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ここだけ魔法世界 第一幕

12NC8z9kx8k:2018/07/15(日)21:23:27 ID:vWX()

大陸の中心に位置する完全中立都市『アンシャント』
別名:神々の休戦地と呼ばれるそこはあらゆる権力が及ばぬ地。故に大陸中の種族、魔法がここに集う。
貴方はその住人の一人。台本はなく、どう生きるかは思いのままに。

【概要】
所謂剣と魔法のファンタジー世界を舞台に、住人の一人として過ごすなりきりスレッドです。
雑談無し、キャラシート不要、設定自由になりますが、他住人を巻き込む設定の場合は相談が必要な場合もあります。
技能に上限などはありませんが、あくまで相手が対応できるかどうかを考えて設定するようにお願いします。

【キャラシート】
【名前】
【性別】
【職業・種族】
【容姿】
【技能・魔術】
【概要】
2名無し :2018/07/15(日)23:09:39 ID:6ur

32NC8z9kx8k :2018/07/15(日)23:11:50 ID:lkX
『ドロボーだ!!ひっ捕らえてくれ!!』

街のバザーにて男の怒号が響いた。指差す先には、人ごみをすり抜けて走る人影。
掠れた亜麻布をローブにして小柄な体を隠し、然し定間隔で漏れる呼吸はまるで少女の様。
あっけにとられた人々の隙間を慣れた足運びですり抜けていく。もうすぐ路地、そこまでたどり着いてしまえば追うのも一苦労。
果たして、その盗人を捕えに動く誰かは―――
4ドラゴニュートの少年 :2018/07/15(日)23:39:19 ID:OVz
>>3
その者、僅かな羽音と薄い気配を以て、喧騒の街道に降り立たん、耳朶を打つ羽音はされど、少女の元にしか届かず。
一つ、その少女の腕掴む者在り、略奪者は空より出でて、そのままかの外套の少女を持ち上げんと。
その飛翔、瞬きの間にて、その外套を目で追う者達にとっては恰も、目の前から掻き消えてしまったかのよう。
その手は小さく、その力は緩く、無論の事、少女が抵抗の意志を見せるなら、汝その略奪者の手より零れ落ちるは必定。
それでも尚、汝がその手の導きに従い、街道の人々の目も届かぬ上空へと誘拐される心積もりなれば。

「……よーっし、ここまで飛べば追ってくるやつも居ないっすね」

外套の少女はその右手、左手瞼に当て地上を睥睨、少年成りに高く澄んだ音色でその略奪者は呟かん。
金色の鱗に侵されし四肢、竜のそれと形を同じくする翼と尻尾、半竜人、竜と人間の交わりの結果、出来損ないの竜。
その肩に手紙を詰めた鞄を一つ、頭上には鍔のない帽子、即ち仕事中の戯れなれば、汝の反応や、如何に。
52NC8z9kx8k :2018/07/15(日)23:56:14 ID:lkX
>>4


掴んだ手ごたえは、人ひとり抱えるにしては軽く感じるだろうか。
あっさりと浮かび上がる体、あっけに取られて抵抗もできない。
ようやっと思考を取り戻して動けるようになれば、そこはもう空。抵抗はもちろんない。したら死んじゃう。

「やはー……盗らなきゃ死ぬ身分でしてぇ
 できればこのまま安全なところまで運んでもらったり?とか期待しちゃうんですけど?」

相手は少なくとも警備の男じゃない。抱えた鞄に帽子、多分運び屋の類だが善意に駆られた一市民でないとも限らない。
冗談めかして希望を言ってみるが―――

「―――あ!?」

吹きすさぶ風がフードをはためかせて、少女の顔をあらわにする。
瑪瑙色の猫目に、茶色の短髪がばさばさ靡く。人で言えば15、16ぐらいの、存外にも女の子らしい顔立ち。
けれど何より目を引く、抉れた頭部の肉の後。千切れた獣耳の残骸。
少女もまた出来損ない。人と獣のどっちつかずらしい。

//すいません気づくのが遅くなりました……
6ドラゴニュートの少年 :2018/07/16(月)00:12:26 ID:XCM
>>5
睥睨、と呼ぶにはその紅蓮の瞳余りに優しける、その顔見極めんが如く双眸光らん。
少女の言葉確かに届けば、少年はされど羽音小さきまま空中に留まる、所謂「ホバリング」なる飛び方なれば。

「まぁ、見れば分かるっすよ、だから引き渡すんじゃなくて空中に運んできたんす」
「ただ、そのまま安全な場所へ運ぶってのも、ちょーっと芸が無いっすから」

丸みを帯びた双眸動く、小さき身分で尚泥棒なれば、恐らくは並々ならぬ事情があろうと判断せり。
されど彼の者の体躯、そのまま喧騒無き安全地帯に彼女を送ることなし、彼の者の言葉もまたその行動裏付けん。
さりとて彼の者めくらに非ず、隠す亜麻色の布無くなればその下の真実は無論、残酷な事実を彼の者に伝える訳で。
ほんの少しの沈黙の表すものは何ぞや、或は自らも同じ境遇であるが故の憐憫か、それでも盗みは許さぬという正義感か。

「……そもそもおねーさん、安心して寝れる場所とかあるんすか?」

敢えて送る言葉も無し、片手で少女の手掴んだままもう片方の手で捲れた外套直さん。
空中浮遊のまま俄かに首を傾げ、相手の目見据える、落ち着けば見えぬものもその瞳に映らん、彼の者のその顔にも。
既に傷跡、されど過去の被虐の痕、頬に刻まれるは切り傷、少女より薄いとはいえど、其れは境遇の相同示さん。
なれば彼の者がまずその質問為したのも、理解出来ぬことは無し、その日暮らしの出来損ないは、衣食住すら保証されずして。
72NC8z9kx8k :2018/07/16(月)00:28:14 ID:nG0
>>6
抉れた頭を見られたくない。身分を隠すだけでなく、そんな意味のあるローブだった。
なんてことを言われるか、なんて諦めた気持ちで居たら。存外優しく、顔に似合わない紳士っぷり。
こんなに気を使われたの、何時ぶりだっけか。

「ちょ、芸なんて要らないんですけど!
 安全な場所でいーですって!ほんと!」

それ以外に望むものなどある筈もなく。芸なんていらない。

「……あ、それもそうですね。ないです、安全な場所!!」

あははは、なんてどこか悲しさを孕んだ笑い声。どうしようもない時は笑うしかない。
今一時をしのいでも、またその日暮らしの盗人暮らし。少々絶望的である。

「……お兄さん、優しい方ですよね?」

ちょっと色っぽい、いいかえれば媚び切った声。これから何を言い出すやら。
8フードの少女 :2018/07/16(月)00:44:12 ID:YBx
「おいっ!なぜこの林檎を我に売れぬのじゃっ!おかしいじゃろっ!?」

『んなこと言われてもねぇ嬢ちゃん、お金が無いなら売れねぇんだよ。こっちだって商売なんだ』

喧騒が行き交う大通り。
そこの露店で何やら店の店主とまだ年端のいかない少女が言い争っていた。
少女の方は見慣れぬ服装をしていて、どこかの民族衣装のようにも見えるその上からケープを羽織っている。
9ドラゴニュートの少年 :2018/07/16(月)00:46:55 ID:XCM
>>7
「ふははは、既におねーさんの命は我が手中、おねーさんに選択肢はないんすよ!」

冗談めかした悪役の真似、相手より尚頭一つ分低く思えるその容姿に、巫山戯た物言い其れらしく。
彼女はきっと本気だろうに快活な態度、怒られてもやむなし、寧ろそれこそ人だと思われん。

「やっぱりー……いや、気付くの遅すぎる気がするっすけどね」
「天城(アマギ)が自分の名前っすからそう呼んでくださいっす……どうっすかねぇ、実は腹黒くおねーさんの利用法を考えてるかもしれないっすよ?」

ついに動かん、その空中に舞いし金色の肉体、その腕の中に少女を捕らえたまま、何処かの一つの方角へ。
理解は容易い、その方角は決して人多き喧騒の地に非ず、寧ろ行くに従いて人通りは少なく成るであろう方角なり。
相手の言葉、即ち家なき子なる宣告が、さて彼の者の心に如何なる影響与えたか。
楽しそうな笑顔、或いは愉しそうな、少女の利用法など闇の中には無限大、悪い妄想は広がるものなれば。
喧騒敵たる少女にとっても、飛び去るその方角は或は安心できるものに在らざるか。
102NC8z9kx8k :2018/07/16(月)00:58:34 ID:nG0
>>9
妙にテンション高く、あるいは騒々しく。何か事情を抱えているのは確かでも、そんなそぶりは見せない。
ずっと、笑っている。余り明るさのない笑顔。諦めのついた、乾いた笑み。多分それが一番近い。
バザーでヘマをした時点で詰んでる筈だった。なんなら、生まれた時点で詰んでる。
どこに行こうが野垂れる時が変わるだけ。だったら、ほら、笑うしかない。

「ひえー、恐ろしい恐ろしい。」

一応相手の態度に乗る。それぐらいの余裕はあるらしい。
既にもう諦めはついてる、どうなったってかまわない―――それと、少しだけ。
そんなに悪い人でもなさそう、なんて甘えを無意識に。
優しいだろうと疑問符を浮かべたが、彼女の中ではもう断定しているらしい。

「じゃあじゃあアマギ様、この名無しの獣を存分に利用してくださいな!
 逃げ足には自信アリ、なんだってしますとも。優良な手駒だと思いません?」

もともと最初から同じような事を言うつもりだった。
何の当てもない暮らしよりは、利用される方がはるかにいい。だって、道具程度には扱ってもらえるのだから。
フードに隠れているが、相変わらず少女は笑っている。
11ドラゴニュートの少年 :2018/07/16(月)01:16:49 ID:XCM
>>10
「……つまんないっす」

呟き漏れん、視線逸らさん、相手の笑顔が消えぬことへの文句なれば。
何も本気で怯えさせようと思ったわけでなく、あくまで純朴な、子供の悪戯に過ぎぬ行為。
相手の返答は正しけれども、彼の者の表情は晴れず、寧ろ彼の者の心に一点の曇りを産み出さん。
直感、思考、何故か相手の表情、其処に浮かぶ笑顔が、空虚なものにその瞳には映らん。
なればその不機嫌、自身が少女を救える程の力持たざることに起因、即ち、ただのお人よしなれば。

「それは、あれっすね?自分の奴隷になってくれるってことっすね?」
「だとしたらちょーっと失望させちゃうかもしれないっす、自分は、まぁ定職には付いてるっすけど、住所は無いっすから」

彼の者もまた貧困区の住民、証拠は衣服に背恰好、決して小奇麗とは言えぬ似姿。
仕事中、と成る通り定職持つ分彼の者は恵まれている方なれば、さりとて小さくとも家を持つほどにはならずして。
彼女を養う等望むべくもなし、彼の者には力は無く、道具を買うための金すら持たぬ故。

「……ただまぁ……人手不足なんすよね、うちって」
「なんだってしてくれるなら、命令っす、自分と一緒に働いてくれないっすか?」

そう、彼の者に力は非ず、ならば、他人の力を借りれば良しと。
着地した場所は街中の一角、閑散たる街の道、切れかけのカンテラ薄汚れた道、治安がいいとは決して言えず。
その一つ、運び屋の事務所、その扉の前に着地すれば、被っていた帽子を少女の頭上に載せん、恰も仕事だと言わんばかり。
既に空中の檻は砕かれん、汝が足は地上に在り、彼の者の言葉に従うも、その場所から逃げるも、汝が選択権は汝に在り。
人気少なきその場所に在れば、仮令逃げたにせよ騒動になることは非ず、彼の者も追うことはきっとなし。
122NC8z9kx8k :2018/07/16(月)01:41:34 ID:VAP
>>11

「なーんですか。折角のったのにぃ」

元が優しい顔をしているものだから。曇った顔は分かりやすい。しかもそれが自分のせいらしいから。
両手が少年の頬に伸びた。そのまま掴んで

「ちゃんと悪役らしく笑ってくださいなー
ほらこーやって」

にーっと。強引に笑顔を作らせた 。

「じゃ、じゃあイケないことを―――
って全然そんな雰囲気ないですねぇ。奴隷に失望なんて」

奴隷というわりには随分と気を使った台詞。人の良さが滲み出ている。

「え、仕事貰えるんですか!?」

しかしその日暮らしの盗人から定職持ちとなれば、ランクアップは幾分か。

「や―――やったぁぁああ!!!!」

被った帽子も、フードよりは随分可愛らしい。ぎゅっと頭にはめて心地よさそう。今度は、純粋に笑っている。
今まで見せた笑顔とは、ちょっと違う顔。
逃げる意思なんて何処にもない。寧ろ少女は少年に近寄って。強くてを握ってありがとうと。
少女が救われたかは置いておいて、とにかく今、感謝していることは間違いない。
13ドラゴニュートの少年 :2018/07/16(月)01:58:45 ID:XCM
>>12
「んにゃっ、や、やめてくらさいっす!いたい!」
「……もー、自分よりおねーさんの方が似合ってるっすよ、悪役」

不機嫌、僅かに膨らむ頬に手が触れん、人間なる柔らかな頬その腕に併せて歪まん。
浮かんだ無理やりな笑顔に文句在り、笑いながら怒る姿は尚滑稽なれば、ぺしぺしと擬音も緩く汝が手を叩いて。
ようやく相手の腕から抜け出し両の頬、いたわるが如く手を当てれば、一つため息と共に苦言。
少しの冗談も手玉に取られるなれば、きっと目の前の少女に彼の者敵うまい、役者不足なる言葉が似合うものなり。

「自分も雇われる側っすから確約は出来ねぇっすけど……人手不足っすし」
「何より、自分の上司は結構なお人好しっすから」

子供、混血、竜人、孤児、彼の者も雇うには不利な点多く、利点少なき不良案件。
さりとて雇わるる場所なれば、汝が身分も関係なし、その懐に納められること容易けれ。
浮かぶは柔らかな、或はだらしない笑み、手握られ僅かに目見開き驚けば、為された感謝に目を逸らさん。
彼の者は何もせず、また何を為すことも出来ない、なれば彼女の純粋な感謝は彼の者にとってはこそばゆい。

「んじゃあ、交渉成立っす……よろしくお願いするっすね、同胞!」

竜人の手にて鼻の下擦り、呼び名は距離感を余りに考えぬまま、近すぎるとされてもやむなき呼び名を以て。
事務所に入り一言、その長呼び事情説明、仕事はどうしたの怒鳴り声と共に彼の者は、慌てたように事務所飛び出し仕事に戻らん。
その男、事務所の長は、彼の者が居なくなった代わりに残った汝を、その運び屋の一員として認めるだろうが。
今宵の物語は此処にて幕を下ろし、一人の出来損ないの少年が出来損ないの少女に出会い、仕事を勧めた物語として、彼の世界に刻まれん。
142NC8z9kx8k :2018/07/16(月)02:01:16 ID:nG0
>>13
//不安定なレス速度でしたがありがとうございました!
//今日はひとまずここまでで。返信はまた明日書いておきますね
15鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)02:03:24 ID:HNi
>>8
片手に携えているのは色鮮やかに焼けたパン。
表面から醸す香ばしい匂いは嗅ぎ取った者達を虜にし、腹の中の鈴虫を疼かせるだろう。

「♪~♪」

上機嫌に鼻歌を歌う少年もその虜の一人。
鴉が限りなく人に近づいたような面妖なお面を僅かにずらし、パンを口元に運ぼうとした時。
互いに言い争う店主と少女が少年の視界にふと映る。

「……何か問題でも?」

見兼ねたかのように少年は不格好にずれたお面はそのままに、露わになった口元を動かして声をかける。
16ドラゴニュートの少年 :2018/07/16(月)02:09:43 ID:XCM
>>14
//こちらこそありがとうございました
17x9kXmnfcFU :2018/07/16(月)07:24:53 ID:f8n
魔術師らしい少女が大きな岩のような塊に追いかけられている。逃げども逃げども追われ、森に入っても木々をなぎ倒して迫ってくる。

「う、うわああああああああ!」

少女は火事場の馬鹿力を発揮して今のところは何とか逃げているが、どうしても追ってくる相手に体力の限界が訪れつつあった。
少女は魔術師、体を鍛えているわけではないので体力は少ない。
足元への注意が散漫になっていて、石に足を引っ掛けて転んでしまう。ぼろぼろと涙を流しながら、もうダメだと死を覚悟して目を少女は目を閉じるのだった。

「あ、あうぅっ!私ここで死ぬんだ!ごめんなさい!まさか生き物の卵だなんて思わなかったんですー!」
18CXs3Xc8EjM :2018/07/16(月)08:33:07 ID:3TB
>>17

紫電が走る。
ソレは彼女の倒れた先に突然現れた。
数瞬前までそこには何もいなかったにも関わらずである。

跪いた姿勢。転移を示す凹んだ地面から立ち上がり、辺りを見渡し低く唸る。

「おい女、俺を召喚したのはお前か」

霧のような黒い体毛に被われた痩躯の男らしき者は、周囲の喧騒を無視し黄色の眼で足元の少女を見下ろした。
19フードの少女 :2018/07/16(月)09:32:59 ID:YBx
>>15

『問題も何も、この嬢ちゃんが金が無いのに商品を寄越せって言うんだよ』

「何を言うかっ!供物だと思って喜んで差し上げるべきじゃろそこはっ!!」

『………こんな調子で一歩も引いてくんねぇんだ』

偉そうな態度を変えずにそんなことをずっと繰り返しているようで。
店主も半ばうんざりしたような顔をして少年を見つめていた。
208ifadleObc :2018/07/16(月)13:51:55 ID:4Q5
大きな荷物を背負った、長い銀髪の女性が大通りを往く。
その出で立ちから察するに、行商人だろう。
その腰には、身分には似つかわしくない立派な拵えの曲刀を下げている。
異国の出をうかがわせる、きめの細かい小麦色の肌が特徴的だ。


「今回の旅も無事に帰って来れたね。
 ……まずはギルドに顔を出すか……
 ……それとも酒場で喉を潤すか……」
ふと立ち止まって、つぶやく。
行商の旅から帰ってきたばかりの様だ。
まだ日も高い、これからの時間の過ごし方について思案を巡らす。

//参加してみます、良ければお相手お願いします
21鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)14:02:20 ID:HNi
>>19

「……、………」

藪蛇とはまさにこのこと。
社会的な常識を説いてもびくともしなさそうな主張を繰り出す少女にお面の少年は返す言葉を失った。
次に少年が目を配るのは、まるで助けを求めるかのように自身を見つめる店主。

(知らぬうちに築かれた三つ巴……今この状況で僕が被害を被らずこの場を丸く収めるためには……)

ずれたままの鴉天狗のお面を被り直し、片手に持ったパンを黒装束の袖の中へ隠しながら少年は店主に向き直る。

「店主さん、この子にリンゴを上げても良いんじゃないかな?」
「このままだと埒が明かないし商売なんてとても続けられそうにない、もしそうなれば大損するのはきっと貴方だろう?」
「今回の事は商売をする上ではよくある……そう不幸な事故みたいなものなんだよ、きっと」

打算的思考のもとで練った言葉を用いて、少年は諭すように店主を説得し始める。
道理を説いても効果のなさそうな少女に立ち向かうよりも、適当に道理を説けば言いくるめられそうな店主へと矛先を向けたのだ。
22フードの少女 :2018/07/16(月)14:14:34 ID:YBx
>>21

『そんなのできるわけねぇだろう!こういうの一回許したら次々とやってくるんだ!』

お店にも評判というものがある。こんなことを一度許せばまた次は別の人がたかりに来るかもしれない。
そうなれば被害は広がっていくばかりでここでそれを許すことはどうしてもできないのだ。

『そこまで言うならにいちゃんが買ってやりゃいいだろう、とにかく俺は一歩も譲らねぇぞ』

一方少女の方はムッとした表情をするばかりで今は会話に入ってこようとはしてこない。
23鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)14:38:44 ID:HNi
>>22
「無い袖は振れぬ」

突き付け返された言葉をまるで他人事の様に涼し気な雰囲気で躱す。
懐の余裕も、他人の為に金を使う懐深さも少年にはあまりないのだ。

「とは言え、僕から突っ込んだことだ。話を聞いてただ立ち去るのも釈然としない」
「……仕方ない、ほら…名前はえーっと、そこの君、手を出してごらん」

意を決したお面の少年は、ご機嫌斜めの少女を手招きしながら呼びつけた。
24フードの少女 :2018/07/16(月)14:53:36 ID:YBx
>>23

『冷やかしなら帰ってくれ、俺だって女房と子供を食わせていかねぇとならねぇんだよ』

そう言って「しっしっ」と追い払うかのようにジェスチャーを二人に飛ばす。

「なぬ?まぁ良いじゃろう、これはなんの真似じゃ?」

言われた通りに小さい手のひらを少年へと差し出して。
25外套纏った大男 :2018/07/16(月)15:01:02 ID:R9C
>>20
「面倒事に巻き込まれる前にまずは無事を先に伝える、ってのを進めるぜそこの嬢さんよ」

声をかけるは腕輪をつけた片腕が出るように薄汚れた外套を大柄なその身に纏う人物。
頭部を覆い隠す兜の中からそれはもう勘違い起きぬほど男らしい声を発している。
その背に担いだ血の残る巨大な剣を惜し気もなく見せびらかし、外套から見える足にはいくらかの返り血をつけて仕事帰りとばかりの風体。

「丁度俺もギルドに報告する用事があってな、荷物が重いなら持ってやるぜ?」

腕力には自信があるとばかりに見えている自らの腕をバシッ、と叩きながらどうだとばかりに同行要求。
警戒しても仕方のない相手であることは明白だが、受け入れた場合は荷物を担ぎ上げようとしていることだろう。ガタガタと鳴る車輪の音はすぐ近くで。

//私も初ですがよろしければお願いします
26アルシファ :2018/07/16(月)15:16:53 ID:4Q5
>>25
「……?」
急に見知らぬ人物から声を掛けられ、
少し軽快した様子で振り向く。


「へへ……確かにその通りですね、旦那。
 ああ、荷物は結構、旦那の手は煩わせませんよ。
 ……時に貴方はどこのどういった御仁で……?
 ギルド関係、って事ぁ私の足りない頭でも理解できやしたが。」
それは、少し、というか結構恐ろし気な大男。
見るからに、戦士、と言った風体。
もしこんな大男を相手にトラブルに巻き込まれたら、
一介の商人など、普通は抗う力も無いだろう。

しかしその男はトラブルを持ち込む様な類の者では無さそう、
ただのギルドを同じくする者の好意、と言った様子である。
ここは下手に波風を立てず、一緒に目的地へと向かう事にした。

「ああ失礼、私の名はアルシファ、しがない行商人でございやす。
 そうですね、旦那の様な御仁が同行してくれると心強い。
 是非に一緒にギルドへと向かうとしやしょう。」
その娘、名をアルシファと名乗る。
男と共に、ギルドへ足を向けるのであった。

//はい、よろしくお願いします!
27アルシファ :2018/07/16(月)15:19:00 ID:4Q5
//そして暫定ですがシート投下してみます
【名前】アルシファ
【性別】女性
【職業】商人/魔法剣士
【容姿】紫の長い髪、三白眼、小麦色の肌
    年齢は18歳
    背丈は普通 胸は小さめ
    辺境の国の出身を思わせるエキゾチックな容姿
    常に薄ら笑いを浮かべている
    背中に掘られた刺青は奴隷身分を現す証
【技能】
剣術:曲刀を用いた異国の剣技。舞う様な独特の太刀筋。
   商人の身でありながらその実力は高名な剣士に匹敵し得る。
魔法剣:魔力自体はそこまで高くないが、剣技と組み合わせる事で変幻自在な戦法を取る。
鑑定眼:行商人として培ったアイテムの鑑定眼。まだまだ修練中。

【概要】
若き行商人の娘。
魔法薬や魔道具、武器などを主に扱う。商人としてはまだまだ駆け出し。
見た目は暗さを帯びており何処と無く胡散臭いが、よくよく見れば見目麗しい。
商人でありながら、高い剣の腕前を誇る。
危険な旅路で身を守るため習得したと本人は語る。

実は、過去に滅びた西方の小国の王族の血筋を引く。
国が滅びた際、捕らえられて奴隷として売られた過去を持つ。
紆余曲折あり、現在は行商人の職についた。
その際、王家の証である宝剣ナージクを取り戻し、以降自身の愛剣としている。
それは決して折れず、欠けず、錆びない美しい曲刀である。

『アルシファ』の名を世を忍ぶ仮初の名。
今は商人に身を窶しているが、
いずれ国を復興する機会、そして国を売った裏切者達への復讐の機会を伺っている。
28鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)15:29:34 ID:HNi
>>24
「これを受け取ってほしい」

そう言ってお面の少年が少女の差し出したのは
それはそれは、まるで鳩にやる餌かの如くちっぽけなパン屑。
少女に対して当て付けのように千切っては掌に置き、千切っては掌に置きを繰り返す。

そんな非生産的な行為を繰り返し続け、パンがもう残り半分となった時だ。
少年は残った半分のパンををそのまま少女の口元に向けて突き出した。
特に抵抗もしなければ恐らくそのパンはそのまま少女の口のなかに収められるだろう。

「ついさっきここの大通りで買ったとても美味しいパンだ。外はカリカリで中身はもちもち、僕の好物の一つだ」
「もしこれを自分で買えば、こんなしょうもない悪戯も受けることないし、焼き立てのパンをこの二倍の量で食べることが出来る」

「まぁつまり、何が言いたいかというと……僕からパンを貰うのは余りお得ではないということだ」

在り難いのか在り難くないのか分からぬ説教をのたまい、結局はパンの全てを少女に差し出す。
少年の素顔は鴉の面に覆われど、そこには無邪気に笑う悪戯小僧が確かにいた。
29外套纏った大男 :2018/07/16(月)15:38:35 ID:R9C
>>26
おっとそうかい、と少し残念そうに腕を下げる大男。役立てないからか、警戒されてると取ったが、後者の可能性は薄まったようで。

「俺を見て頭使う仕事担当とでも思うか? 見たまんまの魔物害獣退治を請け負ってんのさ」
「俺よりは足りてるだろうからよ、安心しな嬢さん」

兜の下で笑いながら冗談なのか本気なのか余計に分かりにくいだろう台詞を飛ばし、足りない頭についても頭の足りてないフォローを飛ばす。

「こいつは丁寧なこって、俺はガルバード、見たまんまのやつだ。今日は討伐の帰りでな」
「嬉しいこと言ってくれるなアルシファさんよ、丁度いいし後で酒の一杯は奢らせてくんな」
「っと、後ろのは気にしてくれんな。血が苦手なら尚更な」

その男、名をガルバードと名乗る。
道中着いてくる車輪の音についてはアルシファが振り向けば大きな布を被せられその上を縄で縛り付けられた荷車がひとつとそれを引っ張る馬と騎手。
台詞から読み取るにその討伐されたものなのだろうことは明白。

さて、二人が辿り着くは『アンシャント』のギルドである。

「そういやアルシファはよ、行商ってことは今まで出てってたのかい? 知人は居るか?」

扉に手をかけるガルバードはそう聞きながら豪快に扉を開けて、中の注目を浴びることだろう。
慣れているのか中で賑わう者達は目を離そうとし、アルシファに気付いてびっくりしているが。
30フードの少女 :2018/07/16(月)15:45:41 ID:YBx
>>28

「………おい、なんの真似……むぐぅっ!?」

突然口の中にパンを突っ込まれればフゴフゴと何やら文句を言いながらもなんとか全部平らげる。

「き、貴様不敬だぞっ!我を誰か知っての狼藉かっ!!
………いや、名乗っておらぬのだから当然か」

そんな一人ツッコミをしたのちに再び少年に腕を組んで仁王立ちして。

「ふふふ……聞いて驚け?我こそはっ!!」

大袈裟な身振り手振りで少し間を空けて、カッと少年を見る。

「この大陸に伝わる五大神のうちの一柱っ!風を司りし慈愛に溢れた女神!!」
「貴様も一度は聞いたことがあろう……オフェリアであるっ!!」
31アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)15:51:15 ID:4Q5
>>29
「へへ、なるほど、そうですか。
 魔物狩りの方に送っていただけりゃ、こんなに心強い事ぁありやせんぜ。
 よろしくお願いしやす、ガルバードの旦那。」
へらへらとした笑みを浮かべる娘。
……少々胡散臭い笑みだが、これは営業スマイルのつもり、なのである。

「へへ、ほんとでございやすか?
 私はケチな商人ですから、ほんとに遠慮なく奢っていただきやすぜ?
 ……時に、こいつぁ、旦那が仕留めた獲物でございやすか?
 へへっ、こいつぁすげぇ、大物でございやすね。」
荷車に括りつけられた布の下からは、どぎつい獣臭。
おそらくこの大男が屠った魔物だろう。
交わす会話は半分は世辞交じり、それは商人故の性。
しかし半分は本気で感嘆しているのである。

「えぇ、えぇ。
 私はこの街が拠点でございやすので、それなりには。
 それに、商人って奴ぁ人脈が命でございやすからね。
 ま、そこいらの大商人様に比べりゃ、チンケな人脈でございやすが……。」
32外套纏った大男 :2018/07/16(月)16:09:42 ID:R9C
>>31
「その笑顔だと胡散臭いな!」

バッサリだった。悪気がなさそうなのが伝わるせいでなお悪い。

「おうよ、最初だけ高い酒でも俺は一向に構わんぜ? 頼めるもんならな」
「当たり前ってな、採取やら調査が苦手なもんでにこういうところでは役割果たせねえとな! ……まあ証明部分の牙砕いちまったりしたからこうして運ばせてるんだがな」

世辞が混じっても大男は上機嫌だ。しかしあからさまな部分での失敗もある様子。
臭いについては商人ならその手の布はあるだろうと思ってるらしく、少なくとも紳士の気遣いは期待できなかった。

「オイオイ、人脈にチンケも何もねえだろ? あんたでチンケなら俺の人脈なんかご覧の通りだぜ!」

『喧嘩売ってんのかテメエは!』

「ほらな!」

ギルド内を見せて、反応してきたギルドの所属だろう一人の男をマナー悪く人差し指で差す。互いに笑い飛ばせるだけトラブルにはならなさそうだが。

「っと、アルシファさんの報告もあるんだったな、お互いに報告が終わったらどこに集まるよ?」

ガルバードは自分の依頼の件を報告するために受付に行くつもりだが、アルシファはさてどうだろう、と少ない頭で考えたようだ。
33アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)16:20:13 ID:4Q5
>>32
「へへ、よく言われやす。
 私としては、愛想よくしてるつもりなんですけどね、どうも上手く行かねぇ。」
こちらも胡散臭いと言われるのには慣れている様で、
大して気にした様子は無い。

「頼めるもんなら………
 ………へへへ、なんだかおっかないなぁ、旦那。
 わかりやした、今回は安酒でお願いしときやすよ。
 っと、そうですね、ちっとばかし書類仕事を先に済ませてくるんで、
 その辺りで適当に待っていて下せぇ。
 用を済ませたら、そこいらの酒場にでも繰り出すとしやしょうぜ。」
34鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)16:23:53 ID:HNi
>>30
「………?えっあっうん、そうか」
「あぁ、じゃあ僕も自己紹介をさせて貰う、僕の名前は世都(セト)だ」

物怖じすらもせずに自らを五大神、オフェリアと自称する少女に、セトは完全に虚を突かれた思いを抱く。
咄嗟にどうにか話題を繋げようと努力したが、出来たことと言えば彼女に比べてえらくユーモアの欠けた自己紹介だけ。

(ど、どう反応するのが正解なんだ……)

「ご、五大神か、そうかぁ」
「かっこいいな、憧れるよ」

「それで、五大神のオフェリアさんが何故このアンシャントの大通りに…?」

『大嘘を付くな』『こんな威厳なさそうな神があるか』等々の本音は今は胸中に固く封じ込め、今はひたすら話を合わせる事を少年は選ぶ。
35外套纏った大男 :2018/07/16(月)16:34:16 ID:R9C
>>33
「でっかく豪快に笑えばいいものよ!」

それでは商人としては難しいもののはずだが、ガルバードについては無理して愛想笑いする必要はない、とも取れるだろう。
もっとも癖に等しいだろうそれにガルバードが顔をしかめることはないが。

「怖じ気ついちまったか? 遠慮してると商機逃しちまうぜ」

これは予想外の反応だったようで、これはまずったとばかりに兜の上から頬を掻いていた。

「おう、思い出話で長くなるならいくらでも構わねえよ! んじゃ後でな!」

そう言うと一旦二人は別れるだろう。
ガルバードは受付のひとつで魔物の討伐依頼の報告を済ませ、満足げな様子で報酬を受け取り新人らしき受付を怯えさせながら肩を叩いて激励したり。

『にしても返り血少しは落としてこいよ、酒飲む前によ』

「っと、それもそうだな、アルシファが来たら外に居るって言っておいてくれ!」

あいよ、と返事したのを聞けばガルバードはギルドの建物のすぐ横で足や巨剣についていた血を布で拭き始めた。アルシファが見つけるならその光景になるだろうか。
36フードの少女 :2018/07/16(月)16:39:40 ID:YBx
>>34

「セトのう?まぁ頭の片隅程度には留めておいてやろう」

ふんす、とやはり偉そうな態度でそう答える。
そもそも言い伝えられている女神オフェリアの容姿は母性溢れる女性の姿と言われている。
だがこの少女は明らかに少女、いや幼女だ。明らかに伝わっている容姿とは色々と異なっている。

「憧れるとな?中々見る目があるのう貴様?我の中の評価が小石程度だが上がったぞ?」
「それで我がなぜここに居るか、か………それは話せば長くなる…あれはそう…神界での出来事じゃった……」

そして何故かいきなり語りモードに入る。明らかに数分で終わりそうにないことは確かだ。
37アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)16:39:58 ID:4Q5
>>35
しばらくもすると……

「お待たせしやした、ガルバードの旦那。
 何処か好みの店はありやすか?
 もし良けりゃ、安くて美味い所にご案内いたしやすぜ。」
背負った荷物は預けてきたのだろう、幾分身軽な恰好の娘が再び姿を現す。
腰に提げた曲刀は、そのままに。
38外套纏った大男 :2018/07/16(月)16:51:28 ID:R9C
>>37
「おっ、ずいぶん格好が変わったな、そいつもいい!」
「好みの店ってんならやっぱり酒と飯が美味いとこだな! そこで頼むぜ!」

巨剣から血のほとんどを拭き取り赤黒くなった布を懐にしまえば、担ぎ直して立ち上がる。
その誘いには乗りっぱなしであり、先程の罪悪感もまあ忘れてるような明るめの雰囲気だ。きっと案内すればガルバードは着いていくだろう。

その最中、兜の中の視線は自然とアルシファの体を再確認し、再び目に入った曲刀に向けられていた。
慣れているなら気付きやすいことだろう。
39アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)16:58:22 ID:4Q5
>>38
「へへっ、身なりを褒めたところで銭にゃなりやせんぜ。
 さぁて、それじゃ行きやすか。
 味については保証しやしょう、もし口に合わなきゃ賠償金払ったっていいや。」
そう言うと、ガルバードと共にギルドから程近い下町へと向かっていく。
よっぽどいい店なのだろう、自信ありげに大口をたたいて見せる。

「さ、入ってくんな、旦那。
 マスター、ちょいとお邪魔するよ。」
着いたのは、少し古びてはいるが小奇麗な小料理屋。
中に入れば、既に客がそこそこ入っている。
大柄なギルバードには、ちょっと狭い店構えだが、
程よい喧騒がむしろ心地よいだろう。

娘は慣れた様子で麦酒を2杯と、何かつまみを適当に注文する。
40鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)17:09:44 ID:HNi
>>36
オフェリアと名乗る謎の少女が語り始める前後、セトは鴉天狗の面の額に指を当てて思案した。

(神の名を騙る……これは…新手の詐欺の手口か…?)
(いや、それでわざわざ五大神の名を騙るのはリスクが大き過ぎる。神の名を汚し信徒達を敵に回せば、磔にでもされかねない)

(この少女がそのリスクを考慮していない可能性、存分にあり得る……やはりやんちゃなごっこ遊びという線が強いだろう)

聞かん坊に制止を促すかの如く、セトは人差し指をお面の嘴へと当てる。

「話の腰を折るようで済まないけど、一つ忠告をさせてくれ」
「君は子供だから神の名を名乗ってもきっと多くの人がただ冗談と受け止めてくれるだろう」
「だけど五大神オフェリアに信仰している者達はあまり良い顔はしないはずだ」

「だからごっこ遊びは少なくとも人に迷惑はかけないよう、時と場所を選んでやるんだ、良いね?」

その忠告はセトが感じた少女への印象を率直に示していた。
41外套纏った大男 :2018/07/16(月)17:09:47 ID:R9C
>>39
「なら俺の口に合えば全部奢ってやろうじゃないか!」

相手が大口を叩くなら自分も、と単純に乗っかった。商人たるアルシファからすればしめたものだろう。

「おう、邪魔するぜ、マスターとやら」

やや身を屈めるのはもしもでもぶつからないためだろう。こんな場所にも巨剣を担いでくるくせにだ。
客の層を見回し、喧騒を音楽に巨剣を傍らに立て掛けて同じ席にドカッ、と座った。

「それで? アルシファのこの店のススメは頼んだ麦酒か? 馴染みの店だからって甘くは見ねえぞ?」

マナー悪く卓に肘を乗せれば兜のままアルシファを見て挑発するように言うだろう。だがまあ、客の一部も思うかもしれない。
兜被ったまま飯や酒が楽しめるのかと。
42外套纏った大男 :2018/07/16(月)17:19:56 ID:R9C
//申し訳ない、次の返信遅れます……18時以降には返せるかと……
43アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)17:21:33 ID:4Q5
>>41
「へへっ、そいつぁ太っ腹だ、旦那。
 それじゃマスターにゃ、一番良い品を出して貰わねぇとな。」
そうこう言っていると、厨房から酒と料理が運ばれてくる。
大ジョッキになみなみと注がれた麦酒と、
豪快に焼き上げられた肉の腸詰、
酒蒸しにされた大量の貝、
風変わりな野菜のピクルス、
少々癖の強い臭いを放つチーズ……。

「それじゃ乾杯と行きたいですが……
 ……旦那。そのそれ、取っちまったら如何です?」
ここへ来てまだ兜を脱ごうとしないガルバードに、
少々怪訝そうな表情を浮かべる。
44アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)17:21:54 ID:4Q5
>>42
//分かりました!
45フードの少女 :2018/07/16(月)17:33:25 ID:YBx
>>40

「…………」

少女は絶句した。
人前でこの真名を語ったのは初めてだったが、それをこうも信じてもらえないということに何よりも衝撃を受けたのだ。

――――そして屈辱という感情も。

「ぐ、ぬぬぬッ…!あくまでも我を愚弄するというかっ…!」
「……はっ…ならば見せてやろう、その証拠をな…!」

そう言うと少女は片手を翳す。
その瞬間、周囲に異常な風が吹き荒れる。それが魔術の一種ならば魔力が流れる反応があるはずだ。
しかしそれには一切"魔力の流れ"が感じられないのだ。それはまるで風を直接操っているかのような……

「まぁ、これくらいしかまだ力は振るわぬよ」
「本来の力ならば貴様一人吹き飛ばす程度造作では無いのだぞ?」
46x9kXmnfcFU :2018/07/16(月)17:45:16 ID:f8n
>>18

「きゃあっ!?」

紫電に驚いて声を上げる。前から聞こえてくる声に恐る恐る目を開けて、少女は男の足に縋り付くだろう。何が何だか分からないが、男が自分を助けてくれると思っている。

「そ、そんなことより顔を上げてください!このままじゃ私達あのモンスターに潰されてぺちゃんこですよっ!?」

だがしかし、そんな少女の危惧とは裏腹にモンスターは寸前で止まる。
岩のようなモンスターは巨大なアルマジロに似た生物だった。
少女を何かを求めるような寂しげな目で見下ろしているが、少女は気付かない。
男が聡ければそのモンスターはインプリンティングで、少女を親だと思っていると推測できるであろう。

//お待たせしてすみません
47CXs3Xc8EjM :2018/07/16(月)18:04:34 ID:qNo
>>46

足下の少女を鬱陶しげに見やり眉を寄せる。
望む答えを得られなかった鬱憤を原因にぶつけようと右手を突き出す。

「ケダモノ如きにやられはせんが」

不敵な言葉で手の中に光が集まり始める。
しかしあわや放たれる寸前でモンスターが静止したため、男も動きを止めた。
暫し視線が絡み合う。

「敵意を感じぬ……ええい、いつまでくっついておる! 女、コイツに何をした?」

悪感情に敏感な種族柄、相手が害意を持っての行動でないと悟る。
となると少女の言葉も怪しいもので、その襟首を掴み、持ち上げてモンスターの眼前に突きつけようとするだろう。
48鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)18:08:17 ID:HNi
>>45
「この風は……」

吹き荒ぶ風に乱れ、はためく黒髪と黒装束。
セトはただ鴉天狗のお面を片手で抑え込み、鴉天狗の目の隙間から僅かにはみ出た真紅の瞳は静かに風を睨む。

(……魔力を動力にして発生させている訳ではない。体の一部のように動かすと言った方が近いだろう)

「成程、これは確かに類まれなる術だ。これほどの規模となれば最早魔術というよりは奇跡と言うべきか」

そこでセトは一つ余興を思いついたかのように、「よしっ」と小さな声で呟いた。

「……やい、リンゴの一つすらも買えずに駄々捏ねて挙句に拗ねる貧乏神」
「………偉大なる五大神のくせに清き行いではなく力で威厳を訴える甲斐性なし」

ひたすら吹き荒れ音をかき消す大嵐の中、本日セトが思いついたオフェリアの悪態をひたすらボソボソッと喋り始めた。
49x9kXmnfcFU :2018/07/16(月)18:17:06 ID:f8n

「た、たまたま見つけた洞窟を岩が塞いでたから魔法で壊そうと思ったんです!そうしたら岩に急に亀裂が入って、中からこのモンスターが……」
「あうっ!私を差し出して逃げるつもりですかー!?鬼、悪魔ー!」

モンスターの目の前に突き付けられた少女はじたばた暴れてそう叫ぶが、いつまで経っても襲われないことに首を傾げる。

「あ、あれ……?ひえっ!な、ななななんですかぁ……」

よたよたと歩いて少女に顔を近付け、すんすんと鼻を鳴らすモンスター。しかし少女にもモンスターに敵意がないことは分かった。
その理由までは、気が動転していて考えられないようだが。
50フードの少女 :2018/07/16(月)18:17:30 ID:YBx
>>48

そんな悪態を吐かれて当の本人はといえば……

「……………」

拳を強く握ってフルフルと震えている。見れば目には涙さえ浮かべていた。

「う、うるさいうるさいこのアホーッ!!!」

そしてついにそんな風に叫べば逃げるようにして走り出し「あいたっ!?」と途中で顔面から思い切りコケる。
ゆっくりと立ち上がるとまた振り返り……

「覚えておれよこの不敬者がーっ!!」

そんな捨て台詞を残して走り去っていくのだった………

//このあたりで〆ということで!ロールありがとうございましたー!
51CXs3Xc8EjM :2018/07/16(月)18:27:29 ID:qNo
>>49

「おお悪魔だとも。若輩者の癖によく分かったな」

罵倒に耳を貸さず鼻で笑う男。
少女を放り捨て腕を組み黄色い目を細める。

「ははぁ、成程。凡そ見当がついた。
此奴孵ったばかりで貴様を見て、親だと錯覚しているのだろう。
人間がモンスターの母親か。怪態な事もあるものだ」

所謂刷り込みと言うやつだろう。彼女の運が良いのか悪いのか……-
男にすればさして面白く無い話らしい。
腕を解いて肩をすくめる。
52外套纏った大男 :2018/07/16(月)18:32:30 ID:R9C
>>43
「おお、こいつは美味そうじゃねえか……!」

こいつはしまったとばかりの態度。何せ料理の数々には目が取られてしまう。
見た目だけで腹が空いてくる腸詰め以外も、何の貝の酒蒸しか、この野菜はなんだろうか、匂いで酒を煽ってくるチーズ。酒との組み合わせに期待できる。

「ん? あぁ、そういやこれだと酒も飲めねえな、忘れちまってら! 笑ってくれんなよ?」

言葉だけならばまだただのうっかり、で済むのだろう。兜の留め具を緩めるとガルバードはよっ、とその兜を外して額のところで止める。何か隠したように。
鼻についた傷一文字、金色の三白眼に石のような灰色の髪、一般にはいかつい印象を持たせる顔つきだが笑顔は十分。最終的にどう思うかはアルシファ次第だ。

「カッコいいのを期待したなら悪かったな! ご覧の通りよ!」

ジョッキの取っ手を掴み、本気を思わせる口ぶりで笑えば乾杯の準備だ。既に腹の虫も大きく鳴っている。
53外套纏った大男 :2018/07/16(月)18:32:40 ID:R9C
//お待たせしました……!
54x9kXmnfcFU :2018/07/16(月)18:44:08 ID:f8n
>>51

「あうっ!あ、悪魔……何故人間界に……?はっ!まさか侵略……」

ゴクリと唾を飲む。少女の中で男に対する警戒心が高まり、尻餅をついた姿勢のまま怯えた表情で後ずさる。

「私がこの子の母親!?ど、どうしようこんな大きい子家に入れないよ……。小屋を作ろうにもお金を使う余裕はないし……」

モンスターをちら、とみる。
親だと思われている以上何処までもついて来るだろうし、その無垢な瞳を見ていると置いて行こうにも罪悪感がある。
55鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/16(月)18:56:01 ID:HNi
>>50
「風が体の一部のようなものだとしたら。もしかしたらとは思ったが……聞こえていたのか」

冗談半分、半分本気の文句はセトが想定していた以上にオフェリアの心を抉ったようだ。
彼女が放った術は極めて強力な術、一見すれば難攻不落の大嵐もまた不完全な一面を持つ事をたった数秒で理解してしまった。

毒をストレートに吐いてしまった本人である以上、最早走り去るオフェリアを引き留めることは出来ない。
今度会った時には何かしらのお詫びすることを胸に誓いながらセトは何処か儚げな彼女の背を見送る。

「まさか僕が神を退けてしまうなんて」

余計な一言を添えながらも、自らに罰が当たらないこと、そして強き風が彼女の涙を拭ってくれることを切に願うのであった。

/こちらこそお付き合いいただきありがとうございました!
56アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)19:10:49 ID:4Q5
>>52
「へへっ、なんだ旦那、男前じゃないですか。
 もったいぶる事ぁ無いですぜ?」
それは世辞か本心か。
いずれにせよ、怯えて目も合わせなくなる様な事は無かった様だ。

「さぁそれじゃ。
 商売の繁盛に、そして旦那の狩りの成功に、乾杯……。」
ジョッキをがちりと合わせて、ぐいぐいと酒を飲み始める。
並べられた皿の上の料理は、いずれも気取る事のない大衆料理。
それ故に、庶民の舌にはこの上なく馴染むのであった。

//こっちも遅くなりました~
57外套纏った大男 :2018/07/16(月)19:23:35 ID:R9C
>>56
「……ハハハ! そうかそうか!」

言葉の世辞か本心かより、目を背けないことをガルバードは気に入って迷惑じゃないかというくらい笑った。一部が鋭い歯がハッキリ見えるほど大口で。

「カンパーイ! ――っかー! 仕事終わりの酒と飯は最高だな!」
「こいつは美味えし、チーズの匂いも癖になるってもんよ! こいつはなんて野菜なんだ?」

腸詰めを歯でパリッと鳴らして噛み切り、口の中に広がる肉汁に舌鼓を打ちながら酒を飲み、チーズをつまんで口に入れればまた酒を飲む。
まだ日の高い内から飲む酒ほど贅沢なものもなく、その顔には満足そうな笑みが宿る。
質問としては野菜について。貝の酒蒸しを貝から外して中身を口に入れるとまた酒を飲み――。

