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二〇八〇年ネオ・ギオン

1名無しさん@おーぷん:2018/08/26(日)14:20:01 ID:0px()
「退廃的で快楽主義的な楽園、ネオ・ギオンへようこそ」

◆ストーリー◆
西暦2080年、日本は超バブル経済の訪れによって再び大量消費時代へと突入しました!
戦後最高レベルの技術ブレイクスルーが生んだ混沌は、日本最大の歓楽街を中心に渦巻いています。
眠る事のない街の住人となり、暗い室内に窓から差し込むネオンの灯りに顔をしかめ、
大量の酒でクスリを嚥下し、欲望と衝動に溺れ、ゆるやかに迫る滅亡の時を楽しみましょう。

◆ネオ・ギオンについて◆
ネオ・ギオンへようこそ。ここは2080年の日本で最大の歓楽街。
ここでは純粋な人類の他、アンドロイドを初めとするロボットや、遺伝子治療によって誕生した獣人など多様な種族が暮らしています。
ヤクザやギャングが闊歩するストリートでは重要物資やVIPの護衛として、傭兵や雇われの用心棒が重宝されます。
街にはバーやディスコ。クラブハウスに風俗店などの商業施設が沢山。空にはホログラムが輝き、街は音楽が絶えることがありません。
確実に訪れる破綻と現実を賑やかな夢で覆い隠す、80年代のきらびやかで淡いジャパニーズドリームをもう一度お楽しみください。

◆キャクターシート◆
【名前】(キャラクターの名前。偽名や通名も可)
【性別】(キャラクターの性別。中性なども可)
【種族】(キャタクターの種族やインプラントの有無など)
【外見】(キャラクターの容姿や服装)
【装備】(キャラクターの持つ装備とその説明)
【概要】(生い立ちなど)

◆ネオ・ギオンの歩き方◆
・ここは『ブレードランナー』、『AKIRA』、『RUINER』、『VA-11 Hall-A』などから着想を得たなりきりスレです。
・世界観は『サイバーパンク』や『レトロフューチャー』がメインです。過度な脱線はご遠慮ください。
・版権キャラクター及び、別スレで作成したキャラクターの流用は原則として禁止させて頂きます。
・確定ロール及び中の人に対する攻撃的な言動はお控えください。
・中の人同士での会話には//(スラッシュ)をご利用ください。
・R-18要素を含むロールは本スレで行わないでください。必要な場合は、別途でロールスレを設けますのでそちらへお移り下さい。
40NkDBlO3els :2018/09/08(土)08:45:01 ID:ZXg
>>39
//はい、是非とも!
流れ的にこちらからでしょうか?
今日なら昼過ぎ以降からお相手出来そうですので、その頃投下しますね
41草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/08(土)12:54:51 ID:yDs()
>>38
「ハンマーヘッド〇ーティ………!?」

【浪漫あふれるその外見は人々の視線を引きつけて余りある迫力を持つ】
【その例に漏れず草薙灯弥子(ヒミコ)は彼の頭部に視線を釘付けながら言葉をもらした】

「いえ、失礼しました………何かと見間違えてしまったようで。
失礼ついでに一杯、奢らせていただけませんか」

【慌てた様子でそれを正すと、容姿に対して直接言及したことを謝罪】
【彼の気に障っていたらどうしようと考えつつ、一杯奢る事を謝罪とした】
42ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/08(土)14:54:10 ID:7xX
>>40
/そうですね、お先お願いすることになりそうです。
/日中は少しペースが遅くなりそうですが、今日からでも可能ですよ~
43NkDBlO3els :2018/09/08(土)17:30:17 ID:c0t
―――前回のあらすじ

闇取引の現場からトランクを強奪する依頼を受けたホットショット。
トランクを回収に成功したが、最新鋭の戦闘兵器『モーターズワイ』の追跡に遭う。

激戦の末ズワイを破壊したホットショット。
トランクは奪い返されずに済んだ、が……
戦闘の衝撃でトランクの蓋が開き、中身を見てしまう。
それは、誰のモノとも知れぬ謎の電脳ユニット。

得体の知れないブツだが、まずは依頼主へと引き渡すべきか……

※なお、生体維持装置も兼ねたトランクから分離された電脳ユニットは、
このままでは数時間でバッテリーが尽き脳細胞が死滅してしまうだろう。

//ちょっと遅くなりました、改めてよろしくお願いします
44ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/08(土)18:10:14 ID:7xX
>>43
「これで半日は保つかな」
「規約には義体に接続するなって書かれてないし……」

亜人の運び屋ホットショットは隠れ家にて、電脳の電源確保に腐心していた。
両手足のない義体の頭部に電脳を据え付け、内部のバッテリーで記憶領域の保存を図っているらしい。
もしも電脳が人格を持っているのであれば、最初にその視界に映るのは彼の満足げな笑顔であろう。

「おはよう、気分はど?」

義体は電子スキンにより、衣服や顔つきなどがフレキシブルに変更でき、電脳所有者の外見に似せることもできる。
すなわち電脳の中に封印されている人物は、ホットショットと言葉でやりとりが可能であるということだ。
もっとも、電脳がデータバンクとして利用されていた場合には、ただ無為な文字の羅列だけがその口から溢れ出るだけなのだが。
45NkDBlO3els :2018/09/08(土)18:23:21 ID:c0t
>>44
義体に電脳が装着され、神経回路の接続が始まる。
幸いにして脳細胞に損傷は無く、接続作業は問題なく進んでいく。

同時に、脳細胞からDNA情報を読み取り、持ち主の外見を疑似的に復元していく。
電子スキンが構成したのは、長い銀髪の女性の姿。
歳は10代後半から20代前半と言った所か。

電脳の再起動が済み、女性がその紅い目を開く。
まだ意識が朦朧としているのだろう。
ホットショットの呼びかけには応えず、
座り込んで首を傾げ、ぼんやりとしたままだ。

果たして、この女性が裏で取引されていた『ヤバいブツ』なのだろうか。
46ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/08(土)19:31:36 ID:7xX
>>45
「なんか……意外と可愛い?」

