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ここだけ現代舞台世界【R-18歓迎】

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1!no_id:2018/10/15(月)22:09:34 ID:???
みんなの知っている世界のようで少しだけ違う世界
超能力があるかもしれない魔法だってあるかもしれない
日常の裏側に世界の命運がかかっているかもしれない
そんな世界で人々はみんなの知らないお話を紡ぐ

【遊び方】
・異能力的なものが有ったりする現代世界が部隊なR-18展開歓迎なりきり
・押し付けは禁止。相手を尊重しましょう。
・御相手方を尊重さえすれば基本自由なスレです。
・勿論現ロールの相手方以外にもしっかり配慮しましょう。
・sage進行
2名無しさん@おーぷん :2018/10/15(月)22:23:06 ID:???
孤児院が無くなることになった。子供たちは引き取られるか、他の施設に移るらしい。
だがこんな時でも、どうしようもない事はあるらしく。ただ一人だけ、行き場が無いらしかった。

顔立ちは整っている方だろう。黒の長髪は艶やかに流れて、凛とした瞳は垂れがちな眉と併せて柔らかな雰囲気を作る。
そんな綺麗な容姿も、今は全身の火傷跡を目立たせて惨めにするだけだった。
右の頬から瞳にかけて、赤い爛れた肉がのぞく。簡素な白の服は、同様の傷を全身に透かせていた。

「頼みがあるんです。」

施設の女性は貴方に向けて、この少女を引き取ってくれと言った。
近所に住んでいて、何度か世間話をした程度の関係だろう。そんな相手にすら、縋るしか無い様だった。

連れられてきた少女は、貴方の顔を見ようとしなかった。
お前からもお願いしろと女性に言われて、初めて体を向けて頭を下げた。
その時も目線を逸らしたままだった。この世の全て、自分の何もかもを諦めた顔をしていた。

「……引き取ってくだされば、この娘に何をしてもかまいませんから。」

女性は、そう耳打ちして。貴方はどう答えたのだろう。

今、貴方の部屋には二人いる。貴女と、相変わらず目を合わせない少女。
3名無しさん@おーぷん :2018/10/15(月)23:08:12 ID:???
「ちょっと狭いかもしれないが後で片付けるから我慢してくれ。荷物はそこら辺に適当に置いて良いからね。」

目を合わせようともしない少女に男は優しく声をかけた。
少女を引き取ったのは小さな洋裁店を営む中年の男だった。

店舗を兼ねた小さな 家に住んでおり、その居住スペースは服やそれにまつわる道具が所々に無造作に置いてあった。

「喉が乾いたろう?君はリンゴジュースは好きかい?」

何も反応を示さずまだ玄関そばに立ったままの少女に、男はジュースをすすめた。
4名無しさん@おーぷん :2018/10/15(月)23:20:28 ID:???
>>3
着替えと簡素な生活用品が入ったリュックを部屋の隅に置いて。
結局その位置から、立ったままで動かない。言われた事以外をしようとしない。

「……しないんですか。」

目線を合わせないまま、どこか投げやりな声。

「好きにしてくれていいですから。
 そういう風に、聞いてると思いますし。」
5名無しさん@おーぷん :2018/10/15(月)23:37:41 ID:???
>>4
「そういえばそういう約束だったね。好きにしていいと、言われている。」

少女の諦めを孕んだ言葉に男はにんまりと口元を吊り上げた。
そう、男は良心に従って少女を養うために引き取ったわけじゃない。目的があった。

テーブルにジュースの入ったコップを置く。

「君がその気なら先にやってしまおう。……さぁこっちへおいで。」

男は身を屈めて、両手を広げて少女に呼びかける。
優しく呼びかける声はどこか嗄れていて、まるで喉の奥から鳴らしているようだ。

少女がその声に応えて近づけば、男は抱きとめて、その小さな体躯を撫でるだろう。
6名無しさん@おーぷん :2018/10/15(月)23:48:42 ID:???
>>5
下卑ている、と素直に感じる。慣れた事だけど。
仕事をすれば皆が助かると言われたのが始まりだった。こんな体で誰かに喜んでもらえるならと引き受けた。
その仕事がこれだった。売春による資金工面。そんな経験を持つ少女を、どこかに送れる訳もなく。
男に送られたのはひとえに口封じの為だった。

抱き留める体は軽く、頭を撫でればふわりとした髪の感触に埋もれる。
これからする事をわかっていると言う様に、自身もまた体を寄せた。
衣服の上からではわからないような膨らみも、体を重ねれば確りと主張する。
それを、押し付ける様に。

「なんでもいいです。慣れてるので。」

こんな体だから。普通に抱くようには使われない事も多く。
そういう時は、サンドバッグとして使われるのが殆どだった。そういうのにももう慣れた。
7名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)00:08:51 ID:???
>>6
「ものわかりの良い子だ。」

少女に触れる男の大きな手。ごつごつと、節くれだった指。それらが少女の身体を這い回る。

腕も、脚も、腹も、胸も、丹念に。指の先まで一本一本確かめるように。
押し付けられた僅かな胸の膨らみも、その手に包んで形を刻み込む。

しかし不思議なことにこの男が少女に触れる手つきは、少女が知っているものとは少し違った。「欲のままに貪る」というよりも、「形を把握しようとしていた」。

男は一通り撫で回すと手を止める。最後に軽く頭を撫でてやると、少女を解放した。

「…ありがとう、おかげでじっくりと寸法が測れた。君にぴったりの服が作れそうだ。」
8名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)00:21:32 ID:???
>>7
優しく撫でるように、しかし時折強く。

「んっ…………」

性感を刺激するような手付きではない、それでも開発された体は甘い声を漏らす。
その体を確かめ続けるなら、体温の上昇が手に取るように。一度も向けようとしない顔も、微かに紅みを帯び初め。

「…………え、えぇ?」

けれどそれだけ。出来上がった体は放り出されて。
向けられる顔は、相変わらず下卑た笑み。そうだ、そうに違いない。そう言う顔だ。
そうじゃなきゃ、だって、自分が勘違いして勝手に感じただけになっちゃうし。

微かな紅みは更にまして、少女の顔はもう真っ赤。
帯びる熱と、合わせない視線の意味が少し変わった。
9名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)00:43:44 ID:???
>>8
「あちこち触ってしまって悪かったね。でも君の寸法はどうしても測っておきたかったんだ。下手に道具を使うより、こっちの方がわかり易くてね。」

少女の心境を知ってか知らずか、男は少女の身体のサイズをメモに書き留め、ペン先で額をコツコツ突きながら考え込む。

「ふむ…問題は生地だな。その辺から調達するのは簡単だがせっかくだから生地にはこだわらないと。限りなく元に近い、馴染みやすい…。

おっと、すっかり忘れてた。リンゴジュースが苦手なら冷蔵庫にある飲み物、どれか好きなものを飲んでいいよ。今日は暑かったからね。水分はちゃんととっておきなさい。」

男が少女へ向けた眼差しは決して下卑たものではなく。そして用意された飲み物も別に薬が仕込まれているわけでもなく。
少女が期待…懸念していた事態は起きる気配は、無かった。

「あぁ、あとそれと…隣の部屋は君が好きに使ってくれて構わない。でも、クローゼットはまだ開けてはいけないよ。その…片付ける時に色々詰めたから、危ない。」
10名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)01:07:57 ID:???
>>9

「………」

「………はい。」

早歩き。逃げるような足取りで、隣の部屋へ一目散。
火照った体に恥ずかしさが相まって、白い肌が紅色に。
扉を開ければ迷わず布団に飛び込んで、枕に顔を埋めて動かなくなった。

だって、だって、今までずっとそうだった。犯すか殴るか、それしかされてこなかった。
だからちょっとおかしくなっちゃっただけ。寧ろあの男の方がおかしいんだ。

「………汚い、のかな。やっぱり。」

右手が頬に触れる。感触は酷くざらりとしていて、自分の体だとしても気持ち悪い。
唯の傷口なら可愛げがあったかもしれない。けれどその火傷跡は、視覚から生理的な嫌悪に訴える様な。
だからいつも、まずは気持ち悪いと言われる。殴られて、叫んで、苦しんで、そうして興奮した相手に犯される。

考えるのをやめたかった。ついでに、この火照った体もどうにかしたくて。
仰向けになって、手が腹部をなぞって下腹部に。片手じゃ足りないから両手。服の裾を食んで留めて。
その体を、沈めようと。
11名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)01:28:26 ID:???
>>10
少女が隣の部屋で密かに火照りを鎮めている最中、男は部屋を片付けた。乱雑に置いた仕事道具や無造作に置いたトルソーをきちんと元の場所に戻して、テーブルの上に広げていた型紙もしまい込んで。

時折隣の部屋に顔を向けては何度か語りかけるのだった。

「私は今までひたすら服を作ってきた。その人のためだけにその人だけに似合う服を作って、着てもらうのが夢なんだ。

ちょっと気分を悪くするかもしれないけど、君にはもっと似合う服があるはずなんだ。
初めて君を見た時に、引き取らないかと言われた時に決めたんだよ。君だけに似合う服を作ろう、そして着てもらおうって。…もう寝てしまったかな。」

独り言を言ってしまったと男は苦笑して、部屋の前に小さなバスケットを置いた。

「とりあえず君が着ている服はもう脱いで、こっちに着替えるといい。君が着ていたものはこっちで処理するから。」
12名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)01:53:14 ID:???

>>11
熱が静まれば頭も冷える。ちょっと冷静になった。
部屋はすぐ隣で、物音は絶えない。ずっと、何かの作業の音が鳴っていた。

眠れない。煩いとかじゃなくて落ち着かない。
仕事すらなくなって、家だと思ってた場所も消えて、ついに捨てられたと思った。
何が起きたってもうどうだっていいと諦めた。なのに。

向けられる言葉を黙って聞いていた。聞いているとまた熱くなるから、寝返りをして耳を枕でふさいだ。それでも聞こえた。
妙な感覚だった。舌瞼の辺りが痺れるみたいで、視界がぐちゃぐちゃになり始めて。
何か、抑えられない物があふれ出して。もうどうだっていいと思ってたのに。

「……そんなの、あるんですか。」

扉をゆっくりと開いて、おずおずと。顔だけをだして。
潤んだ瞳が男を見上げる。初めて、少女が男を見ていた。

「服は、傷を隠すものだと思っていたので。」

ゆっくりと、部屋の外に出て。
シャツのボタンは開かれて、傷だらけの胸と腹部を露にしている。なんてことの無い直し忘れだったりするんだけど。
バスケットから服を取り出して、広げて眺めた。自分が今纏うものは、布でしかなかったのかと思う様に立派で。

「ありがとうございます……」

それを受け取って部屋に入る。礼の声はか細く、また視線がそれていた。
もう一度扉が開かれるときは着替えを終えた時。男が渡した衣服は、うまく着用の方法がわからなかったのか。
ちょっと乱れがちである。
13名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)02:24:31 ID:???
>>12
「あるとも。ほかの店にはない君のためだけにある服だ。」

少女が着替えてややぎこちなく部屋から出てきたのを見て、男は丁寧に服の乱れを正していった。

男は知っていた。近所の人が口々に噂していたのを聞いていた。少女を託したあの女の本性も。

「だから今までのことは忘れてしまいなさい。 私は君のために好きなだけ服を作るから、君は生まれ変わって好きなように生きるんだ。」

そっと頭を撫でれば細く柔らかな少女の髪が、指の間をすり抜ける。服は少女にぴったりで、傷跡が服の下から透けることもなくなった。

「今はこの服しか用意できないが、そのうちもっと良い服も季節に合わせて作るからね。これからよろしく頼むよ。」

男はこれから同じ屋根の下で暮らす身として、親愛の印に握手を求めた。細かい作業をずっとし続けてきたのだろう乾いた手。それは傷がついてもなお柔らかくハリのある少女の手を求めていた。
14名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)22:46:55 ID:???
都市の中心部。人工的なネオンの光が夜の街を包む。
様々な人、物が錯交する騒々しい夜。

______とあるホテルの一室。
ダブルベッドの側にある小さなスタンドライトだけが点いていて。
薄暗い闇の中に2つの影があり、1つはその身に余るほどの大きな狙撃銃を開いた窓に立て照準器を覗いたままジッと動かない。
もう1つはダブルベッドに腰掛けその様子を見張っているかのようだった。

街の喧騒とは正反対に流れる深い静寂、それを破ったのは何とも不満に満ちた声だった。

「………ねー!もう諦めないっ?何週間ここで待ってんのよー!」

先までの静寂が嘘のように一気に騒がしくなった部屋。
愚痴を漏らすのはブラウスを着た年端もいかぬ銀髪の少女で、銃から手を離し床にごろんと寝転んでしまった。

「流石の私も我慢の限界ってやつー!」

元々孤児であった彼女は、殺し屋だった相方に拾われ何年も付き合ってきたのだ。
今回の依頼はとある組織の秘密を握る人物を始末しろというもの。
標的の居場所を突き止め後は頭を出すのを待つだけなのだが、警戒心が強いようで何週間経ってもその頭を出さない。

「引きこもりヤロー!ちょっとくらい外に出ろ!ばか!
カワイイ女の子待たせるなんてどう思いますか!相方さんよ!」

相方の貴方が座るベッドまで床からよじ登り、止まらぬ愚痴を吐きかけた。
15名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)23:08:04 ID:???
>>13
差し出された手を握らずに、その手を掴んで。頬に触れさせた。
傷跡。砂を触っている様な感触。爛れた肉は、きっと美しくは見えない。

「……わかりますよね。私、醜いんです。
 生まれ変われなんて都合のいい事言わないでくださいっ……」

睨むような眼で、男を見つめていた。瞳は、潤んでいた。
泣き出しそうなのを、必死にこらえているらしかった。

「全部、もう、駄目だと思って。全部、諦めてたのに……
 こんな今更っ……今更もう、好きな事なんて何も覚えてないっ!」

その思いを全部吐き出せば。こらえていたものがあふれ出して。
微かな雫を散らしながら叫んだ。感情が消えていたなんて事は無くて、全部押し殺していた。
ずっとずっとそうするうちに、殺した感情を取り戻せなくなって。好きだったこと、楽しいと思ったこと、全部思い出せなくなって。

//すいませんね落ちてました……良ければよろしくお願いします。
16名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)23:14:50 ID:???
>>14

「…………うるさい、集中…教えたでしょ」

その隣に居るのはこれまた同じブラウスを身に纏う同い年くらいの少女だった、ただその身長は彼女よりも多少低めだろうか。床にゴロンと寝転がる彼女を尻目に、双眼鏡を持ちながら変わらずターゲットの部屋を見続ける。
…………彼女の気持ちも分からないことはない、だがここを耐え忍ぶのが殺し屋だ。数ヶ月張り込んだってある、この程度はまだマシな方だろうと。
相方である少女は彼女とは対照的に無表情というか、まるで感情を感じさせない見た目をしていた。
肩ほどまで伸びた黒髪は邪魔にならない程度に切り揃えられている。ただそれ以外にはどうやら見た目には無頓着らしく、特にオシャレらしいオシャレはしていない。

「自分で自分のことをカワイイ、なんて言う女は大抵馬鹿」
「……今日も動きそうにないな…少し休憩する」

静かにそう告げればベッドに横になる。ただ彼女のように騒がしいものではなく、ぽすんと身体をベッドに沈めるだろう。
17名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)23:33:18 ID:???
>>15
「そんなに都合良く聞こえるかい?」

少女の顔に刻まれた傷の輪郭を指先でなぞる男の表情は真剣そのものだった。
溢れた涙を指先で拭い語りかける。

「私はできないことをできるとは言わない。君が望むなら…君が過去の自分を捨てて生まれ変わりたいと望むなら、私はその願いを叶えてやれるんだ。」

そして男は再び少女に手を差し伸べる。
しかしそれは握手を求めているのではない。

「信じられないというのなら…、私の手を触ってごらん。手首の辺りだ。」

今までの話と男の手首になんの因果関係があるのだろうか?
これが少女にとって一つの分岐点となるだろう。
もしただの戯言だと突っぱねたならばそれは分からないまま。
しかしもし男を信じて声に従うのなら……。

「…………」

//いえこちらこそ遅くまですみません
18名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)23:37:35 ID:???
>>16
「な…!バカって言う方がバカなんだよー!!ばーか!」

一瞬驚いたような表情をして大きな声で言い返し、ベーっと舌を出した。
そんなことをしても、目の前の相方はいつものように軽く流すか無視してくるだろう。
ベッドに体を沈める彼女を尻目に窓の方を見やる。持ち手を失った銃が寂しげに夜風に吹かれているが、もう一度それを握る気にはなれなかった。