「すまねえ、おかわりって大丈夫かー?」

空のジョッキを掲げていた。
58CXs3Xc8EjM :2018/07/16(月)19:35:01 ID:qNo
>>54

「そういう反応か。やはり俺を呼び出した者とは程遠いようだ」

邪法の遣い手であれば少なくとも嫌悪の色は見せなかっただろう。
未熟な素人という言葉が男の頭に浮かぶ。
少なくとも警戒するに値しないと浮きあがり、空中に座り込んだ。

「この地に住まわせればいいでは無いか。隷属の魔法で首輪でも付けてやれば使役も容易かろう」

仮親とはいえ常にべったりである必要は無いだろう。
男に言わせれば彼女が甘やかし過ぎているのである。
というか警戒されるべき相手にわざわざ助言するのも馬鹿らしく思えた。

「赤子だろう、乳でも飲ませてやれば満足して帰るのではないか?」

宙に寝転んで逆さまにニヤリと見下ろす。
59博士 :2018/07/16(月)19:39:13 ID:XCM
硝煙、黒き空、淡い月影照らしけり。
狭き路地には猫すら寄らず、好奇心には罰以て、其処は闇の蔓延る裏通り。
整備も為されぬ不浄、不定、善性引き摺り込む裏において、今宵の演者はただ一人。

「……ふむ、データが少ない分断定することは出来ないが……」
「一種の不定形生物から発生する粘液にはどうやら、流動体を拡大させる力が在るようだ」

背丈大凡四尺一寸、背丈に似合わぬ白衣を着込み、その四肢白衣に隠されん。
眼鏡に真面目なその表情、容姿こそ十に満たぬ幼子なれど、纏う雰囲気不整合、二十越えし者の老獪さ有り。
恰も彼の姿、後天的に縮小したが如く、なればその径庭産む白衣にも合点が行く。
扨て、彼の者の手には硝子の容器、所謂「ビーカー」がただ一つ、その中埋める濃紫の液体、溢れんばかりに嵩増して。

「つまり我が輩の計算は間違っていなかったということ、一つ誤算があるとすれば……」
「どうやらこの実験によって生み出された流動体が、不定形生物と同等の意識を持ったことくらい、か」

ビーカーより伸びた濃紫の腕、彼の者の腕叩かれビーカー取り落とされん、硝子破損する澄んだ音、月影の元に響き渡れば。
広がる濃紫、水より出でて尚、まるでコールタールが如き粘性在りて、豪と生ゆる腕、大凡八尺。
その容姿宛ら、大悪魔の腕が如し、見上げた彼の者の瞳、尚蒼色の冷静保つも、頬に流るる冷や汗彼の者の焦り伝えり。
地を蹴り後退、間に合わず、振られた巨腕にてその矮小なる白衣の体躯、吹飛ばされ混凝土の壁に叩きつけられん。

「……っ……どう、したものかな、この状況は」

肺より押し出されし呼気、苦し気なる声、僅かに漏れん、ずるりと壁に寄りかかるまま汚れた床に座り込めば、見上げる巨腕は尚大きく。
豪、再び振られし不定形の腕、彼の者の体粉微塵にせんと、蒼の瞳はその有様眺めるままに。
月影の元現れし異形、座り込む子供、その手は打開策が為白衣の内に、その手間に合うか否か、或は、その危機救う何者かが現れるか。
彼の者の命運、如何に。
60dq6CU3lvNU :2018/07/16(月)19:47:33 ID:f8n

「そ、そんなのダメです。隷属なんて……この子を本当の親の元に返してあげたいけど……」

刷り込みを解いた話など聞いたことがない。このモンスターにとっての親はもう少女であり、責任を持って面倒を見るしか道はないのだろう。少女は未だに迷っているようだが。

「っ……変態!そんなことできるわけないでしょう!?人間の……その、でこの子が満足するとは思えませんし、まだ出ませんから……」

少女はそういう話が苦手なのか、顔を真っ赤にしている。最後の方は、消え入りそうな声で俯いてポツポツと。
61dq6CU3lvNU :2018/07/16(月)19:48:10 ID:f8n
//上のレスは>>58に向けたものです
62CXs3Xc8EjM :2018/07/16(月)20:03:05 ID:qNo
>>60

「変態は貴様だ。別にお前のとは誰も言っておらん。家畜の乳という手もあろうに」

赤くなる様子を見て笑みを深める男。
初心な少女を揶揄う事に楽しみを見出しているようで。
悩む相手に比べればお気楽なものだ。

「そこまでわが子が大事なら必死に金を稼ぐほかあるまい。まあ、岩とモンスターの区別もつかぬ貴様に出来る仕事などたかが知れていようがな」

ならば結論は1つしかないと、手を叩く。
しかしそれも上手くいかないだろうと彼女の実力を見下した言葉をぶつけることも忘れない。

「俺が言えるのはこのくらいか。契約者でも無い貴様の相談に乗る義理もない。
そも何故洞窟に入ろうと思ったのか……」

むしろ悪魔にしてはよく付き合った方だと自分を褒めて、いや罵ってやりたい。興味が失せてきたのか欠伸混じりに目を閉じる。
63アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)20:06:16 ID:4Q5
>>57
「へへへ、旦那の御口にあったようで何より。
 こりゃぁ、今日は旦那の奢りって事で良さそうかねぇ?」
大男の食べっぷりを、満足気に眺めつつ、自分も酒と食事を嗜む。
……余談だが、野菜の正体については、ついぞ答えが返ってこなかった。

「ところで旦那……
 私は商売がてら、ちっと人探しもしていてね。
 ……八首の竜の刺青が入った男に、旦那ぁ心当たりは無ぇですかい?」
酒もある程度進んだところで、娘がふと話を変える。

//ごめんなさい、今度はこっちが遅くなりました……!
64外套纏った大男 :2018/07/16(月)20:13:08 ID:R9C
>>63
「クッ、仕方ねえ! 男に二言はない!」

おい? と野菜は逸らされたものの美味ければ良かったのか大男もあまり追及はしないのであった。
それよりアルシファに朗報なのは今回の乾杯の代金は大男が負担するということだ。

「……ん? その刺青ってのは……身体のどこにあるとかはわかってんのか? 刺青だけなら若気の至りで刻むやつも居るからなぁ」

麦酒は何杯目か、口元に付いた白髭をそのままに酒気を帯びた顔を真面目にしかめたガルバードは顎に手をかけて声を抑えた。
こういったことには気が働くようだが。

//いえいえ……!
65dq6CU3lvNU :2018/07/16(月)20:17:44 ID:f8n
>>62

「うっ、うぅう……」

何も言い返せない。少女は悔しそうに唇を噛んで、男を苛立ちが込められた視線で射抜く。

「ちょっと失礼じゃありません?私、冒険者稼業は素人ですが、魔法の実力には自信があるんですよ。少し見せてあげましょうか?」

少女の我慢が限界に達したのだろう。空間に浮かび上がる魔法陣、男の返事を待たずに少女は詠唱を始めている。

「遍く全てを飲み干す波ッ!」

魔法陣から大量の水が溢れ出した。それは木々を飲み干して、全てを押し流していく。男の元にも、すぐに水流は届くだろう。モンスターに目配せして、離れるように言うと少女は右手に魔力を集中させている。
66アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)20:19:57 ID:4Q5
>>64
「さぁてね。
 私が見た奴ァ、左の肩に入っていやしたが……。
 ま、心当たりが無ェんならいいんです、妙な事をお聞きしやした。」
娘の口ぶりだと、件の者は複数人いる様であるが…。

「奴等、すっかり姿くらましやがって……
 ……情報らしい情報も無ェや……。」
麦酒の残りを飲み干した後に、一人ごちるのであった。
67外套纏った大男 :2018/07/16(月)20:29:19 ID:R9C
>>66
「場所には決まってないと……ああそうだ、俺は腹にそれっぽいのを入れた奴なら西の路地の裏で見たことあるぜ」
「ただすぐに隠してたし、俺もハッキリ見ちゃいねえからアルシファの言うもんと一緒かはわかんねえけどな」

キナ臭い依頼が無いわけでもなく、また彼の見た目上時には公に出ない方が安心できることもある。
たまたま、その時見かけたことを伝える。不確定過ぎる情報だが、参考になれば幸いとばかり。

「嬢さんに何があったかは知らねえけどな、気を付けるんだぜ?」

豪快に麦酒は飲み干し、腸詰めも酒蒸しもピクルスもチーズも、皿の上にひとつ残るのみ。
アルシファが取る様子もなければ、その一つもまたガルバードの口に消えることだろう。元から彼のならそれらはすっかり消えていた。
68アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)20:39:40 ID:4Q5
>>67
「ふむ……この街に、居るかもしれないのか。
 ……西の路地、ね。」

「いや、旦那、助かりやした。
 どんな情報でもありがてぇんでさ。」
礼を言う娘の瞳は、何処か仄暗さを帯びていた。

「へへっ、言われるまでもねぇさ。
 命あっての物種ですぜ、危ねぇ事にゃ極力手を出さねぇですぜ。」
69外套纏った大男 :2018/07/16(月)20:46:44 ID:R9C
>>68
「そうかい、満足したなら良かったぜ、けどな」
「そうやって言う奴ほど足を踏み入れて首突っ込むもんだ、次に会う時に大怪我なんてしちゃくれんなよ?」

金色の三白眼は細まり、圧するような雰囲気を持たせる。

「まあ、腰につけた剣が盗賊に盗られたとかなら専門だ、そういう時は依頼にでも出しといてくれよ」
「マスター! 最後にもう一杯頼むぜ!」
70アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)20:53:16 ID:4Q5
>>69
「こいつぁね、旦那。
 盗られる様なヘマは絶対しないさ。
 こいつはもう二度と手放さない。」

「……こりゃ私にとって命より大事なモンでね。
 これを盗られるときは、そりゃ私が死ぬときさ。」
そう言いながら、曲刀の柄に手をかける。
そこまで言うとは、余程大事なモノなのだろうか。

「さて旦那、最後に一杯飲んだらそろそろ帰るとするかい?
 マスター、会計だ。こちらの旦那が払ってくれるってさぁ。」
……そして会計は、やはり容赦なく全額支払わされる様だ。
71外套纏った大男 :2018/07/16(月)21:04:02 ID:R9C
>>70
「そう言うだけの価値はあるってことか、そりゃ結構なことだがそれでも生きて取り返した方が喜ぶと思うな!」

人の大事なものなど人それぞれ。いつか都合つけば聞くとしようと思いつつ、最後としてかけるのは死なない思い。
まあ盗られないのが一番なのもまた確かだが。

「おうよ! 夜にまだ一個仕事があるもんでな! 酔わせてもらって助かったぜ!」
「……チッ、ちゃっかりしてやがるぜ。だが美味かったぜマスター」

運ばれた麦酒を豪快に忘れ去るように飲み干し、ダァン! と置けば懐から小袋をひとつ。
ニッ、といかついながら満足げな笑みを向けるとガルバードは提示される金額分、払うだろう。その下に余分な枚数があったが感謝の気持ちだろう。
そして席を立てば巨剣を担ぎ直し、兜を被り直した。
72アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/16(月)21:09:28 ID:4Q5
>>71
「へっへ、ごちになりやす旦那。
 よっ、太っ腹……!」
にやにやと締まりの無い笑みを浮かべ、
形ばかりの礼の言葉をのたまう。

「ははぁ、旦那これから仕事ですかい。
 勤勉だねぇ……へへへ。
 酔っぱらってて大丈夫なんで……?
 ……なんて、聞くだけ野暮ってもんか、へへ。」

「じゃ、あっしはギルドに帰って、今日は寝るとしやす。
 ……お気をつけて、旦那。
 ああ、何か品物がご入り用なら、このアルシファめが御用立ていたしやしょう。
 ……気楽に声をお掛けくだせぇ、へへへ。」
会計を済ませたガルバードに別れを告げ、ギルドの方へと去って行った。

//では、ひとまずこんなところで締めに……ありがとうございました~
73外套纏った大男 :2018/07/16(月)21:17:46 ID:R9C
>>72
「夜に出る魔物狩りでな! 酔う方が調子が出るもんだ!」

まあそういうことである。軽い酔い程度なら良いタイプだ。

「おう、よく寝るんだぜアルシファ! その時は頼らせてもらうぜ!」
「それじゃ俺ももう一仕事行くとするか! じゃあな!」

兜の下で大笑いすると巨剣の柄に手をかけて魔物狩りに出向いたのであった。

//ありがとうございましたー
745smbHugP7o :2018/07/16(月)21:21:54 ID:jl5
>>59
月明かりだけが仄かに照らす路地に、忍ばせた足音がひたひたと響く。
纏うローブと肩を撫でる程度の髪は闇に溶ける程に黒く、病的に白い肌だけが暗がりに浮かぶ。
足取りは軽くも重くもなく至って平坦、異形たる腕に向かいながらもそのテンポは一定のまま。
齢は座りこむ子供よりいくつか上といったところか、それでも夜歩きには些か幼すぎるのには変わらない。
紅玉の瞳は壁際には目もくれず、能面の如く無表情でじっと影を落とす巨腕を見上げた。

「すみませんが、通行の邪魔なので――」

中性的な声が空気を震わすとほぼ同時、地を強く蹴る音。
鋭い踏みこみ。いつの間にやら手にしていたか、両手に握るのは身の丈程の大剣。
まるで影を凝縮したかのように刃の先から柄まで黒いそれを、障害物を断つべく横に一閃。

「――少し手荒いですが、通らせてもらいます」

//まだいらっしゃれば…!
75博士 :2018/07/16(月)21:55:13 ID:XCM
>>74
薙ぐ、その剣閃、宛ら悪魔に仇なす英雄が如く、その濃紫の怪物の腕を両断せん。
されど流動体、びしゃりと汚らしい音立てその体躯の僅かが散り、煤けた混凝土に汚れ重ねるも。
自重に従いその傷、合いて塞がらん、汝が目前には変わらず、否、汝が頭上に狙い定めた大悪魔の腕映らん。
だが汝が襲来、動いた者、その怪物のみに非ず、即ち座り込む彼の者もまた、その襲来に反応せり。

「……魔法元素1019番、ユミリウム」

白衣の元より試験管、座り込んだまま虚空へ言葉、空の試験管僅かに光り、小さな白銀なる欠片現れ出でん。
飛来、彼の者より試験管、投げたそれは濃紫の腕に衝突、粘液質なる大悪魔の腕、その試験管をも飲み込まん、欠片と共に。
刹那、凍結、飲み込んだ試験管、その内部の欠片を起点に、流動体は氷の彫刻へと姿変えり。
されど止まらず、寧ろ硬度を増したその腕、一閃放った少女の頭蓋へ、叩き潰さんと振り下ろされん。
汝がその膂力に怯え、抵抗の意志を無くすなら、その行為は悪手、自身が敵に力を与えたに過ぎぬ愚者の一手、されど。

「氷ならば、形あるものならば、貴様は切れるだろう」

彼の者はその期待を以て、この状況を産み出せり、汝がそれに応えるならば。
汝が目前の大悪魔の腕は、既に刃に切られ得る愚鈍な雑魚に過ぎずして。
765smbHugP7o :2018/07/16(月)22:16:52 ID:jl5
>>75
光呑む刃が異形を捉え、しかし斬り裂いた間隙は自然の理に従って瞬く間に塞がってしまう。
声と同様中性的な顔は無表情のままも小さく舌打ち。
月を隠して振り上げられた掌から回避すべく動こうとして咄嗟踏みとどまる。
視界の端に、闇に紛れて動くもう一人の姿を認めたがために。

「そこまで言われてしまったら、応えないわけにはいきませんね」

僅かな明かりに煌いた氷が広がる様を見逃す事はない、頭上に迫る拳には怯む仕草も見受けられず。
一度目の横薙ぎの勢いのまま身体を捻り、今度こそその腕を寸断せんと凍りついた部位への回転斬り。
それが叶えば氷の彫像が自身の反対側に倒れるよう、間髪入れず蹴りを入れんと。
77博士 :2018/07/16(月)22:32:14 ID:XCM
>>76
斬、同じく一閃、大悪魔の腕の中心に刻まれん。
されどその傷、流動体が如く塞がることは二度となし、断末魔上がらず、氷の砕ける澄んだ音のみ響かん。
ぴしり、ぴしり、と罅刻まれれば蹴りにて終末、煤けた地面に倒れそのまま幾多の細かな氷片と相成らん。
静寂、氷片異様なまでの速度で氷解、蒸発、虚空に消え、後に残るは怪物退けた少女と元凶たる白衣の少年、粉々に割れた試験管の欠片のみ。

「……まぁ、一本ならば許容範囲か、しかし死んだときの消え方すら不定形生物と同等とは……」

辺りに散らばった欠片など、拾ったところで意味も無し、失ったものは小さくなけれど命には代えられず。
その氷片の消失、彼の者が不定形生物と呼ぶ魔物、所謂「スライム」の消失に近ければ、彼の者の情報として数えられり。
曲がりなりにも目前の少女は命の恩人、されど彼の者の態度は恰も、別の興味に惹かれるのみが如く。
ふと、顔を上げて目線を向けたその時が、目前の少女を確認した初めてだと疑い抱かんまでに。

「……あぁ、まぁ、何だ……助かった、というべきなのだろうな、この状況では」
「貴様が目に入った時にはよっぽど、逃げろと叫ぼうかと思ったが……」

博士なる少年、会話に難く、言葉に迷いて一つ、受け取りがたい感謝の言葉。
次いでの言葉は相手の容姿を揶揄したものなれば、それは悪口とも、容姿に似合わず強き者との賞賛とも取れり。
785smbHugP7o :2018/07/16(月)22:56:47 ID:jl5
>>77
氷とは到底思えないその消滅の様を、無感動に棒立ちのまま見届ける。
残されたのは二人の子供と、小さく光を反射して路地を飾る硝子の破片のみ。
そのどれを取っても、大凡深夜の路地裏には似つかわしくない要素であるのには違いない。
少年の呟きに言葉を返すでもなく、腕の跡地から目を離さないままごく無造作に大剣から手を離す。
あわや落下と思いきや、大剣は流体さながら形を失いべしゃりと路面に沈みこむ。
その行方を、月明かりを頼りとするこの場で窺い知るのは難しい。

「……いえ、たまたま通り道の邪魔だっただけですから」

謝辞を受けて初めて、その瞳が少年を捉える。未だ発達しきっていない華奢な体つき故か、全体的に中性的な印象を与える容姿。
自身の外見の幼さに自覚はあるのか、揶揄の言葉に気にした様子はなく。

「自衛手段がなければこんな時間に一人で出歩きませんよ」
「貴方こそ、少し迂闊では?ここでは何が起こるか分からないというのに」

遠回しに少年を揶揄っているのか、相も変わらずな無表情はなんの意図もない発言とも取れるかもしれないが。
根幹の原因が少年であるとは知るはずもなく、であれば先の件は無力な子供が異形に襲われているようにしか見えないのも道理。
一見すれば力のない少年が、人気のない路地裏に一人いることに疑問を呈するのも致し方ないと言えるだろう。
79博士 :2018/07/16(月)23:09:28 ID:XCM
>>78
大剣の行く末、彼の者の目に映らず、薄暗がりを照らす手段、彼の者持たず、仮に持っていたにしろ使用することは無きにして。
或は目に映れば、彼の者の探究心は少女の大剣に向かっていたが故、その目に映らぬは寧ろ幸運か、両方にとっても。
彼の者の今の研究の目的は、少なくとも大剣の行方を追って解決され得るものではない故に。

「ふむ、我が輩はまぁ、これでも二十五歳なのだが……」
「心配する必要は無い、我が輩も一応、自衛手段くらいは持っている」

傍目には信じがたき事実、暴露、さりとて納得されるとは彼の者も思っておらず、言葉続かん。
そも、迂闊か否かに年齢はそこまで大きな要素に非ず、仮令彼の者二十より上だとして、力が無ければ迂闊なことに変わりなし。
ずれていた眼鏡その手で直し、続く言葉と共に懐より、一本の試験管取り出さん、それが彼の者の武装だと言わんばかり。

「とはいえ、そうだな……これだけ暗くなるのは少し、予想外だったか」
「……貴様は、家にでも帰る途中かね?助けてもらったお礼だ、それまで我が輩が送ってやっても構わんぞ」

空仰ぎ、睥睨、浮かぶ月影、人気無き場所と此処を選んだはいいものの、此処まで暗くなるとは思わずして。
再び視線落とし、少女見上げん、推論が後、傲慢なお礼の言葉が、汝の耳朶を打たん。
自身満々、恰も自身が拒絶されることなどないと言わんばかり、利己主義、自己中心的な思考、その表情より伺えり。
805smbHugP7o :2018/07/16(月)23:28:25 ID:jl5
>>79
「それは失礼しました。ですがどちらにせよ、このような場所を歩くならば気をつけた方がいいかと」

少年が語る実年齢と外見の剥離に、驚愕の色は見せない。
この都市には様々な種族が混在する。長命種だって少なくはないのだ、その程度で驚いては身がもたない。
しかしそれでも、一見武装もしていない子供となれば弱者と見做されるのは必然。
ちらりと少年が取り出した試験管を一瞥、口調はぶっきらぼうながら気遣いとも取れなくはない言葉。

「……僕を、ですか?いえ、結構です。邪魔な物を避けただけで、貴方を助けたつもりじゃありませんから」
「……それに、これから仕事に向かうところなので」

少年の申し出に、試験管からその相貌へと視線を移す。ほんの僅か、よく観察していなければ分からない程度に目を見開いた。
だが回答はすげなく断るもの、少年にとっては期待外れのものかもしれない。
帰路ではなく往路である事を伝えるあたり、さすがに申し訳ないと思ったか。
81博士 :2018/07/16(月)23:47:57 ID:XCM
>>80
「あぁ、正論だな、聞き入れておこう、貴様も勿論心得ているだろうしな」

くるりとその手の内で硝子容器回る、多少利己主義なところあれど、忠告聞き入れぬほど頭の固いわけでもなく。
こくりと一つ頷き肯定、されど手放しに肯定することせず、一言付け加え。
彼の者、自身の容貌危うければ、汝、自身とほぼ変わらぬ上女性たる少女の容貌もまた、気を付けるべきだと。

「いいかね、過程や理由に意味はない、残るのは結果、我が輩がここに生きていると言うことが重要なのだ」
「貴様の目的がお遊びだろうと、我が輩の命が貴様に救われたことに変わりはない」

二十五、大人、人生の先輩、言わんばかり、人差し指立て講釈せん。
理由がどうあれ、汝の力なくしては、彼の者の死、とは言わずとも、重症負うことは必定。
なれば汝は彼の者に対する英雄、礼は受け取るべき也と、感謝の押し売りたるその行為を臆面もなく。

「……む、そうかね、ならば邪魔をするのはいけないな、うむ……」
「……だ、だが何もしないというのは博士の威厳に関わる!ここはひとまず借りにしておいてやろう!」

或は往路でなければ、彼の者自らの主張押し通すため、異様なる鬱陶しさ以て汝に食い下がっていただろう。
されど鬱陶しさ変わらず、びしりと人差し指差さん、汝が鼻先目掛け、僅かに身長足りずして鼻先には届かざるものの。
即ち、次相見える時には必ず、命の借りを返さん、その宣言と共、確実にするためか、彼の者は汝に名前を問わん。
顔と名前、覚えれば、借りを返すに弊害なし、そう言わんが如く。
82白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/16(月)23:52:12 ID:nG0
アンシャントのギルド内。依頼が並ぶ掲示板の前に人だかりが出来ていた。
屈強な戦士、もしくは絢爛な魔装具を纏う魔術師が並ぶその中で、少々浮いている男が一人。
細身の優男。伸びるがままの黒髪。眼鏡をかけて、白のローブ―――というよりは白衣と言った方が近いだろう物を纏う。
猫背のまま掲示板を見上げ、その視線は一点に注がれていた。

「………」

代筆屋にでも頼んだのか、綺麗な字に反してその依頼の内容は”ペット探し”
当然それは報酬も僅か。故に誰も見向きしない、が。彼だけはそれをずっと眺めているのであった。
835smbHugP7o :2018/07/17(火)00:11:03 ID:kDb
>>81
「……分かりました。そこまで言うのなら、そういう事にしておきましょう」

見た目年下のはずである少年に気圧されて、かどうかは曖昧だが、自身が彼にとっての恩人であるという事は渋々ながら受け入れの姿勢。
自己申告がなければ身の丈以上に尊大な子供にしか見えない彼に対して、どこか諦めのような呆れのような。

「……威厳、ですか……」
「ええ、それではいつか返してもらうのを待っていますね」

表情こそ変わらないが、おうむ返しには困惑と疑念が滲む。
失礼ともとれるが、相手の容姿が容姿だけに仕方ないと言えなくもないか。
まっすぐに向けられた指先に思わず視線が移り、しばしの沈黙。
しかしやがて口約束に過ぎない期待を言葉とし、ほんの微かに表情を緩めた。
それも一瞬、すぐに元の鉄面皮に戻ってしまったのだが。

「……今はクリスと呼ばれています。ギルドではミスト、とも。こちらは通り名ですが」

この名乗りから得られる情報は多いだろう。これが本名ではない事、曰くギルド関係者であるという事など。
されど自分から語る事はしない。相手に質問の暇を与えず、少年の名を聞き返す事だろう。
84運び屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/17(火)00:21:18 ID:5yT
>>13
事務所に入って彼女を迎えたのは怒号。仕事を任せたらいつの間にか女の子を連れてくるのだから当然ではある。
ちょっと縮こまって、握る手に力が込められる。ひょうひょうとしていても、何しろ知らない人だらけの場所だし。
どうなったっていいけど、怖くないという訳でもないらしい。

しかし少女と一対一になれば意外なほどに優しい顔を向けられた。
快く一員として迎えられた少女は、改めて帽子を深くかぶり、亜麻布を捨て制服を纏い

「よーっし、給料分はがっつり働きますよっと!!」

びしっと拳を掲げて宣言。ここに名無しの獣は一人の労働者となった。
少なくとも、今までよりはきっとマシな生活ができるだろうし
頼れる誰かが居るというのは、意外と結構小さくなくて。

//改めてお疲れ様でしたー!
85博士 :2018/07/17(火)00:27:05 ID:qaZ
>>83
「……何か文句でもあるのかね、言っておくがね、この姿は不本意だ!」
「本来の我が輩はもっと高身長で、シュっとしてて……こほん、まぁそれはいい」

年齢操作、彼の者受けし呪術は其れなれば、本来の容姿に思いを馳せるも宜なるかな。
故に相手の疑念にも聡く、鋭く、じっとその瞳にて睥睨、自身の容姿に対する弁明一つ。
とにかく自身に自信があるなれば、熱烈な主張も流石に痛いと思えば口閉ざし、咳払いと共に言葉止めん。

「うむ、待っていたまえ……ならば、クリス」
「そうだな、我が輩は、博士とでも呼んでもらおうか……ドクターでも構わん」

僅かに顰められし眉は、彼の者の疑念を示す、ともあれそれを聞く時間は無く、なればと一つ、前者の名前用いて。
彼の者もまた、本名は名乗らず、肩書で呼べと要求せん、博士、ドクター、容姿に似合えど名として合わず。
恰も、本当の名前に意味などないだろう?とでも言いたげに、相手の顔見上げて主張せり。
865smbHugP7o :2018/07/17(火)00:49:48 ID:kDb
>>85
「……いえ、なんでもありません」

まくしたてる少年から、すっとさりげなく目を逸らして聞き流す。
そもそも外見年齢と精神が釣り合っていないのはこちらも同じ、比較的理解は得やすいのだろうが強すぎる主張は時として毒にもなり得るのだ。
少年の咳払いと同時に視線を戻す。ほんの僅かな表情の変化に気がついたのか、その相貌からは窺えない。

「それではドクター、と」

互いに本名を明かさない事に気を害した様子もなく、白衣から容易に連想される称号を選ぶ。
どうせ月光しか明かりはないのだ、少しくらい闇に隠されているくらいがちょうどいい。
他者との識別が為されていれば、それこそ呼び名などどうだっていい。

「……では、僕はそろそろ。ドクターも、夜遊びは程々に」

先の言が正しければギルドへと向かうのだろう、砕けた試験管の欠片を踏みにじって路地の先を往こうと。
もしも少年が呼び止めないのであれば、その背中は少しずつ小さく遠くへ。
87博士 :2018/07/17(火)01:03:19 ID:qaZ
>>86
「うむ、宜しい、その呼び方そのものが敬称になっているからな、敬意を以て呼んでくれたまえ」

余程、自分に自信あり、と言うことか、提示した呼び名扱う汝に彼の者、満足げな表情返さん。
少なくとも汝が言葉、敬意の類は伺えぬ、筈なのだが、彼の者にはそれすら関係非ずして、表情変わらず。
何れにせよ、かく光届かぬ路地裏において、馬鹿正直に名を名乗る者など居らずして、このやり取りは或は必定なり、
彼の者その状況に文句を言わず、汝もまた気分を害せず、なれば汝はクリスで彼の者はドクター、全てことも無し。

「心得ておこう、クリス……また我が輩の力が必要になった時に会おう」

ひらり、手を振り、汝が後ろ姿を見送る、最後に残す言葉は前述のものなれば。
その姿、路地裏の暗闇に呑まれるまで、その場所に立つまま、消えれば漸く白衣翻し、その路地裏から立ち去らん。
彼の者、汝、その縁次に繋がるか、今には分からず、少なくとも月影の元、偽名持つ二人の交流として語られん。

//〆ます、お相手ありがとうございました
885smbHugP7o :2018/07/17(火)01:07:40 ID:kDb
>>87
//こちらこそロールありがとうございました!
892NC8z9kx8k :2018/07/17(火)21:27:51 ID:y3k
>>82
//再募集かけておきます!
905smbHugP7o :2018/07/17(火)21:55:13 ID:kDb
>>82
とん、と。
男がその場に立ち尽くしているままであれば、何が軽くぶつかった感触が背中に伝わることだろう。

「――失礼しました」

その正体は黒いローブを纏った子供、齢は十といくつといったところか。
容姿の幼さは男に負けず劣らず目立つものだが気にしている様子もなく、紅い瞳が無表情で男を見上げる。
声も顔立ちも中性的なそれは男に短く謝罪、すぐに張り出された依頼を物色しようと掲示板に向き直る。
が、周りの戦士や魔術師達と比べて小さな体躯。人だかりの中であちらこちらに押されてどこか危なっかしい。
男にぶつかってしまったのも、こうしてふらついた結果であると思い当たるのはそう難しくないかもしれない。
加えてその背の低さ、掲示板を見上げるのにも悪戦苦闘しているのが見て取れるはずだ。
91赤髪の剣士 :2018/07/17(火)22:31:26 ID:k13
白昼の酒場で一つ、大きな騒ぎがあった。
カウンター横に崩れ落ちる大男とその原因であろう剣士、その後ろに隠れる女性や騒ぎ囃し立てる周囲を見ればどのような事があったかは一目瞭然であろう。

「いやー……やりすぎちゃったかな、これは……」

経緯は見た通りに至極単純。
酔ったドラゴニュートの男が女性を口説いていたが余りにも強引なやり方だったので剣士が割って入り、
大男が逆上し殴りかかってきたのに対し鞘代わりの布を巻いたままの長剣で角、続いて顎を強打し黙らせただけの事だ。
装備を見れば大男とて戦士であり、酔いがあったとはいえそう易々と遅れをとるような人物ではない──だからこそ女性に迫るなどといった行為に及んだのだろうが──事は分かるだろう。
しかし、それをノした当の本人は困り顔で頬を掻いていた。

「まさか沈んじゃうとは思わないじゃん?
僕だって予想外だよこんなの……」

剣士としてはあくまでも敵視を引きつけ女性を守る、あわよくば大男に痛い目を見て冷静になってもらうだけのつもりだったらしく、
それ以上の過激な結果に終わってしまった現状を好ましく思わないのか席にミルクを残したまま立ち尽くしていた。
92白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/17(火)22:33:54 ID:5yT
>>90

「おおっと
 いやはや、失礼失礼。集中していると周りが見えなくなりますもんで。」

屈みこんで目線を少年に合わせ、一つ頭を下げた。丁寧な対応と言えるが、ある意味失礼かもしれない。
少年の体は小さく、然し雰囲気に幼さはない。この年の人間で、依頼を見に来るものはそう居ないが、少年はそうらしい。

「……あなたも何か依頼を探して?」

確認。大した意味もない、純粋な好奇心から来る質問。

//すいません、少々目を離しておりました
93外套纏った大男 :2018/07/17(火)22:47:49 ID:6MI
>>91
「ハハハ! こいつは珍しいもんを見せてもらったな!」

囃し立てる周囲の中を割って入ってきたのは身体の大半を外套に隠して、頭部にフルフェイスの兜を着けた人物。
声からすればいかにもな男であることは明白で、背中の巨大な剣もまたその大男が戦士であり、また筋力も十分であることを匂わせる。
当人よりもまず、前に出ていた観客に経緯を聞くように身を屈めた大男はいやに高揚している説明を聞くとまた豪快に笑っていた。

「よう兄ちゃん! よくやったじゃねえか! まあしかたねえよ!」

大男はドラゴニュートの戦士を軽く掴み上げるとそう笑い飛ばすように言った。それだけでも彼の剛腕はよく伝わるほどに。
周囲といえばその様子を見て良いとこ取るんじゃねえとか、もっと早く止めに来いよー! などと酔いにも任せてるのか容赦はない。

「角と顎なんざ急所みてえなもんだからな! こいつに限った話じゃねえよ!」

……で、どうする? と可愛そうになるほど無様につまみ上げられてるドラゴニュートの男の行き先を、その大男は訊ねていた。
945smbHugP7o :2018/07/17(火)22:50:14 ID:kDb
>>92
どうにか前に出ようとしたり、何度か背伸びを試みたりと。
様々な手段を講じてみるもののやはり体格の差と数には勝てなかったようで。
結局依頼の物色を諦めたのか、人だかりから少し外れた場所で小さくため息をついた。

「……ええ。いつもはもっと人の少ない時間に来るのですが……」

男に声をかけられればそちらを見やり、じっと考えこむように凝視。
やがて男の好奇心に応える気になったのか、肩を撫でる程度の黒髪を揺らして頷いた。

「人が多いと、やはり探しにくいですね。仕方がないので時間を置いてからまた来ようかと」
95赤髪の剣士 :2018/07/17(火)22:57:01 ID:k13
>>93

「兄ちゃん、まぁいいけど……」

突如現れた男の呼びかけに、微妙に納得行かなげな表情を浮かべながらも先程ノした大男がひょいと持ち上げられる様子を眺める。
やりすぎた事への罪悪感も無くはないが、この際仕方のないものだと割り切る事にしたようだ。

「とりあえずこれ掛けて外に寝かせておいてもらえるとありがたいかな。
そのまま放り投げるのは……その、流石に可愛そうだし」

まだ若い剣士は存外甘いらしく、ドラゴニュートの男への配慮を欠かさない。
砂地などで使う用のマントを背嚢から取り出すと雑に男に被せて渡す。
体格差から身体を覆うとまではいかないものの、野ざらしになるよりは身体が冷える事を防げるだろう。
96白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/17(火)23:00:20 ID:5yT
>>94

「お探しの依頼があれば協力しましょう。
 私は何か、アテがあるわけでもないので。」

にこりと笑みを浮かべるが、そこに映るのは善意よりも好奇心。
白衣を着る者の宿命か、この小さな冒険者に対する好奇心が隠せていない。
アンシャントにはさまざまな種族が集まる。研究者にとって、楽園ともいえる場所に違いない。
先ほどまでの集中はどこへやら、新しい興味にあっさりと気移り。
97外套纏った大男 :2018/07/17(火)23:06:20 ID:6MI
>>95
「ハハハなんだ! ひょっとして姉ちゃんだったか? それなら詫びに奢るから許してくれや」

ドラゴニュートの戦士に関してはそもそも無理に女性を誘わなければ起きなかった事故であり、言ってしまえば自己責任。
そのため周囲にもドラゴニュート戦士に対するやりすぎ、なんて声はそちらにはかからないだろう。この大男にはかかるかもしれないが。

「おう! 野ざらしでまた恨まれても面倒だしな、任せろ!」

外套の下で自分の胸でも叩いたのか金属と拳のぶつかる音が響き、そのまま踵を返すと周囲を掻き分けて大男は外に出た。

――なんか大きめの音がしたが、多分気にしない方がいいだろう。
もし覗きに行ったなら店の壁を背に木箱に座らせられたドラゴニュート戦士が見えるだろう。
マントに包まれてるが足先は出てしまってるのでこの時期虫に噛まれてるかもしれない、がまあこれも仕置きだ。

「ハハハ! 一丁上がりってな、さて」

ドラゴニュートの眠りを確認して大男は再び戻ってくる。

「やるなら今度は顎か角だけにしてやることだ!」

開口一番これであった。周囲は相変わらず守られた女性と守った剣士を囃し立てていて大男にはあまり目を向けてない。
985smbHugP7o :2018/07/17(火)23:12:24 ID:kDb
>>96
「……では、お願いしても?」

男の申し出にしばらくの思案、その笑みに少なくとも自身への害意はないと判断したらしい。
向けられる好奇心にはおそらく気がついているだろうに、表情を変えないまま小さく頷く。

「どういったものでも構わないのですが……そうですね。モンスターの討伐、できれば大型のものがあればお願いします」

さてどんな依頼を、となれば少しの間考えるように視線を余所に。
最終的に絞りこんだのは、大凡子供には難しいともとれる討伐依頼。
掲示板から少し離れても一人であるあたり、誰かと組んでいるわけでもないのだろう、蛮勇と諌めるならば今のうちか。
99赤髪の剣士 :2018/07/17(火)23:15:19 ID:k13
>>97

「まあ、うん、そうだけど……
別にそこまで気にしてないよ、僕も自覚はしてるしね」

言葉とは裏腹に、やっぱりそう見えるかなーなどと呟きながら髪を弄ったりしてみせる。
大男に言われた言葉だけではないが、相当気にしているようだ。

「あ、ああ……ありがとう……
凄いね……いやなんというか、色々と」

大男のパワフルさというかやけにエネルギッシュな様子に面食らいながらも店に戻ってくるのを見守る。
そもそもノした方も結構な大男なはずだが、目の前の男はそれを上回る勢いだ。
あまりそういう人間と接する機会が無かったためか、興味ありげに身体を見回した。

「うん、ドラゴニュートと相対する時は角から衝撃を与え、
対角線上の顎を叩けば効果的って父さんから習ったんだけど
まさかここまでとは思わなかったからね……気をつけるよ」

言いながらミルクを残していた席に戻る。
その卓の向かいは空きがあり、周囲の人間も騒ぐだけ騒いだからか各々で呑み直している段階に移っているためそう横槍は入らないだろう。
100外套纏った大男 :2018/07/17(火)23:23:52 ID:6MI
>>99
「すまねえな、酔ってると人見るのが苦手になるんだ!」

見間違いなのか、それとも剣士側の都合なのかはわからない。今は兜もあるし、距離もあるだろうが酒気は十分らしい。

「下手すると死ぬからな! 酔っ払いのすだけなら片方でも十分だ!」

さらっと危ない発言をすると大男は女性の方に目をやると向かいの席に行かないのか、という様子で見ていた。
少しして遠慮なのか恥ずかしいのか、単に大男に脅されてると思ったのか知るよしもないが来なかったので大男は遠慮なく向かいに座った。巨剣はちゃんと側に立て掛けて。

「それにしてもすぐにできるってことは慣れてるんだな、父親も随分護身に慣れた教えだ!」

早速とばかりに大ジョッキの麦酒を頼む大男。いや、もうなんというか本当に遠慮が見えない。相席許可すらここではまだ出されてないのだから。
101白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/17(火)23:29:36 ID:5yT
>>98

「丁度いい依頼がありますね。」

指し示す先には、多頭の獣のシンボルが描かれた依頼書。
それを掲示板から回収して少年に示す。依頼内容を纏めればこうあった
アンシャント近郊の樹海にて、死霊憑きの魔獣が出現。複数の死体が混生した大型の個体故、熟練の者求むと。

「危険度は中々の物でしょう。
 して、作戦はいかほどにしましょうか。勝算はありますかねぇ?」

アンシャント近郊の樹海は、ただこの街で過ごす分には意識することはないが
奥地では死霊が蔓延り凶悪な魔物が潜む事も有名である。危険地帯には間違いない。
少年にとっては、見た目だけで考えるなら不釣り合いな任務。男も、さしたる戦闘力は見られない。膨大な魔力を持っているようにも感じないだろう。
しかし彼は、少年に何かがあると踏んでいるのか。子供の様な好奇心を以て少年に勝算を訪ねている。
102赤髪の剣士 :2018/07/17(火)23:32:56 ID:k13
>>100

「うん、そういう事にしておくね」

間違えた事に関して大男に非はないだろう、
中性的な顔立ちに「僕」という一人称、胸当てに籠手などといった女性らしくはない装備で剣士となればどちらでもおかしくはない。
ただ、相手がそう言うのだからそう言う事にしておくのが角が立たず、かつ手間もかからないのだ。

「うん、父さんは騎士だったからね……
怪我とか色々で一線は引いたけど、実戦剣術って意味じゃいい師を持ったと思ってるよ」

向かいに座った大男に対し「あ、来るんだ」といった、拒絶でも歓迎でもない視線を向けるながら語る。
さりげなく揚げ物を頼むと、二人の間に置いて共有出来るものとする。

「まぁ、僕も冒険者としてはそこそこ経験積んでるからね……
それでも、父さんや姉さんには及ばないんだけどさ……」

家の話題になった途端、先程の活躍が嘘のように顔が曇る。
相当自信がないのか「あの程度誰でも出来るし……」などと呟きながらミルクを呷る。
103外套纏った大男 :2018/07/17(火)23:44:18 ID:6MI
>>102
大男は忘れているが、冒険者や戦士に限らず女と油断、甘く見られたりしないようにそういった格好をあえてする者も居る。
先程の酔っ払いの件がいい例とも言えるだろう。

「まるで剣術以外はダメみたいな言い方だな! まあ父親の教えってのも頑固なもんだからな!」

その視線にばつを悪そうにしていることもない、兜被ったままなので単に見えないだけとも思えるが、少なくとも声からはそうは思えないだろう。

「誰でもってことはねえだろうよ、現に最初にあの嬢ちゃん助けたのは嬢ちゃんじゃねえか!」
「動ける動けないって差はでけえぞ! 生きるためにもな……あ」

届いたジョッキに上機嫌そうにしながら大男はそんな呟きを喧騒の中聞き取ったのかマナー悪く先程の女性を指差しながら言葉を飛ばす。
言い切った後にそのままジョッキを煽ろうとして兜にぶつけてるので、しまりはしなかったが。
その兜も外して、額のところで被せれば石のような灰髪、金色三白眼にそのいかつい面も明らかになってジョッキを飲み干し、揚げ物を食らっていた。やはり聞くこともなく。
1045smbHugP7o :2018/07/17(火)23:44:53 ID:kDb
>>101
「……なるほど」

男が示した依頼をざっと読んで吟味、拒絶を示さないあたりどうやらお気に召したらしい。
樹海といえば所謂初心者お断りの場。駆け出しの冒険者であれば熟練者の同行は必須であるし、奥地などもってのほか。
特に死霊絡みとなれば、その難度が高いのはギルドの者であれば想像に難くない。
しかし子供は躊躇う様子もなく、ごくあっさりとその判断を下すのだった。

「作戦、ですか?いえ、特には……」
「その、失礼ですが……貴方も同行を?」

しかし男に算段を聞かれれば、虚をつかれたのかほんの僅かに目を見開く。
何も勝算がない、というわけではないのだろうが、少なくとも小細工の類を弄するタイプではないのが窺えるか。
そもそもソロで討伐するつもりであれば、何も手の内を明かす必要はないわけで。
学者然とした男が危険度の高い討伐依頼に出向くとはなかなか考えがたい、どこか胡乱げな眼差しを向けた。
105赤髪の剣士 :2018/07/17(火)23:52:20 ID:k13
>>103

「あ、そうじゃなくて。
父さんは本当にいい人だったと思うよ、うん……
僕が釣り合わないだけでさ……」

自棄ミルクの2杯目を飲み始めると、酒を飲んでもいないのに目が据わり始める。
どうやら相当に鬱憤が溜まっているようだ。

「まぁ……そりゃあ一番最初に動いたのは僕だけど……」

褒められているのを素直に受け取れないらしく、もにょもにょと視線を泳がせながらボヤく。
実力に反して自分への自信の無さは筋金入りらしい。

「……しっかしおじさんも豪快な飲みっぷりだね、
おじさんも仕事終わり?」

話題を逸らしたいのか、大男の現状について尋ねる。
ナチュラルにおじさん呼ばわりしている事については気に留める様子もない。
106白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/17(火)23:58:03 ID:5yT
>>104

「ほう、ほう、ほう!!正面から叩き伏せられると!!
 失礼ながら、屈強な戦士にも大魔術師にも見えない体に、どれほどの力が込められているのか見当もつかないのですが―――」

興奮した口ぶりは本音混じり。一見失礼な言葉の並びも、ただ純粋な感想を述べただけ。
決して煽る意図はなく、ただ正直。そもそも彼のセリフは、自分にも刺さるものだし。

「―――え、ええ。当然でしょう。
 協力すると言ったのですから。」

当然彼に撤退の文字はない。間近で見なければ何の意味もない。

「自衛する道具はありますのでご安心を。
 ”自信作”ですので、なんならそれ以上を発揮してしまうかもしれませんが。」

首から提げたペンダントを少年の前に掲げる。何かしらの魔道具の類らしい。
彼自身には大した魔力はないが―――少なくともそれが、かなり手の込んだ道具であることは伝わるだろう。
107外套纏った大男 :2018/07/18(水)00:04:57 ID:e21
>>105
「釣り合う釣り合わないはどうでもいいな! 俺はその父親を知らないからな!」

これが果たして鬱憤の溜まってそうな相手に言うことだろうか。事実としては事実だが。

「面倒事を嫌うやつは多いからな。そんな中でああなるのも気にせずに助けれたってのは十分だろ!」
「それにあんま遠慮してると助けられた方が参っちまうぞ! なあ!」

周囲の者たちは申し訳なさそうに笑ったり、女性に詫びとして奢ろうとしてたり、まあ様々だ。いずれにせよドラゴニュート相手に前に出るには相当な気が必要なのだ。
女性の方に意見を求めるあたりはわかってるのかたまたまなのか。

「おじ………………さん? …………まあそんなとこだな!」
「でっかい大蛇でな! そうだなさっきの奴でも丸飲みされるんじゃってくらいのだ!」

おじさん呼びに酒気が消えたかのように固まった。呆けてるせいで口も半開きで鋭い歯もよく見える。
そして周りに至っては堪えたように笑っている。意図はまあ察せなければただの気の問題である。
108白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/18(水)00:05:23 ID:r9t
//wiki等は用意した方が良いですかね?
109赤髪の剣士 :2018/07/18(水)00:14:30 ID:XAa
>>107