今まで電脳の運搬を何度も請け負ってきたが、マフィアのボスであるとか大物政治家だとか、そういった厳つい人物の方が多かった。
一方彼女、威厳がないと言えば失礼だが、目の前の彼女はこれまでの顧客とはまるで似ても似つかない。

「もしもーし、聴こえてたら返事してよね」

故に目の前で手を振って女性の反応を待つ。ヤバイサイボーグの電脳であったり、生体兵器である可能性を恐れたのだ。
義体に四肢はまだ着けない。彼女に敵意がないことが分かるまではこのままだ。

/すみません、お待たせいたしました。
/申し訳ないのですが、今日は置き並みの速度での返信になりそうです。
47NkDBlO3els :2018/09/08(土)19:43:15 ID:c0t
>>46
「………??」
少女は困惑した様な表情を浮かべ、辺りを見渡す。
それもそうだ、四肢をもがれた状況で目を覚まし、
あまつさえ目の前にはトカゲ人間。

「………ふぁ……ふぇ……?」
返事、らしき声を出す。
もしかすると言葉が分からないのか……。
電脳を通じ、言語プログラムを書き込めばあわよくば喋られる様になるだろうか。

//はい、構いませんよ!
 私も気づいたら返信、くらいの速度になりそうです
48ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/08(土)23:26:37 ID:7xX
>>47
「おーい、聞こえる?」
「ダメだ……言語野の再調整がいるね」

ホットショットの亜人率はそれほど高くなく、例えるならばコバルトのような濃い青の肌をした人間といった所だろうか。
確かに目の大きくフェミニンな顔つきと尖った耳など、普通の人間と異なる箇所は大きいが……
しかしオーガやテングの類のような、一見して恐ろしい外見でないことは間違いない。

「こうして一旦……言語をデコードしてやれば……」
「よし、喋れる?」

「ウチはねぇ……ホットショット、運び屋さん!」

こうして義体の再設定を行なっているぶんには敵対的な態度は取らない彼女であったが、実際に言葉を交わすまでその人柄を知る事はできない。
だからこそホットショットはまだ手足をお預け、義体の女に対して少しだけ警戒心を抱きながらも、自分の身分を明かした。
49NkDBlO3els :2018/09/08(土)23:41:40 ID:c0t
>>48
「―――っっっ!!???」
電脳内でプログラムが書き換えられ、
一瞬びくびくっ、と身体を跳ねさせた。

「ほぁっ!?
 ………ほ、ほ、ほっとしょっと??」
どうやら言葉は通じる様になったらしい。
少女は、唐突に理解できるようになった言葉や、
自分が発した声自体に驚いている様で、しきりに眼を白黒させる。

「こ、こ、ここ、どこ?
 ……手、足、無い、無い……」
状況の整理がつかず、酷く混乱している様である。
身体を起こそうと身を捩るが芋虫の様に這いずるばかり、
そしてようやく手足が取り外されている事に気がついた様だ。
50ハンマーヘッド :2018/09/09(日)11:16:23 ID:l1c
>>41
「ここら辺で俺の顔にビビられんのも久し振りだな」

自分の頭部に視線を感じながら、イスルギは大量に吸い込んだ紫煙を蒸気機関めいて吐き出した。
その顔は草薙には向けられていないが、頭部では旧式の計器が必死になって動き回っている。

「治安維持組織が何の用だい?言っておくが非合法な事はしてないぜ俺は」
「……後ろのテーブルの奴の方がよっぽどだと思うがな」

グラスを傾け、琥珀色の酒と燃料が混ざった混沌とした混合液を飲みくだしながら、イスルギは草薙に言った。
彼の行なっている『破壊屋』(ブレイカー)という仕事は、簡単に言えば解体屋である、依頼を受ければ建物や機械を破壊する。
───フリーの破壊屋である彼は、それらの物のみならず、『他のサイボーグ』を破壊する仕事を請け負う、という噂もあるが。
51草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/09(日)11:53:30 ID:vHD()
>>50
「いえ、ただ単に………その風貌に興味を持っただけでして」

【朗らかな笑顔ながらも、その眼は笑っていない】
【イスルギの背後へと向けられた視線より放つ威圧】

「それに―――
ああいった輩も、この界隈には多いものですから」

【それは彼の証を狙うスリへと向けられたものであり、単純明快な脅しのサイン】
【自分の目の前で罪を犯せばどうなるかを知らしめるように、レイピアを握る】

「破壊屋さんなのですね、アナイアレイター(非合法)ではなくブレイカー(合法)、と
この時代にまだ良心的な破壊屋さんがいるとは、少し感激です」

【スリが諦めたように店から立ち去ると、再び草薙に穏やかな笑顔が戻る】
【草薙は先ほど頼んだバーボンのガソリン割りが到着すると、イスルギへそれを差し出した】
52ハンマーヘッド :2018/09/09(日)13:54:34 ID:ub8
>>51
「おー怖、厄介ごとは俺の近くで起こさないでくれよ」

スリを撃退した草薙の鋭い視線を横目で見つつ、茶化すように呟いた。
とは言え、もしスリが行動に移ろう物ならその前に彼の鉄拳が炸裂していたであろう事は想像に難く無い、それを考えれば草薙の行動は穏便な行動であったのだろう。

「良心的か…どうかな、俺も治安維持局にパクられたくないから合法的にやってるだけさ」
「それに運も良かった、旧式の戦闘サイボーグがつける仕事なんて限られてる、場合によっちゃ俺も犯罪に手を染めてた」

草薙から差し出されたグラスを傾け、アイシングメタルを液体の中で転がしながら彼は語る。
彼のような旧式の戦闘用サイボーグはこの街に複数人居て、戦闘しか能のない彼等がどう生きるべきかというのが問題視される事もある。
時に犯罪に手を染めざるを得ない者も少なくない中で、合法的な仕事が出来るイスルギは運の良い方だと言えよう。
53草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/09(日)14:38:09 ID:vHD()
>>52
「もちろん。私の周りで厄介ごとが起きなければ」