「私もきゅーけー!どーーん!」

そう言って静かな相方の隣へ勢いよく跳び、寝転ぶ。ボフッと大きな音。
そうして、無邪気な笑みを向ける少女から香るのは仄かな香水の匂い、それが相方の鼻孔をくすぐるだろう。
この銀髪の少女はオシャレなどには人一倍気を使っている。だからこそ、自己陶酔的な面があるのかもしれない。
19名無しさん@おーぷん :2018/10/16(火)23:56:24 ID:???
>>17
泣いて、喚いて、ぶちまけた感情。見捨ててくれればよかった、もう一度諦めさせてくれるなら良かった。
なのに、彼の顔は変わらずに。涙を拭う手が酷く温かくって嫌になる。

「……見せてください。そんな、魔法なんかがあるなら。」

この世界に魔法なんてない。神様は居ないし、ヒーローは死んでる。居たら私はこうなってない。
だから、それはきっと。あげて、落として、苦しむのが見たいだけなんだ。きっと。
これ以上、どこに落ちればいいのかなんてわからないけど。

少女の手が、男の手首に触れた。
20名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)00:05:39 ID:???
>>18

「……子供っぽい、それもやめるように」

殺し屋として一緒に活動するのは良い。ただやはりこういうところは自分とは正反対だ。
孤児だった彼女を拾って共に殺し屋として今まで暮らしてきた。元々から殺し屋であった自分はもう慣れたものだが、彼女はどうなのだろうか。
彼女を殺し屋にしてしまった自分を恨んではいないのだろうか。

「っ……香水またつけてる。そういうのは匂いが残る、危険」

微かなその匂いは鼻孔をくすぐり少女に多少の安らぎを与えてくれる。ただ、殺し屋としてはそれではいけないと軽く注意。
少女がオシャレをしないのは殺し屋として、ということもあるが単純に自分の容姿に自信がないこともある。そうやって取り繕うというのが恥ずかしいのだ。
それを殺し屋という言い訳にしているというだけに過ぎない。

「それにしても、この部屋を取ったのは失敗だった。ベッドが一つしかない、これじゃあお前の寝相で蹴り落とされそうだ」
「…………着替えるか」

そんな嫌味を言って立ち上がればブラウスを脱ぎ始める。
少女は極力仕事中はそれに集中する、故に二日や三日、ずっと着替えないことなんてしょっちゅうだ。ブラウスを脱げば特に色気のない黒色のブラジャーが露わになる。胸はその体格にしては実っている方。
下の方はホットパンツの下に黒のタイツを履いていて。
21名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)00:14:24 ID:???
>>19
年相応に水分を失った肌の質感が少女の手に伝わる。
少女が手に触れている間、男はその様子を見ていた。
その眼差しには今までの温もりの他に、言い知れぬ不気味さをはらんでいる。

「本当はもう少ししてから教えようと思っていた。昔それで失敗したことがあるからね。」

探るように指を滑らせば、手首の辺りに何かの「境目」を感じるだろう。
しかし見た目には傷も皺も縫い目も無い。感触はあるのにその痕跡が無い。

「君がそれを魔法と呼ぶのなら、そうなんだろう。しかしもっと適した言葉がある。体質だ。」

少女がある一点に触れた時、男の手がズルリと滑り落ちた。
床に落ちた男の手の皮は、まるで手袋のように綺麗に形を残している。

手の皮を脱いだ男の片手は、無造作に伸びた木の枝が束になっているようで人のそれと大きくかけ離れた形をしていた。

それは少女の背面に回り込み逃げ出さないように捕らえようとしている。

「私なら君に似合う"服"を作れる。」

目の前にいる男は魔法使いでも、ヒーローでも、ましてや神でもなければ人間ですらない、得体の知れぬ何かだった。
22名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)00:23:03 ID:???
>>21
境目。見ても、触れても、そんな気配はないのに直感だけが有ると叫ぶ。
それが落ちた。露になる、人の手でない何か。

「あ、の。貴方は、一体……」

冷や汗が背後を伝う。これは人の手じゃない、そもそも目の前の男は人なのか。
瞳孔が縮んで、顔から血の気が引いてった。それでも、体は逃げる様には動けずに。
膝から崩れて、その場にへたり込む。ただただ、わからないと言う視線が男を見つめて。
23名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)00:31:26 ID:???
>>20
「へーーい、分かりましたぁー」

何年もの付き合いだ。恨んでいるどころか、好意すら持っている。
よく知っている人間は拾ってくれた彼女だけ。そして殺し屋という新しい世界に連れ出してくれたのは彼女。雛が最初に見たものを親だと認識するように、声をかけてくれた彼女に懐くのは当然だ。

「え"っ、私そんな寝相悪いっ……!?」
「………君ってやっぱりスタイル良いよね………ていうか、おっぱいおっきいよね……」

放たれた嫌味に少し恥ずかしそうな反応を見せる。
その後、着替える彼女を寝転がったまま静かにジーッと見つめる。目でなぞる彼女の身体のラインは割と起伏に豊かで、自分の未熟な胸と比較した後なんだか悔しそうに呟いた。
何度見てもあのスタイル、羨ましい。
24名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)00:44:12 ID:???
>>22
「君は何だと思う?私にもわからないんだ。君たちと同じといえば同じだし、全く違うものというのも間違いじゃない。
ただ本当に…服を作りたいだけなんだ。」

男が纏うものと同じ「服」。
少女が纏う傷ついた「皮膚」。
その二つは男にとって同じ意味を持っていた。

初めて見たとき真っ先に思ったのが、少女の纏う服だった。
誰かが傷つけたのか不慮の事故だったのかひどく傷ついた少女の「服」を見て…男はいてもたってもいられなかった。

男は良心に従って少女を引き取ったわけじゃない。
修理工が壊れた機械をみて直したくなるように男は少女の纏う皮膚を見て、仕立てたくなったのだ。

「彼女の傷ついた皮膚に代わるものを着せてあげたい」と。

「どうか怖がらないで。…君にとっても悪くない話のはずだ。」
25名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)00:44:20 ID:???
>>23

「返事は伸ばさない…」

少女自身、彼女を除けば知り合いと呼べるのはいつも依頼を斡旋してくれる馴染みの依頼屋のみだ。
貴重な同年代の女の子、だがそこに友達同士のようなわいわいは無い。そりゃあ殺し屋だからそうなのだろう、ただそれを意識しているのはもしかすれば少女だけなのかもしれない。
こんな世界だ、いつ命を落とすかわからない。だから、自分から彼女を拾ったのにある一定以上の距離を保つ。
そんな自分が何処か情けなかった。

「悪い、この前なんて私に抱きついてお前が目を覚ますまで動けなかった」
「っ…胸のことは気にしてるんだ、全然嬉しくない」

続いてホットパンツも脱げば下着に黒いタイツのみを着用した状態になる。
そしてしばらくはこのままゆっくりしようと再びベッドに腰掛けて、そして横になることだろう。どうせ同性同士なのだ、恥ずかしがることもない。

「シャワーでも浴びれたら良いのだけれど…はぁ……」
「でも…流石にこうもこの部屋に居続けるのは面倒だ。こうして休憩しても、やることが寝るくらいしかない」
26名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)01:01:00 ID:???
>>24
ただただ何もわからなかった。目の前の得体のしれない何か、その声は人であった頃と何も変わらなくって。何も、わからなかった。
ああ、でも、そう言えば。とうに全部諦めて居たんだった。何も期待していないんだった。
だったら、この目の前の何かが何であったって同じじゃないか。
余りにも特異な状況に、脳が異常をきたしたのかも知れない。妙に頭が落ち着き始めて。

「……本当に、服を作ってくれるんですか。」

これ以上、悪い所なんて無い筈だから。だったら、もう、どうにでもなってしまえと。

「好きにすればいいと、一度言ったので
 ……待ちます。」

へたり込んで、うつむいたまま。その表情は見せずに。少女はただ、抵抗をやめた。
27名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)01:12:53 ID:???
>>25
「それは君の抱き心地がいいからね。甘んじて受け入れるべきなのだ、うんうん」
「そんな立派なものもって、もったいないなぁ~!」

どれだけオシャレに気遣おうと"そこ"だけは変えられない。まぁお金をかければ変えられるかもしれないが、それは自身の美意識に反することだ。
まぁ、成長するのを待つしかないな。なんて思いながら横になっている相方に抱きつこうと寄り添う。

「じゃー、おしゃべりしよー!今食べたいものとか!」

再び少女の匂いが彼女の鼻を刺激し、元気で無邪気な声が耳を刺激した。
人と関わることがなく、長い間独りだった少女。自分の言葉に返事が返ってくることはとても嬉しいことだった。
それは今も同じ。彼女の素っ気ない返事でも少女の心は満たされる。だから、話すことが好きだ。友達同士のように、話すことが。
28名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)01:27:59 ID:???
>>26
確かに男は少女が思っていたような情欲を貪るケダモノではなかった。
姿形の分からない本人もその正体を知らない得体の知れぬバケモノだった。

「言っただろう、私はできないことをできるとは言わないって。」

少女の身体を緩く巻き取る異形の手は無機物のような質感だったが、その手つきは男が最初に少女の頭を撫でたときのように優しい。固まる少女の肩を抱き、あやすように蠢く。

そして、するすると少女から離れると異形の指が落ちた手の皮の中へ器用に潜り込んで、人間の手の形に収まった。
男の手は継ぎ目のない綺麗な人間の手に戻る。

「ありがとう信じてくれて。本当にありがとう。
君は本当に…いい子だ。」
29名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)01:30:13 ID:???
>>27

「その理論は意味が分からない…」
「こんなの仕事の邪魔でしかない、こんなのあって喜ぶのは水仕事だけ……ちょっ、くっつくな…」

口調が刺々しくなったのは間違いではないだろう。
胸が大きければ確かに女性としての魅力は増す、ただその分殺し屋としては不利であり、銃を構えるのも胸が当たったりするものなのだ。
そうして彼女が抱き着いてくるのに対し多少は抵抗するもすぐに無駄だと悟ったのか諦めて抱きつかれる。

「今食べたいもの…味の濃いものが食べたい、辛いものとか良いな」

何気ない会話を繰り返す、それは少女にとっても少しだけ楽しくあった。
気を紛らわすとは違う、どこか安心するようなそんな感覚だ。

「……私はお前の身体が羨ましい。もっと身体は大きい方が良いし、胸なんて小さくて良い」
「…………隣の芝生は青いというやつか。……明日も早い、早く寝ないと起きれないぞ」
30名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)01:50:44 ID:???
>>29
「へー!私は甘ーいのが食べたい!ケーキとかケーキとかケーキとか!最近食べてないからさ!」

ここのところ張り込みのため味気ないものしか口にしていない。お互い、濃い味を求めるのは必然だろう。
表情豊かな少女、こうして楽しげに話している間は一番の笑顔を彼女に見せる。

「身体は小さくておっぱいおっきい方がカワイイのになぁ~」
「え~~、もっと夜更かししよーよー!もー、マジメなんだからー!」

彼女に抱きついたまま体を揺らして駄々をこねる。

「私が寝るまでかまってー!」

彼女に懐いているとはいえ、忠犬のような懐き方ではなくワガママな小型犬のようだ。
31名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)01:54:31 ID:???
>>28
無機質のような触覚、ただただ怖くて、おぞましい。それだけの筈なのに。
その声に、その手に。変わらない優しさを感じている自分がわからない。

「……よく言われます。」

暴力を振るわれても、何をされても逆らわない。
子供たちの為に体を売る事だって躊躇しなかった。確かに、見方によってはいい子に違いなく。
繰り返す礼に、男は何を込めていたのだろう。別に少女は、信じた訳でもないのに。
諦めと混乱。それと―――ほんの少しだけの、希望のカケラ。それだけ。

着せられた服を眺めた。ずいぶんきれいになったと思う。
男の背中を眺めた。怖くて、どうしようもない筈なのに。逃げよう、なんてことは思わなくなっていて。
意味が分からない。自分はおかしくなったらしい。

「部屋で、まってます。」

そう言ってまた、扉を開いて。

//すいません寝堕ちます……
32名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)11:17:12 ID:???
まーた爆死確定の糞スレが建ったのか
学園の勢いの前には露と消えるだけなのにな
33名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)18:59:29 ID:???
>>31
男は部屋へ戻る少女に逃げる意思がないことを確認して安堵した。今纏っている衣服はとてもよく似合っているが、彼女のためにも急いで仕立ててやらなくてはなるまい。
今はまだその意思がなくても後から逃げ出されてしまっては意味が無い。

「私の服よりはサイズも小さい分材料は少なくて済むが、作るのには時間がかかる。
だけど君もそんなに待ってはいられないだろう。
そうだな…準備ができたら呼ぶから、その間部屋で休んでいてくれ。」

男はそう言って部屋に入る少女を見送ると、仕事部屋へと消えていった。

男が何者なのかその正体は見当がつかない。しかし少女は彼に引き取られて、今ここにいる。

本当に望むなら今まで担っていた役割も、汚れた服も捨て去ることができるだろう。…しかしそれは少女が一線を越えて人の世から少し離れた存在になることも意味する。

時刻は夕暮れ、鮮烈な橙と蒼が入り混じる空を映す窓ガラス。
昼と夜の境目で夕日がゆっくりと沈もうとしている。
もうすぐ夜が来る。最後の光が消える頃…彼はささやかな贈り物をするために少女を呼ぶだろう。

//すみませんこちらも落ちてました
34名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)21:13:15 ID:???
>>30

「………なら、この仕事が終わった後にでも食べに行こう」

甘いものと辛いもの、やはりとことん好みが合わない。だがそれでこそ私たち二人とも思う。お互いが全く違うからこそ、お互いの短所を埋め合えるというもの。
彼女の笑顔は自分には真似できないものだ、密かに笑顔を向けようと鏡で練習したことがあるが全くもって人に向けられるものでは無かった。

「かわいいとか、いらない…」
「あぁもう…うるさいなぁ……」

これでは眠ろうにも眠れないというもの。仕方なしに彼女の方に身体を向けるだろう。

「…………構ってって…何すれば良いの」

//昨日は寝落ちしてしまい申し訳ありませんでした……
35名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)22:19:28 ID:???
>>34
「ふふふ!なにしよーね!」

彼女がこちらに体を向けてくれれば、少女も抱きつく力を少し強めて引き寄せる。
今のように何も考えずに発言し相方を振り回してしまうことはよくあること。

「わ、君まつ毛長いねー」

そういうことに気づくほど近くに寄り添い話す。そこまで近寄ることに抵抗がないのは、彼女へ友達かそれ以上の感情を持っているからだろう。
いつも一緒にいてもこんな距離で相手を見つめることはなかなかない。嬉しそうに微笑みながら、しばし相方の顔を観察。

「ねぇ……君はなんで殺し屋をやってるの…?今更だけどさ」

そしてふと彼女の黒髪を撫で、いつもとは少し落ちたトーンでそう尋ねた。
殺し屋としてしか生きてない少女だが、それ以外の仕事があることは知っている。だからこそ、なぜ相方がその道を選んだか気になったのだ。
彼女の瞳を真っ直ぐ見つめ、答えを待つ。


//大丈夫ですよ。お気になさらず~
//そして今日は時々返信遅れます。申し訳ない…
36名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)22:50:53 ID:???
>>35

「……無計画か」

こんなのはもう慣れたものだ。ただ抱きしめる力が強くなりそのまま引き寄せられれば少しだけ頬を赤らめてしまう。

「っ…う、うるさい…」

思わず視線を逸らす。しかし目の前に彼女の顔があり視線を逸らしてもどうしてもその顔が映ってしまう。
こういう触れ合いにはやはり慣れない、こんなにも近くならば尚更だ。
少しだけ彼女の目を見れば、じっとこちらを見つめるその瞳に思わず見入ってしまう。

「……これしか、無かったから。綺麗な仕事は、選べなかった」
「私は…両親を殺したから、綺麗な仕事に就くことなんてできなかったから。……私の身勝手にお前を巻き込んで、悪いとは思ってる」

自分が彼女を拾わなければ、もしかすれば彼女は真っ当な仕事について表で幸せに暮らしていたのかもしれない。
その可能性を潰したのは自分だと、そうやって自分を責めて。
37名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)23:07:37 ID:???
>>33
空色はいつまでたっても知ってる色で。青色、茜色、闇色。この世界が知らない世界じゃないと言い聞かせる。
布団を頭まで被って、塞ぎこんで。思考がどうにかなってるから、眠ればまともに戻るかもしれないと思った。

眠れなかった。作業の音をずっと聞いていた。
無機質な怪物の手、触れられて、嫌な気分じゃなくて。

ノックの音、誘い出されて扉を開ける。
上目使いの、顔色を覗くような視線。浮かべる表情は怯えと、得たいの知れない感情と。

//遅くなりました……
38名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)23:29:17 ID:???
>>37
「待たせたね。あいにく今は材料も時間も足りないから急拵えになってしまったけど…。」

申し訳なさそうに語る男の手には木製の小さな箱が乗っていた。
服にしては小さすぎる。この箱の大きさでは畳んだハンカチで精一杯だ。

「それじゃあ早速…目を閉じてくれ。」

男は箱の中身を教えることなく少女に目を閉じるよう促す。
少女を見る男の目は相変わらず穏やかで優しい。
中身が異形のものであるとは思えないくらいだ。
39名無しさん@おーぷん :2018/10/17(水)23:47:23 ID:???
>>38
男の眼を見上げて。異様なほどに優しげな眼を覗いて。
悪いことは起きない、気がしたような。初めて向けられた眼だった。知らない色。

