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『World of Legacies』ロールスレ

301正偽のバーサーカー◆jwNOIoQSFk :2018/03/25(日)20:27:25 ID:fOB
>>300
弓を構え、矢を番える一連の動作を止めはしない。
生きる意志があるというだけで上等だ、無為に死ぬという事は無い。

「───ならば、生きてみせろ」

生きたいと言うのならば、生きてみせろ。
迫り来る死に抗ってみせろ、驚異を払い除けてみせろ、私という正義を否定してみせろ。
それが出来れば生き残る事が出来る、その意思が弱ければそのうち何処かで死ぬだけだ。

「〝ここ〟だ、その矢で私のここを貫く事が出来ればお前は生き残る事が出来る」
「私にも、もう一人にも殺される事なくな」

【バーサーカーは自分の胸を指差し、少女が狙うべき場所を自ら伝えてみせる】
【そうするのは彼女の生きる活力を見定める為か、もしくは少女との力の差を哀れんだのかもしれない】

「だが、私は何処に触れようともお前を殺す事が出来る」
「……先手はくれてやる」

【そう言ってバーサーカーは拳を固く握り締め、徒手の構えを取った】
302琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/03/25(日)20:57:48 ID:NFm
>>301

『───ならば、生きてみせろ』

その言葉に続けて女は自らの胸の中心を指差し、狙えと言う。

弦を引き絞りながらその狙いの先がぐらぐらと揺らぐ。
生きる為の覚悟は決めた。
だが、人を殺す覚悟はまた別のものだ。
そして其れは朱音にとって未だ足りないものであった。

緊張と恐怖から呼吸が荒くなる。

そして朱音が選んだのは。
相手の足元を狙って機動力を落とすという選択肢だった。

大まかに足元を狙っているが命中精度は限りなく低い。
避けられればそれまでであるし、棒立ちの相手でも身体の何処かに当たれば御の字といった所。

判断が甘い、と相手は怒るだろうが。
普通の少女の限界なぞこんなものだ。
303正偽のバーサーカー◆jwNOIoQSFk :2018/03/26(月)01:01:12 ID:Akr
>>302
矢を射った、しかし狙いは心臓では無く足を狙った物。
牽制か、躊躇か、どちらにせよ緊張した手から放たれる矢に不意を突かれる程呆けてはいない。
矢を射ったその瞬間からお前は私の敵となったのだ、手心を加えるのはこれまで。

【バーサーカーの右脚の脛に矢が突き刺さる、痛々しい音がしたが、しかしそれを確認している暇はないだろう】
【何故ならバーサーカーは攻撃を受けたにも関わらず少女に向かって接近を始めたからだ、脚に矢が突き刺さっているのにそれを感じさせないスピードである】

「先手はくれてやった、恨みは聞かんぞ」

【そのまま少女に詰め寄ったバーサーカーは、引いた右手の拳を少女の腹に目掛けて突き出す】
【ただの殴打というには余りにも鋭く重い、空気が弾ける音がまるで弾丸の発射音にも聞こえ、容赦や躊躇いの一切ない真っ直ぐな拳が少女に向かって行くだろう】
【それをまともにくらってしまえばどうなるか、いい例を少女は既に見ている筈だ……胸を貫かれ孔を開けた死体、それはまさか拳によって開けられた孔であった】
304琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/03/26(月)17:21:37 ID:dFD
>>303
射った矢は幸か不幸か狙い通り相手の脚部に命中する。

「当たっ……!?」

矢が脛に突き刺さっているにも関わらず女は素早い動きで接近をしてきた。
そして撃ち出されるのは弾丸の発射音にも似た鋭い突き。

宛ら走馬燈の様に最初に遭遇した時の光景が脳裏を走る。
鮮血に染まった拳。胸に孔の開いた死体。
これを真面に受ければ死ぬ、そう直感した。

だが其れを避けられる程の身体能力も技能も朱音は持ち合わせていない。
それでも寸前で直撃を免れたのは単なる偶然。
狼狽し足を縺れさせて転倒したのが偶々回避と似た動きになったにすぎない。
そして当然、そんな動きでは完全な回避など出来る筈もない。

弾ける様な音と共に少女の右腕の肘から先が宙を舞う。

「っあああぁぁあぁあぁぁああ!!」

薄暗い路地裏を絶叫が木霊し、周囲に鮮血が飛び散る。
腕をもぎ取られるに留まらず右の肩は脱臼をしている。

至って平凡な人生を送って来た朱音にとって経験したことも無い程の壮絶な痛みが襲い掛かる。
其れを前にしては先刻までのちっぽけな決意も覚悟も大波に攫われる砂の城の如くに脆く容易く崩れ落ちた。

地べたへと転げ落ち、片腕を失ったが為に思う様に起き上がる事も難しい。
両手が無ければ使えない弓矢はこの時点で何の意味も持たない道具となった。

朱音に残された選択肢は唯一つ。這いずる様に女から遠ざかる事。

(嫌だ。嫌だ。死ぬのは嫌だ。逃げ……逃げなきゃ。どこか遠くへ。)

視界を涙で滲ませながら少女はゆっくりと、本人としては全速力で女から遠ざかろうと足掻く。
仮に逃げられたとしてまだ新手が残っている事など最早眼中にない。
目の前の死から逃れるので精一杯だ。

奇跡とは二度は起こらないからこそ奇跡足り得る。
続けて攻撃があればまず間違いなく避ける事は叶わないだろう。
305正偽のバーサーカー◆jwNOIoQSFk :2018/03/26(月)23:41:39 ID:4Jj
>>304
感じたのは恐怖、自分の感情ではなく相手が私に対して抱いているそれを感じ取る。
当然の事だ、攻撃が通用しない怪物が牙を剥くのを目の当たりにして恐怖しない人間の方がおかしい。
怖いだろう、恐ろしいだろう、死が目前に迫っているのを感じるか。
だが、恐怖を抱いているだけでは何も救えないし、誰にも救われない。

そうだろう?痛みと恐怖に悲鳴を上げた所で何か状況は好転したか、苦しみは和らいだか?
依然救いの手は訪れず、一撃で死ねなかった分苦しみは長くなる、その状態で逃げようとしてもそれは不可能だ。

「死ぬのは怖いか、怖いだろうな」
「だが違う、人は死を恐れるのでなく死に付随する痛みを恐れる」
「死を恐れるな、正義の糧として死ねる事を喜んで死ね」

本来ならこんな無様に逃げる事などさせる筈ではなかった、一撃で腑を貫いて終わるつもりだった。
偶然にも……いや、私の手元が狂っていた為に無駄な苦痛を与えてしまう、そんな事はあってはならないというのに。

【逃げようと這う少女を冷たく見詰めたバーサーカーは、右手を無造作に伸ばして塀を走る配管を掴む】
【そのままめりめりと力任せに配管を引き剥がし千切ると手頃な杭が出来上がった】

「……すまない、とは言わん」
「だがお前の死は無駄にはならない、安心しろ」

【そして、即席の杭を掲げたバーサーカーは、少女の背中から心臓を貫かんとそれを突き下ろす】
【何一つ躊躇いのない一撃だ、相当当たりどころが悪くなければ即死する事ができる】
306琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/03/27(火)18:06:47 ID:u5r
>>305

『死ぬのは怖いか』

最早相手の語り掛ける言葉も殆ど録に耳に入っていない。
理性など既に無く只死から、苦痛から逃れる為に足掻いているだけ。

めりめりと金属が軋む音が聞こえた。
振り返らない、きっと見てしまったらもう動けない。
もうきっと背後から迫る死の脅威から逃げ延びる事は叶わないのだろう。

「どう……して?」

女が最初遭った時に先回りして答えた質問だ。
結局訳も分からないままはぐらかされてしまったが。
正義の糧。果たして自分がここで死ぬのは正義の為なのか。
ともするならば自分は悪だとでも言うのか。どうして私なのか。
そんな感情が混ざり合って口に出た今際の短な疑問。

直後背中に何かがぶつかる様な、正確には刺さったのだが。
強い衝撃を受け、瞬時にに少女の意識は遠退いてゆく。
それまで以上の苦痛を感じる程の間も無く、其れは紛れもなく即死だった。