【草薙は琥珀色のスピリッツを流し込みながらイスルギの言葉に聞き入っている】
【勿論暴力沙汰も得意だが、それでもなるべく穏便に済ませた方が良い】

「それは、私のようなオーガニックヒューマンにはまだ無縁の問題ですね」

【草薙の言葉は一見してイスルギを挑発するようにも聞こえる。しかし本質はそうではない】
【彼女は知っている。いずれ支配層である自分達が機械に取って代わられることを】
【だからこそイスルギの過去を、その訪れに対する教訓としてその身に刻んでいるのだ】
54ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/09(日)14:40:13 ID:KZH
>>49
「大丈夫だよ、キミ、自分が誰か言える?」
「そしたら手足、付けてあげるから」

電脳の少女の口ぶりは、まるで自分がこれまで人語を解さなかったようなものであり、
それはホットショットに違和感を感じさせた。だからこそホットショットはアプローチを変えて。
少女に自分が何者なのかをハッキリと言わせるまでは、義体の行動手段を著しく絞ったままでいた。

「ほら……まずは手からね」

ただし少女を信用させるため、左手のみを義体と接続する。
戦闘用のサイボーグであった場合、これだけでホットショットを殺してしまえるが、その是非は。
55NkDBlO3els :2018/09/09(日)14:48:32 ID:KQD
>>54
「自分、誰……誰……
 ………た、たー………たま……?」
舌ったらずな口調でようやくでてきた『タマ』という単語。
ありがちなペットの猫の様なこれが、少女の名前なのだろうか。

「ふぎっ!!?」
左手が接続された際、一瞬走る痛みや違和感。
一瞬の刺激に、眼をぱちくりさせる。

「手……生え、た……?」
まだぎこちないが、思うままに動かせる手が生えた事に、
この世の奇跡を見るかのような表情だ。

義体技術の発展したこの時代、こんなことは特に驚くような事では無いが、
少女はまるで初めて目の当たりにしたかのようである。
56ハンマーヘッド :2018/09/09(日)15:44:10 ID:ub8
>>53
「羨ましいね、もし過去に戻れるなら俺は体を改造しようとしている俺をぶん殴る」
「…….もっとも、この手でぶん殴りゃ死んじまうけどな」

【グラスから口を離し、息を吐くと、アルコールとガソリンの揮発が混ざった吐息となる】
【そんな状態で煙草なんか吸って引火しないのか、見ているだけでもヒヤヒヤしそうだ】

「最近の治安はどうだい、スラムは何時も変わりゃしねえけどな」
「ブロスディアノ・ファミリーと怒龍会が何処だかの土地を巡って一触即発だの、中嶋組の若いのが上に隠れて違法薬物捌いてるだの、いつもの調子さ」
57ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/09(日)16:00:13 ID:KZH
>>55
「タマ……?」

命(タマ)取るぞという意味合いだろうか、ホットショットは訝しんだ。
しかしそれが彼女にとって名前に等しいものであると気が付けば、なるほどと手を叩いて納得した様子。
そのまま残りの手足をつければ、彼女を自由にしてやるだろう。

「タマね……ハイ、タマ」
「もしよかったら、このままオヤシキ・インダストリーズまで付いてきて欲しいんだけど」

彼女が人間としての姿を取り戻せば、ホットショットは本題に入る。
このまま依頼主の元へ届けるべきか否かについて彼女の意志を聞きたいのだ。
電脳の売買は一発死刑クラスの重罪であり、告発されれば自分の身が危ない。
ヤバすぎる仕事は切っておいて徳はあっても損はないだろう。
58NkDBlO3els :2018/09/09(日)16:12:01 ID:KQD
>>57
続けて手足の接続。
慣れない電気刺激が数度、彼女に走れば、
四肢を取り戻しよろよろと立ち上がる。
電子スキンが彼女の外見を再構築し、
所々機械的な部分が露出していたボディは、
質素な白い服を纏った少女へと姿を変える。

「ほっとしょっと。
 おまえ、すごいな。足も生えた。」
義体の四肢を接続しただけ、ではあるが、
ホットショットが四肢を再生したかの様に少女は思ったのだろう。
驚きに目を見開いて亜人を見つめるのであった。

「オヤシキ?
 ……ついて……いくー……。」
どこまで理解しているのかは分からないが、
ともあれホットショットの指示には素直に従いそうである。
少女の正体は何なのか……それは少女自身も分かっている様子は無さそうだ。
59ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/09(日)16:24:36 ID:KZH
>>58
「凄いのはウチってよりかは、ここの技術だけどね」
「じゃあ行こっか、お客さんが待ってるから」

苦笑しながら少女のそんな言葉に返す。いよいよ彼女は義肢やサイバネティクスに関して無知なのだろうとホットショットは頭を抱えていた。
義体も知らない古代人?それとも生まれて間もない人工知能、あるいは異世界からの漂着物?
そんな妄想を頭に巡らせながら、彼は重い腰を上げるとタマを連れて隠れ家を後にする。

「得体は知れないけど……暴れないなら、まぁいっか」

80年代風のレトロなヘッドホンを付けると、カセット式の音楽プレーヤーを起動。
a-haのTake on Meを聴きながら少女の手を引き、取引場所へと歩く。
まさにこの状況にうってつけの音楽、聞いているだけで落ち込んだ気分がマシになってきた。
ドローンの損失は痛いが、この仕事の報酬で埋め合わせが効く。嫌なことは気にしなければいいのだ。
60NkDBlO3els :2018/09/09(日)16:32:46 ID:KQD
>>59
ホットショットに連れられて取引の場へと向かう少女。
この世界の見るモノ全てが珍しい、と言った様子だ。
ただ単に常識が無いだけか、それとも記憶を失っているのか……。

ホットショットの聞く音楽プレーヤーにも興味津々だ。
もっとも、この時代には化石同然なカセット式プレーヤーは、
この世界の人間でもタマと同じ様な反応を示すかもしれない。