「………あまり、焦らさないで欲しいです。」

ぎゅっと眼を閉じて。拳を握って縮こまる。
ちょっとは、やっぱり、怖いし。だから焦らさないでほしいと言って。
40名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)00:04:38 ID:???
>>36
「ふぅん、そっか」
「やっぱりマジメだなぁ………悪いとか、そんなこと思わなくて良いよっ」

彼女の言葉に否定的な反応はせず、見つめる瞳のように真っ直ぐ受け止める。

「だって、私は君に会えて良かったーって思ってるし、新しい世界を見せてくれてる君に感謝してる!」

彼女の肩に乗った重い気持ちと責任を優しく降ろしてやるように語りかけ、再び屈託のない笑顔を見せた。
あのまま孤児のままだったら、あのまま誰にも声をかけられなかったら、今頃少女が生きているかすら分からない。
少女は殺しの技術の他に、人の温もりと人を好きになる気持ちを教えてもらったのだ。

「だからね、君のことが好き!」

そう言ってまた彼女の小さな身体を抱き寄せる。こういうことを恥ずかしげもなく言えるのは彼女の良いところなのか。
唐突にも思える告白。これは友達としてか、それとも……強く抱きしめられた彼女はどう解釈するのだろう。
41名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)00:09:47 ID:???
>>39
固く目を瞑る少女を見て男は思わず笑ってしまいそうになった。
少女がここに来て初めて見せた子どもらしい反応。
あんな振る舞いをしていても、年相応の子供なのだ。期待も恐怖もあるだろう。
早く取りかからなくては。

男はそっと箱を開けて、その中にあったそれを少女の顔に充てがった。
顔全体にひんやりとした感触がした後にそれは少女の体温に溶け込んで肌に密着する。
男はそれが少女の顔にちゃんと馴染むように、少しもズレが生じないように丁寧に少女の顔全体を手で撫でる。
男の手が触れるたび肌の感覚が直接触れているように鮮明になっていく。

「…さぁ、もう目を開けても大丈夫だよ。見てごらん、君にぴったりだ。」

男は少女を大きな姿見の前に立たせた。
彼女が目を開けた瞬間、傷一つ無い綺麗な顔を見てもらうために。
42名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)00:09:54 ID:???
>>40
//すいません…今日はもう返信出来なさそうです…申し訳ありません……
もしも迷惑になるようでしたらお切りになられても構いませんので……
43名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)00:28:54 ID:???
>>42
//了解です。
せっかく絡んでくれたので続けさせていただきたいですっ。
44名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)00:42:31 ID:???
>>41
頬に触れる冷ややかな感触。張り付くような感触。
沈んでいく体温に、男の手が触れて。無機質に冷ややかに、けれど優しくて。
ぎゅっと閉じた瞳が開かれて。姿見に移る姿はまるで、ただの女の子。
学校に行って、他愛のない話をして。恋の話なんかして。
両親に愛されて、美味しいご飯を食べて。そんな、他愛のない女の子。

「……知らない女の子。」

それが素直な感想で。ここに居るのが自分だと思えなくて。

「私、なんですか。これ。」

頬に触れれば、もう砂のような感覚はなく。ちゃんと人の感触がして。
思い出すような気がした。自分のしたかったこと、成りたかった姿。着たかった服。
45名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)01:02:43 ID:???
>>44
「一部分しか用意できなくてすまない。もう少し時間があれば全身仕立てることができるんだが。

…でも、今の君はとても素敵だ。よく似合っているよ。」

あの醜い火傷の痕はもうどこにも無い。きめ細やかで滑らかな肌。それは間違いなく少女のもの。

「全身用意するまで時間がかかるけど、その間は他の服で我慢しておくれ。
…ふぅ、久々に作業に没頭したからお腹が空いちゃったな。」

驚く少女の姿を嬉しそうに眺めると男は椅子に腰かけた。

「ほんの少しだけ生まれ変わった気分はどうだい?」
46名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)01:23:35 ID:???
>>45

「あり、がとう。
 ……ございます。」

遅れてくる敬語。頬は、服の下から赤く染まって。
真っ直ぐに、自分を捉える視線。それとまっすぐな言葉。

「大丈夫です。その、私、これだけでも。」

顔の傷、迫害の理由を作るには十分すぎる傷。
これがあるから前を向けない、空を見れない、太陽に当たれない。

「よくわからないです。
 ……ただ、その、私も。おなかすきました。」

送る視線には、もう怯えだとか、そう言うのは随分と無くなっていた。
47名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)19:07:01 ID:???
>>46
「それじゃあご飯にしようか。荷物も少ないし、片付けは明日にしよう。」

椅子から立ち上がり男はキッチンに向かおうとするが。不意に何か思い出したのか立ち止まり、目頭に手をあてた。

「すっかり忘れていた。その…君が来る前に色々と用意しておこうと思っていたんだが…食べ物まで気が回らなくて。
食材を買い忘れた。本当に食べるものが無いんだ。ジュースを買う時についでに買っておけばよかったな…。」

気まずいのか恥ずかしいのか男は俯いた。
実際に冷蔵庫を開けてみればジュース以外に氷ぐらいしか無いのがわかるだろう。

「だから今日は…買い物するついでに、外で食べないか?」

/昨夜は落ちてしまいすみません。
48名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)21:42:12 ID:???
>>47
酷く人間臭い仕草だった。その皮の中に何が居たとしても、存外変わらない物かと思った。

「良いですよ。もう、怖いものもありませんから。」

唯の女の子、そんな気分。もう背負うものも、ほとんどなくなっちゃった。
俯く男に向ける笑みは、まだぎこちないけれど。暖かいと勘実にはきっと十分で。

「……その、代わり。
 握って、歩いてください。じゃないと嫌です。」

差し出す手には、まだ傷跡が走っている。触れればざらつく赤色の肉。
じっと、男を見つめて。視線には、信頼をほんの少し。この人なら握ってくれる、なんて。

//大丈夫ですよー
49名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)22:55:13 ID:???
>>48
俯いた男の瞳に少女の顔が映った。ぎこちなくも本来の輝きを取り戻しつつある子供らしい笑顔。
次に仕立てる服の構想が今にも湧いてきそうで、指先がチリチリとひりつくような感覚が走る。

「あぁ、もちろん握るとも。もう少し寒くなったら手袋を作ろう。コートとマフラーもセットでね。」

傅いて、小さな手を取る。手触りの悪い傷ごと、大きな手で包むとほんのりと暖かかった。

「…それじゃあ行こうか。今日は君の好きなものを食べに行こう。私も一度食べるという行為を試してみたかったんだ。」

今日から新たな生活が始まる。その門出を祝って盛大に…とまではいかないがささやかに、2人はネオンと喧騒で賑わう夜の街へと繰り出した。
50名無しさん@おーぷん :2018/10/18(木)23:24:46 ID:???
//すいません早速で悪いのですが体調が悪く文章をこれ以上考えられなさそうです……
//凍結か、キリも良いので〆てもらえればと思います。
>>49
神経が直接空気に触れる様な手は、男のぬくもりを過剰なほどに心に伝える。
無機質な感じはしなくって、どころか、自身が知っている人間よりも何倍も温かい。
ぎゅっと握られて。じっと、不安げだった顔が緩んだ。ふにゃっと。何とも子供らしい顔。

「ありがとうございます。
 ……それと、ごめんなさい。」

色々と、冷たい態度をとって冷たい言葉を投げた。それに対する謝罪。

「私も、食べるって事、全然知らないんです。」

床にぶちまけられた、味の無い湯をすする事を。皿に盛りつけられた、死骸を口にすることを。
排泄物の混じる残飯を押し付けられることを。それらを食事と呼ばないのなら、少女も同じ食べる事なんて知らない。

「だから、その。
 貴方の好きな物を食べさせてください。たぶん、それが私の好きだと思います。」

両手で男の手を握りしめた。片手じゃ足りない、そんな風に。
51名無しさん@おーぷん :2018/10/19(金)00:15:57 ID:???
>>50
「それじゃあ一緒に探そうか。お互いにこれから好きなものを、二人で。」

少女が両手で男の手を取ればずるりと異形の手を出しかける。
慌ててそれを戻して少女を見る。

「君は本当に素敵な、良い子だ。」

それは周囲が言ってきたような、「都合の良い子」という意味ではなく、「一人の小さく愛らしい淑女」という意味だった。
二人の手が重なって互いの体温が混ざり合う。
外は冷えてきたのに何故だか暖かい。

手を握り街を行く姿はごく普通の親子と変わりない。
本当は親子ではないことも、一方は人ならざるものだということも誰も気づかないし知ろうとしない。

街の電光掲示板で、女の変死体が見つかったというニュースが流れていた。
一瞬映った被害者の顔はどこかで見たような顔だったかもしれないが、そんなことはもう気にする必要はないだろう。
彼女はもう過去に別れを告げて新しい一歩を踏み出すのだから。

「だから今日は好きなだけ楽しもう。君となら好きなものがたくさん見つかりそうだ。」

//ではキリも良いのでここで〆ましょう。お疲れ様でした!
52名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)02:25:31 ID:???
一言で言うなら、地味な男の子だった。丁寧に切り揃えた黒髪、眼鏡。その下は酷く気弱そうな顔立ちで。
中学校の教室で本を読んでいた。後ろから消しゴムが飛んできた。所謂やんちゃな生徒が笑っていた。
授業中に何かをされることはないけど、休み時間になればこうやって。

(早く帰りたい)

親は仕事でほとんど帰ってこない。食費だけいつもぽんと机に置いてある。誰も居ない家。
だからこそ早く帰りたいと願う。そこなら自由になれるから。

文房具が異様な頻度で飛んでくる。それでも無視を続ければ飽きて止む。
最後の終礼のチャイムが鳴れば、漸く自宅に帰る時間。下校時を狙うほど、やんちゃ組もいじめに熱心ではないからささっと帰れる。

自宅。無駄に大きな一軒家。玄関に学生鞄を放り投げて自室に向けて階段を上る。
ブレザーを脱いで、クローゼットを開く。その奥にしまった衣服を取り出して――――――

-------------------------------------------

「お・ま・た・せっ!」

部屋の机に配置したwebカメラに映す自身の姿、学校に居る頃とはもう全く違っていた。
金髪のウィッグと超ミニなスカート、へそ出しセーラー。気弱そうな顔立ちは、眼鏡をはずしてウィッグをかぶせればこの通り。まるで女の子と変わらないような。
元より丸っこい瞳と女顔で、それが虐められる要因でもあったぐらいだから。

「皆待っててくれたのかな?
 それじゃ、今日もとびっきりサービスしなきゃね……

地味な男の子はそこには居なくて、変わりはきらきらしている男の娘。
画面に流れる膨大な数のコメントから、いくつかリクエストを拾って。
指先に、官能的に舌を這わせてみたり。煽情的なポーズを取って、衣服の隙間を映してみたり。

「……これ以上はちょっと駄目かな。
 それじゃ、明日もまた楽しみにしてて

インターネットのアンダーグラウンド。そこでは女装配信者としてちょっとだけ有名なのだった。

----------------------------------------------

学校に来れば何時もと同じ、地味で気弱そうな男の子。
何時もと同じ自分の席で、本を読んで時間をつぶしていた。
53名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)18:47:42 ID:???
>>52
不意にスマートフォンが振動した。
急かすように震えるそれを手に取れば、画面上にはメールが届いたことを知らせる通知が表示されている。

-------------------------------------------
件名:昨日の配信見た

今日もいつものところで待ってるから

-------------------------------------------

それは少年の秘密を知る「ある人物」からのメール。
本文のすぐ下には昨日のワンシーンが添付されていた。

動画を配信した翌日にこうしてメールを送っては少年を呼び出しているこの人物。今日も少年を待ちわびているようだ。

時折届くこのメールに、少年は何を思うのか。

//どんな人(男か女か )はお任せします
54名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)22:55:22 ID:???
//遅くなりました……
>>52
こんな少年のアドレスを知っている仲はそうそう居なくて。送り主は、それなりに古い仲の男。
小学生の頃からは一緒だっただろうか。それほど、よく遊んだという訳ではないけれど。

「……何だよ。何時も何時も呼び出して。
 今日は何するの。」

逆らえる理由なんてない。それだけが少年の楽しみで、それすら奪われてしまったら。
いやいやだ。出来れば呼び出しなんてやめて欲しい。弱みを握られてる状況なんて嬉しい筈がない。
本当は嫌だ。そのはずで、だから。約束の場に来た少年は、そういう顔をきっとしている筈で
55名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)22:55:50 ID:???
>>53
//出来れば男性だと嬉しいですー
56名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)23:22:48 ID:???
>>54
約束の場所というのは学校の通学路から少し逸れたところにある建築途中のマンション。
去年の夏に完成予定だったそれは未だ完成しておらず、工事中のまま放置されている。

景観がどうとか日照権がどうとか地元のニュースで流れていた気がする。意外と忍び込みやすく、とにかく人に知られたくないことをするにはちょうど良い場所だった。

「――何だよってことはないだろ?本当は期待してたクセに。」

マンションの一室、コンクリート打ちっぱなしの寒々とした部屋で待っていたのは昔からの友人。
少年の裏の顔を知る故の嗜虐的な笑みを隠そうとせず、少年の前に乱暴にカバンを放り投げる。

「今日はこれを着ろ。」

カバンの中にはウエストフリルのついた白のチュニックに黒いレギンスにパンプス、緩いウェーブのかかったセミロングのウィッグ。全て女物の服だった。
57名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)23:23:18 ID:???
//遅れてすみません
58名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)23:34:27 ID:???
>>56
本当は期待してたくせに、なんて言われてみれば。ぴくっと体が反応して。
そんな筈はない。だって、ほら。にへらっと、口角が僅かばかり挙がっていて。期待なんてするはずがなくて。

廃墟同然の放置マンション。侵入は容易、なのに人の声の聞こえる場所に立っていて。
窓すら付けられていないここは、誰に除かれたっておかしくなくって。

「……ここで、着替えるの。」

潤んだ瞳の上目遣い。きっと嫌そうな顔だ。期待なんて感じさせるわけがない。
だけどそれは、彼が見るにはきっと。卑しい程に、これからのセリフを期待している様に見えるだろう。
59名無しさん@おーぷん :2018/10/20(土)23:50:30 ID:???
>>58
もっと上の階ならば……そして角部屋ならば人の目に触れたり声が漏れるリスクはかなり低くなる。
しかし敢えてギリギリばれるかどうかというこの部屋を選んだのはこの顔を見るためだった。

「着替えくらい、カメラの前でコレするのと大して変わらねぇだろ?」

一応死角はあるにはある。現に自分はそこに陣取って少年に命令している。
いつもどうなるか知ってるくせに。
友達なんだから、次に何を言うか知ってるくせに。
スマートフォンの画面に映る「画像」をちらつかせて早く着替えろと急かす。

「ほら、早くしろよ。○○ちゃん」

少年が動画サイト内で名乗ってる名前で呼ぶ。
60名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)00:05:13 ID:???
>>59

「わかっ、た。」

言葉はあくまで嫌々を装うが。きっと彼は、衣装を手にするその時、伏せた顔が赤く、笑みを浮かべていたことを見逃さない。

「……あんまり見ないでよ。」

そう言う癖に、自分から死角に動かないのはそう言う理由。
一式用意された衣装はしっかりと下着まで。制服を脱ぎ捨てて、露になる肌と桜色をわざとらしく手で隠しながらチュニックを着て。
ズボンを下ろし、パンツまで下ろして。辛うじて、そこがどうなっているかは直接は見えないけど。甘勃ちしたそれが、少しだけ布を持ち上げようとしていた。
白いショーツにそれを収めて、レギンスを吐いて。しっかりとヒールまで履いてウィッグを被れば。
そこに居るのはもう、少女にしか見えないような。眼鏡をかけたゆるふわ少女の完成。

「そっちで呼ぶなよ。
 ……でもほんと、こういうの好きだよね。」

視線を合わせようとはしなかった。頬は赤らみ、目はどこか違うところを見ていた。
目を合わせると、全部バレてしまいそうだから。とっくにもう、バレているのだけど。
少年、天海直弥のハンドルネームはnao1128。愛称はナオちゃん。何時も何故だか、こっちの名前で呼ばれることを好まないらしい。
61名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)00:38:21 ID:???
>>60
「その格好じゃ説得力皆無だよ。」

自分の目の前で恥じらいながらも着替える少年。いつも彼は口ごたえしながらも着替えてくれる。
しかもわざわざ下着まで履き替えて。
その時見せるあの表情も仕草も天海直弥のものではない。