「……ふふっ、いや確かにそーだね。
ごめんごめん、ちょっとナーバスになっちゃっててさ」

家族の件と今の件は関係ない、暗にそう諭されたと解釈し立ち直る。
女性にも改めて声をかけるなどして周囲へのコミュニケーションを済ませる。

「えっ……あ、ごめんお兄さん!
お兄さんだよねうん、いやー僕もちょっとサンドゴーレム相手にしてたから目に砂がさぁ!」

相手の絶句具合に自分の失言を察し、慌ててフォローに走る。
それすら雑なあたり、相当に焦っているらしい。
1105smbHugP7o :2018/07/18(水)00:16:21 ID:08G
>>106
「ええと、その、ですね……」
「……これでも、この仕事は長いので」

興奮気味な男とは対照に、どこか気圧されつつある子供。傍から見れば怪しいこと極まりない場面である。
やはり自分の体躯には自覚があるのか、弱者そのもののそれであると思われるのにそう抵抗があるわけではないらしい。
それでも終ぞ、言葉で己の手の内を明かそうとはしないのだが。
さも当然といった同行の申し出にもやや困惑の表情であったが、やがて諦めたように束の間目を閉じた。

「分かりました。では短い間になりますが、よろしくお願いします。僕のことはクリス、とでも呼んでいただければ」
「言っておきますが、僕は貴方を守る気はありません。自分の身は自分で守ってください」

ペンダントを凝視し、ただの代物ではないと見て取ったか小さく頷く。
パーティーを組むのには承諾するが、怪我などは自己責任とのこと。子供らしからぬ冷淡さが垣間見える。
111外套纏った大男 :2018/07/18(水)00:23:18 ID:e21
>>109
なお、大男の方は諭したつもりはまったくない。真実は知らない方が良いのである。

「無理はすんな……まあ嬢ちゃんくらいからすりゃおじさんだろうしな」
「目大丈夫か? 水で流したか? あいつはなあ、剣で叩き斬るのも面倒だ!」

なんとかフォローで落ち着いてはくれたようだ。揚げ物を食らう手が若干落ち込んでる気もするが、追求する場合傷を抉るだけである。
それはそうとしてサンドゴーレムについて話題が移りそうな気がする。名前からして砂で構成されてるゴーレムの話だと思ってるがサンドゴーレムも多様だろう。

「そういや食わねえのか!」

揚げ物、いつの間にか三つは大男に食われている。
112白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/18(水)00:31:35 ID:r9t
>>110

「言ったでしょう、”自信作”ですので。
 守られるなど、私の作品の不備を証明するだけですから。寧ろありがたいですよ。」

自信家。もしくは自信過剰に見えるか。
自分の作品に自信がなければ研究などやっていけない。皆彼の様という訳ではないが。

「支度はそのままでも?」

その言葉にうなずくなら、依頼の先へ向かう事になるだろうか。彼は既に備えはあるから大丈夫だとか。
行先は樹海、ちょうど舗装された未知の途切れる地点。一般人でも立ち入る可能性がある最後のラインと言ったところか。

//すいません、ここでいったん凍結を挟んでもらってもよろしいでしょうか?
113赤髪の剣士 :2018/07/18(水)00:33:58 ID:XAa
>>111

「う、うん……なんというか……ごめんね……?」

まだ酒の飲めぬ齢である少女とはいえ、流石に歳上の男性=おじさんは視点が穿ち過ぎたと反省する。
ちなみに目に砂が入ったのは咄嗟の嘘であり、実際にはサンドゴーレムの身体を構成する砂が弾けるのも含め全て"剣"により跳ね除けていたのだった。

「ちゃんと洗い流したから大丈夫大丈夫。
そんでもってそれ頼んだはいいんだけどさっきの騒ぎの前に食べてたし、予想以上にお腹いっぱいだったよねって」

失敗しちゃったよ、と苦笑しながら皿をそちらに押し付ける。
実際には男の食べっぷりがあまりにも気持ちいいから見ていたというのも含まれているのだが敢えて言う事もない。

「そうだ、僕はそろそろ休むけどお……兄さんはどうするの?」

別に同衾がどうこうといった話ではない、単にまだ飲み続けるのかといった問いだ。
あまり酒を飲みたい続けるのはよろしくないとは思っているが仕事終わりの一杯の抗い難い魅力も知っている故のものだが、果たしてどう受け取られるか。
114外套纏った大男 :2018/07/18(水)00:44:03 ID:e21
>>113
あー気にすんな気にすんな、とでも言いたいのか大男は首を振って手を振っている。
多少気にしてはいるが相手に負い目を負わせるのも大男は嫌うようだ。

「ハハハ! 抜けてるとこはあるんだな、ならさっきのおじさん呼びの詫びとして貰っとくぜ」

ちょうど良かったとばかりの反応だ。
気としてはいくらか楽になるはずと大男も皿は自分のところへと寄せて遠慮を完全に無くした。
その豪放な食べっぷりと来たら、同じように食べに来た者たちが同じものを注文しているほどであった。

「俺はまだ飲むつもりだな! 仕事終わりの酒にはまだまだ足りねえ。それとも嬢ちゃんはそれでしまいか?」

そう言うとジョッキの酒は一気に飲み干し、当たり前のようにおかわりを要求して持ってこさせる。なるほど大男はいい客ではある。
そんな大男は相手が酔いに負けたと思ってる様子だが、さて。
1155smbHugP7o :2018/07/18(水)00:48:34 ID:08G
>>112
「……そうですか、分かりました」

自信ありげな男の答えに緩慢と頷く。
尊大な男の態度に気がついていないのか、それともそういった類の人間を他に知っているせいか。
下手に持ち上げないあたり、おそらくは後者の方だろうが。

「僕は構いません……ああ、ですが」
「貴方が問題なければ、夜になってから向かっても?僕としては、その方が動きやすいので」

男同様、子供の方も見る限り武装しているようには見えないが、支度に関しては既に問題ないらしい。
しかしタイミングにはこだわりがあるようだ、それも大凡人間には不利とも思える時間帯。
ただでさえ危険のつきまとう樹海だ。特に夜となれば視界が悪くなるだけではなく、死霊も活発になる時間。
それでも日が暮れてから赴きたいという要望を、男はどう取るだろうか。
とはいえ無理を通そうとはしない、男が固辞するのであればこのままの出発となるだろう。
人の手がほとんど加えられていない自然の領域に向かう足取りは、どこまでもただ散歩に向かうかのような気軽さで。

//了解しましたー
//個人的にはwikiはあってもいいかなと!
116赤髪の剣士 :2018/07/18(水)00:56:56 ID:XAa
>>114

「うん、そういう事にしといてくれると嬉しいな」

食べてる様子を微笑ましく眺めながら自分の分の会計を済ませる。
妹であり姉であるからか、あるいは父と同じくらいの歳と思ってか、男の食べっぷりが気に入ったらしい。

「うん、結構な強敵仕留めて帰ってきてアレだったからね……
ちょっと疲れちゃってさ」

恥ずかしそうに頬を掻きながらも床に置いていた背嚢を背負い、出立の準備を整える。
といっても冒険者としては少ない荷からこの街の宿に多くの荷を預けている、つまり長いことこの街に居るつもりな事が伺えるだろう。

「あ、そうだ。
僕の名前はカルコ、カルコ・アルデバラン!
お……兄さんも強そうだし、何か困ってたり美味しい話があったら是非呼んでよ!」

アルデバランと聞けば情報通ならば、
あるいは騎士に縁や怨があれば王都聖騎士団における名の知れた騎士を連想するだろう。
であれば目の前の冒険者がその娘である事は先程までの話から推測出来る。

そんな彼女は別れの挨拶として元気よく腕を振りながら、白昼の街へと去って行くのだった。

//これでこちらは〆になります、お疲れ様でした!
ありがとうございました!
117赤髪の剣士 ◆pO97uTWan. :2018/07/18(水)01:03:23 ID:XAa
【名前】カルコ・アルデバラン
【性別】女性
【職業】冒険者・魔剣憑き
【容姿】燃えるような赤い長髪を後ろで一つ結びにしたヘアスタイル。
切れ長の金眼は中性的な顔立ちと併せて性別を誤認させがち。
背丈は女性としては平均以上、鍛えているおかげで全体的に引き締まっている。
服装としては全体的に軽装だが戦闘職らしく胸当てや籠手、具足など急所を保護する装備。
主な得物である魔剣「カスティール」を黄色い魔力布で覆って背負い、腰に短剣を提げるなどして冒険者である事をアピール。
短剣は料理や探検、長剣の使えない閉所での戦闘など用途は多岐に渡る。

【技能・魔術】
剣術:長剣や短剣での戦闘技術。
父から教わった騎士剣術がベースだが我流の割合も大きく、わりと手や足が出る。
魔法剣:剣に魔術を纏わせる、剣を媒介にし魔術を放つなどといった魔導技術。
魔力量は並よりやや劣る程度ではあるが創意工夫と魔剣によりそれを補う。
炎術:本人が持つ唯一の魔術素養。
炎に関してのみではあるがかなりの才能を持ち、魔力量さえ十全ならば大魔導士になれたかもしれない。
斥候技能:視力や視点の良さ、足音を殺しての移動や物音の感知、長距離・悪路の踏破・ちょっとした工作など幼い頃から自然で慣らしてきた悪ガキの才能が実践を経て技能として昇華されたもの。
見る人が見れば騎士や魔法剣士なぞ志してないでレンジャーになれと熱弁するレベル。

【概要】
騎士の家系であるアルデバラン家の次女。
少しばかりやんちゃな節は有るものの健康優良児として成長してきた。
しかし騎士学校で既に頭角を現している姉と魔術師としての才覚を発揮しつつある妹に挟まれ、家に居辛さを感じて家出するかのように冒険者となる。
まだ若いのに冒険者として独り立ちできているのは姉妹には無い斥候・暗殺者としての才能故なのだが本人はあまり自覚していない。

先述の境遇から自分に自信がなく卑屈な面も少なからずあるものの
基本的には明るく快活で正義感も強くなかなか嫌と言えない、一人称が「僕」な事もありお人好しの少年のような性格。
密かに女の子らしさに憧れているが、最早公然の秘密。

魔剣「カスティール」
正式な名称は「カスティール・ゴールド」。
邪なる風神の力が宿る青白い刀身の魔剣で、普段は鞘の代わりに魔力により生み出した黄色い布によって覆われる。
長い刀身を持つ剣ではあるが風を纏う事で所有者に重さを感じさせない。
強大な力と引き換えに所有者の精神を蝕んでいく性質を持つが、カルコがその力を完全に引き出せていない為今の所はやや怒りっぽくなった程度で目に見えて実害はない。
所有者になってしまうと自分の意思で手放す事が出来なくなるものの、
剣としては業物なので呪いに気が付かなければそもそも手放そうという気にもならない。
118外套纏った大男 :2018/07/18(水)01:07:51 ID:e21
>>116
「そういう時はゆっくり休むのが一番だからな、恥じることはねえよ、無理して体壊す方が間抜けだ!」

大男はまた笑う。追い掛けるつもりはないようで、その流れを見れば大男は背もたれに背をかけて大きく手を振るのみ。
いいものを見て、その上飯まで奢られているのだ。これで不満があるというなら贅沢にも程があるのである。
どのみちその荷を見る限り会いたければ会えば良いだけの話だし、髪色などから特定も――。

「そうか、俺はガルバードっつーんだ、そっちも困ってたり美味い話がありゃ頼むぜカルコ!」

新しく届いたジョッキを片手にガルバードは顔色表情そのままにギブアンドテイクを要求だ。
別れの挨拶を済ませ、店から出たのを見ればガルバードは酒を飲み干し。

「かー……騎士の娘たぁな、そりゃ前にも出れて」
「悩むもんだろうな、難しいもんだな、騎士ってのも!」

騎士に直接ではなく、仕事の関係で彼もまた有名どころの名は聞くのである。そしてそれほど伝わるというなら悩むものも居るというのは豪快な大男でもわかるもの。
だが大男は酒を飲めばそんな悩みも吹き飛ぶと思い込む性根だ。騎士から外れた経緯など語るべき時でいいと柄にもないことを思いながら今日も酒に明け暮れた――。


なお件のドラゴニュートの戦士は翌朝あまりにもばつが悪くなり直接誘った女性に謝罪をしに行ったとかそうでもなかったとか。

//ありがとうございました! お疲れさまでした!
119外套纏った大男 :2018/07/18(水)01:11:39 ID:e21
//wikiは自分もあってもよろしいかと思いますよー
120dq6CU3lvNU :2018/07/18(水)07:22:04 ID:JEd

「……ストミラシア。石や岩、鉱石を食べることが特徴で成長すると山のように大きくなる個体もいる。性格は温和、群れを成して活動して他生物を自発的に襲うことはない」

本を覗き込みながらぶつぶつと呟き、街中を歩いている少女。先日出会ったモンスターの生態を調べているのだが、困っているようである。

「山のように……今も私のお家より大きいし、街にはとても住まわせてあげられないよ」

子を盗まれたと思って親が来ると思っていたが、その様子はない。毎日あのモンスターを見つけた洞窟に足を運んでいるが生物が訪れた痕跡もなかった。
少女は、本当の親は死んでしまったのではないかと思い始めていた。

「はぁ、放っておけないけどこんなの面倒見れないよ……うあっ!もう行かなきゃ!」

今は草原に放しているモンスター。一日に一度その様子を見に行かないと、街の近くまで来てしまう。少女は慌てた様子で走り出すのだった。
121白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/18(水)22:14:18 ID:r9t
>>115

少年の提案に頷くまでコンマ数秒。迷いはないらしい。
月幕の時こそ死霊の世界。森は彼らの部隊となるが、”その程度”に後れを取るつもりは無い、なんて。
それに何かあるのでなければ、態々言わないセリフであろう。彼は寧ろ、少年に対し期待を増していた。

さて日は沈み、二人がそろえば歩き出す。
道が見える段階では、さしたる危険は感じない。月明りは届くし、獣の気配はあっても死霊の類は感じない。

「しかし、不思議だと思いません?」

その間のちょっとした雑談。ふと彼が口を開いて

「死霊はそうそう自然に発生する物ではないはず。少なくとも、こんな大規模には。
 死霊の森自体はそう珍しくもないんですが、そこには何か逸話があるでしょう。
 嘗て滅ぼされた村があったとか、行商の一団が消えた、とか。」

死霊とはその性質から、自然に発生する魔物とはある意味別物と言える。
死者の怨念、魔法実験の悪しき結果、これらは一例だがその存在には理由がある筈だ。
しかしこの森にそんな話は無い。ただただ近郊の樹海と呼ばれ、明確な名前すら付けられていない。

「考えると楽しくなってきませんか?
 ただの森じゃない気がしませんか?」

その問いに少年がどうこたえるか。
話していれば目的地はもうすぐ。道は途切れ途切れになって、生い茂る木々が月明りを奪う。
ただの眼じゃ周囲を把握することも難しくなってくる。男はしきりに目を凝らして辺りを見ている。
――――――そろそろか。掠れた獣の唸り声が、無数聞こえてくるのは。

//遅くなりました……
122銀髪の男 :2018/07/18(水)22:14:37 ID:m4g
銀髪の男が目の前の巨岩を見据えていた。
巨岩もまた呆けた顔色で男を見つめ返している。

この拮抗状態はすでに数十分間維持されていて、両者はアンシャントへと続く道の障害物と化していた。

//待ちの投下から時間が経っていましたので、誰でもこれる感じの便乗させていただきました
1235smbHugP7o :2018/07/18(水)23:03:56 ID:08G
>>121
いや増す男の期待に気負う様子もなく、むしろ男が拒否しなかった事に僅か驚きの気色。
夜に死霊を相手取るだなんて、さすがに拒否されるだろうと腹の中では思っていたがため。
そうなると男は余程腕に自信があるのだろうか、その動機が自身への興味であるという印象は最早薄い。

時は進んで宵の口、道には大小の影が月明かりに浮かぶ。
街道があるうちはまだ安心だ。人の往来がある証であるし、それは即ち脅威がほぼ存在しないことを意味する。
だから少しだけ、雑談に付き合おうという気になったのだろう。

「……僕は学があるわけではないので、あまり考えた事はありませんが」

男の問いに、前置きを一つ。
相変わらずの無表情はそのままに、言葉を選びながら続ける。

「この樹海のように魔物も多い場所では、死霊による事件が魔物のものであると誤認される事があるのではないでしょうか」
「それで死霊の発見が遅れ……まあ、僕としては仕事があれば構わないのですが」

あくまで素人の考察だ、そう真剣に受け取られる事もないだろうと戯けたように肩を竦めた。
足元が土混じりになりつつある。月光が枝葉に隠され、視界の確保は難しい。
だというのにその子供が辺りを見渡す仕草は、まるで日中のそれと変わらない。
獣の声が聞こえれば、そろそろいつ危険が迫ってもいい頃合い。どこから現れたか、手には柄まで黒い片手剣。
男が注視していたならば、それが子供の足元から文字通り生えてきた事が分かるはずだ。

「さて……そろそろ、お喋りの時間はお終いでしょうか?」

//すみません、こちらこそ遅くなりました…!
124白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/18(水)23:25:50 ID:r9t

>>123

「ならば寧ろ、我々が思うより死霊が蔓延っている可能性もある
 やはり中々興味が惹かれる対象です。あなたもそうですが、今日は収穫が多い!」

ここで雑談は終い。掠れた唸り声はまるで合唱。複数の喉から、一斉に放たれる不協和音。地鳴りと共に響く足音が、驚異の程を伝達する。
月明りがなくたって、これ程の異形が現れれば容易にわかる。人二人ほどを縦に並べた高さの、巨大な獣の影。
頭部は三つ、獅子のような、狼のような、どれ一つとして同じ獣の物はなく。前足と思わしき場所には、爪の代わりにまた頭部が張り付けられている。
目を凝らせば、胴体にもいくつもの頭が並んでいる。子供がバラした獣を適当にくっつけたような歪。それら一つ一つが、悲鳴のように唸っている。

「どういう経緯で、あんなものが生まれるのやら……!」

やはりというか、彼はそんな獣に対して興奮を隠さない。おかげで彼の剣の発現は見逃したようだが。

「前衛はお任せするとしましょうか。
 そういう獲物だとお見受けしますので。私が前に出ることも可能ですが」

獣はまだ様子をうかがっているようだ。先手を打てる状況。
ただし、相手の手札は何もわからないままであるが。
1255smbHugP7o :2018/07/18(水)23:49:35 ID:08G
>>124
雑談が終わろうと、静寂が訪れるにはまだ早い。
獣の唸り声とも思えない不快な音が樹海に響く。どこかで鳥達が慌てふためいて飛び立った。

「……随分と頭が多い。これでは食い出がなさそうですね」

高揚している男とは対照的に、見上げる程の歪な獣を前にしても平静さを崩さないまま小さく呟く。
だらりと両腕を下げたまま、さりとて紅い瞳は油断なく相手を睨めつける。

「ええ、貴方は援護をお願いします」
「……暗いからと言って、誤って僕を狙うなんてのはごめんですよ」

ちらりと男を一瞥、冗談のつもりか微かに笑った。小さな牙がちらりと覗く。
しかしそれも一瞬、様子を伺っている獣へとすぐさま疾駆してその足元へ。
接近が叶えば、向かって右の足へ両腕に力をこめての一閃。
片手剣では長さが足りないと見たか、振るう漆黒の剣は接近の合間にその刀身を伸ばして大剣相当のものに。
126白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/19(木)00:01:08 ID:dJU
>>125

「信頼されていないようですねぇ。
 ご安心を、自信作ですのでそんな不備はございませんとも。」

最早お決まりの決め台詞と化した言葉を放ち、彼もまた構える。
どうやら、周囲から聞こえる唸り声はその魔物だけのものではなかったらしい。
周囲から続々と、小型の獣が表れる。囲まれたか。

「では、一旦私はこちらの相手を。
 大丈夫です、ずっと見ていますので。支援は的確にやって見せます。」

ずっと見ている、その言葉はある意味説得力があるだろう。
事実、前方に向かう少年に向かう雑魚は一匹もいない。仕事はこなしているらしく、背中を預けても問題ないだろう。

一閃。瞬時に間合いを変化させたその一撃は、あっさりと魔獣の肉を切り裂いた。
しかし獣は既に死した身なれば、痛みもなく怯みもしない。少年の情報から、前足が降り落とされる。
純粋な質量攻撃であり、故に小柄な少年には厳しい攻撃かもしれない。少年がただの子供であればだが。
当然支える足は切断されており、体勢を崩しているが、そんなことは構わずに攻撃を加える。これをしのげばチャンスとなるか
1275smbHugP7o :2018/07/19(木)00:22:36 ID:hix
>>126
四方八方から聞こえる合唱、しかしその本体が届く事はない。
なるほど確かにあれだけの自信を見せるだけはあるらしい、お陰で標的の魔獣にのみ集中できるというもの。

「さすがに、死霊憑きだけありますね……!」

肉を裂いたにも関わらず、バランスなど知った事ないとばかりに持ち上げられた前足に思わず歯噛み。
痛覚も感情もないだろう相手というのは厄介だ、自壊すら厭わない執拗さがある。
自重の加わるその一撃、子供の体躯では到底受け止めきれるものではない。
であれば、初めから受け止めなければいい話だ。
前足の影になっても怯む事なく、斬撃の刹那止めていた足をまた動かして魔獣の胴の下へとまっすぐに逃げこむ。
背後に響く大きな足音。うまく潜りこむ事ができたのならばがら空きの腹目掛け、子供らしからぬ脚力でもって大きく跳躍。
一連の動作の間、大剣はまた流体さながら姿を変えて長槍へと。

「――Ascensio」

唇が紡いだのは禍の祝詞、黒すら忌避する闇魔術に連なる一節。
死をもって死を制す、死霊さえも祟る呪いを纏い、土手っ腹を貫かんと突きたてた。
128白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/19(木)00:43:19 ID:dJU
>>127

「あっははは!!なんて動きだ!!!」

後方から響く賞賛の通り、少年は一撃をかいくぐり腹部に潜り込む。
巨大な体であるほどその懐の隙は大きくなる。地鳴りを起こす一撃も当たらなければ何の意味もなく。
腹部から空へ、突き抜ける一撃。元より死肉でできた体であれば、その耐久力などありやしない。飛び上がった体は獣を貫き、少年は空へ飛び上がる。
死霊とは一つの呪いであり、ならばより強い呪いで打ち消すというのは理に適う。足を斬られど何の反応もなかった獣が、確かに悶えて悲鳴を上げる。
その瞬間は好機に見えたが、しかし。

「――――――っ気を付けてください!!」

悲鳴は次第に一つの”音楽”になる。意味を持つ旋律となり、それは”詠唱”と同義。
無数の頭部が同時詠唱、放たれる暗術。頭部の数と同じだけ、闇の牙が少年に突き立てられんとす。
1295smbHugP7o :2018/07/19(木)01:07:09 ID:hix
>>128
強い腐臭が鼻をつくのにも頓着せず、屍肉を突き破って獣の上へと躍り出る。
木の葉の間から僅かに射しこむ月明かりを受けて、小柄な影が宙空で獣の頭部へと向き直った。
獣の血に塗れているだろうに、黒い出で立ちはその赤すら飲みこむように。

「……不味そうな匂いですね」

ぽつり、呟いて刮目。迫る三つの牙を、重力に引かれて落下している状態で捌ききるのは難しい。
一つ目、まずは手にしたままの長槍を投擲。牙を抑えこんだ槍は、ばしゃりと崩れて伸びた薄い影に沈む。
二つ目、至近距離に迫ったそれをどこからか貫く黒き刃。その出所は、不自然に前方へと伸びた子供の影から。
そして三つ目、これに対してはなんの躊躇いもなく、左腕を差し出して凌いだ。

「ぐっ……!」

小さな呻き声、苦痛に顔が僅か歪む。
それでも動きを止める事はない。やはり己の影を変化させて、形造るのは身の丈程の黒い鎌。
無事である右手でそれをひっ掴み、落下しながらも頭部の一つを寸断せんと薙いだ。
130白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/19(木)01:23:44 ID:dJU
>>129
黒の牙は純粋な破壊の暗術。少年の魔法のような呪いはない純粋な威力。
だがそれも、数がそろえば十二分に脅威となる。今の少年が証明しているように。

振り下ろす大鎌は容易に頭部を切り裂いた。この魔獣に防御の概念はなく、攻撃は意図も容易く目的を果たす。
だがしかし、重要機関たる頭部を一つ失ったとしても、獣の動きに支障はない。
脚がなくなり動きにくくなった。頭部が斬られて砲塔を一つ失った。だとして、それが何の問題になるのだろう。
我慢比べのようなものだ。お互い肉を削りあい、どっちが最後まで長く立って居られるか。

「いやはや、この規模の死霊となると少々厄介みたいですねぇ。」

余裕綽々……そんな風に表れた白衣の男は、もう。ズタボロの白衣は白衣と呼べる色をしちゃいないし、片足を引きずって歩いている。
獣は片付いたようだが、少々厄介だったのは彼も同じらしい。

「思ったより苦戦しましてね、申し訳ない。
 では……大技の類は持ってますか?線の攻撃はどうにも有効ではないらしくて。
 当然私も支援しますので――――――当てにさせてもらいたいのですが。」

必要なのは強力な一撃。あの体躯を一撃で吹き飛ばしうる火力。
131外套纏った大男 :2018/07/19(木)01:36:40 ID:5yP
>>122
「おうおう、なーにがあったんだここはよ?」

そこに加わる大柄な男。フルフェイス兜に外套、巨剣を背負うその姿は威圧感を与えるかもしれない。
大男が加わった理由はただひとつ。遠目から見た巨岩を前に立ち尽くす銀髪の男が珍しかったからだ。
大男からすれば回り込むなりなんなりあったろうに……と。

「って生き物かよ! 何見合ってんだ!?」

改めて見てから一人で突っ込んでいて笑ってるようにも聞こえる声は外ではうるさいほどに響いていた。

//もしまだいらっしゃればー、>>120の方をお待ちしていた場合は複数か私が下がりますのでー
1325smbHugP7o :2018/07/19(木)01:45:51 ID:hix
>>130
頭部を両断した勢いを利用して、獣の正面に戻って着地。
噛ませた左腕をだらりと下げ、周囲の脅威を退けたらしい男を一瞥。
大鎌はやはり形を崩し、子供の影に消える。荒い息を隠すように、細く長く息を吐いた。

「ええ、まさかここまで肥大しているとは思いませんでした」
「……そうですね。頭一つでは意味がないようですし、まとめて潰すのがいいでしょう。少しだけ時間をください」

元は三つ首、さらに四肢にも頭部があるとなれば、一つ一つ削っていくのではラチがあかない。
そうなれば反撃の間も与えず大火力で吹き飛ばすのが正道。浄化の術でも心得ていればまた違ったのだろうが、生憎こちらにそんな手段はない。
男の提案に頷いて、時間稼ぎを要求。それが通れば、一歩下がって大技のための準備にかかるだろう。
133白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/19(木)02:02:56 ID:dJU
>>132

「では、任されました。
 ので、私も任せますね。」

脚を斬り、腹を穿ち、頭部を切り落とした。行動に支障はなくとも、時間稼ぎにはなったらしい。
作戦会議の時間は十分、漸く動き出した獣が、死肉を転がすように動いて二人に接近する。

「”龍程式・解”」

眼前に掲げたペンダントに魔力を込める。淡く輝く結晶体から投射される文字の羅列。
ペンダントが術式を担い、彼はただそこに魔力を与える。極めて理論的に最適化された最効率詠唱に膨大な魔力は必要はない。

「龍素証明。”龍素記号Qr”――――――」

接近を済ませた獣の悲鳴はまた詠唱と化し、振り下ろす一撃に黒の破壊力を与える。
対する彼の魔法は
            クリスタル・ファランクス
「――――――”結晶龍の鱗盾”!!!」

出現した結晶の壁がその一撃を受け止める。甲高く響く激突の音は、獣の一撃の威力を語る。
だがしかし彼は耐える。彼の準備が終わるまでは、きっと。

「あんまり長く持ちそうにないので、そろそろ決めてもらいたいのですが!!」

なんて弱音は吐きつつだが。
1345smbHugP7o :2018/07/19(木)02:25:36 ID:hix
>>133
「――空の書、終の白浪、汚染と暴走」

目を閉じて集中する。彼の立つ地面を中心に、光を飲む影が不自然ながらも綺麗な真円を描いた。

「黒光にして永遠、欠けた真珠、時の紡ぎ手」

滔々と詠う。言葉の断片は詠唱となって、禍々しき魔力を呼びこむ。

「背中合わせの兄弟、冬の宝珠、絢爛たる幻獣(ファウ)――下がってください」

男の焦りとは裏腹に、あくまでも冷静なまま準備を終えた事を伝える。
瞼を開いて魔獣を睥睨。ここで決められなければ、諸共あの一撃に沈みかねない。
そんな状況でも慌てはせず、見かけによらない豪胆さで最後の一節を口ずさんだ。

「――Quando judex est venturus」

瞬間、彼の影から黒い何かが飛び出した。
それは四つ足の獣の形をしていた。あっという間に対峙する魔獣と同程度までに大きくなった影の獣は、唸りすらせずに魔獣に激突。
しかしその実体は存在しない。闇魔術によって顕現したそれは、姿形こそ獣であるがその実、強い呪いを具変化したものなのだから。
魔獣を飲みこまんと飛びかかる黒い獣。それは魔獣を透過するだろうが、死霊には等しく劇薬となるだろう。
135白衣の優男◆2NC8z9kx8k :2018/07/19(木)02:39:10 ID:dJU
>>134

盾を構える男の隣を、黒い獣が駆けて行った。
それは決して生き物などでもなければ、破壊力でもない。純粋な呪いの塊。

「―――この規模の呪術を、一人で。」

獣と衝突した呪いは、死肉の一切を崩すことなく―――しかし、今までにない程に獣は悶え始める。
叩きつけていた前足を振り上げ、そのまま腹部を晒してあおむけに。まるで犬猫のように苦しんで、苦しんで。
獣の体から出る青白い魔力。それこそが死霊であると、二人の眼に映った。

「やはり、あなたと共にきて良かった!!!!」

ひゃっほう、なんて子供の様に飛び上がる男。一仕事を終えた少年の手を握りしめて感激を伝える。

「このクラスの死霊も、貴方のような魔術師も私は初めてだ!
 初めてだらけだ今日は!!記念日になるぞ!!!」

興奮する男の向こう、空に昇る死霊たちを見れば。
それはどこか、安らかな雰囲気を纏っていた。まるで、”呪いから解き放たれた”とでも言わんばかりに。

「お疲れ様です……少々、興奮しすぎましたね。
 私はキリコ。見ての通り、優秀な魔術研究者です。よろしければ、また共に仕事をさせていただきたい。
 貴方の魔法は、私にとっては未知。是非ともそちらも研究させてくれると嬉しいのですが……」

なんて最後に。その返しに関わらず、今宵の冒険はひとまずここでおしまいとなるだろう。

//この辺りで〆でしょうか?
1365smbHugP7o :2018/07/19(木)03:00:21 ID:hix
>>135
呪いに苦しむ獣の唸りが詠唱を象る事は最早なく、のたうち回るだけの憐れな姿をただ見守るだけ。
その間にも、誰に悟られるでもなく短く息を整える。僅かに身体がふらついた。
男が時間を稼いだとはいえ、大型魔獣を滅するだけの術を行使したのだ。左腕の負傷もあって、その消耗は決して小さいものではない。
やがて、静寂。屍体から現れ出た、本体とも呼べる青白い霊魂がどこか優しく彼らを照らした。

「ええと、その……そ、そうですか……それはよかったですね……?」

まるで玩具を与えられた子供のように喜ぶ男に手を取られ、珍しく困惑を隠せていない。
少し危ないところはあったとはいえ、依頼を達成だけでどうしてここまで舞い上がっているのか、なんて不思議に思っていたりして。

「こほん……とにかく。お疲れ様でした、キリコさん。是非、またご縁があれば」
「……研究対象にされるのはごめんですが」

咳払いで仕切り直し。再結成の約束は本気か社交辞令か、鉄面皮からどう読み取るのかは彼の自由。
ちらりと、一度だけ屍体を見やる。その肉体は死後どれだけ経っていたのだろう、今になってすさまじい腐臭が辺りを侵す。
あれでは食欲も失せるというもの、結局のところ二人揃ってギルドへと帰還するのであった。

//そうですね、こちらからは〆になります
//二日間に渡るロール、ありがとうございました!
137銀髪の男 :2018/07/19(木)17:35:13 ID:OYU
>>131

耳に障る大声に、銀髪の男はじろりと一瞥した。
腰にはポンチョやマフラーといった防塵装束とは不似合いな刀。銀髪はそこから手を離さない

「増えやがったな。……邪魔なのが。」
「いや、アンタが餌になってくれんなら、話ははえーんだが。どうだい」

よく見れば男は傷を負っていた。
ゆえに男は気軽に手を出せないのだ。巨岩に。反撃を恐れて、追跡を恐れて

//すみません落ちていました
138外套纏った大男 :2018/07/19(木)18:56:21 ID:5yP
>>137
一瞥に目敏く気付くと旧い仲かのように手を上げる大男。
巨剣を担ぐ自らに対する警戒とでも思っているのか、外套の下に隠した片腕は仕方なしと腰にあてがっていた。

「ハハハ! 餌になるくらいならこっちが食いたいところだけどな、怪我してるなら一回引き返すのも手だと思うぜ?」
「つーかこいつもこいつでなんだ? 普通なら俺にも目が来ると思ったんだがな」

巨岩改めて巨大生物を見上げる(?)大男は冗談と思って笑い飛ばしつつ、その生物の行動に首を傾けていた。
それもそのはず、見つめ合う時間次第では乱入してきた大男などお互い揃って見てもおかしくないが、銀髪から目を逸らしてないようにも見えてしまうためだ。

//こちらも遅れてしまいましたので……!
139銀髪の男 :2018/07/19(木)23:08:02 ID:OYU
>>138

「うるせえ……オレには戻るとこなんざないんでな。意地でも進ませて貰うが」

大男の疑問の答えなど最初からわかっている。
きっとこの怪物は己の血の匂いに食欲を刺激されているに違いないのだ。これだけ巨大な体だ。人間などひとのみのうちに終わるだろう

(だからこそ、コイツは、天啓だよなァ。女神様)

なればこそ、そのひとのみの被害者はこいつでいい。
コイツを喰われれば解決だ。ありがとう赤の他人。銀髪は目を細めて頷いた。
直後、男は胸元に忍ばせていた投げナイフを、大男に向けて投擲
ナイフを目くらましに大男の横合いを突っ切るように駆け出した。巨獣からのターゲットを男に逸らせようという魂胆だ
140外套纏った大男 :2018/07/19(木)23:24:04 ID:5yP
>>139
「なんだアンシャントに住んでるんじゃねえのか! そいつは悪かったな!」
「――――ハハハ! 何してんだ!」

外套を貫いたか、または兜に向かったかそのナイフ。だが、余程の業物でもないならばそのナイフ、金属音を立てて弾かれる。
さあ、銀髪の男よ。君の敵は二人に――。

「いくらなんでもそれはないだろ!」

ビンタが突っ切る君の後ろから飛んでくることだろう。とりあえず普通の人間が素で食らった場合、平行に転がされる威力で。

「何が目的か知らねえけどよ、人に刃物向けるならそれなりの理由はあるよなあ!」

兜狙いならそのまま、外套狙いなら切り裂かれたうちには鎧のようなものが見える。そんな風体でこの大男は銀髪の男を掴んで止めようとするのだ。
要は目的わかってないし、目の前の巨獣に至っては突然喧嘩を始めたように見える二人に迷う……のかもしれない。
141銀髪の男 :2018/07/20(金)08:30:37 ID:FPg
>>140
ナイフを投げたことは目眩ましのほかにわけなどない
巨岩生物をまえに彼を囮にして逃げようとしただけだ。ナイフはそのための小道具。一山いくらで買える安物

「ハァ! 生きてたらまた会おうぜ、旦那ァ。オレはアンシャントにいかなきゃなんねえの。悪いな」

背後からのビンタも腰を落とすことで回避し、男はそのまま逃げていくだろう。
巨岩じみたモンスターだけをポツリと残して

//安定して返せずすみません
142外套纏った大男 :2018/07/20(金)12:01:10 ID:tOi
>>141
「おう! アンシャントなら俺も戻るつもりだったんだけどな! つか行くところはあるんじゃねえか!」

元々大柄な男だ、少し下がっただけで回避されるのも当然だろう。
となれば今更追い掛けるにも忍びなくなる。むしろ下手な言い訳もせず自分の目的や欲を晒す彼は実に好ましいものだろう。
少なくとも、耳障りのいい言葉で騙していくよりは。

「次会ったらこの借りきっちり返してもらうからなぁ! 覚えておけよ白髪ァ!」

あ、銀髪相手に言ってはいけない系の台詞で見送ろうとしましたね、そしてまあ、巨獣のモンスターに目を向けつつナイフを拾い上げることでしょう。

「つーかさっきからなんで動かねえんだ?」 

興味深くなったのか、その巨岩めいたモンスターの表面をバシバシ叩き出していた。

//いえいえ、私も遅れてるので……〆になるのですかね?
143銀髪の男 :2018/07/20(金)17:26:34 ID:FPg
>>142

(悪ぃなァ……。アンタに今度はねえんだよ、旦那。あんなバケモノにタイマンで勝てるわけねえんだからな)

無事に逃げ果せた男はアンシャントにて男へと黙祷を捧げるのであった。南無。

//はい。ありがとうございました。仕事の都合で穴あき穴あきですみませんでした
144外套纏った大男 :2018/07/20(金)19:34:34 ID:tOi
>>143
さて、この大男が果たして生還できるのか。
それは巨獣を相手にどんな行動を取るかで変わってきたのでしょうが――。


敢えて言うと、銀髪の男がしていたことをこの大男が始めただけで睨み合いをスタートさせていたのです


//いえいえー、お忙しいところありがとうございました!
145アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)21:22:12 ID:2kQ
まだ日も昇らぬ早朝のアンシャント。
空が白みかけるかというこの時間にも、街は目覚めようとしている。

行商人であるアルシファの朝も早い。
まだ薄暗いギルドの広間の一角で、次の商売先の地図を眺めながら質素な朝食を取る。
やや乾きかけたハム、チーズに黒パン、それをコーヒーで流し込むと、
寝ぼけ眼もいくらか冴えてくるという物だ。

「さぁて……
 次はどのルートで旅立とうかね……。」
146郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/20(金)22:24:04 ID:gXX
>>145

「お、行商の方ですかー?」

ひょこっとなんて擬音が聞こえてきそうな程唐突に。現れたのは一人の少女。
郵便屋の帽子と制服を被った、おおよそ15,6ぐらいの女の子である。

「私見ての通り郵便屋さんなんですけども!
 やっぱり?一人だと危ないですし?同行人とか探してたりして!」

//まだいらっしゃいましたら……
147アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)22:35:28 ID:2kQ
>>146
「平原のルートは今、盗賊団がたむろしているらしいし……。
 ……多少道のりは険しいが、山岳部を回っていくか……。
 ………ん……?」
地図を見ながらブツブツと呟いてくると、見知らぬ人物が声をかけてきた。

「如何にも、行商人のアルシファと申しやす。
 ははぁ、同行人でございやすか?
 ……へへ、旅は道連れと言いやすし……悪くはありやせんねぇ。」
にやにやと締まりの無い、少々胡散臭い営業スマイルを浮かべ、
郵便屋を名乗る少女の提案に答える。
148郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/20(金)22:43:41 ID:gXX
>>147
遠めに見ればそれはそれは綺麗な女性であったから。しかし話しかけてみると、ちょっと間違えちゃったかも、なんて。
そんな心情が顔に出たか、胡散臭い笑みに返した笑みはちょっとぎこちない。

「私はちょっと疲れても安全な方が良いですかねー
 逃げ足にしか自信ないんで!」

今でこそまともな衣服を着てはいるが、元は極貧生活の盗人。
身なりはそれほどきれいでもなく、その名残は残っている。余り恵まれた存在ではない事は推測できるだろう。
それにしては、なぜか楽し気ではあるが。

「あ、ちなみにおねーさんは何を扱ってるんですか?
 良いものあったら買ってみたり!したいんですけど!」

と言うがどうにもそんな余裕はなさそうだが、果たして
149アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)22:55:33 ID:2kQ
>>148
(……貧民の出か。
 旅のお供、くらいにしかならんだろうが……。
 まぁ、賑やかしにゃ良いだろう。)
笑みを浮かべながらも、抜け目なく相手を値踏みする。
同行人として役に立ちそうか、立たなそうか……
そんな現実的な目で見てしまうのは、商人としての性だろう。

「へへ、そうですか。
 私もいざこざは御免被りたいんでね、往くならこっちのルートでしょうね……。
 それで良けりゃ、一緒に参りましょうぜ。」
指し示すのは、険しい山岳部を回って進むルート。
行き先は、アンシャント近隣にある海辺の街。

「へへ……武具や魔法薬、魔道具などを扱っておりやす。
 嬢さんだったら、こういう武器が護身用に良さそうじゃないですかね?」
と、言って荷物から取り出して見せたのは、ナイフが数振り。
何処にでも売っている様なありふれたものもあれば、
古びてはいるが微かに魔力を帯びた、価値のありそうなものまで様々……。
150郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/20(金)23:09:28 ID:gXX
>>149
役に立つか立たないかで言えば間違いなく立たない方。強いて言うなら肉壁か。
何か強い魔力を宿している気配もなければ、屈強な戦士でもない。見た目通りの少女である。

「はーい、賛成賛成ですっと!」

当然同意。戦闘能力なんてないんだから。

「おー、かっこいい……」

美しく輝くナイフを、少年染みた目で見つめる。気に入ったらしい。

「旅の間何もってないのはやだし……
 お金は持ってないけど、交換とかはどうでしょ?
 これとか!」

そういって少女が差し出したのは、小さな金の装飾品。所謂勲章と呼ばれるものだろうか。
もっとも、少女はそれをただの何か高価なアクセサリー程度にしか思ってないのだが。
然し承認にとっては全く別の意味を持っているだろう。勲章に刻まれた、今は亡き国の紋章。きっと見覚えがある筈。
151アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)23:18:54 ID:2kQ
>>150
「あー………
 ……嬢さん、これを何処で?」
それは、今は無き国の紋章。
その国は、革命が起き王族は皆処刑され、
今は名を変え、他の大国の属国と成り果てていると聞く。

その紋章を見た途端、商人の浮かべた笑みが消え、瞳に鋭さが宿る。

「………その勲章と、このナイフを交換でどうだろう。
 これは古のドワーフの名工が鍛えた一品だ、
 刃渡りは短けれど、古龍の息吹すら切り裂くと言われる。」
商人が見せたナイフの中でも、最も古く、そして重々しい魔力を放つモノを差し出す。
それは青みがかった不思議な光沢をもつ鋼の刃を持つ。
ナイフとは言え大振りなそれは、少女にとっては扱いきれるぎりぎりのサイズではあるか。
素人目にも、恐らくはかなりの価値を秘めた一品だと解る。
152郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/20(金)23:25:13 ID:gXX
>>151
「ぬ……拾ったんですよね!運が良くて!」

言いかけた言葉は簡単に想像がつくだろう。
少女がこの勲章の事情を知っているとも思えないが、しかし。
彼女がこれを持っているという事は、商人が探す裏切者は確実にアンシャントに居るという事。

「え……これ、こんなに、すごい物なんですか?」

ただのナイフですら少女には憧れの品に近かった。それが、今差し出されたものは。
決してただの代物でもないと、それぐらいは少女にも伝わった。
商人にとって、勲章必ず手に入れなきゃならないものなのだろうが、寧ろ。
少女は若干引いている。

「いやー、もちろん、もちろん欲しいですよ。
 でも、これ、そんなに大変な……」
153アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)23:30:20 ID:2kQ
>>152
「いや、只の勲章さ、これは。
 これ自体には、そんなに価値は無い。」
何か魔力が込められていて、価値のあるアクセサリーである……
と、言ったわけではない。
故に、高価なナイフと交換しようという提案は怪しく感じるのも当然だ。
 
「それで、何処で拾ったんだ、これを?
 なんでもいい、教えてくれ。
 九頭竜の刺青の入った男に、見覚えは?」
つい我を忘れ、矢継ぎ早に質問を繰り出す。
少女がドン引きするのも、仕方がないだろう。
154郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/20(金)23:35:19 ID:gXX
>>153

「え、えと、酒場で騒いでる人からも、貰ったんですけど!
 刺青……は、なかったんです、けど。」

勢いに気おされながらも質問に答えていく。
少女が出会ったのは恐らく下っ端、商人が探す男とはまた違うかもしれない

「なんだか、その人他にも仲間がいたみたいで……」
155アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)23:40:13 ID:2kQ
>>154
「酒場か……
 奴らが迂闊に公共の場に顔を出すか?否……。」
一人でぶつぶつと、聞きだした情報を反芻する。

「仲間……それはどんな奴らだ?」
娘の問い…いや、もはや尋問と言っても良いほど語気が強まってしまっている。
熱が入り過ぎている事に、娘自身も気が付いていない様だ。
156郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/20(金)23:47:11 ID:gXX
>>155

「いや、その、お話の内容からそう思っただけなので……
 それは、その、はい……違うかもしれないです。」

詰め寄られ、少女は恐怖を隠すことが出来なくなっていた。
後ずさり、距離を取る。

「何か、その、どうしても欲しい物なんですね。
 交換しましょう!私は、よくわからない物なので……」

そしてこれを持っていた男は、ただ売られたものを買っただけの可能性もある。
手掛かりはまだ、遠い。
157アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/20(金)23:50:28 ID:2kQ
>>156
「……では、その仲間の……!
 ………あ、いや……へへ、すいやせん、ちっと熱くなっちまいやした……。」
少女が表情をこわばらせ、後退りしたのを見て、ようやく前のめり過ぎた事に気が付く。

「へへ……それじゃ、こいつぁあんたのモノだ、嬢さん。
 あー……私は、行商人のアルシファ。ひとつよろしくおねがいしやすぜ。」
勲章を受け取ると、約束通りナイフを少女へと手渡した。
158郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)00:02:37 ID:tDk
>>157
勲章とナイフを交換し、ひとまずここで話は切りあがるだろうか。
手にしたナイフは、感じた事のない魔力を感じる。
持っていてもいい物だろうか、なんて思ってしまうが。

「いやー、何か事情持ちなのはわかったので……
 あんまり詳しく聞いたりとかはしないんですけど、まあ
 誰かに話すと、案外何か起きるかもしれませんよ?」

「あ、私は……名前とかはないんで、そうですね。
 ”郵便屋”とでも呼んでくださいな!しばしの旅、よろしくお願いしますねー」
159アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)00:08:36 ID:J9R
>>158
「へへ……
 迂闊に真名を明かすのは危険、でございやすしね。
 かくいう私のこの名も仮の名……それはまぁいいんですが、
 よろしくおねがいしやすぜ、郵便屋さん。」
手にしたナイフは、ずしりと重いがしかし妙に手に馴染む。

「へへ……大なり小なり、人はそれぞれの事情を抱える物……。
 ……ま、ちっとばかし前のめり過ぎたのは、許して下せぇ……。」
160郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)00:16:41 ID:tDk
>>159
「?
 ……あー、いや、ないんですよ。本当に。」

正真正銘の名無し。名付けらなかった、生まれた事を認められなかった。
少女が抱える事情の一つと言えるだろうか。だから、少女はただ役職の名を名乗る。

「ま、そういう訳で私は郵便屋さんなんですね!」

「そこは、私を安全に送ってくれたら許すとします!」

先ほどの態度を盾に、いつの間にか護衛対象っぽく振る舞っている。
161アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)00:21:49 ID:J9R
>>160
「あぁ、なるほど……。」
少女の身なりを改めて見返し、合点が付く。
その様な境遇の者は、そう少なくはない世の中だ。