胸の中心を金属の杭に貫かれ地面に縫い留められる様に倒れる琴珠朱音"だった物"。
地面はじわじわと深紅の色に染め上げられていく。
奇しくも不死身の怪物を屠る為の方法で殺されたのはなんたる皮肉だろうか。


/一旦リアクション待ちです
/次レスにて『生々空転』発動します
307正偽のバーサーカー◆jwNOIoQSFk :2018/03/27(火)21:39:13 ID:QkV
>>306
肉を貫く感覚、紙切れのそれとまるで変わらない感触を手に、私は───
何かを思うべきか、思ったとしてそれを吐露するべきだろうか、正義の化身となった今の私は目的を果たす為の行動を疑問に思うのを許されているのだろうか。
身動き一つ、呼吸一つしなくなった死体から目を離し、彼方を見遣る。

───アサシンめ、最初から私に殺らせるつもりだったな。
何を考えているのかはわからないがあの男が近くにいるのを感じ取れる、気配を消しても消しきれない殺気が近くにある。

「……これで満足か?」

あの男の手にかかれば、きっとこの少女はこれ異常に苦しみもがいて、自ら死を懇願して死んでいただろう。
彼に目を付けられた時点で不運だった、私が手を下した事を幸運だったとは言わないが。

「…………」

その場に居るはずのアサシンからの返答は無し、ならばいつまでも長居は無用だ。

……だが、私がこの少女に感じた違和感はただの思い違いだったのか、それだけが疑問に残る。
アサシンに渡さないという理由の他に彼女を殺すと決心した理由がそれだ、結果的に彼女に超常の力はなかったのだが、しかしそれを見切れない程私の眼が鈍っていたのか?

【バーサーカーは思考をしつつ、少女が完全に死体となったのを十分な時間で確認してからその場を後にしようとする】
308琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/03/27(火)21:54:14 ID:u5r
>>307
少女が息絶えてから少し後。
未だバーサーカーが確認を行っている最中か。

【生々空転】

少女の死体も、武器も、衣服も、周囲に散った血糊でさえも。
淡い光の粒子となって消滅し空へと昇って行く。
そして一帯に彼女が居たという痕跡は一つ残らず消え去った。

それは恐らく女が言っていた二つ目の理由に確信を与えるだろう。
今までは兎も角、この世界に於いて彼女は正常(ふつう)では無いのだと。


/バーサーカーさんサイドではこれで〆となります
/お付き合い頂き感謝です。お疲れ様でした
309正偽のバーサーカー◆jwNOIoQSFk :2018/03/27(火)22:16:03 ID:QkV
>>308
「…………」

ただの死体、そう、それは死んだ人間に他ならない。
例え彼女がどんな力を隠し持っていたとしても死んでしまったのならそれは全くの杞憂だ。

だが、それがもし。
〝死んだ後で発動する能力〟であったなら。

「…………!」

迂闊だった、例え自分に自覚が無くとも矢張り彼女は能力をその身に持っていたのだ。
死んだ事がトリガーとなる能力、その真相はわからないが死体が淡く輝きだすのを今目の前で認知している。
どうする───既に死んだ人間を制止させるのにどんな方法がある。

一瞬のうちに巡る思索、しかしそれはそれこそ杞憂に終わる。
輝きだした肉体はそのまま淡い光の粒へと変換され、やがて風に吹かれる砂埃のように散らばって消える。
それが何を意味するかを語る間も無く、私の目の前から消えたのだ。

「…何………だと…?」

そして、私の世界には一抹の静寂が訪れた。
310琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/03/27(火)22:44:03 ID:u5r
(1/2)
>/>308
急速に薄れゆく意識の中、少女は走馬燈を見る。
嘗ての世界の日常を。この世界に来てからの出来事を。
思えば最初に狼に追いかけられて、助けて貰えなければあの場で死んでいただろう。
だから、私は長生きをした方なのだと諦める様に言い聞かせて。
嗚呼でも、"強く生きろ"って約束は果たせなかったなと悔しそうに。

狼の群れから救ってくれたマサトモさん。
弓の練習を手伝ってくれたルゥさん。
包丁のお使いの時に送ってくれたアーサーさん。
そして野営地のみんな。

こんな最期になってしまったけれどきっと此処に来たのは良い事だったのだと。
けれどやっぱり元の世界に帰って家族に再会したかったなと。


【そこで少女の意識は完全に途絶える】
311琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/03/27(火)22:44:18 ID:u5r
(2/2)
目覚めると何処かで見たような岩の天井があった。
少女は飛び起き、最初に右の腕があることを確認する。
手を握って開いてちゃんと動くのを、神経が通っているのを実感させる。

この場所は知っているこの世界に初めて来たときの場所。
周囲を見回しても洞窟の造りも祭壇の配置なんかも完全に同じ、だと思う。

ともするならば先刻のあれは一体なんだったのか。
夢と言うには余りにも鮮烈に痛みを思い出す事が出来る。

「もしかして時間が巻き戻った……とか?」

確かにこの洞窟の祠は記憶の中の状態と一致する。
祭壇の上に置かれている弓矢とナイフの配置まで正確に。

それを確かめる為に外へ出る前に、今回はちゃんと武器を拾っておいてみる。
記憶が確かならこの外は魔の森の中で、一度出たら戻る事ができない筈だから。

装備を整えて、前みたいに狼の群れなんかに出くわさないよう祈って外へと踏み出す。
―――洞窟を抜けると其処は。

最近ではもう良く見知ってしまった野営地だった。
急いで振り向くが矢張り洞窟の入り口は存在しない。

そして目の前に居たエルフの男の人、
融合現象に巻き込まれる直前まで弓の訓練に付き合ってくれていた人が呆気に取られた様子で。

『シュオンちゃんが戻って来たぞー!』

野営地の他のメンバーにも聞こえる様にそう叫んだ。

彼らの話を纏めると弓の訓練中に融合現象が発生しそれに巻き込まれる自分を見たそうで。
どこへ飛ばされてしまったのかも見当がつかず、
もう会えないものだとばかり思っていた矢先での出来事だったらしい。

どうやら記憶にある世界と今いるこの場所は同じものである様だ。
つまり自分は確かに一度死んで、そして生き返ったということになる。

「どうゆう……こと?」

再会を喜ぶ野営地の人々に囲まれながら朱音の頭の中では疑問が渦巻いていた。


―――その日、琴珠朱音の日常(ふつう)は終わりを告げた。
312サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/27(火)23:39:15 ID:u5r
『同盟』領のとある待町にて。
空はもう日が沈み徐々に夜の闇が深まりつつある黄昏時。
音も立てずにゆらゆらと街への中へと紛れ込む人影が一つ。

全身を裾の擦り切れた黒い外套で覆い。
覗く髪や肌は雪花の如き白、頭巾の奥には紅く煌めく瞳が二つ。

サイスは丁度先刻引き受けた依頼を終え、宿を取るべく町に赴いた。
彼が引き受ける依頼はどれも危険度の高いものが多く、それに比例する様に報酬金額も大きくなる。
こと物欲が薄い為、生活に困っている訳ではないのだが。
まるで死に場所を求める様に次から次と仕事を引き受けている。

このままの脚で町のギルドに依頼達成の証を見せ報酬を貰い、
そして次の依頼を探した後早々に眠りに就く予定でいる。

カラン、と音を立て酒場兼ギルドの集会所の扉を開けた。
313ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/27(火)23:57:25 ID:q0a
>>312
宵の口の酒場とはどこの世界でも、往々にして賑わうものだ。
酔いを楽しむ者、食事をとる者、歓談を求める者。様々な目的を持つ人が最も集まる時間帯と言えよう。
ギルドの組合員だけでなく地域の住民も訪れているせいか、随分と活気づいているように思える。
そんな中、誰と同席するでもなく黙々と食べ続ける小さな影が一つ。
黒いローブに獣耳。幾度か顔を合わせているはずの少女がそこにいた。