「俺は友達として手伝ってるんだよ、お前がナオちゃんに近づけるように……。」

目の前にいるのは動画配信者の「ナオちゃん」だ。
不特定多数の人間に自ら痴態を晒してる。

「お前だって好きであんなことしてるんだろ?親が見てないところで……あんな動画晒してさ。」

「ナオちゃん」でいることで満たされているのにそれを否定するのはおかしな話だ。
未だにもじもじしている少年…否、ナオの手を取り乱暴に引き込めば、強く抱きしめて先ほどと打って変わって優しく耳元で囁く。

「いつものように呼んでくれよ。俺の名前……。」
62名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)00:53:36 ID:???
>>61
抱き締める、ナオの体は。感触すら少女のように柔っこくて、男性特有の角ばった感触はなかった。
そして少年もまた、自身の手を彼の背に回して、ぎゅっと。抱きしめた。

「……ユウ君」

耳元で、吐息と共にささやく名前。裕也。それが彼の名前だった。
少年の言葉には一言も、視線を逸らしたまま反応しなかった。好きでこうしているのは、間違いないけど。

「好きだよ。」

甘い言葉を、もう一度囁いて。抱き締める力がひときわ強くなる。
スイッチがある。直弥の声と、ナオちゃんの声になるスイッチ。甘く、媚びるような声になるスイッチ。
囁く声は甘ったるい、けれど。囁く言葉は、ナオの物ではなくて。
63名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)01:14:46 ID:???
>>62
こうして抱きしめるのも何回目だろうか。初めはもう少し筋肉質だった気がする。だけどこうする度に…身も心も変化していった。
背中に回した手が下へと降りる。

「今日のナオ、すごく可愛い。もっと声、聞かせて。」

逢うたびに変化していく姿を見て、いつからか自分自身も変わっていた。初めは言いなりになる玩具が手に入ったと思っていた。
適当に遊んでやって飽きたらその辺に晒して、捨ててしまえ。
そう思っていたはずなのに、手が自然とナオの胸元を弄る。

手放したくない。 手放したくない。

密着した肌が熱を帯びているのを感じる。
64名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)01:33:28 ID:???
>>63
小学校に居た頃から、碌な扱いはされてなかった。家には家族は居なくて。学校でも、虐められはしなかったけど、蔑んだ眼で見られてた。
理由はよくわからない。馬鹿にするつもりだったのかもしれない。それでも、少年にとって。天海直弥にとって。彼は初めての友達だった。

「んっ……」

漏れる喘ぎ。もっとして欲しい、なんて言いたげな。
中学校に入ってから暫く会わなくなった。久しぶりは、こうやって初めて呼び出された時だった。
どんなふうに思ってたっけ。どんなふうに想ってたっけ。覚えていないけど。
今と変わらない思いだった気がする。だからこんな風に変わったのかもしれない。

「……じゃあ、もっと。鳴かせて。」

触れ合う肌は二人とも、同じだけの熱を帯びていて。どっちが熱くなっちゃったのかもわからない。
顔と顔が近すぎて、それを確かめることはできないかもしれないけど。
潤む瞳に、込められた感情は。熱は。今までよりもずっと、ずっと。
65名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)02:07:41 ID:???
>>64
正直「天海直弥」のことを友達だとは思っていなかった。
周りと違って自分の気持ちをなかなか言わない、自己主張しないところにムカついて色々言ったし嘲笑ったこともあった。

中学はそれぞれ別の学校になってめっきり会わなくなったが、それほど親しくはなかったので本当にどうでもよかったのだ。

――でも。

あれだ。あれのせいだ。
たまたま見つけてしまったあの動画。

動画の所々で特定できる要素がいくつかあった。
うっかり口を滑らせて言ってしまったことや動画に映り込んだもの。
それで自分は「ナオちゃん」の正体に気づいてしまった。

「これだけで興奮するなんて、やっぱり期待してたんだろ。」

甘い吐息を漏らすナオの首筋。やけに白く柔らかく見えて、思わず口づけする。腰に回していたもう片方の手を臀部に滑らせる。

再会した時のことを思い出す。あの動画を見せて「ナオちゃん」と呼んでやった時の顔を思い出すだけで…。

「だから体もこんなになっちまったんだろ?こんなんじゃ、もう戻れないよなぁ…!」

手つきが激しくなって、ナオを少しずつ壁際まで追い詰めていく。口づけの合間に漏れる熱い吐息がナオの耳に吹きかかる。
66名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)02:27:37 ID:???
>>65

「期待、してた、んっ……訳じゃないもん……」

それでも口では否定する。体の反応はどんどん強くなっていくけれど。
彼の唇が首筋に触れて、びくんと体が反応した。触れる尻に指が埋められて。

初めて名前を呼ばれたとき、どんな顔をしていただろう。
弱みを握りしめられる恐怖に血の気が引いて、瞳孔が縮んだ。でも、段々、それより強い思いが芽生えて。
期待、していたのかもしれない。でもそれは、今みたいにじゃなくて。本当は。

首筋を這いまわる彼の舌に、自身から唇付けを合わせた。
唇を食んで、舌を絡めて、貪るように。何もかもを味わう様に。

「可愛いって、ふむっ……んむっ……
 言って、欲しかったから……だから、ねぇ。名前、呼んで?」

求めていることを、もう隠すこともなくなった。壁際、逃げられない場所で。戻れない場所で。
自分の名前を求めた。
67名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)03:01:59 ID:???
>>66
「んっ……嘘が下手くそ……。」

期待してない、なんてバレバレの嘘を今更吐くナオの往生際の悪さにますますめちゃくちゃにしてやろうと気持ちが昂ぶる。

自ら接吻を求めたナオに応えて、熱に浮かされるまま口内で絡ませ合い、手は緩急付けて肢体を揉みしだく。

「ナオ……分かってるだろ……俺も、はぁ……っ、もうおかしくなってんだよ……。

ナオが可愛いから……あの動画のせいでっ……俺まで……!」

熱が正常な思考を妨げているのが分かる。目の前にいるのは男だ。女のように振舞っているが男であることはまぎれもない事実だ。
それを確かめるために裕也は片足をナオの股に差し入れて、熱く昂ぶったそれに膝を強く押し当てようとした。
68名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)03:15:40 ID:???
>>67
体の線を見せないチュニックを、本の少しだけ押し上げる。膝には、固い感触。

「……可愛いって、言ってくれた。」

笑った。きっと、彼も始めてみるぐらい、飛びっきりの。
唇を離して、自身の手を股に這わせて。レギンスを裂いて、スカートのように裾をたくしあげて。ショーツの隙間から小さなそれを取り出した。
ピンク色の先端から涎を吐き出した、この上なく滾った状態。けれど、酷く小さく、情けない姿をしていた。

「二人とも、おかしくなっちゃった、よね。
おかしくなっちゃってるもんね。何しても、おかしくないよね?」

誘うように笑って見せて。
今度はナオの手が、彼の股間に触れる。
69名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)03:17:00 ID:???
>>68
//すいません眠気が限界なので凍結をお願いできたら嬉しいです……
70名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)04:01:11 ID:???
>>68
「あぁ…だからナオのこと好きにできるのは俺だけでいい……。一緒に堕ちるのは俺だけでいい……。」
ナオの手が触れたそこは同じく熱く滾っており、解放されたがっている。身体が求めるままに揺れてナオの手になすりつける姿は過去の記憶にいる友人と大きくかけ離れていた。
求めるままに昂らせつつも、ナオを弄る手は反応の良い部位を攻め立てて甘い声を欲している。

「お前を手放したくないよ、誰のものにもしたくない…全部独り占めにしたい、俺のものだって刻み付けたい…。」

抑えが利かなくなって、うわごとのように本心を呟く
ナオの股から覗くそれは自分の持っているそれと同じはずだが、自分の手に簡単に収まってしまう。
もう戻れないなら行けるところまで行ってしまおうと、躊躇なく手の指まで使って激しく刺激した。

//ではここで凍結とします
71名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)17:48:23 ID:???
>>70
熱い吐息と、甘い喘ぎを交わし合って。しなやかな指先が、その先端に触れて撫でる。

「あっ…んっ……
 もう、出て……」

彼の手を待ち構えていたと言わんばかりに吐き出して。
小さく震えるナオの体が、彼の体に預けられた。
重なる体の熱。二人分。一度は萎びたナオのそれが勃ち上がって。彼の先端に口づけた。

「まだ、するよね?
 ……刻んで、欲しいな。」

ナオの手は彼のそれを刺激し続けている。裏筋を撫でて、亀頭同士でキスをして。
快楽を吐き出そうと脈打ち始めたところで、手を放して。浮かべる、意地悪な笑み。
もっと、強く、無茶苦茶に刻まれることを望んでいた。
72名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)19:24:11 ID:???
>>71
迸った熱が相手が先に達したことを告げた。

媚びるように擦り付け、扱き上げて誘うナオが見せた表情。それが裕也を掻き立てる。

勃ち上がっても平均を下回る未熟なそれに怒張した自分自身を圧し付け、片手の指は尻の谷間にある秘所を穿つ。

「じゃあもっと丁寧にお願いしなきゃ分からないなぁ?
……どこをどうして欲しいのかおねだりしてみな。」

この身体の反応だけじゃ分からないとナオの頭をウィッグごと掴んで八重歯を覗かせて笑う裕也の姿は、人から成り下がっていく様を見ているようだ。

ぎらつく瞳はどんな回答をしても結末が同じであることを予感させる。

//遅れてすみません
73名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)19:57:41 ID:???
>>72

「―――ひゃっ!?」

焦らされ続けた箇所へ遂に彼の指が侵入し、頭を掴まれて。漏れる喘ぎは一層強く、甘く。
暴力的な衝動のまま壁に押し付けられて尚、寧ろその表情は一層蠱惑的に。まるで、瞳にハートマークを浮かべているみたい。

「……僕、の」

ゆっくりと、焦らすように、背中を向けて。
壁に手を付けて、視線は彼に向けたまま。腰を突き上げて、裂けたレギンスの隙間から、ショーツの食い込む秘所を見せつけて。

「このオスマンコ、君の太いのでめちゃくちゃにして欲しいっ―――

//此方こそ遅くなりました・・・・・
74名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)21:01:55 ID:???
>>73
「よくできました」

そう言うよりも前に裕也はショーツの隙間から張り詰めた肉棒を突き入れた。一気に奥まで抉ればナオの芯を内側から押し上げる。

「あ゙ッ……ぐ、あぁ……っ!!」

背面から唸り声が聞こえる。腰を抱く手が爪を立てる。
ナオの中を激しく蹂躙している彼の顔は俯いていてよく見えないが、このまま絶頂させる気はさらさらないようだ。

「分かる?俺のを全部嬉しそうに咥えこんでるよ。始めはこんなの入らないって言ってたのに、すっかりやらしい身体になったよなぁ……!!」

ナオの声が一際上擦って精一杯に惨めに主張する芯が震えるたびにトーンダウンして、今度はゆっくりと緩やかに抽送する。

反射的に窄まっていた穴も今ではすっかり迎えるはずのない異物を喜んで受け入れるようになってしまった。
こんな身体にしたのは紛れもなく自分だ。

こうして教え込んでいくにつれて直弥はナオに近づいていくのが愉しかった。
75名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)21:41:04 ID:???
>>74

「んっ……ああっ

そそり立つ豪直をそこに宛がうだけで喘ぎを漏らし、思い切り挿入されればこうやって。
爪を立てられる痛みすら快感になる。前立腺を突き上げて、震える陰茎がちろりと涎を垂らして。

「可愛いって、言って、欲しかったから……」

瞳にハートを映して、犬のように舌を出して吐息を漏らす。空いた唇、そこに何を求めているかは言わずとも。
それとも、彼は知っているうえで言葉をもとめるだろうか。

「ねぇ、裕君……んっ……
 ナオなら、彼女に、してくれる?……」

直弥じゃなくて、ナオなら。そう居るだけで、彼の一番近くに居られるなら。
もうそろそろ、彼が求めている物はわかっていた。

「して、くれるなら、キス……欲しいっ

今一度舌を突き出して、求める。
76名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)22:35:16 ID:???
>>75
「ぐっ……俺がお前の面倒を見てやるよ、毎日こうして……女の子にしてやる。」

声を押し殺して崩すように床に押し倒せば、自身の肉棒を軸にしてナオの身体を仰向けにして上気しきったその顔をまっすぐ見つめる。

「だからお前も……俺の全部を受け取って……直弥もナオも全部俺にくれ!」

空気を求めるように空いた口に食らいつくように唇を奪えば、同時に中に一際強く突き入れて最奥にも深い接吻する。
そしてついに限界が訪れてナオの中に吐精した。

目の前が白く明滅して今にも狂ってしまいそうだった。
77名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)22:53:09 ID:???
>>76

顔を見合って、唇付けを交わして。自身の中で、肉某が脈打って。

「……うれしいっ」

脚を彼の腰に絡めて。両手を背中で結んで。ぎゅっとぎゅっと抱きしめた。
本当に呼んでほしかった名前を呼んでもらえた。一番好きだった友達に、自分の名前を呼んでもらえた。

力が抜けた彼の体を抱きしめて、満足気な瞳を彼に向けていた。

「君だけの、女の子でいるから。
 ずっと、いっしょ。いいよね?……」

もうなんだってかまわない。このままドロドロに、二人纏めて溶けてしまったって。
狂ってしまったなら何をしたって、きっと受け入れるだろう。
78名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)23:25:53 ID:???
>>77
全てを吐き出した頃には用意した服はすっかりぐちゃぐちゃになって、目の前にいたのはナオではなく直弥だった。

それでも構わないとばかりに何度目かの、しかし今までと比べ静かで濃厚な口付けを交わす二人の姿は歪ながらも恋人のそれだった。

直弥によって異常な嗜好に囚われ、裕也によって異常な肉体に変えられ。互いに互いを歪め合った果てに結ばれたそれは呪詛に近い。

「直弥……何処へも行かせないし離さない。これは俺たちだけの秘密だ。」

しかしそれでも構わなかった。何度も繋がった身体はもう他では満たされない。
舌と舌を絡め余韻に浸りながら直弥の胸にピンと立つ乳首を柔らかく摘んだ。
79名無しさん@おーぷん :2018/10/21(日)23:39:19 ID:???
//キリが良いのでここで〆でしょうか!
>>78
始まりは何だったろう。飢えた心と、蔑む目と。その時から、少なくとも直弥は呪われていて。
思えばその時から、自身の心には彼しかいなかった。
口づけは貪るように。互いを呪う体を確かめ合う様に。

「何処にも、いかない。離れない。
 わかってるよ。ずっと、二人だけで―――」

その言葉はナオではなく、直弥として彼に誓う。何処までも一緒で居ようと。
彼の手が触れるだけで小さく甘い声が漏れた。性感帯に触れれば、痺れる様に震えた。
彼が満たされるまで、どこまでも。それはきっと続いてく。
80名無しさん@おーぷん :2018/10/22(月)00:13:15 ID:???
>>79

自分の目の前で弄りながら誘ってみろ、動画の時と同じように女みたいに喘いでみろと面白半分で言っていた自分。

それがいつしか嫌々ながらも律儀に言うことを聞いて乱れる直弥に対し欲情していることに気づいた時にはもう遅く、人知れず直弥の痴態を思い出しながら自身を慰めていた。

どこまでも惨めで愛おしい恋人を男として屈服させ女として愛することから湧く感情。
それさ優越感や支配欲といった言葉一つでは言い表せぬ混沌。抜け出せるわけがない。ならば最後まで愉しむべきだろう。

再び直弥の内部で熱く硬くなって、胸を揉みしだきながら抽送を再開する。
冷たい部屋で求め合うままに二人は熱く絡み合う。

二人はもう後戻りするつもりは無かった。

//ここで〆にします。お疲れ様でした。
81名無しさん@おーぷん :2018/10/22(月)01:18:41 ID:???
彼女はある日突然「死にたい」と思った。
特別陰鬱とした人生を送ってきたわけじゃない。
ごく普通の家庭に生まれ友達もそこそこできて、普通の学校に入学し卒業し気づけば特別な資格がなくてもできる職に就き社会人になっていた。

そんな代わり映えのしない人生がたまらなく嫌になった結果、彼女がとった行動は……。

「○○トンネルは異界につながっており、新月の午前2時40分に潜ると異界の住人と出くわすことがある。」

新月の夜、午前2時35分。異界に繋がっていると噂のトンネル前。ネット掲示板に書かれていた噂話の真相を確かめるべく彼女は今まさにトンネルを潜ろうとしていた。

死にたいと思いつつも自ら死ぬほどの度胸を持ち合わせていなかった彼女は結局現実逃避をするしかなかった。
いっそ現実逃避をするくらいならと始めたのがネットで噂になっている都市伝説のリサーチだった。

ブログや動画配信で一攫千金狙っているつもりではない。
毎日自分の人生を社会の仕組みによって無意味に消費し続けるくらいなら自分のやりたいことでうっかり死んだほうが良いだろうという人が聞いたら即刻カウンセラーを紹介されるレベルの理由で始めたものだ。