「へへ……承りやした、郵便屋さん。
 さて、それじゃ……
 旅の準備を整えて来ておくれ。
 明日の明朝、出発と行こうか?」
そう言いながら、先ほどの勲章を胸元へ身につける。
何故だろうか、それは誰が身につけるよりもしっくりと来る様な印象を与える。
162郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)00:30:31 ID:tDk
>>161
「はーい!
 ……何気に一人旅以外は初めてですねー」

取り戻した明るさを以て旅支度を宣言。
さあ支度をしてくると言った、別れ際

「なんだか、とても……似合う、気がします。」

なんて、胸の勲章を眺めて一言。
旅自体は存外素直に進むだろう。賑やかしとしては、少女は中々の働きを見せるはず。

//キリが良いのでこの辺りが〆でしょうか?
163アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)00:36:01 ID:J9R
>>162
「そりゃそうさ。
 ……元々私の国のモノだから……。」
少女の言葉に、独り言の様に呟く。

そして、二人は旅支度を済ませ、予定の時間に出発する。
その道中や如何に……。

//はい、御相手ありがとうございました!
 また道中のロールもできたらありがたいです~。
164郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)00:37:07 ID:tDk
>>163
//了解しました!休日に入りますので、都合のいい時に投下してくださればレスしますねー
165魔術師の青年◆7.x/wNXrSQ :2018/07/21(土)14:04:43 ID:VKt
アンシャント。そこはあらゆる権力に侵されず、屈しない自由な都市。
そこにはありとあらゆる人種、種族、魔法、知恵が流れ込む。
帝国の侵略から逃れる者。魔女の弾圧から逃れてくる者。知恵を求める者。
そして今日、また一人の青年がアンシャントに流れ着いた。

「ここがアンシャントかぁ…」

黒のローブに身を包まれ、フードでその顔は隠れている。しかし、その目は確かに輝いていた。未だ知らぬ新天地への憧憬が、溢れんばかりに心を震わせる。
辺りは賑わいを見せており、行商人の売り文句の声や、何かの見世物に集まる人々、教会の方では何かの宗教の礼拝など、人々の喧騒に包まれていた。

「とりあえず拠点を探さないとな…あ、でもまずはギルドかな…?しかし右も左も分からないぞ」

始めての街。この広い都市で右も左も分からない流れ者は立ち尽くす。まずはどこに行けば良いのだろうか。
親切な人がここで声でも掛けて道案内してくれれば楽になるのだが。

//新規です。よろしければ…
166アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)21:29:18 ID:ZSk
「さてね……私も旅の準備を済ませないとね。」
次の旅へと出る準備のため、街へと繰り出す行商人。
同行人との待ち合わせは、明朝。
大まかな必需品の準備は既に済ませて置いたので、
旅立ちまではまだまだ余裕がある。
後は細々とした物品の購入を済ませ……

「……魔術師……。
 ……ふむ、何処か田舎からの御登りさん、ってと所かね……。」
魔術師の青年の姿がふと目に入る。
値踏みする様な視線を、相手に気付かれない程度に送り観察すると、
ぼそりと小声でつぶやく。

//では少しばかり……よろしくです
167魔術師の青年◆7.x/wNXrSQ :2018/07/21(土)21:49:28 ID:VKt
>>166
「…ん?そこのお嬢さん。僕に何か用かな?」

先程から妙な視線を感じる。その方向を向いてみると、若い女性がいた。こんな街に来たばかりの流れ者に一体用事でもあるのだろうか。そう思い、こちらから声をかける。

「用があるならついでにこの街の案内をして欲しいな。来たばかりで右も左も分からなくて…」

ついでに案内もしてもらおうと思った。しばらくはここを拠点にしていくつもりなのだから、早く街の構造を覚えなければ。
168アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)21:53:22 ID:ZSk
>>167
「……おっと、これは失礼……。
 いや、何……見ない顔だ、と思ったもんでしてね。」
気づかれない様に人間観察をする、という陰険な技能には自信があったのだが、
今日は少しあからさま過ぎた様だ。
何かしら気が緩んでいる証拠だろうか、と一人自戒する娘。

「へへ……良いでしょう。
 ……非礼を詫びる意味で、お付き合いしやすぜ。
 そうだな旦那、何処か行きたいところは?
 ……まずは宿から案内しやしょうか?」
169魔術師の青年◆7.x/wNXrSQ :2018/07/21(土)22:03:05 ID:VKt
>>168
「人間観察をするならもう少し慎重にやるといい。僕はそういうのには慣れてるのでね」

気さくな顔でそう言う。
慣れている、という発言から何かしらの経験があると見れるかもしれない。
さて、この女性は道案内をしてくれるそうだ。ここは素直にその行為に甘えるとしよう。

「そうだね…とりあえず宿と、あとはギルドの場所を教えて欲しい。情報が集まっていそうなところを」

たくさんの情報が集まるであろうギルドの場所を教えて欲しい、という言葉から青年が何かしらの情報を求めている事が分かるだろう。つまり、何かを探し求めてこの街に来たのだと。
170アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)22:11:29 ID:ZSk
>>169
「へへ、肝に銘じて置きやしょう。」
慣れている、というのもおかしな話だ。
何か人目を忍ぶ理由があるのかもしれない。
例えば、誰かに追われているとか……
などと邪推する娘であった。

「承知しやした。
 なら、まずはギルドへと向かいやしょう、そっちのが近い。
 着いてきておくんなせぇ。」
そう言うと、青年に先立って大通りを歩き始める。

「へへ……旦那は何処から来たんで?
 この街には何をしに?
 ……ああ、人に何か聞く前に、まずは名乗らねぇといけなかった。
 私はアルシファ、見ての通りしがない行商人でございやす。」
そう名を名乗る娘の身なりは、確かに何処にでもいそうな商人の物。
恐らくは異国の出身であろう事をうかがわせる、きめの細かい褐色の肌。
その腰には、身分には不釣り合いな立派な拵えの曲刀が提げられている。
171ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/21(土)22:28:45 ID:VKt
>>170
「アルシファか、よろしく。僕はツヴァイっていうんだ」

アルシファ、と名乗った女性に対し、フードを取り自らも名を明かす。白い肌が現れ、蒼い髪と、銀色に輝く瞳がそこにはあった。
アルシファは、どうやら異国の民のようだ。この辺で褐色肌の人種を見る事は少ない。

「僕はここから少し離れた国から来たんだ。まあ、見ての通りしがない魔術師をやってるよ」

行商人か、それならば色んな国を見て歩いているのだろう。こんないたいけな少女がよくやるものだ、とツヴァイは思った。

「うん、それにしても凄い街だ。本当にありとあらゆる人種と種族がここにはいる。他の国じゃ、こんなものはお目にかかれないね。大抵は人間が一番で、他の何かしらが迫害されていたりするものだもの」

歩きながら、街の景観を見て率直に思った事を口にする。ここまで自由で、平等な所も滅多にない。
172アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)22:39:38 ID:ZSk
>>171
「ひとつよろしくお願いしやすぜ、ツヴァイの旦那。
 へへ、旦那は魔法使いか、見ての通りだ……。
 実のところ私も多少は使えやすがね、やっぱ本職の様にゃうまくいかねぇ。」
商人の身でありながら魔法を修めていたりと、やはり少々変わっている。

「へへ……人は何かを踏みつけてねぇと、薄汚ぇ自尊心が保てねぇのさ、旦那。
 ここいらじゃ、種族の分け隔ては無いかもしれねぇ。
 だが、自由が保証されている分、他のわだかまりって奴ぁチラホラ目に着くかもしれやせん。
 そうさね、例えば貧富の差だったり……。」

「っと、見えてきたぜ旦那。
 あれがこの街のギルドですぜ。」
大通りの先を指さす先には、アンシャンとのギルド。
立派な造りの門が開かれ、大勢の人々が出入りしているのが見える。
173???◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)22:41:44 ID:tDk
完全中立都市アンシャント。何か特定の宗教が権力を持つことはないが、しかし布教そのものは許されている。
様々な文化が集まると同時に信仰もこの町に集まっている。故に、街中に教会があったってなにもおかしくない。が
その教会は。白とは正反対の、黒色を基調に建設されたそれは少々異様な気配を発している。
外見からなんとなく察せられる、ここはきっと、まともな神を信仰している場所じゃないって。

「――――――やるか。」

その教会の地下。円形に刻まれた術式の中心に、動かない人影がいくつか。
言葉をつぶやいたのは真っ赤な、潜血を思わせるローブを纏う男。
血の匂いはしない。けれど、それでも、もしこの場を目撃したならばわかってしまうだろう。
術式の中心に集まる魔力、塵の様に転がされたからだから、魂が消える瞬間。

幸か、不幸か。この場を目撃する人間は――――――
174銀髪の男 :2018/07/21(土)23:01:51 ID:wmO
(なんだァ……アレ。 オレはとうとう狂っちまったのか? なァ、女神様……)

銀色の髪に覆面じみたマフラーを纏った男が、柱の陰で目を細めた。

(気狂いの旦那もヤビーだけどよ、オレにもみえちまったんだよなァ……)
(魂ってのかな、オバケっていうのかなァ……。狂っちまったのかなァ……オレも)

男は数刻前に教会へ忍び込んだ盗人だ。
怪しげな階段を発見したからと飛び込んだのが運の尽き。
彼は目撃してしまったのだ。狂気の男と消えゆく霊魂を。
175ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/21(土)23:04:01 ID:VKt
>>172
「魔法じゃない。魔術だ。近頃魔法と魔術を混同する者が多いけど、それは違う。魔法というのはそもそも抽象的で高度な学問なんだ。
元々は、世界の仕組みだとかを解き明かす為の理論で、高度に理論化され、体系化された学問だ。決して火を起こしたりなんてそんなチャチな物に使うんじゃない。占星術だとか、錬金術だとか、緻密で高度な計算が必要なものを魔法って呼ぶんだ。
それに対して魔術というのは、自然の力を借りて超常的な現象を引き起こすものを言う。その為には自然を司っている精霊の力を借りなければいけない。そもそも元来魔術師というのは……」

ツヴァイは魔法と魔術を混同したアルシファに対し、その違いを熱く雄弁に語り始めた。どうやらかなりその辺りについての拘りが強いらしい。長々とくどくどと語り続け、しばらくしてハッと我に返る。

「……ごめん。こんな事を君に言っても分からないよね。つい熱くなりすぎてしまったようだ。僕の悪い癖だな」

見ず知らずの初対面の人間にいきなりこんな事を話されても困惑するしかないだろう。ツヴァイは謝罪し、深く反省する。

「まあ、貧富の差あたりは避けて通れない問題だろうね。僕もこの目で何度も見てきたよ……おっと、あそこがギルドか」

そんなこんなでギルドにたどり着く。大勢の人間がたくさん出入りしているようで、これは期待ができそうだ。暮らしていく為の稼ぎも必要だし。

「見るからにたくさんの情報が集まっていそうだ。僕の捜し物も見つかるかもしれないな」
176???◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)23:15:46 ID:tDk
>>174

「あー……」

それは術式の中心に首を向けたまま、視線だけを男の方向へ向ける。
いかに慣れた盗人といえど、気配の一切を消せるわけもない。特にこの場において、生者は二人しかいないのだから。

「……4人目。別に、いらねぇんだけど」

それは確実に、男の存在を認識していた。立ち上がり、一歩、一歩、その方向へ足を進める。

「入信希望か、それとも――――――
 まあ良いわ。どっちでも変わんねぇし、な。」

人差し指と中指を合わせて弾く。散る火花が指先に集い、火球を化す。
その世界にない言葉ではあるが、それは手榴弾に近い。何かに触れれば爆破を起こす、それを。
いかにも面倒だと言わんばかりの様子で、男がいる方向へ放り投げた。
177dq6CU3lvNU :2018/07/21(土)23:16:14 ID:DiP

「今日も疲れたよ……洞窟探索のあとにジロちゃんの面倒見て、こんなの体がもたない」

疲れ切った様子で少女が街中を歩いていた。手には洞窟探索の成果をギルドでお金と交換してもらって得た、金貨が入った袋。

「えーと、今月分を納めたら壊れた道具を補充して残りは食費……たまにはオシャレとか、してみたいなあ」

少女は借金を抱えている身。そんなことにお金を割く余裕はないが、服屋の店先に並ぶ可愛らしい服にその視線は釘付けに。
年頃の少女だが、着るものなんて殆どが魔術師の服の代表であるローブ。少し悲しくなってくるのを堪えて、少女はまた歩き出した。

(借金を返済すれば、いつかああいうものを着れる日が私にもくるよね。頑張ろう……)
178アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)23:19:38 ID:ZSk
>>175
「ははぁ、そりゃ私の勉強不足だったぜ、旦那。
 ……へへ、旦那の話ぁおもしれぇが、ちと理解するにゃ私の頭が足りねぇや。」
魔法と魔術の違い、正直どっちも似たようなものと思ってた娘には興味深い話であった。
しかしその内容は専門職ではない娘には少々難解過ぎたようで……。

「へへ、情報を拾うなら、ギルドか酒場って相場が決まってやすからね。
 旦那は探し物ですかぃ?
 私も商人の端くれ、何かお役に立てますかね?」
179ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/21(土)23:31:10 ID:VKt
>>178
「まあ、ちょっとしたお宝探しをね…君は“賢者の石“って名前を聞いた事はあるかい?」

賢者の石……知る人ぞ知る神秘の秘宝である。行商人ならば、アルシファも名前ぐらいは耳に入っているかもしれない。手に入れた者は莫大な魔力を手に入れ、財も何もかもが思いのまま…そんな伝説で知られている。
しかし、これまでただの一度も実在を確認された事はない。

「僕はそれを探しにここへ来たんだ。もう何年も探してる」

ツヴァイは、それを求めてこの街へ来たのだ。ありとあらゆるものが入り乱れるこの街ならば、きっと何かがあるはずと思って。
180銀髪の男 :2018/07/21(土)23:34:37 ID:wmO
(目ェあったか。いまなァ……。あったよなァ。許してくんねえかな。ダメだろうなァ。)
(だってあの旦那はバクダン確定だしよ。オレも泥棒だしな。ふつうにアウトだこれ)

──しゃァ、にげっか!!

走馬灯めいて想いを巡らせた男はすぐさま踵を返した。
収束する火花は男の背中を照らし、放たれたころには柱、火球、男の三者が重なりあって姿が消えて


「──あっちぃあ!? 」


間抜けな悲鳴ののちに沈黙が訪れた。
男はたしかに悲鳴をあげた。だが、火球が爆ぜた衝撃も、あるいは音も響かない。
もしも血色のローブの男が柱の影を覗き込めば、そこには星空色の刀を持った銀髪が無傷で走り、そのまま去ろうとするさまが映るだろう
181銀髪の男 :2018/07/21(土)23:35:24 ID:wmO
//176あてです。すみません
182アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/21(土)23:37:17 ID:ZSk
>>179
「賢者の石……さてね、名前ぐらいは知っちゃいやすが……。
 そいつぁ、確か実在しない架空の代物だって聞いてやすぜ?」
世界を一変させる程の凄まじい魔力を秘めたマジックアイテムだが、
そんなものがこの世にあるはずもなし……。
というのが、かろうじて知っている知識だ。

「へへ、旦那。
 旦那は夢追い人だね。
 ありもしねぇもんを探して旅をしてるのかい?
 ……だが、私はそういうのは嫌いじゃぁねぇ。
 しかし、何年も探してるって事ぁ、あながち実在しねぇわけでも無さそうなんで?」
183???◆2NC8z9kx8k :2018/07/21(土)23:43:44 ID:tDk
>>180

「足りねぇなぁ」

吐き捨てるように一言。

「足りねぇ足りねぇ何も足りねぇ。
 緊張感がねぇ危機感がねぇ。もうすぐ死んじまうっつー感覚がねぇ。」

逃走を図る男に対し、特に焦る様子はなく。
火球が消えたのは何かしらの魔法だろう。だとして、何も、焦ることはない。
逃走経路はただ一つ、ここが地下であるならば唯一つの階段を上るしかない。
男は必ずそこに向かう。向かわないとしても、それを壊してしまえば。
少なくとも自分を殺すまではここから出られないという事になる。

「……てめぇみたいなのをブッ殺す為にこんなことやってんだわ。
 逃がさねぇよ。」

火球を両手に。指を銃に見立てて、階段へ放った。
それは運よく、もしくは計算済みの事か。辛うじて男の手が届く範囲に放たれていた。
対処しなければそもそも逃走経路が消えてなくなる。男は、どうするか。
184銀髪の男 :2018/07/21(土)23:58:45 ID:wmO
>>183

「だから、アッチィンだよォ! クソが!! 」

銀髪の男は逃走を助走として跳躍
弧を描く一閃は火球を、火球に篭った『魔力』
を切断した

「クソクソクソッ! クソッタレだァ……」
「オレはアンタに勝てるわけねェって思ってんだよ。本気でな」

「だけどよォ、もしかしたらって、もしかしてって思ってるとなァ……ヒヒ」
「死ぬこたねェって考えちまうんだ。ふしぎだな!!」

そして、着地と同時に刃を鞘に収め、腰を低くし居合の構え

「なァ、女神様! オレには幸運の女神様がついてんだよ、この不信心野郎ォ! 死になッ!!」

次いで血色が刀身を認めるころには、彼の元へと真空の刃が迫っているはずだ
185ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)00:01:24 ID:Tvr
>>182
「……いや、賢者の石は間違いなく実在する」

ツヴァイは断言する。賢者の石は実在すると。確かな自信を持って。

「この大陸のどこかに、確かにそれは眠っている。それに、実は手がかりがないってわけでもないんだ」

ツヴァイは、首にかけたペンダントを見せる。宝石のようなものが埋め込まれたそれをよく見ると、それは微かに光を放っている事が分かるだろう。

「これは賢者の石の魔力に反応するペンダントだ。これが反応してるって事は、少しは近づいてるってる証拠だ。あながち、ここを拠点にするのも間違いじゃないって事さ」

ツヴァイはそう言って、以前と比べて前進した事を感じているようだ。
何故、そんなペンダントを持っているのかという疑問は残るが。

「それで、アルシファ。君は何の為に行商人をしているんだい?」

今度は逆に、ツヴァイが質問をした。その目には、何か含みがあるようで。
186???◆2NC8z9kx8k :2018/07/22(日)00:14:53 ID:d3T
>>184

「根拠のない自信どうせ生きてるって感覚。
 おかしいよなぁ?」

その言葉に、男は何をぶつけているのか。何を込めているのか。
けだるげな口ぶりは、だんだんと感情を帯び始めていた。それは怒りか、憎しみか。
ただ間違いなく、殺意を伴う感情であるのは確からしい。

居合の構えと同時、両手の指を弾けば周囲を火花が舞う。
ただ舞い落ちるのでなく、それはまるで生き物様に揺らめいて、勢いを増し、燃え上がる。
真空の刃は炎の壁に阻まれ、爆ぜる。

「……ケッコウなモン持ってんじゃあねぇか。
 それがなっさけねぇ、幸運のメガミサマだぁ?」

晴れた炎の向こう。男の周囲を舞う炎は蛇―――否、龍の形を以て浮かぶ。
精霊魔術。契約によって天上の力を振るう魔術の一つに近いように思える、が。

「成程成程成程尚更逃がせねぇなぁぶっ殺すしかねぇなぁ。
 お前の、その、理不尽で不公平なメガミサマをぶっ殺してやんなきゃなぁ!?」

研ぎ澄まされた視線と怒号。明確な感情を以て、男は飛ぶ。
血を蹴ると同時に爆炎を放ち、弾丸の如く速度で迫る。突き出した腕は炎を纏い―――
火球は切られる。であれば、その威力を直接至近距離で叩き込もうと。
187アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/22(日)00:15:13 ID:gZg
>>185
「へぇ、そりゃぁ凄い。
 そんな代物、商人としちゃぁ是非とも手に入れたくなりやすなぁ。
 ……しかし旦那、無粋な事言うようだが、
 そのペンダントが紛い物って可能性は無ぇんかい?」
その光が賢者の石に反応しているという確証はあるのだろうか?
もしあるのだとすれば……そのペンダント自体、相当の価値ある代物で、
何故そんなものをこの青年が持ってるのか。
……興味は尽きない。

「へへ、そうさね。
 商人始めたのはたまたまさ。
 前やってた職に見切りつけてね……ちっと儲けようかと思ってさ。」
前やってた、の件を語る際、若干表情に陰りが見えた気がする。

「多少儲けたところでね、ちょいと昔に失くしちまったモノを買い戻そうかと思ってさ。
 それと、とある奴も探してる最中でね。
 商売しながら旅してりゃぁ、探し人も見つかるんじゃねぇか、ってね。」
188ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)00:28:19 ID:Tvr
>>187
「まあ、ちょっとね。でも、これが偽物じゃない事は保証できる」

このペンダントは間違いなく本物だ。しかし、その肝心な理由をはぐらかす。何か事情があるのかもしれない。

「……君のその褐色の肌、少し前に滅んだあの国を思わせる。まぁ、偶然だろうけどね」

わざとなのかそうではないのか、ツヴァイはそんな事を言う。しかし、その眼光がアルシファの何かを見透かしているようでもあって。

「……さて!こんなところで立ち話している場合じゃないな。次は宿を頼むよ」

と、強引に話を切り替えて宿の案内を頼む。
189銀髪の男 :2018/07/22(日)00:39:59 ID:9jD
>>186

「へへ……平和な世界にバンザイって感じだろ。アンタは荒んでそうだもんなァ。羨ましいか」

(やっこさんはアッツアツの魔法使いさまだが、インファイトならオレにもチャンスはあるかなァ)
(へへ……不思議パワーに目覚めて勝っちゃったりしてな……ヒヒ……かっこいいなァ、勝ったら)

「やってみろやァ! 魔法使いは全員モヤシだってなァ、オレは知ってるいるんだぜッ!! へァァっッ!」

銀髪は愚かな男だ。合理的な考えというものが苦手だ。
銀髪は駆けた。一歩踏み出したとき、血色は龍を侍らせた
二歩踏み込んだとき、血色も同時に踏み込んだ。
三歩目の踏み込みは届かなかった。血色の爆炎が銀髪の頭部を捉え弾き飛ばしたからだ!

「グワッー!!」

銀髪は炎の軌跡を描きながら、壁へと叩きつけられた。
血色の男の足元には星空色の刀がカラリと転がった
190銀髪の男 :2018/07/22(日)00:42:34 ID:9jD
//すみません。落ちる時間ですので凍結かシメをお願いしたく。展開はおまかせしますので!
191アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/22(日)00:46:09 ID:gZg
>>188
「ははぁ、そいつぁすげぇや。
 旦那……そもそもあんたはなんで賢者の石を探してるんで?」
金儲けか、ただ強大な魔力を求めてか。
まさか良からぬことに使うため……?
短い付き合いだが、そんな印象は特に抱かないが。

「へへっ、何処の事だいそれは?
 ……きっと気のせいだろうよ。
 っと、それじゃ宿に行きやしょう。
 さぁ、着いてきておくんな。」
西方の亡国に話が及ぶと、あからさまにはぐらかす。
その胸元につけた勲章は、青年が指す国を現す紋章であるが。

ギルドから離れて、しばし進むと、
宿が何件も立ち並ぶ通りへと。
道行く旅人に声をかけて客を引いている。
192???◆2NC8z9kx8k :2018/07/22(日)00:48:15 ID:d3T
>>189

「メガミサマは来たかよ、えぇ?」

転がった刀を蹴り飛ばし、男の元へ。挑発。やってみろといわんばかりに。
事実決して身体能力が高い男じゃない。近距離で組み合えば必ず負ける程度だが。
組みあう事が出来たら、だ。

「ほうらほうら呼んでみろよ。泣きながら祈ってみろよ。
 来るかもしんねぇぞ?来てもぶっ殺すがァ……」

一歩、一歩、踏み出し近づく。その男はもう、動けないのか否か―――

//了解しました、一応凍結という形で!
193ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)01:01:27 ID:Tvr
>>191
「それはご想像にお任せしよう。まあ、悪い事には使わないとだけ言っておくよ。君の事も詮索しないでおく」

飄々とした表情で言う。どうやら、隠し事があるのはアルシファだけではないようだ。

「ふむふむ、ここが…」

なるほど、こうして宿が何件も立ち並んでいるのか。さすがは大規模な都市だ。感心したようにツヴァイはその光景を眺める。

さて、一通り案内が終わったところでツヴァイも大体この街の事が分かった。

「どうも、色々とありがとう。お陰でなんとかやっていけそうだよ。何か、お礼ができれば良いんだけど…」

アルシファにお礼を言う。さて、世の中にはギブアンドテイクという言葉がある。今回、ツヴァイはアルシファに道案内という労働をして貰ったのだ。
つまり、アルシファには、ツヴァイに道案内分の報酬を要求する権利がある。それは現金でもそうでなくても、色んな形で。
194アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/22(日)01:09:54 ID:gZg
>>193
「いや失敬、旦那にどんな事情があろうが、私にゃ関係なかったね。
 ……ただ、石で儲けようっていうんなら、私にも一枚噛ませて欲しいもんですぜ、へへっ。」


「へへへ、礼をって言うんなら、情報があるなら欲しいですぜ。
 九頭竜の刺青が入った男について、何か心当たりはねぇか?
 もしどっかで見かけたなら、知らせてもらえるとありがてぇ。」
195ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)01:16:55 ID:Tvr
>>194
「ははは、考えておこう。見つかったらの話だけどね」

さすがは行商人。ちゃっかりしているものだ。

「九頭龍の刺青…うーん、知らないなぁ。まあ、情報が入ったら知らせるよ」

そんな男など見たことがなかった。しかし、察するに因縁のある相手なのだろう。とりあえず、情報を手に入れたら教えてあげよう。
さて、そろそろ時間だ。まずは宿を確保し、ギルドで情報と仕事を探さなければ。

「じゃ、僕はそろそろこれで!また会おう!可愛い素敵なお嬢さん!」

そんな調子の良い事を言って、男は宿の方へ向かっていくのであった。

//これで〆ですね、ありがとうございました!
196アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/22(日)01:21:29 ID:gZg
>>195
「へへ、旦那……
 ……そんな褒めても一文も得にゃならんですぜ……。」
顔を軽く伏せ、表情を悟られない様に…。
容姿を褒められるのにはさっぱり慣れていない様だ。

「では失礼しやす、ツヴァイの旦那。
 また何処かでお会いしやしょう。
 何かお役に立てそうな時にゃ、行商人アルシファを是非によろしくお願いしやす。」
別れを告げて、娘もギルドの方へと戻っていった。

//どうもありがとうございました、またよろしくです~!
197外套纏った大男 :2018/07/22(日)01:44:53 ID:Dlo
>>177
「ハハハ! 意外と見逃してもらえるもんだったな!」

そんな少女の前で巨大な岩のような獣に出会ったとか餌にされかけたとか、そんなことを街中で一人の大男が別の男に向かって話していた。
別の男は危険性などを訊ねていたが、手を出さない限りは良いだろ! なんて言う楽観視した大男に呆れつつも問題なしということにして大男と別れた。

フルフェイスの兜を被ったその大男は別れを告げるとたまたま目に入った少女に向けて片手を上げた。

「おうどうしたそこの嬢ちゃん、腹でも減ったか!」

巨剣を背負っている大男から突然の声かけ。正直、逃げてしまったり誰かに止められても仕方のない光景であることは確かだった。

//もしよろしければ……
198ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)01:57:59 ID:Tvr
【名前】ツヴァイ
【性別】男
【職業・種族】魔術師
【容姿】
普段は黒のローブを身に纏っている。深い蒼色の髪と銀色に輝く瞳が特徴。首にペンダントを付けている。
【技能・魔術】
自然を司る精霊達の力を借りて超常現象を引き起こす、という魔術の本質そのもの。火、水、土、風といった自然を自在に操る事ができる。ただし、規模の大きさによってその分魔力を消費する。
【概要】
「賢者の石」と呼ばれる秘宝を探し求めて各地を放浪し、アンシャントに流れ着いた魔術師。
飄々としていて、どこか軽い印象を受けるが、どこか掴みどころのない人物。一応、最低限の常識と正義感は持っているようだ。自身の身の上は一切語ろうとはしない。

//キャラシを作りました
199名無しさん@おーぷん :2018/07/22(日)09:21:46 ID:DLv
>>197
この世界で武器を携帯しているのはそう珍しいことではない。少女も魔術という武器を持っている。
服装が魔術師だと主張しているが、魔術より隠し持てることに優れた武器はないだろう。

「たしかにお腹は空いてますけど、それよりその岩のような生物って……あの子は人を襲うことはしませんよ。この図鑑にも温和な種族だって書いてありますし」

そうして少女は生物図鑑を取り出すとその生物の頁を見せる。人を襲うような悪い生物でないと、誤解は解いておきたかった。
200外套纏った大男 :2018/07/22(日)14:22:25 ID:Dlo
>>199
「そうかそうか、後で何か食わせてやろうか! んん? …………確かに見たやつとそっくりだな」

生物図鑑をまじまじと見ている……はずのフルフェイス兜。目を覗かせるスリットからは金色の光がうっすらと見え、それがページを見ていることを示してはいる。

「確かに俺もあいつも襲われてはなかったな、ずっと見られてただけだ! だからまあ退治する必要もねえとは思ったが、飼ってるなら場所に気を付けな!」

少女からすれば少し不安を煽るかもしれないその発言、退治される可能性があるのは否定はできないのである。
何せ通行の妨げになるだけで討伐、撃退依頼が出ることもあるのが珍しくもないのだから。
201ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)14:31:11 ID:Tvr
宿を確保し、ギルドで諸々の手続きも済ませたツヴァイはようやく腰を落ち着かせる事ができた。ここで生活していく上で、まずは金がなければ始まらない。依頼をこなして稼ぎつつ、捜し物について調べなければ。

「……おや?」

と、広場に出てみたら何やら騒がしい。よく見たら、少年が男達に殴る蹴るの暴行を加えられている。周りの人達はそれを気の毒そうに眺めるのみ。

「なるほど、自由で平等とはいえ治安が良いとは限らないわけか」

やれやれ、といった表情でツヴァイは騒ぎの中に割って入っていく。

「君たち、弱いものいじめはちょっと感心しないなぁ。ほら、散った散った」
「ナンダテメー!」「ザッケンナコラー!」

突然現れたツヴァイの方向へ暴漢達は一斉に振り向く。そして殴りかかろうとするが、瞬間、空気の刃のようなものが男達を切りつける。

「アイエエエエエ!?」

腕や足から血を流しながら暴漢達は一斉に逃げていった。

「少年、もう大丈夫だよ」

暴行を受けていた少年も、頭を下げて走って行った。背中には、奴隷身分である事を示す焼き印があった。
騒ぎも収まったようで、ツヴァイもどうしたものかと歩き出した。この様子を見ていたのなら、誰かに話しかけられるかもしれないなと思った。
202dq6CU3lvNU :2018/07/22(日)16:32:23 ID:DLv
>>200

「今はお金がたくさんありますから平気ですよ」

今日の探索の成果である金貨袋を自慢気にみせる。
これもすぐに借金返済で無くなるが、少しぐらい贅沢なものを食べることはできる。

「それはそうなんですけど……あの大きさですよ?とても街には入れられません」

あの巨体が入る建物を用意するなんて、貴族でもないと無理な話。少女はその日暮らしなのでそんな余裕はない。
203外套纏った大男 :2018/07/22(日)18:55:42 ID:Dlo
>>202
「ほほう、こいつはすげえ稼ぎじゃないか……良い仕事があったのか?」

それを見るとちょっと悔しそうな雰囲気を漂わせながら、しかし少女の裏事情なんて知らぬかのような声色で。

「まあそりゃそうなんだがな、外は外でもせめて飼ってるかどうかくらいはわかるもん付けとくのも飼い主の仕事だと思うぜ?」
「迷い犬が首輪つけてないせいで他のやつの飼い犬になってたりしたら元の飼い主と喧嘩になるだろ?」

大男が言いたいのはそういうこと。分かりやすい紋章などがあるなら、見せられるならまだしもそうでない生物は野生かどうか判断しにくい。
現に大男が巨獣を怪しく思いつつも引き返すことにしたのはそれが理由になるし、知らぬうちに野生と思われて討伐されるのも心苦しいだろうと。
204dq6CU3lvNU :2018/07/22(日)19:13:42 ID:DLv
>>203

「偶然おいしい狩場を見つけまして……あっ、教えませんよ!」

嬉しそうに言う少女だったが、その直後に口を滑らせたと困ったような表情で。

「あっ、たしかに……でもあの子にあう首輪なんて特注じゃないとないし……はうぅ、またお金が掛かるぅ」

しかしそれは飼い主の義務だろう。豪華な夕食は諦めて、早速首輪の製作を頼みに行こうと男に背を向けるのだった。
205銀髪の男 【100】 :2018/07/22(日)19:30:13 ID:9jD
>>192

「ヘェ……。優しいんだな。アンタ」

壁にもたれた銀髪の口がニタリと歪み、右手は弱弱しくカタナを掴みとった
銀髪は生きていた。動くこともできる。だがそれは辛うじてだ。
もはや血色のいう通り、幸運の女神に頼るしかないこの現状……

「なァ、オレはな、みたことがあるんだぜ」

奇襲をかけることもなく 銀髪は口を開いた

「このカタナがよォ、空間……ってやつを切り裂いたのをな」

だが、口から漏れたのは荒唐無稽の戯れ言だ。それこそ奇跡のような。

「へへ、アンタがいったんだぜ、幸運の女神を呼んでみろってな……。賭けてやるよ。ジャックポットは必ずキメるぜ。それがオレ様……。へへ」

そして男は跳ねるような起立から居合の構え

「───ダイス..ロールッ! 」

弾指の間に星空めいた刀身は姿をみせる
果たしてそれは空間を切り裂くのか。成功すれば銀髪は姿を消し、失敗すればカタナは血色の元へ放られ、銀髪は今度こそ成すすべもなく殺られてしまう
幸運の女神は果たして訪れるのか

//おまたせしました。random奇数で成功、偶数で失敗でお願いします…。
206外套纏った大男 :2018/07/22(日)19:36:03 ID:Dlo
>>204
「そいつは残念だ、誰かに知られたら大変だな! 安心しとけ、『俺』は聞かねえからな」

そもそも巨剣背負う大男の場合狩り場に出てくる相手次第では旨味が少ないこともある。例えば……採取系の意味だったりすると。
それに狩り場は余程の信用がなければ嘘の可能性もあるので大男はその辺りを弁えて兜の中で笑い飛ばした。

「あんだけでかいやつだと首輪見るのも一苦労だけどな! 顔か背中にでも飼ってる証の紋でも描いてやったらどうだ?」

どうにも金に苦労してそうな少女には無理して首輪にせずとも他にあるだろうと大男は脳筋じみた風体に似合わず口を挟ませた。
魔法使いならそちらでも詳しいだろうと思ってだし、それは無理だとスルーされたとしても少女の前方にはいきなりチャリン! と音を鳴らして落ちる小さな革袋が見えるだろう。

「金が足りなくて止める奴が居なくなっても困るからな! 必要なら使っとけ!」

中身を見たならば、もしくは重さを確認すると少女が見せたものより半分ほどであることはわかるはず。
拾わなかった場合は大男が回収するし、どちらにせよ大男はそこで見送るかのように構えているのである。
207鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/22(日)19:42:45 ID:YoE
>>201
暴行を受け、逃げる様に走り去る奴隷の少年と入れ替わる様に。
得物を吊り下げる丸棒を右肩に掛けながら、悠々と広場に向かって歩む黒装束の少年がいた。

丸棒の先に吊り下げられた得物は、羽毛を毟り取られた鴨。
鴉の面の隙間から僅かに覗かせた赤い瞳は、烙印を刻まれた名も知らぬ少年の背を追っていた。

「……まさに鴨か、飛び立つための翼すらも毟られたと見える」

興味を失ったように視線を前に戻せば、そこには身なりから推察するに恐らくは魔術を扱う者。
少年が知る限りでは見覚えが全くない青年。

「初めまして…いや、アンシャントへようこそと言うべきかな?」

特に用がもあるわけでもなかったが、素性も知らぬ彼に興味がない訳でもない様に。
セトは友好的な素振りと声色で青年に挨拶の言葉を交わす。
2086lwy2fkM6c :2018/07/22(日)19:52:42 ID:DLv
>>206

少女は首輪にすると決めたようだった。背中に描いても転がって移動することが多いため、消えてしまうかもしれない。

「あっ、ありがとうございます!いつかお返ししますので……」

投げられた革袋に足を止めて男の方を見る。そうして頭を下げるてそう言って、今度こそ去って行くだろう。
209外套纏った大男 :2018/07/22(日)19:56:19 ID:Dlo
>>208
「おう、期待してるからな!」

去っていく少女にこれ以上の追跡も野暮だろうと思ってるのか大男は腕輪のついた片腕を上げてブンブンと振って見送る。
冷静に結果を見るなら少女の後の借金を増やしただけの気もするが、そんなことを知らぬ大男は上機嫌で街中を歩き始めるのであった。
いずれ巨獣に対する不穏な噂も消えるだろうと安心して。

//ありがとうございましたーっ
210ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)20:12:38 ID:JVA
>>207
「やぁ、初めまして」

ここの住人だろうか。話しかけてきた天狗の面を付けた少年に挨拶を返す。

「ここは面白い街だね。誰もが平等に自由を与えられていると思いきや、それを盾に暴れ回る者もいる。実に興味深い」

この街の感想を率直に言う。貶しているわけでも悪意があるわけでもない。ただ、ツヴァイはこれまで見たことない都市に、興味があるのだった。
211???◆2NC8z9kx8k :2018/07/22(日)20:33:52 ID:d3T
>>205

>>205

戯言だと吐いて捨てて、その小さな抵抗を眺めていた。
この期に及んでいる筈のない存在に縋る、まるで意味のない祈りを捧げる姿は酷く滑稽に映る。

「……情けねぇ。テメェの力はないのかよ、あぁ!?」

彼の手に炎が宿る。もう、待つ必要もない。それは諦めに等しいのだろうから。
一歩踏み出す。脚に炎を宿る。男の顔を焼いた、あの一撃を今一度。

飛ぶ。対して振るう刃は虚空を―――――否。


「……あ?」


空間切り裂いた。逃走経路は唯一であるはずだった、そんな事実すらも切り捨てて。
それはここから居なくなった。

「――――――ッぁぁああああぁああああ!?
 またか!?またあのクソメガミが俺以外に味方すんのかよ!?」

これ以上なく分かり易い叫び声をあげ、その感情のままに爆炎をまき散らす。

「死ねよ!!!死んじまえよ!!!ぶっ殺させろよなぁ!!?!」

炎は容易く周囲を破壊する。柱は焼き払われ、天井は崩れ、そしてその上。地上までをも焼き尽くす。
その男が生き残ったかどうかは不明。だがその日、教会が一つ跡形もなく炎上したとの報がアンシャントに響く

//本当にジャックポットだ……
//お疲れ様でした!
212鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/22(日)20:37:46 ID:YoE
>>210
成程。
青年の感想を受けた少年は頷き、そう静かに呟く。

「あまり大きな声で言える事じゃないけど、僕もその一人だよ」
「今は自由という権利を隠れ蓑にして、隠したい事を色々と包み隠している。このお面の様に」

鴉天狗の頬を小突つき、自嘲するかのように少年は鼻で小さく笑った。

「先程の口振りからすると、貴方はアンシャントの事をあまりよく知らず訪れた」
「…というよりは、自由とはまた別の目的を追い求めてここにやって来た」

「もしも差支えがなければ、貴方がここへやって来た目的を聞いてもいいかな」
「特にどうという訳ではないけど。旅人とか遠い国の話とか、そういった事に少し興味があるんだ」

好奇心に駆られるように少年は魔術師の青年に質問を重ねる。
213ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)20:50:50 ID:JVA
>>212
「“賢者の石“という秘宝の伝説を聞いた事はあるかい?僕はそれを探しているんだ。……なに、大した事じゃない。時代遅れの夢追いとでも思ってくれれば良いさ」

賢者の石。手に入れれば富も名誉も思いのまま。おとぎ話にも近い、そんな秘宝の伝説。
そんな存在、普通ならば誰も信じるはずもない。未だにそんな夢を追っているのかと笑い飛ばされてしまうだろう。
ツヴァイはそれを探しに来たのだ。各地を旅して回って、ここに辿り着いた。

「君は、どうしてここに?」

今度はこちらが質問を返す番だ。少年はなぜ、この都市にいるのかと。
人それぞれに目的があってここにいるのだろう。ここで生きていくしか手段がなかったり、企みの隠れ蓑の為だったり。ツヴァイもまた、興味があった。
214銀髪の男 :2018/07/22(日)21:03:08 ID:9jD
>>211

「アー……。死んだのかなァ、オレ」
「強かったもんなァ、勝てるわけ、なかったよなァ!……女神様……ヒヒ」

己の生死すら認められない状況だが、銀髪には確信めいた予感があった。
あの血色の男とはまたどこかで会うのだろう。地獄の果てか、浮世のどこかで。
さて、次はどう逃げようか、と

//だが100は奇数、奴は失敗の中でも最強……
//ありがとうございました。楽しかったです。またお願いします
215鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/22(日)21:31:44 ID:YoE
>>213
(賢者の石とは、また酔狂なものを)

目の前の青年には悪いがそんな実在するとは信じ難い。
お面を身に付けていなければ少年はきっと怪訝そうな表情をまっすぐと向けていた。
アンシャントで得た自由がそれを綺麗に包み隠す。

「僕は……まぁ、故郷で色々あってね。この仕打ちを人間に対して行う仕事と言えばいいのかな」
「それがある日、とても嫌になってここにやって来た」

そう言って指を指したのは右肩にかけた丸棒、その丸棒の縄に縛られた鴨だ。
その鴨は急所を華麗な一突きで射止められ、かつては生え揃っていたであろう羽毛は無残に毟り取られているのがはっきりわかるであろう。

この少年は、かつてそんな仕打ちを何人もの人間に対して行ってきた人間だ。

「……少なくとも貴方の夢の方が健全なのは確かだ。そうだろう?」

少年は言葉を言い詰まったのか、茶を濁すような冗談を口にする。
そのお面の奥には、もしかすれば、苦し紛れの笑みを浮かべているのを感じとれるかもしれない。
216ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)21:46:34 ID:JVA
>>215
「……ふむ、君もどうやら難儀なものを抱えてるらしいね」

人間をあの鴨のように仕留め、縄に縛る仕事か。いくつか思い当たる仕事はあるが、成程、どれも精神的な負担は大きいだろう。
この街には何かの事情を抱えている者が集まってくるらしい。この少年といい、あの行商人といい、自分といい。

「夢に健全も不健全もありゃしないよ。誰もが皆、それに浪漫を感じるから求めるのさ。一体誰がそれを責められようか」

夢を追うのは自由だ。それが、仮にどんなものであろうと。

「つまり、僕も馬鹿という事だ。いい歳して、お宝探しに夢中なんだからね」

自虐するように言った。ある意味、事実でもあるのだが。
217鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/22(日)22:21:16 ID:YoE
>>216
「……だったら僕も、自由という夢の中で浪漫を求めないとな」

青年の言葉に少年は多少救われたのか、少年はお面の奥の表情を確かに綻ばせた。

「……僕はそろそろ行くとするよ。得物が痛まない内にギルドに納品しなければいけない」

少年がギルドの方に向かおうとした時だ。
何かに一つ気付いたように、そういえば、そう一言を添える。

「自己紹介がまだだった」
「僕はギルドに属する身だ。もしかすればきっとまたこうして、また会う機会もあるだろう」
「僕の名は世都(セト)」

「君の望みが、いつの日か成就することを願っているよ。」

自己紹介を交わしたセトは青年に軽く会釈をすると
そのままギルドに向かって静かに立ち去って行った。

/〆させていただきます、ありがとうございました!
218ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/07/22(日)23:19:10 ID:JVA
>>217
「そうか。僕はツヴァイだ。僕もギルドを利用する事になるから、きっとどこかでまた会うだろう。」

セト、と名乗った少年にツヴァイもまた名乗り返す。
ギルドの人間ならば、いずれ会う機会もあるだろう。
ギルドの方向へ向かっていくセトを見送り、ツヴァイもまた別の方向へ歩き出す。

「もう少し、この街を見て回らないとな」

ここはどこまでも面白く、興味の尽きない街だ。そのありのままを、この目でしかと確かめるとしよう。

//ありがとうございました!
219アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/23(月)21:50:14 ID:wRc
早朝のアンシャント、ギルドの門前。
旅支度を整え、大きな荷物を背負った行商人の娘の姿。
今日は、次の商売のために海辺の都市へと旅立つ日。
先方のギルドへ品物を卸し、再び帰ってくるだけの単純な仕事だ。

目的地へは、アンシャントより5日ほどの行程を経て到着する予定だ。
山間部のルートを往く予定のため、道のりはやや厳しい。
しかし、平地の街道は今盗賊団が横行しており危険との情報、致し方ない。

「……さて……郵便屋はそろそろ来るかねぇ」
今回の旅は、同行人が一人いる。
そろそろ待ち合わせの時間……。


//投下してみます、郵便屋さんいましたら是非ともよろしくです~
220郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/23(月)22:19:41 ID:20t
>>219

「おまたせーですっ!と。」

ぴょこん、なんて擬音を出しながら現れる郵便屋さん。
制服をきっちりと着込み、ゴーグル付の帽子を目深に被り
背負うリュックは丸々と膨れ上がっている。運ぶべき物と、自分を守る道具も全部詰め込んである。

「はーい、じゃあ張り切っていっちゃいましょ!」

やたら強い勢いで拳を挙げて。
長旅なんてはじめてだから、楽しみでしかたない、なんて様子。悪い情報何て知らなさそうである。

//では、よろしくおねがいします!
221アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/23(月)23:05:28 ID:wRc
>>220
「へへ、似合ってるじゃぁねぇか、郵便屋さん。
 さ、行くとするかい。」
郵便屋の制服を着込めば、なかなか様になっている少女の姿。
かくして、二人は旅立った。

アンシャントの門を出て街道を暫く行くと、途中で道が分かれている。
今回目指すべきは、山岳のルート。
そちらを進んでいくと、徐々に道のりが厳しくなっていく。

荷物を背負っての山道は体力の消耗が強い。
適宜休憩を入れながら、確実に進んでいく二人。

「さて、もうちょっと行くと山小屋がある。
 今日は無理せずそこで泊まりやしょうぜ。」
今のところ、道程は順調だ。
222郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/23(月)23:13:07 ID:20t
>>221

「そりゃあもう?ぷろって奴ですんで!」

えへんと胸を張る。調子に乗りやすいらしく、どや顔が決まる。
なお特に揺れるものはない。

まあしかし、そんな余裕のある顔はだんだん無くなっていく。
ニコニコ笑顔での山道から笑顔が消えていき、険しい顔で肩を揺らして露骨に疲れた雰囲気。

「結構……たいりょく、自信、あったんですけど……
意外と、しんどい……ですね。」

こんな様子である。

「あ、休みます休みます!
いやー親切なものもあるんですね!」

当然休憩には同意。さて、その山小屋はただの休憩場所になってくれるだろうか。
223アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/23(月)23:54:30 ID:wRc
>>222
「へへ……こりゃぁ、堪えるねぇ……」
アルシファも、そこまで体力に自信がある方では無い。
急な勾配と硬い岩肌が二人の体力を確実に奪っていく。
さらに、今年のこの暑さは致命的。

「……そこの坂を登りきりゃぁ、小屋がありやすぜ……。」
なんとかかんとか、一山登りきると、その先には……


「………!?
 ……へっへっへ……冗談じゃぁねぇや……」
件の山小屋……だった残骸が。
見るも無残に破壊しつくされ、木材があたりに散らばっている。

//遅くなって申し訳ない……!
224郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)00:00:13 ID:6FB
>>223