「…………ぁ」

入口の開閉音にちらりと目を向け、そこに現れたのが知り合いと気がつくと小さな声を上げる少女。
時間帯からして夕食なのだろう、テーブルには食べかけの肉料理が鎮座している。
少しばかり悩んだ素振りを見せたが、やがて食器類を自分の方に寄せてテーブルに場所を作り始める。
そうして空いたスペースを軽くとんとんと叩き、サイスの方を見て首を傾げた。所謂同席の誘いだ。
314サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/28(水)17:42:42 ID:aze
>>313
賑わう酒場の一角に見知った獣耳の少女の姿があった。
ルゥは食器類を寄せてテーブルに空きを作り、所謂同席の誘いをしてきた。
どの道ここで夕食を済ませる予定であったし、
断る理由も特にないので促されるまま空いた席の下へ向かう。

「君は、確かルゥだったね。お邪魔するよ。」

するりと静かに席に座り店員に声を掛ける。

「豆のスープとホットミルク。」

サイスが手短に伝え、店員は了承し去っていく。
注文した内容はこの酒場のメニューの中でも比較的安価で質素なものだ。

「会うのは確か、ラ・ボーでの任務以来だったかな?」

サントアリオの一件では早々に帰ってしまった為に、
聖櫃に閉じ込められていた生贄が彼女であった事をサイスは知らない。
315ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/28(水)21:15:19 ID:7fX
>>314
頷いて了承の意を示すとサイスが席に着くのを見計らい、食事を再開するルゥ。
ステーキ肉に塩を振って焼いただけのものだが、本人はなかなかご満悦らしい。

「……たりる?」

育ち盛りの少年にしては些か少ないように思える注文に、店員が去ってから心配そうに声をかける。
もしかしたら無理に誘ってしまっただろうかと、表情を変えないままに獣耳がぺたんと倒れた。

「あー……えっと、そうだね、顔を合わせたのはそれ以来かな」

ラ・ボー遺跡の話になれば途端に歯切れが悪く、目を逸らしてどことなく気まずそうで。
なぜかジョッキで運ばれてきていたオレンジジュースに、誤魔化すように口をつけてから続ける。

「あのさ、ジュリアから聞いたんだけど……サントアリオで、助けてもらったって。遅くなったけど、ありがとう」

小さく微笑むが感謝の念というよりは申し訳なさ、情けなさが前面に出ているようでやや視線を落とす。
そのまま既に半分もないステーキを切り分けて、また口に放りこんだ。
316サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/29(木)19:05:20 ID:WMf
>>315

『……たりる?』

「ああ、小食な方なんだ。」

心配そうに声掛けられるが、いつも通りだと、問題無いのだと返答する。
ラ・ボーでの話に関してはどことなく気まずそうな雰囲気だったので追及はやめた。
そもそも自分も紅い宝石を所持したままなので人の事を言えない。

その後サントアリオの司祭の名前が話題に上がり。

「そうか、あの箱に閉じ込められていたのは君か。
 礼は要らないよ。偶々通りがかって興味があったから依頼を受けた。それだけ。
 お互い何も無くて良かった。
 破壊の神とやらの降臨も失敗に終わったみたいだし。」

そんな風に会話を続けていると注文した料理がやってくる。
豆類をシンプルに味付けしたスープと温めたミルク。

確かに育ち盛りが食べる料理としては量も質も乏しく思える。
そしてよく見れば黒い外套で隠された少年の体つきもまた相応に貧相だと。
真白な髪や肌のせいで余計に骸骨の様な印象を受けるかもしれない。
317ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/29(木)20:56:28 ID:icQ
>>316
本人が少食だと言うのだからそうなのだろう、それ以上は人が口を出す事ではない。
少なくとも無理な誘いではなかった事にほっと安堵、ぴこぴこと獣耳が揺れた。

「でも、わたしが捕まらなければ、あんなに大事にはならなかったわけだし……」

サイスに宥められても納得がいかないようで、むうと唇を尖らせる。
あまつさえ自分が事の発端だというのに、更に解決を他人に委ねてしまったのを余程気に病んでいるらしい。
しかしせっかくの食事の場でしんみりするのもよろしくない。軽く首を横に振って笑いかけ、気にしないようにと。
さてサイスの料理が運ばれてくれば、自分の皿と何度か見比べてううんと唸る。
一度は引き下がったものの、いざ量の違いを目の当たりにしてしまうとどうにも落ち着かない。
特に自分の方がよく食べていたから、そこに罪悪感に近い居心地の悪さが上乗せされていた。

「……ん。おいしいよ」

サイスの前に差し出されるフォーク。その先には一口大のステーキ。俗に言うアレである。
ルゥはというと気恥ずかしさなど全く見えない。むしろ不安そうにじっと見つめている。
318サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/30(金)16:20:15 ID:Enf
>>317

ん。という言葉と共に差し出される一口大のステーキ。
遠慮をしているものと思い、気を遣わせてしまったか。
サイスは無碍にするのも悪いと。
賑わう酒場の周りの視線を気にしつつ、ちょっと恥ずかし気にぱくり。
暫しもぐもぐと味わった後に礼を一言。

「ありがとう。美味しかった。」

素っ気なく返してしまう辺りは彼の悪い所だろうか。
一応本心から美味しかったと思ってはいるのだが見た目解りずらい上、態度も淡泊が過ぎる。

本人としては謝意も味の感想も返したので充分だと判断し、
再び自分の手元の豆スープの元へと帰っていく。
319ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/30(金)18:08:18 ID:uwj
>>318
「そっか、よかった」

サイスの口に消えていくステーキを見届け、安心したのか肩をなでおろす。
一見無愛想なサイスの反応であったが、どうやら食べてもらえただけでルゥには嬉しかったらしい。
どちらの見た目も年幼いせいだろう、周囲の大人達の視線も心なしか暖かいものだ。
そんな空気にもまったく気がついていないルゥは微かに微笑んで、不意に神妙な面持ちになる。
サイスが自分の豆スープに戻っても、フォークを持ち上げたまま小首を傾げた。

「……気のせい、かな」

ぼそり、思わず口をついて出てしまったような、対面のサイスにようやく届く程度の呟き。
ほんの少し表情が陰るがそれも一瞬、何事もなかったかのようにルゥもまた食事に戻るのだった。
320サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/30(金)18:23:40 ID:Enf
>>319

『……気のせい、かな』

ふと対面に座る少女からそんな呟きが漏れる。
同時に一瞬だが表情が曇った様な気もした。

少しだけ逡巡する様に沈黙。
そしてどうにも気になったので問うてみる。

「……どうか、した?」

疑問を投げるサイスの表情はいつも通りに無表情に近い。
ちょっと気に掛った程度の質問なので相手が返答を渋る様子なら続けてまでは問わないだろう。
321ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/30(金)18:51:25 ID:uwj
>>320
「えっ……?……ああ、聞こえてた?」

まさか聞かれてたと思っていなかったのか、顔を上げて僅かに目を見開く。
しかし困った風でもなく、すぐに苦笑を浮かべて小さく首を横に振る。

「……たいしたことじゃ、ないんだけどね」

一度言葉を切ってからまた肉を一口。咀嚼の間に沈黙が横たわる。
その顔に感情はなく、答えるのを渋っているようには見えない。ただどう言葉にするべきか、それを考える時間が欲しかった。
飲みくだしてオレンジジュースで喉を潤し、ようやく口を開く。

「昔、誰かによく同じことをしていた気がしたんだ。相手もいつのことだったかも、思い出せないけれど」

それだけだよ、と締め括って最後の一口を頬張る。その瞳はやや伏せていながらも、見えないはずの遠い記憶を見据えていた。
郷愁と一緒に飲みこんで、食後の挨拶とともに両手を合わせる。膨れた腹に満足げに一息をついた。
322サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/30(金)19:06:18 ID:Enf
>>321

『……ああ、聞こえてた?』『……たいしたことじゃ、ないんだけどね』

暫し横たわる沈黙に聞くべきでは無かったのではと思うも、
一度相手が口を開くまで待ってみる。
ルゥがオレンジの果汁を飲み、その後待っていた答えが返って来た。

『昔、誰かによく同じことをしていた気がしたんだ』『―――思い出せないけれど』

"思い出せない"。何気ない返答のその部分が少し引っかかった。

「君は、記憶喪失だったりするのか?」

思えば何度か接点こそあったが余り彼女の事を知らなかったと。
そんな素朴な疑問を投げかけてみる。
323ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/30(金)19:34:02 ID:uwj
>>322
「……多分、そうなんだろうね」

