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ここだけ現代異能学園都市 -再生- No.11

34霧亡柘榴 :2018/11/10(土)03:11:13 ID:OTI
>>27-28
千刃の感情の揺らぎを映したかのように、水面が激しく波打って波紋を覆い隠す。
急なお湯の流れに任せて身体を離し、首だけが緩慢とした動きで立ち上がった千刃を追う。
最初はきょとんと、次いで視線を少し下に移して僅かに目を見開いて、ただそれだけ。
話に聞き入っている間も、表に晒す感情は凪いだまま。驚愕も恐怖もせず、さりとて好奇に目を輝かせるわけでもなく。
胸元の鏡、それから全身を眺めて女性的な身体に嵌めこまれたそれの異物感を再確認。
浴室の中でも曇らない静謐さを湛えながらも、人の身と一体化しているだけで言いようのない忌避感を催すような。

「……そう、だったんだ」

千刃の独白が終わってようやく、ほんの短い言葉を絞り出す。
項垂れる千刃につられるようにして視線を落とす。お湯はまだゆらゆら揺れて、中途半端に照明を反射して煌く。
彼女の言う『温もり』の意味を、かつて何が起こったのかを、それをどうすれば得られるのかを理解できないほどに柘榴は幼くはない。
理性と欲望の狭間で苦しむ彼女から、見ていられずに逸らした瞳は痛ましさに霞む。
自分にその矛先が向いていたと白状されて怒ることこそないけれど、同情や憐憫に近い情は確かに胸に芽吹いていて。
どうすれば解放させられるのだろう、なんて考えても簡単に答えが見つからない問題なのは明白。それでも模索せずにはいられない。
あるいはもっと簡単な解決法があるのだろうけど、致命的に情報の欠如している彼女がそこに思い至ることはなく。
不意に立ち上がって並び立つ。片手を取り、しっかりと桃色の瞳を金で捉えて見上げる形。

「二人とも、ずっと、寒かったんだね」

その『温もり』が身体から失われる感覚を彼女はまだ知らない。けれどどれだけ頑張っても想像すらつかないから、それだけ恐ろしいことなのだと思う。
与えたら自分の分が足りなくなって、補うには人からもらうしかなくて、その感覚が忘れられなくなって。
あまりに悲しい連鎖だと、胸を痛めるのは傲慢なのだろうか。

「わたしは、五年前と同じ、『温もり』は、あげられない、けど――」

身体を寄せて、もう片方の手を腰に回す。素肌と素肌が密着してお互いの体温を伝える。
それは体内を巡る真っ赤な生命の鼓動とは、また違う熱かもしれないけれども。

「これじゃ、駄目、かな」

心音、触覚、濡れた髪が皮膚に張り付く感覚。
そして何より異なるのはお互いがお互いの『温もり』を感じられることだろうか。
腕に入った力はきっと、自分に出来る手段でどうにかして『二人まとめて』温めてあげたいという想いの表れ。
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