オヤシキ・インダストリーズ、99番倉庫。
雇い主から指定された取引の場に着く、ホットショットとタマ。
予め伝えられていたパスコード4126(ヨイフロ)を、
入り口脇のディスプレイから入力すると、
重々しい鋼鉄製のシャッターが開いていく。
61ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/09(日)16:51:59 ID:KZH
>>60
音楽プレーヤーを触らせてみたり、ヘッドホンを被せてみたり。
道中いろいろと彼女の反応を伺いながら、ホットショットは倉庫へと辿り着く。
そうして暗証番号を入力し、倉庫の扉に生じた隙間を潜れば、薄暗いその中へ。

「持ってきたよ」
「ケースが破壊されたから、民生用義体に詰め込んできた」

倉庫内の照明がなかなか点灯しないことに違和感を感じつつも、ぎゅっとタマの手を握って耐える。
もしハメられていたら、警察に嗅ぎつけられていたら、取引相手が全滅していたらどうしよう。
そんな重圧に耐えながら、ただホットショットを照らすライトが点灯するのを待ち続ける。

「ねえ、いるの?」
62NkDBlO3els :2018/09/09(日)16:57:53 ID:KQD
>>61
≪任務ご苦労、ホットショット君。≫
重々しい合成音声が、暗い倉庫内に響く。
その不気味な声色に、タマが怯えた様子でホットショットの後ろに隠れた。

≪奥へ入り給え。
 そこで報酬を渡そう。≫
声の主が、指示を出す。
倉庫の中は暗く、様子は伺えない……。
63草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/09(日)17:08:26 ID:vHD()
「………あの」

【空気とガソリンの混合気、最もヤバイな比率のそれを吐くイスルギから後ずさる】
【時折ボフボフと小爆発が口内で発生しているのが堪らなく恐ろしい】

「最近は………少し諦めかけている部分もありましたが
どうにか盛り返しています。このまま善くなれば希望も取り戻せそうです」

「壊し屋さんは、最近はどうですか?
ゴーストタウンの取り壊しは出資者が不足していると問題になっているようですが」

【カラの四畳半事件やヤクザの違法薬物売買関連の情報は錯綜するほどに多い】
【しかしそれら全てを対処できるほど、治安維持局はヒューマンリソースを確保できていない】
【結果として悪が野放しになる現状が続いていたが、最近は自警団の活躍もあり減少の兆しを見せているようだ】
64草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/09(日)17:09:08 ID:vHD()
>>56
//安価忘れです
65ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/09(日)17:23:25 ID:KZH
>>62
「……りょーかい」

背中に隠れたタマの手を握り、奥へ奥へと進んでゆく。
その手から感じられる彼のひんやりとした体温は、ただ人種の違いだけではない。
ほんの僅か、僅かにだが、ホットショットは不安がっていた。

「……」

ずんと重苦しい空気が場を支配するなか、ホットショットはついにその時を迎える。
66ハンマーヘッド :2018/09/09(日)17:26:59 ID:ub8
>>63
「……どうした?」

【時折口の中で炸裂する小爆発、それを気にしないでいられるのも彼がサイボーグたる所以だろうか】
【よく店を見ると他のサイボーグ客も似たような現象を起こしている、中には口から火を吹いて遊んでいる者も】

「……余り景気は良くねぇさ、建物壊すのも俺らサイボーグを雇うより上場企業の最新マシンを使った方が安全で早くて安い」
「ま、副業しつつで何とか毎晩酒が飲める程度だよ」

【彼等旧式サイボーグの受け皿になる仕事とは言えど、流石に最新の機械を使うのとはコストパフォーマンスが大違い、雇い主も安くて早い方を使うに決まっている】
【その現状を嘆きつつ、それでもどこか楽観的に、イスルギはグラスを傾けた】
67NkDBlO3els :2018/09/09(日)17:33:55 ID:KQD
>>65
二人が倉庫内に足を踏み入れ暫く歩くと……
背後で、鋼鉄製のシャッターが下ろされていく。

≪では、報酬を受け渡そう。≫
カッ、と倉庫内に照明が照らされる。

そこには、武装した高性能戦闘サイボーグが3体。
ホットショットを取り囲む様に配置されている。
いずれも大口径のマシンガンの銃口をホットショットに向けている。

≪よくある話で申し訳ないが、これが報酬だ。
 このプロジェクトにかかわった以上、君は消去せざるを得ないのでね。≫
今時、むしろ珍しいくらいのありがちな罠であった!
サイボーグたちが動きだし、マシンガンの引き金に指をかけ……
68草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/09(日)17:48:30 ID:vHD()
>>66
「い、いえ………なんでも」

【彼女は世間知らずのお嬢様であり、治安維持局に就職して初めてサイボーグや人間以外の種族を見たほどの世間知らずだ】
【サイボーグには日常茶飯事であることを知ると、いまさら恥ずかしくなったのか顔を赤らめて撤回する】

「では、公選の土木作業員など如何でしょうか?
私達と給料は同じですが、お手空きの時に来て下されば………」

【公選作業員は案件につき7万円ほどのしょうもない仕事だが、これ一本で暮らしていけないこともない】
【土日休みなく働いて、ようやく中間層の生活水準に達するといった具合だろうか】
【ちなみに現在の中間水準に達するには、平均月収約60万円ほどが必要である】
69ホットショット◆6bjz6BZlUY :2018/09/09(日)17:52:44 ID:KZH
>>67
「……嫌な予感はしてたんだよなあ」

はあ、溜息が静かな倉庫に響き渡る。ホットショットは諦めたように肩を落とし、構えることすらしない。
ではこのまま黙っていいように殺される?それは違う。予想はついていたからこそ、ホットショットはこの状況を切り抜けるカードを用意していた!

爆音とともに天井を突き破って現れた大きなペンチのような重機。トタンを食い破るハサミが一同の注意を引く。
続いて投下されるチャフスモークが、ホットショットの姿を影形もなく覆い隠す!