残念ながらいくつか検証したものの成果はあげられず、今回もダメだろうと思いつつも止める気にもなれず。
2時40分のアラームが鳴るといつも通り検証を開始するのであった。

「昼間下見した時は目測50メートルくらいだったけど暗いと距離感狂うな……。」

灯りもつけずトンネルの中ゆっくり歩を進める。
今回こそ何かありますようにとうっすら願いながら。
82名無しさん@おーぷん :2018/10/22(月)03:23:30 ID:???
とある学園の中等部。既に時刻は下校時間をまわりノスタルジックな夕焼けが校舎を照らす。
生徒はみな部活動に行ったか帰宅していて教室には誰一人としていなかった。2-2組の教室以外は。

「……♪」

窓際の端の席で女生徒がなにやらノートに一生懸命書いている。
彼女は深峰 かなで。彼女の持つ陰気な雰囲気と無口な性格そしてなにより、少し余って垂れている右腕の包帯と変な模様が描かれた右目の眼帯のせいで完全にクラスでは浮いている。
ノートにせっせっと書いているそれは変な翼とかポエムとかそういう類のものである。

「……嗚呼、この学園という名の鳥籠に囚われし天使たち………待ちわびた飛び立つその日には、既に翼はなく……マジョリティの海へと沈んで征く……」
「……ふふ…」

楽しそうに音読しながらペンを走らせる。

「それはボクの目にはとても滑稽に映り………同時に羨ましくもある……」

彼女のいる2-2の教室に人影が近づいているのにも気付かずに。

「堕ちた天使のボクには、どこにも居場所はないのだから……っ!」
「ボクにできることは、痛々しく悶絶する天使たちをこの封ぜられた眼で見降ろすことしかない…!そう、既に血に濡れたこの右腕では……誰も救い出すことはできないんだ…!だからせめてこの鳥籠の中で……自由の空へ飛び立つ夢を…」

ブレザーをマントのようにバサッと翻し、語り始める。
いつもより調子の良い具合で自分の世界に入りこみ、教室に入ってきた誰かには気づいていない。
83名無しさん@おーぷん :2018/10/22(月)22:22:34 ID:???
>>82
「やはりここに居たか、"深峰かなで"。」

教室に入ってきた人物が妄想を&#25620
84名無しさん@おーぷん :2018/10/22(月)22:27:27 ID:???
「やはりここに居たか、"深峰かなで"。」

教室に入ってきた人物が妄想をかき消すが如くその名を呼んだ。同じ学校指定の制服を着ているが見慣れない顔だ。

「アガスティアコードの配列を改変するとは考えたものだ。おかげで随分と無駄足を踏んでしまった。」

聞きなれぬ単語の意味を考える前に、これが異常事態だと気付かされることになるだろう。
なぜならこの人物の手には血塗れの金属バットが握られているからだ。
ここに来るまでに何かを破壊したのか、バットの表面は既にデコボコしている。それが付着した血の真新しさを際立たせていた。

「しかしそれも今日までだ。生温い箱庭と共に死ぬがいい。」
85名無しさん@おーぷん :2018/10/23(火)01:44:53 ID:???
>>84
「……ッ!!」

自らの言葉を遮る声。彼女は声の主へと身体を向け、そちらを睨みつける。
視線の先には同じ制服を着ているが、見慣れぬ容姿の人物。だが見た目などよりも手に握られている凶器へと目がいった。
彼女がその人物を認識した瞬間、この教室は非日常と化した。

「………誰だ………?私の名を知っているようだが……」

この非日常は彼女が求めていたもの。しかし、命の危機を感じるこの状況で気の利いた言葉は出てこなかった。
一瞬たじろいだものの冷静に振る舞い、始めに浮かんだ疑問を目の前の人物へと投げかける。


/遅くなって申し訳ない…。
86名無しさん@おーぷん :2018/10/23(火)16:14:50 ID:???
>>85
「寝惚けたふりをしても無駄だ。」
その双眸に光は無く、発する声も抑揚が無く音に近い。
しかし強い殺意を持っていると察するには十分すぎるほどの圧力を放っていた。

不気味なほどに静かな空間、金属バットを引きずってそれは近づいていく。
バットが床を擦る音がやけに大きく聞こえる。

「救世主のつもりでいるなら大間違いだ。俺は理を乱すものを決して許しはしない。何度世界が変わっても、何度でも姿を変えて滅ぼす。」

内心困惑しているであろう かなでを他所に、選択の時が迫る。
逃げるか、立ち向かうか。

//こちらこそ遅れてすみません
87名無しさん@おーぷん :2018/10/25(木)23:37:27 ID:???
//続けられそうにないため凍結します。すみません
88名無しさん@おーぷん :2018/11/01(木)08:52:13 ID:???
楽しくない訳じゃない。学校には友達がいて、家族との仲も悪くはないし。
放課後の教室、校則から解放された其処で友人と騒ぎ立てると時なんか思い切り楽しんでる筈だし。

(何でだろなぁ......)

時折、そんな日々を空虚に感じる。もっとやるべき事があるような。
何でもいいから変化が欲しくて、まずは見た目から。髪を染めて前髪を上げて、白いジャケットを着る。
妙に不良っぽくなって、似合ってねぇと笑われた。自分でもこう言うことじゃないと思う。

(運命の出会いとか、都合よすぎるわな。女の子かよ。)

部活もなくて、何か打ち込んでる物もなくて。全力が足りてないのかな、なんて。
好きな事も得意な事もとっくに失ってて。だったら空から女の子、みたいな出会いが来て。都合の良い考えだ。


考え事に耽って。注意は散漫。運命の出会いはあるのだろうか。
89名無しさん@おーぷん :2018/11/01(木)20:30:25 ID:???
>>88
つまらない毎日だと、ふとした折に考えることがある。
朝起きて学校に行って、たいして興味の持てない授業を受けて、帰って寝るだけの日々。
無味乾燥な時間ばかりで刺激もない、ただただ平坦なだけの人生。

「高い所から一思いに落ちてみたら、どんな気分なんだろう」

だから特に意味もなくこんな妄想じみた好奇心を満たしてみようと思って。
放課後、教室に誰もいなくなる頃を見計らい、窓の外に身を乗り出してすぐ近くの木の枝に乗り移る。
ここから落ちても枝葉がクッションになって死にはしないはず。多少の怪我くらいはするかもしれないけれど、それはそれでいい経験だ。
下を見るのも頭から落ちるのもちょっぴり怖かったから、上を向くことにする。青空じゃなくて翠の天井なのもいいアクセント。
幹に手をつきながら枝に立って思いきり後ろに体を倒す。重力に引かれて、浮遊感が脳を支配した。

ばきりばきりと音を立てながら隣のクラスの彼女がやってくるのは、緩慢としている君の頭上から。
受け止めたなら目をぱちくりさせてしばらく呆然と。そうでなければ地面に背中を強かに打ちつけ痛みに呻くことだろう。
どちらにせよ崩さずきっちりと着た制服や胸の辺りまで伸ばした黒髪のあちこちに葉っぱを引っ掛けた姿は、ともすればひどく滑稽。
905/7K.VcEo2 :2018/11/01(木)23:27:56 ID:???

>>89

悩み事があるとき。考え事をしている時。当てもなく変化を望むとき、人は空を見上げて。
大抵は空の青さに、曇り空の同情したような色に、雨の日の涙に慰められるだけなのだけど。
本日天気は晴れ後枝と、女の子。

「お、親方ァ!?」

あのセリフを叫びそうになった。目をぱちくりして、しかし何度見ても降ってくるのは女の子。
何処から飛び降りたなんてわからなくて、じゃあ受け止めるしかなくて。構える。
広げた手に、少女の背が触れて。乗って―――潰れて。

「ぐほぉあぁ……」

彼を下敷きにして、少女は地面に無事着地。クッションのお陰でそれ程痛みは無い筈。
下敷きになった彼は、今にも死にそうな声をあげているが。

「……あんた、大丈夫かぁ……生きてるかぁ……」

.//遅くなりました……
//明日は休みなので、ここから遅くまで大丈夫です。
91名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)00:06:59 ID:???
>>90
例えるなら茂みの中を全力でバック走していような、そんな感覚。
激しい葉擦れに鼓膜を揺さぶられ、枝葉が次々と視界を流れて遠ざかる。
なんだ、こんなものかとぼんやり思う。後は背中と地面が盛大にぶつかっておしまい。黙って待って、結局その時は訪れなかった。
代わって感じたのは、もっと柔らかい違う何か――。


「ううん。大丈夫だけど、思ったより面白くはなかったかな」

全身を使って少年を押し潰した状態のまま、自分が落ちてきた木を見上げる。
助かった安堵や事故の後の焦りは一切合切感じられない、むしろ納得のいっていなさそうな声の調子。
途中途中で末梢にぶつけた節々が少しだけ痛むが、これくらいは怪我のうちにも入らない。

「助かったよ、ありがとう。君の方こそ大丈夫だったかい?なんだか今にも死んでしまいそうな声だけども」

声も姿も少女でしかないが、口調だけは少年のそれ。上体だけ起こして体を回転させ、彼に覆い被さるように。
年の割に平らな胸。細く白い華奢な四肢。漆黒の瞳は少年の顔を捉えて悪戯っぽく笑う。
右の手を頭の横について、もう片方で黒髪を耳にかける。それでも重力に負けてはらりと少年の頬や白いジャケットを染めた。
それだけ近い距離の顔と顔。木漏れ日を遮る少女の唇が楽しそうに三日月を描いた。

//お気になさらずー、よろしくお願いします
925/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)00:18:46 ID:???
>>91

「おも、しろ?……」

意味の分からない言葉に、碌に返事もできないまま顔と顔が向い合せ。
黒髪が頬を撫でて、鼻孔を微かに擽って。華奢な少女の感触は、彼の顔色を変えるに十分で。

「……なんで笑ってんだよ。
 そんな面白い顔してねぇよ。」

面白くないという癖に、描く三日月は綺麗に。
頬の色を変えたまま、向き合う距離に耐えられなくって視線が逸れる。
力なく延ばした手が肩に触れて、どうにか少女を退かそうとするけれど。
93名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)00:35:49 ID:???
>>92
「うん、面白くなかった。なんなら君もやってみたらいいさ。命の保証はしないけど」

くすり、笑い声が喉の奥で小さく鳴って冗談だと暗に告げる。
肩に触れた手は少女でも抵抗できるほどに弱く、わざとらしく体重をかけて押し戻そうとする力に対抗する。
髪を抑えていた左手が毛先を掬って滑り、嗜めるように、或いは弄ぶように抵抗する手に重ねられた。

「でもこうやって受け止められるのは、ちょっとだけ面白かったよ」

手と手が触れたのは妖精の接吻よりも短い時間。なんでもないように手を離して、今度は素直に押し退けられる。
至極あっさりと離れる体。早々と立ち上がっても、見下ろす愉快そうな表情は変わらないまま。

「だってこんな出会い方、まるで運命みたいだと思わないかい?」

神話の如く無垢な心だけが許される、お伽話に憧れる子供じみた言葉。
本心なのか巫山戯ているのか、大袈裟に両手を広げて語る彼女からはやはり窺えず。
945/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)00:54:45 ID:???
>>93

「する訳ねぇだろ死にたくねぇし。」

重ならない視線。手の甲にくすぐったい感触。木の葉の香に混じって少女の匂いがする。
触れた手はこれ以上力が入られらなくって、押し戻す事すらできなくて。
弄ばれてる自覚はあるけど、目と目すら合わないのだから何もできない。

「俺は苦しかった、けどな……」

触れた感触はしっかりと手に残っていた。布が少女の肌をすべる感覚。衣服越しの体温。
それも全部、見こされている様な気がして。

そして続く言葉は。彼が、漠然と求めて居た事で。

「王子様って顔じゃねぇよなぁ。
 あんたも、お姫さまって……」

見つめる少女の貌。子供じみて、その癖綺麗な黒髪が靡いて。神秘的とすら感じる様な。
頭が熱い。まともに見れない。また視線がそれる。

「……なんでもね。」
95名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)01:12:55 ID:???
>>94
エスパーなんてこの世にいる訳がない。だから彼女の言葉は彼の願望を察してのものなんかじゃないはずだけれども。
底のない深淵を思わせる眼は、本来見えないはずの物まで映し出すようで。
服や髪を彩るままの葉を一枚一枚白魚のような指でつまんでは、風に任せてはらはら落とす。

「そんな事はないさ。我が身を呈して女の子を助けたんだ、君は充分王子様だよ」

途切れた言葉と逃げる視線に何を読み取ったか、外側だけの嫌味を軽口で流す。
逸れた顔の先に軽い足取りで移動して、余裕さえ含ませる微笑みで覗きこんだ。

「ほら、君も早く起き上がりなよ。まるで私が虐めているみたいじゃないか」

少年のそれよりも小さな手を差し伸べて、彼が取らずともきっと笑みは絶やさない。
もしも助けを借りるなら引く力は見た目相応に弱く、儚ささえ感じさせるほどの。
965/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)01:25:17 ID:???
>>95

「……そもそも今更だけど何で降ってきて―――」

重なる指。握る手と、触れ合う体温は彼の方が酷く高い。
少女の見せる余裕に対して、少年の頭は熱が溜まって爆発しそう。

「―――ぁりがとよ。」

突然のぬくもりに上手く発音できなくって。妙な声の返事。
引かれる力はか弱く、意識だけが強く惹かれてく。
立ち上がる仕草はゆっくりと、時間の流れが停滞しているかのような動き。意識の方はきっと本当に停滞してて。
97名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)01:38:42 ID:???
>>96
少しだけ上体を後ろに倒して、全身を使って起き上がらせる。本当に体重をかけているのかも怪しいくらいの小さな手助け。
礼の言葉にくつくつと笑って返す。少年の反応にさぞかし愉快そうな、それでいて決して馬鹿にはしていない響き。
熱い手の平を握るひんやりとした少女の手は、彼が両足で地面を踏みしめても離れる事はなく。

「さて、なんでだろうね?落下のショックで忘れてしまったみたいだ」

首を斜めに傾ければ、白磁の肌に映える黒髪がさらさら零れて陽光を呑み込む。
一歩寄って、見上げる形。少年の頭ごしに射し込む光に眩しそうに目を細めた。

「君のお姫さまになるためって言ったら、どうする?」

明らかな嘘。だって彼女はそこに誰かがいるなんて知らなかったのだから。
下から見上げても木の上から見下ろしても、深緑に遮られて互いの姿は見えるはずがなく。
風に踊る木の葉の舞は気のせいか、二人の時間の流れにつられてひどくゆっくりなテンポ。
985/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)01:51:26 ID:???
>>97
一歩の距離が酷く近い。顔を合わせた時よりは幾らか遠い筈なのに。
上目遣い。細まる目が、心臓を掴む様で。鼓動がまた一つ大きくなった。
言葉が一つ一つ染み込んで、思考が蕩けそうになっていく。
例えば、くだらない男だけの集まりで。こうだったらいいなって、笑いながら話す状況。
自分が口にしたならば、隣の友達があり得ないと笑って。自身もだよなと返すだろうし。
だから今の状況が、だんだん夢かどうかわからなくなってくる。

それは、それとして。

やられっぱなしは、なんだかやだし。格好悪いし。
少女の手を自分から。その手はまるで、血液が沸騰しているかのような体温で。
見つめる目は揺れて、耳まで沸騰しているようで。それでも、握って。真っ直ぐ見つめて。

「―――何処までだって攫ってやる。
 王子さまって柄じゃねぇし。」

少しぐらい、戸惑う顔をみせやがれ、なんて。
99名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)02:08:26 ID:???
>>98
手持ち無沙汰だった手が、熱いとさえ思わせる何かに包まれた。
脈打つ音が繋いだ場所から伝わって、二つの心の臓が共振している気にさえなる。
彼の握る手は、容易く振りほどける自分のか弱い力と違って、逃がさないと叫ぶ力強さと熱を内包して。
数分にも満たない会話だというのに、目と目を合わせたのは随分と久しぶりのような気がした。

「なんだ、それじゃあ王子様じゃなくて盗賊じゃないか」

とても愉快そうに、益々つり上がる口の端。
ああ、人と話すのはこんなにも面白かっただろうか。簡単に予想できるようで、その実全くの想定外が返ってくるのが楽しくなくてなんとするのか。
ふと思い立った好奇心に従った時よりも心が躍っていたのを、今初めて自覚した。

「――じゃあ、捕まえてごらんよ。悪党さん?」

一歩、二歩と引いて掴まれた手から逃げようと。
頬にさした仄かな紅は白い肌によく映える。視線を少しだけ外すのは彼女の番。
1005/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)02:21:25 ID:???
>>99
指を結んで、ぎゅっと握って。熱を絡めて、逃がさないように。視線がようやく重なった。
鼓動の音は隠れない。昇った熱は飛んでかない。相変わらず格好つかないけど。
一歩、二歩、下がる少女の頬。紅色。目に映って、焼き付いて、その手を放さない。逃がさない。

「お城を飛び出して、もっと楽しい所に行こうぜ。
 お姫様も、こんな古びたお城は飽きちゃってんだろ?」

逸れる視線は彼女から。少しは戸惑う顔が見れたから、もっと見たくなって欲張った。
手を引いて。片手を腰に回して、抱いて。慣れない動き、下手糞なダンスのステップ。
それでも精いっぱいの格好付け。視線だけはそれないままで、顔と顔がまた近づいた。

結局、学校なんてつまらないと思ってたのかもしれない。そこに欲しい物はなかったのかもしれない。
こんな風に昂るのは、きっと初めてで。こんな風に欲しいと願うのも、きっと初めて。
101名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)02:39:05 ID:???
>>100
顔をいっぱいに赤らめて頑なに目を合わせようとしなかった彼の気持ちが、今ならよく分かる。
とにかくこの場から逃げてしまいたくて、それでいてどうしようもなく欲してしまう自分がいて。
はぐらかしたくて距離を置きたかったのだけれど、それを遮られたのが嬉しかったのも胸に芽吹いた確かな感情。

「ああそうさ、退屈な毎日にはもう飽き飽きしていたんだ。裸足でもいいから逃げ出してしまいたいくらいにね」
「だから――君が手を取ってくれるなら、どこに連れて行かれても構わないさ」

手を引かれて足を踏み出し、自分から寄った時よりも近づいた距離。もう目は逸らさないけど、血の集まった頬はすぐには落ち着かない。
旋風に合わせてリードされるまま拙く踊る。くるりくるり、回るたびにスカートが翻ってほっそりとした太腿が覗いた。

「へたくそ」

そう呟いて笑う彼女は、言葉と裏腹にこれまでで一番楽しそうで。
1025/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)02:58:28 ID:???