「…………………」

さあて休憩だお休みだ。影に座って水を飲もう。
なんて考えて丘を越え。そうしてみればなんだこれ。
癒しが木っ端になっている。少女の心も砕けそう。

「………山小屋って、結構遠いんですね?」

前に人参ぶら下げて、走ったゴールは最早ゴミ。受け入れられないこんなこと。
ああけれど、でも、存外体は冷静にと言うか。
受け入れられないだけで、理解はしてしまっているのか。
木っ端を手に取り、その痕跡を見る。何かの事故なら良い。さて、その粉々の原因は。
魔物か、それとも人か。

//大丈夫ですよー
225アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)00:15:48 ID:3Xn
「へへ……おかしいねぇ……
 ……この辺りにゃ、こんなマネする様な魔物は出てこないはずなんだが……。」
柱の丸太がへし折られている。
こんな芸当ができるのは、大型の魔獣だろう。
この辺りの山にはそこまで強力な魔獣は生息していないはず。

「こりゃどうしたもんかね。
 ……こんなところは急いでおさらばしたい所だが、
 もと来た道を戻るか、それともこのまま先へ進むか……。」
良くない事に、日も傾きかけてきている。
夜の山岳地帯をうろつくのは、それこそ自殺行為。

「……先へ進めるなら進みてぇ。行けるかい、郵便屋さんよ?」
226郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)00:22:54 ID:6FB
>>225
そもそも魔獣がいないから。そういう理由でこの道を選んだのだから。
明らかに以上事態、日が沈んで涼しくなってきたと言うのに。首筋に滴が伝う。

「……進みましょー。どこか、安全なところまでは……」

引くも止まるも地獄であれば、鞭打って進むしかない。リュックサックからあのナイフを取り出して、一応護身の準備。

「あーもう、大丈夫大丈夫!!
今までの暮らしよりは全然平気ですし!」

ぱんっ、と頬を叩いて気合いをいれる。

「ちなみにお姉さん、何か心当たりとかは?……」
227アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)00:37:38 ID:3Xn
>>226
「心当たりは……無ぇなぁ。
 事前の情報じゃ全く聞いてねェし……。」
何処から流れてきたのか……。
恐らくはより強力な魔物が棲む地域からはぐれてきてしまったのだろう。

「なんだか良くねぇ予感がするぜ。
 ……とっとと山を降りちまおう。」
そう言うと、先へと進みだす。
娘の表情から、余裕がなくなり始めているのが分かる。
228郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)00:41:46 ID:6FB
>>227
「……だーいじょうぶですって!
私結構苦労してる自信あるんですけど、生きてるんで!!今日も大丈夫ですって!!」

余裕のなくなった顔に、笑顔を送る。
別に少女自身も不安がない訳じゃないのだが、だからと言って嘆いても仕方ない。

そのまま背後についていく。さて、何が起きるやら
229アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)00:46:42 ID:3Xn
>>228
「へへ、そうですね。
 私も何度となく死にそうな目には会ってきやしたが、
 どうにか生き永らえていやす。
 ……今回もきっと……」
と、娘が言っている傍から……
地を揺する様な野太い彷徨が耳に飛び込む。
恐らくは魔獣のモノだろう。
……しかも、かなり近くから聴こえる。

「……今回は……へへ、どう転びやすかね……!?
 ……急ぎやしょう、郵便屋。走れ……!」
慌てて、その場を駆けだす。
230郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)00:53:13 ID:6FB
>>229
「……大丈夫ですよね。うん
大丈夫!!!!」

声なんか聞こえなかった。そうとでも言いたいのか、自分に言い聞かせる。
もちろん交戦なんてしない。ひたすら逃走以外ににない。

逃げ足には自信があると言った通り、少々遅れたがその速度はなかなか。もうアルシファに追い付いている。
ちょうど、獣とアルシファ二人の間に少女がいる形である
231アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)01:13:55 ID:3Xn
>>230
必死で走る二人。
しかし………

「…………!!」
近くの大岩を、あろうことか粉々に砕きながら現れた、巨大な影。
それは巨大な2本の角を生やした、分厚い毛皮の獣。
ビヒモスと呼ばれるモンスターの一種だろう。
鋭く太い爪を生やした四肢を踏みしめ、此方に駆けだしてくる。

「……や、やべぇ……!!
 ………郵便屋……!!」
砲弾の様に突撃してくるそれをまともに喰らえば、二人ともミンチにされてしまうだろう。
とっさに娘は郵便屋の身体を抱きかかえ、脇へと回避するが……

「……っっっっ!!!?」
狭い山道、切り立った崖へと身を投げ出してしまい、
二人はそのまま遥か谷底まで転がり落ちていく……
232郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)01:18:24 ID:6FB
>>231
なんだかんだと生きてきたのは間違いない。だからまあ、これからもなんて。
根拠のない自信。今日があるのだから明日もある、そういう理屈。だが

圧倒的に巨大な獣。破壊の権化のような、自身の死がそのまま歩いてきたような。
首を後ろに向けて、少女の意識は固まった。死んだと思った。


「――――――へ?」


気がつけば浮かんでいた。ひどい浮遊感。
そう言えば前にもこんなことがあって、でもそのときは翼があったが。

「――――――へええええええ!?」
233アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)01:23:25 ID:3Xn
>>232
眼を覚ますと、そこは木々に囲まれた、薄暗く湿った空間。
どれくらいの時間だろうか、どうやら気を失っていた様だ。
奇跡的に、郵便屋の少女に怪我は無い様だ、

谷底に広がる樹海。
そこに転がり落ちたのだろう。
山に現れた魔獣も、ここまでは追ってきていない様だ……多分。

ふと周りを見渡すと、そこには行商人の娘が倒れている。
まだ気を失っている様だが……。
234郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)01:30:34 ID:6FB
>>233
目を閉じた。景色が消える。怖くて開けなかった。何が見えてしまうのか。
何かに引っ掛かったのか、二段の軽い衝撃を受けて、浮遊感も無くなって目を覚ます。

「…………絶対、危ないですよね?」

樹海と言えばそれはもう危険のすくつで巣窟である。位置的にはアンシャント近郊の森になるのだろうか。
ただただ危ないとだけ効いた場所である。

「起こられちゃうなぁ、これ。」

鞄の中身は散乱し、運ぶべき物はほとんど飛び散ったようだ。
幸いか、寧ろ不幸かナイフはどうにか握ったままだ。

「あ、そうだ。アルシファさんを……」

辺りを見回せば、動かない彼女。自分が何もなかったのだから、彼女もなにもない、と。わざとらしく頭に浮かべ。
近づきながらも、その体はピクリとも動かない。不安に包まれたまま、その首筋にてを触れた。
もし目を開けるなら、泣きそうな少女の顔がみれるだろう
235アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)01:39:47 ID:3Xn
>>234
「………う……くぅ………」
娘の首筋に触れると、苦し気な声を漏らす。
少なくとも、まだ生きている。
しかし、無傷とは行かない様で……


「……あぁ、郵便屋……無事かぃ……。
 …………ぐ、ぅ……へへ、私はちとやられちまった様だな……。」
……娘の、左目に深く傷が刻まれ、出血し開かない様だ。
有り合わせの布を細く裂いて、眼帯の様に当てて応急処置を始める。

「あんたは怪我は無いかい?
 ……必要なら、薬を使うと良い。
 売り物だが、しかたあるめぇ……。」

「生きちゃぁ居るが……まずいな、ここは樹海の奥地か……。」
そこは、先ほどのビヒモスとまでは行かなくても、強力なモンスターの棲み処である。
毒や麻痺を操る厄介なモノも多い。

さらには、樹海自体が迷路の様であり、方向を見失いがちで迷いやすい。
236郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)01:58:46 ID:6FB
>>235
>>235

「大丈、夫……じゃない、ですよね。
 私は全然いいですから、薬も全部自分で使ってください……」

うるさい敬語はどこへやら、酷く遠慮した、本来の敬語が聞こえるか。
周囲に散らばった荷物を集めて、特に傷薬を集めて彼女の前に並べる。

「……まずかったら、その、私を置いて行ってください。
 自分で何とかしますから……」

目線が合わせられない。どんな目で見られてしまうのだろうか。それが怖くて。
自分のせいだ。自分がいなければ一人で逃げられたかもしれない。自分の、せいで―――
237アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)02:11:48 ID:3Xn
>>236
「へへ、大丈夫だ郵便屋。
 距離感は掴めねぇが、それ以外は割と動けるぜ。
 ……あんたは何処も怪我してやしねぇかい?」
左目以外は、打撲や擦過傷が数か所……
脚や腕が折れて動けない、という事は無い。
目については、いずれにせよしっかりとした治療を受けないとどうしようもないだろう。

「へへ、何を言い出すんだ。
 目的地まで同行する、それが契約だろう?
 あんたを置いてはいけねぇぜ。」

「それに、あんたが私の目になってくれねぇと不安で仕方ねぇ。
 ……一緒に行ってくれるだろう?」
238郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)02:31:49 ID:6FB
>>237
「私は、本当に、大丈夫ですから……」

まるで彼女が傷を代わりに受けたような。見れば見るほど罪悪感がわいてくる。

だから、その問いはちょっとずるい。

「………はいっ!
私が見ますから、頑張って、役に立ちますから……」

涙を吹いた。立ち上がって、決意を固める。

「……だから、その、あんまり無理しないでください。
私、本当に大丈夫ですから」
239アルシファ◆8ifadleObc :2018/07/24(火)02:39:18 ID:3Xn
>>238
「あぁ、無理はしねぇさ。
 今日はここで野営をしよう。
 ……気休めかもしれねぇが、魔除けの護符を張っておこう。こいつも売りもんだがな。」

「ここから無事抜け出すには、互いに協力が必要だ。
 だから、あんたも無理はしなさんな、郵便屋。いいね?」

傷ついた身体で、身を隠す程度の簡易テントを張る。
火は起こさない方がいいだろう、森の魔物を刺激しかねない。
互いに見張りを交代しながら、この夜を越す……
夜が明けたら、森を抜け出すために出発だ。

//すみません、今日はこの辺りで……また後日続きをよろしくです!
240郵便屋の女の子◆2NC8z9kx8k :2018/07/24(火)15:14:42 ID:Bwx
>>239
>>239
忌子だと、不幸を呼ぶ子供だと言われたっけ。その称号はまさしく今体現されている。
……余計な事を思い出しても仕方がない。せめてこれ以上、彼女を”傷つけない”ように。

「先に私が起きてますから、少し休んでいてください。」

目を凝らしても、少し先がもう見えない。光は届かず、ただただ闇だけが目に映る。
不安で不安でしょうがないけど、でも、自分がやらなきゃいけない事だから。
心細さを胸にしまって、テントの前に立ちふさがるのであった。

//遅くなりましたが返信です
お好きなときに返してくださればっ
2415smbHugP7o :2018/07/25(水)14:18:22 ID:u4G
日がとうに落ちたアンシャントでも、大通りに夜はなかなか訪れない。
街灯や姦しい店々から漏れる光が照らす飲食店街を、今日の勤めを終えた者達が闊歩する。
そんな立ち並ぶ居酒屋の一つから、今まさに二人の冒険者が騒ぎを起こして追い出されていた。

「すみませんが、これも仕事なので。少し外で頭を冷やしてきてください」

そこだけ見れば、居酒屋の用心棒が少し仕事をしただけの、ごくありふれた一場面。
ただ一点、気絶した冒険者二人を外まで引きずっているのが、夜遊びにはまだ早い歳だろう子供である点を除けばの話だが。
中性的な顔立ちと声のそれは道端に冒険者達を放ると、何事もなかったかのような無表情で店の前の樽に腰かける。
太陽の光を知らない白い肌とは対照的な、真っ黒なローブと肩を撫でる程度の髪を揺らし、赤い瞳がぼんやりと往来を眺めた。
242外套纏った大男 :2018/07/26(木)20:08:13 ID:LST
>>241
用心棒の少年が気絶した二名に目を向けていなければ突然バシャッ、という音が聞こえるだろう。
向けているならばその音の正体が粗雑に水を二名にぶっかけたフルフェイス兜の大男であることがわかるだろう。
そして、その道端の二名の頬をべしべしと叩きながら。

「おう頭冷えてるか? 何やらかしたんだよ追い出されるなんてよぉ」

若干酒気を感じる声でありながら呂律をはっきりとさせた様子で訊ねていた。
薄汚れた外套とその背に背負った巨大な剣は威圧感を与えるには十分すぎる上に、行動などから用心棒であるそちらからは少し警戒心を煽るかもしれない。
2435smbHugP7o :2018/07/26(木)21:41:30 ID:fow
>>242
何度か頬を軽く叩かれて目を覚ました男達は、いきなり目に入った兜姿に、慄きからかさっと顔の色を失う。
しかし彼らも冒険者、すぐに苛立ちの表情で男を睨みつけて怒鳴りつけた。

『う、うるせえ!お前には関係ないだろ!?』
『くそ、やってられるか……!おい、場所を変えるぞ!』

慌てながらもまだ覚束ない足取りで立ち上がった二人組みは、罵声を置いてそそくさと店の前から立ち去ってしまう。
子供はというと、自分が追い出した二人組みには目もくれずにいたが、突然の水音にはそちらを見やる。
遠ざかる二つの背中をぼーっと見送りながら、ひとりごとのようながらも聞こえる程度の大きさで呟いた。

「報酬の取り分で揉めていたみたいですね。こんな所でごたつかないで、最初からしっかり決めておいてもらいたいものですが」
244外套纏った大男 :2018/07/26(木)21:54:57 ID:LST
>>243
「ハハハ、イメージに関わっちまうからな! お前らのせいで酒が飲めなくなるのだけは勘弁してほしいんだよ!」

実際のところ、大男は酒を飲み過ぎても暴れることはなく多少騒がしいほどに済んでいる。
なのだが大男である都合上、どの店でもそれが通じるとも限らないための理由である。
兜越しでも聞き取れたのか、片手で腰を叩きながらそうかそうかと反応して振り向いた。

「そいつは難しいけどな! 余程信頼した仲じゃねえと一つのミスで争うもんだ、決めててもそうなる方が多いんだよ」
「にしてもあの二人を伸びさせたのはお前か! 子供のくせに力あるんだな!」

真実かどうかはさておき大男は回らないものなのだと主張する。それをどうにかして納得する形にするには誰かが損を受け取ることになるのだが。
そして大きな背丈のせいか相対的に子供に見えるそちらに向かって背中をバシバシと叩きに来る。非力な場合下手すると樽から転がり落ちそうなほどだ。
2455smbHugP7o :2018/07/26(木)22:16:45 ID:fow
>>244
「僕としては手間がかからなければ、彼らがいくら揉めようとどうでもいい話ですが」
「……ええ、まあ、それが仕事ですから」

男に背中を叩かれる直前、おもむろに樽からひょいっと降りてその手を避ける。
自分より大分背の高い男に物怖じした様子もなく、じっと紅玉が容貌を隠す兜を見上げた。

「ところで、食事でしたら中にどうぞ。ちょうど席が空いたところなので」

二人組みという興味の対象もあったが、店の前に寄ってきた男をまず客として考えたらしい。
先程の男達が追い出されてから店の出入りはない。そこから空席の最低数は導けるだろうが、子供はまた樽に腰を落ち着けようと。
246外套纏った大男 :2018/07/26(木)22:30:26 ID:LST
>>245
「酒の席では取っ組み合い始めても眺めるところもあるしな、っとと」

釣れねえもんだ、と避けられたことに不思議そうに兜を指で掻く。
見上げるそちらに向かってはその態度を見倣ってか、金色の光をスリットから覗かせて見下ろしていることを示した。

「おう、酒はあるか酒は? どうせなら坊主も一緒に飲まねえか! わざわざ外から中に入って見つけるのも面倒だろ!」

用心棒である相手に対してまるで職務放棄ともとれる誘いを持ちかける大男。見たところ連れは居ないため一人なのだろう。
客であることは確かだが、さてこの先の二人組よりも怪しく危ない可能性が拭いきれない彼を用心棒は招き入れることに成功するだろうか?
2475smbHugP7o :2018/07/26(木)22:58:16 ID:fow
>>246
「ええ、もちろんです。どうぞ寄っていってください」
「僕も、ですか?……そうですね、ではご一緒させていただきます」

男の誘いに束の間の逡巡。しかし存外感触は悪いものではない。
彼の入店を断ろうとはしない。締め出すのは問題を起こしてからという事か、身なりで判断はしていないようだ。
さて中に入れば店は盛況。先の騒ぎのほとぼりも既に冷めているようで、皆思い思いに酒に興じている。
つい先程空いたのだろうカウンター席に通される二人。見れば肉料理がこの店のオススメらしい。

「僕はそれほど空腹ではないので、お好きなものをどうぞ」
248外套纏った大男 :2018/07/26(木)23:16:01 ID:LST
>>247
「繁盛してるじゃねえか、いい店だ!」

席につくやいなや入店時にざっと見た店の様子に対する感想を隣の彼に伝える大男、声が少々大きいので気になるなら静まらせるのも手だ。

「じゃあやっぱりここはススメのやつからいかせてもらうか、肉は俺も好きだからな! 坊主もそれでいいな!」

空腹でないという相手にも同じものを、とする辺り大男の認識は見た目通りかなり大雑把なのかもしれない。
いや、大男は彼が食べられると思っているのだろう、声の弾みようからは肉が好きであるということもよく伝わる。

「酒も忘れちゃいけねえな! 良いの頼むぜ!」

盛況な店の中でも彼の要求はハッキリと聞こえるほどに大きかった。
2495smbHugP7o :2018/07/26(木)23:35:13 ID:fow
>>248
男の大声を咎めようとはしない。それこそ暴力沙汰に発展でもしない限り、仕事を全うしようとはしないことだろう。
カウンターの向こうの店主も何も言わないあたり、その辺は許容されているのだろうか。まあ多少の喧騒は酒の肴といったところ。

「いや、ですから……はぁ、分かりました、それでいいです」

人の話を聞いていたのかいないのか、判断に迷うところではあったが結局はされるがまま。
無表情ながら、声色はどこかげんなりしているようである。
閑話休題、大抵の居酒屋では注文が通れば、まず運ばれるのは料理よりも飲み物であるわけで。
カウンターを跨いで男に手渡されるのはジョッキいっぱいの麦酒。定番ながらよく冷えている。対して子供が受け取るグラスはそう大きくない。
見かけ上はまだ酒を楽しめる年齢でもないから、当然といえば当然だが。ただその中は赤黒く、微かに漂うのは鉄の匂い。
250外套纏った大男 :2018/07/26(木)23:40:29 ID:LST
>>249
「肉くらい入るだろ!」

そんな主張で少年の気分を更に追い詰めそうなご様子の大男。その気がないのがタチの悪いことである。

ジョッキを受け取れば兜の下から来た来たぁ、なんて楽しそうな声を出してその冷え具合を確認。
が、隣のその赤ワインというにも黒い中身を見て首を傾げた。

「えーとここだと言っていいのか……?」

ん? とした様子で暫し考える大男。ジョッキの下方にあった滴が一滴カウンターを濡らしたところで、耳打ち。

「お前さんヴァンパイアか? 肉は食えねえやつだったか?」

金色の双光は睨むわけでもなく向いていた。判断が早過ぎた。
2515smbHugP7o :2018/07/27(金)00:00:39 ID:9zl
>>250
「はあ、いえ、まあ……」

どうにも歯切れの悪い返事。肉くらい、とは言うがそもそも肉はかなり腹にたまるものではないのかと。
まあ体格に大分差があるのだ、胃袋の大きさもまた違っていてもおかしくはない。
不思議そうに首を傾げる男に不審そうな目は向けない。自分が口にするものが一般的ではない事は、重々承知の上なのだろう。
気遣いの覗く耳打ちに、両手で持ったグラスの中で小さな波紋。感情を映さない赤い瞳が金色を捉えた。

「……ええ、その通りです。ああ、これは動物の血なのでご安心を」
「栄養にはなりませんが、ヒューマンと同じ食事はできるのでお気遣いなく」

探るような間、やがて少なくとも害意はないと見たか男の言葉を肯定。
ほんの僅かに苦笑いを浮かべ、逃げるように視線を店主へ。
偶然かタイミングを見計らっていたか、ずっと無口な店主は二人の前に、山盛りのヴルストとフライドチキンをどんと置いた。
252外套纏った大男 :2018/07/27(金)00:13:33 ID:9Ko
>>251
「そうかそうか、それなら良かったぜ。別に人の血でも俺ぁ気にしねえけどな。美味いのか?」
「まあ隠してたなら悪かったな、他言はしねえから安心してくれや」

兜の中でも十分聞こえる笑い声。その裏では仮にそのような摂取でもあっても気にはしないとばかりに。
正義感というよりはただの興味で聞いたという節を強く見せているその様子で、他言そのものは望まれぬ限りはしないと主張。

「……安心しろって、お宅の用心棒に手かけるほど馬鹿じゃねえし高潔な心もねえよ」
「じゃ、いただくぜ! ……また外し忘れるとこだったわ」

山盛りの肉料理に興奮じみた様子で手を擦り合わせると――ガシャリ、と兜に手をかけた。口振りからするにたまに忘れるのだろう。
兜を外せば露になるのは金色の目から下のすべて。石のような灰色の髪や厳つい印象を与える顔付きは今は目の前の肉に夢中の色で喰らい始め出した。

「っかー! うめえなこいつぁ!」

パリッ、とヴルストを頬張り、ジョッキの中身を飲んで、フライドチキンをザクッと噛み切ればまたジョッキの中身を流す。実に美味そうな食べっぷりである。
2535smbHugP7o :2018/07/27(金)00:31:43 ID:9zl
>>252
「……さて、どうでしょう。ご自分で比べてみては?」
「いえ、隠しているわけではないのでお気になさらず」

誤魔化すようにそっとグラスに口をつける。コップ一杯で十分な食事になる種族故か、そのペースは遅々としたもの。
注文も聞かずに物を出した店主もそうであるように、子供の種族を知るものは実はそう少なくないのかもしれない。
空腹ではないと口では言いながらも、ある程度付き合う気はあるのか、フライドチキンを取る。
両手で持ってゆっくりもぐもぐしているところだけ見れば、食べ方は完全にお子様のそれである。
中途半端に上げた兜を胡乱げに見やるが言及はしない。それ以上に豪快な食べっぷりに目を奪われているようで。

「ところで、今日は仕事帰りでしょうか?ええと……」

話題転換とばかりに、有り体な世間話のようなものを。
そこでふと、相手の名前をまだ知らないことに気づいたか、少しの間言い淀んだ。
254外套纏った大男 :2018/07/27(金)00:38:41 ID:9Ko
>>253
「ん? そうなのか? まあそれなら良いけどよ。あ、店主、同じの頼むぜー」

隠してないと知るやいなや態度が緩んだ。まあそもそも、仮にそのようなハンターが居たとしても勝てるかどうかもあるし気にならないとしているのだろうと。
さて完全にそちらの誤魔化しに乗ったのか、まさかの動物の血を追加注文。本当にやる奴がここに居た。

「小さい口だな、もっと大きく食えねえか」
「ん? 今日はこれからも仕事ってところだな! ……ん、ああ忘れてたな、俺はガルバードっつーんだ、お前は?」

早々に二つ目のヴルストに手を出しながらガルバードと大男は名乗った。隣の席から目だけを下げて見つめる姿は威圧しているつもりは無さげだが……。
ともあれ、そちらに名前を聞いて、世間話にも応えてる辺り話すのが不味いわけでもなさそうではあった。
2555smbHugP7o :2018/07/27(金)00:59:17 ID:9zl
>>254
『今日は豚だ。悪いが人の血はウチじゃあ扱ってねえからな』

男の注文にやや目を見開いた子供とは対照的に、全く動じずその通りのものを出す店主。
こちらはさすがにジョッキにいっぱいとはいかないようで、ショットグラス程度の量。
一切の味付けのない血の味だ、初めてであれば相当に癖が強く感じることだろう。
感想が気になるのか、鉄面皮の中に子供らしい純粋な好奇心を覗かせた。

「僕には僕のペースがあるんです」
「これから……?その、今からお酒を飲んで大丈夫なんですか?……ああ、僕のことはクリス、とでも呼んでください」

男が二つ目のヴルストを食べ終えた頃に、ようやく一つ目のフライドチキンを胃に収める。
自分よりも遥かに体格のいい偉丈夫に見下ろされても、物怖じしているようには見えない。
酒はやらないだろうに、やはり酔った状態の仕事はなんであれ危険という認識はあるらしく。
256外套纏った大男 :2018/07/27(金)01:13:47 ID:9Ko
>>255
「ブタの血か…………浴びる以外で飲むのはそういや初めてだな」

無論、何らかの料理で口にする経験はあっただろうがそれらでも火を通して生臭さを消している。今回のように飲むことはまず稀なのだ。
さて、そのサイズとなれば大男の手では更に小さくも見えようか、しかし喉を鳴らすほどには未知の飲み物を大男は顔をくわっとさせると豪快に飲み干した!

「――っかぁ! 不味い……ってわけでもねえがかなりきっついな! 固めてた方が美味い!」

ああ、その正直すぎる感想が店主だけでなく少年にショックや怒りを与えなければいいが。
吐き出さないだけマシかもしれないのだが。

「酒を飲んでた方が調子が出やすい性質でな、程好く酔えてた方が楽なんだよ。よろしくなクリス」

俗に噂される、酒好きの冒険者のジンクスのようなものだろう。酒を断つ方が調子が出ないなんていう一種の暗示に近いもの。
フライドチキンを頬張るガルバードから差し出される片手はとても大きく思えるだろう。その手の皮膚は戦士のそれを思わせるほどに固く。

「お前はここの仕事だけか?」

昼間は、ヴァンパイアの一般的な認識からすると活動できないのだろうと大男は思っていた。
2575smbHugP7o :2018/07/27(金)01:35:13 ID:9zl
>>256
「……まあ、そうでしょうね」

正直すぎる男の感想に、特に気分を害してはいないようだ。子供はやれやれとばかりに小さく肩を竦め、またグラスに口をつけた。
予想通りの反応だったのか、店主に至ってはにやりと悪戯っぽく笑い、すぐさま次の麦酒を男に差し出す始末。

「なるほど……僕は酒はあまりやりませんが、そういうものなのでしょうか?」
「ええ。こちらこそよろしくお願いします、ガルバードさん」

外見上当たり前だが、あまり酔いには縁がないようで、男の主張に首を傾げる。
とはいえジンクスは人それぞれだ、判断力や体の動きに支障がなければ許容されてしかるべきであろう。
故に口調は咎める、というよりは純粋な好奇心からの問いに近い。
差し出された大きな手に応えるのは、比較するとひどく小さく白い華奢なもの。

「いいえ、普段はギルドで依頼を受けています。ここでは食事したい時にたまに、ですかね」

ギルドの依頼は多岐に渡る。大部分の人間は日中に活動するために気がつきにくいが、昼間でなくても可能な依頼というのは意外とある。
もちろん難度は上がるのだが、それは光のある生活に適応している人間ではの話。
夜を主な活動時間とするヴァンパイア種にとっては、そう大きな障害とはならないのだ。
258外套纏った大男 :2018/07/27(金)01:46:41 ID:9Ko
>>257
とはいえ少なくとも栄養だけはキッチリ確保できたことだろう。酒と合わさり今宵の身は万全と言わざるをえない。
麦酒をゴクゴクと一気に空にする勢いで飲んだ大男はその店主を見つめて一本とられたとばかりに首を振るのみである。

「そういうもんだ、さっき追い出した連中にもそんな決まりはあると思うぜ?」
「ったく、こんな細腕でやっちまえるとはな。たまに思うぜ、ずるいってな」

ハハハ、と笑い飛ばしつつも華奢な手を握り潰さぬように加減していた。
そんな中で溢したことは少年と大男に限った話ではなく、なんというか種族差を実感した者達の代弁に近いのだろう。

「つーことは夜の仕事はクリスみたいなのが受けてることが多いのか、俺も夜の依頼も受けてる方だが、なんで減りが早いのかって思ってたんだよ」

ヴルスト三本目、ましてやチキンも三つ目。やたらとペースの早い大男は味わっているのかと思わせるほど。
大男も夜中に出向くことは珍しくないらしく、見た目だけで言うならば夜型の人を思わせるものではあるのだろう。
難度が上がったところで、イレギュラーなことでもなければその巨剣で葬ることも可能ではあるための余裕が見える。
2595smbHugP7o :2018/07/27(金)02:13:33 ID:9zl
>>258
空けたそばから次のジョッキを出してくるあたり、店主は無口ながら意外と商売には遠慮がないタチらしい。
ほら、仕事が控えているというのにまた麦酒がもう一杯。

「なるほど。理解はできますが、あまり飲みすぎない方がいいんじゃないかと」
「……いいことばかりじゃありませんよ。僕達にだって、弱点はありますから」

たかが子供の手であるが、そこには冒険者二人を制圧するだけの力が秘められているわけで。
それは種族特性であり、人間にはない長所だ。しかし彼らにだって、致命的な短所はある。
結局のところ、隣の芝が青く見えているだけなのだ。

「そうですね。僕らの他には夜行性の獣人の方が多いでしょうか。デーモン種の方もたまに見かけますよ」

さてなかなかに速いペースで減っていく肉料理、とはいってもほとんどがガルバードの胃の中なのだが。
残り数個となったところで、クリスのグラスもようやく空に。ヴルストを一本つまみ上げると、おもむろに席を立った。

「では、僕はそろそろ外に戻ります。用心棒が席を埋めているわけにもいきませんし」
「それではまた、ガルバードさん。そのうちギルドでも会うかもしれませんね」

店内はいまだに盛況。パッと見では空席も見受けられない状態では、致し方ない判断だろう。
小さく会釈して店の外へ。ガルバードが退店する際には、また樽に座って退屈そうにしている子供が目に入ることだろう。

//すみません、そろそろ〆でお願いします…!
//ロールありがとうございました!
2605smbHugP7o :2018/07/27(金)02:14:47 ID:9zl
【名前】クリス
【職業・種族】傭兵/ヴァンパイア
【容姿】
肩程度までの黒髪に赤眼、真っ白な肌。ヴァンパイア特有の小さな鋭い牙を持つ。外見は齢12、13あたりの華奢な子供。
くたびれた黒のローブで全身を覆い、日中はフードを深くかぶっている。

【技能・魔術】
『羊も歌う葬送曲(アグヌス・デイ)』
古より連綿と受け継がれてきた闇魔術を用いる。
特にクリスの血族の特質とされるのが、自分の影を切断・変形・実体化させる技能。
あくまでも影なので作った物は全て真っ黒。複雑な造形であるほど形成に時間がかかる。
実体化させただけ自分の影は小さくなり、自分の身体の体積以上の物は作り出せない。

『冥夜の眷属(コンフターティス)』
種族由縁の体質。純血のヴァンパイアであり、他の生物の血を糧に生きる。
クリスの血族の場合人間の血だけではなく、動物の血でも生命活動に支障はない。
人間と同じ食事もできるが栄養にはならず、単なる嗜好品に留まる。
高い自己治癒力と長い寿命、人間を上回る身体能力を持ち、多少の怪我ならば時間を置けば自然回復する。
日光が弱点であり、素肌を晒されると短時間でも体調を崩し、最悪死に至る恐れがある。また聖・光属性を苦手とする。
五感は人間と変わらないが鼻がよく夜目が利き、反面強い匂いや光には弱い。

【概要】
主に夜間のギルドにふらりと現れては、気ままに依頼をこなすフリーランサー。
金さえ積めばどんな内容でも引き受けるという。
数十年前から都市に住み着いているとされるが、素性や生い立ちは謎に包まれている。
本人は『クリス』と名乗っているが、それすらも本名かどうかは不明。
子供らしからぬ感情の希薄さ、素性の知れなさから一部では『ミスト』の名でも知られている。
261外套纏った大男 :2018/07/27(金)02:25:54 ID:9Ko
>>259
これは手厚い歓迎、いやむしろ抑制せねば次々に運ばれてくるのだろう、これではすぐに財布が空になりそうだ。
そしてだからこそである。その金を取り返すための稼ぎにも身が入るというものだ。

「知ってるさ、それでもだ。弱点なんざ気にもならねえくらいにな」

例え弱点を抱えるものだとしても、届かぬ力はなお羨望を覚えさせるものである。
例え陽光の下に出れずとも、銀素材が致命傷を与えようとも。大男はそこを避ければいいと踏んでいるのだ。

「マジか、今度依頼に割り込んでみても面白そうだな!」

そんなことすれば一触即発の事態になりかねないが、この大男はまあなんとかするのだろう。ギルド内なら専門の押さえ付けも居るだろうし。

お、と立ち上がる様子を見つけたガルバードはその意図に気づく。

「ハハハ、そりゃそうだったな、良い話が聞けて良かったぜクリス」
「ギルドで会ったらよろしく頼むぜ! そんじゃ頑張れよ!」

最後にもうひとつ、豪快に笑い飛ばしたガルバードはその後も暫く酒を煽り、十分に摂取したところで通貨を取り出して店主の前に置いていく。

退店の際、兜を再び被り直していた大男は退屈そうな子供に会釈をすれば実に上機嫌な様子で依頼へと向かったのであった。

//ロールありがとうございました!
262クリス ◆5smbHugP7o :2018/07/29(日)20:37:40 ID:8ZS
数日前、なんの前触れもなくとある教会が全焼した。
不審火にしろ事故にしろ、それだけならばそうおかしな話ではない。
にも関わらず、原因の調査も事後処理も一向に進んでいないのには、れっきとした理由があった。
その教会のかつての姿を知る者は語る。『あんな真っ黒な教会、全ての神を冒涜しているとしか思えない』と。
そんな訳で誰も近づきたがらず、ギルドにお鉢が回ってきたのがつい先刻の話。

「…………ふむ」

さて件の異教の残骸あたりで、なにやら彷徨いている黒いローブの子供の姿が。
昼間だというのにフードを深くかぶり、きょろきょろ辺りを見渡して瓦礫の合間を行ったり来たり。
好奇心に惹かれたかなにかの調べ物か、はたまた犯人は現場に戻るなんて言葉の通りか。
いずれにせよ傍目からすれば、不審なことには変わりないのだが。
263赤目の三足烏 :2018/07/30(月)01:12:26 ID:Rye
>>262
焼け落ち朽ちた教会に、空からの来訪者がやってきた。
その来訪者はまさしく鴉、それもよくよく見てみれば三本の足と赤い瞳を持つ変わり者だ。
そんな鴉が何気なさそうに腰かけられる程の高さの瓦礫の上に止まって見せれば
何かを探り当てる様に煤を啄み、黒いローブの恰好をした子供を訝し気に見つめ始めた。

「………」

随分と人間慣れしている鴉だ。態々人に近づいて近所に堂々と居座り、飛び立ちもしなければ鳴き出す気配もない。
鴉は平然と、だけども警戒心は確かに露わにしてフードを被ったローブ姿の子供を見つめ続ける。
嘴に咥えた煤と同じように、その赤き視線は挙動不審の監視対象を探り、あわよくば目的と正体を見抜こうとしているのだ。
264クリス ◆5smbHugP7o :2018/07/30(月)09:04:55 ID:ruc
>>263
不意に降ってきた羽ばたきの方を、男とも女ともとれる容貌が赤い瞳でちらりと一瞥。
少々珍しい三本足の鴉を不審がるでもなく、突き刺さる視線に応えないまま、すぐまた周囲の探索に戻る。
今度は観察するだけに留まらず、一際大きい瓦礫をひっくり返してみたり、地面に積もった細かい砕片を軽く掘り返してみたり。
やがて満足できたのか小さく一息をついて、休憩するつもりかごく自然な動作で鴉の隣に腰かけようと。

「この教会、どうやらクリプト――地下聖堂から燃え広がったようなんですが」

見た目に見合った中性的な声が廃虚に響く。正面を向いたまま、鴉の方は見向きもせず。
鴉が移動したのならば、そちらを目で追うくらいはするのだろうが。
奇妙な鴉に語りかけているのか、それともただのひとりごとか、どちらにしても聞き取るには十分な声量。

「どうしてそんなところから出火したんでしょうね」

//すみません、寝落ちしておりました…!
265赤目の三足烏 :2018/07/30(月)14:48:52 ID:Rye
>>264
「クロガネ」

鴉の呼び名と思わしき言葉が、瓦礫の影から不意に呼びかけられる。
少年の声に呼応して鴉は瓦礫の影から姿を現すお面を付けた黒装束の少年を視認すると、その少年に目掛けて飛び立つ。
鴉天狗のお面の少年は腕を止まり木のように差し出し、対して鴉は嘴に咥えた煤を少年に差し出した。

「教会の地下、火を使う物を置くのは少し考えにくい」
「僕の考えでは……この火事は、人の手によって引き起こされた物である事はまず間違いないと思う」
「問題は誰が火種を持ち込んだのか、偶々の事故か、それとも何か目的があってこの状況を引き起こしたのか」

それを可能な限り探り当て、成果として報告する事がセトの当面の目標となる。
まずは挨拶を。鴉天狗のお面を付けた少年はそう一言告げて、正体が未だ掴めないローブ姿をした者に向き直った。

「僕の名は世都(セト)」
「今日はギルドの一員として、この教会の調査依頼に担当することとなった」
「……君は?」

黒装束と共に何処か言いようのない固さを身に纏った少年は、お面の隙間から鴉と同じ真紅の瞳をチラつかせながら尋ねる。

/私自身もゆっくりめのペースなのでお気になさらず!
266クリス ◆5smbHugP7o :2018/07/30(月)16:17:29 ID:ruc
>>265
声の元へと向かう鴉を赤の視線が追いかけ、その主人の姿を認めて止まった。
じっと少年を見つめる面持ちは依然として無表情のまま、フードから零れる黒髪が異様に白い肌を際立たせている。

「僕もそう考えています。ただここまで被害がひどいと、それ以上調べるのは難しいと思いますが」

セトの推論に小さく頷いて同意を示す。しかし続く言葉は彼にとって、あまり喜ばしくないものかもしれない。
だが実際、火元と思われる地下を調査するのは非常に難しい。
地面の下の空間は崩れた教会の残骸によって、今では完全に埋め立てられてしまったのだから。
広範囲の瓦礫を取り除きでもしなければ、追加情報は得られないだろう。なにか特殊な探査方法でも用いない限りは。

「僕の事はクリスと。普段はギルドで依頼を……ああ、ミストと言った方が伝わるでしょうか」
「今回はギルド公式のものとは別口で調査に。この辺りの住民にとっても、あまりここはいい場所ではないようで」

ぎこちなさの見え隠れするセトとは対照的に、子供の所作から緊張は見られない。
依頼人の違いこそあれど、どうやら二人の目的は共通のようだ。
クリスが受けた依頼は、異教のものとはいえ礼拝堂が焼失した事を不安に思った近隣住民が、安心を得るために出したものらしい。
とはいえこの惨状だ、たいして有益な情報が手に入った訳ではなく、腰を下ろして休息しているのだが。
267鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/30(月)19:05:46 ID:Rye
>>266
「……教会の地下には何かが行われていた。単なる焼き討ちの工作か、それとも別の何かか」
「この調査依頼、思った以上に長引くかもしれない」

ふぅーっ、と気の抜けそうな程に大きなため息を付いて見せればセトもまた近場の瓦礫に腰掛ける。
そしてセトは腰帯に身に付けたポーチから、羊皮紙と薬瓶を取り出して見せた。

その薬瓶は簡易的に鑑定を行うことが出来るギルドからの支給品、広く知れ渡った代物だ。
セトは先ほど鴉から回収した煤を羊皮紙の上に広げ、薬瓶の液体を煤に数滴ほどかける。
もしこの煤が魔力による影響を受けて生まれたものでなければ薬液をかけても何も反応はせず
逆にこの煤が魔力によって影響を受けたものならば何かしらの反応を示す。

結果としては大方セトとクリスの予想通り、反応有りだ。

「犯人の身元や現状までは特定出来ないけれど……取りあえずこの火事が人為的なものであるという確証はできた」

この言葉が意味するのは、次も同じようなことがを起きるかもしれないという事。
住民は決して安心することは出来ないことを意味する不吉な保証書の出来上がりだ。

「……このサンプル、欲しければ上げるけど。いるかい?」
268クリス ◆5smbHugP7o :2018/07/30(月)23:00:15 ID:ruc
>>267
簡易鑑定の結果を覗き見て、ふうむと口元に指を当てて考えるそぶり。
魔力を用いた痕跡がこうして明らかになってしまえば、単なる事故と言い張るなどできるはずもなく。
この火災の原因が魔術的なものだとして、その動機や目的は当事者でもない限り、集めた情報から想像するしかないのだ。

「……教会の地下なら、何かしらの儀式を行なっていた、というのもあり得るかと」
「少なくとも放火魔がたまたまここを選んだ、なんて事はないでしょう」

出火場所が誰でも火をつけられる地上部ならともかく、地下となれば犯人は明確な目的を持ってそこを訪れた可能性が高い。
ただ単に火事を起こしたいだけなら、わざわざ内部まで侵入する必要はないのだから。
特に信仰の場となれば、自分達も知らない儀式が密かに執り行なわれていてもおかしくはないのではと。
サンプル提供の誘いには、無言で首をゆるりと横に振る。安全を保証する言葉こそ用意する必要はあるものの、不安を煽る要素は求めていないらしい。

「犠牲者がいるかは分かりませんが……おそらくいたとしても、普通の死に方ではないでしょう」
「……ここからは霊魂が全く感じられませんから」

この日数であれば、霊魂の残滓がある程度残っていてもおかしくはないはずとクリスは語る。セトが姿を現わす前に自分で調べていたのだろう。
そもそも死者がいないのか、それとも何者かに魂を贄として捧げられたか。死体も見つかっていない現状、判断は難しいところではあるが。

//お待たせ致しました!次からは安定して返せると思いますっ
269鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/30(月)23:55:32 ID:Rye
>>268
犠牲者のものと思わしき霊魂。
それがどのような気配を持つのか、生憎セトには知る術はない。
セトからしてみれば眉唾物の概念だが、霊魂の気配という概念を釈然と述べたクリスを一先ず事実と信用する。
まずは犠牲者が居ないとして、態々地下に潜る意味は

「人目の付かない所で行う必要がある儀式……。確かにそうかもしれない」
「情報を聞く限りではあまり人が立ち寄ることのない教会だった、そんな教会の地下に赴いて何かを行う」
「……それが儀式であるとするなら、辻褄は合うと思う」

そして、もし犠牲者が居たとしたら

「……」
「この付近に住む住民で、行方不明者がいないかどうかを探した方が良いかもしれない」
「……もしも儀式で人を贄とするのならば、あまり遠くへは引き摺れない。無理をすればかなりの確率で人目に付いてしまう」
「馬車や重力の魔術を用いて持ち運ぶにしてもにしても、そんな事が出来る人は自然と限られてくる」

火事の原因は未だに掴めない。儀式の一環なのか、儀式に失敗したのか、儀式に邪魔が入ったのか。
しかしそんな事よりももっと悪い何かを予感したようにセトはクリスに向き直り、警告の旨を伝える。
270クリス ◆5smbHugP7o :2018/07/31(火)00:25:53 ID:4ju
>>269
広く用いられている訳ではないが死霊術、あるいはそれに準ずる魔術というのはそう極端に珍しいものではない。
とはいえ他の魔術に比べて本人の宗教観や資質に依るところが大きいのだ、人によってはいかがわしいと感じるかもしれないが。

「儀式だったとしても、人身御供と判断するのは少し早いような気もしますが」
「……いや、元々いい噂がなかったのなら、最悪を想定した方がいいでしょうか。信者が殉教しただけならまだいいのですが」

儀式に何かを燃やしたとして、それを人と断じるのは些か短絡的かもしれない。
古来より、様々な物が神へ貢がれていたのだ。飲食物や人形が供物とされていた可能性だってある。
しかし火のないところに煙は立たない。人々が教会を恐れていた理由には、外観以外の何かがあったとも十分考えられる。

「……僕は報告のついでに、この辺りに住んでいる人達に注意するよう伝えておきます」
「セトさんはギルドの方に警告をお願いします。もしかしたら、別の地区にここと同じ教会があるかもしれませんから」

セトの視線を真っ向から受け止める。これで最後だろうとは、おそらくどちらも思っていないだろう。
しかし結局のところ、肝心なところは分からずじまい。であれば後手に回るしかないが、何もしないよりはマシなはず。
だが個人でできる事などたかが知れている、ひとまずできるのはギルドからの勧告を促す程度だろうかと。
271鴉天狗のお面つけた少年 :2018/07/31(火)01:17:23 ID:uWK
>>270
「わかった。僕からもギルドの方に念を押しておく」

本日、お互いが得られた情報の量は決して多くはない。
だが次もまた同じようなことが起きる可能性を否定しきれなかった以上、その情報を決して無視をすることは出来ない。
今出来ることは、サンプルの羊皮紙とこの場で得られた推測をギルドに提供し、ただ静観するのみ。

セトの右肩に佇んでいた三足烏は、用事は済ませたと言わんばかりに再び空へと飛び立つ。
セトはその黒翼を見送る様に空を見上げ、言葉を紡ぐ。

「早速、ギルドの方へ報告するとしよう」
「今日は助けられたよ。もし君とこうして意見を交わす機会がなければ、僕は重要な事を見落としていたかもしれない」

「お互いギルドに所属しているのなら、次に会う機会はいくらあるだろう」
「その時になればまた、何かしらのお礼をさせて貰うよ」

「それじゃあ、またね」

この事件がこれで終わったなどと、少なくともここにいる二人は考えてはいない。
セトが警告を発し、それに呼応するようにクリスが受け答えたのがその証拠だ。
この事実を胸に刻み付ける様にセトは鴉天狗のお面を強く顔に押さえつけ、踵を巡らせ歩み始める。

/今日はこの辺りで〆させていただきます、お付き合いいただきありがとうございました!
272クリス ◆5smbHugP7o :2018/07/31(火)01:35:24 ID:4ju
>>271
セトが了承したのを確認すると、満足そうに一度だけ大きく頷く。
ほんの僅かな表情の変化。安堵と懸念が入り混じったような、胸の内のもどかしさを感じさせるもの。
しかしそれも一瞬で、セトにつられて舞い上がる黒い影を見上げる。蒼穹を紅玉が捉え、眩しげに目を細めた。

「いえ、礼を言うのはこちらの方です。僕も一人では気付かなかったかもしれませんから」
「ですが……そうですね、またギルドで顔を合わせる事があれば、その時はまたよろしくお願いします」

意見交換とは往々にして、双方に得るものがある。別の観点から事件を考える事ができたのは、なにもセトだけではないのだ。
故に礼には軽い拒否の姿勢、とはいえその時が訪れれば人の好意を無碍にする事はしないだろうが。
瓦礫に座ったまま、セトの背中が見えなくなってからようやくクリスも依頼の報告に向かうべく立ち上がる。
日光を受けて伸びる影が、一瞬だけふらついた。

//こちらこそロールありがとうございました!
//またよろしくお願いしますっ
273名無しさん@おーぷん :2018/08/02(木)17:56:08 ID:g7a
一人の少女街道に立っている。彼女は青い髪が特徴的で、右眼を前髪で隠しているが左眼は綺麗な紅色。黒一色のローブから見えるのは華奢な肢体、首には不釣り合いな鋼鉄の首輪がついている。

「あの、この街でお金を稼げそうな場所は……」

そう道行く人々に尋ねるが、大半は少女の首輪に気付くと見て見ぬ振りをして去って行く。
奴隷と思われても仕方ない外見、少女は諦めたようで建物の壁に背を預けると鋼鉄の首輪にそっと触れた。
274ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/08/02(木)18:56:31 ID:HUG
>>273
「おや……」