手持ち無沙汰になった両手をジョッキに添えて小さく頷く。
そこに焦燥や悲嘆はない。ただ無感動に淡々と、あるがままの事実を報告するだけだ。

「覚えてないんだ、名前以外は。気がついたら一人になってて、他はなにもわからない」

サイスとは目を合わせず言葉を綴って、オレンジジュースを啜る。少しずつジョッキの底が見えつつあった。
この話について、ルゥが語れる言葉は少ない。言語として形作るための礎が彼方に封じられているからだ。
だから分かっている要点だけを簡潔に伝えるしかできない。それを少しだけ、歯痒く思った。

「でも、わたしは今生きてる。だから、そんなに気にしてない」

相手の反応を窺う前に、先手を打って笑いかける。しっかりと目を合わせたそれはどこまでも本心で、まっすぐなものだ。
次いでサイスに視線を合わせたまま、こちらの手番は終わりとばかりにやや首を傾げる。
ある意味ルゥの語れる境遇は尽きたと言ってもいいタイミング、言外にサイスにも似たような問いを投げかけていた。
324サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/30(金)19:57:03 ID:Enf
>>323

『……多分、そうなんだろうね』

そう答えるルゥに焦燥や悲嘆の様子は無かった。
最後にそんなに気にしてないと締めくくり笑いかける彼女の言葉は本心からのものだと、そう思った。
だからこそ首を傾げる少女へ、今度は自分の事を話すべきだとも。

「僕は記憶はちゃんとある。うん、はっきりと。」

少しサイスの表情が蔭った様に感じるかもしれない。

「元居た世界は"魔神"って云う途方もなく強大で邪悪な存在に滅ぼされる寸前だった。
 僕の故郷だった村は僕一人を残してみんな死んでしまったよ。」

今しがた感じた以上の感情の起伏は見られないだろう。
余りに大きな嘆きに埋もれ全体の感情そのものが希薄になってしまっているのだ。

「そしてそんな仇敵に挑むことも叶わずに此処へと流れ着いた。
 だから、そう。僕には何も無いんだ。帰る場所も。守るべきものも。」

少しだけ沈黙し。

「ごめん。食後の雰囲気を台無しにするつもりじゃなかった。忘れて。」

先程の彼女の様に笑ってではないが、気にしないでくれとそう付け加えた。
325ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/30(金)20:26:53 ID:uwj
>>324
相槌すら打たず、黙ったままサイスの言葉に耳を傾けるルゥ。
小さな表情の変化を認めてもそれは変わらない。下手な慰めは不要だと、身をもって知っていた。
彼が言う記憶は、きっと消したくても消せないものだ。奥底にこびりついて、今でも心を苛むような。
ルゥは全てを喪った空虚を知っている。けれど目の前で奪われる痛みには覚えがない。
無責任な同情や理解をする気はない。それでもこうして相手を知る事ができた。

「……ううん。それより、話してくれてありがとう」

だからこうして礼を述べて、小さく笑いかけてみせるのだ。
たった数回顔を合わせただけの自分に、ここまで話してくれたのが嬉しくないと言ったら嘘だった。
そしてこの礼には、きっと自分の話を聞いてくれた事も含まれている。
こんなにも誰かと深い話をするのは、記憶にある限り久方振りな気がした。
ジョッキの中を一息で空にして、おもむろに立ち上がる。

「それじゃあわたし、そろそろ行くね。宿、探さないといけないから。
また、会えたら……よければもう少し、お話したいな」

テーブルに自分の分の会計を置いて、ふらりと出口へ向かうルゥ。
去り際に振り返るとちょっとだけ手を振って、今度こそ扉の奥へと消えていった。
326ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/03/30(金)20:28:27 ID:uwj
遅くなってすみません、この辺りで〆でどうでしょうかっ
ルゥちゃんの宿探しに付き合う感じでも大丈夫ですので!
327サイス ◆q3pzNvXt82 :2018/03/30(金)20:40:31 ID:Enf
>>325
思えば数回会っただけの相手に対して随分と重い話をしてしまった気がする。
けれども何故かルゥに対してはそれ程抵抗無く心を打ち明けられた様でもある。
記憶を無くした彼女と記憶に苦しむ自分、客観的にはまるで違うのだが、
何処か似た者同士な様に感じられて。

「こちらこそ、ありがとう。」

ほんの僅かに笑ったような、無表情ではあるが明るい雰囲気で応えた。

『そろそろ行くね。宿、探さないといけないから』

「僕は次の依頼を探してから宿を探すよ。それじゃ、さよならだ。また、何処かで。」

そう言って酒場を出ていく彼女を見送った。
"また"か―――。
死に場所を求めて死地を選んでいる身で何故そんな言葉が出たのか。
けれどまた会う時までくらいは生きていても良いか、
そんな思いに耽りながらぬるくなったミルクに口を付けた。
328屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/02(月)21:41:14 ID:Jgh
───血に塗れて、遠く空を見る。

赤く紅く、むせ返るような獣臭を漂わせる血に塗れ、私は青い青い空を見た。
こんなにも広い空を見た記憶は無かった、青々とした草原を照らす透き通る空を見るのは初めてだった。

「……見た目が違っても竜は竜ですね」

身体中にへばり付いた赤を拭う、ゴツゴツとした足元に躓かない様に高度の低い部位まで歩き、地面に降りる。
ふかふかとした草の感触が、とても気持ち良かった。

「……所で、この世界は一体何なんでしょうか」
「私が召喚された場所とは大きく違うようですが……というかこんな物がいる時点でファンタジーにも程がありますね」

【───恐らくそこは、どこかの魔法中心世界が元となった世界】
【融合現象により今や世界同士の垣根は無くなり、〝幻想〟などという言葉の定義は無い】

───サーヴァントとして呼び出された今でも、私の使命は変わっていない。変わらない。
全ての竜を刈り尽くすまで、私は終わる事が出来ない、例えその生が仮初の物だったとしても。

【白いローブを纏う桃色髪の少女、小柄な体躯に比べて大き過ぎる大鎌を手に、振り向いた彼女はそれを見上げた】

【其処には、少女を数十人分は一呑みに出来そうな程に巨大な竜───その骸が、斬り裂かれた喉からまだ暖かい血液を滝の様に流していた】
329ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/02(月)22:02:57 ID:5WX
>>328
遮るものもなく、地平線から地平線までを青々と覆う蒼穹を、常に変わらない太陽だけが横切って通る。
不意にその真ん中、ちょうど竜の真上にぽつりと黒い染みのようなものが現れる。
それは変貌してしまった世界においてはそう珍しいものではない。ともすれば見覚えがあるかもしれない、時空と時空を繋ぐ穴だった。
その穴は人一人が通れる程度まで広がるとなにかを吐き出して、現れた時と同じように突然消えてしまう。

「う、わ……!?」

そして穴から現れた人の形をした何かはというと、竜の屍の上に背中から受け身も取らずに落下。
そのまま間抜けな声をあげながら、横腹を伝って地面に転がり落ちた。
尻餅をついた状態で唸るのは、黒いローブを纏う少女。頭頂部の獣耳が痛ましげにぷるぷる震えている。
近くに佇む白い少女には気がついた様子もなく、座りこんできょろきょろと辺りを見回していた。
330屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/02(月)22:20:57 ID:Jgh
>>329
風が吹いた、何かが訪れる予感を感じさせる風だ。
肌の表面を逆撫でするような感覚がして、歪む空間を観測する、異常現象とも言える空間の穴はこの世界にとっては日常なのだろう。
無論私も同じく空間の穴を通って来た、時折不規則に開く穴は、魔力である程度制御出来るらしい事を他のサーヴァントが語っていた。

「…………」

しかしまあ、何というか、誰しもが同じ事を出来るようではないらしくて。
落とし穴から放り出されたみたいに投下された少女が、足元に滑り降りてくる。

───きっと、アサシンかアーチャー、バーサーカー辺りならその隙を狙っていたかもしれない。
でも私は違う、私はそれが必要な行動だったとしても人に刃を向けたくはない。