>>101

「……うるせー。」

悪戯っ気の抜けた純粋な笑顔。こっちの方が好きかもしれない。
なんとなく。こっちの方が、自分だけが見れる笑顔な気がして。
つられて彼もまた笑う。口振の割には楽しそうなところまで同じように。

だからその笑顔をもっと。華奢な体を、もっとあっためてやりたいから。
つまらない古城を抜け出してしまえ。白馬はもう、用意してあるから。

「学校まだまだ残ってんのによ。
 二人で学校飛び出すんだ。絶対楽しいぜ。
 行きたいところは?お姫様。それとも盗賊に任せてしまうか?」

手を引いて連れ出した先。ジャケットとお揃いの、純白の二輪車が唸る。
使い道も無くて項垂れた馬も、今日だけは滾っているように見える程。
さあきっと何処へだって行けるから。望んだ場所に、この盗賊は走り出す。
103名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)03:18:33 ID:???
>>102
心音は互いにすっかり大きくなって、最早どっちがどっちのものかすらも分からない。
でもそれはそれで、二人混ざり合っているみたいだからいいか、なんて思えてしまう自分もいて。
男の人に手を引かれて歩くのはどれだけぶりだろう、絡め合った指は幼少の頃の思い出よりも熱く感じる。

「君が連れて行ってくれる所なら、どこだって楽しいに決まってるじゃないか」
「盗賊はお姫さまに逃げる先を選ばせないくらいの大悪党さ、そうだろう?」

こんなところで気取って白馬を持ち出してくるから、やっぱりどこか可笑しくて忍び笑い。
お姫さまは我儘で、それでいて世間知らず。だから拐かされた先を選ぶ義務も権利も、全部全部盗賊の物。
どこまでも続く退屈な日常を蹴り飛ばせるのなら、きっと彼女は本当にどこでも、どこまででもいいのだ。
今みたいに手を取って、悪者らしくない優しさでエスコートをしてくれる限り。
白馬に二人跨がって古びたつまらない城に別れを告げる。腰に手を回して体を密着させるのは、きっと全幅の信頼の証。
104名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)03:39:44 ID:???
//非常に申し訳ないのですが一度とうけつを挟んでいただけるとありがたいです......
//明日は休日ですのでいつでも返せます
>>103
背中と胸を重ねれば、心音が本当に重なっちゃって。同じ鼓動を刻むなら、同じだけ実は昂っちゃってて。
口調はずっと変わらないのに、こんな変化はわかりやすい。

「......可愛いなこいつ。」

何て声が漏れちゃって。それをごまかすように慌てて

「.勿論。盗賊様にお任せってな。
飛びっきりの場所で、お城の思いでなんて吹っ飛ばしてやらぁ!!」

エンジンをかき鳴らす。ハンドルを切って走り出す。背中に感じる微かな柔さは、あまり考えないことにして。
盗賊様なんて口だけで。エスコートは何処までも丁寧に。河原の道を走れば、茜色の水面が見えて。
見える景色はきっとどれも綺麗。二人なら、何だって初めて見るようだ。
日が沈めば、その頃にはとある峠へと昇った後。見下ろす景色、宝石ちりばめた街の光。
馬鹿正直なロマンスも、彼らしいと笑ってくれるか。
105名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)04:07:50 ID:???
>>104
白馬の嘶きで隠したつもりの鼓動は相手に丸聞こえで、呟きは風が浚ってしまったから少女には届かない。
今だけは顔を合わせていなくてよかった、とらしくもなく思う。きっとすっかり夕日に染められてしまっていただろうから。
全身で感じる彼の温もりが伝染してこちらまで火照ってしまう。荒ぶ向かい風は冷たいはずなのに一向に熱は冷めなくて。
いつも通る道も初めての道も、何もかもが新鮮な景色。一人では決して知る事のできなかった、彩りに満ちた世界を二人駆け抜ける。
夕焼け色に染まった街並みが、今だけは不思議と色鮮やかに映った。
だんだんと高い所に向かうものだから、昇天しそうになっているみたいだと笑みを零したのは彼女だけだろうか。


「――――――」

その光景を黒の瞳に焼きつけて、小さく息を呑んだ。
これまで閉じこめられていた城は夜空を反転させて、これでもかと星屑の如く煌めく。
一歩、一歩と際まで近づく。夜風に靡いた髪は宵闇に溶け込んでしまいそうな。月の光を受けて白い肌は一層色を見せず。
しばらく黙って夜景を眺めて地平線に黄昏の残照が消えた頃、ようやく徐に少年へと向き直った。

「意外だな、君がこういう場所を知ってるなんて」
「……知らなかったよ。この街はこんなに綺麗だったんだね」

月明かりだけではきっと火照った頬は分からない。
吹き下ろす風がひゅうと鳴って、微かに体を震わせた。

//凍結了解です。日中は不安定になりますが、夕方からは安定して返せますので
1065/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)15:16:17 ID:???
>>105
彼女の熱か自分の熱かわからなくって。ただハンドルを振り切らないように強く握って。
知らない場所に行きたくて、日常から飛び出したくって買った二輪車は、結局それだけじゃ何処にも行けず。
一人じゃたいして遠くまで行けなかった。知らない道も、何時もの道と変わらないように見えた。つまらなかった。
今は何もかも新しく見えるのだから、本当に必要だったのは――――
ヘルメットは表情を隠す。短髪は昇る体温を隠せないから、あってよかった。今だけは格好つくかな。

「ここ、いつ来ても綺麗でさ。」

街の光は何時だって途絶えない。どんな時だって。

「しんどい時も、死にたいときも綺麗でさ。本当は嫌いなんだ。
 お前なんて、どうだって良いって言われてるみたいじゃん。」

どれだけ辛い思いを抱えても。心が圧し折れていたとしても、そんなことじゃ街の明かりは変わらない。
皆同じように生活して、灯りを付けて。陸の星空には何一つ変化はなく。

「お前とならさ、ちゃんと綺麗に見れるかなって思った。」

でも今日は最高の気分に、最高のお姫様が居るから。

「―――――やっぱ綺麗だわ。」

視線は街を見ていない。ただ少女をだけを眺めていて。
白馬から降りて、震える体を抱き寄せた。
107名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)15:56:51 ID:???
>>106
本当は放課後になったら早々に帰ってしまうつもりだったから、冷える夜に備えて厚着なんてしていなくて。
少しの後悔は温もりに包まれて、あっという間に喜びへと早変わり。
初めての、真正面からの抱擁。腕の中に収まっているだけで、どうしてこんなにも安心できるのだろう。

「これじゃあ、本当に君のモノになったみたいだ」

それでも決して嫌な気分ではなくて、むしろ。
彼の体温、心臓の音、息遣い、仄かな汗の匂いさえも脳を侵して心地よい。
峠から見下ろす夜の街は間違いなく絶景で、けれど二人ともそんな物はもう目に入っていない。
見上げた夜空は宝石箱をひっくり返したように美しいけど、本当に見ていたい物はもっと近く。
互いに互いの目を捉えて離そうとしない。望月に照らされた孤月の笑みは、きっとどこか余裕がなくて。

「――――ん」

抱き返すなんて殊勝な真似をするのは癪だったから、少しだけ爪先立ち。身長差が憎いような、嬉しいような。
肩に手を置いて顔を近づける。唇へと、星の瞬きより短くて鳥の眠りより優しい口吻。
瞳が潤んで見えるのは、月光のスポットライトのせい。
108名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)16:24:33 ID:???
>>107
運命なんて、本当にあるのならきっと生まれたときから。そうでなくても、出会った時から。
退屈な二人が、胸の穴を塞ぎあって。離れられなくなって。
渇望。抱き締める力はありったけ。決して凍える事の内容に、離さないように。

「拐ったんだ、俺のモノだろお姫様。
代わりに俺、も──────」

肩に手が触れる。向き合って、濡れた瞳が見つめ合う。お互い体温を絡めたままなら、昇る熱もきっとごまかせてる。そう思って。

唇が濡れた。柔らかく触れた。その感触がなんだかわからなくって、固まって。
瞳の色で理解して。溜め込んだ熱が爆発するよう。影が射してもわかるほどに赤く。
固めた前髪がはらりと落ちて、垂れた。

もっと強く抱き締めて。少女の肩に頭を乗せて。互いの顔を交差する形。

「......俺も、お前の物だから。
まだまださ、どこにでも行こうぜ。」

そんな台詞を口にしても、顔は乱れてぐちゃぐちゃで。それを見られたくなくって、
109名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)17:10:18 ID:???
>>108
それは果たしていつから重なると定められていた交点だったのか。
手と手が触れた時か落ちる側と受け止める側になった時か、はたまたそこに行こうとなんとなく考えた瞬間からか。
そんな事を今更考えたって何も変わりやしないのだから、声高らかにこう叫んでしまおう。「この世に生を受けた時から」だって。

「うん。一緒なら、どこにだって行けるさ。だから――」

もう言葉はいらない。代わりに背中へと腕を回す。
抱きしめ返す力は少年に比べると全然弱くて、代わりに真っ白なジャケットを強く握る。
離さないと、離さないでと空気を震わすことのない懇願を指の先が訴えかけた。
彼の肩は少女には少し高いから爪先立ちのまま、頬の紅を隠すように首筋へと顔を埋める。
表情や声の調子は悪戯っぽさを保っていても、理性の手を離れた体はどこまでも心の奥底に正直。
膨らみなんてたいしてない胸を押しつけて、鼻を擦りつけて、どこまでも体は熱くなっていくばかり。縋るように体重をかけてみたりして。

「――ちょっと、痛いよ」

言ってみただけ。本当はそれだけ想ってくれていることが嬉しくて。
かき抱いた体は少年よりも小さく細っこく、いつか折れてしまいそうに華奢な熱の塊。
110名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)17:56:56 ID:???
>>109
生まれたときから6500日、求め続けた温もり。たわわな感触なんて要らない、ただこの腕の中に。
存外素直な彼女が居ることが愛おしい。

離さないと力を込めて、離さないでと返すならこのままずっとこうしていたい。

「……帰りたくない、よな。」

このまま片時も離れることなんて考えたくない。出来ることなら時間よ止まれと、ありきたりな言葉が浮かぶぐらい。
空っぽな胸がはじめて埋まったのだから、もう離せない。

「俺は離したくない。
だからお姫様、盗賊の隠れ家まで連れて行くよ。」

きっと断ったりされない筈だなんて期待とエゴを重ねて。拐っていくと言い切った。
家には誰も居ない。盗賊だから、捨て子のような物だから。
だからきっと、そこだけは。二人きりの聖域で有れる。

ああでも、ちょっと。下心を感じさせてしまうかなって。失敗したかなって、冷や汗をかいて。
111名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)18:19:56 ID:???
>>110
ただ無意味に繰り返すだけの日々を、色のない苦痛な日常を過ごしてきたのは、もしかして今この時のためだったんじゃないか。
そう考えてしまうくらいには、頭の中はもうぐちゃぐちゃ。
夜空を流れる一条の星の光に、この瞬間を結晶に閉じこめてしまいたいと願いをかけてしまいたいくらい。
声もなく頷く。互いの熱で融け合って一つになってしまった心は、もう離れられるはずもなく。

「当たり前じゃないか。拐うって言ったんだから、ちゃんと連れて帰ってくれるんだろう?」
「私を城から連れ出したんだ、最後まで責任を取ってくれないと困るじゃないか」

それは彼がどんな意図を、それこそ下心しか持ち合わせていないとしても受け入れると語るも同義。
どうなったって、彼となら構わない。二人だけの世界にだってきっと喜んで閉じこめられる。
また白馬に乗るのなら、離れる体はひどくゆっくりと。肩から鎖骨にかけて汚した黒髪が最後に名残惜しそうにさらりと落ちる。
帰り道に流れる景色はもういらない。額を背中にすっかり預けて、何より彼の体温を感じていたかった。
1125/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)18:54:56 ID:???
>>111

最後は二人果てるまでか、それともその先まで。もしかすると最後なんてないのかも。
二人が望む限り。この世界で無くたって繋ぎ続ければいい。
白馬にもう一度。下り坂を走って、眼下の光はほうき星の様に流して。
二人で走る通学路。冷たい風も見慣れた塀も目に映らない。ただ隠れ家まで突き進む。

マンションの一室。扉を開いて上がり込めば、そこは残念ながらロマンは無くて。
少ない家具と、散乱する漫画本。適当に脱ぎ散らかした衣服。いかにも男の一人暮らし。

「……盗賊だからな。こんなもん。」

浮かれて自室の惨状を忘れていたらしく。ちょっと熱が冷めてきた。
振り返る。失望、されてなければいいなって。

「直ぐ片付けるからちょっと待っててくれよ・……」

交わす言葉からはロマンが消えて、生活感があふれ出す。
113名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)19:12:28 ID:???
>>112
「そうだね。盗賊だから、こんなものだろうさ」

ロマンチックなひと時はもうおしまい。辿り着いたのは絵本の最後の頁の更に先。
微笑みを湛えながら、楽しげに部屋の中を見回す。声の調子は最初みたいに揶揄うような。
夜風に晒されてすっかり冷えた肌は、もう元の白磁に戻りつつあった。

「――――――」

流石に初めて訪れる、それも異性の部屋だから手伝おうとはしないけれど。
脱いでそのままの服だとか、転がる漫画のタイトルだとか、キッチンの使用具合だとか。
目に映る全てが彼の生活を物語るから、本当に拐われてしまったんだと遅れて自覚しつつある。
部屋の匂いはやっぱりさっきまでずっと鼻腔を擽っていたそれ。落ち着くような、胸が高鳴るような。
そういえば男の子の部屋なんだ、なんて今更考えると途端にどうすればいいのか分からなくなって。
片付けを待つ間の手持ち無沙汰な時間が妙に気恥ずかしく思えて、また顔が熱くなった。
1145/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)19:33:17 ID:???
>>113

「女なんて呼んだことねぇし!」

脱ぎ散らかした衣服を籠に放り投げながら叫ぶ。
どころか友達すらめったに呼ばないからこの有様なのだが。

「寒ぃよな。とりあえずこの辺で寛いでくれていいから…… 
 あ、ベッドの側はちょっとやめてくれな。」

暖房のスイッチを入れて、テーブルの側を指し示す。
ベッドの側にはよくない物があるから、察して欲しい。男の子の部屋だから。

本棚に漫画本をしまって、衣服も一通り退かした。とりあえず客を呼べる程度の状態にはなった。
離したくない、その一心でここまで連れてきてしまったけど。よくよく考えれば何をすればいいのやら。
片づけを終えれば、また手持ち無沙汰。自分の部屋に少女が居て、その周りだけまだ御伽噺の中見たい。
気恥ずかしさがまた昇ってきた。赤色が帰ってくる。

「……食べたいものとかあるか?
 冷蔵庫、確かまだいろいろ残って……」

こんな時に出てくるのは他愛のないセリフ。本当に言いたい事も、言わなきゃいけない事も違うのに。
115名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)19:52:00 ID:???
>>114
指されたテーブルの側におとなしく座って一生懸命に片付ける少年をぼうっと眺める。
気を抜いたらなんだか甲斐甲斐しい彼に頬が緩んでしまいそうだったから、両手でぐりぐり揉んで誤魔化してみる。
本当は散らかったままでもよかったのだけれど、忙しない姿を見るのも楽しかったから黙っていることにする。
暖房が部屋を温めるより早く、体が熱を持ち始めたような気がした。