「ナーッハッハッハ!このホットショット様がこんな初歩的な対策を怠るかっての!」
「ドローン代踏み倒しやがって、いつか倒産させてやるから覚悟しろよ!!」

再び彼が姿を現した時、天井からぶら下がるワイヤーが繋がれたハーネスがホットショットの身体を固定していた。
まるで地獄に垂らされた蜘蛛の糸。カンダタにそれを渡す蓮池の蜘蛛は、彼の保有する巨大なUAV『マザーオウル』である。
そのまま捨て台詞とともに、四つの回転翼を持つクアドコプターに引き上げられ離脱。タマを両手で抱えたまま、二人は酸性雨の降りしきるネオ・ギオンへと飛び立つこととなった。

/長くなりましたが、このあたりで〆とさせてください
/長期間の拘束申し訳ありません。ロール感謝です!
70NkDBlO3els :2018/09/09(日)18:09:00 ID:KQD
>>69
//了解です、ありがとうございました!
//またいつか、続きできたらありがたいです~
71ハンマーヘッド :2018/09/09(日)18:20:13 ID:ub8
>>68
「……考えておく」

草薙の推した仕事については、煮え切らない返事を返す、多分やる気は無い。
今の仕事も実入りは少ないが、今の暮らしが悪いものとは思わない。
文句は言うが充実はしている、それなりに。

「ま、あまりこんな酒場に来るもんじゃないぜ」
「マトモな場所でマトモな酒を飲みな、ここの店はこっそり薄めて出してやがるからな」

自分が頼んだ分の代金をカウンターに置く、疎らな小銭がいくつか。
皮肉めいて笑いながら、イスルギは椅子から降りて店のドアを開けた。
72草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/09(日)18:30:20 ID:vHD()
>>71
「じゃ、じゃあ………」

【彼には彼の暮らしがあり、そこに草薙の介入の余地はない】
【表の暮らしも、裏の暮らしも、きっと彼女の想像も及ばぬものだ】
【しかし草薙は世間知らず。だからこそ食い下がりイスルギの助けになろうとするのだろう】

「こんどは、私と一緒に………薄めない店で飲みましょう!」

【立ち去ろうとするイスルギを呼び止めるようにダンと机を叩いて立ち上がる】
【再会の約束を、もっとマシな店で。一方的に取りつけると、マスターに白い目で見られるのであった】

//ここらで〆で。ありがとうございました
73ハンマーヘッド :2018/09/09(日)19:44:39 ID:ub8
【名前】ハンマーヘッド/岩動 徹
【性別】男
【種族】サイボーグ
【外見】
トレンチコートを着た男性、頭部が巨大なネイルハンマーにすげ変わっている。
一応口はあり、頭部と両腕以外はほぼ人間と同じに見える。
【装備】
身体の6割がサイバネ化されているサイボーグ、身体能力が高く体が頑丈。
とはいえ彼は旧式、最新式のサイボーグと比べると性能は劣るが、そこは知恵と経験でカバーする。
両腕の肘から先に破砕槌を内蔵しており、それを起動させた拳での打撃は凄まじい威力を誇る。

・オーバー・ヘッドバット
後頭部からジェット燃料を爆発噴射させて放つ頭突き、機構は単純だが当たればビルを倒壊させる程の威力を持つ。

【概要】
ネオ・ギオンにて破壊屋(ブレイカー)を営む旧式のサイボーグ、路地裏の雑居ビルの一室に事務所兼住処を構えている。
基本的には建物な機械の破壊を行なっているが、時にそうではない物を破壊する依頼を請け負う事もある。

>>72
//お疲れ様でした、ありがとうございます。
74ハンマーヘッド :2018/09/17(月)00:09:26 ID:StL
ネオ・ギオンの下層階級都市は、狭い土地に乱雑にひしめき合う建物で迷路のように入り組んでいる。
その多くは老朽化が進み錆と汚れに塗れているが、それでもこの街に住む人々にとっては大切な居場所なのだ。

……が、たった今その居場所の内の一つがぶち壊された、4階建てのモルタルビルに、モンスタートラックが突っ込んだかと思うとそこからガラガラと音を立てて崩れて行く。
幸いにも中に住民はいないビルだったが、その崩壊の衝撃と音を聞きつけて方々から野次馬が集まってくる、ざわざわと事件現場に集まる野次馬を遠巻きに見詰め、その男は道路の真ん中に立っていた。

「やっべ……」

彼の握り拳から上がる硝煙と、モンスタートラックの凹んだフロントが全てを物語っている。
治安維持局や、他の厄介者に見つかっては面倒な事になると、男はこっそりとその場を離れようとしていた。
75GI29.o4.ik :2018/09/17(月)00:47:55 ID:Fb9()
>>74
「クアラーーーッッッ!!!!!!!!」

【猫のように足音を殺して逃げようとする彼に背中に、女は憤怒の色を露わにした罵声を浴びせかけた】
【その大きな背筋をびくりと震わしかねないほどの大声が、夜も更けたネオ・ギオンの雨空に鳴り響く】
【瓦礫を掻き分けて現れたのは、ピンクと白のしましま起毛パジャマに身を包んだ女である】
【片手に猫を抱え割れた瓶底メガネを掛け直しながら、ドロドロのスリッパに脚をツッカケている】

「私の家を壊した奴は誰だ、コン畜生!
今月の家賃やっとこさ工面したってのにぃ………!」

【男が破壊したビルは住居登録など取れる訳もないような廃ビルであり、せいぜい中にいるのは取引中のギャングだとか】
【しかしよくよく見るとそのビルの壁面から1m程開けて、建築基準法ド違反なボロい昭和風の民家が建っていた】
【その青い瓦屋根には剥がれ落ちたビル壁が突き刺さり、クリーム色の漆喰の壁は無残に引き裂かれている】
【女は眼鏡のフレームの歪みを直しながら、男の至近距離まで詰め寄ってくる。どうやらあの家の住人なのだろう】