【ルゥの存在に気が付いたセイバーは、持っていた純白の大鎌を魔力に変換させて装備を解き、顔の血を拭って歩み寄る】
【そして、ルゥに向かって手を差し伸べた】

「大丈夫ですか?……立てますか?」
331ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/02(月)22:43:33 ID:5WX
>>330
ふと影が落ちて顔を上げ、ようやく自分以外の誰かの存在に気がついた少女。
差し伸べられた手に束の間翠玉の瞳をぱちくりさせたが、ややあってその意図に気がついたのか照れ臭そうに笑う。

「ん、大丈夫……恥ずかしいところ、見られちゃったね」

素直に手を取って立ち上がる。それでも小さな体躯では、どうしてもセイバーを見上げる形になった。
軽くローブを叩いて草きれを払いながらじっと、今度は怪訝そうにセイバーを凝視。視界に入る陽光に目を細めた。
やがてその視線は、やや心配そうなものへと変わる。いくら表面上の赤を拭おうと、染みついたその臭いは隠しきれていなかった。
覚えのある、それも新しいものであるそれにこの場であった戦闘を予想するのは、そう難しい事ではない。

「……怪我、してる?」

首を傾げ、短い問い。それでも少女が平然としているのは、少なくとも今の時点では相手から敵意を感じていないから。
背後の屍体には未だ気がつかず、濃い血の臭いを纏うセイバーを見据えて答えを待った。
332屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/02(月)22:59:07 ID:Jgh
>>331
目の前の少女から敵意や悪意は感じない、巧妙に隠している可能性も無くはないが、そうだとすれば何処かに兆候が見える筈。
それすら無いとなれば本心から私を警戒していないのだろう、余り無駄な厄介ごとが無いのは助かる。

「…いえ、問題ありません、この程度は怪我には入りませんので」

怪我をしているかと問われれば幾らかの打撲と擦り傷、それと火傷を己の身に確認している、先の竜との戦闘で負った傷だ。
しかしこの程度であれば少し休み魔力を回復させれば治癒される、動ける分にはまるで問題の無い怪我だ。

「所で、一つお聞きしたいのですが」
「この辺りの地理についての知識は持っていますか?」

問題があるとすれば、私がこの世界について全くの素人だという事だ。
右も左もわからない、空を飛翔する竜が見えたので反射的に斬りかかっては見たものの───それで何かが良くなったわけでも無い。
333ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/02(月)23:19:03 ID:5WX
>>332
「……そっか、なら、いいんだ」

本人が問題ないと言うならそうなのだろう、それ以上深く言及はしない。
本当に深刻であれば、そもそも助け起こす際になんらかの兆しがあってもいいはずだ。
少なくともそのような仕草は見られなかったからこそ、おとなしく引き下がるのだった。
少女の面持ちは感情を映さなかったが、ほんの少しだけ安堵からか身体を弛緩させた。

「この辺の……?うーん……私も、今来たばかりだから……でも多分、知らない場所、だと思う」

現在地について問われれば辺りを見渡し、覚えてる限りの記憶と照合させようと。
しかし心当たりがなかったのか、その答えはあまり芳しいものではない。申し訳なさからか、ぺたりと獣耳が倒れる。
もっとよく探せばもしかしたら、そんな淡い期待に背後を振り向いて、ようやくその亡骸を見た。

「……うわー……えっ」

見上げんばかりの鱗の山にあげるのは、なんとも気の抜けた声。
予想だにしていなかった事態を認識するのに時間を要したのか、しばらくしてようやく小さな驚愕の呟きを漏らす。
それでも状況を飲みこめず、竜の屍とセイバーを交互に見ては呆然とするのであった。
334屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/02(月)23:32:46 ID:Jgh
>>333
「そうですか、いえ、恐らくそうだとは思っていましたが」

空間の穴から落ちて来た時点で自らこの世界に来たのではないと予想はしていた、きっと何らかの偶然で無作為に落とされたのだと。
そんな人物にここの地理を聞くのは結果が目に見えていたが、勝手に決め付けるのは良くない。

【申し訳なさそうなルゥに対して、セイバーは無表情で頷いた】
【この場の誰も地理に詳しくないとなれば歩いて探索するしか無い、辺りに目印に手掛かりになるものでも無いかとセイバーは周囲を見回す】
【その内に、ルゥが呆然とした表情でこちらを見ているのに気が付いた】

「……あぁ、安心して下さい、その竜はしっかりとトドメを刺しています」
「……死しても蘇る、などという特性を持っていなければの話ですが」

【見つめられる視線に当然である事のように、その亡骸が自分のせいであるとも取れる言葉を返すセイバー】
335ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/02(月)23:50:55 ID:5WX
>>334
「へー……なんていうか、すごいね」

セイバーの返答には曖昧に返す。
どのような経緯、どんな方法でこの屍が拵えられる事になったのか、気にならないと言えば嘘になる。
しかし初対面の相手にそう詮索するのもよろしくないだろう、眼前の結果だけを受け止めた感想を漏らすに留めた。
まさかこの竜を殺めた理由が、所謂本能などとは思いもよらず。
ごほんと、どこか弛緩した空気を締めるように咳払いを一つ。

「えっと、あなたもこの辺りは知らないんだよね。じゃあ早く、人がいるところを探そうか。
ここで夜になるのは……ちょっと、嫌かな」

幸い日はまだ高い。竜の屍に背を向けて少し歩くと、セイバーの方を振り返る。
見渡す限りの草っ原、選んだ方角は見るからに適当であるが、言葉を使わない自然な所作で同行を提案した。
336屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/03(火)00:04:37 ID:g8r
>>335
竜───古来よりその存在は幻想とされながらも、強大な存在であるとされて来た。
この世界の竜が私の知る竜と同じ存在であるとは思えない、違いを挙げれば枚挙に暇が無いが、しかし〝竜〟であるという一点に於いては変わらない。
ならばそれを狩る事こそが私の役割(ロール)なのだろう、全ての世界の竜を狩り、聖杯を呼び出す為に受け皿を作る。

───そうして開かれた聖杯戦争に、私は何の願いを持って挑めば良いのだろうか。

【曖昧な感想を漏らしたルゥを前に、竜の亡骸に焦点を合わせて何かをぼんやりと思考するセイバー】
【一度目を閉じ頭の中を切り替えてから、ルゥの提案に返答する】

「そうですね、血の匂いを嗅ぎつけて野獣の類がやって来るかもしれません」
「少し歩きましょう、街道か川かを見つけられるかもしれません」
337ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/03(火)00:19:58 ID:QvH
>>336
思考の海に沈むセイバーを不思議そうに見ていたが、やがて返事をもらえれば一度だけ小さく頷く。
彼女が空虚な決意を孕んでいるなど窺い知るはずもない。少女は『聖杯』のなんたるかすらも知識にないのだから。

「そうだね。見晴らしはいいから、なにかあればすぐ見つけられそうだけど」

先に立って歩き出そうとして、また軽快に振り返る。腰まで届く濡羽色の髪が緑の中で揺れた。

「わたし、ルゥ。ルゥ・ヴィレット。あなたは?」

行きずりとはいえ、このだだっ広い草原で行動を一緒にする事になったのだから、呼び名が分からないままではいささかやりづらい。
問いと共にセイバーが追いつくのを待ちながら、横に並べばようやく前に歩き出す。たまにちらちらと、その表情を窺いながら。
338屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/03(火)00:47:09 ID:g8r
>>337
【歩き出したルゥの横に並び歩き出すセイバー、ルゥに表情を伺われているのに気が付いているようだが、表情は無表情のまま変わらない】

「私は───」

名前───私が今名乗るべき名は何だろうか。
私には■■■■という真名がある、しかしその名を今ここで出してしまうのは良い事か。
彼女自身にその気が無くても何処から情報が漏れるかわからない、真名が他のサーヴァントに知られる事は弱点を晒すと同義だ。
……だが、他に名乗る渾名も無い、幸いながら彼女とは長く仲を作るつもりもないし…。

「……屠竜のセイバーと、そう呼ばれています」
「他に呼びたい名があるのならそれでどうぞ」

〝屠竜のセイバー〟、それがサーヴァントとしての私の呼び名。
ただひたすらに竜を狩る、竜を屠る為だけに産まれた私の、竜を狩り尽くす事が出来ずに死んだ私の、英霊としての立場。
最も恐れた屠竜の技が杞憂に終わり、後になってからその名前で呼ばれるとは何たる皮肉だろうか。
339ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/03(火)01:15:24 ID:QvH
>>338
「せいばー……?……ああ、サーブルのことか」