「私はなんだって構わないけれど……せっかくだ、何か作るよ」

もてなされる側としてはあまり好ましくない答えかもしれないが、こういう時くらいは女の子らしいところを見せたかったから。
冷蔵庫の中を覗く。材料があるのならそれで作れそうな簡単な物を。
作り置きやレトルトがあればどこか残念そうに、それらを使って食卓の支度を進めるだろう。
聞きたい言葉もしてほしい事も、自分からはまだ催促しない。戸惑いがちな彼だって少女にはとても愛おしく思えるから。
1165/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)20:02:08 ID:???
>>115
冷蔵庫を開けば、その脇から少女が顔を出して。
これぐらいの距離ならばもう慣れた、筈なんだけど。まだちょっとどきっとする。

「じゃ、じゃあ頼むわ。」

誰かの手料理、というのも初めてだったし。親の料理すら覚えてないから。
素直に身を引いて、あとは少女のするままに。
冷蔵庫の中身は肉が多めに、野菜が少し。スカスカ具合が実に一人暮らし。
幸い料理が出来る程度の食材はある。後は腕次第、だろうか。

待ち時間は座ったまま、自身の家なのにそわそわして体が揺れる。
117名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)20:25:36 ID:???
>>116
「うん、頼まれた」

冷蔵庫の中に眠る食材を眺めて少考。この時ばかりは真剣な表情。
準備するのは鶏モモ肉と舞茸、それからパスタの乾麺。
鍋に水を張ってパスタを茹でながら、並行して具材を炒めて塩を振る。
麺が茹で上がったら具、それから醤油、みりんとしっかり絡める。仕上げにバターと黒胡椒でアクセントをつけて完成。
最後まで忙しいものだから彼に注意を割く余裕はあまりない。それでも偶に横目で窺っては、落ち着かない様子に笑みを零した。

「どうぞ、召し上がれ。悪いね、本当に適当で」

そうしてテーブルに並ぶ二人分の食卓。向かい合って座り、彼女が手をつけるのは最初の一口が彼の舌に触れてから。
人に料理を振る舞うのなんて久しぶりだったから、無意識に少し期待と不安に息を詰めた。
1185/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)20:43:50 ID:???
>>117
テーブルに並ぶのは二人分のパスタ。立ち上る湯気から感じる香は、自分の作った雑料理とは比べ物にならず。
自分で作ると言えば適当に肉を焼いて、たれをつけるとか、それぐらい。

「適当なもんかよこれ……いただきます。」

手を合わせて、フォークを握って。けれど向かいからじっと見つめられては、ちょっと緊張する。
フォークにパスタを巻き付けて、口元まで持ってくればバターの甘い香りと黒胡椒の刺激がアクセント。
それを口に、含めば

「……うめぇ。」

もう一口。

「うめぇ!!」

後はもう何も言わない。思えば結構時間も経っているし、忘れていた空腹を思い出して。
皿が空くまではあっという間。きれいさっぱり、そこには何もなかったみたいな食べっぷり。

「……ごめん、夢中になった。
 してもらってばっかだな、俺も何かしたいんだけど……」

楽しい記憶はどれも、彼女に貰った物ばかり。初めての記憶が、頭の中を埋め尽くして。
自分が何をしたか、とかはよく覚えていない。だから、まるでしてもらってばかりに思ってしまう。
119名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)20:59:15 ID:???
>>118
その反応に、微かに胸をなでおろしてようやく自分でも一口。
少年ほどがっついてはいないから、食べ終わる時間には大分差が出る。二人の食事が終われば下膳、食器洗い、そうしてやっと彼女も一息。

「気にしなくたっていいさ。私だって、いろいろ受け取っているんだから」

本当に何かをしてもらっているのは果たしてどちらだろうか。
退屈な毎日から逃げ出したくて、手に手を取って走り出して。どっちが、なんていうのはきっとないのだ。
手を床について、四つん這いのようにしてにじり寄る。覗きこむ顔はこれまでに負けず劣らず近くって。

「それに――私は君のモノだから当然の事だよ。そうだろう?」

伸ばした白い指が頬を撫でる。余裕のある笑み。蠱惑的に目を細めてあからさまに誘う仕草。
きっと彼女は少し焦れている。盗賊なら盗賊らしく、所有物には印をつけろ、悪事くらい働いて見せろと。
1205/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)21:24:01 ID:???
>>119
距離だけなら、同じだけ近くに居た時もあった。それでも、ここまで。
蠱惑的に伏せた瞳。その視線に込められた意味も、求める物も、本当はわかってて。
だって、それは。自分がしたいことでもあるから。

手が伸びる。肩を押して。まるで初めての時の様。だけどそこには、力が確かに。
押し倒す。小さく開いた口は、彼女を求めていた。誘われたなら喰らうだけ。思うがままに。
だって、彼は。盗賊だから。

「俺の物、なら。好きにさせてもらうからな……!」

首筋に舌を這わせて。そのまま、床に少女の体を押し付けて。
好きって感情は、多分あまりきれいじゃない物も含んでくれる。でも、それも、受け止めてくれるなら。
肩の指が胸に伸びて。絡まる釦を一つ、解いた。
121名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)21:42:47 ID:???
>>120
肩を押されるのはこれで二度目、今度はあっさりと倒れる体。
床に黒髪が広がったのは、きっと言葉では素直になれない少女の代わりに喜びを伝えようとしたから。

「もちろ、んっ……」

覆い被さられて、首筋をなぞった舌に言葉が途切れる。吐息混じりの声、びくりと体を震わせた。
あっという間に熱が戻る。唾液の触れた場所から溶けてしまいそうなほどに。
少しずつ呼吸が荒くなって、それでも声を出すのはなんとなく悔しいからどうにか我慢。
両手は頭の横に力なく投げ出されて抵抗の素振りも見せない。

「こういうのは、初めてだから――優しくしてほしいな」

お姫さまは我儘だから、悪い盗賊の前でも注文をつけるのを忘れない。
身を包む白いシャツがゆっくりと解かれるのを黙って受け入れる。ひどくじれったくて、時間がやけにゆっくりと流れているような。
曝け出されるのは慎ましやかな胸を守る薄いピンクの下着と、それから仄かに朱に染まった柔肌。
流石に恥ずかしさが胸に去来して、思わずそっぽを向いた。それでも瞳は期待と興奮、それと少しの不安に潤んでいて。
1225/7K.VcEo2 :2018/11/02(金)21:56:35 ID:???
>>121
崩れ落ちた理性、這う舌は首筋から唇へ。少女もまた絡めてくれるのであれば。
あの時交わしたそれとはまた違う、暴力的な迄深くを貪って。
注文をつける唇を、自信の唇で塞いだ。そっぽを向くなんて許さない。

「……好きにするって言ったぞ。」

あくまで好きにさせてもらう。そう言うつもりらしい。
下着をずらして、朱色の肌を撫でる。その手つきは言葉通りに、丁寧で。微かな膨らみを撫でて、その先端に触れる。あくまで、彼女が感じられるようにと。

唇と、その胸を。思うがままに貪って。張り詰める彼のそれを、自分から晒すことはなく。
今はただ、彼女の反応を見て楽しんでいるようだけど。
123名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)22:13:51 ID:???
>>122
近すぎる顔、互いに互いにしか見えていない。本当に、世界に二人しかいないかのような錯覚さえ。
乱暴ささえ孕む口吻を、余す事なく享受する。舌を受け入れて、絡めて。
重力に従って流れ落ちる唾液さえ、喉を鳴らして取り入れる。飲みきれなかった分が口の端から溢れて頬を伝った。

「ん、ふ、ぅ――!?」

鼻にかかった吐息が、指が突起を掠めた刹那止まった。
目を見開く。先端を撫でるたびに大袈裟までに体を跳ねさせる。
大きな手が触れた所が際限なく熱を持って、どうにかなってしまいそう。
思わず腕を彼の首に回す。ただただ初めての感覚に、何かに縋らずにはいられなくて。
奇しくもそれは、更に求めているようにしか見えないのだけれど。

「ふ、っ…………!」

それでもまだ、健気に声を抑える。きゅうと目を瞑り、睫毛を震わせながら。
首の後ろに回した手が、切なげに服を力なく掴んだ。
124名無しさん@おーぷん :2018/11/02(金)22:28:57 ID:???

「ごきげんよう」「ええ、ごきげんよう」

何もかもが思い通りになる世界に生まれてきた。
望むものは全て手に入れてきた。金銭で困ったことなんて一度もなかったのは当然だったし、何もしなくても勉学も運動も常に一番だった。
音楽をやっても芸術をやっても全て自分の思うままの結果が返ってくる。恋愛だって全て指先一つで思うまま。
ただ、こうしていつも通りの作り笑いの挨拶をしていくこと自体が自身に課せられた代償なのだろう。
その才能とその立場と比較したのならば、なんて軽い代償だ、と周囲の凡人達は語るだろう。事実そうなのは理解している、だがそれが全くもってつまらない。

「……つまらない」

秋風に吹かれて艶めいた黒髪が靡くのに乗せて、まるで吐き捨てるようにそう呟いた。
それは少女達の花園の頂点に立つ、誰もが羨み憧れるお嬢様。ノブレス・オブリージュという名の着包みを身に纏い、この空の下を窮屈に歩く。
これまではそうだった。きっとこれからもそうなのだろう。自分という人生が続いていく限り、思い通りの人生が約束される籠の中の鳥。
口元にはいつも笑みを。足取りは常に軽やかに。弱き者にはその右手を差し出して、強き者の横暴に立ち向かう。

「本当に、つまらない」

そんな在り方に、何の意味がある。
誰にも聞かれていやしないだろう。きっとそうだろう。風音は少女のもしかしたらという思考すらも奪っていくよう。
ただそれは、奥底に秘めた願望なのかもしれない。なにか面白いことが起きればいいのに。それが別に、安寧の籠の中の鳥あることすら奪ってくれるのならば。
何でも良かった。なんだったら、宇宙人がやってきて、そのまま全て壊して終わりました、なんて下らないオチでも良かった。
頭を下げて、挨拶をして、そして駆け出していく少女の姿を横目で見送る。あの娘はあんなにも羽根を伸ばしているというのに、果たして彼女と自分に如何程の差異がある。

「"ごきげんよう"」

不公平だ。不平等だ。それでもまた、通りすがった少女達へと挨拶を。
彼女達が自分に対してそう思うように、自分もまた彼女達にそう思っている。
籠の中の鳥は、大空を行く鳥に憧れる。そこが冷たく、とても厳しい自然の世界であるのは分かりきっているはずなのに、外に出たいと願ってしまう。
なんて理不尽、なんて愚か。であれば尚更、自分はただの一人の少女でしかないではないか。貴族主義の着包みの中、思い願う。
1255/7K.VcEo2 :2018/11/03(土)13:10:18 ID:???
>>123
自分の手がどこかに触れるたびに甘い声が漏れて。求める手が服を掴む。
それがどうしようもなく楽しくて、何度も何度も引き出させた。
優しくなでて、掴んで、時折先端を掻いて。手つきはどこまでも丁寧に。
幾度となく交わす唇は、唾液でふやけてしまいそう。口角から煌めき漏れる、それはどっちの物だったかもわからなくなって。
交わって、重ねて、自分がどっちかもわからなくなって。それでもまだ、その先が見たくて。
次第に手が下腹部をなぞって下降していき。未だ衣服に包まれた、その場所へ。

文句は言わせない。何かを言う前に口をふさいで。
釦を解いて、邪魔な布を引きずり下ろしていく。

//すいません鯖落ちで書き込めませんでした……
126名無しさん@おーぷん :2018/11/03(土)13:45:32 ID:???
>>125
「ん、っ……ふ、ぁ、あっ……!」

鳴いて、よがって、求めて、縋りついて。
最早出会った頃から保ち続けていた余裕は跡形もない。ただただ与えられる快楽に悶えるだけ。
抑えていた声もついに喉を震わせて交わした唇の織りなす水音を彩り、二つの先端は固く尖って弄びやすいように差し出される。
只管にされるがまま。絶対的な優位性は彼の物。
二人の立場を決定づけたのが性、身長、体格の違いによる物かどうかは定かではないが。
確かなのは今この時、彼は彼女を思う存分に蹂躙、征服、支配できるという事。
今だってほら、体を撫でる手が向かう先を悟り目を見開いたというのに。

「ぁあ、や、まっ――――!」

どうしたって羞恥は殺せない。制止の声はすぐさま塞がれて嬌声に変わる。
服を掴んだ手は離せない。結局抵抗なんてできるはずもなく、呆気なく脱がされる学校指定のスカート。
ほっそりとした太腿をもどかしそうに擦り合わせていたのが露わになる。白かったはずのそれはすっかり紅潮しきっていて。
聖域を守る薄布はブラジャーとお揃い。湿り気を帯びているのは蓄積された快感の証。

//鯖の問題ですしお気になさらずー
1275/7K.VcEo2 :2018/11/03(土)14:13:34 ID:???
>>126
今も、この先も。この声を顔を見られるのはきっと自分だけ。征服感。
欲求は際限なく。もっと甘く、もっと深くを求めて。薄布すら剥ぎ取る手には迷いが消えて。
静止なんて聞かない。その唇をふさいだなら、そのまま指に粘液が絡まる。
なだらかな丘に、微かに爪を立てて。その頂の突起を摘まむ。

「……悪い。もう、止めらんねぇ。」

押し付ける体を一度離して膝で立てば。見せつける様に張り詰めた、ジーンズのジッパーを下ろして。
トランクスを押しのけて勃ち上がるそれは、先端から汁を垂らしていた。

「嫌って言っても、駄目だからな。」

また彼の手が少女の肩に。込める力は、彼女を屈服させようと。征服しようと。
128名無しさん@おーぷん :2018/11/03(土)14:42:24 ID:???
>>127
最後の砦を引きずり落とせば、粘り気のある液体が銀の橋をかける。
むせ返るほどに濃い女の匂いが解放されて、まるで浅ましさを見せつけるような。
あまりの恥ずかしさに目を逸らしたくても、深い舌の交わりあいがそうはさせてくれない。

「ひぁ、あっ……そこっ、だめぇっ……!」

甘い声も蕩けた顔も、全くもって説得力がない。
引っかかれるたびに、顔を出したそれを刺激されるたびに、蜜がこんこんと溢れて指を濡らす。
背中がこれでもかと反り返って、足の指はぴんと伸びる。踏み入れた事のない領域だけど、全てを委ねて快感に身悶えるばかり。

「ぁ、え……?」

だから急に温もりが消えて、戸惑いの言葉が口をついて出た。
掴んでいた手が中途半端に伸びて追って、目に入ったその昂まりに動きが止まる。
目が離せない。思わず喉を鳴らす。下腹部が疼いて、また蜜が零れる。
あれがこれから自分に何を齎すか、想像するだけで頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう気がして。

「…………ん」

うまく声が出せなくて、悩ましげな吐息のような。代わりに一度だけ小さく頷く。
肩を抑える手の力は少し痛みさえ感じさせたけど、それが余計に捕らわれてしまった事を強く自覚させる。
彼の手首を弱く握って、抵抗のつもり。まだ全部は支配されていないなんていじらしい意地。
1295/7K.VcEo2 :2018/11/03(土)15:09:28 ID:???
>>128
跳ね上がり反り返って、自身の動き一つ一つに貰える仕草が愛おしい。
空からやって来た不思議な少女も、今は只の女の子。

小さく一度頷いたなら、それで最後の理性が途切れたよう。そのまま、獣の如く覆い被さって。
それでも初めての事だから。うまく照準が定まらなくて、切っ先が何度も谷間をなぞる。焦れったい。

「ここ、か……」

膣肉を掻き分けて先端が侵入する。吐き出す白と粘液が絡まる。
性感帯の全てが一肌の柔肉に包まれる、知らない感触に腰が砕けてしまいそうで。呻く声が漏れた。

「まだ、行けるか?……」

奥深く迄突き刺す前に、手を少女の頬に当てて。
嫌だと言っても止めないと宣言した癖に、一々気遣うのは優しさか、ヘタレさかもしれない。
少女が頷くなら、そのまま奥深く迄。
130名無しさん@おーぷん :2018/11/03(土)15:34:56 ID:???
>>129
入口を灼熱がなぞるだけで頭が真っ白になって腰が踊る。
粘液を吐き出す口はますますその量を増し、ここにおいでとしつこく叫ぶ。
そこにあてがわれて刹那体を強張らせ、次の瞬間。

「ぁ、いっ……ぐ、ぅ……!」

割り開かれて膣に侵入される感覚。
初めてのそれは蹂躙の痛みを伴って、恍惚に蕩けた顔を歪ませる。
二人の呻き声は正反対の方向。大きく息を吐き出して少しでも和らぐようにと。
浅い涙が眦から零れる。投げ出された手が縋る物を探して宙を彷徨った。
問いかけの返事はすぐには返ってこない。少なくとも、荒い呼吸が落ち着きを取り戻し始めるまでは。

