対策が必要だ
これから先、避けられない抗争を生き残る為には妥協は許されない
とりあえず今日はこの辺にしておいてやると椅子に捨て台詞を吐き、片付け
せっせと手作業で椅子を元に戻してゆく姿はどうも特権らしさがない

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CRITEO