馴染みのない単語だったのかたどたどしく復唱して首を傾げるが、やがてなにかに納得したのか表情を変えないまま一人頷く。
暗に真名でない事を言い含んでいたためか、その由縁について問う事はしない。
剣を冠するその呼び名に変わっていると思わないでもないが、偽名などそんなものだ。自分の特徴をぞんざいに象るような。
少女はサーヴァントが真名を明かす事を忌避するのを知らない。しかし気を悪くした様子もなく、それ以上を聞こうとはしなかった。

「じゃあ、えっと……セイバー、でいいのかな。わたしのことも、好きに呼んでいいよ。
あのさ、さっきの……ああいうやつ、他にもこの辺りにいるのかな」

柔らかい土を踏み歩く。見渡す限りの草っ原は絨毯と見紛う程に平坦で、風に揺れて僅かに色相を変えていく。
人の手がほぼ加わっていない自然の様相に、なかなか人が来るような場所ではなさそうだとぼんやり思う。
その原因を手慰みに考えてみて、ぱっと思いつくのは先の竜屍体。
そもそもこの近辺に人がいないという可能性もあったが、あまり考えたくない事だったのですぐに頭から追いやる。
このまま無言というのも緑のさざめきに飲みこまれてしまいそうに思えて、つと疑問を口に出した。
340東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/03(火)20:55:48 ID:j5V
輪郭のはっきりとしない半月を薄っすらと千切れ雲が覆う夜の公園。
春の始まりを告げる様に柔らかな暖かい風があちこちに植えられた桜の花びらをゆったりと散らせて行く。

「ふふ、風流じゃのう」

その様を楽しげに眺める影が一つ。
公園に置かれた塗装の剥げかけたベンチに、リラックスするように腰を掛けるのは一人の女の姿。
白を基調とした着物を身に纏い、漆黒の艶髪をふわりと風に靡かせるその様は、桜の花弁が舞い散る中で良く映える。

彼女がご機嫌である事は、漆塗りの草履が鳴らすからんころんと弾んだ音が示していた。

今宵はどんな出会いがあるのだろう。
“ここ”に来てからは、毎日そればっかりが楽しみで仕方がない。
あなたとの出会いはきっと良い思い出になる。
桜の花はこんなに綺麗なのだから…。
341琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/04/03(火)21:12:21 ID:XRM
>>340
夜の公園を出歩いていたのは単なる気紛れでだろうか。
普段なら野営地の自室で眠りに就いている様な時間帯だ。

朧の半月を千切れ雲が覆い、その光が舞い散る桜を浮かび上がらせる。

あの日も夜の、―――融合現象に巻き込まれる前は昼だったのだが。
夜の繁華街での不幸な遭遇で命を落としてまだ一週間も経たないか。
何の因果か自分は一度蘇り、されどもその時の記憶は、痛みはなかなか頭から消えることは無く。
今宵も寝付けぬままこの場へと現れたのであった。

からんころんという弾んだ音に小さく飛び跳ねる朱音。
夜道で人と出会うとどうしてもあの日を思い出す。
それでも話し掛けようと思ったのは相手が上機嫌なように感じたからか。

「こん……ばんは。」

その態度にはまだ若干の怯えが見え隠れしている。
342東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/03(火)21:29:59 ID:j5V
>>341
人が近づいてくる気配。
敵意も殺意もない。警戒も必要ないであろうと、無防備なまま舞い散る桜を眺めるついでに顔をその気配のする方へ向けた。

「ふふっ、こんばんはぁ」

少し怯えたような声色の挨拶に対し、屈託のない柔らかな笑顔で挨拶を返す。
はんなりとした、彼女の声色は少女を優しく覆うように、落ち着いたものだった。

「そない怖がらんで良いんじゃぞ?」
「ほれ、近う寄れ。こない暗くちゃ手前の顔がよう見えんのじゃ」

ベンチに一人分の隙間を開けるように腰を浮かせて移動し、着物の袖をひらひらと宙に舞わせながら、少女に対し手招きをする。
座れ。という事なのだろう。特段強制する雰囲気もなく、あくまでも少女を誘うように。
少女との見えない壁を取り払う為の彼女なりの計らいだった。
343屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/03(火)21:40:25 ID:jB6
>>339
空気がとても澄んでいて、足元から伝わる土と草の柔らかさは心地が良い。
痩せて荒れた大地や、作られた美しい庭や、硝煙と血の匂いが漂う空気とは違う。
歩くだけで、風に包まれるだけで心が軽くなる感覚がする。

争いの無い世界とは、こんなにも素晴らしい物なのだろうか。

「……生物というのは完成に近付く事に反比例して個体数が抑えられる傾向にあります」
「私一人に狩られる程度の竜なら、同種の数は相当数存在していると考えてもおかしくは無いでしょう」

【ルゥの問い掛けにセイバーは予測を立て、機械的に答えた】
【その眼はずっと遠くを見たままで、何かに思いを馳せているようだった】

「心配は無用です、既に一度狩っていますので対策はわかりました」
「同種か近縁種の竜であるなら難なく討伐する事ができます」

【しかし何処かズレているようでもある言動だった、いくら竜を殺す事が出来るとは言えセイバーの口振りでは竜を見たら殺す以外の選択肢は無いようにも聞こえる】
344琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/04/03(火)21:43:30 ID:XRM
>>342
はんなりとした優し気な声色に少し気を許した様に。

「ごめんなさい。この間夜道で……」

―――殺されたので、とは言えないか。

「……怖い目に遭ったので。」

着物の袖をひらひら近くに寄る様にとの誘いにゆっくり応じ。
近づくにつれ暗闇から明らかになるその顔立ちは、
取り立てて美形な訳でも醜いでもない、至って普通の少女といった印象。

「失礼します。」

流石に唐突に襲われる様な雰囲気では無いと感じ取ったのか、
手招かれるまま女の隣にそっと座る。
345東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/03(火)22:01:36 ID:j5V
>>344
素直に誘いに乗ってくれた少女に対し、また好意的な笑顔を見せる。
誰もが美しいと感じるであろう彼女の笑みは、仄かに刺す月の光の中でも特別輝いていた。

「ほう…。それは気の毒じゃのう」
「兎にも角にも、大事は無かったか?」

少女を気遣うかの如く、浮かない少女の顔を覗き込みながら言葉を返す。
彼女に近づいてから、独特の香りが彼女を周囲を包んでいる事に気がつくだろう。
これは彼女が好んで愛用している白梅の香水の香り。
ふんわりとした優しい甘酸っぱい香りは、きっと少女の気持ちを少しは癒してくれるだろう。

「“ここ”は少し物騒じゃからな。これからは気をつけるんじゃぞ?」

ゆっくりと、少女の頭へ白く細い腕を伸ばす。
少女が拒否の意思を示さなければ、そのまま慰めるかのように2度軽く頭を撫でる。
その手つきはとても穏やかで、ひらりと袖が揺れる度に白梅の香りがふわりと少女の鼻をくすぐるだろう。
346琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/04/03(火)22:21:09 ID:XRM
>>345
仄かな月光の中に一層輝く様な女の笑顔に。
奇麗な人だなぁ……なんて心の中で思いつつ。

『大事は無かったか?』

という言葉に少し言葉を詰まらせた後。

「……はい。こうして今も生きているので。」

そう答える少女に何を感じ取るだろうか。

ふんわりと香る梅の甘酸っぱい香りと、
穏やかに頭を撫でる掌にどこか少女の気持ちも癒された様子で。
そしてふと思ったのだ。

「お姉さんの世界では死んだ人が蘇るのって普通だったりしましたか?」

実はこの世界に於いては死者が生き返るのは割と当たり前の事なのではないのかと。
しかしそれは口に出してしまった後で言うべきでは無かったと直ぐに気付いた。
そんな筈が無いと。それでも何処かでそうであって欲しいと思う心も確かにあった。
347東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/03(火)22:34:01 ID:j5V
>>346
「そうか…。なら良い」