「っ……だい、じょうぶっ、だからっ――」

それ以上は声にならない。けれど唇の動きだけできっと充分。
本当はまだ少し苦しいくせに、無言で「はやくちょうだい」だなんて甘いおねだり。

その懇願に従ったなら、彼女の中を一思いに埋め尽くしてしまったのなら。

「か、はっ……!」

全身の筋肉を緊張させて目は見開き、肺の中の空気は一気に吐き出される。きゅうと中を締めつけて。
溢れる潤滑油に混ざった赤は純潔の証。真に彼を刻まれた決定的な印。
1315/7K.VcEo2 :2018/11/03(土)16:11:16 ID:???
>>130
拠り所を探して揺れる手を握って。大丈夫、ただそれだけ聞けたなら。
彼にも余裕が無くて、だから最初はゆっくりと。蠢く壁を撫でる様に。
少女の不安を、せめて自身も抱えられるようにと。全身を、重ねて。
ゆっくりと、ゆっくりと、自分自身を刻みつけていく。

締め付けられて、動きが一度停止する。また呻き声が漏れて。

「俺、もう駄目かもっ……」

そこから一気に加速し始めて。膣肉を蹂躙し始める。
突き刺す先は定まらず、荒々しく腰を打ち付けて。灼熱の幹が脈打ち始めて。
吐息は一層荒々しく、まるで犬の様に下が垂れ堕ちて。
最後、一番奥に触れられたなら。貯めこんだ快楽を、白濁を吐き出して。
力ないまま、少女の体に覆いかぶさった。
132名無しさん@おーぷん :2018/11/03(土)16:48:11 ID:???
>>131
掴んだ手を握る力は彼にとっては些細な程度でも、これまでで一番強い。
苦痛と快楽とが混ざってどっちがどっちか分からなくなったから、せめて確かな熱を感じていたかった。

「ふ、ぅ、っ……んっ、ぁ……」

内側から撫でる緩慢な動き。ナカを弄る感覚がいやにはっきりと分かる。
その優しさに蕩けてしまいそうで、苦悶の声に艶が混ざり始めた頃。

「ぇ……?……っ――――!!」

そこから先は、もう言葉にならなかった。瞬く間に声の調子は苦しさに支配される。
文字通りの蹂躙。こちらの苦悶も都合も薙ぎ払った、ただ己の欲望を満たすためだけの抽送。
肉を打ちつける音。強引に掻き分けられる痛み。膣壁を抉る快感。体を貪る彼の必死そうな顔。
全部が奔流となって脳を犯して、今にもどろどろに溶けてしまいそう。
少しずつ苦と快が反転する。鼻にかかった吐息、一段と高くなる喘ぎ声。

「あ、ぁ、やっ、だめっ……なんか、きちゃうっ……!」

切羽詰まった叫び。中で一層彼のモノが大きくなるのを感じて、また期待に締めつけが強くなる。
蜜は最早洪水、泡立って行為の激しさを物語る。来たる絶頂を予期して頤を跳ね上げた。
本能的に足を腰に絡めて、どちらが逃がそうとしていないのか分かったものではない。
降りる子宮。その入口と熱い接吻を交わしたのなら。

「ん、く、ふぁ、ぁあっ――――!」

痙攣。絶叫。あまりに熱い白濁液が全てを彼の色に染め上げる。
あまりの勢いに膣口から漏れ出た白が赤と混じる。これでもう、彼女の何もかもが彼のモノ。
覆い被さられても除ける力どころか、声を出す気力すらもなくてぜえぜえと胸を上下させるだけ。
全身が脱力。ただ握った手だけは、自分からは絶対に離さない。
1335/7K.VcEo2 :2018/11/03(土)17:12:05 ID:???
//ここで〆でどうでしょうか?
>>132
理性は蕩けて、ただ快楽を貪り続ける。それは交尾に違いなかった。
抱き締める様に締め付けられたなら、もう堪えられなくなって。絡まる脚は、後退を許さない。
ならばもう、結ばれるしかなくって。彼も結局、逃げられない。

荒い呼吸に上下する胸に、彼の胸が覆い被さって。暫くそのまま、漸く力が入る様になって、彼女の中から引き抜いた。
まだ口の開いたままの切っ先から白濁が零れて、その快楽を物語る。
手は握ったまま、少女の隣に転がり落ちる。空いた片手で頭を撫でて、また顔が向き合った。

「……明日もサボっちまおうぜ。
 まだまだ、一緒にやりたいことが溜まってんだ。」

まだ息は少し乱れていて、頬は朱色のまま。緩んだ笑みを少女に向けて。
今日は始まりの日。これからがまだまだ残ってる。望む限り、それはきっと何処までも―――
134名無しさん@おーぷん :2018/11/03(土)18:43:25 ID:???
>>133
二人の呼吸音が名残となって部屋を支配し、先程までとは打って変わって静かに重なり合う体。
徐に引き抜かれて吐息が漏れる。栓を失って溢れた白が床を汚した。
横に転がった彼を緩慢とした首の動きだけで追う。それ以上は困憊した体では難しく。
頭を撫でて髪を梳く。それだけの動作でも異常なまでの多幸感が湧き出るのが嫌でも分かる。
小さく頷く。なけなしの体力を振り絞って寝返りを打ち、彼の方へと。背中を向けて体をすっかり預ける形。

「――うん。付き合うさ、どこまでも」

その笑顔は泰然とした余裕の消え失せた、穏やかで純粋なもの。
まだまだ時間はたくさんあるけれど、やりたい事だって山積みだ。
だけど今はただ、初めての行為の余韻に浸っていたい。少しずつ、瞼が重くなりつつある。
目が覚めたら出会うまでの時間を取り戻すくらい、いろんな事をしたいと願いながら余韻に浸って目を閉じた。

//遅くなってすみません、こちらからはこれで〆で
//ありがとうございました。お疲れ様でした
135名無しさん@おーぷん :2018/11/03(土)20:42:08 ID:???
>>124

「――――――あ゛ぁ゛?」

挨拶に返されたのは、睨みつける三白眼。染めた赤髪が荒々しく揺れて。
着崩したセーラー服。校則違反の髪色。威圧する怒声。不良少女の証。
赤嶺桃華。少女とは一応の幼馴染に当たるが、今はすっかり道を違えて。
ただの家からうまれた不良少女と、高貴なる責任を背負う少女。交われる理由もなく。

「いつもつまんなそうに、薄っぺらい挨拶しやがって……」

呟いた時、彼女は聞こえる位置に居なかったはずだ。だって、今ようやく通りすがったのだから。
張り付けた表情を見て、少女はそう言った。奥底を話すほど、親しい間柄ではなかったが。

「見てるあたしがつまんなくなる。
 そんなに面白くないならやめちまえよ、それ。」

ふん、と鼻を鳴らして。嘲笑って。少女が言われたままで居るのなら、彼女は言いたい事を言ってしまって。
そのまま、通り過ぎていってしまうが。
136名無しさん@おーぷん :2018/11/04(日)04:06:09 ID:???
一睡もせずに垣間見えてしまう朝日は、光無い深夜よりも絶望に満ちている。
夜中の暗さにはロマンスがあるけど、朝は強制力で、寝ることで感情を清算することもできない
まま、再び社会へ参入する羽目になる。
今日もダメなままの始まりと終わりが約束されてしまうんだ。でも、さあ、希望の無い朝を、駆け抜けようを

何も出来やしない一日を、くだらなく潰していくんだ。
137名無しさん@おーぷん :2018/11/05(月)23:49:13 ID:???
その日、唐突に少女の知る世界は崩壊した。
変わることはない、永遠に続くのであろうと信じていたモノは、音もなく崩れ去っていった。

少女は無口だった。どこに居ようとも、誰と居ようとも。自分から意思を言葉という形で発する事は殆ど無く。
当然のように少女は孤立した。それが少女の望む形であったのかもしれない。本意を知ることができるのは、この少女自身のみ。
だが、それは本当だろうか。もしこれが、少女の意図していないモノであったならば。本心を他人に言うことが出来ないような不器用であったならば。

――でも、それは空想の話。空虚な理想論を浮かべただけで、現実が変化するわけではない。

気づけば少女は屋上に出ていた。フェンスが周囲を取り囲み、自らが檻に囚われて生き続けている人間であることを自覚させられる。
頭上には、澄み渡った青空を駆け回る鳥がいた。彼らは何を考えているのだろうか。飛べずに見上げたままの自分を見下していたりするのだろうか。
そんな堂々巡りな考えを、何も話すこともなく、ただ黙ったまま。

「……私は……何だろう……な」

フェンスに手を掛ける。この程度の壁、乗り越えようと思えばいつでも出来るのだろう。
だが、自分には出来ない。変われない。変えることが出来ない。理由が見いだせない。
そして何より、今の自分を変える事が、どんな事よりも怖かった。

フェンスの向こう側に立つ。一歩踏み出せば、この監獄から抜け出せる程の空想と現実の境目に、一人居る。
広い空から吹き晒す風が、少女の透明な肌をなぞり、白い髪を揺らしていく。
この風に乗れば、自分はもっと遠い場所に行けるだろうか。自分を必要としてくれて、やりたい事を教えてくれる誰かがいる場所へ。

辛うじて現実を繋ぎ止めている、フェンスと繋がる唯一の右手が、ゆっくりと離れる。
羽ばたく時が来たのだろう。この長袖の服に覆われた翼を大空に広げる時が。

しかし、どんなに待ってもその時は来ない。どれだけ時が過ぎようとも、世界は自分を檻に押し入れようとする。

――――翼が無くても、ここから出ることは可能では。
そんなあり得なくて、少しばかり不穏な思いが、少しずつ少女の中で膨らみつつあった。
138名無しさん@おーぷん :2018/11/06(火)01:59:24 ID:???
>>137
それは少女の一挙手一投足を見ていた。
虚ろな足取りに目的は無く、伸ばした手の先に未来は約束されていない。

長いこと潜んでいたが非常に興味深いものが来たとそれは人知れずほくそ笑む。
そして深い場所からゆっくりと浮かび上がって、少女に語りかけた。

「そんなところで何をしている?」

男とも女ともつかぬ声が不意に幻聴のように少女の耳に入り込む。
やけにはっきりと聞こえたそれの音源を探っても周囲には自分以外だれもいないだろう。

「ここはいろんなもので溢れている。ものがあるからそれは識別される。

私もまた……君の存在によって何者か識別される。

君は私を何だと思う?」

声は少女に「自分は何者だと思うか」問いかける。
姿形のないそれに、少女は何を見出すだろう?
139名無しさん@おーぷん :2018/11/06(火)21:00:15 ID:???
>>138
突如として頭に響く声。反射的にフェンスへと伸びる手。
落ち着いて周囲を見渡せども、この屋上に居る人影はない。自分以外の声が聞こえてくるなんて事はあり得ないはずなのに。
ではこのノイズのようではっきりと語りかけてくる声は一体。

「…………誰……だ……?」

脳裏に一つの仮説が浮かぶ。
どこかで聞いたことのある話。人間、何かしらこじらせると自分を正当化するために、悪魔が囁きに来ると。
自分は悪くない。周りが悪いんだ。自分を理解してくれる人が現れる。慰めてくれる人が来る。
そうやって都合のいい事ばかり並べて、少しでも自分を善人であると。運命に振り回された被害者であると信じ込ませるために。

「……お前……は……」

最初に脳裏に浮かんだのはどんな姿だっただろうか。
噂話で語られたような、自らを陥れて魂を食らいに来た悪魔。自らに憑りついて呪い殺そうとする亡霊。
いや、自分が求めているのはそんなモノではない。

「……お前は……私に……生きる理由……を……?」

自分が欲しいのは全てを受け入れてくれる人。こんな自分を必要としてくれる人。
それであれば何だっていい。人間だろうが悪魔だろうが亡霊だろうが畜生だろうが。
誰だっていい。何だっていい。囚われの私をここから出してくれ。解放してくれ。慰めてくれ。

「………………」

誰にも、きっと頭の中に巣食う何者かにしか聞こえないような、消えそうな声で口にしたのは一人の男の名。
きっとそれはこの少女にとって特別な、特別だったはずの人物の名。
140名無しさん@おーぷん :2018/11/06(火)21:47:22 ID:???
>>139
少女がそれに名を与えた時……無に有を見出した時、それは少女の思うものに極めて近い姿で顕現した。

「生きる理由。生命の価値。自分自身。どれも不確かで曖昧で、単純素朴なものだよ。
君が私にこの姿を見出したように。」

記憶の断片をパッチワークのように合わせることで得た姿は陽炎のように揺らいでは、弱った小鳥を弄ぶように少女を嘲笑う。

「君がそこから飛んだとしても、君が全てを失うだけだ。残されるのは残骸だけだろう。そんなにこの世界は……虚ろな自分は嫌かい?」
141名無しさん@おーぷん :2018/11/06(火)22:40:15 ID:???
>>140
フェンス越しの風景に、自分と同じ人間が現れる。
自分の精神が剥離した際に生み出した虚像とでも思えばよかったのだろうか。
しかし、この異様な空間の中では、どんな現象も現実のように思えて。幻覚のようにはとても思えなくて。

「……それでも……それだとしても……私は……」
「……私は……理由が……欲し……い……」

少女は理由を求めた。自分がこの世界に存在する理由を。その価値を。
どんなものでもいい。何かがあれば、自分はこの世界で生きていてもいいのだと、落ち着かせることが出来る。
だがそれすらもないのならば、何かに縋ることすら許されないのならば。

「……嫌い……だ……。世界も……自分……も……」
「……だが……だが…………」

分かっている。そんなに世界が、自分が嫌いならば変えてしまえばいい。
だが分からない。世界の変え方がわからない。自分の変え方がわからない。
今更この空虚な自分を、何かに縋ることが出来なければ生きていけない自分を、変える方法がわからない。

「……私は……何を……すれば……いい……?」
「……お前は……何を……与えて……?」

目前のフェンスに縋りつく。目前の少女に救いを求めるように。
この少女の世界は今にも崩れそうで、それを辛うじて食い止めているのが、もう一人の自分の存在であって。
救世主を目の当たりにするかのような哀れな瞳が、その先へと向けられる。
142名無しさん@おーぷん :2018/11/06(火)23:32:45 ID:???
>>141
フェンス越しに虚像に縋る少女の姿はそれにとってひどく滑稽だった。
何故そこまで固執するのか。確かな存在であるはずなのに。

「ならばこういうのはどうだろう?」

フェンス越しの少女にそれはこう提案した。

「君の記号を私に譲渡してくれるのならば……君に別の記号を与えよう。
今までの君とは違う名前、違う顔、違う身分……。人の姿を捨てるのも君の自由だ。望み通りにしようじゃないか。」

「承諾するなら……。」

それは少女と同じ顔で誘う。その距離は限りなく近い。
143名無しさん@おーぷん :2018/11/07(水)01:43:35 ID:???
>>142
「……私を……お前……に……?」

思ってもいない提案だった。
確かに今ここで、自分という器を変えればこの呪縛から解放されることが出来るだろう。
これで名目共々自己を変えられるだろう。誰かに頼らずとも、自分の力だけで、意思を持って進むことのできる人間になれる。
そう信じた。信じていた。信じてしまった。

「……欲しいなら……いくらでも……やる……」
「……だから……私を……解放して……くれ……」

フェンスを揺さぶる。今にもこの覆いを自らの手で壊してしまうかのように。
それほどまでにこの少女は追い詰められていた。これも彼女の嫌っていた『誰かに縋ること』であることも忘れてしまうほどに。
何度も何度も揺さぶる。力を籠める。針金が撓む。ギシギシと音を上げる。

「……何だって……いい……私を……!」

手を伸ばせば届いてしまいそうなほどの距離。しかしそれは叶わない。目の前の檻によって。
それでも少女は望んだ。この世界の変革を。自らの変貌を。
この歪な願いは、目前の自分に届くのだろうか。
144名無しさん@おーぷん :2018/11/07(水)07:33:43 ID:???
>>143
少女は目の前の奇怪な分身から与えられた提案を悩むことなく飲んだ。
変化を求め自分自身を示すもの全てを譲渡すると決めたのだ。
確かにそれが最も直接的な解決策であった。少女が自分自身であることを辞めれば確かに世界の見え方も変わるだろう。
少女の認識する狭い世界が変わるのだ。

しかしそれは…今までの自分の全否定でもある。たとえそれが成就したとして、その時少女は自身を認めることができるのだろうか?
新たな自分が世界に受け入れられたとして、それは少女の願いが叶ったと言えるのか?

しかしそんなことを考える時間ももう残されていない。
少女は考えるための時間も捨ててしまったのだから。

それは有無を言わせず二人を隔てるフェンスをすり抜け、契約の印として少女に口づけする。
その唇に触れたのならば、その瞬間からそれは「少女」としてその存在を確かなものにする。そして自身を示すもの全てを捨てた少女は…「別の存在」へと変容するだろう。

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