「あ、ん、た、が……
私の家ブッ壊したんか、アーーン!!!!?????ッッッ」

【女の背は低く格好も部屋着と無防備なもの。ぶかぶかの襟から胸元と背中が覗く】
【して、その中を覗き込むなどという不埒な行為をしてしまったのなら】
【確かに見えるだろう、怒龍会の一因たることを示す、龍の鱗紋の和彫が】
76ハンマーヘッド :2018/09/17(月)00:59:54 ID:StL
>>75
半分以上が鉄で出来た大柄な巨体をビクリと跳ね上がらせたのは、背後からした大声だった。
恐る恐る振り向いたその先には、自分と比べて見下ろす程の小柄な体、しかし後ろめたさも相まってその剣幕にたじろいでいた。

「あ……いやーすまねぇ、わざとじゃねぇんだ、こっちも必死だったもんでよ……」
「ま、まあお互い生きてんだからいいじゃねーか!住む所ならまた見付かるって!な!」

あせあせとハンマー型の頭に冷汗を浮かべ(そんな機能は無いにも関わらず)女を宥めようとするイスルギ。
その中でついつい彼女の襟元に目がいった、男だからしょうがない───が、そこにその彫物を見付ける。

「……ダメ?」

しかし、障らぬ神に祟りなしだ、彼女がどこの反政府組織に属してようと、気にしていてはこの街では過ごせない。
一先ずそこには突っ込まず、なんとか彼女に怒りを納めてもらおうとする。
77草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/17(月)01:17:44 ID:Fb9()
>>76
「?、その声………どこかで…………」

【大きな金槌の頭部を持つその男の風貌は奇抜を通り越し、二重の意味で忘れられないインパクトを与えるものだ】
【だからその奇妙なシルエットには見覚えがあった。その低く心地の良くなるような耳障りのよい声も、聞き覚えがある】
【そのせいだろうか、女は怒りの感情を忘れたように大人しくなると、ぶつくさと独り言を溢しながら】

「ん、これもうダメかな………
………?…………ぁ………ああっ!!?///」

【壊れた瓶底メガネを外すと、大きな瞳と切れ長の鋭い目つきをたずさえた凛々しい顔立ちが露わになる】
【眉をしかめてその眼を糸のように細く引き絞ったり、しぱしぱとまたたかせたり。絶えず忙しめな変化を見せ】
【やがて何かを思い出したようにあわわわと口を半開きにし、ゆで上がったタコのように耳元まで真っ赤に染めるその顔は】
【治安維持局の特捜隊員、草薙灯弥子(クサナギ ヒミコ)のものであった】

―――暫くして

「も、申し訳ありません………壊し屋さんとは露知らず
ですが、これっ………!どうしてくださるんですか……っ」

【ビルの外壁が突き刺さった民家の中。ヒミコはイスルギを身の危険から匿うという名目の下、彼を自宅に連れ込まんとしていた】
【事情聴取もまだだし、家も破壊された以上は野放しにするよりもここで書類を作成してしまった方が面倒を招かずに済むからである】
【もしもイスルギの同意を得ることができたのであれば、オフィス用の眼鏡を身に着けたヒミコはちゃぶ台を挟み、彼の対面に正座しているだろう】
【安月給でなんとか一週間遅れの賃料を払った翌日。この仕打ちでは涙目にもなるというものだ】
78ハンマーヘッド :2018/09/17(月)01:31:24 ID:StL
>>77
「───ん?」

怒鳴り声だったからよくわからなかったが、良く良く考えれば何処かで聞き覚えのある声だとイスルギは気が付いた。
それはどうやら彼女も同じようで、眼鏡を外したその顔を見ると、脳内の回路にスパークが走る。

顔を赤くした草薙の前には、鉄の口をあんぐりと開けたイスルギが立っているだろう───人ってこんなにも見た目が変わるものなんだ。



「……いや、こちらこそ悪かった、わざとじゃねぇんだ」

───ちゃぶ台を挟んで草薙の前に胡座をかき、イスルギは頭を深々と下げていた。

「ちょっと前にやった仕事で恨みを買っちまってな、報復に来た奴等がアレで突っ込んで来たもんでよ」
「ぶん殴って止める気が、あいつらビビってハンドル切りやがった、そのせいでパンチの方向がズレてな……」

重々しいハンマーの頭が下げられていると、正面から見るとなんだかシュールな光景である。
どうやら彼の言うところ、仕事絡みのトラブルらしい。どう考えても命を狙われているレベルなのだが、壊し屋の仕事でそこまで恨みを買うような事はまず無い───それが合法な仕事であるならば。

「……まあ、なんだ、これは事故って事で、な?」

しかもどうやら、弁償するだけの金も持ち合わせていないようだ。
79草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/17(月)01:53:43 ID:Fb9()
>>78
「壊し屋さん、バームクーヘンが………
そんな顔してたら、遠くからでも見分けがつきますよ」

【彼の特徴的な見た目は3キロ離れていても判別がつくほどに特徴的なものだ。ヒミコは呆れたような苦笑を浮かべる】
【イスルギが深々と下げていた頭にはお茶請けのバームクーヘンがぺちゃりと潰れてくっ付いており】
【そんな光景もあってか、ヒミコはこれ以上感情を露わにすることもなく彼を責め立てることをやめたようだ】

「ちなみに、お名前がまだでしたね
私、オフィサーの灯弥子(ヒミコ)です」

【自分に与えられた名を、振り返りながら何食わぬ顔で告げる】
【だが苗字に関する言及はなく、さらに追及されない限りは自分から苗字を名乗る事はないだろう】
【それは彼女の血に根ざしたコンプレックスが原因であり、そのことについても触れられることを好まない】
【赤縁の落ち着いたデザインの眼鏡の奥にある瞳が、不意に不快感をあらわにするように歪んだ】

「あぁ、もう………濡れちゃった」

【濡れたパジャマが気持ち悪く、耐え兼ねたように立ち上がると膝の上に載っていた猫が飛び降りる】
【着替える為に席を立ち、再び帰ってくる頃には大きめの半袖Tシャツとスリットの入ったショートパンツ姿で】
【ちゃぶ台に置いた鏡を見て、口にゴムを咥えながら脇を無防備に曝してくしゃくしゃの髪をまとめる】
【机の上は缶ビールや化粧品などがあり、ファンデーションが零れたような雫の跡など、生活感がすごい】