適当に街道をぶらついていたら、世知辛そうな少女を見つけた。
周囲の人々に何かを訪ねているが、無視されているようだ。どうやら、街の人々にとってこの少女は転がっている石ころ並の扱いらしい。あの首輪は、そんな身分の証だろうか。
しかし、こうして見かけてしまった以上放っておける性分でもない。ツヴァイは、いつものように、お節介を焼く事にした。

「やあ、お困りかい?」

そうやって、気さくに声をかけるだろう。一点の嫌味もなく、ごく自然に。
275名無しさん@おーぷん :2018/08/02(木)19:12:45 ID:g7a
>>274
「えっと、私を雇って頂ける場所を探していて……」

ツヴァイに少女は微かに驚いたような表情で、奴隷を雇えるような者なら金には困っていない富豪だろう。奴隷を外に出して労働させるのはおかしな話だ。
少女を誰かに仕える奴隷だと思うかは、ツヴァイ次第。

「あ、まずは自己紹介からですよね。私はミリア。訳あって旅をしています。路銀を集めるために働き先を探しているのですが……」

簡素な自己紹介。少女はそれ以上は何も語ろうとしない。ツヴァイとの関係はどうなろうとこの一回で終わる。
故に互いに深く知る必要はないだろう、というのが今の少女の考えだった。
276ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/08/02(木)19:23:05 ID:HUG
>>275
「ミリアか。僕はツヴァイだ」

ミリア、と名乗るこの少女は働き先を探しているらしい。残念ながらツヴァイに彼女を雇って給料を払う経済的余裕はない。まあ、彼の身なりからして金を持っているようには見えないが。

「僕も各地を旅して回ってここに来たんだ、気が合うね。働き先を探しているならギルドはどうだい?登録さえすれば、依頼をこなすだけである程度稼げるよ」

軽口を交えながら、ギルドを紹介する。名前を登録して、ずらりと貼られている依頼をこなせば報酬が手に入る。冒険者がやるにはうってつけの仕事だ。
277名無しさん@おーぷん :2018/08/02(木)19:35:50 ID:g7a
>>276

「ツヴァイさん、ありがとうございます。そのギルドという所ならお金を稼げるんですね。場所を教えて頂けますか?」

場所さえ分かればあとは一人でも行ける。
少女は人と必要以上に関わることを避けているようで、場所さえ告げれば頭を下げて早速ギルドに向かうだろう。
ツヴァイがこれからギルドに用事があるなどの理由で同行するなら、拒みはしないが。
278ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/08/02(木)20:40:34 ID:HUG
>>277
「ちょうど僕もギルドに用があってね。折角だし、案内するよ」

ミリアと一緒にギルドに行く事に。さて、どうやらこの少女はあまり馴れ合いが好きではないらしい。どうしたものか、と思うが、しかし自分も無理やり人と馴れ合うタイプでもない。心を開いてくれた方が、接しやすくはあるのだが。

さて、こうしてしばらく歩けば、二人はギルドに到着するだろう。相も変わらず、たくさんの人で賑わっているようだ。喧騒が煩く感じるかもしれない。

「ここがギルドだよ。とにかく色んな種類の依頼があるから、好きなのを選んでこなせばいい」

ギルドには本当に様々な依頼が集まる。人探し、遺跡の調査、モンスターの討伐、果ては暗殺依頼まで。なんでもありだ。
この街にきてまだ日が経っていないのに、何も知らない少女に受け売りの知識を教えるツヴァイ。すっかり先輩気分である。語気が少しウキウキしているというか、嬉しそうというか。
279名無しさん@おーぷん :2018/08/02(木)20:51:50 ID:g7a
>>278

「そうですか、なら一緒に」

案内はありがたいと。ギルドの場所はわかったとはいえ、この街には本当に来たばかり。辿り着けない可能性は充分にあった。

「人が、多いですね。戦いは可能な限り避けたいので穏便に済みそうな依頼を……」

ここまで多くの人を一度に目にしたのは初めてだった。圧倒されながらも、とりあえず依頼を受けてみようと。
しかしこういった経験も初で、隣で嬉しそうにしているツヴァイにはアドバイスを求めていると取られてもおかしくない発言。
280ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/08/02(木)21:20:14 ID:HUG
>>279
「まあ、ギルドは冒険者の巣窟だからねぇ。いつも人はこれぐらいいるさ」

さて、少女は戦いを避けたいらしい。やれやれ、初めてなんだしここは先輩として手伝ってやらねば!とツヴァイは内心調子に乗りまくっていた。ミリアの方もこうしてアドバイスを求めたそうにしているわけだし(自己解釈)。

「おっ!これなら良いんじゃないかな?」

ツヴァイが指さしたのは、『薬草集め』の依頼の張り紙。指定時間までに、指定された土地で取れる薬草をありったけ集めてくる仕事だ。これならば、戦いも避けられて初心者にも向いているだろう。
この手の依頼は、報酬はそれほど高くはないが楽だ。数をこなせば生活出来るくらいには稼げる。
281名無しさん@おーぷん :2018/08/02(木)21:34:49 ID:g7a
>>280

「これがいつものこと……慣れないといけませんね」

どうも落ち着かない様子の少女。少年は確かにお節介かもしれないが、少女一人で来ていたら勝手が分からず何も出来なかったかもしれない。
なんだかんだ言ってツヴァイは今、少女の心の拠り所だと言えるだろう。

「……薬草集め。では、これを受けてみようと思います。それではここでお別れですね」

ツヴァイと二人で行けば報酬も当然折半ということになる。
初の依頼だから報酬が少なくとも文句は言わないが、多い方が良いというのはツヴァイも同意見のはず。何より少女は、路銀を貯めて旅を少しでも早く再開したかった。
282ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/08/02(木)21:46:52 ID:HUG
>>281
「じゃあ、あとは頑張って。この街も中々楽しいからね、お金が貯まるまで満喫するといいよ」

案内も終わったのでここでお別れである。あとは、ミリア次第。彼女の仕事を奪うような真似はしない。

「あっ、あと困った事があったら僕に頼ってくれて良いよ。隣にある宿に寝泊まりしてるから、困ったら尋ねるといい」

ツヴァイはミリアの事をいたく気に入ったようで。気分は頼られる先輩…といったところだろうか。実際そんな事はないのに、どこまでも調子の良い男である。ともかく、困った事があったら力になるつもりである。

「さて、僕もお仕事お仕事っと」

ツヴァイはツヴァイで、他にやる事がある。嬉しそうにしながら、後輩と別れるのであった。
283ツヴァイ◆7.x/wNXrSQ :2018/08/02(木)21:47:05 ID:HUG
//これで〆で!ありがとうございました!
284名無しさん@おーぷん :2018/08/02(木)21:48:14 ID:g7a
//ありがとうございましたー
2855smbHugP7o :2018/08/02(木)22:51:20 ID:2uH
ギルドというのは様々な人が依頼を出しに、もしくは受けに訪れるわけで、その出入りは特に日中に多い。

「よし、行くぞ……!」

そんなギルドの入口から邪魔にならない程度に離れたところ、何度も深呼吸をしている一人の少年が。
身につけているレザーアーマーや革の鞘は真新しいものだ、緊張の面持ちにもまだあどけなさが残る。
翠の瞳は真剣そのもの、ふんすっと意気込んで扉への一歩を踏み出そうとして。

「ああ、でも緊張するなぁ……」

しかし結局前には進めず小さな声で弱音、ぶんぶんと頭を振ると栗色の髪が揺れる。
これを十数分繰り返しているのだから、通りがかる人々もそろそろ奇異の目を向ける頃合い。

「いやいや大丈夫だ、俺ならいけるはず……!」

再び自分を鼓舞して扉に向かおうとするが、結局日和ってまた足を止める。
どうやら本人に目立っている自覚はないらしいが、さてさて彼がギルドの中に入れるのはいつになる事か。
286キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)01:01:10 ID:DO8
>>285
緊張に固まりきった少年の隣を、実に慣れた足取りで歩く白衣の優男。
丸まった背中はまるで自宅に帰るような、緊張の欠片も感じられない姿勢である
とても戦士にも魔術師にも見えないが然し、ギルドに居る人々も彼を異物とは思っていないようで
つまりこれでもギルドの常連。それなりに依頼をこなしているらしく。

「何も、怖い事などありませんよ。
 貴方が一人前の戦士であれば。」

ギルドの扉を開けながら、そんな言葉を少年に向けて
2875smbHugP7o :2018/08/03(金)01:25:26 ID:JRK
>>286
隣を過ぎた白衣の男だけでなく、次々と横を通り抜けていく全ての人に向かう、どこか羨望の混ざった眼差し。
ところが振り返りざまに声をかけられれば、びくうっと肩を跳ね上げてそちらを見やる。

「いっいや!えと、その、こ、怖がってなんかにゃいっス!」

泡を食って手のひらを突き出し、必死になってキリコの言葉を否定するが、噛んでしまった事に思わず赤面。
更に大声であったものだから、周囲の注目も集まる。さすがに自分が目立っている事に気がついたのだろう。
恥ずかしさと緊張に耐えかねたか、理由はともかく彼はついにギルドの敷居を跨いだのであった。
その際同じ側の手と足が前に出ていたのだが、そんな事はきっと些細な問題。

「おお……!」

さてようやくギルドの屋根の下、少しは心持ちが楽になったのか目を輝かせてあちこちをきょろきょろ。
しかしこういった場所は不慣れなようで、やはり入口の側で立ち尽くしたまま。
288キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)02:04:21 ID:DO8
>>287
自分にもこんな時期があったような、無かったような。なかった気がする。
お節介は終わりで良いだろう。これで彼も――――動かない。
ここから先は自分とは関係ない、が。だがしかし。

「当然戦闘の心得はあると思われますので
 よろしければ、共に依頼を受けませんか?」

そうして彼が示したのは近隣の森の探索依頼。
―――危険度を示す数字は、初心者にはあまりに高いのだが。
魔物の討伐以上の数字が付けられたそれは、つまり何が起きるかわからないと示していた。
もともとアンシャント近郊の森は、身近にありながら詳細不明の場所として有名であった。
この依頼はその研究の一環と言うらしい。
そう、この男、初心者の彼を思い切り利用するつもりなのであった。

//すいません気づくのに遅れました……
2895smbHugP7o :2018/08/03(金)02:26:46 ID:JRK
>>288
右も左も分からない中に飛びこんだはいいものの、そこからどうすればいいかも見当がつかず。
とにかく自分から動かなければ、とようやく決意に大きく息を吐いたところで、不意にかけられた覚えのある声。
突然の事にまた驚きの呟きを漏らしてそちらを向く。ずっと見られていたのだろうかと、今度は耳まで真っ赤に染まった。
が、示された依頼を読めば、ぱっと表情は明るいものに。

「おおっすげえ!冒険者っぽい依頼っスね!」

目の輝きはギルドの中に立ち入った時以上か、その勢いのまま頷きかねない勢い。
こういった稼業に関しては見るからにド素人な少年の事だ、おそらくその難易度がどれだけのものなのか理解していないのだろう。
しかし何を思いとどまったか、僅かに眉根を寄せて不安の色を覗かせた。

「でも自分、その……実戦は初めてなんっスけど……それでも大丈夫っスかね?」

浮かれているようでもあらゆる面で初心者だという自覚はあるらしく、本当に自分と一緒でいいのかと。
全く戦えない、というわけでもないようだが経験はほとんどないに等しいのだろう。
装備一式も傷のない真新しいものだ、鍛えてはいるのか体つきはそれなりにしっかりとしているが。

//大丈夫ですよ!ただそろそろ時間的に厳しいので、凍結をお願いしてもよろしいでしょうか…!
290キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)03:31:53 ID:DO8
>>289

「ええ。的が二つにはなりますから、一人よりは遥かに安全です。」

紛れもない本音、それを真っ直ぐな笑みと共に。
弾避けにつれていくともとられかねない台詞だが、それをまあ素直に。
一応二つ、という事は互いに条件は同じ、一方的に利用するつもりは無いらしいが。

「では、さっそく向かいましょうか。
 短距離ですが、旅の準備はできていますか?」

準備を済ませ、了承したならば旅は始まる。
森への距離は大したものではなく、舗装された道を通るだけだ。そこまでは安全に違いない。

//すいませんレス吸われていたようです……重ね重ね申し訳ない
//凍結了解です、都合のいい時に返してください!
2915smbHugP7o :2018/08/03(金)18:00:42 ID:JRK
>>290
「なるほど!的が二つ……ってうえぇ!?」
「は、はい!よろしくお願いしますっス!」

ふむふむと素直に納得しそうになるが、言葉の意味を理解すると目を見開いて大袈裟に驚く。
とはいえ同行の持ち込みが少年にとって、そう悪い話でないのは変わりがないわけで。
革の鞘をぎゅっと強く握りしめ、肩を強張らせたまま勢いよく頭を下げるのであった。
出発に関しては少年は今すぐでも問題はないようだ。互いの準備が整った事を確認したならば、そのまま森へと出発するだろう。

さて、森への道のりはそう危険の伴うものではない。
少年はというと何が珍しいのか、街を出てからあちらこちらに視線を飛ばしては、感慨深そうに吐息を漏らす。
そんな道中の半ば、ふと少年が男の方に顔を向けて投げかけたのは、いかにも初心者らしい質問であった。

「そういえば、探索ってどういう事をするんっスかね?」

//お待たせ致しました!
292キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)20:02:27 ID:WiQ
>>291

「今回の目的は、死霊の出所の探索ですね。
まあ、つまり――――――」

この森は死霊が出ることは広く知られている。本来、整備された道にまで出てくることは無かったのだが、死霊の襲撃が報告されている。
今回はその原因調査と言うわけで、つまり

「まあ、あれが多い方へ行けば良いと言う話です。」

道も途切れ始め、日も落ちて薄暗くなった頃。
透ける黒の体、ローブの様なぼろ布の下、苦難を張り付けた顔面。
この上なく分かりやすい死の魔物、それが複数森の奥に佇んでいた

//遅くなりました……
//安定してレスを返せるのが21時以降になります
2935smbHugP7o :2018/08/03(金)20:32:48 ID:JRK
>>292
「しりょっ……!?それってアレっスよね!?お、おばっ……」

最後まで言うのも憚られたか、口をぱくぱくさせて顔面もみるみるうちに蒼白に。
思ってもいなかった(事前情報にはしっかり明示されていたのだが)戦闘の予感に、覚悟が追いつかずたまらず及び腰。
引き攣った顔で男の示した方を見れば、ひっと情けない声が小さく漏れる。
しかしそれが悲鳴になる事はなく、強く唇を噛んでそれ以上を無理矢理制した。

「いやいやいや無理!無理っスよ!だだだだって、ああいうのって切れないし倒せないんっスよね!?」

少年にとっての死霊は幽霊のようなイメージらしい。先程までの浮かれ具合はどこへ行ったのか、今ではすっかり怖気づいている。
物理的干渉のできない相手にはさすがに立ち向かえないと、既に後退っている始末。
とはいえ男が前進するならば彼もその背を追うだろう。手の甲に筋が浮き出る程に強く、収めたままの柄を握りながら。
294キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)21:06:35 ID:WiQ
>>293

「いやいや、受肉した死霊の方が厄介ですよ?
あれは結局ただの魔力の塊に等しいですから」

指先を亡霊向ける。ボッと軽い音を立てて、火の玉が亡霊へ向かう。
魔術師であれば使えない者は居ないとも言えるような初歩の魔法。それがぼろ布に火をつけた。

「魔力で干渉できますし、それ以外にも対処は幾らでも。
ただの剣でも聖水を振り撒けば彼らを切れますから。」

即ちそれらの対処法を持たないのであれば、少年はただの的となるわけだが。果たして。

「では、行きましょうか。」

しかしそんなわけはないと言わんばかりに死霊の群れへと突き進む。
少年が追随し、彼らの策敵範囲に入れば実態のない鉤爪を振るうだろう。
呪いの塊たるそれに触れれば、物理的な痛みはなくとも精神に、魂に直接傷が刻まれる。
先程の手段があれば対処は可能だが、どうなるか
2955smbHugP7o :2018/08/03(金)21:27:43 ID:JRK
>>294
「そういうものなんっスかね……?だったらまあ……あっちょっ、置いていかないでくださいっス!」

どうやら魔術の類には疎いらしく、男の解説に訝しげに首を傾げた。
しかし全く対抗手段がないわけでもないようで、死霊の群れへと突っ込んでいく男の後を慌てて追う。
きっとここから一人で帰るのは心細い、なんて情けない理由なんかではないはず。
まごつきながらも一気に握りしめていた剣を抜く。銀色に統一された、シンプルな意匠の片手剣だ。

「うわっ!くそっ、やってやる……!」

己の得物なら大丈夫なはず。そう頭では分かっていても、いざ凶器を前にして平常心でいられるほど少年は場数を踏んではいない。
わざわざ声に出しての自身への激励、鉤爪ごと切り裂くべくほぼ力任せに銀剣で一閃。
どこぞの精霊の加護を受けたとされる代物だ、薄く魔力を纏ったそれは霊体への干渉も可能とする。
296キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)21:41:39 ID:WiQ
>>295
言ってしまえばそれらは雑兵だ。力任せの剣閃で十二分、爪を弾いて切り裂くに足る。
男は魔法をばら蒔きながら、奥へ奥へと進んでいく。ここらの死霊に執着はないらしい。
あくまで調査であり、討伐ではない。効率を考えれば雑魚は放置しても問題ないと言うことか。

少年もまた進むのであれば、死霊は数を増していくがたいした驚異には成らないだろう。
一つ一つの動きは鈍く、対処は容易のはず。背後に気を付けていさえすれば、傷が付くこともないだろう。

だが進むほどに森に黒い霧―――障気が充満していく。
死霊達の吐息、薄く塗り広げられた呪いの幕。そこに居続ければ幻覚を見る、狂気を生む、良いことは何一つない。

「……気を付け…………ぐれ……ないように……」

男の姿は何時のまにやら霧に隠れて、声も断片しか聞こえない。
妙だ。その声は決して小さくなく、近くにいることは確かであると感じられるのに断片しか通らない。
何かに邪魔をされているとしか思えない現象。障気にそんな力はないと言うのが通説、今なにかイレギュラーな事態が起きている事に感づけるだろうか。
2975smbHugP7o :2018/08/03(金)22:05:41 ID:JRK
>>296
一度刃が通ってしまえば、ある程度の恐怖感というのは払拭できるものだ。
実戦は初めて、との言ではあるがそこそこ鍛錬は積んでいるようで、迫る死霊だけを何度か斬りつけ、どうにかこうにか後を追う。
まだ慣れないのか「うひぃ」だとか「ひええ」だとか、なんとも頼りない声が時折聞こえてはくるが、どうにか手傷は受けてはいない。
しかしそれも、視界が十全な状態ならではの話だ。

「な、ななななんスかこれ!?」

男を呼ぼうと息を大きく吸おうとして、寸前踏みとどまる。
霊の生み出す死の空気を、これはまずいと本能が摂取するのを拒んだのだ。死霊術には疎くとも、動物的な直感は死の恐怖に聡い。
瘴気の性質には気づかないまでも、周りが見えないという状況がよくないという事は少年にも理解ができた。

「えっと……そうだ、霧ならこれで!」

なにか打開策でもあるのだろうか、構えていた銀剣をおもむろに頭上へと掲げる。

「――Brise!」

叫んだ言葉は風を喚び起こす言霊。銀剣を媒介とした旋風が、悪しき霧を払うべく巻き起こる。
とはいえ魔術師らしくない装いの通り、彼は本職の魔術師ではない。そう広範囲の規模ではないのだが。
298キリコ◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)22:43:02 ID:WiQ
>>297
晴れていく視界。風は霧を吹き飛ばし、死霊を祓い、そしてその威力と裏腹に周囲の木々をも吹き飛ばす。
閃光。資料も何もかもが吹き飛んだ森の中心から。晴れた視界を次は光が白く塗りつぶす。
視界が再度戻った時―――そこは

「――――――みぃつけた」

煉瓦を積み上げた壁に、豪勢な装飾が朽ち果てて。石造りの床に敷かれた赤と金の絨毯はまた泥にまみれている。
薄暗い中でも、ここが何かはわかるだろう。朽ち果てた、王宮の一室。
そこに少女が一人。青白い、まるで死体のような肌の色。欠片も存在しない血の毛。
色素の抜けきった銀髪も相まって、まさに死体のよう、だけど。
この場に相応しいような、気品香る顔付きと立ち姿。退廃的で、神秘的な、人形のような女の子であった。

周囲には男はいない。幻覚の感触もない。
周囲の物体からは魔力の感触もなく、触れて感じる冷たさはあまりにも現実
的。
幻覚ではなく、場所を移された。転移魔術を受けたか。

少女がゆっくりと少年に近づいていく。敵意は感じられないが、しかし
2995smbHugP7o :2018/08/03(金)23:02:34 ID:JRK
>>298
「ぐうぅ……力使いすぎたぁ……!」

元々魔術の素養がないところを、祝福された剣の力を借りて無理矢理魔法を行使したのだ。体力はともかく、魔力は最早空っぽと言ってもいい。
吹き荒んだ風に目を細めながら、さすがに後先考えなしが過ぎたと今更ながらに後悔の言葉。
が、霧が晴れた先の光景に、そんな事はすぐ頭から消えてしまっていた。

「……はあ?」

銀剣を高く掲げたまま、目をぱちくりとさせて気の抜けた声。
それもそうだろう、ついさっきまで森にいたはずが、いつの間にやら全く知らない場所に立っていたのだから。
頬を抓る。痛みが走った。壁を撫でる。ひんやり冷たい。
現実であると認めるしかなく呆然と立ち尽くし、ふと少しずつ自身に歩み寄る少女を見た。

「いや、見つけたって言われても、俺は君の事知らないんだけど……」
「えっと、君、ここがどこか知ってるのか?」

異常な状況にこそあるが、少女に敵意がない事はどうにか理解できたらしい。
それでも畏れが拭えず少しずつ後退りしているのは、この場の雰囲気だけでなく少女の浮世離れした姿のせいでもあるのだろう。
構えは解いたが剣はまだ抜き身のまま、瞳の奥の怯えをひた隠しにして会話を試みた。
300???◆2NC8z9kx8k :2018/08/03(金)23:18:34 ID:DO8
>>299

「知らない場所。」

きっと彼女が元凶に間違いない。この場において、少女以外に意思ある存在はないのだから。
なのに、知らないなんて拍子抜けする返し。

一歩、一歩、近づいていく。手を伸ばす、少年の頬に触れかけて、手が止まる。
襤褸切れ同然のドレス、その開いた胸の中心。少女のそこに、鎖が埋まっていた。
それは壁に伸びて、少女をここに縛り付けている。

「……邪魔なの。動けないの。ここから出られないの。
 貴方は、これを切れる人。私を助けてくれる人、でしょ?」

小さく微笑むその顔は、どれだけ白くたって女の子の笑顔に違いなかった。
この言葉で、彼女の目的は理解できるだろうか。
ここに縛られた謎の少女は、彼に助けを求めている。

「あの白い人は駄目。きっと私をバラバラにしちゃう。解剖して、骨の中身まで覗かれちゃうの。
 あの日のあの子も駄目だったわ。怯えてどこかに行っちゃった。
 素敵な騎士様を呼んだ事もあったの。でも、危ないからって私を斬ろうとするの。」

「貴方はきっと大丈夫。優しい色が見えるの。助けてくれる人、でしょ?」

もう一度、少女は微笑みを浮かべる。
魔術に詳しくない少年にも、彼女は確実に死霊と同類の存在であるのは理解できるだろう。
死体のような体、そもそも存在している場所。そして胸の鎖は、実体だが強い呪いを帯びているものだ。
尤も、その呪いは既に腐っているとでもいうべきか、容易に切断できるものである。
今だ何も、少女についてわからない事ばかり。少年は、どうするか。
3015smbHugP7o :2018/08/03(金)23:41:49 ID:JRK
>>300
「ええ?それは困るなぁ。あの人ともはぐれちゃったし……ううん」

しかし少年にとって、少女は得体の知れない存在ではあるが、元凶であるという認識はない。
知識が足らない故になんらかの魔術で招かれた、という考えが浮かばないのだ。
ただ不思議な力で転移させられたのだろう、程度のないに等しい見解しか持ち合わせていない。
だから後退こそすれど、少女に容易く追いつかれる速度に留まっていた。伸ばした手は少年には結局届かなかったのだけれど。

「っ……!た……助けてって、言われても……!」

立ち止まった少女に不思議そうに首を傾げるが、思春期めいて意図的に目を逸らしていた胸元に気付いて絶句。
胸から壁へと翠の視線が辿る。見ているだけでもにしひしと伝わってくる、濃い呪いの匂いに身が竦んだ。
おそらく続く少女の言葉は半分も耳に入っていない。助けるか否か、その天秤の行く末を見届けるのに必死だからだ。
少なくとも明らかに生者ではない少女だがしかし、だからと言って助けを求められて無視できるほど少年は非情になりきれない。
けれどそれで取り返しのつかない事になったなら。冷や汗が伝い、栗色の髪が迷いに揺れた。

「…………分かった」

決断の言葉を紡ぐ唇が重い。けれど長い沈黙の後、彼はついにそれを決断した。
ゆっくりとした足取りで少女と壁を繋ぐ鎖の元へ。微笑む少女に向けて、無理に作った笑みを返す。
いつもより重たく感じる銀剣を掲げ、大きく息を吸ってから呪われた鎖を断つべく腕を振り下ろした。
302???◆2NC8z9kx8k :2018/08/04(土)00:05:51 ID:wtf
>>301
断ち切れた鎖は霧散し、呪いは塵となって消え失せる。
少女はしばし動かなかった。恐る恐る、小さな足取りで少年の方へ振り返る。
手を伸ばす。触れられなかったはずの手が、少年の頬に触れる。氷が触れたような温度。
温もりはない癖に、しかし少女の顔は――――――

「――――――信じてたっ!」

ぎゅっ、と。大きく踏み込んで、頬の手を背中に回して抱きしめる。
氷のような温度でも、人の柔らかさは保っていた。重なる胸も、触れる指も、ちゃんと人の感触がする。

「やっぱり貴方が王子様だった……
 私、これでいろんな場所を歩けるのね!いろんなものが見れるのね!」

少年の悩みも知らず、ただただ少女は純粋に喜んでいた。そこに邪気は感じられない。
たとえ少女の正体がなんであったとして、そこに悪意がないのだけは確かで。

抱きしめる感触が曖昧になり始める。部屋の奥から、またあの光が走る。


「……今日はおしまい、みたい。
 またね。多分、きっと、また会えると思うな。」


耳元でそっと呟いて、それが最後。白く染まる視界が晴れれば、何の変哲もない森へと帰る。
そこにはあの、白衣の男も当然居て。

「……よかった!無事ですね!
 申し訳ない、想定外の事態でした……」

周囲に死霊は居ない。そもそも彼も死霊のいない場所まで戻ってきたらしい。
火も沈んでいる、今日の探索は恐らくここまで。

「……何があったんですか?」

最後に男は、質問を一つ。答えるかどうかは彼次第であるが。
3035smbHugP7o :2018/08/04(土)00:33:18 ID:edR
>>302
消えた鎖を見届けて、動けないのは少年も同じ。
彼女が実は悪霊だったら、それとももっと恐ろしい何かだったら、なんて恐れに捕らわれている時間は少女よりも少しだけ長く。
伸びてくる手を払おうとも避けようともせず、ただ喉を鳴らして受け入れる。
ああ、やっぱり見た目通り冷たいとぼんやり思うのもほんの束の間。

「うわわっ!?」
「い、いやっ、俺は王子様なんかじゃなくて、ただの平民……っていうか近い!近いって!」

不意に抱きしめられ、素っ頓狂な声を上げながらも、華奢な少女の身体を壊れてしまわぬよう優しく受け止める。
そのあまりの喜びようにはこちらも思わず嬉しくなるというもの、無意識に少年も背中に手を回す。
しかしおおよそ人とは思えない冷たさとはいえ相手は可愛らしい少女なのだ。
触れる胸、細く白い指にようやくその事実を認識して赤面。こんな状況でも、人間というのは恥を覚えるらしい。
が、徐々に曖昧になる少女の感覚。はっとしてその姿を目に焼き付けようとするが、二度目の光にそれも叶わず耐えかねて目を瞑る。

「まっ……君も一緒に……!」
「…………あれ?」

最後に聞こえた別れの言葉に、知らず少女を抱える腕に力がこもる。
だがその甲斐もなく、光が収まって瞼を開いた先に、腕に抱えていたはずの少女の姿はない。
すっかり日の落ちた森を忙しなく見回す。元の場所に戻ってきて男とも合流できたというのに、胸にしこりは残ったまま。
それでも今は無事を喜ぶべきなのだろう、とにもかくにも互いに怪我なく帰る事はできるのだ。

「いや、なんか建物?みたいなところにいたんっスけど、そこに女の子が捕まってて……」

男の質問にはあっさりと全て白状。聞かれれば、起こった事全てをぺらぺらと喋ることだろう。
ただ一つ、再会を約束する言葉だけは隠し通すだろうが。
304???◆2NC8z9kx8k :2018/08/04(土)00:47:44 ID:wtf
>>303
少年が語る内容を、男は興味深く聞いていた。
深く何度も頷き、目を輝かせながら。

「今までは仮説でしたが、やはり
 この森に死霊が溢れているのは理由があるようだ!」

大手を広げて、まるで演説をするように語りだす。
死霊の発生には得てして逸話が付随する。例えばここでキャラバンの一団が全滅したとか
滅んだ村があったとか。だがここには何もない。森の名前すらついていない。
そして、ここで一度戦闘した異常な、死霊に取りつかれた魔獣の死体について。

「……えー、失礼。少々語り過ぎましたね。
 ですが、近いうちに大規模な捜索が行われるかもしれませんねぇ。」

//今日はここまででしょうか。お疲れ様です!
3055smbHugP7o :2018/08/04(土)01:11:44 ID:edR
>>304
語り終えて一息、安心できる状況になってようやく疲れを自覚したのだろう。
剣を収めて男の反応を窺い、その興奮具合にきょとんとするのであった。

「へっ?はぁ……そうなんっスかぁ……」

夜道を帰りながら口は半開き、生返事で何度か相槌。
聞く気がないわけではなく、元々死霊やそういった分野の知識に乏しいために理解が追いついていないだけなのだが。
が、最後の言葉はすんなり頭に入ったようで、ううんと唸る。
実際に異常事態が起こったのを目の当たりにしたのだ、この森には調べるだけの何かがあるというのは少年でも容易に想像がついた。

「そういうのもギルドで取り仕切るんっスよね。やっぱり腕っこきの人が参加するんだろうなぁ」
「……俺でも参加できるのかな」

最後だけ、男に聞こえないような小さい呟き。少しだけ目を伏せて、流れる道路を眺める。
初めての実戦だったのだ、得るものは多い。けれどそれが全て良い感情に繋がるとは限らない。
もどかしさのようなわだかまりを胸に沈めて、ぱっと男の前に出て向き直った。

「今日はありがとうございました!おかげでいろいろ勉強になったっス!」
「自分、グラナ・イースデイルって言います。この仕事は分からない事だらけなんで、またいろいろ教えてほしいっス!」

後ろ向きに歩きながら頭を下げる。依頼を受ける前の、勢いだけはある少年の姿がそこにはあった。
その直後、足を突っかけて尻もちをつくあたり、どうにも締まらないのであった。

//そうですねー、お疲れ様でした!
3065smbHugP7o :2018/08/04(土)01:12:28 ID:edR
【名前】グラナ・イースデイル
【性別】男
【職業・種族】冒険者見習い/人間
【容姿】
栗色の髪に翠の瞳。16歳。身長は年相応。
顔立ちにあどけなさは残るが、よく鍛えている体つき。
武装の際はレザーアーマーのような軽装を好む。

【技能・魔術】
『辻風塵断(ラファール)』
風の精霊の加護を受けたとされる、銀色で統一されたシンプルな意匠の片手剣。
常時薄く魔力を纏っているだけでなく、持っているだけで風魔法を補助する効果がある。
本人に魔術の素養がほとんどないため、行使できるのはせいぜい初級魔法程度。

【概要】
アンシャントで生まれ育った、冒険稼業に憧れるごく普通の少年。
肉体は成長途中、精神は未熟、剣技は修行の身、冒険者としては半人前。
いつか立派な冒険者になるために、たまに失敗しながらも日々奮闘中。
307グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/05(日)20:37:13 ID:KBY
「ぐぬぬぬぬ…………」

ギルドの片隅のテーブル席で一人、本とにらめっこしている少年の姿。
この近辺の魔物についての情報がまとめられているそれを、ずずいっとページに顔を寄せて一生懸命に読み耽っている。
勉強熱心のようであるが、どうやらこういった作業はあまり得意ではないらしく。
時折首をぐるんぐるん捻ったり、うんうん唸ったりとなかなか捗ってはいない様子。
いい加減限界が近づいてきたか、今にも頭から煙が出てもおかしくないくらいの苦戦ぶりである。
308外套纏った大男 :2018/08/05(日)21:24:40 ID:nxn
>>307
苦戦している少年の肩に、突然何かが乗ってくるような感覚が襲うだろう。なんてことはない、腕輪が見えるただの手だが。

「さっきから見てたけどよお前、少しは休憩したらどうだ?」

ほれ、と机に置かれた透明な液体に満たされたコップを置くのはフルフェイスヘルムと外套を身に付けた大男だ。背中には巨大な剣まで見えている。
どうやら苦戦している様子を眺めていたらしく、ずいぶん長く本とにらめっこしている少年を心配して声かけしたらしい。

「それで何を調べてたんだ? ゴブリンか? スライムか?」

さてそんな大男。少年の肩越しに本の中身を覗きながらこう訊ねるが、正直な話怯えられてもおかしくない人物ではあるわけで。
309グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/05(日)21:50:13 ID:KBY
>>308
「どわぁっ!?なっななな、なんっスか!?」

集中している最中にいきなり肩を叩かれて、驚きのあまり本を取り落としそうになる少年。
わたわたとお手玉状態になりながらもどうにかキャッチ、文句の一つでも言ってやろうと口を開きかけたところで差し入れられたコップに気がついた。

「あ、ど、ドーモっス……」
「いやぁ、なかなか止めどころが見つからなくって……」

ぎこちなく礼を述べて、コップに満たされた液体を一気に喉に流しこむ。
自分よりも体格よし、風格十分、経験ありそうの三拍子が揃った相手に緊張を隠せていない。
栗色の頭を掻いて、言い訳がましく苦笑した。

「いやいや、これは調べ物じゃなくってべんきょーっス!」
「まずは敵の事を知るのが一番っスからね!」

へへんっとばかりに声高らか。レザーアーマーや革の鞘は傷が少なく、まだ真新しいものである事を窺わせる。
顔にもあどけなさが残る少年、意気込みようからして張り切り初心者感がありありである。
310名無しさん@おーぷん :2018/08/05(日)22:01:36 ID:Bhm
おまえいい加減にマウンティングばっかのロールやめたほうがいいぞ、寒いから
311外套纏った大男 :2018/08/05(日)22:05:58 ID:nxn
>>309
反応を見て兜の下にあってもわかるほどの笑いを聞かせる大男。近くの人を見れば「また驚かしてるよ」とも言いたげな様子が見える見える。

「あんま固くなられてもやりにくいんだがなあ。それはそれとして一ページめくるごとに水を飲むくらいはした方が良いぞ?」

兜にある視界のためであろうスリットから金色の光を見せる大男は、やめどきがわからないならとざっくりとした助言。
まあよくやるけどな、と大男も自らのことを思い出したのかハハハと大笑い。

「ほう、それは良い心掛けじゃねえか! 見たとこなりたてじゃねえか?」

頭のてっぺんからひとまずは足先まで覗くように見下ろす大男、それだけでまだ初心者と見るのは油断にも等しいものなのだが。
または大男の外套などにやや汚れが見えるせいかもしれない。傷が少ないということは余程の回避能力持ちか初心者、という風潮だろうか。

「そんじゃ今はどの魔物まで勉強出来たんだ? 早速行くか?」

よっこらせ、と何故か隣に椅子を引いて腰掛けると少年に向けてまた質問と提案。あまりにも突然すぎるものだが果たして。
312グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/05(日)22:23:37 ID:KBY
>>311
「なるほど、ページごとに……!さすが先輩、参考になるっス!」

水を一杯飲んで少しは落ち着いたのだろう、話し方は幾分か砕けたものに。
とはいえ大柄で素顔も晒していない相手だ、未だ肩には力が入ったままなのだが。
褒められればへにゃっとだらしない笑み、すぐに軽く頬を叩いて引き締めた。

「そうなんっスよ。自分、最近やっとひとり立ちが許されたんで、ここでお世話になってるっス!」
「……って言っても、まだまだ分からない事ばかりなんっスけどね」

自分の事を語っているだけなのに拳には力が入り、翠の目はきらきらと。余程ギルドに身を置いているのが嬉しいのだろうか。
しかし自分が新参者であるのも事実、少しだけ恥ずかしそうに笑った。

「うえぇっ!?や、ちょっと勘弁してくださいっスよぉ!」
「正直自分、こういうの苦手なんで……その、なかなか頭に入らないっていうか……」

いきなりの抜き打ちテストの危機にわたわたと手のひらを突き出して振り、必死に制止。
先程までの苦戦ぶりからしてバレバレかもしれないのだが、目を伏せて勉強苦手をもごもごと打ち明けるのであった。
313外套纏った大男 :2018/08/05(日)22:32:55 ID:nxn
>>312
「褒めんな褒めんな! 気が良くなって飯食わせたくなるだろうが」

依然として変わらない大男、もし気になるというなら兜に触れてみるのも難しくないことは雰囲気で伝わるだろう。
というのも、顔を隠したい相手がわざわざ顔を晒す必要のある食事などに誘うことは少ないからであるが。

「自立してんのか、立派なもんだな! 最初のうちはどうしてもそんなもんだ、俺にだって新参の時代はあったんだからな!」

そりゃあるだろう、と言われそうなことを口に出しつつも激励のつもりなのか背中をバシッ、と叩こうとする大男。
しかしながら加減が難しいのか、勢い次第では少年には結構痛いことになるかもしれないので避けるのもアリだ。

「なーに縮こまってんだ、タマついてんのか? 頭に入らないってんなら尚更実戦のが良いかもしれねえだろ?」
「……ってまあ無理にとは言わねえがな、自信がねえならまず一種類に集中した方が良いんじゃねえか?」

大男の言葉を訳すとだ、考えるの苦手なら実戦で掴めの理論。それはなんとも危ない橋である。とはいえだ、それを自信不足と捉えた様子。
そうなればまずは複数よりも、と提案してみる大男。目を伏せた少年には見えるかもしれない。
大男の椅子の下にどう見ても巻かれた依頼の紙であろうものが落ちていることに。本当に行く気だったことが伝わる。
314グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/05(日)22:51:10 ID:KBY
>>313
「飯っスか!?さ、さすがにそれはちょっと申し訳ないっつうか……」
「へえ、先輩にもやっぱりそういう時期があるんっスねぇ……あだぁっ!?」

変なところで純粋かつ謙虚な少年、食事の誘いを本気で受け取ってまごまご。
誰にでも初心の頃はあるものだ、それが大男には過去のもので、少年は今現在そうであるというだけの話。
そんな当たり前を今更ながら噛み締めて、なるほどと頷こうとして大男の励ましを背中で受ける。
少年としても気合いを入れてもらうつもりだったのだが、思っていた以上の強さに情けない声を上げた。

「つつつついてます!ついてますから!そういうの、大きな声で言わないでくださいっスよぉ!」
「じ、実戦っスかぁ……なんつうか、どういうのを相手に選べばいいかイマイチ分からないんっスよねぇ」

顔を真っ赤にしてタマなしを全力で否定。冒険者稼業だけでなく、そっちもなかなか初心なようである。
実戦にはどうにも踏ん切りがつかないらしく、ううむと首を捻る。
実際いきなり実力以上を相手取っても無謀なだけであり、自分の技量も把握しきれていない状態で標的を選ぶのは度胸がいる。
やっぱりなにか依頼を受けてみるか、そんな考えが頭を過ぎったところでふと床に落ちていたものを思い出した。

「そういや先輩、下になんか落ちてるっスけど先輩のじゃないっスか?」
315外套纏った大男 :2018/08/05(日)23:06:50 ID:nxn
>>314
「何が申し訳ねえんだ? まあ気が向いたら遠慮なく言えよ、って悪い悪い強すぎたな!」

少年の様子を見て、とりあえず保留とさせたようだ。大男は結構勝手だ。
思いの外痛そうにした少年の背中を今度は擦るくらいには。どうも加減に慣れてないことがわかる。

「ハハハ! このままじゃ美人が来ただけで石像になりそうだな! あー……魔法使いが一人でゴブリン相手にしても無謀だしな」
「ん? ああ落としちまってたか、ちょうど受けた依頼があったんだよ」

初心な様子の少年を見てからかいのような下世話な台詞を放つと少年の不安には同調したご様子。ならば先程までのことはなんだったのかと思ってもおかしくない。
さて少年の指摘には「ん?」と覗くと思い出したかのように拾い上げる。
少年からすれば気になるかもしれないその依頼書をあっさりと広げた大男。その内容は。
『ゴブリンが増えて困っているので可能な範囲での討伐を任せる』というものだった。

「そういやお前……名前なんだ? 俺はガルバードっつーんだけどよ、どうやって戦うんだ?」

拍子抜けしそうな依頼内容を横にしてガルバードと名乗る大男は少年へと質問した。
316グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/05(日)23:24:21 ID:KBY
>>315
大男のいらぬ詮索に赤面させたまま口をぱくぱく。この調子では存外的外れでもないようだ。

「そーなんっスよねぇ。それもあってこいつを読んでるんっスけど、どれが自分でも倒せそうなのか……」
「どれどれ、失礼するっス……おおー、冒険者っぽい……!」

ペラペラっと軽くページを捲ってため息。どうにも経験不足が否めない自分に呆れ半分、苛立ち半分といったところか。
男が拾い上げた依頼書にはかなり興味津々のようで、拒否されなければ横から内容を覗きこもうと。
読ませてもらえたならば大袈裟に頷いて感心しきりだろう、全くの他人事と考えているようだ。

「わわ、失礼したっス!自分、グラナ・イースデイルっス、ガルバード先輩!」
「自分の相棒はこいつっス。まだまだ修行中だし、魔法とかも使えないんっスけど……」

先に名乗らせてしまった事に恐縮しいしい、元気いっぱいな自己紹介。
先輩呼びはどうやら少年の中で定着してしまったようで。
戦法を聞かれればぽんぽんと軽く叩いて腰に下げた革の鞘を示す。ちょうど片手剣の収められているだろう大きさだ。
317外套纏った大男 :2018/08/05(日)23:35:15 ID:nxn
>>316
「気になるならあそこも見てみるといいぞ? 採取の依頼にこういう討伐系、あとは変なのもあるからな!」
「まあ俺は採取が苦手だからこういう依頼受けるんだが、討伐が難しそうならまずそっちから受けるのも手だぞ?」

依頼内容は特に拒否することもなく読ませながら大男はギルド内にある依頼書が貼り出されている一角を示す。
迷っていていつか金が尽きるよりかは、と大男は考えられたらしい。本を読むにしろどこに向かうにしろ最低限必要な金銭はあるためだろう。

「グラナっつーのか、よろしくな! あと先輩呼びは痒くなるからいつか外してくれよな?」
「得物は剣ってところか、そうなると狩るならスライムとかよりはゴブリン、ウルフとかが良いかもしれねえなあ。勿論はぐれを狙うのが前提だけどよ」

ガルバードなりに気を利かせたつもりか、グラナに向かって大きな手を差し出した。握手のつもりなので重ねれば……やっぱり強めの握力で握ってくる。
鞘を見てふむ、とある程度の戦い方を予想すると向いていそうな魔物を出す。はぐれ指定なのは群れでは危ないからだろう。実際ベテランでも群れに一人で向かうのは危険とされることがあるのだ。

「…………そうだグラナ、この依頼に付き合うか? 率直に言っていいぞ。俺も無理して誘って怪我させたくはねえからな」

ちょうどいいとばかりに依頼の紙を弾いて誘った。
318グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/05(日)23:53:38 ID:KBY
>>317
「ふむふむ、採取系っスか……そういうのもあるんっスね!」

ギルド=討伐依頼のイメージが強かったのだろう、目から鱗とばかりにパチンと両手を打った。

「いやいや、先輩は先輩っスから!」
「えーっと……じゃあ狙うなら獣類っスかね?で、はぐれと……よっし、じゃあそれで今度狙ってみるっス!」

それを外すなんてとんでもない!なんて勢いでぶんぶんと首を振る。先輩呼びでなくなるのはまだまだ先になりそうだ。
ガルバードのアドバイスに熱心にメモ、新品の本に容赦なく書きこんでぐっと意気込み。
差し出された手を握りしめ、やっぱり力負けて「いてえっ」と悲鳴に近い声を上げた。

「えっ……自分も?いいんっスか!?」
「……あー、でもその、先輩の邪魔になったりとかしないっスかね……?」

誘いには身を乗り出して食いついた。未知との戦闘への不安より憧れや期待が上回って、声が上擦る。
しかしすぐに口ごもって、本当に自分も同行していいのかと。
自分の未熟さ故に負担をかけてしまわないか心配なのだろう、のろのろと乗り出した姿勢が引っ込んだ。
319ガルバード :2018/08/06(月)00:03:31 ID:osA
>>318
よく冒険者の仕事を討伐系のみだと思う初心者は珍しくない。かくいうガルバードもその一人だった。

「その意気だ」と意気込むグラナを更に後押しするように溌剌とした声を向けるガルバード、あと残した助言というと。

「これが大事だけどな、まだ無理だって思ったら焦らず逃げろ、命がありゃ再挑戦はできるんだ、良いな?」

例えはぐれ相手だとしても、それは変わらない。話した相手が大怪我して帰ってくるのも忍びないのでガルバードはそう告げるのだ。

「ハハハ! 邪魔になると思うなら最初から誘わねえよ! 強いて言うなら巻き込まれねえように頼みてえところだな!」

ガルバードの得物はその背中に担いだ巨大な剣だ、範囲にも威力にも優れる代物だがそれゆえに巻き込む可能性がある。
だがしかし、姿勢を無理矢理引き戻そうとしながらガルバードは続けるのだ。

「なんなら見てるだけでも構わねえよ、慣れねえうちは観察も仕事だ。偵察の依頼だって来るくらいだ。お前がそれでも不安なら不安なまま来るのはやめといた方が良いが、そうじゃねえなら着いてきた方が経験になるぞ?」

兜のスリットから見える金色の光は、まるで笑うかのように細まった。すべてはグラナの意思次第、そう匂わせながらガルバードはその席を立ち上がった。
320グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)00:20:12 ID:3mc
>>319
「逃げる……っスか?でもそんな……」
「……いや、そうっスね。分かったっス」

どんなに大きく強い魔物でも、颯爽と軽快に倒してしまうという、少年のイメージする冒険者とはかけ離れた助言に戸惑いを隠せない。
けれど自分よりもずっとずっと経験を積んでいる人の言葉は、理想や想像よりも遥かに重い。
だからコロコロ変わる表情の内でも、珍しく神妙な顔で小さく頷いた。