少女の口から帰ってきた言葉が彼女の中で少し引っかかった。
けれども、深く追求するのは少女を傷つけかねない、とそれ以上に何かを聞き返すことはしなかった。

「なんや急に、可笑しなことを言うもんじゃのう」

少女が問うてきた言葉の真意がイマイチ掴みかねる。
常識から考えれば彼女の言うように「可笑しなこと」を耳にした彼女は目尻のほんの少し垂れた瞳を丸く見開いた。
口ぶりで言えば、少女の問いに対する彼女の答えはNoである。

「死んだ人間が蘇る…。それが普通なら、素敵な事のようやけど、地獄のようにも思えるもんじゃのう」

親しくしていた亡き人が、元気な姿で目の前に現れたら、何と素晴らしい事だろう。
死んだはずの憎き敵が、五体満足でまたその姿を見せてきたら、何と最悪な事だろう。
だからこそ、彼女はこう答えた。

ただ一つ、思い当たる節はあるのだけれど。
348琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/04/03(火)22:45:44 ID:XRM
>>347

『なんや急に、可笑しなことを言うもんじゃのう』

その返答から察するに矢張り異常な事なのだろう。
あの日、我が身に起こった出来事は。

「そう……ですよね。ごめんなさい変な事聞いてしまって。」

と、女が続けた言葉が心の何処かに突き刺さった。
素敵な事のようだけど、地獄のようにも思える。

その通りだと思った。
あんなことがまだ続くのだとしたら。もしもそれが永遠に続くのだとしたら。
それは紛れもない地獄なのだろう。

少女の不安はどことなく表情からも見て取れるかもしれない。
349東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/03(火)23:16:13 ID:j5V
>>348
不安げに言を紡ぐ少女。
“普通”であるならば、想像も出来ない事が彼女の身に起こったのであろう。
先に「大事はない」と言ったのだ。深く詮索する必要もないだろう。

「ふふ、気にするでない。手前の身に何があったかは分からんが…」
「もちっと、気楽になったらどうじゃ?」

先程と変わらない笑顔を向けながら、言葉を重ねる。

「死後の地獄を憂う前に、生きてる今を楽しむんじゃ」
「…まあ、手前次第じゃがの…」

後は少女次第。
少女が地獄を歩む運命なのであれば、自分から出来る事はないのかもしれない。
今は言葉をかけるだけ。これからの答えを見つけるのは、少女がすべき事なのだ。

「そうじゃ、手前の名を聞いてなかったのう」
「名は何と申すのじゃ?」

暗くなりつつある雰囲気を変えるように、明るい口調で少女の名を問うた。
350琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/04/03(火)23:25:39 ID:XRM
>>349

『死後の地獄を憂う前に、生きてる今を楽しむんじゃ』

その言葉に以前己が命を救った者が残した言葉を思い出した。
―――強く生きろ。と、あの人は言っていた。

「そうですね。前へ進むって決めていたはずだったのに。
 いつの間にか弱気になってたみたいです。
 ありがとうございます、ちょっとだけ気が楽になりました。」

と、名を訊ねられ。

「琴珠朱音(ことだま しゅおん)といいます。
 貴女の名前を訊ねても良いでしょうか?」

心持ち明るくなった声色で聞いてみた。
351東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/03(火)23:38:06 ID:j5V
>>350
「ふふ、それで良い」
「やはり、おなごは笑うとるのが一番じゃ」

何処か、少女の中で吹っ切れた様子。それを見て、満足したかのように表情を綻ばせる。
きっとこれから少女は自身の言うように「前に向かって」強く生きていくのだろう。

「しゅおん…か。良い名じゃな」
「姓は東雲(しののめ)、名は貫幸(つらゆき)」
「呼びにくかったら、幸(ゆき)とでも呼ぶんじゃな」

東雲貫幸。それが彼女の名だ。
元いた世界であれば、意味のある名前。けれども、この世界では何のことはないただの名前。
幸姫(ゆきひめ)と呼ばれる事もあったが、それは過去の話…。
352ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/03(火)23:41:44 ID:QvH
>>343
過去のない少女には、大草原に広がる平和が当たり前のものなのか、それとも謹んで享受するべきものなのかは分からない。
けれどもどちらにせよ、吹き抜ける爽やかな風はそう悪くないと思うのだ。
流れる黒髪を時折片手で抑える少女は無表情ながら、どこか和やかな雰囲気で。

「んー……やっぱり、他にもいるのかな。出くわさないといいけど。
や、でも、できれば、見つけてもやり過ごしたいかな」

セイバーの言い回しを理解するのに時間を要したのか、暫しきょとんとしていたが最後の言葉だけ拾ってううんと小さく唸る。
続く言葉にはどことなく慌てた声色で、それとなく戦闘を厭う事を示唆。
少女には別段相手が竜だからといって、殺戮に興じる理由はない。
あくまでも生存こそが最優先であって、好んで自分から闘争をふっかけようとは思わないのだ。

「……まあ、これだけ見晴らしがよければ、お互いすぐに見つけられそうだけど」

なんともなしにまだ青い空を見上げる。太陽がちょうど目に入って思わず手の平で覆い隠す。
草原に落とす影は今のところ二人分しかない。ほんの少し、安堵に息を吐いた。
353琴珠朱音 ◆q3pzNvXt82 :2018/04/03(火)23:53:13 ID:XRM
>>351

「つらゆきさん……ですね。」

東雲さんと呼ぼうかと思ったが、
幸(ゆき)とでも呼ぶようにとの事との中間を取って名前で呼ぶことにした。
相手を不愉快にさせなければ良いのだが。

名前の造りからすれば朱音の出身世界と似たような土地の人なのだろう。
少女はその名に込められた意味は知らず只一つの名として呼びかける。

少女が空を仰ぐと朧の月は叢雲に隠れようとしている頃合いだった。
もう帰らねばならない時刻か。

「もう少し夜桜を楽しんでいたい所ですが、
 そろそろ帰らないとまた皆に心配かけさせてしまうので。
 私、普段は魔の森の野営地で暮らしてるんです。
 もしまた会う事があったらよろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げ、引き留められぬならこの場を去ろうとするだろう。
その場合何度か振り向いて手を振りながら帰るだろうか。
354東雲貫幸◆oPd.5DLlv2 :2018/04/04(水)00:04:10 ID:gk2
>>353
「ん? もうそない時間か」
「魔の森…暇があったら行ってみるかのう」

あまり聞かない土地だった。
と言うのも、貫幸がこの世界にたどり着いてから時間がそれほど経っていない事が原因だが。
また、元気な姿の少女を見たいのも事実。遊びに行くのも一興だろう。

「ほんなら、気をつけて帰るんじゃぞ〜」

一礼して去り逝く朱音を、ベンチに腰掛けたまま見送る。
彼女の腕の動きに合わせるように、ひらりひらりと掌を振り返す。

今宵も短いながら良い出会いであった。
少女が去り、舞い散る桜を眺めながら、一人染み染みと思い返すのであった
355屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/04(水)21:43:16 ID:3IP
>>352
「……そうですか、いえ、普通ならそうするべきでしょう」

【ルゥの発言に彼女と同じくきょとんとした表情を返すセイバー、しかしそう考えるのが一般的であると思い出したらしい】

「私は竜を狩る使命の元に生まれました」
「竜を狩る事は私の存在意義であり、生まれ持った本能でもあります」

思い浮かぶのは記憶の中の風景、ただひたすらに竜と戦い、竜を殺し、血に塗れてただ刃を振るう。
友も無く家族も無く、一つの機構のように為すべき事を死ぬまで為すだけの日々が、日常だった。

───まさか死してからこんなにも長閑に歩く事になるとは。

「……本来は既にその役目も終えている筈なんですけどね」

【セイバーが静かに呟く、その表情は憂いを帯びた儚げな顔をしていて】
【やがて歩く二人の足元には、草原の草に混ざって疎らな石畳や砂利が混ざってくる】
356ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/04(水)22:34:12 ID:A2t
>>355
「それじゃあ……」