「何か飲みますか?
”事故”の書類は書いておきますから、身分証だけ机に置いておいてください」

【幸いにも今回の事件は死傷者が出なかった。相手方にも後ろ暗い部分はあるし、法的な手段に出るとも思えない】
【だからこそあれは相手の起こした、ただの物損事故で済ませると。ゴムを手に取って髪を結いながらそれとなく告げる】
80ハンマーヘッド :2018/09/17(月)02:12:12 ID:StL
>>79
「…………」

見れば見るほど、なんというかギャップが凄い。
バーで会った時と先程の剣幕ではまるで別人のようだ、それにあの刺青と、治安維持局という立場───

(こいつは厄ネタの匂いがするぜ……)

あまり触れない方が長生き出来るか……と、張り付いたバームクーヘンを剥がして食べながらイスルギは考えた。

───しかし。

よく考えると、今自分は女性の家に上がっているのである、その場の勢いに押されてしまったが、割と重大な事では無いか。
落ち着かない様子で部屋の中を見渡している内に草薙が着替え終えて戻って来る、頭の上に乗った猫が打撃面に張り付いたバームクーヘンのカスを舐め取っていた。

「あ───あ、あぁ、身分証な」
「……岩動 徹(イスルギ トオル)だ」

ハッと気が付いたイスルギは、ポケットの中から身分証を取り出してちゃぶ台の上に置く、ちゃんとしたナンバーと身分が示された正式な証明証だ。

「……しかし、何つーかわかんねぇもんだな」
「アンタ本当にさっきのパジャマ女と同じ人間か?実は双子の姉だとか妹だとか、そういう訳じゃないよな?」

ふと思い出したが、未だに信じられない、まるで別人のような変わり様だったと無神経にもイスルギは問い掛けた。
81草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/17(月)02:31:38 ID:Fb9()
>>80
「トオルさんですね、宜しくお願いします」

【少しだけ傾けられた首、その顔に浮かぶ柔らかな物腰の笑みには一切の裏だとか、陰謀を感じられない】
【彼女が背負うのは生まれ持った咎であり、だからこそ背中の紋とは真逆に位置する組織に身を置いているのか】
【いつも一人で寂しそうに酒場を渡り歩いている理由も、彼女の生まれと関係があるのかもしれない】

「JB、だめですよ?」

【ジェイビー、そう呼ばれた猫はヒミコの腕に抱えられることでイスルギの頭から離れる】
【その由来はジェームズ・ボンド?ジャック・バウアー?あるいはこの世で最も疎まれるボンボン?】
【ヒミコが彼の頭上の猫を取り上げる時、そのTシャツの生地が垂れて鼻(?)先まで下りて】
【その全ての視界を、Tシャツにプリントされた『DAT BITCH』の文字が覆い尽くす。とんでもないセンスである】

「不躾な………話で申し訳ありません
ですが、あれは紛れもない私………だらけきった邪な………いつもの姿なんです」

【あぐらをかいてその中心に猫を丸めて突っ込み、その背中を撫でながら呟く】
【あまりの変わりように別人説すら立ち上がる始末だが、あのヒミコもこのヒミコも、れっきとした同一人物】
【しかしどこかピンと張り詰めたような空気を醸していたあの彼女と、普段着のラフな彼女とでは纏う空気も異なっていた】

【心なしか居心地のよい、少しだけ堕落したあの感じ。人間らしい汚れを感じられる佇まい】
【政府の仕事を請負っていても、全員がキャリアを重んじ民衆を捨てるような冷徹な機械ではないのだ】
82ハンマーヘッド :2018/09/17(月)02:49:05 ID:StL
>>81
「いや、そこまでは言ってねぇって!」
「いやまあそりゃ最初はビビったし、別人なんじゃねえかとも思ったけどよ……」

寧ろ、これだけ生活感がある方が親しみを持てるくらいだ、気に病むような事ではないと、イスルギは頬を掻きながら訂正した。

「治安維持局の連中っつったら、どいつもこいつもお堅い連中で、『あいつらの方がサイボーグなんじゃねえか』って思ってたが、どうやらアンタは違うみたいで安心したぜ」
「……しかしどうしてまたこんな所に住んでんだ?治安維持局ってそんなに給料悪いのか?」

───自分も他人に言えた義理では無いが、こんな下層階級都市に住む程しか金が無いのだろうか。
治安維持局と言えば階級にも寄るだろうが、それでも国から仕事を受けている立場である、それなりに良い暮らしが出来て当然だとばかり思っていた。
それが、こんな───口に出しては悪いが───ボロ屋に住むなんて、思っていたより治安維持局も待遇が悪いのか?
83草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/17(月)03:11:01 ID:Fb9()
>>82
「ええ、まぁ………それは否めませんね」

【治安維持局に勤める人々がサイボーグのようだと揶揄されても、ヒミコは苦笑を浮かべる事しかできない】
【政府の人間はほとんどがオーガニックか、サイバネを施してもインプラント程度に抑えた者たちだ】
【ある種の純血主義的な思想が職務に混同し、条例や政策も純血種の人類を優遇し、亜人や機械たちを抑圧するものが多い】
【それこそまさに、前時代で言う所の『機械』のような冷血さを彼等は持っているのだから、人間以外の種族からの評判は軒並み悪い】

「治安維持局の特捜員は公務員なので………お給金に関してはそれほど不自由はしないのですが」

【彼女の言葉通り、公務員の給料はそれほど悪いものではない】
【以前ヒミコがトオルに斡旋した公選作業員の仕事、あれを毎週6日勤務に変えた―――治安維持局はそんな場所だ】
【だからこそ時間当たりの給料は公務員最低クラスながら、中流の生活は保障される】
【しかしヒミコの住居は目に見えて古く、さらに先程の怒号からも支払いが滞っていたりと金銭的に苦労していることが分かる】