「巻きこっ……!?き、気をつけるっス……!」
「いえっ、ぜひ連れて行ってほしいっス!俺っ……しや、自分、出来るだけ頑張るんで!」

冗談なのだろうが、ガルバードの背負う大剣に目をやってやや青ざめる少年。
それを振るう膂力もさる事ながら、見るからに当たってしまえば痛いだけでは済まない。あからさまにビビりながらも大きく何度も頷いた。
立ち上がった男の後を追って、大慌てで立ち上がるグラナ。鞘をぎゅっと強く握ったのは決意の表れ。
仕草や表情に緊張を孕みながらも、そこに迷いはない。彼にとっては大仕事も大仕事だが、こんな滅多にない機会を逃す訳にはいかないのだ。
3212NC8z9kx8k :2018/08/06(月)00:26:04 ID:CU3
//主権限が消えてしまっているみたいなので、アク禁が出来ないようです
//酷い場合はスレを立て直します
322ガルバード :2018/08/06(月)00:29:49 ID:osA
>>320
「夢を壊したみたいで悪かったな、でもな、夢が夢のまま終わっちまったら悲しいだろ?」

ガルバードの少年より長い冒険者稼業でそんな新人などは珍しくなかった。理想も夢も無いわけではないがそれだけで語られるほど世界は単純ではないのだ。
ガルバードが今まで生存しているのもそれが理由である。彼は相手が圧倒してくるならば恥も何もかも捨ててその場から逃げるくらいには命が惜しいのだ。
それは表に出すことはない、少年の理想とは遠い姿。今くらいは頼れる先輩で居たいものという身勝手な考えだった。

「まあグラナくらいなら振り回す高さに気を付けりゃ大丈夫だろ! 焦ってゴブリンを見損ねるなよ!」

「それじゃ行くか、グラナ! ゴブリン退治が初陣ってことになるんだろうがまず聞くぞ!」

その言葉を聞けば着いてくるかなど確認するまでもないとガルバードはギルドの扉を開けて依頼に出向くのだ。依頼書には付近の草原や森と書かれているため目的地はそこだ。
そしてまずは確認なのか、立ち止まって大きな声でグラナに質問。

「お前の目標は何匹だ!? それと酒は飲めるか!」

その答えは少年の理想に近付けるためのガルバードなりの配慮のつもりか。その確認を済ませるとガルバードは早速とばかりに街の外に赴くだろう。
323ガルバード :2018/08/06(月)00:30:43 ID:osA
>>321
//その、恐らく自分のせいで申し訳ありません……
3242NC8z9kx8k :2018/08/06(月)00:34:38 ID:CU3
//参加者からの指摘なら気にするべきだと思いますが
//匿名の書き込みは気にする必要はないですよ
325ガルバード :2018/08/06(月)00:35:57 ID:osA
//わかりました、重ね重ね申し訳ありません、そしてありがとうございます
326グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)00:46:12 ID:3mc
>>322
「ぐぬぅっ……よ、余計なお世話っス!一応、初陣も済ませてるんっスから!」

身長差は一応気にはしていたのだろう、なんだか悔しそうな面持ちでガルバードの後を追う。
初陣ではないとは言い張っているが、実際は初陣の経験しかない。
故にやっぱり緊張は隠しきれていないのだが、変に動きが固くなっているという事は今のところはないのが救いか。

「えーっと……自分、ゴブリン相手は初めてなんで、とりあえず一匹でも倒したいっス!」
「酒……はその、あんまり得意じゃなくって……」

さて討伐対象のいるだろう目的地に近づいて、ガルバードの問いにはやや考えてから返す。
低いようにも思える目標であるが、彼なりに悩んで出した答えなのだろう。
327ガルバード :2018/08/06(月)00:59:50 ID:osA
>>326
「そうかそうか! そいつは悪かったな!」

ガッハッハ、と笑うガルバードの身長は2メートルに匹敵するほどに巨体。先程までの力もその体躯により生み出されていたのは明白だ。
座っていた頃よりは明らかになる身長差に慣れたのか、その栗色の髪をくしゃくしゃにするかのように手を置こうとした。今度は弱い。

「上等上等! なら一匹は狩らねえと今日は帰れねえと思うんだな! お、そうか。なら気を付けねえとな……!」

目的地に近付いてもこの溌剌とした声だ。兜で響いてもおかしくないというのに元気な男。
その様子からするに少年の考えた返事はガルバードのお気に召したらしい、それでいいとした様子は無茶もせず、ましてや尻込みし過ぎてもいないと見たためだ。

さて、草原の中でもやや草が高く、それでいて森の木々も見えるほどの場所。目的地の片方だ。ガルバードが突然沈黙して立ち止まり、見据える先には揺れる草。

「……っと、早速お出ましってところだな。良いか、ゴブリンっつーのは基本馬鹿とはいえ知恵はつく。例えば――奇襲とかな」

揺れる草――からではなくその横の沈黙していた草から飛び出してきた肌が緑色の子供程の大きさの人型の魔物。頭部の角のような突起や尖った耳、その醜悪な面からゴブリンと見るには容易い。
そのゴブリンは刃先が濁った短剣を突き立てんとガルバードに向かって飛び出し――振るわれた巨剣により両断された。

「血、見るのは平気か?」

返り血を浴びて赤く染まった剣と兜、外套を見せつけながらガルバードは訊ねる。グラナの視界には両断されたゴブリンも見えてしまうかもしれないが、高い草がそれを隠すかもしれない。

「っと、グラナ、右から来てるぞ、やれるか?」

ガサリ、と揺れたグラナから見て右側に伸びている草。ちらりと見えるのは……粗末な石の槍だ。それを構えたゴブリンは突然、グラナに向けて飛びかかってきた!
328グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)01:17:42 ID:3mc
>>327
「んなぁっ!?子供扱いしないでほしいっス!」

口で文句は言うものの、その手を無理矢理振り払おうとはしない。
そういうところが子供扱いされかねない要素なのだが、本人には全く自覚なしである。

「っ……うっす!」

まるで普段通りのガルバードとは対照的に、草むらの中でまだどこか固い面持ち。
けれどそこには決して怯えはない。自分を奮起させるべく、はっきりと言葉を返して銀剣を抜いた。

「奇襲っ!?それって、じゃあ、ここって結構ヤバいんじゃ……うわっ!?」

ギルバードの講釈に思わず目を剥く。視界の効きにくい場所で待ち構える危険に、今更ながら気がついたからだ。
しかしそれを言い終える前に、意識外から飛び出してきたゴブリンに短い悲鳴。
気遣いに言葉を返す余裕もなく、周囲に意識を巡らせて相棒を構え、ただこくこくと頷いた。
深呼吸を一つ、落ち着きを取り戻す。集中しているせいだろうか、不思議と周りがよく見えた。

「大丈夫っス、やれます!」

先陣を見て警戒していたのが功を奏し、草の擦れる音に素早く向き直る。
突き出された石槍を横から剣の腹で払い、小柄な相手の脳天へと一直線に振り下ろした。
329ガルバード :2018/08/06(月)01:31:17 ID:osA
>>328
ゴブリンは完全に油断していた。ガルバードよりも小さな、ましてや武器も大きくないグラナならば狩れる。そう考えていたのだ。

『ゲッ!?』

だからこそ、ゴブリンは払われたことに驚いた。粗末な造りだったことを示すかのように槍は折れて腕を取られる。

『グゥ――ギャッ――!?』

するとどうだろう、ゴブリンの体勢は崩れ、慌てて立ち上がろうとすれば――既に銀の一閃が脳天に迫っていたのだった。
角も潰れる一撃に当然ながらゴブリンは倒れ伏す。自身がやられることはおかしい、そう言いたげな表情で。少し飛ぶかもしれない返り血がグラナに飛ぶ頃。

「宣言に偽りなしだな! 上等だグラナ! ビビった奴なら武器を落としててもおかしくねえ――んだ!」

ガルバードはグラナの迷いなき一撃に称賛の声をあげていた。彼の言葉からするに初心も初心だとゴブリンの奇襲は脅威の一つであるようだ。
それを克服したなら、突破したなら一歩どころか数歩は前進していると言える――なんて長いことを言う暇などなく、ガルバードは投げられてきた石を兜に受けると投げられたその方角に向かって走り、巨剣を振り下ろしていた。その場所から噴き出す血がまた居たのだとグラナにも知らせる。

「ああそうだ、ゴブリンについてもうひとつ気を付けなきゃならんのがある、たまにだがそいつら――」

がさり。グラナが倒したゴブリンの身体の後方から聞こえる音。まず、ゴブリンと見て間違いないだろうが、同じように剣を振ろうとするなら手応えに違和感があるだろう。
きちんと見たならばその前にわかる。そのゴブリンは死んだゴブリンを立たせて盾にしてグラナに近付こうとしているのだ! 得物は何やら染みの見える棍棒。さてグラナはどう出るか。

「――仲間を盾にすることがあるっ!!」と叫ぶガルバードは反転して来ているので、彼に任せるのもまた手だが。
330グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)01:48:34 ID:3mc
>>329
「やった……!」

言葉と裏腹、表情は崩さない。
油断するのはまだ早い、だけではない。
多少血を見るのは平気でも、害なす魔物に躊躇なく刃を振り下ろす事ができても。
自分が摘み取った命の前で笑えるほど、彼は純粋でも残酷でもないのだ。
まずは一匹、しかしいくら目標を達成したといってはい終了、というわけにはいかない。
周囲への警戒を途切らせないまま、ガルバードの言葉には頷いて返すに留める。

「死体をっ……!?そんなの、どうしろって……!」

が、新たな特性を聞けば反芻せずにはいられない。
それは仲間の犠牲を無駄にしない、効率的な手段の一つでしかないのかもしれない。
けれど少年にとってそれは、どうしようもなく残虐で独善的な行為に思えてしまうのだ。
ついでに本能がその厄介さも訴える。実際屍肉を盾にするのは有効だ、特に片手剣程度のリーチでは斬撃が通りにくい。
だから咄嗟に、グラナは剣撃以外の手段を選び取った。

「くそっ!――Calme!」

彼が行使できる、限られた風魔法のうちの一つ。一単語に過ぎないその言葉を叩きつける。
同時、刺突。剣先より放たれたのは逆巻く風、盾のゴブリンごと貫かんと小さな竜巻が一直線に進む。
331ガルバード :2018/08/06(月)02:00:35 ID:osA
>>330
そう、あくまでも一体、可能な限りというのは人の話である。ゴブリンからすればそんなものは知らない話だ。

少年が考えてしまった感想はゴブリンの知能を明白に示している。魔物に分類されたゴブリンはほとんどの種類が自分主義、なんなら生きてる同胞でも敵の前に蹴り出すことも見かけられるほどに自分主義だ。
効率というよりは自分が安全に、楽に生きるための生き方、それがゴブリンという魔物の厄介なところである。

『ギャッギャッギャ!』

屍を盾にしたゴブリンは刺突を見て、まるで馬鹿にするように笑った。簡単な話、そんなものは通じないと自信に溢れているからだろう。
そんな油断を油断としてないかのように棍棒を振り上げたゴブリンは頂点に上げたところで違和感を悟る。

『……ギ? ――ギィッ!? ギャッ!』

おかしい。胸に違和感があるとばかりに。屍の盾を取り落として見下げると、なぜか自分の胸からは血が出てるではないか。
死ぬ、そんな馬鹿な。そんな慌てっぷりに見えるゴブリンだが自分主義のゴブリンは傷をつけたグラナを苦悶の表情で睨み付けて、棍棒を乱暴に投げた!
無論、狙いなど滅茶苦茶で、油断さえしてなければかわすのは容易いそれだが、もし当たってしまえば鈍い痛みを与えてくるのは予想に難くない。

それを放ったゴブリンは、その結果を見ることなく地に倒れ伏すのである。俯せになったゴブリンの背には血の流れる穴。どうやら貧相な身体だったらしく貫通は容易かったようだ。

「無事か!? グラナ!」

巨剣は構えたまま駆け寄ってくるガルバードはまずグラナの安全、心身の状況を見比べた。
近くからはまだゴブリンの声が聞こえるが、耳を澄ませられるなら少し離れていってることが伝わるかもしれない。
332グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)02:19:37 ID:3mc
>>331
敵を倒したと判断した後の油断というものは、ある種初心者には避けては通れない道である。
それは少年も例外ではない。確かな手応えを感じて、気を緩めてしまったのがよくなかった。
死を前にした悪足掻きのタチの悪さを、彼は身をもって知る事になる。

「よしっ、いけっ……!?」

どうにか二匹目を仕留めたと見て、小さな安堵と自信に肩を撫で下ろしかけたのも束の間。
盾のゴブリンの影になっていたのも重なって、自分目掛けて投擲された棍棒に反応が遅れた。

「いっ……でぇ!!」

咄嗟に銀剣で払いのけようとするが数瞬遅く、棍棒は運悪く持ち手であった右腕に直撃。
柔らかな土の上に、音も立てず剣が落ちた。

「あだだだ……あんまり大丈夫じゃないっスかね……」

無事な左手で取り落とした銀剣を拾い上げ、ガルバードに向けるのは隠しきれていない苦悶の表情。
だらりと下げた右腕は現状役には立たないだろう。元々軽装備だ、ダメージの軽減も期待はできない。
ゴブリンの遠ざかる声に傾ける余裕もないのか、少し辺りを見回して草むらの異変を探った。
333グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)02:20:05 ID:3mc
//すみません、そろそろ凍結をお願いしてもよろしいでしょうか…!
334ガルバード :2018/08/06(月)02:23:14 ID:osA
//了解しました! 返信はしておきますのでまた都合のいい時にお願いしますっ、遅くまでありがとうございました!
335ガルバード :2018/08/06(月)02:35:20 ID:osA
>>332
苦悶の声を聞くと自らの呼び掛けも気休めにもならないだろうと心の中で舌打ち。これはガルバードのミスでもあるのだ。
ゴブリンの狡猾さ、悪知恵は把握してるはずなのに対応が遅れた。何が先輩だと言うのだろうか?

「手をやられちまったか……よし、グラナ。一旦街に戻るぞ。お前の目標は達成したし、まずは手を治さねえとな」

そう言うとガルバードはゴブリンの死体四つから手早く耳を剥ぎ取り、得物もナイフと棍棒を外套の下に回収した。

「剣士にとっちゃ手は命だ。…………俺も油断してた、すまねえ」

苦悶の表情に下がる右腕、異変を探る姿を見ればガルバードは即座に決定した。今までとは異なりグラナの返答も聞かない様子だ。
もし抵抗するならば、ガルバードはその巨体にグラナを担ぎ上げるだろう。その時は視点の高さが変わるために撤退しているゴブリンも見えるかもしれない。――森の木々から少しだけ見える、大柄な体格のゴブリンも。

「ゴブリンっつーのは基本馬鹿だ、だからこそ恐ろしい。それでもお前は一匹じゃなく二匹倒した。それは誇れ」
「その上で聞いとく、今回俺達のミスは何だったと思う?」

少し早い帰路でガルバードはそう問い掛けるだろう。ガルバードからすれば己の油断と忘れかけていた脅威の警戒が課題の一つ。グラナには悪いが腕一本で済んだならまだマシとも言えるほどのミスだ。
その上でグラナに聞くのである。グラナは自分のみを責めるのか、それともガルバードにも言えるだけの勇気はあるのかと。
336ガルバード :2018/08/06(月)02:35:40 ID:osA
//ここで凍結……でよろしいでしょうか、今夜はありがとうございましたっ!
337“ドクター”◆nmTKgHTC4c :2018/08/06(月)14:43:20 ID:yEQ
世は全てこともなく、日輪と望月は今日も整然と空を廻り続けておりました。
私共の住まう地上においては今日も、昼に気付かれぬよう暗躍する闇があるのでしょうが、空はまるで気にしておりませぬ。
弱きを助け強きを挫く善人も、夜の世界に蔓延る悪人も、天は等しく照らしているのでございます。
なれば今宵、逆さ半月に照らされたその小さな影は果たして、悪人なのやら善人なのやら。
星の瞬く空を眺めてみましても、そんな問いの答えは何処にも映されていないわけであります。

「……それにしても、酷い有様だな、これは」

その小さな影は凡庸と言うには些か特徴的な格好をしておりました。
身に付けているものこそ学者様が身に付けるような、所謂白衣という衣服でありましたが、その白衣は全くその者の身の丈にあっておりませぬ。
身の丈に合わぬ衣服を身に付けたというよりはまるで、衣服を着た後に縮んでしまったかのようなそんな印象を抱かせるのであります。
ここまででご想像頂いた通りにその者は、白衣という出で立ちに似合わぬ子供でありました。
齢10に至るか至らぬか、そんな童が生真面目な表情をして堅い言葉を使っているのでございます。
その見た目の異様さは、恐らく皆様の想像通りでございましょう、さりとてそんな事実を気にする素振りはその者にはございませぬ。
夜の路地裏にしゃがみ込み、そこに存在する“物体”を、恰も一人の博士のように調べておりました。

「いや、しかし……なんなんだ、これは」

その“物体”、子供が検分していたものは、とどのつまりあまり気持ちのいいものでは御座いません。
赤黒い何かで形作られたそれは人型をしておりました、より具体的に言うのであれば……。
その“物体”は、元々人であった、最早何者なのかも分からぬ死体だったのでございます。
この世に存在する方法ではなかなかどうして、その赤黒い死体を作ることは出来ませぬ。
正しく変死体、しかしその場所は治安の悪い路地裏、普段ならば露見することなく闇に葬り去られることでございます。
なれば、最初の疑問に戻ると致しましょう、そこに居合わせた白衣の子供は、何者なのでございましょうか?
空を見ても答えは何処にも映されておりませぬ、されど答えのための道筋は、その場所を見ていれば分かるやもしれませぬ。
立ち上がった子供の姿は、逆さまの半月に照らされ夜の中目立っていたのでありますが。

その白衣の袖口は、死体のものと同じく、赤黒く汚れてしまっていたのでございます。
338グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)21:24:15 ID:3mc
>>335
「い、いやっ、自分は一人でも戻れるっスから!」
「先輩は自分に構わずこっちに残って……のわぁっ!?」

せめて心配はかけまいと無理に表情を取り繕い、無事な左腕を軽く振って平気だとアピール。
あろうことか一人で撤退するなんて言い出す始末、辺りにはまだゴブリンが潜んでいるかもしれないというのに。
しかし反転する寸前、ガルバードに抱え上げられていつもより少し高い視点に目を白黒。
みるみる遠ざかる木々のうちに敵の首魁らしき姿を認めて、無意識に小さく悔しさを口にした。

そうして戦闘区域を離れてしばらく。下ろせと言う気力もなく、担がれたまま黙って少年は問いの意味を考える。

「何、って……そりゃ……俺が、倒せたと思って油断してたからで……」
「その……先輩にも、本当に申し訳ないっス。すぐに、引き下がる事になって……」

自覚のあるミスを改めて言葉にするというのは、存外堪えるもので、少年も例に漏れず。
つっかえつっかえ、一言ずつ選んで言葉を続ける。あまりの無念に強く拳を握りながら。
自分の事だけに言及しているのは、決して格上への尻込みなどではない。彼は真剣に考えて、それでも自分の非しか浮かばないのだ。
自らの足で歩けてすらいない己のあまりの情けなさに、後半はほとんど掠れ声。がっくりと項垂れて、落ちこみ様を隠そうともしない。

//遅れてすみません、お待たせ致しました!
339ガルバード :2018/08/06(月)21:38:23 ID:osA
>>338
周囲にゴブリンはおろか、魔物の類の気配は見えない。強いて言うなら悠々と飛ぶ鳥達やより小さく見える野生の小動物が見えるくらい。
そんな場所まで行くとガルバードは足を遅くした。人の運びには経験があるのか先程までとは異なり揺れが少なくなるように。

「なるほどなぁ、確かにそりゃ良くなかったミスだ。群れで来る相手に対して一匹二匹で油断するのは悪手も悪手だ。よくわかってるじゃねえか」

こういった時、新人は思わず黙ってしまうケースがある。ミスを認めたくない、もしくはどれがミスなのかわからないからだ。そうなるとグラナはよく理解してるとばかりに。
そして「けどな」と続ける。

「そんなに気に負うことは何もねえぞ、次からそれをしなけりゃ良いんだ。新人なら尚更な。ゴブリンは二匹以上居たら確実に群れだと思えってとだ」
「さて次は俺のミスだな。俺が浮かぶ限りじゃまず、お前にロクな情報も与えずに離れたこと。それと俺も油断してた、これらに尽きるな」

落ち込むグラナの尻を軽く手で叩くとガルバードは諭すように話していた。外套越しでも伝わる硬い感触と僅かに聞こえる金属音からガルバードの装備は守りの固さを伝えることだろう。
そしてガルバードは自らのミスを伝える。それはグラナからすればミスに入らないのかもしれないが、ガルバード、否冒険者からすれば大きなミスの範囲であるのだ。
340ガルバード :2018/08/06(月)21:38:36 ID:osA
//すみません途中……!
341ガルバード :2018/08/06(月)21:43:45 ID:osA
//>>339の続きです……!

「ついでに言うと引き下がるってのは悪いことじゃねえよ、あのまま続けてたら悪化したかもしれねえんだからな」

まだ痛めた程度で済んだならマシなのだと。ガルバードの予測だがもし無茶をさせてそれで済まなければそれこそが本当に先輩として恥じるべきことなのだと。

「っつー訳でだ、一旦帰ったら報酬もらって紙は返すぞ。まずお前の怪我を治さねえとな、治癒系に心当たりはあるか?」

話は突然とも言える切り出しで変化した。グラナからすれば驚くほどの転換かもしれない。
さてそれはそうと、グラナはそういった心当たりはあるのだろうか? ギルド等に有料の治癒使いが居ることも不思議ではないのだろうが。
342ガルバード :2018/08/06(月)21:44:07 ID:osA
//お待たせしました、お願いしますっ……!
343グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)22:04:39 ID:3mc
>>339
なるほど確かに、自分のミスを認める事ができるというのは、成長に大きく貢献するだろう。
しかしそれを自覚している間、後悔や悔恨が針のごとく心を常に責め立てる訳で、当の本人からしてみればたまったものではない。
更に追い討ちとばかりにガルバードにも同意されれば、「ぐぅっ」と小さく唸ってまたぐるぐると脳内反省会に。
黙ったまま続く言葉に耳を傾け、ガルバードの振り返りにぱっと顔を上げる。

「先輩にも、ミスはあるんっスか……?」
「……そうっスよね、次は同じ事をやらかさなければいいんっスよね」

まさか男から反省点が出てくるとは思わなかったのだろう、拍子抜けのような、そんな呟き。
ああそうだ、誰にだって誤りはある。それが今回はグラナにとって少々手痛いもので、けれど致命的なものではなかっただけの話だ。
いつまでもこうしてくよくよしているわけにもいかないのは分かっている。
だから今は、少しだけ厚意に甘えてもいいのかもしれないと思えた。

「うっス!……あー、えっと……ヒーラーに知り合いはいないんっス」
「でも大丈夫っスよ!これくらい、適当に包帯巻いとけば治るっスから!」

だんだん調子が戻って来たようで、声色は少しずつ明るいものへと。
きっとその表情も、まだ苦悶は残るものの晴れやかなものになりつつあるのだろう。
ぶんぶんと右腕を振って平気だとアピールしようとして、「いてて」なんて苦笑した。
344ガルバード :2018/08/06(月)22:17:56 ID:osA
>>343
「お前ちゃんと周り見れてるか? どう考えても新人のお前置いて突っ走った先輩とかミスの塊だろうが」

実際、ガルバードの行動はあまり褒められたものではなかった。少し毛色は違うが、仮にガルバードがグラナに一切手を出させることなくゴブリンを殲滅したとしてもそれはミスである。
経験すらさせず、自身の力を誇示して終わらせるのは冒険者の後輩に向ける指導ではないのだ。

「そうだそうだ、よくわかったな? よし復習だ。ゴブリンの注意点はいくつ覚えた?」

キッチリ復習は忘れさせない。例え厚意があるつもりでもそこだけは甘くなかった。実戦で覚えられることを忘れては流石に不味いともするようだ。

「あー、そうかそうか。なら今回はギルドの奴に任せるかね。……お前冗談か強がりかは聞かねえでおくが治療は受けるんだぞ?」
「まあ新人はそのくらい元気な方が良いんだがな! 縮こまってて足も踏み出せねえようじゃまだまだよ!」

苦笑いするグラナにそう言うガルバード。ひとまず帰還した際にはギルド所属の治癒使い達に処置されることだ。もし断ろうとしたら兜越しなのに睨みが来る錯覚に襲われるだろう。
それでも元気さを誉める辺りはガルバードもグラナを気に入ったご様子である。ガッハッハ、と笑いながら帰路につくガルバードは街の近くまで来ると。

「グラナ、今日のお前は目標より一匹多く倒したんだ、それは誇っていいことだ、忘れんな」

そこまで来るとようやくグラナを下ろそうとするだろう。流石に街中でまで担ぐのは新人の心的に不味いと判断したのだろうか。
……もし降りる様子がなければそのまま担がれるのだが。
345グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)22:43:28 ID:3mc
>>344
少々グラナが責任を感じすぎているきらいはあるが、ひとまず互いに反省点があったという事でこの場は終着。
これから先も少年は失敗するだろうし、そのたびに傷つきへこたれるだろう。けれど今は、もう立ち直ったのだから。

「もちろん覚えてるっス!えーっと、まず奇襲をしてくるってのと……」

負傷したとはいえ実戦を経たのだ、学ぶ事は書よりも多く濃密であったのは間違いない。
動く左手で一つ二つと指を折り、つい先程までの事を思い出しながら声に出して復習。

「仲間を盾にしてくる!……で、これはゴブリンに限った話じゃないっスけど」
「相手の悪あがきには気をつける!っスよね!」

どうだとばかりに鼻を鳴らし、これらは今後絶対に忘れないと意気込むのであった。
そうして街の付近まで戻ってくれば、軽く足をバタつかせて下ろすように頼むだろう。
元々歩くのには支障がないのだ。生まれ育った街で大の大人に担がれるのは、年頃の男子にとっては羞恥でしかない。

「もちろん、手当はすぐ受けに行くっス!早く治しちゃいたいっスから!」
「……!はい、今日はありがとうございましたっス!そんでその、よかったらっスけど……」
「自分、まだまだ分からない事ばかりなんで……また、いろいろ教えてくれると嬉しいっス!」

ともすれば空元気にも見えなくない勢いではあるが、治療には意欲的らしい。
実際復帰を早めるならば最善だ、その辺りの芯は通っている様子。
両足で大地にしっかり立っているなら、大きく頭を下げて謝意を示す事だろう。
346ガルバード :2018/08/06(月)22:54:11 ID:osA
>>345
「合格点だ、あとは群れの警戒忘れてなけりゃ文句なしだな。しかし悪あがきまで考え付くとは有望じゃねえか」

ビッ、とその大きな手の親指を立ててグッドサイン。まあ群れの警戒に関しては当たり前すぎたのかもしれないのだし。
それよりも今回の撤退理由になった悪あがきを考慮したのが感心できるところだとガルバードは評した。自身のミスを次への成功に繋げられる考えはあって損はないのだから。

さて、問題なくガルバードは手慣れたようにグラナを下ろす。元々の体格上彼が担がれるのはそうそうないのでその辺の羞恥には疎そうだが、経験というものか。

「まあ俺も報告しなきゃならねえんだから付き合うがな、金は任せろ」
「……ガッハッハ! そういうことは大歓迎だ! 俺で教えられることなら教えてやらあ! そんじゃついでだ! 依頼の報告と治療の手続きもこの際覚えとけ!」

ちょっとしまらないかもしれないが戻る先は元々同じ、今回はガルバードが誘った結果なのでガルバードが治癒代を負担すると決めたようだ。
そしてガルバードからすれば大袈裟にも見えるその態度、しっかりとした謝意と見習うべきと思うほどの芯の強さを見て、笑いながら彼の左肩をバシバシと叩いて提案するのだった。
ともあれなんにせよ、グラナが逃げでもしない限り二人はそのままギルドへと戻るだろう。その中には少し、ガルバードを見る目の警戒があったり、グラナを心配そうに見る同業者、この時間から宴会に励むもの達など色々な姿が見えることだ。
347グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)23:14:23 ID:3mc
>>346
「もう同じ目に遭うのはごめんっスからね!」

びしっと同じく親指を立てて笑みを返す。
悪あがきは負傷の直接的な理由なのだ、頭にしっかり残っていてもおかしくない。

「よっしゃあ!その時はよろしくお願いしますっス!」
「……って、いやいやさすがにそこまでしてもらうのは悪いっスよ!自分の自業自得みたいなもんっスし!」

口約束とはいえ、承諾されればぱっと顔を輝かせてガッツポーズ。
が、治療費を肩代わりしてもらう流れにはわたわたと制止の仕草。
さも申し訳なさそうに首を横に振るが、多少は甘えてもいいやと決めたばかり。
結局、ガルバードの厚意は無碍にされる事はないはずだ。ばしばし左肩を叩かれるのはさすがに本気で痛がっていたが。
そんな訳でギルドに戻ればまずは手当てと報告、それらの手続きについての手解きをグラナは受ける事だろう。
そうして治療を戻ってきたグラナの右腕は包帯でぐるぐる巻きに三角巾といった、よくある骨折スタイルに。
「見た目はちょっとアレだけど、そんなにたいした怪我じゃなかったっス!」とは本人の談、しばらく安静にする必要はあるそうだが。
348ガルバード :2018/08/06(月)23:29:05 ID:osA
>>347
ちなみにガルバードは書面の契約と言うものが苦手である。なので口約束が一番の約束であったりするのだ。

さて報酬については一旦ガルバードが預かるところ、ゴブリンそれぞれ二体ずつの報酬、ついでに回収した武器二つは一旦ギルドに提出である。
もしグラナが要求したら案外渡されるのかもしれないが元の持ち主が持ち主なので微妙なところか。

「いや十分大した怪我だろうが。あんまり無理すんじゃねえぞ?」

ガルバードもそのスタイルには思わず同調するより突っ込んでしまったようだ。そらそうだ、短い期間かもしれないとはいえ片腕が使いにくいのだから。

「お前の報酬はゴブリン二体分だ、流石に剥ぐ手間がなかったが、ゴブリンでも素材になるもんはあるから確実に剥げる時は剥いどけよ」
「つか討伐証明が必要な依頼もあるからな、せっかく狩ったのに忘れたなんてやらかすな?」

そういうとガルバードは本来の報酬よりほんの僅かに重い、金の入った袋をグラナに渡すだろう。
わざわざ撤退前にゴブリンから剥いでたりしたのはそれが理由であるらしい。まあ安全第一なのは変わらないようだが。
ちなみに始まりともなった依頼の紙はいつのまにか依頼の中に貼り出されていた。

「さてとグラナ、お前はどうする? このまま休んだ方が良いのが事実だけどよ、宿とかは確保してあるよな……?」

まあ下宿先くらいはありそうなものだ。ギルドに泊まる人物も珍しくはないし、今から勉強の再開でもガルバードが止める理由は最早ないわけである。
ガルバードはその赤い返り血がついたままの、見直せば慣れてないと恐れを抱くかもしれない姿でギルドの一角でグラナに聞くのであった。
349グラナ ◆5smbHugP7o :2018/08/06(月)23:50:37 ID:3mc
>>348
「そりゃもちろんっスよ!当分は絶対安静にするつもりっス!」

しばらくの安静にも全身全霊、安心させようとぐっとガッツポーズ。
うっかり右腕でやってしまうものだから、また情けない声を上げるのだが。

「おおっ!……へへっ、ずっしりしてるっスね!」
「……ああ、そっか、倒したって証拠も必要なんっスよね。なるほどなるほど……」

報酬を受け取って、その重みににへらっと笑う。その理由はきっと、単に額を頭に浮かべただけではない。
本来の労働の対価よりも少しだけ多い事には気がつかず、やっと誇らしげに胸を張るのであった。
つい先刻死体を盾にしていた事に驚いていたのもそうだが、少年はまだ肉体をただの物質として見る事ができるほど場数をこなしてはいない。
故に素材や討伐の証明として利用するというのは思いつかなかったのだろう、次なる教えにふむふむと頷いた。
元の場所へと帰った件の依頼書を一瞥、次こそはと決意を胸に秘めた。

「うーん、そうっスねぇ。時間も時間だし、自分はそろそろ帰ろうかなぁと思うっス」
「自分はここ出身なんで寝る所は心配いらないっスよ!それじゃあお先に失礼するっス!」

ガルバードと同じく血に濡れたレザーアーマー、きっと洗ってもその臭いは残ったまま。
そもそもアンシャント生まれであれば寝床の心配は無用というものだろう、帰るべき場所がちゃんとあるのだ。
もう一度礼を述べ、ギルドに置きっ放しだった本を回収して元気よく外へと飛び出す。
沈みかけた夕陽を受けた街並みを、鴉と一緒に家まで駆けた。

//この辺りで〆でよろしいでしょうか?
//お付き合いいただきありがとうございました!
350ガルバード :2018/08/07(火)00:01:09 ID:5pH
>>349
「ハハハ! その調子ならすぐに治りそうだな!」

情けない声とは思わない、笑って返すのはきっとグラナの良さなのだろうとガルバードが察したからだ。
それに悲観しているよりもそうやって振る舞える方が治りが早くなることもある、きっと予定より早まるかもしれない。

「そりゃそうだ、中身は金だからな!」

誇らしげなグラナを見て気分を良くしたガルバードだがうっかりはやらかさない。それは野暮である。
グラナの成長を楽しみにしつつ、自分も追い抜かれないようにしなければと大男もまた気を引き締め直すのだった。次の依頼は何にするか、それも考えて。

「おう、それじゃまたなグラナ! 転けんじゃねえぞ!」

ガルバードは元気を見せながら出ていったグラナに大きな声で見送りをすると窓から外の色を一瞥。
良い新人を見つけた反面、自分の甘さが露呈したことに反省をしつつ彼は受付へと戻り――。

「森の中だが、ゴブリンの頭だと思う姿が――――」

報告を終えたガルバードはギルドを出ると自らの下宿先へと帰り、その身に着いた血を落とす作業に一夜を費やしたのであった。

後日、少し危険度の高い依頼書が増えたのはまた別の話である。

//お付き合いありがとうございました! またよろしくお願いします!
351名無しさん@おーぷん :2018/08/07(火)20:53:06 ID:ihy
とある森の入り口に立ち入り禁止と書かれた木の看板がある。何が理由で立ち入り禁止なのか、それを知るものはいない。
財宝が隠されていると考えて、これまでに何人もの冒険者が森に踏み込んだが全員帰ってくることはなかった。
いつしか死の森と呼ばれるようになって、今では立ち入る者は殆どいない。
ギルドの高危険度依頼に死の森の謎の解明というものがずっとあるが、それを受けるのは余程の物好きだけ。
その依頼を受けた物好きな冒険者も帰って来ることはなく、その度に報酬が上がって今では一月は遊んで暮らせる高額になっていた。
今日、そんな物好きはギルドに現れるだろうか。
352名無しさん@おーぷん :2018/08/08(水)20:08:08 ID:Z9F
>>351
/これで待機します。事情を知らずに森に迷い込んだ等でも構いませんので
353クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/08(水)21:53:47 ID:1BF
>>351
空は紫、日が地平線の向こうに姿を隠そうかという刻限にて。
不可侵を示す看板の前で足を止め、泰然と横たわる森を見上げる一人の子供。
性の区別がつき難い中性的な容貌に黒いローブ、およそ迷子らしくない無表情で、立ち入り禁止の文字を目で追った。

「……さて」

なんの躊躇いもなく足を踏み出す。当然だ、それを目的としてこの場に赴いているのだから。
高額の報酬だとか好奇心が首をもたげただとか、そんなこれといった理由はない。
ただなんともなしに手を伸ばした先に、この依頼があったというだけ。随分難度の高い、くらいは思ったのかもしれないが。
己の影から生成した小刀で、手頃な木の幹に小さな傷をつける。道すらロクにないだろう森での道標とするためだ。
一定の間隔でそれを繰り返しながら、調査の名目で吸血鬼は森の奥へと踏み入った。

//まだ大丈夫でしたら…!
354名無しさん@おーぷん :2018/08/08(水)22:17:00 ID:Z9F
>>353
不意に背後から聞こえてくる低い唸り声。
明らかに人間のものではないそれは、草木を掻き分ける音と共に近付いてきている。
それが何であるか、冒険者なら容易に想像が付くだろう。
振り向けばそこにはクリスの倍以上ある焦げ茶色の巨体。
木を容易く切り裂く大きな爪を、クリスに対して今にも振り下ろさんとしている。

「ガァアアアアッ!」

その存在は確かに脅威ではある。だが何人もの冒険者を返り討ちにしてしまう程の脅威かと言えば違う。
今までこの森に入った冒険者にもこの熊程度なら軽く撃退できる実力者はいた。
この熊は、この森を死の森たらしめる存在ではないとクリスには分かるだろう。

/23時には落ちますがよろしくお願いします
355クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/08(水)22:29:44 ID:1BF
>>354
熊というのは図体こそでかいが、そのハンデを覆すほどの俊敏性と隠密性を併せ持つ。
なればこそ、獲物を前にして昂り唸った声を聞いてようやく、その存在に素早く振り返る。
森のハンターとしてありふれた脅威、しかし決して侮る事のできない大きな熊を見上げても、慌てる素振りは見せない。

「――ふっ!」

迫る爪をバックステップで回避と同時、手にしていた小刀を惜しげもなく熊の片目を狙って投擲。
その行く末がどうなろうと多少の隙はできたと睨み、間を置かず自身の影から真っ黒な長槍を取り出す。
短く鋭く息を吐いて、踏み込み、刺突。突き立てるは心の臓。
この熊はおそらくは本命ではないと踏んだのだ、ここでかける時間はない。
356名無しさん@おーぷん :2018/08/08(水)22:56:37 ID:Z9F
>>355

熊の片目に突き刺さる小刀。その痛みに呻いて仰け反り、その隙を狙ったかのような槍の一撃は生物の急所である心臓を貫く筈だった。

「やめてッ!その子を傷付けないで!」

幼い少女の声。それが耳に届いた時にはクリスが槍を持つ手はその細腕に掴まれているだろう。青い髪に赤い瞳、動きやすさを重視した白い衣服。
振り解こうにも、その手にはかなりの力が込められていて一筋縄ではいかない。

「あなたはもう行って。あとで手当てしてあげるから、ね?」

少女は熊に優しげな声で告げて、熊がこの場を離れるのを見届けると強い憎しみが込もる目でクリスを射抜いている。

「何が目的?私の友達を傷付けに来たなら容赦はしなイ……!」

敵対か穏便に事を済ませるか、今後の展開はクリスに委ねられている。
少女が常軌を逸した存在であることは誰の目にも明らか。
この森に入った冒険者全員を帰らぬ者にしたのは、この少女で間違いない。
357クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/08(水)23:14:04 ID:1BF
>>356
なんの前触れもなく手を掴まれ、熊を仕留めんとした槍は寸前で動きを止める。
怒りも恐れもない、ただ僅かに目を見開いて少女を一瞥。
掴まれた腕を無理に振りほどこうとはせず、黙ったまま去って行く熊の背中を油断なく睨めつけた。

「……貴女の友達を傷つけるために来た訳じゃありません」

木陰に獣の姿が消えてからようやく、感情のない赤の瞳が少女の刺々しい視線を迎え撃つ。
手にしていた漆黒の槍が流体のごとく形を失って、べしゃりと地面に溶けて影に消える。
これでこちらは完全に無手。少なくとも今すぐに少女と敵対しようというつもりはないらしい。

「僕の目的はこの森の調査、それだけです。これまで何人もここで行方不明になっているという話、ご存知でしょうか?」
「そちらが見逃してくれるのであれば、僕からも手は出しません」

あくまでも冷静に受け答え。少女がこの事件に関わっているのは自明であろうに、それには気づかないそぶり。
相手の反応を引き出すべく探りを入れ、ついでにこちらに積極的な害意はない事が伝われば万々歳と。
358名無しさん@おーぷん :2018/08/08(水)23:16:41 ID:Z9F
>>357
/明日返信するので持ち越しでお願いします
359クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/08(水)23:18:05 ID:1BF
>>358
//了解致しました!
360名無しさん@おーぷん :2018/08/09(木)05:55:23 ID:J7l
>>357

「そうだとしても、この手は離さない。私と一緒なら動物達に襲われる事もないから」

クリスに害意が無い事はもう分かった。だがここの動物達は、クリスが一人で歩いていれば襲い掛かって来る。この森の中では少女と共に居た方が安全だ。
クリスの種族を知らない少女は自分と同じ人だと思っている。この森で唯一の人間の少女、自分と同じ人間だと思ったクリスに興味を抱くのは自然な事だろう。
手を離さないのも言葉通りの意味だけではなく、それが大きい。

「知ってる。私はずっとここに住んでるから。ついてきて、お家がこの先にあるの」
「詳しい話はそこでしたい。人とちゃんと話すのは初めてで……だめ?」


少女はそう言って、しかしクリスの返事を待たずに手を引いて歩き出していた。クリスが少女に大人しく従うのなら、そこらの木とは比較にならない巨木の前に辿り着くだろう。
木の上には小屋が見える。どうやらそれが少女の家らしい。

「あそこなんだけど平気?無理そうなら頑張って抱えていくよ」

この大木をクリスが一人で小屋があるところまで登れるか、という質問。人一人抱えてこれを登るのは少女でも骨が折れるのだ。
361クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/09(木)14:45:54 ID:VeV
>>360
「……分かりました。では、話はそこで」

掴まれた手と少女を交互に見比べ、ややあって嘆息。
少女の言い分も、手を離さない理由も理解はできた。けれど相手を信用できるか、となればそれはまた別の話。
有無を言わさず引っ張っていく少女に抵抗こそしないが、一挙一動を見逃さじと警戒は怠らない。
少女にとって久方ぶりの話し相手かもしれない。だがクリスにとっては得体の知れない存在でしかないのだ。
あくまで情報の提供者でしかない少女と不必要な会話を交わすつもりは毛頭なく、小屋の見える大木まで口を閉ざしたまま。

「いえ、僕は大丈夫ですが……」

枝葉の中に紛れて佇む小屋を視認すれば、さも問題ないとばかりに頷く。
実際人を上回る身体能力、更に己の影から木登りに適した道具を生み出せるのだから、そう難しい事ではない。
ただそれも両手が使えればの話だ。言葉を濁して掴まれた腕を軽く引く。言外に自由にしろ、と訴えていた。
それが叶えば一人でさっさと小屋の元へと、手が繋がれたままなら大儀そうながらも二人でえっちらおっちら登り始める事になるのだろう。
362名無しさん@おーぷん :2018/08/09(木)17:38:46 ID:J7l
>>361

「ふふ、よかった。うれしいよ」

心の底から嬉しそうに少女はその言葉と表情に喜色を滲ませる。クリスが口を閉ざしていても、少女が前に進む足取りは軽い。
きっと、自分がクリスに警戒されているなんて思ってもいないのだろう。
今なら不意打ちで容易くその命を奪えてしまいそうな程、少女に警戒心はない。

「ただの人間なのに凄いんだね。ふふふ、面白いよ」

少女に腕を離す様子はない。このまま登るつもりなのだろう。クリスがはっきり迷惑だと言えば手を離すかもしれないが、それは無く二人で多少苦労しつつも小屋の場所に無事到達する。

「楽しかったね、面白い人。さあ中に入って」

少女はドアの前に立ち、手招きしてクリスを誘う。中に入ればこじんまりとした丸テーブルやベッド、キッチンらしき場所が目に止まるだろう。
直前まで何か料理をしていたのか、小屋の中は食欲を刺激する香りで満ちている。
363クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/09(木)18:22:30 ID:VeV
>>362
言ってしまえば純粋なのだろう、なんら疑いや警戒を抱く事なく手を引く少女は。
けれど相対する吸血鬼は、つられて顔を綻ばせるほど情を面に出す性質ではない。
そもそもが強風を受けても漣程度しか起きない、凪のような感情の持ち主なのだ。
だから心底楽しそうな少女を前にしても、相も変わらず仏頂面は崩さないままで。

「……ええ。では、お邪魔します」

家へと招かれて一歩、室内の全体を睥睨して危険が見受けられないのを確かめる。
鼻腔を擽る匂いは嗅ぐ者の食欲を促進させたのだろうが、生憎相手は血が栄養源。
すんと鼻を鳴らして、つい先程まで作業に勤しんでいたのだろうキッチンを一瞥。
見せた反応と言えばただそれだけ、興味なさげにすぐさま視線を少女へと移した。

「さて、僕はクリス。ギルドの依頼でこの森を調べに来ました」
「早速ですが、貴女の話を聞かせてもらっても?」

あくまでも少女を情報源としてしか見ていないのだろう、話の振り方は些か性急。
警戒を未だに解いていないのか、自分は立ったままで話を進めるつもりのようだ。
少女が向ける興味には見て見ぬ振り、年齢にそぐわない落ち着きで返答を待った。
364名無しさん@おーぷん :2018/08/09(木)19:06:25 ID:J7l
>>363

「私の料理、食べてくれる?おもてなししたい」

キッチンへ向かう少女。黄色いスープを木の皿に注いで持ってきて、丸テーブルの上に木のスプーンを添えて置く。
毒などは入っていないが、クリスがそれを疑っても仕方ない状況ではある。

「……やだ。座って、私のスープを食べてくれるまでなにも教えない」

少女は始めて不機嫌そうな表情を見せた。丸テーブルの前に腰を下ろして、クリスを確固たる意志が込められた瞳で射抜く。
もしクリスがそれでスープを口にしたのなら、美味いと感じるだろう。
スープの中に浮かぶ肉らしき妙な物体はぷちぷちとした歯応えである。
365クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/09(木)21:07:54 ID:VeV
>>364
「いえ、僕は……」

少女の勧めを素気無く断ろうとして言い淀む。テキパキと食事の支度を進める少女の挙動からは目を離さない。
ほんの僅か、紅玉に困惑が浮かんで眉尻を下げる。どうしてこう気を回そうとするのか、なんて疑問が頭を掠めた。
頑固そうな少女の面持ちに、参ったとばかりに小さく頭を振って腰を下ろす。

「……では、お言葉に甘えて。いただきます」

少しばかりの戸惑いこそ見せれど、スープに対する疑いはなく躊躇いもなく口へと運ぶ。
自分が訪れる前から毒物を仕込んでいたとは考え難いし、支度の間に怪しい動きをしていれば多少なりとも勘づけるはずだからだ。
もしかしたらどこかに、疑いたくないなんて気持ちもあったのかもしれないけれど。

「……ああ、美味しいです」

少量を啜ってほう、と一息。聞かれてもいない感想をぽつりと零す。
クリスにとって、人間の食べ物は嗜好品に過ぎない。しかし味は度外視なのか、と言われればそうではない。
味覚は人と同等なのだ、味の良し悪しくらいは分かるし好き嫌いだってもちろんある。
どことなく珍しい肉の食感に違和感を唱える事もせず、食事を続けながら少女の動向を窺った。

//お待たせしてすみません、ここから安定して返せると思いますっ…!
366名無しさん@おーぷん :2018/08/09(木)21:20:17 ID:J7l
>>365

「でしょ?ふふふ」

人に料理を食べてもらうのは少女の人生で初めての経験。味には自信があったが他人にとってはどうなのか、それは常々考えていた。
だからいつかこの小屋に人を招いて、手料理を振る舞うことを夢見ていた。

「イモムシのスープ、面白い人が気に入ってくれてよかった」

少女の口からクリスにとっては衝撃的かもしれない発言が飛び出した。次にスープをスプーンで掬ったら、イモムシの頭とこんにちはするだろう。
クリスという名は耳にしたはずだが少女はそれでも面白い人という呼称を変えない。
367クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/09(木)21:37:50 ID:VeV
>>366
「あの、ですから僕の事はクリスと……ああ、まだ貴女の名前を聞いてませんでしたね」