まるで、竜を屠る以外に生きている意味がないみたいだと。
言いかけて口を噤む。それはきっと、他人が容易に言葉にしていい事ではない。
セイバーの顔を盗み見る。盲目的に役割を果たそうとする者には決してないはずの、虚しさにも似た何かをそこに見た気がして。
ただ生そのものしか目的として持ち得ないルゥに、口を出す権利があるとは到底思えなかった。
もしかしたら既に喪われた存在意義が、いつかどこかにあったのかもしれないけれど。

「……だったら、また新しい役目を探せばいい、と思うよ。
こんな世界になっちゃったから……きっと、なにかが見つかるんじゃないかな」

それはささやかな願いなのかもしれない。いまだに生きる理由を未来に見つけられない迷い子の。
漠然とした過去からの想いだけを支えに立つ事の、時折襲う言いようのない不安と恐怖を少女は知っている。
だからこそ、せめて彼女には生に意義を見出してほしいと思うのだろう。
二人分の草を踏みしめる柔らかな足音が、砂利を擦るそれに少しずつ変わっていく。
目についた石ころを軽く蹴って、前を見たまま僅かに微笑んだ。
357屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/04(水)22:55:40 ID:3IP
>>356
ルゥが言いかけて取りやめた言葉の続きを、私は聞かずとも読み取れた。
───そう、私に竜を狩る以外の存在意義は無い、私はその為に生まれたのだから。その為に造られたのだから。
竜を屠る為に技を磨き、しかし屠るべき竜がいない───そんな故事成語を初めて知った時、それはいつかそうなる私なのだと思った。
狩るべき竜がいなくなった時、私が造られた意味は何処へ行き、何がその穴を埋めてくれるのか、それを考えている内に私は───

「……ありがとうございます、ですが…」

新しい役目をこの世界で探す、きっとそれは私が真っ当に生きている状態であったなら素晴らしい提案であっただろう。
でもそうする事は出来ない、私がサーヴァントとして召喚された以上は、聖杯戦争を進行させるという役目を果たさなくてはならない。

その為に沢山の生命を刈り取らなくてはならない、私の場合は偶々それが竜であっただけの事。
役目として狩り慣れている存在であれば、利己的に生命を奪うのにも抵抗が無かったから。

「……もし全てが終わって、私が勝ち残る事が出来たなら、それを願うのもいいかもしれませんね」

【一度口をつぐみ、否定の言葉を飲み込んだセイバーが再び口を開くと、そこからは哀愁を漂わせる声色が流れる】
【何かの為に戦っている、何かの為に竜を狩っている、そう思う事も出来る言葉だった】
358ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/04(水)23:28:04 ID:A2t
>>357
聖杯に喚び出された者が、否応なく背負う使命をルゥは知らない。
けれどその言葉の色に、なにか途轍もなく重たい、足枷のようなものを垣間見た気がした。

「……そうだね。わたしは、応援くらいしかできないけど……」

一瞬だけ目を伏せる。いつの間にか足元は、随分と整備された路になりつつあった。
生きる道筋もこれだけはっきりした一本の線であれば、どれだけ楽だったろう。
目的も意義も見出せず、見渡す限りの草原に放り出された人生など、自由を苦痛で塗り替えただけのものに過ぎないというのに。
だから出来る事ならば、誰かに道を示したいと願うのは傲慢なのだろうか。

「……うん、もしそうなったら、叶うといいね」

彼女が何を為そうとし、何を目指すのかはまだ分からない。
それでもその先は決して簡単な道のりではないのだろうと、その声色から察せられたから。
その願いの託される先が万物の願望機であるなど知る由もなく、ただ聞き届けられる事だけを純粋に祈るのだ。
地平線の近く、道の先に人工的な建物の影が兆した。
359屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/04(水)23:48:09 ID:3IP
>>358
「…………」

この少女は、私に対してどんな感情を抱いたのだろうか。
竜を狩るしかない私に、死してなお目的の為に同じ手段しか取れない私を見て、何を思うのだろう。
───例え何を思われていたとしても、きっとそれは刹那の夢のようなもの。
一期一会、この広大な世界で───広大な世界が無秩序に繋がり合う世界で───同じ人物にもう一度偶然出会う事などそれこそ天文学的な確率だ。
だから、ルゥにどう認識されていようとも構わない、ただ彼女は───利己的に殺されるべきではないと思った。

「ルゥさん」

【街道の遠くに街並みが見えて来た時、ふと立ち止まったセイバーはルゥに声を掛ける】
【その眼は真っ直ぐにルゥの眼を見つめており、張り詰めた空気のまま発言した】

「……もしこの先…これから先、何処かで輝く聖杯の顕現を見たら」
「その時は、すぐにその地点からなるべく遠くに離れてください……きっと、すぐにその場は混沌とした戦場になると思うから」

───もう二度と会わないかもしれない相手、でも、それなら私から何を言ったって構わないだろう。
もしかしたら私の預かり知らないところで巻き込んでしまうかもしれない、あの戦いはきっと多くの不幸を生み出すから。

「……それだけです」

【セイバーがそう締めくくった瞬間、二人の頭上を巨大な影が横切って行く】
【天を舞う巨大な影の主、地上の小者には目もくれない飛龍に、既にセイバーの目線は奪われていた】
360ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/05(木)00:10:22 ID:W6z
>>359
セイバーが立ち止まるのに僅か遅れて、ルゥもまた歩みを止める。数歩分の距離が空いた。
振り向いて視線をまっすぐに受け止める。翠玉の瞳は陽光を受けて煌めくが、そこに感情は映らない。

「せい、はい……?」

覚えのある単語に軽く眉を寄せる。身体がいつかの痛みを訴えたような気がした。
けれどその全容には思い至らず、問い返すのも緊張した空気にどこか憚られて小さく頷くに留めるのみだった。

「……うん、そうする。ありがとう」

その言葉はきっと真摯なものであると、彼女の懸念の実態は分からないが、不思議とそう感じられた。
だから忠告を素直に受け取ろうと思っただけでなく、謝辞までも口をついて出たのだろう。
少し笑って、落ちた影に世界が束の間暗くなる。遥か頭上のはずなのに羽ばたきが大地にまで届いた気がして、靡いた黒髪をそっと抑えた。
交錯する視線から空を見上げたセイバーにつられて、少女もその先を目で追う。
雄大に青の中を舞う竜を認めて怯えるでもなく、目を細めて暫し眺めていた。
361屠竜のセイバー◆jwNOIoQSFk :2018/04/05(木)00:37:05 ID:iwN
>>360
打ち据えられる大気、巻き上げられる地表の空気。
雄大な翼の羽ばたきは大きく気流を作り出して巨体を浮かべる、それは間違いなく先程見たばかりのと同種の飛竜だった。

───竜、私が狩るべき存在。

気が付けば駆け出していた、目の前にいる対象の命を奪う為に、私はその手に得物を握って追い縋っていた。
やはり、私は何処までも竜狩りなのだ、存在意義として、生きる意味として竜を殺し続ける定めなのだ。

【飛び去ろうとする飛竜、しかしセイバーはそれを逃すまいと、ルゥには目もくれずに駆け出した】
【その姿はまさに鬼気迫ると言った風で、恐ろしく冷たい殺気が彼女を包む】
【まるで一切の容赦を斬り捨てた殺戮人形として、セイバーは竜を狩る本能を曝け出してその場を離れた】

───嗚呼。

私の運命は竜と共にある。
362ルゥ・ヴィレット ◆P4301E8CFs :2018/04/05(木)00:54:23 ID:W6z
>>361
風を感じた。上空から降る錯覚ではない。
もっと確かで、それでいて近いものに思わず視線を目の前の彼女に移そうとして。

「ぁ…………」

気がついた時には遅かった。鋭く重たい音が石畳を叩いたと思えば、みるみるうちに遠ざかる姿。
言葉を紡ぐ暇もなく、ただその背中を見送るしかできないまま。
それでも声すらかけられなかったのは、突然のその気迫に気圧されたせいでもあったのかもしれなかった。
視界から動くものが消えて、初めて草原で一人佇む。いつの間にか太陽は大分傾いて、深緑を紅に染め上げる。
長く伸びた一つだけの影をしばらくぼんやりと眺めて、ようやく人の営みを目指す。彼方に見える炊事の煙が夕闇にゆらゆら浮かんだ。
一本道を目で辿る。少しだけ、進むべき道が見えている彼女を羨ましく思った。

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