「病気の………母がいるので
なんとか無理を言って、後払いで施設に入れて貰ったんです………」

【原因としては、彼女には重い病気を患った母がいた。父親とは離婚し収入もないまま働けない状況が長く続いているのだという】
【加えて54年の財政破綻で高額医療費の負担が保険依存になったことにより、彼女の母は医療費を全額支払わなければならなくなった】

【もちろんそのような蓄えもなく、施設を説得し毎月入居料を支払う事を条件に母親をなんとかホスピスに受け入れてもらったのだ】
【家賃の支払いは毎月一週間待ってもらっている。もしも賃料や医療費が払えなくなれば、ヒミコは身を売ってでも金を工面するだろう】
【なによりもまず、人のため。それほどの固く美しい意志が、彼女にはある】

//申し訳ないです、そろそろ凍結お願いしてもよろしいでしょうか
84ハンマーヘッド :2018/09/17(月)03:13:01 ID:StL
>>83
//はい、大丈夫ですよ。
//返信は後でしておきますね。
85草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/17(月)03:14:30 ID:Fb9()
>>84
//ありがとうございます………
//楽しかったです。おやすみなさい!
86ハンマーヘッド :2018/09/17(月)03:39:51 ID:StL
>>83
「……成る程な」

全く世知辛い世の中になったものだ、イスルギはやりきれない気持ちを紫煙に吐き出そうといつもの癖でコートのポケットを漁り、しかし思いとどまった。
彼女のような境遇の人間はごまんと見てきた、親の為、兄弟の為、恋人の為……ありとあらゆる方法、それこそ合法非合法問わずに金を稼がなければならない者達を。
そうした者達が最終的にどうなるのかは知らない───余りいい話を聞かずに街で見なくなる辺り、大体の予想はつくが。

「なぁ、部屋の弁償代と迷惑料だが、少しだけ待っててくれねぇか」
「───大物の仕事が入ってる、客の方も急いで欲しいみたいだし、〝交渉〟すりゃ仕事料も少しは上がるだろ」

鉄の頭、鉄の体、鉄の心臓───しかし、〝心〟だけはまだ鉄にはなってはいない。
人情がその胸に抱かれている限り彼には不憫な境遇の者を見捨てるなどという選択肢を取る事は出来ないのだ。
87草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/19(水)00:40:51 ID:KFf()
>>86
「トオルさんトオルさん?、私は何もあなたの同情を買うために身の上を明かしたわけではありませんよ?」

【真剣な面持ち(なのであろうと思われる)イスルギに対し、ヒミコの浮かべた表情は少々ギャップのあるものだった】
【両腕を机の上に置き、むっと頬を僅かに膨らませて、責めるようなジトっとした視線をイスルギへと向ける】

「………稼いだお金は、あなたの為に使ってください」

【続いて浮かべる柔和な微笑は、ヒミコがこの一件に対してイスルギには責任がないと判断したことの証左である】
【ヒミコは彼の境遇を知っていたし、自分と似たような生い立ちを持っていることもある程度判別がついていた】
【だからこそ彼女はこうしてやんわりと、彼の生活を自分の為に圧迫させることをやめさせるだろう】
【実際法を司る彼等に責任がないと言われてしまっては、よほど固い意志を見せなければ判決が覆る事もないだろう】

「それに私には、とっておきの手段もありますしね」

【ヒミコは公務員ではあるが、なにも通常業務以外にカネを作る手段がない訳ではない】
【政府のいわゆるウェットワークを請負う事で、多少の危険は伴うものの懐を温めることだって出来る】
【「もちろん合法のものですよ?」と、草薙は綺麗な金しか稼ぐ気がないことをウインク混じりにトオルへ釈明した】

//大変お待たせいたしました。平日は置きでの返信になりそうです………
//必要であればいつでも〆宣言、大丈夫です
88ハンマーヘッド :2018/09/19(水)12:58:38 ID:51v
>>87
『強い女だ』と、イスルギは草薙の発言を聞いてそう思った。
これだけ言われているのだから、それでもと言うのはただの押し付けでしかない、同情しているのなら殊更彼女のプライドに触れてしまうだろう。
イスルギは小さく溜息を吐いた。

「そうかい、余計な世話を焼いて悪かった」

多くを語らず、その一言に思いの丈を込めて言うと、イスルギは立ち上がる。
随分と風通しの良くなってしまった草薙の住まい、入って来た方向の開口部に向かう。

「……まあ、何か困った事があって、治安維持局の手が出せないようなら言ってくれ」
「初回はサービスするからよ、こいつは詫びだ」

その途中で、自分の事務所と電話番号の書かれた名刺を置いて、イスルギは彼女の家を出た。

───イスルギの営む破壊屋の事務所、それは下層階級都市の路地裏に、雑居ビルのワンフロアの中構えられている。
破壊屋という名目だが、下層の人々からは専ら何でも屋的に扱われているようだ。
89草薙◆GI29.o4.ik :2018/09/20(木)22:48:32 ID:Ycf()
>>88
「………ええっ
頼りにしてますね………トオルさん?」

【プライドというよりもシンパシー、誇りというものはヒミコにとってちっぽけなものだ】
【そんなものはいつだって捨てる事はできる。その上で正しく、気高く】
【胸を張って生きることができる。そういう生き方を彼女はしたい】

【だからこのカネと欲望の渦巻く時代の中、ただ一人修道女のように】
【節制し、自制し、隣人を愛し、怒りを忘れ、ただ慎ましく生きる】
【この時代においては、間違いなく弱者へと落ちぶれてゆく生き方だろう】

「………破壊屋さんですか、ふふ………」

【瓦礫が天井から生えている玄関を抜けた彼が視界から消えてなおその背中を見送り】
【やがて初めての友人と呼べる関係を作った、その余韻に浸りながら】
【ヒミコがその顔に浮かべているのは、にへら………と緩み切った微笑だった】

//お待たせして申し訳ないです
//ここで〆にしましょう。お疲れさまでした

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