意外、大凡一般受けしないだろう食材に、特にショックを見せる様子はない。
ひょっこり顔を覗かせたイモムシを躊躇いなくスプーンで掬い、なんの抵抗もなく咀嚼。
本来の食事かそうでないかの違いでしかないのだ、人間にとっての物珍しさはそう重要な事ではない。
どちらかと言うと名前で呼んでもらえない方が不満のようで、控えめに訂正を求めた。

「……さて、そろそろお話を」

まだ器に中身は残っているが、別に残すつもりではない。その証拠に手は緩慢ながらも止めてはいない。
せっかく二人の空間なのだ、少しマナーは悪いかもしれないが食事中の談笑くらいは許されるはず。
とはいえ無表情はそのままだ、もしかしたら本人にそんなつもりはないかもしれないけれど。
368名無しさん@おーぷん :2018/08/09(木)22:20:13 ID:J7l
>>367
「そう呼んで欲しいの?分かった」
「私はルル。うん、たぶんそんな名前」

虫料理は少女には当たり前。
それを森の外から来たクリスがすんなり受け入れたことで外の世界でも虫料理は当たり前なのだと、そう思ってしまった。

「知りたいことは色々あると思うけどまずは……この森はね魔獣が産まれる森なんだ。魔物がどうやって増えるか、クリスは知ってる?」

魔獣は魔素というものを周囲に発生させる。それを一定量浴びた生物は、魔獣へと変貌してしまう。
人間は魔素に耐性があるが稀に人里に降りて女を襲い、子供を産ませることがある。そうして産まれて来た子供は、魔獣の力を受け継いでいると言う。
ある宗教ではそう言った子供達を魔女と呼び、組織的弾圧を行っている。
369クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/09(木)22:38:04 ID:VeV
>>368
「ええ、まあ……では、ルルさんと」

『面白い人』なんて特徴を捉えているのかいないのかも怪しい呼ばれ方よりは、偽名でもきちんとした名前で呼ばれた方が遥かに良い。
どことなく言葉を濁して、またスープを一口。イモムシ入りでも味は上々。
世情に疎い一人の少女になんだか誤った常識を与えてしまったのだが、そんな事は知る由もなく。

「魔獣を産む森、ですか……魔素の発生地点がどこかに……?それとも単に魔獣の数が多いか……」
「ああ、ええ。素人の聞きかじり程度ですが」

ルルと名乗った少女の言葉にしばし手を止めて、その内容を一人吟味。
思考の海に沈み誰に向けるでもなく呟いて、ふとルルの問いに我に返る。
脈絡のないように思える質問への答えは簡素なものだ、それがどうかしたのかとでも言いたげに首を傾げた。
370名無しさん@おーぷん :2018/08/10(金)07:16:13 ID:das
>>369

「なら、魔獣の力を継いだ人間。魔女については?」

魔物の血を継ぐ人間はいる。だが、その存在は一般にはあまり認知されていない。クリスが知らなくても仕方のないこと。
過去に起きた大戦では、武力として使用された事実があるがそれもまた公にはなっていない。
魔女は人外であり魔性故に死の使い、神に仇名す者であると、ある宗教では説かれている。
その教会に魔女を連れて来た人間、目撃情報を告げれば報奨金が出る。
だから魔女を知る者の中では、見つけ次第殺すというのが常識だった。

/寝落ちすみません
371クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/10(金)21:23:18 ID:Pnq
>>370
「…………」

黙したまま頷く。いつの間にか食事の手は止めていた。
長く生きていれば耳にした事くらいはある。それが長い歴史の内に潜む闇の一つである事も。
しかしクリスがその話題を出されても、忌避感に顔を顰める事はないし、高揚してその在処を問い詰めようとする事もしない。
外見こそ人間となんら変わらないが、こちらもヒトならざる身なのだ。
人間社会にいくら溶け込もうとしても、どうしたって居心地の悪さを完全に拭う事なんて出来やしない。
そんな紙に垂らした一滴の墨汁のごとき異物感を、十二分に知っているつもりだった。
だからこちらから深く追求しようとはしない、大きな反応を見せる事もなく。
先に続く言葉をぼんやりと予想立てつつ、相槌だけで話の続きを促した。

//いえいえ大丈夫ですよ、お気になさらずー
//こちらこそ遅くなってすみませんっ
372名無しさん@おーぷん :2018/08/10(金)22:15:49 ID:das
>>371

「私がその魔女なんだ。生きているだけで周囲を害し、魔獣と同じで血肉を喰らわないと衰え死に至る存在」
「私もその恐ろしい考えを持つことはあるけど、それは自我で制御出来る程度のもの。だが、人を前にした時はその自我は壊れてしまう」

「この森に踏み入った冒険者は、全て私が殺して喰らった。でもクリスは不思議だね。見てても全くお腹が空かないよ」

空腹を満たすだけなら虫だけで事足りる。だが、その体を保つには血肉を喰らう必要があった。中でも魔獣が好むのは人の血肉で、少女もその性質を継いでいる。

「私が折角立て札で忠告してあげてるのに人間は来るんだもん。本当、いやになっちゃうよ

少女は全てを打ち明けた。今はこの森の中だけで済んでいるが、いずれ魔素は森の外へ向かうとクリスは考えるかもしれない。
その上で少女をここで殺すしかそれを避ける術はないとその結論に至っても仕方がないだろう。

「でもね、魔素から私たちを解き放てるかもしれないんだ。難しいことなんだけど……試行錯誤して、いつか人を喰らわずに生きることが出来るようになるかもしれない」

クリスが敵対する可能性は少女も考えている。その時が来てもいいように戦闘の心構えをしながら、それでも来ないことを願っている。
373クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/10(金)22:51:27 ID:Pnq
>>372
「……ええ、そうでしょうね」

自分に対して食欲が湧かない、という言葉に対してだけ僅かに反応。
闇の眷属、冥府より来たる怪である吸血鬼が、人の肉を喰らうモノに食物として見られないのは、言ってしまえば当然の帰結。
こちらだって血を好んで啜るのだからと一人納得、けれどその理由を少女に明かす事はなく。

それ以降は口を挟まずルルが語り終えるのを待って、しばし目を閉じてなにやら思案。
ややあってようやく、ゆっくりと赤い瞳を開いて少女を見据えた。

「僕の仕事は、あくまでこの森の調査です。ルルさんやこの森について決めるのは……おそらくギルドや街の上役でしょう」

それはつまり、今この場でどうこうするつもりはクリスにはないという事。
ルルに対する敵意も目下見られない。聞いた話に対して無反応すぎるきらいもあるかもしれないが。

「ですが、そうですね……もし人間にも影響が出る程魔素が濃い事が分かれば、向こうもこの森を封鎖するしかないはずです」

臭いものには蓋をしろ、とはよく言ったものだ。これまでも幾人の冒険者達が行方不明になっているのだから尚更のこと。
そうは話が運ばなかったとしても、少なくとも人間の立ち入りが難しいと分かれば対処も遅れるはず。多少の時間は稼げるだろう。

「さて、僕は少し人間よりも頑丈なのでよく分からないのですが……この森の魔素はどの程度なのでしょう?」
374名無しさん@おーぷん :2018/08/10(金)23:15:51 ID:das
>>373

この森には、少女が放つ魔素で魔獣となった獣がいる。そういった魔獣は少女が処理し、外に被害が出ることは避けていた。
ギルドなどの話は少女にはよく分からないが、放っておいてほしい。関わりさえしなければ何も起こらないのだから。

「人間じゃないの、クリスは?魔素は……かなり強いと思う。さっきの熊はいつ魔獣になってもおかしくない。……ちゃんと処理しておくから安心して」

手負いの獣は魔獣化の危険が高まる。あの傷、少女は熊が魔獣になると確信していた。悲しい衝動に襲われるが、熊の為にも魔獣になる前に殺したほうがいい。
友達を手に掛けねばならない。自分がいなければ、と考えたことは何度もあるが少女は死にたくはない。

「ねえクリス。今日はここに泊まっていかない?

突然の申し出。少女は誰かと共に夜を過ごしてみたいのだろう。そういった経験はもしかしたらあるのかもしれないが、少女の記憶にの中には無かった。
375クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/10(金)23:44:44 ID:Pnq
>>374
「さあ、どちらでしょう?人間かもしれませんし、人間じゃないかもしれませんね」
「それは大変ですね。では僕の方から人の立ち入りは無理だと言っておきましょう。これでしばらくは大丈夫なはずです」

唇に指を当てて、微かに悪戯っぽく笑う。出会ってから全く見せていなかったろう珍しい表情。
森に住む者から証言が取れれば後は容易い、クリスも人間ではないのが功を奏した。
魔素に抵抗性のある人間でも危うい程の濃度、となれば上も正式に規制せざるを得ないはず。
もしかしたら少しばかり話を盛る必要もあるかもしれないがそこはそれ、ヒトの基準など知らぬ存ぜぬで押し通すが吉。
実際危険性は高い場所なのだ、虚偽の報告では全くもってないわけで。

「……ええ。あの熊には申し訳なく思いますが……よろしくお願いします」

ついさっき襲いかかってきた熊の話に、ほんの僅か目を伏せる。
正当防衛とはいえ魔獣化の促進、あるいはその防止措置の遠因を作ったのは紛れもなく自分。
そうしてルルは友と呼ぶ相手を処理しなければならなくなった。
表情にこそ出さないものの、その残酷な機構になにも思うところがないわけでもないのだ。

「ええと、ここに……ですか?いえ、僕は……」
「……そうですね、せっかくですから」

いつの間にかとうに日は落ちて、星々瞬く天蓋は新緑に隠され臨む事は叶わない頃合い。
辺りが暗くともクリスにとっては帰り道になんの支障もないのだ、消極的な答えを返そうとして言葉を濁す。
しばらく間が空いて結局、首を縦に振る事に。
なんとなく、ここで断ろうとしてもまた駄々をこねられるような気がしたから。
376名無しさん@おーぷん :2018/08/11(土)07:18:37 ID:9v2
>>375

「ありがとうクリス。クリスが人間じゃなくても、友達だよ」
「良かったらこれも食べて、羽が燃えないように調理するのは大変だった。自信作。羽がもしゃもしゃして美味しいの」

そう言って少女が出すのは木の皿に盛られた大量の蛾のソテー。虫嫌いな人が見たら卒倒すること間違いなしの一品。少女はそれを平然と頬張っている。

「クリスが気にすることない。全部私が悪いんだから」

少女は自分の罪を自覚している。この森の生態系を狂わせていることも分かっているのだ。それを全て理解した上で、それでも生きたいと願っている。

「よかった。もう寝る?まだお話しする?私、外のこと色々知りたいの。
いつか森の外で暮らせるようになるかもしれないから」
377クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/11(土)21:41:49 ID:03q
>>376
「…………」
「……いえ、せっかくですが僕はもうお腹がいっぱいなので」

ともだち、なんて言葉に戸惑いを露わ、そんなつもりではなかったのに。
どうにも聞き慣れない響きにどう反応したものか、そんな逡巡はしかし衝撃的な料理に上書きされた事だろう。
困ったように眉尻を下げたその様は、山盛りの蛾に対するもののように見えるのかもしれない。
いつの間にか空っぽになったスープの器を軽く押しやって、勧められたソテーは丁寧にお断り。
別段蛾を食する事に嫌悪を抱いているわけではない。しかしどこかで蛾には毒を持つものもいるというのが記憶にあった。
ちなみに蛾の毒性はタンパク質、十分に加熱していれば問題ないのだが、そこまでの知識があるわけではなく。

「そうですね……では、何から話しましょうか」

夜はまだ長い、早々に寝てしまうのもなんだか味気ないというものだ。
それにいつか訪れるかもしれない少女の旅立ちの時のため、少しは世間を知っておくのも必要だろうと。
前置きもそこそこに言葉を紡ぐ、離れているはずのアンシャントの幻を浮かび上がらせるように。
多くの人が行き交う大通り、活気に満ちた露店の並び、夢と野望のひしめくギルド。
質問されれば都度答えながら、ルルが満足するまで語り口は止まらないだろう、生きた時が長ければそれだけ知る事も多いのだから。
378名無しさん@おーぷん :2018/08/11(土)22:20:23 ID:9v2
>>377

「そっか、残念……」

この蛾のソテーは本当に美味しい。クリスにもぜひ味わってもらいたかったのだが、満腹だというなら仕方がない。
少女は少し元気を無くして、皿を自分の前に引き寄せると蛾を次から次へと口の中に放り込むのだった。

「おー……すごい、すごいよ!そんな素敵な場所があるんだね!」
「アンシャント……ふふ、早くそこに行ってみたいなぁ」

少女はまだ見たこともない土地に思いを馳せる。
クリスの話で気分はいつまでたっても眠気なんて来ないんじゃないかと思うぐらいに高揚している。
日付けが変わるかという頃に明日は熊を処理しなきゃいけないことを思い出して、少女は食料(虫)が山積みになっている食料庫らしきスペースの奥から青い一輪の花が飾られた鉢花瓶を取り出すのだった。

「これがあればぐっすり眠れる。夜は魔獣の血が騒ぐから、その対策」

少女は眠りに落ちた後に、魔獣の血の影響で夢遊病のように森を彷徨っていることがあった。身に覚えのない行動、森を出て人を襲う可能性もあって、悩んでいた頃に少女は偶然この花が咲き誇る花畑を見つけた。

「はい、クリスも。どうぞ」

少女はそう言って花瓶をクリスに近付けるだろう。瞬間、頭の中がクリアになるような感覚。あらゆる感情が押し流されて、眠るのに最適な状態だと感じるだろう。
中毒性はなく、一度嗅げば十分だと身体はもう花を求めようとしない。少女は眠気を堪えて目をこすり、クリスの反応を待つ。
379クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/11(土)22:46:39 ID:03q
>>378
「ええ、いつか貴女も街に出られるのを願っています」

クリスは慰めの言葉を持たない。下手な気遣いが裏切りに一転するのを嫌うからだ。
けれど少女が森の外に出られるその日を、心待ちにしている気持ちは嘘ではない。
本来人の血を糧とする自分だって人の世に混じっていられるのだ、彼女だってそうなる権利くらいはあるはず。
少しだけ、そう信じてみたくなったのかもしれなかった。
ルルが目当ての物を取り出すのをじっと観察、貯蔵されている虫はなかなかに耐え難い光景だ。
なんともいえない表情を隠せずにいるが、むしろそれに留まっているだけマシな方だろう。

「いや、僕は……」

なにかに頼らなければ安眠できない体質でもないのだ、断ろうとするが時は既に遅く。
瞬間、頭の中のあらゆるものが排除されていく感覚。
ああなるほど、眠る前に陥りがちな思考の迷路に迷いこまずに済むのか、なんてぼんやりと一人納得した。
ルルには失礼だがほんの一瞬だけ薬物のような依存性、中毒性を疑ったが本能的にそれはおそらくないと直感。

「……そうですね、とてもよく眠れそうです。ではそろそろ寝ましょうか?」

眠たげなルルとは対照的にそんな仕草を見せないながらも、連れ添うように寝床へと促す。
さすがに同じ布団で寝るのは抵抗があるのか、一組しかないのであれば椅子や床を借りて寝ようとするだろう。
380名無しさん@おーぷん :2018/08/11(土)22:59:55 ID:9v2
>>379

「クリスはお客様だから布団で寝てね。私は床で寝る」

少女はクリスに続き、布団ではなく床に横になって眠ろうとしているだろう。
クリスには布団で眠るようにと、そこをパシパシと叩いている。
少女はこうと決めたら頑なで、考えを改めることはないだろう。
381クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/11(土)23:10:43 ID:03q
>>380
「……はい」

クリスは自分の寝床がどれだけ粗末なものであっても全く気にする性質ではないし、今回も特に布団で安穏と寝る事を良しとしているわけではなかった。
しかし客人用の布団がないのであればルルの指図は、もてなしという意味ではまあ至極真っ当なものである。
であればこちらもゴネられる立場ではない、半ば言い負けるような形で布団に包まった。

「それではルルさん、おやすみなさい」

思えばこうして誰かと同じ部屋で眠るのはいつ以来か、寝る前の挨拶ですら久しぶりに口にした気がする。
心なしかいつもよりも温かく感じる布団。覚えのない、けれど悪い気はしない寝心地。
そうしてごく浅い眠りにいつしか落ちるのだろう、次に二人が顔を合わせるのは太陽が昇ってからか。
382名無しさん@おーぷん :2018/08/11(土)23:23:54 ID:9v2
>>381

「……おやすみなさい」

少女はすぐに深い眠りに落ちて、朝までぐっすりと眠れたのだった。差し込んでくる日差しで目を覚ますとクリスが起きているかを確認する為に顔を近づける。

「クリス、起きてる?おはよう。私はご飯を作るけど……いつ帰るの?」

クリスにはまだいてほしいが、仕事できたという彼の邪魔はできない。帰るというなら引き止めることなく見送るだろう。
383クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/11(土)23:39:36 ID:03q
>>382
癖のようなものだ、いつでも眠りから浮上できるように無意識で構えているのは。
だから少しの物音でも脳が覚醒する。僅かな衣擦れに目を開けて、間近に迫ったルルの顔をじっと迎える。
白いシーツに広がった中途半端な長さの髪が、病的な肌を覆って映える。
寝惚け眼など知らないとばかりに、昨晩となんら変わらず感情を映さない紅玉を瞬かせた。

「ええ。おはようございます、ルルさん」
「……そうですね、すぐにでも街に戻ろうかと」

自分まで行方不明扱いされてはたまらない、故にすぐさま出立せんばかりの勢い。
それに報告は早いほどいいだろう、この森に迷いこむ人を減らすためにもだ。
ルルが引きとめないのであれば、朝餉もとらずにあまりにもあっさりと朝焼けと共に小屋を去るのだろう。
384名無しさん@おーぷん :2018/08/12(日)06:00:44 ID:vMh
>>383
>>383

「じゃあさよならだね。クリス、また来てくれるよね?」

去り行くクリスの背に向けて、不安を言葉の端々に滲ませながら。クリスが森を出て行ったあと、少女は手負いの熊を始末してその亡骸を地面に埋めたのだった。
この森が今後どうなるかは分からないが、今はまだ平穏がある。
クリスがまた来ることを毎日密かに期待しながら、少女の毎日は過ぎ去っていく。
385クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/12(日)13:51:23 ID:Tcm
>>384
「……はい。いつか、機会があれば」
「それではまた、ルルさん」

それはあまりにも曖昧な再会の約束。
けれど言葉だけだろうと、交わしたという事実だけは残り続ける。
枝葉から射し込む暁光を嫌うように深くフードをかぶり、最後に一度だけ振り返ってルルへと微かに笑う。
それはいつか少女が己の衝動を克服し、人の営みに加わる事を期するがごとく。
それからは小屋を出て巨木から軽快に飛び降り、昨日つけた標を辿って森を抜けるまで後ろを見る事はせず。
街道へ出てようやく、足を止めて鬱蒼と佇む森を仰いだ。

後日とある森に関して、正式にギルドから人間の立ち入りを規制するというお触れが出る事となる。
対象とならない一部の亜人種が、時折出入りするに留まるようになったとか。

//この辺りで〆でよろしいでしょうか?
//長期間に渡るロール、ありがとうございました!
386ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)21:04:11 ID:oLp
「ふん……この程度の街が、中立を保っていられるとはなっ」

【黒い上等なマントを着て、一応お忍びという風体で顔を黒のターバンで覆っている男が大股で大通りを歩いている】

【男の名はドブゲラテス。隣国の、きわめて好戦的な独裁戦闘国家で千人将を務めている武官だ】
【その国家から密命をうけて、アンシャントの街を歩き、侵略可能かの視察を行っている】
【とはいえ、こうした隠密行動は男の得意とするところではないのだろう】
【マントの下の甲冑をガチャガチャ言わせながら、それでも要害や見張り矢倉といった施設を目ざとく見て回っている】

「フンッ……この程度の街、我が手勢のみで攻略できるッ。
 我が王の命令さえあれば……」

【ブツブツと物騒な事を呟きながら、街を歩く男――】
387ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)21:19:37 ID:cOk
>>386
「ガッハッハッハ! どうしたそんな怖え雰囲気でよぉ!」

【顔は見えず、マントの下からは甲冑の音、それに加えて堂々としたような大股の男】
【少なくともあまり大っぴらに声をかけられる人物は少ないだろう、この人物を除けば】

【男の名はガルバード。アンシャントに滞在しているフルフェイスの兜と薄汚れた外套を身に付けた大柄な男だ】
【背中に担いだ巨大な剣に腕輪を着けた太い片腕は武官の男に負けず劣らずの圧を与えるだろうか】

「攻略ってのはダンジョンでも見つけたか!? ガッハッハッハ!」

【ガバッ、と肩に腕を回そうとするやけに積極的な男、嗅覚が人並みならば――酒の臭いが漂うのがわかるだろう】


【//名前欄の方が正しい名前でよろしいでしょうかー?】
388ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)21:53:59 ID:oLp
>>387

「何もンだ、お前は。無礼な奴……」

【ドブゲラゲスは、酒の匂いにする男をにらみつける】

「ハンッ! 汚い手でさわるんじゃないっ。この冒険者くずれがッ」

【太い腕をまわそうとしたのを、ガバッと片手で受け止める。力が入っている……】
【ドブゲラは相手がギルドで仕事を請け負う者――『冒険者』だと看破する】
【だがこの男は、そうした人々を、正規の仕官が出来なかった者として、下に見ているところがある】

「この街はァ道理で臭いわけだ……昼間から酒を飲み歩いているクズレどもが闊歩している。
 クズが集まる街は、さしずめゴミ箱とでも癒えようかぁ?」

【その受け止めた手の力を、じょじょに入れてゆく】
【力比べを挑もうという形だ――!】
389ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)22:03:12 ID:cOk
>>388

「オイオイ失礼だな、ちゃんと手は洗ってんぞ?」

【力を込めてるならば伝わるはず、この大男は人間にしては皮膚が強く、握られてもあまり気にも留めてないことに】
【ガルバードの態度は「つれねえな」とばかりであり尚更ドブゲラゲスの怒りを買ってもおかしくないだろう】

「…………そりゃ昼間に酒飲むやつも居るがよぉ」
「夜に仕事して昼間に休む奴も居るってのがお前さんにはわかんねえのかっ……!?」

【対してガルバード、出遅れが否めないがドブゲラゲスの腕を力任せに振りほどこうとする。しかし、声からしてどうも不機嫌なようだ】
【それもそうだろう、彼はこの街が気に入ってるのだ。それをバカにされてると酒の入った頭でも理解すれば当然怒る】

「俺に力比べを挑もうたあ良い根性してるじゃねえかお前! どうだ? ここは定番の――――腕相撲と行かねえか!」

【殴り合いとかじゃないだけ、周辺の被害を考えるとマシなのかもしれない。誰が用意したかちょうどいい高さと面積の蓋がついた樽まである――】
【さてドブゲラゲス、この誘いに乗るか乗らぬか】
390ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)22:11:15 ID:oLp
>>389

「つまりそれは……この俺に、”勝負を挑んだ”。そう解釈していいんだな……」

【気がつくと、周囲には人だかりができてきた】
【この街特有のノリなのだろう。「魔法と喧嘩はアンシャントの華」ということわざもあるらしい】

【周囲から、樽が用意される】
【いつの間にか口笛やヤジが飛び交うような輪になっている】
【ドブゲラは、マントを片脱ぎし、筋肉隆々の腕を、樽に「ドン」と乗っける】

「来い、冒険者を名乗る浮浪者……。大剣を見せびらかして歩くようなチンピラに、このドブ……いや、俺が負けるはずァ……ない!」

【武官のクセで、うっかり名乗りそうになる男】
【腕相撲の挑戦を受けるようだ】
391ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)22:23:53 ID:cOk
>>390
【何も言わず、首肯を一つ。フルフェイス兜の奥で笑みを浮かべていることはそれだけで伝わるだろう】

「意外とノリが良いじゃねえか! お前らァ、賭けるなら均等にしとけよ?」

【ガルバードもそれに続き、外套の重なる隙間から出したドフゲラにも負けぬ太さと筋肉を備えた片腕は樽の上に置かれて、自然とドブゲラの手と組まれるだろう】
【まだもう片方の腕はフリー、つまりまだ試合開始ではない。まだこの大男は名乗ってすらないのだから】

「ドブっつーのか……! 俺の名前はガルバードだ、好きに呼びなドブさんよぉ!」

【勘違いをしたガルバード、酒が入って街の中だと油断が多いのか頭が悪くなるのか。これでは言われても仕方ない】
【周囲がガルバードに10だのドフゲラに20だの勝手に賭けて盛り上がる中で名乗れば――】

「それじゃ――始めるぜ?」

【フリーにしていた片手で樽の縁を掴めば――両者はほぼ同時に力を込めるだろう。少なくともこのガルバード、デカイだけのチンピラとは雲泥の差がある腕力でドフゲラを潰しにかかった!】
392ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)22:31:20 ID:oLp
>>391

「ガルバード……なるほど、これから敗北する者の名は、ガルバードというのだなッ!!」

【ガハッと笑い挑発するドブゲラ】
【案の定、ガルバードは目の前の腕相撲に、全力を尽くす!!】
【力の入るガルバードの腕! ドブもそれなりに力を込める】

【しかし……】

【ガン! という音と共に、ドブの手の甲は樽につく。まるで、不意に力が抜けたかのような、そんな負け方――】
【だがその直後、ドブの右肩には突如――ニョキニョキともう一本の腕が出現する!!!】

「ふふ……目先の勝ちはくれてやる!!」

【そのもう一本の腕で、ガルバートが勝った直後の、無防備な頭を思い切り掴もうとし、その頭を樽に叩きつけようとしている!!】
【もし素直に食らうなら、樽を粉々にしかねないくらいの力が込められている】

【卑怯! 残忍! 悪行! そして恥知らずの大勝利!!】
【これが、侵略都市国家【帝国】の”千人将”・ドブゲラゲスのやり方だァ!!!!】
393ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)22:41:13 ID:cOk
>>392
「てめえを負かす男の名かもしれねえがなッ!」

【挑発にはわりと乗ってくるタイプだった。力で潰せそうなら潰すの精神は心得てるガルバードは確かに力を込めた!】

【そしてそれ故にだ。拮抗するやと思われた勝負はあまりにも呆気なく着いた。これにはガルバードも一瞬呆気に取られる】

【しかしそのとき、観客は驚きの声をあげる! ガルバードの勝利に喜んだものもドブゲラの敗北に嘆いたものも一様にだ!】

「ぬがッ!!? ――――――」

【油断! 脱力! それ故の破壊! 樽は無惨にも砕け破片を散らし、提供者だろう男が悲鳴をあげる!】
【しかしガルバード、フルフェイス兜のお陰か直接的なダメージは少ないと言えよう。いや衝撃はかなりあったが――】

「――――お返しだゴルァッ!!!」

【その攻撃が成功し、ガルバードが一時停止していた以上少なからずドブゲラにも喜びはあっただろう、その一瞬をつきガルバードは】

【なんと言うことでしょう、わざわざ立ち上がってから意趣返しの如くドブゲラの頭をつかもうとするではありませんか。勿論やることは――樽の残骸の上に叩きつけることである】
394ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)22:46:57 ID:oLp
>>393

「そのお返しは結構――!!」

【わざわざ立ち上がる、そのスキに、その掴もうとする手を掴み返すと……】
【思わず反撃するほど興奮し、しかも酒を飲んでいる相手……お留守であろう足元の脛を、鋭く蹴ろうとする】

「貴様のようなクズのチンピラに、この帝国の千人将・ドブゲラゲス様が――敗れるものかぁ!
 ――ハッ!!」

【大声をあげて……しまったという顔】
【そもそもが、隠密での偵察――それが群衆を集めて、チンピラ相手に立ち回りをし、挙句名乗り上げてしまうという愚挙……!!】

【ガルバートがどうなっているかは定かではないが、今度こそスキアリなドブである。】
395ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)22:53:12 ID:cOk
>>394
【その時、ドブゲラは違和感を覚えるかもしれない。この男、酒が入ってるにも関わらず一瞬蹴りに抵抗したような力強さがあることに】
【しかしだ、その違和感を帳消しにするように大男は意外にもすんなり地に転がる。頭は打たないし、ましてや気絶するわけでもない、おーいててとばかりだが】

「………………」

【千人将? 嘘だろ? 等々ここが中立地帯であるためかドブゲラを見る目は様々だ。恐れるものや何してんだよ的なもの、しかし中にはスッゲー! と目を輝かせる子供もいる】
【そんな愚挙をしているとガルバードは少しも思わず、なるほどだからかとばかりに軽々と立ち上がると】

「千人将言うならもうちょっとやり方考えやがれぇッ!!」

【背後より後頭部へと向けられるのは固いフルフェイスヘルムと力強さから放たれるTHE・ヘッドバッド!!】
396ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)22:59:39 ID:oLp
>>395

【ゴン!】

【と、鈍い音……】

【放心状態のドブの背後に回ったガルバードは、ドブの後頭部に渾身の頭突きをくらわせる】

「!?」

【完全に相手を見失っていたドブは、ノーガードであり、また防具を頭に仕込んでいるわけでもなく、その衝撃をモロに食らうと……】
【スコーンと、失神してしまった……】

【倒れるドブ。白目をむき、泡を吹いている】

【群衆たちは、なんだかよくわからないが、大騒ぎだ!!】
【樽を壊された気のいい主人は怒り狂う!】
【子供たちは倒れたドブのマントを触りまくり、中にはむしり取る!】
【大道芸人があらわれて口から火を吐く!】
【目ざとい酒場の商人が麦酒を押し付け金をせしめる!!】

【アンシャントのギルド大通りは、今日も華やかな混乱に満ち満ちている!!】
397ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)23:09:19 ID:cOk
>>396
「……ふー、……酔いが醒めちまったぜ……!」

【相手を失神させておいてこの台詞、なんという荒さだろうか】
【流石に樽に頭をぶつけたり転倒したり相手に頭突きを食らわせたりすれば酒も抜けるというものだが】

「……オイオイちび共! 流石にむしるのはやめてやれ!」
「お、麦酒か! 勝利の酒だ俺にも飲ませろ!!」

【怒り狂う主人は無視!! 当然だ用意したのはあくまで観客たち! ついに主人は近くのお調子者に掴みかかり嫁さんにひっぱたかれた】
【そしてガルバードは金を払って麦酒を共に飲みつつ子供には一応の注意だ、流石にそれは不味いと思うらしいが止めはしない!】

「ガーハッハッハッ! おっ、衛兵じゃねえか! お前ら言い訳よろしくなぁ!!」

【流石にそんな大騒ぎをすれば見回りの兵士、それに近い者達が向かってくるのは当然のこと。道のど真ん中なのだから】
【さすればガルバードが行うのはドブゲラを担ぎ上げて混乱の後始末を観客に押し付けるとその場から離れるのであった!】

【さて、ドフゲラだがもし目覚めないのならば彼の馴染みであるギルドに文字通り担ぎ込まれたことになるだろう、優秀な治癒師も居ることなので――よほどの怪我でもない限り目覚めるのは日中になるだろう】

【//お続けする場合はお任せしますよー】
398ドブゲラゲス/四本腕の武官 :2018/08/13(月)23:13:49 ID:oLp
>>397

【ドブゲラに食らわせられた一撃は、余りにも重く――】
【かなりの重症だった模様で、日中になっても目を覚ますことはなかった】
【困り果てた衛兵たちだが、とりあえずギルドに放置し、治癒師の治療に期待しつつも……どうも治癒師は油汗を浮かべている】

『いったい、どんな殴り方をすれば、こんなアタマになるんですかねェ』

【とは治癒師の談……】
【とりあえず、この男が目覚めるまで、ギルドの最下層の宿泊ベッドは、変な形の頭の男に占拠されることになったという話である】

//こんな感じで〆で!
399ガルバード/外套纏った大男 :2018/08/13(月)23:17:12 ID:cOk
//>>398ロールありがとうございました!
400軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/14(火)23:43:25 ID:ido

「……報告を取りに来ただけだ。そう身構えるな。」

集う勇者たちの喧騒に埋め尽くされている筈のギルドは、今日に限っては静寂に満たされていた。
カウンターに立つ一人の女性。周囲の男性に劣らぬほどの身長を持ち、だがその手足は、躰は女性的な線を描いている。
軍帽の下には刃のような眼。静かに、しかし精悍な雰囲気であった。

「そうは言われても無理があるでしょうよ。
 そんな物を見せびらかすように着られちゃあ。」

応対していた男が吐き捨てる。
彼女が纏うマントの中心に刻まれた紋章。『尾を喰らう龍』と『天秤』。それが意味するはつまり。
『統魔機構』―――このアンシャントを治める組織の一員であることを意味していた。

幾つかの会話を済ませた彼女は、ギルドから立ち去ろうと扉に手をかける。
めったに姿を現すことのない立場の人間。彼女になにかをぶつけるならば、そうない機会であった
401クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/15(水)22:00:36 ID:yUc
>>400
女が開いた扉の向こう、今まさに扉を開けようと手を伸ばしていた子供が一人。
黒いローブのそれは女よりも大分背丈が低い。小脇には真っ黒い布で包んだボールのような何か。

「――すみません」

咄嗟に道を譲ろうと一歩下がりながら、かぶったフードの奥の紅い瞳が女の全身を貫く。
そうして女のマントに目を留め、意外に思ったのか中性的な顔立ちが束の間きょとんと。
しかしなるほど、普段なら外まで漏れ聞こえてくるギルドの喧騒が、今日に限って聞こえてこないのも納得というもの。

「……貴女のような方がここに来るとは珍しい。何か問題でもありましたか?」

そんな張り詰めた空気だというのに普段通りの態度、あまつさえ声をかけるのだから、周囲の注目が集まるのも当然の事だろう。
より高額な報酬を求める冒険者達でさえ一歩下がっている中で、ともすれば自分を売り込んでいるようにも取れる問い。
所謂お偉いさんを前にしても臆さず謙らず、ただ無表情のまま首を傾げた。

//よろしければお願いします…!
402軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/15(水)22:43:07 ID:86w
>>401

「死の森の魔素について、他にも幾つか興味深い報告はあったな。
だが、長い目で見れば特別異常な事態でもない。」

目線を落として、その小さな戦士に向けて言葉を返す。

「少なくとも、君のような子供に頼るほどの事態はないな。」

意味はつまり、なにも問題ないということ。
軽く子供として扱っているが、クリスの実力を見抜けないでいるとも考えづらい。
それが出来ない無能な権力者か、もしくは実力はともかく子供は子供として。そんな頭の堅さだろうか。

クリスがそれなりに長くギルドに出入りしていれば、彼女のような立場の人間が出てくることなど今まで無かった。
その事実だけで、彼女の言葉の意味の否定材料になる。確実に、なにかがある。
403クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/15(水)23:03:01 ID:yUc
>>402
さすが耳が早いと言うべきか、つい先日上がったばかりだろう報告を既に頭に入れているあたり幾分か真面目な性分らしい。
少なくとも冷やかしやそんな類が目的ではない事くらい、それこそ子供だって分かりそうなもの。

「それは結構な事です。ですが……」

じっと、女の鋭い探るような視線をこともなげに受け止める。
街の権威者、統魔機構のシンボルはこの街に住む者なら赤子でも知っている。それはクリスとて例外ではない。
その権力者が問題ないと言うのだ、であれば誰であれ引き下がるのが上策というもの。何も好んで藪をつついて蛇を出す必要などないのだ。

「僕達にとっては貴女がここにいる事、それ自体が異常です。何かあったと思うのは当然でしょう」

が、クリスはその違和感を言葉にする。何か間違っているだろうか、とでも言いたげに反応を窺う。
静かに見守っていたギルド内の誰かが息を飲んだ。おそらくは誰もが思っていただろう事を口に出したのだ、知らず空気が張り詰める。
この場にいる誰もが、統魔機構がわざわざギルドに足を運ぶなど初めてなのだ、その理由を追及するのは言ってしまえば身の程知らず。
しかしそれを咎めようとする者もなかなか現れない辺り、一見子供であろうと実績はあるのが窺えるか。
404軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/15(水)23:25:56 ID:WW9
>>403

「………子供は苦手だ。実力があるなら尚更だ。」

暫し黙った後、諦めたのかため息と共に吐き捨てた。

「死の森の報告には目を通したか。
魔素を放つ、意思のある存在が居るらしいな。」

その口は重々しく。元はと言えば隠し遠そうとした話、決して気分の良い話ではないのだろう。
意思のある人の驚異、それが放っておいてくれと言われただけでその通りにできるはずもない。
それがこの先、友好的に住み分けられる保証などどこにもないのだから。

「その"対象"を確保、最悪"処分"する。
そのための戦士を募るつもりだ。」

重々しく、しかし無感情に。彼にとっては、残酷かもしれない言葉が告げられる。
統魔機構の目的は、そのエンブレムが示すように、秩序と安寧を永遠とする事なのだから。
405クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/15(水)23:41:45 ID:yUc
>>404
子供だからとケチをつけられるのは慣れっこだ、遅々とした成長速度では大人になるにも長い長い時間を要する。
そうしてどこかが摩耗してしまったものだから、女の辟易としたような物言いもどこ吹く風。
しかし続く言葉にはほんの一瞬、ひくりと眉をひそめた。
ああ、だって――そうなっては意味がないじゃないか。

「あの森の魔素はかなり濃い。人間では立ち入る事も難しいと、そう報告したはずですが」

情には訴えない。そんな事をしてもなんの意味がないと分かっているが故。
大勢の正義を是とする組織に、たった一人の幸せだけを盾にしたところで呑まれるに過ぎない。
だから理をもって反論する。種族的に見て、人間ではその任務は遂行どころか取りかかる事すら困難であると。
暗に調査に出向いたのは自分であると含ませる、進言に少しでも価値を持たせようと。
406軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/16(木)00:06:20 ID:Mbc
>>405

「成る程、あの報告は君のものか。
……周囲の反応にも納得がいく。」

嘗て死の森と呼ばれた、その名の意味を解明したのがまさか子供だとは思わず。
あまり表情のある女でもなかったが、それには素直に関心を示す。

「誰も彼もを送り込むなら依頼を出せば事足りる。
態々統魔機構が顔を出すには、それなりの精鋭を用意するよ。」

人は本来魔素に耐性を持っているが、あくまで軽いもの。空気中にウイルスが混じっていようが無関係に過ごせる免疫がある。それと同じ。
魔素の全容は明らかになって居ないが、強い魔力を持つものであれば魔素耐性も強い傾向がある。
人選次第では決して死の森の探索は不可能ではないし

「幸いアンシャントは人間だけの国ではない。
人間に飛び込めない場所ならばそうでない者を募ることもできる。
この状況に於いて最悪は、その魔素が人里に降りる事以外に無い。」

魔素の基が意思を持っている、それが何よりの懸念なのだ。絶対に人に仇なさない保証など無いのだから。

「………処分はあくまで最悪だ。
出来る限り穏便に済ますとも。統魔機構は決して人だけを守る組織ではない。」
407クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/16(木)00:29:11 ID:dv4
>>406
「……あそこは魔獣だけでなく、普通の獣も襲ってきます。人間なら傷を負わず対応できる人がいいでしょう」

そう、魔素が悪影響を及ぼすのはあくまで人間など大多数の種族だ。
クリスのようなヴァンパイアを含んだ邪悪たる属性を持つ種族にとって、魔素のデメリットはないと言ってもいい。
そんなのは分かっていた事だ。どうやらこの女はそこに気がついていないほど、頭が固い訳ではないらしい。

「できれば魔素の影響を受けない者が理想でしょうか」

となれば後は時間を稼ぐしかない。提唱するのは募る種族と実力に制限をかける事。
人材の募集に手間を取らせれば、森の魔女が魔素から解き放たれるのに間に合う確率は格段に上がる。
無論出任せなどではない。森に棲まう魔獣らによる負傷が原因で魔素に侵される危険は、一考してしかるべきのはず。
言葉にこそしないが人間でさえなければ、交渉相手も平静を保つ事ができるのだし。
408軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/16(木)00:49:52 ID:Mbc
>>407
「無論そのつもりだ。種族、実力共に選別せねばなるまい。
あまり時間はかけられないがな。」

魔素が人里に満ちる時、極端な話をすればそれは明日かもしれないのだから。
慎重に、かつ迅速に。最短の行動でなくばならない。

「懸念があるなら聞かせてもらう。
君はこのクエストそのものに肯定的でないようだが。」

理論を並べて、極めて理性的に。しかし感情の一切がないようには聞こえない。
少年はそもそもこの事態そのものを嫌っているように見えた。その事情までは知り得ないが

「報告書にない事で、言うべき事があるなら是非とも聞かせてもらいたい。」

言葉以外の意味はない。煽るわけでもなければ、疑っている訳でもない。ただ必要だから言うだけだ。
口ぶりからするに女は魔女の事を把握している訳でもなければ、彼が見た全てを把握しているわけでもないようだ。
409クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/16(木)01:11:07 ID:dv4
>>408
言ってしまえば、だ。
統魔機構が死の森について知っているのは、自分が報告した内容だけだなんて思っていない。
ついでにそれを鵜呑みにしているだろうと楽観視もしていない。
もしかしたら自分以外に調査から生還した者がいる可能性だってあるし、統魔機構直属の諜報機関があってもおかしくはない。
つまるところ、根っから信用している訳ではないのだ。
だから情報はそう簡単に開示しないし、出来るだけの探りを入れようともする。

「いえ、まさか。僕だって魔素がここまで広がるのは困ります」
「ただあの森に向かうなら、慎重に事を進めるべきだと思っているだけです……余計なお世話だったようですが」

嘘は言っていない。クリス本人は影響を受けないとはいえ、暮らしの場を魔素に奪われるのは極力避けたい事。
死の森には魔素以外の脅威が多く、人選から既に万全を期する必要があるのも事実。
ただ伝えていない事もいくつかあるだけで、その一つをそれとなく零した。

「ですがもし……魔素が広がってしまう前に、放出そのものが止まるかもしれない、としたら」

森の魔女が確保で済む、とはクリスは到底思っていない。であれば最後の悪あがきとばかりに、その無害化をそれとなく仄めかすのみ。
とはいえ子供の言葉を信じたとしても、その先にあるのは最早博打に近いもの。
410軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/16(木)01:35:39 ID:Mbc
>>409
//すいません、眠気で上手くかけなくなってきたので一旦凍結でよろしいでしょうか?……
411クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/16(木)01:38:59 ID:dv4
>>410
//了解致しました!そちらの都合のいい時に返信していただければっ
412軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/16(木)21:16:22 ID:Uif
>>409

「可能性があるなら考慮するさ。
 我々の居住範囲に魔素が及ばなければいい。」

それが第一の目標であるならば、処分も決して確実な手段ではない。
戦闘をトリガーとして何かが起きる可能性だってある。であれば、その原因そのものを取り除いてしまえるならば一番いい。

「決して最初から殺すつもりで行く訳じゃない。
 我らの目的はこの街の守護。魔の首を狩り掲げる、英雄のつもりは無い。」

「君にはその可能性の詳細を聞きたい。できれば森にも同行してもらいたい。
 あの森に潜入し、生還し、報告まで出せたのは君だけなんだ。」

//すいません、遅くなりましたがよろしくお願いします!
413クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/16(木)21:55:18 ID:dv4
>>412
その理想がいつか欲に眩んで汚れてしまうのか、見物だなんて言えるほど他人事ではない。

「僕は何も知りませんよ。あくまで、もしもの話ですから」

これも嘘はついていない。あっけらかんと、誤魔化しの様などまるで見せない。
感情を映さない面持ちのまま微かに目を伏せ、要請にはしばしの間思案。
ある意味ここが分水嶺だろう。自分が同行する事でどう転がってしまうのか、分かる術などあるはずもないのだけれど。
例え同じ結果に至るとしても、その過程さえ大きく変わってしまうだろう事は直感できた。

「……分かりました。その時になったら、声をかけてもらえれば」
「もちろん他の依頼でも、僕に出来る事でしたらなんでも引き受けます」

やがて観念したかのように短く嘆息。これがどんな未来に繋がるかなど知った事ではないと吐き捨てんばかりに。
しれっとアピールも忘れない。顛末を見守っていた冒険者がお偉いさん相手によくやる、と首を振った。
414軍帽の女性◆2NC8z9kx8k :2018/08/16(木)22:39:41 ID:Uif
>>413
「頼もしいな。
 ただの子供という訳でもないのだろう、頼らせてもらう。
 私は戦闘向きではなくてね。ありがたいよ。」

小さく微笑む。最後まで、彼女が少年に悪意を向けることはなく。
組織の理想が腐り落ちたとして、そこに居る人の理想までもが腐る訳じゃない。

「依頼書にして張り出すつもりだったが、もうその意味もなさそうだな。
 改めて、ここに宣言させてもらう。
 
 ――――――死の森、感染源の排除をここに発令する!!
 対象の正体は不明。命の保証はない。
 報酬は名誉と金だけだ。そのためだけに、立ち上がる戦士のみを募らせてもらう!!」

これにて正式に、死の森の感染源排除が以来として発令された。
屈強な男たち、あるいは知識を蓄えた魔術師どもが一斉に名を挙げる。
名誉のために、金のために命を懸ける者。冒険者。彼らに退く理由などなく。

//この辺りで一度〆でよろしいでしょうかっ!
415クリス ◆5smbHugP7o :2018/08/16(木)22:56:22 ID:dv4
>>414
女の高らかな宣言に、一斉に色めき立つ冒険者達。
いざ誉れのためだの、いやあの死の森にだなんてだのとギルドはにわかに騒がしくなる。
そんな中でもクリスは笑い返す事なく憮然としたまま、女から意識を逸らさない。

「ええ、その時をお待ちしています」

これは偽りとは、一概には言えなかった。
統魔機構からの依頼となれば最上級もいいところだ、難度は高いだろうが報酬も非常に期待できる。
けれど死の森への突入に関しては、できる事ならなるたけ遠退いてほしいという心情もどこかにあった。
もっともそんな複雑な気持ちも、表情には一切出していないのだろうが。
話は終わりと、女の横を抜けて騒ぎをかいくぐり、ギルドの奥へと向かうローブ姿。布に包んで小脇に抱えた討伐対象の一部を引き渡すためだ。
一度だけ、女に振り返って小さく会釈を見せた。

//そうですねー、ロールありがとうございましたっ!
416外套纏った大男 :2018/08/17(金)20:01:57 ID:cV9
――場所は立ち入り禁止の看板が立つ例の森。今では発令も制限もかかっているそこにガルバードは武装十分にやって来ていた。
森の前で小瓶に入った酒を飲み、乾すとそれを外套の下の懐にしまって乱雑に口元を拭う。

「……かーっ。にしてもまあ、死の森か。随分大層な名前が付いてるもんだな」
「まあ問題は潜入がバレるといけねえって事くらいだが……まあ大丈夫か」

ギルド、または別の場所でも彼が依頼を受けたなんて話は誰もしない。あるのは何があったのか聞いて回っていたことくらいだ。
その時、勇敢とも言える少年の話題に興味津々だったりこの森の事を聞いて笑っていたりといやに機嫌は良かったという。

「まあそいつがそこまで庇うってことは中が気になるってもんだよな、さてさて蛇が出るか邪が出るか楽しみなもんだ――」

巨剣も兜も薄汚れた外套も。情報として捉えるのは十分過ぎるその大男がそこに入っていく姿を目撃した、または先駆者でも居るのだろうか?
さておき大男は『死の森』へと踏み入るのであった。
417名無しさん@おーぷん :2018/08/21(火)07:47:27 ID:jWJ
レイスお前掛け持ちしすぎだ参加頻度落とせ

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